ベトナムのVinFastがノースカロライナ州にEV工場を約2445億円で建設

ベトナムの自動車メーカーでVingroup傘下のVinFastは米国時間3月29日、ノースカロライナに最初の米国工場を建設すると発表した。同社は以前から、米国への投資と進出の計画を表明していた。

この新進自動車企業によると、同社は1976エーカー(約8平方キロメートル)のノースカロライナ工場の第一期工事に約20億ドル(約2445億円)を投じ、今後の工期に対しても投資を続ける。第一期の竣工予定は2024年7月で、年産15万台の生産能力を実現する。

VinFastの計画では、同工場で乗用車2車種と電動バス、電動車用バッテリーを生産し、またサプライヤーのための付属品なども生産する。

VinFastがノースカロライナ州と交わした合意書によると、VinFastの7人乗り全電動SUV、 VinFast VF 9と、5人乗り全電動ミッドサイズSUV、VinFast VF 8にはブロックチェーンの技術が含まれ、オーダーを記録したりオーナーを確認したりするが、それらの製造を米国工場で行う。VF 9とVF 8の価格はそれぞれ、1月に同社がCESでシェアしたところによると、米国で5万6000ドル(約680万円)と4万1000ドル(約500万円)からとなる。

VinFastは2017年のローンチ以来、急速に成長した。同社はベトナム初の国産車メーカーとなり、2019年にはガソリン車を発売した。その後VinFastは、2022年後期にはEVだけを生産すると約束している。

同社は米国市場を主なターゲットの1つと位置づけている。つまり既存自動車メーカーのGMやFordやTeslaだけでなく、新参のEV企業であるRivianやFiskerとも競合するという意欲的な取り組みだ。

11月のロサンゼルスAuto ShowではVinFastは2台の電動クロスオーバー車を披露し、2022年の終わりに米国で発売すると述べた。そのとき同社は、2億ドル(約244億円)ほどを投じてロサンゼルスに米国本社、そして60以上の販売店と複数のサービスセンター、および移動式サービスサイトを年内に開設すると発表した。

Vingroupの副会長でVinFastのグローバルCEOであるLe Thi Thu Thuy(レ・ティ・トゥ・トゥイ)氏は声明で次のように述べている。「市場内に製造工場があることは、VinFastに先取的なサプライチェーン管理を可能にし、価格安定と短期納車を維持し、VinFastのEVを消費者にとってアクセスしやすくして、当地の環境改善目標の実現にも寄与します」。

ベトナムにおいて2021年末にEVを発売したVinFastは、2022年、グローバルで4万2000台の販売を狙っている。Vingroupは最近ベトナムのハティンにバッテリー工場の建設を開始し、今年後半には年間生産能力5ギガワットで稼働を開始する予定だ。また1月の発表によると、同社は1月に、ドイツでの工場建設も検討していると発表している。

画像クレジット:VinFast

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Hiroshi Iwatani)

ロータスの新型EV「Eletre」に搭載された技術に同社の自動運転への野望が見える

Lotus(ロータス)は米国時間3月29日、バッテリー駆動の「ハイパー」SUV「Eletre」(エレトレ)を発表した。これは、ロータスが今後4年間に発売を予定している3種類のEV(電気自動車)のうちの最初の1台だ。

どのようなものなのか?Eletreは(ハンガリー語で)「活気づく」という意味で、Lotus初の実用車であり、今後予想されるバッテリー駆動の高級SUVの需要増に対応するための重要なモデルだ。車両のデザインや豪華な内装は特筆すべきものだ。しかし、ロータスの未来を最もよく垣間見ることができるのは、必要に応じて飛び出す4つのLiDAR(ライダー)センサーを含む、いくつかの技術だ。

まずは基本的なことを。Geely Automotive(ギーリー・オートモーティブ、吉利汽車)とマレーシアのコングロマリットEtika Automotive(エチカ・オートモーティブ)が所有するLotusは、このEVに、パワーとトルク、そこそこのバッテリー走行距離を詰め込んでいる。

Eletreは、800ボルトの電気アーキテクチャを採用し、バッテリーを劣化させることなく急速充電を可能にした。各車軸に1つずつ搭載された2つの電気モーターは、最低でも600馬力を発生し、SUVを3秒以内に0〜60mph(時速0〜97キロ)まで加速することができるLotusによると、100キロワット時以上の蓄電能力を持つバッテリーパックは、フル充電でEletreが373マイル(約600キロメートル)走行する(欧州のWLTP燃費基準)ことを可能にするという。また350キロワットの充電器を使えば、20分で248マイル(約399キロメートル)分を充電することができる。

Eletreには4種のドライブモードが提供される。そのうちの1つであるオフロードモードでは、ステアリング、ダンパー設定、パワートレイン、アクセルペダルの反応が調整される。その他、オプションの23インチホイール、アクティブライドハイト、アクティブ後軸ステアリング、アクティブアンチロールバー、ブレーキによるトルクベクタリングなどのハードウェアや機能を追加することが可能だ。

この車両は、2022年後半に中国の武漢にあるロータスの新工場で生産が開始される予定だ。

画像クレジット:Lotus

Lotus Cars(ロータスカーズ)のマネージングディレクターのMatt Windle(マット・ウィンドル)氏は、Lotus初のSUVかつEVであるこの新型車について「私たちの歴史の中に重要な位置を占め、ビジネスを変革したい私たちの変わらない願望を明確に示すもの」だという。

もちろん、この歴史の中の重要な位置を、将来の大きな利益につなげることが目的だ。

LotusはEletreの価格情報を公開しなかったので、競合相手を特定することは難しい。価格次第では、Tesla(テスラ)Model Xや、Lamborghini(ランボルギーニ)からAston Martin(アストン・マーティン)に至る、高級ブランドのトップセラーとして認識される高級SUVと競合する可能性がある。

潜在的な競争相手は増え続けている。Maserati(マセラティ)は先週、中型SUV Levante(レヴァンテ)のバッテリー版と、新型コンパクトクロスオーバーGrecale(グレカーレ)の2種の完全電気SUVを発売する計画を発表した。Ferrari(フェラーリ)初のSUV、30万ドル(約3654万円)のPurosangue(プロサングエ)は2022年後半に登場予定だ。

Lotusの場合、先進運転支援システムの改善や機能追加を行うために、無線を使ったソフトウェアアップデートを行うことのできるセンサーやその他のハードウェアを搭載し、Eletreの「将来の拡張性」を保証している点が特徴だ。

一般に、自動運転車を安全に運用するための鍵として考えられている光検出・測距センサーLiDARは、Mercedes-Benz(メルセデス・ベンツ)、Volvo(ボルボ)、そして今回のLotusといった自動車メーカーで採用され始めている。こうした自動車メーカーは、LiDARを完全な自動運転機能ではなく、特定条件下の限定的な自動運転機能のための余裕を提供するために必要なセンサーとみなしている。少なくとも、今はまだそうだ。

画像クレジット:Lotus

LotusがEletreに搭載するLiDARは、このような使い方を想定しているようだ。Lotusは4つのLiDARセンサーを使用する予定で、必要なときに「展開」または「飛び出し」が行われるようになっている。Lotusによれば、LiDARセンサーは必要ないときは隠れていて「必要に応じてフロントガラスの上部、リアガラスの上部、フロントホイールアーチから現れるだけ」とされている。

このLiDARセンサーシステムによって、最終的にはスマートフォンのアプリで駐車場への入出庫ができるようになる予定だ。しかし、Lotus Technology (ロータステクノロジー)の副社長で、ドイツのLotus Tech Innovation Center(ロータステックイノベーションセンター)のマネージングディレクターであるMaximilian Szwaj(マクシミリアン・シュワイ)氏のコメントは、同社が駐車場以外のことも考えていることを示している。

彼は声明の中で「LiDARセンサーやカメラなどのADAS(先進的運転手支援システム)技術は、より自動的な時代に向けて新車に搭載されることが多くなるでしょう」と、現在のための技術はもちろん、未来のための技術も搭載していると述べている。

また、現在の米国の規制では禁止されているカメラを使ったミラーシステムも搭載される予定だ。3種類のカメラは、1つ目はバックミラー用、2つ目は駐車を助けるために上方から360度の視界を作り出すためのもの、そして3つ目は先進運転支援システムに使用される。Lotusは、カメラがLiDARシステムと連動して「自動運転機能」を実現すると述べている。

Lotusは、この「自動運転機能」が駐車以上の野望を意味するのか否かについて、これ以上の詳しい説明をしていない。Lotusが説明するハードウェアは最先端技術ではあるが、効率的で安全な自動運転機能をクルマに搭載するには、計算能力とソフトウェア、そして直感的なユーザーエクスペリエンスを備えたシステムを含め、克服すべき多くの課題がある。

しかし、4つのLiDARセンサーと3つのカメラは、同社の目標が限定的または条件付きの自動運転機能にも及んでいることを示唆している。

画像クレジット:Lotus

その他のイノベーションとしては、同社が多孔性 (ポロシティ、porosity)と呼ぶものがある。これは空力特性、航続距離、効率を改善するために、上下、周囲だけでなく、車体の中に気流を通過させるものだ。Lotusは、ハイパーカーEvija(エヴァイヤ)やEmira(エミーラ)をデザインする際、多孔性に注力した。

今回Eletreに搭載されたことで、このデザインイノベーションは今後も続くと思われる。ロアーグリル、フロントフェンダー、テールランプ付近などに、このエアーチャンネルがわかりやすく配置されている。

特にグリルは興味深いもので、三角形の花びらが連結したネットワークを形成し、クルマが動いていないときや走行中の抵抗を減らす必要があるときは閉じられる。Lotusによれば、電気モーター、バッテリーパック、フロントブレーキの冷却が必要なときに、ラジエーターに空気を送り込むためにグリルが開き、Eletreが「呼吸」できるようにするのだという。

編集部注:Eletreは日本の公式輸入代理店のウェブページなどでは「エレトレ」と表記されているが、Lotus公式を含む現地/海外メディアのビデオなどでは「エレクトラ」と発音されている。

画像クレジット:Lotus

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(文:Jaclyn Trop、Kirsten Korosec、翻訳:sako)

起亜自動車が「EV9」の市販化を発表、2023年に欧州で発売

Kia(起亜自動車)が、2021年のロサンゼルスオートショーで公開したコンセプトカー「Concept EV9(コンセプトEV)」を市販化する日はそう遠くないだろうと思っていた人の推測は正しかった。起亜は、この電気自動車SUVの市販バージョンを、2023年に欧州で発売すると発表した。北米やその他の地域での販売については言及されていないものの、SUVなのだから、米国やカナダの道路を流しているEV9を目にするのも時間の問題かもしれない。

EV9がコンセプトから量産モデルに移行する際にどこが変わるのかということについて、起亜は言及しなかった。しかし、我々はボディの大胆な切込みや、巨大なホイール、格納式ルーフレール、そしてラウンジのような座席モードなど、エキゾチックな機能の多くがカットされると予想する。とはいえ、27インチの超ワイドディスプレイや、ボンネット備わるソーラーパネルさえ、市販モデルに受け継がれたとしても、我々は驚かないだろう。

量産モデルのEV9でも、謳い文句通りのスペックが維持されるかもしれない。コンセプトカーでは、一度の充電で走行可能な距離は最大300マイル(約483km)で、350kWの超急速充電に対応し、バッテリー残量の10%から80%まで10分で充電可能ということが約束されていた。起亜は最近、高速道路でドライバーに代わってEV9を走らせることができる自動運転技術「Automode(オートモード)」についても詳述している。

価格など、まだ明かされていない重要な情報も多いが、EV9は、少なくともいくつかの分野では、起亜にとってこれまでで最も重要な完全電気自動車の1台になる可能性がある。現在のところ、同社が販売している電気自動車「EV6」は好評を博しているものの、一部の市場(特に北米)はクロスオーバーやSUVに大きく偏っている。EV9は、起亜がTesla(テスラ)の「Model Y(モデルY)」や、Volkswagen(フォルクスワーゲン)の「ID.4」のような競合に挑むための助けとなるかもしれない。いうまでもなく「Niro EV(ニロEV)」では興奮しない買い手を引き寄せるためにも貢献するだろう。

編集部注:本記事の初出はEngadget。執筆者のJon Fingas(ジョン・フィンガス)氏はEngadgetの寄稿ライター。

画像クレジット:Kia

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(文:Jon Fingas、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

Coreshellのナノ層コーティング技術は、電気自動車の電池に容量アップと耐熱性向上をもたらす

5年前、Jonathan Tan(ジョナサン・タン)氏とRoger Basu(ロジャー・バス)氏は、自分たちが専門とする薄膜技術を生かし、最も速く、最も大きなインパクトが与えられる業界を模索していた。そして彼らが選んだのは、電池、特に電池の劣化や寿命に関する分野だった。

当時は(そして今も)この業界には投資も研究も不足しており、電池の画期的な発明に成功したと主張する企業もなかった。しかし、2人は、他の誰もが右へ行くところを、自分たちは左に行ったと主張する。

2017年にカリフォルニアでCoreshell(コアシェル)というスタートアップを共同設立したタン氏とバス氏は、ゼロから新しい電池を開発しようとする、既に多数の企業が取り組んでいる費用も時間もかかる事業には手を出さなかったという。

代わり彼らは、電池セルメーカーの既存の生産システムに追加できるナノ層コーティング技術に力を注いだ。このコーティングによって、電池の使用可能容量は30%以上増加し、耐熱性が200%向上するため、コスト削減と安全性の向上が可能になると、Coreshellの創業者たちは述べている。この技術は、家電や電気自動車など、異なる化学組成や用途の電池に適用することも可能だ。

「私たちは、電池の『Intel Inside(インテル・インサイド)』になりたいのです」と、CoreshellのCEOであるTan氏はTechCrunchに語った。「私たちはこのコーティング技術を、電池内部の最も困難な表面、つまり、電解液と接する陽極の表面と陰極の表面に直接適用したいと考えています」。

Coreshellはその斬新なアプローチで、複数の投資家や電池メーカー、さらには象徴的なデューンバギーを作った会社として知られるMeyers Manx(メイヤーズ・マンクス)からも支持を得ている。また、Tesla(テスラ)の共同創業者であるMarc Tarpenning(マーク・ターペニング
)氏、National Renewable Energy Laboratory(国立再生可能エネルギー研究所 )研究で知られるコロラド大学教授のChunmei Ban(チュンメイ・バン)氏、企業のIPO支援でキャリアを積んできたJudith O’Brien(ジュディス・オブレイン)氏など、多くの専門家から助言を受けている。

2人は当初、会社を自己資本のみで運営していたが、2020年にAlchemist Accelerator(アルケミスト・アクセラレーター)を通じて、いくらかのシードマネーを調達した。

以降、CoreshellはBASFとの協業を開始して、先進的な正極材料のためにいくつかの異なるコーティングの開発に取り組んでいる。また、タン氏によれば、名前を挙げることはできないが、他のバッテリーセルメーカーと実証実験も行っているという。同社は最近、Trousdale Ventures(トゥルースデール・ベンチャーズ)、Industry Ventures(インダストリー・ベンチャーズ)、Helios Capital Venturesが(ヘリオス・キャピタル・ベンチャーズ)主導するシリーズAラウンドで、1200万ドル(約14億7000万円)の資金を調達している。このラウンドには、既存投資家のEntrada Ventures(エントラーダ・ベンチャーズ)、Foothill Ventures(フットヒル・ベンチャーズ)、Asymmetry Ventures(アシンメトリー・ベンチャーズ)も参加した。Coreshellが現在までに調達した資金の総額は1900万ドル(約23億2500万円)となった。

CoreshellとTrousdale Ventures、特にマネージング・パートナーのPhillip Sarofim(フィリップ・サロフィム)氏との関係は、Meyers Manxとのパートナーシップにもつながった。Meyers Manxの電動ビーチバギーのプロトタイプが、Coreshellの技術が「入っている」最初の車となる。

Meyers Manxの会長でもあるサロフィム氏は、今回の提携が「冒険と楽しさを世界にもたらし続けながら、現代の消費者の期待に応えるためにさらに性能を引き上げる」というMeyers Manxの使命に合致すると述べている。

Meyers Manxによる性能実証に加えて、他の電池セルメーカーや自動車メーカーとの協業も行うことで、Coreshellはセルレベル、デバイスレベルの両方において全能力を披露でき、自動車への適用も加速させることができると、化学エンジニアから技術事業開発担当者に転身したタン氏は語っている。

同社はまた、New Era Converting Machinery(ニュー・エラ・コンバーティング・マシーナリー)と共同で、その薄膜コーティング技術がどうやってロールtoロール加工に使用できるかを実証する取り組みも行っている。これが成功すれば、Coreshellは自動車メーカーや電池メーカーに自社の技術を採用するよう説得することができるだろう。

「もちろん、最初はもっと小規模なところから始めますが、しかしその能力を見せるだけでも、『私たちの技術をうまく組み込めば、バッテリーの劣化を解決し、容量を増やすという性能を強化しながら、製造コストを下げられますよ』と示すことができるようになるための重要なステップです」と、タン氏は語る。

ターペニング氏が注目したのは、この進歩だ。

「半年に一度は、バッテリーの容量とか価格の低減などに関する何らかの大きな革新が発表されているような気がします。しかし、それがなかなか実現していません」と、ターペニング氏は語る。「その理由の1つは、研究室で機能するこれらの技術の多くが、うまく量産できないか、まったく量産できないか、あるいは生産プロセスに大きな変更を加える必要があるためです」。

Coreshellは、電池セルメーカーの既存の生産運用に追加できることが、ターペニング氏にアピールした。

「既存の工場で実際に導入しながら、どのようにスケールアップするかを検討することができます。それが私にとって大きな意味がありました」と、同氏は語る。「わお、それはいいぞ、まるで鶏と卵の問題を解決したような凄いことだって、私は思いました」。

画像クレジット:Coreshell
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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

テスラ、新型コロナによる都市封鎖で再び上海工場を閉鎖

Tesla(テスラ)は、新型コロナウイルス感染症の新規感染者急増を受け、Gigafactory(ギガファクトリー)上海工場を閉鎖する。閉鎖は今月2回目だ。Volkswagen(フォルクスワーゲン)とGeneral Motors(ゼネラルモーターズ)は3月28日、上海の事業には影響がないと発表した。

Teslaの24時間稼働工場は、上海がロックダウン(都市封鎖)されるのにともない、3月28日から4日間、生産を停止する。同社は3月中旬にも、新型コロナ感染者増加で同工場を2日間閉鎖した

ギガファクトリー上海は世界最大のEV(電気自動車)工場で、毎日約2000台を生産している。そのほとんどは、中国の消費者とドイツや日本など同社にとって重要な市場向けのModel YとModel 3だ。工場の閉鎖は、世界的なサプライチェーンの逼迫と相まって、同社がこのほど予告したマスタープラン・パート3の妨げとなる可能性がある。このマスタープランでは、CEOのElon Musk(イーロン・マスク)氏が「極限」サイズまで事業拡大する戦略について説明するとツイートしている。

中国の新型コロナ新規感染者の大半は上海で報告されていて、ほとんどのケースが無症状だという。地元政府は3月28日、大規模な検査を行うために2段階のロックダウンを開始した。ギガファクトリーは第1段階のロックダウンの影響を受ける地域にあり、このロックダウンは4月1日まで続く。

Teslaは3月15日、欧州初の工場としてベルリンに50億ドル(約6160億円)を投じた施設を開所した。

同社はまた3月28日に米証券取引委員会に提出した書類で、株主への配当を行うために株式分割を行う意向を発表した。同社は年次株主総会で「株式配当の形で当社普通株式の分割を可能にするために【略】普通株式の発行可能総数を増加させる」提案を行う予定だ。

同社は2020年8月に1株を5分割した。

画像クレジット:Qilai Shen/Bloomberg via Getty Images / Getty Images

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(文:Jaclyn Trop、翻訳:Nariko Mizoguchi

東京理科大学、太陽光発電とEVの走行中ワイヤレス給電を組み合わせたシステムの実車実験に成功

東京理科大学、太陽光発電とEVの走行中ワイヤレス給電を組み合わせたシステムの実車実験に成功

東京理科大学は3月24日、太陽光発電と電気自動車(EV)の走行中ワイヤレス給電を組み合わせたシステムを開発し、世界で初めて実車を用いた実験を成功させたと発表した。EVの普及と太陽光発電の大量導入を後押しする技術に発展することが期待されるという。

2020年、EVの停車中のワイヤレス充電の国際規格(SAE J2954)が制定され、走行中ワイヤレス給電(DWPT。Dynamic wireless Power Transfer)はその次の技術として期待されている。現在のEVは、大量のバッテリーを搭載しているために価格が高く、充電に時間がかかることが普及の足かせになっているが、DWPTが実現すれば、バッテリーは小さくて済み、走行距離を飛躍的に延ばすことが可能となる。すでに、DWPTが経済的に成り立つという試算が出されていて、高速道路だけでなく一般道にも導入が可能だとされている。しかし、太陽光発電とDWPTを組み合わせる技術的な研究は、世界的にもまだ進んでいない。

そこで、東京理科大学理工学部電気電子情報工学科の居村岳広准教授を中心とする研究グループは、太陽光発電とDWPTを組み合わせる際に必要となる回路と制御方法を開発し、実際に実験用道路に給電装置を埋め込んだ実車実験を行った。研究グループは、カーボンニュートラルの実現を目指す観点から電力網に接続しないオフグリッドでの太陽光発電を用いたシステムと、オングリッドのシステムの両面から研究を行っているが、今回実車実験を行ったのは、オフグリッドを想定したシステムだ。

コイルと太陽光発電と実車

コイルと太陽光発電と実車

オフグリッドのシステムは、道路脇に設置した太陽光パネルによる直流電力送電路「DCバス」に接続することが想定されている。オングリッドならば常に一定の電力を供給できるのだが、オフグリッドの場合、発電状況やEVの走行台数の変化によってシステムにかかる電圧が変動する。そこで、太陽光発電の出力を最大化する最大電力点追従制御(MPPT。Maximum Power Point Tracking)とDWPTのそれぞれに想定される負荷変動の周期のずれを吸収する電気二重層キャパシター(EDLC。Electrical Double Layer Capacitor)を、発電部分と給電部分との間に挟んだ。さらに、ワイヤレス給電のために直流電圧を高周波の交流に変換するインバーターの出力電圧波形を位相シフト制御して電圧調整を行った。これにより、発電電圧を最大に保ちながら、供給電力を一定に保つことができた。

東京理科大学、太陽光発電とEVの走行中ワイヤレス給電を組み合わせたシステムの実車実験に成功―世界初の実車を用いたシステム開発

コイルと回路

研究グループは、屋内の基礎実験でこのシステムの動作が検証できたところで、キャンパス内にDWPT実験用道路を作り、実際のEVの床下に受電回路を取り付けて走行試験を行った。その結果、車のボディーやアスファルトの影響が心配されていたが、大きな影響はなく、屋内基礎実験と同様に動作が可能であることが示された。これにより、電気二重層キャパシターとインバーター出力の位相シフト制御を使うことで、オングリッドの場合と同じように供給電力を一定に保てることがわかった。

日本では、2050年には300GW(ギガワット)の太陽光発電施設の導入を目指している。そうなると、昼間の電力量は需要を上回り、余剰電力が生まれるようになる。DWPTは、停車中充電に比べて電力吸収量が10倍以上と多いため、太陽光発電の大量導入時の余剰電力消費先として親和性が高く、余剰電力の負荷平準化に貢献できる可能性もあるという。

今回は動作原理の実証のため電力は抑えて行ったが、今後は、埋設したコイルの大電力伝送実験、雨水や海水の有無による影響の評価などを通して、社会実装に向けた研究を進めるとしている。

「Polestar 2」のシングルモーター仕様が米国で販売開始、約560万円から

スウェーデンの高性能電気自動車ブランドであるPolestar(ポールスター)は、2021年発売されたデュアルモーター仕様のEV「Polestar 2」続き、一度の充電で270マイル(約435km)の距離を走行可能なシングルモーター仕様の同モデルを米国で販売開始すると発表した。

この「Polestar 2 Long range Single motor(ポールスター2 ロングレンジ・シングルモーター)」の車両価格は、4万5900ドル(約560万円)からとなっているが、連邦政府と州の補助金を考慮すると実質3万3400ドル(約406万円)となる。デュアルモーターで4輪駆動の兄弟車よりも4000ドル(約49万円)安く、航続距離も19マイル(約31km)長い。車軸に取り付けられた電気モーターの数以外(シングルモーターは前のみとなる)、両車は機能的には同じものだ。

「Polestar 2のすべてのモデルは、Googleインフォテインメント・システム、プレミアムでサステイナブルな素材、そして比類のない前衛的なデザインを備え、最先端テクノロジーにおけるブランドの優位性を発散させています」と、Polestar USAのGregor Hembrough(グレガー・ヘンブロー)社長は、プレスリリースで述べている。

4000ドルでさまざまな快適装備が追加される「Plus」パックと、安全および運転支援機能がグレードアップする3200ドルの「Pilot」パックは、どちらのパワートレインを選んでもオプションで付けることができる。

地元の石油化学コングロマリットに一矢報いたい人は、公式サイトまたは全米の主要都市にある同社の実店舗でPolestar 2の試乗を予約することができる。

編集部注:本記事の初出はEngadget。執筆者のAndrew Tarantola(アンドリュー・タラントラ)氏はEngadgetのシニアエディター。

画像クレジット:Polestar

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(文:Andrew Tarantola、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

中国のEVシャシーメーカーPIXがスマート車両の自社製造で約14億円調達

中国では過去2年間、機関投資家と企業投資家の両方がドライバーレスの未来に資金を注ぎ込み、自律走行産業が活況を呈している。ロボタクシーサービスの提供やロボバスの運行、配達ボットの展開など、下流で成功している企業は特に投資家に人気があり、数億ドル(数百億円)を調達し巨額の評価額に達している。

現金が豊富になり、有名になる見込みがあるため、上流のサプライヤーもエンドソリューションの構築に着手するようになった。こうした野心的な自動運転ハードウェアサプライヤーの1社が、自動車用スケートボードに特化している中国のPIX Moving(ピックスムービング)だ。この種のシャシーは、バッテリーや駆動ユニットなどの主要コンポーネントを格納し、モジュール式アーキテクチャのためさまざまな種類の自動運転シナリオに適応することができる。Canoo(カヌー)が手がけているものと似ている。

2014年に元建築家のChuan Yu(チュアン・ユ)氏によって設立されたPIXはこのほどプレAラウンドで7200万元(約14億円)を確保し、TechCrunchに語ったところによると調達した資金総額は2000万ドル(約24億円)になった。

同社はハードウェアアクセラレータHAXの第2陣の1社で、ドローンソリューションの構築からスタートした。5年前に自動車分野に進出し、以来、中国、欧州、北米、オーストラリアでひと握りの顧客を獲得した。その中には同社のスケートボードシャシーを採用するAlibaba(アリババ)やBaidu(バイドゥ)、そして守秘義務契約により名前を明かせないが、すぐに使えるロボ車両を購入するドイツのティア1自動車部品メーカーなどが含まれている。

PIXはホワイトラベルのサプライヤーでは満足できなくなり、最近、自社名を冠した自動運転車の提供を開始した。今回の資金調達の一部は、自社ブランドのロボバスやスケートボードのシャシープラットフォームの量産に充て、残りは顧客向けの生産増強、海外展開、採用などに注ぐ。生産能力は2022年中に1200~2500台に達する見込みだ。

PIXは、今回の資金調達における単独出資者の名前を明らかにせず「全国に1万以上の機器を配備している中国の大手衛生ソリューションプロバイダー」とだけ述べた。今回の出資は戦略的シナジーを生み出すことを目的としていて、PIXと出資者は、ゴミ拾いから道路清掃までを意味する「環境オペレーションシナリオ」に対応するサービスロボットを共同開発する予定だ。

PIXの国際事業ディレクターNancy Lee(ナンシー・リー)氏は、ますます混み合う自動運転業界でどのように競争していくかについて、同社が3Dプリンターを使って従来のメーカーよりも低コストかつ短時間でカスタマイズされたシャシーを製造していると述べた。

同社は現在、収益の30〜40%を海外で得ているが、今後2年間でその比率は50%に達すると見込んでいる。中国は自律走行技術の推進者だったかもしれないが、中国の都市の「複雑な」交通事情もドライバーレス車両の大量展開を困難にしているとリー氏は主張した。

PIXは、不思議なことに中国南西部の中心地、貴州省に拠点を置いている。この地域は、Appleのような企業のデータセンターの主要拠点として知られている。また、PIXは北京、上海、深センに研究開発・事業開発チームを抱える。中国以外では、米国でパートタイマー2人が営業と技術サポートに従事しており、ドイツに製造と研究開発を行う子会社を設立中だ。

画像クレジット:PIX’s skateboard chassis

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(文:Rita Liao、翻訳:Nariko Mizoguchi

韓国LG Energyが約1700億円を投資し米国でのバッテリー生産を拡大

Tesla(テスラ)、Lucid Motors(ルシッドモーターズ)、General Motors(ゼネラルモーターズ)、Proterra(プロテラ)に電気自動車用バッテリーを供給する韓国のLG Energy Solution(LGエナジーソリューション)が、米国時間3月11日、14億ドル(約1697億円)を投じてアリゾナ州クイーンクリークに円筒形バッテリーの工場を建設することを発表した。

このことは、LG Energyが米国での存在感を高めていることを改めて明確にした。1月には、21億ドル(約2546億円)を投じてゼネラルモーターズと共同で、米国3番目のEV用バッテリー工場を建設する計画だと発表した。また2021年には、Stellantis(ステランティス)がLGとバッテリーセルとモジュールを北米で生産する契約を締結している。

今回のLGのアリゾナでの出資は、北米市場において、瞬発力を必要とする電動工具やEV・電動自転車などのモビリティ機械などに対する、円筒型セルや円筒型電池の応用需要が高まっている時期に行われる。需要が高まる理由は、LGの広報担当者によると、この種のバッテリーが比較的小さくエネルギー密度が高いからだという。

11ギガワット時規模の工場建設は、2022年第2四半期に開始され、2024年には量産が開始される予定だ。

LG Energyによると、同工場はEVメーカーに供給される円筒形バッテリーの、北米で初めての製造工場となる。ロイターの報道によると、Tesla、Lucid、ProterraなどのEVメーカーがその潜在的な顧客となる可能性があるという。LGは、契約手続きは進行中だと語ったが、アリゾナ工場がどの企業に供給するのかは明言を避けた。

LG Energyは、米国での生産能力の追加を検討しているという。1月には、LG Energyは新規株式公開により100億ドル(約1兆2145億円)以上を調達した

バッテリー製品をTeslaにも供給している日本のパナソニックは、オクラホマ州かカンザス州に工場建設用地を探していると、2月にNHKが報じている。また、トヨタは米国にバッテリー工場を建設し、2025年の生産開始を目指している。

米国でバッテリーを開発する海外バッテリー企業の流入は、ジョー・バイデン大統領が国家的なバッテリーサプライチェーンの確立のために数十億ドル(数千億円)の資金を確保するインフラ法案の産物なのかもしれない。

LGは、このようなサプライチェーン構築のために米国から提供される資金の受給資格があるかどうかの問い合わせには、締切までには回答しなかった。

関連記事:GMがシボレー・ボルトのリコール損失約1100億円をLG Chemに請求すると表明

画像クレジット:LG Energy Solution

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(文:Kate Park、翻訳:sako)

フォードはCiscoと提携して電気自動車をビデオ会議の空間に

Ford(フォード)のEVピックアップトラック「F-150ライトニング」には最近、双方向充電機能が搭載され、万一のときに家庭用バックアップ電源として使えるようになった。今度は会議ソフトウェア「Webex」のメーカーであるCisco(シスコ)との新たな提携で、EVをオフィスのバックアップにしようとしている。

FordのJim Farley(ジム・ファーリー)CEOは米国時間3月22日「我々は全力で、スタートアップのスピードと限りないイノベーションをもたらす、お互いに独立しつつ補完するビジネスを構築しています」と発表した。同社がここ数カ月で発表した計画としては、EVとICE(内燃機関)事業の分離、2023年末までに年間60万台のEV生産、今後数年間でヨーロッパ市場に7種類の新型EV投入がある。

Fordがアメリカ人ドライバーの心をつかむには、2020年3月以来インターネットで最も頻繁に使われている用途であるオンライン会議を電気自動車に装備する以上に良い方法はないだろう。Fordの電気自動車プログラム担当バイスプレジデントであるDarren Palmer(ダレン・パーマー)氏は報道発表で「我々は人と人とがつながる方法を検討しています。人々が自動車を高品質のオフィスとして活用しコラボレーションをしない理由は見当たりません」と述べた。

そのためにFordとCiscoは提携して「SYNC4A(Fordのインフォテインメントシステム)のブラウザエクスペリエンスを開放」し、現在はHTML5セントリックのOS上でネイティブに動作するWebexアプリを開発中だ。パーマー氏は「Fordは電気自動車の次世代エクスペリエンスに向けてWebex by Ciscoで連携することに期待しています。Webexはセキュアで没入できるコラボレーションのエクスペリエンスを提供すると我々は考えています」と述べた。

家からビデオ会議に参加しているときに猫がウェブカメラの前に飛び出してくるのは、まあまあかわいいかもしれない。子どもが後部座席で誰が触ったとか触っていないとか大声で騒いでいるのは、あまりかわいくはない。このように大音量で妨害されることを防ぐために、将来のFordのEVにはWebexの「Optimize for My Voice(自分の声に最適化)」機能が搭載される。これは車内にいて会議に参加していない人はすべて自動でミュートする機能だ。ドライバーが注意散漫にならないように「Webexなどのコラボレーション機能は車が止まっているときだけ動作し、運転中はオーディオのみにします」とパーマー氏は述べた。両社はアプリの最終的なリリースのスケジュールを明らかにしていない。

編集部注:本記事の初出はEngadget。執筆者のAndrew Tarantola(アンドリュー・タラントラ)氏はEngadgetのシニアエディター。

画像クレジット:Ford

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(文:Andrew Tarantola、翻訳:Kaori Koyama)

BYDとLucidがNVIDIAの自動運転プラットフォームを採用する最新のEVメーカーに

NVIDIA(エヌビディア)は、同社のDrive Hyperion(ドライブ・ハイペリオン)プラットフォームを採用する自動車企業に、新たに2社の電気自動車メーカーが加わったことを発表した。Drive Hyperionは、自家用乗用車からロボットタクシー、自律走行トラックまで、あらゆるクルマの自動運転機能を強化するコンピューターおよびセンサーツールキットである。

その2社とは、中国のBYD(バイド、比亜迪汽車)と米国のLucid Group(ルシード・グループ)だ。両社は、インテリジェントパーキングや先進運転支援システム(ADAS)など、ソフトウェア定義機能を自社の電気自動車に提供しているが、米国時間3月22日に開催されたNVIDIAの「GTC 2022」AI開発者会議で、NVIDIAのハードウェア、ソフトウェア、コンピュートソリューションに依存する自動車メーカーの仲間入りを果たすことを発表した。他にもJiDU(ジドゥ)、Polestar(ポールスター)、Li Auto(リーオート、理想汽車)、Nio(ニオ、上海蔚来汽車)、Xpeng(シャオペン、小鵬汽車)、Volvo(ボルボ)、Mercedes-Benz(メルセデス・ベンツ)、Jaguar Land Rover(ジャガーランドローバー)などが、NVIDIAのテクノロジーを採用している。

自動車メーカーは、運転をアクションではなくスポーツ観戦に近づけるような機能を約束することで、潜在顧客となる人々の注目を得ようと競い合っている。問題は、多くの企業が「ソフトウェア定義」のアプローチで実現すると豪語しているものの、実際には低レベルの自律走行を実現するためのリソースさえ、自社で持っていないことだ。

なぜなら、クルマに自律走行機能を組み込むためには、機械学習アルゴリズムを訓練するための何百万キロメートルもの走行データ、センサーからデータを取り込んでリアルタイムに判断できる高度なソフトウェア、そしてそのすべてを動かすのに必要な計算能力を持つコンピューターが必要だからだ。このような技術は、一般的な自動車メーカーの手に負えないため、自動車会社がIntel(インテル)やQualcomm(クアルコム)、そしてNVIDIAなどの企業に、現在の自動車市場に対応するために必要なツールの開発と統合を依頼することが増えているのだ。

その結果、少なくともNVIDIAにとっては、今後6年間で110億ドル(約1兆3300億円)を超える自動車関連企業とのパイプラインができた。わずか1年前の80億ドル(約9700億円)からそれだけ増加したと、NVIDIAの自動車担当バイスプレジデントのDanny Shapiro(ダニー・シャピロ)氏は述べている。DeepRoute.ai(ディープルートAI、元戎啓行)やWeRide(ウィーライド)など、自動運転関連のスタートアップ企業も、NVIDIAのDrive Hyperionエコシステムに参加することを発表しており、NVIDIAのリーチはさらに拡大している。

BYDは、現在提供されている「DRIVE Hyperion 8」アーキテクチャを使って、次世代の「新エネルギー車」を2023年初頭から製造開始すると、3月22日に開催されたNVIDIAのカンファレンスで発表した。BYDによれば、同社は自動運転とインテリジェントなコックピット機能のための中央演算とAIエンジンとして、NVIDIAの「Drive Orin(ドライブ・オーリン)」車載用システムオンチップ(SoC)のみを使用するという。Orinは1秒間に最大254兆回の演算を可能とし、自動運転車で同時に実行される大量のアプリケーションとディープニューラルネットワークを処理できるように設計されている。BYDは、Hyperion 8が提供するソフトウェアやセンサー類を使用するかどうかなど、さらなる詳細についてはまだ明らかにしていない。

Lucid Groupは同じカンファレンスで、同社の先進運転支援システムである「DreamDrive Pro(ドリームドライブ・プロ)」がNVIDIAのDRIVEプラットフォーム上で構築されていることを明らかにした。現在路上を走っているすべての電気自動車セダン「Lucid Air(ルシード・エア)」には、LucidのADASに統合されたNVIDIAのSoCが搭載されているが、この自動車メーカーは現在も自社製のソフトウェアスタックを使用しており、自動運転とインテリジェント・コックピット機能のために、14台のカメラと1基のLiDAR、5基のレーダー、12個の超音波センサーからなるセンサー群に頼っている。Lucidは、将来の製品についてNVIDIAとさらに協業することを計画しているが、現時点では詳細を公表していない。

NVIDIAのハードウェアとアーキテクチャでシステムを構築することで、これらの自動車メーカーは、NVIDIAが将来的に性能を向上させた際には、Over-the-Air(無線経由)ソフトウェアアップデートで車載機能を強化することが可能になると、NVIDIAは述べている。

「Lucid Airにプログラマブルで高性能なコンピュート・アーキテクチャを採用することで、この自動車メーカーはNVIDIA DRIVEのスケーラビリティを活用でき、モデル数の増加にともなって常に最新のAI技術を取り込むことができます」と、NVIDIAは声明で述べている。

次世代のNVIDIA DRIVE:Hyperion 9

2021年11月、NVIDIAの秋のGTCイベントで、創業者兼CEOのJensen Huang(ジェンスン フアン)氏は、2024年型の車両向けにHyperion 8の提供を開始すると発表した。そして3月22日、フアン氏は2026年に出荷を開始する車両向けとなる新世代アーキテクチャ「Hyperion 9」を発表した。

Hyperion 9はセンサー群の一部として、14台のカメラ、9基のレーダー、3基のLiDAR、20個の超音波センサーを備えるという。先代の12台のカメラ、9基のレーダー、1基のLiDAR、12個の超音波センサーからさらに増えていることがわかる。

「クルマの周りで起こっているすべてのことについて、実に多様で冗長性のある視点を得ることができます」と、シャピロ氏はTechCrunchによるインタビューで語っている。「また、これにはAtlan(アトラン)が採用されます。我々のロードマップではOrinの後継として求められているため、Atlanは追加されたセンサーから入ってくるすべてのデータを処理できる、より高性能なSoCになるでしょう」。

画像クレジット:NVIDIA

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(文:Rebecca Bellan、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

マセラティが同社初の電気自動車「グレカーレ」を発表、発売は2023年

イタリアの高級車ブランドであるMaserati(マセラティ)は、同社初となるオール電動車のプロトタイプを、現地時間3月22日に発表した。この「Grecale(グレカーレ)」と呼ばれる中型クロスオーバー車は、2030年までに完全に電気自動車へ移行するという同社の計画の第一歩となる。

グレカーレは、ガソリンエンジン車と電気自動車の両方が発売される。エンジン車は2022年後半に発売、そしてマセラティの新しい電気自動車ラインナップであることを表す「Folgore(フォルゴーレ、イタリア語で『雷光』という意味)」の名称が与えられたバッテリー駆動EVの方は、2023年に市場に投入される予定だ。

この二本立ての戦略により、マセラティは強力な内燃機関に対するこれまでの高い評価を維持し続けることが可能になる。グレカーレの最上級仕様「Trofeo(トロフェオ)」は、マセラティのスーパースポーツカー「MC20」用エンジンをベースにした最高出力530馬力のV6ツインターボ・ガソリンエンジンを搭載する。なお、そのMC20にも近々バッテリー駆動の電気自動車バージョンが追加されることになっている。

グレカーレ・フォルゴーレは、マセラティが全電気自動車ブランドとなることを目指すロードマップの中間地点として、2025年までに発売を計画している6車種のEVの中で最初のモデルである。

マセラティのフォルゴーレ・ラインナップは、2023年にまずグレカーレのEVバージョンがデビューし、続いて2ドアクーペ「Granturismo(グラントゥーリズモ)」とコンバーティブル「Grancabrio(グランカブリオ)」の電気自動車が登場する。そして2025年までにMC20のEVバージョンが加わり(コンバーティブルも追加される予定)、さらに次世代型にモデルチェンジする4ドアセダン「Quattroporte(クアトロポルテ)」とSUV「Levante(レヴァンテ)」も電気自動車となる予定だ。

地中海の風にちなんで名づけられたグレカーレは、この自動車メーカーにとって2台目のユーティリティビークルとなる。2017年にデビューした大型SUVのレヴァンテは、同ブランドの売上の60%を占めている。グレカーレは、高級SUVと電気自動車の両方に対する消費者の需要の高まりに応えられるため、同ブランドのトップセラーになることが期待されている。

マセラティは、グレカーレ・フォルゴーレの価格や推定航続距離の数値を公表していない。だが、この新型車に関するいくつかの特徴を明らかにした。車内には12.3インチのタッチスクリーンと8.8インチのディスプレイを装備し、14または21スピーカーのSonus faber(ソナス・ファベール)製サウンド・システムが(グレードによって)搭載されるとのこと。また、同社によれば「セグメントトップレベル」のキャビンスペースとカーゴスペースを備えているという。

先に、マセラティのDavide Grasso(ダビデ・グラッソ)CEOは、電気モーターの音のチューニングに1年半以上を費やしていると語った。

「マセラティ・サウンドは、常にブランドと製品を定義する非常に重要な要素です」と、グラッソ氏は語り「要求されるものが多いプロセスですが、実際に私はその成果にとても興奮しています」と続けた。

マセラティの親会社で、Fiat-Chrysler(フィアット・クライスラー)とPSA Group(PSAグループ)の合弁会社であるStellantis(ステランティス)は、2030年までに世界で500万台のEVを販売するという目標を掲げている。このイタリアの自動車メーカーがバッテリー技術に注力するのはそのためだ。ステランティスは、米国で販売する車両の半分をEVに移行させ、欧州では完全な電気自動車メーカーになるという目標を達成するために、75車種を超えるバッテリー電気自動車の販売を計画している。

画像クレジット:Stellantis

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(文:Jaclyn Trop、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

キャデラックが同ブランド初のEV「LYRIQ」の生産を開始

Cadillac(キャデラック)は米国時間3月21日、同社初の電気自動車で6万ドル(約720万円)のクロスオーバー車「LYRIQ(リリック)」の生産を開始した。米国では5月19日に受注が始まる。

General Motors(ゼネラルモーターズ)の高級ブランドであるキャデラックは、2030年までに展開を予定しているバッテリー電気自動車ラインナップの最初のモデルとして、このSUVに大きな期待を寄せている。このクルマに対する需要の大きさから、キャデラックは予定していた2022年の生産台数を3200台から2万5000台に増やし、量産モデルの公開を9カ月早めることにした。

これはGMにとって心強い兆候だ。同社は今後3年間に全世界で30車種の新型EVを投入するために350億ドル(約4兆2000億円)を投資すると発表しており、その中から20億ドル(約2400億円)を、テネシー州スプリングヒルの製造施設(同社の北米最大の製造施設)に投じて、LYRIQやその他のEVを製造する準備を進めている。

この投資は、Tesla(テスラ)やVolkswage(フォルクスワーゲン)などの巨大なライバルに対抗するためのGMの全体戦略の一部だ。フォルクスワーゲングループは電動化を含む将来に向けた技術に1000億ドル(約12兆円)を投資すると発表している。しかし、半導体や電池のサプライチェーンの停滞が、世界的なEV生産の妨げになっている。

GMが今後投入するモデルは、LYRIQをはじめとする同社のEVを支える「Ultium(アルティアム)」バッテリープラットフォームがベースになる。このモジュラーアーキテクチャーは、19種類の仕様が異なるバッテリーと駆動方式の車両を製造でき、GMのバッテリーエレクトリック事業の拡大とコスト削減に貢献することになる。

スプリングヒル工場では、LYRIQの他「キャデラック XT5」および「XT6」「GMC Acadia(GMC アカディア)」など、内燃エンジンを搭載するSUVも生産している。GMのMark Reuss(マーク・ロイス)社長は21日、オンラインで行われたメディアへの説明会で、この工場の組立ラインにEVを増やすと述べたが、この工場がいつ、EVのみを生産するようになるのかについては、コメントを避けた。

「私たちには、どちらの道も進むことができる柔軟性があります」と、ロイス社長は語った。「私たちは完璧なところにいます。内燃機関も製造できるし、EVも製造できます。そして市場に追従することができます」。

画像クレジット:GM

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(文:Jaclyn Trop、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

中国のEVスタートアップたちが投資ゲームに参戦

中国で繰り広げられている自動車関連スタートアップを対象とした投資ゲームは、既存のベンチャーキャピタル会社だけでなく業界のベテランも参加し、競争が激化している。最近、新規ラウンドを完了したモビリティに特化した2つのファンドには、中国を代表する新参の電気自動車メーカーが参加している。

ベンチャーとグロースステージ向けの新しい投資ビークルのRockets Capital(ロケッツ・キャピタル)は、3月初めに2億ドル(約240億円)の初のファンドのクローズを発表し、電気自動車メーカーのXpengがアンカーインベスターを務めた。他の投資家はIDG Capital、Sequoia China、GGV Capital、5Y Capital、eGardenなど中国の大手機関投資家だ。このファンドは、自動車産業のバリューチェーン、クリーンエネルギー、その他の「フロンティアテクノロジー」分野でのビジネスチャンスを探している。

もう1つの大きなクローズは、Nio Capital(ニオ・キャピタル)の申し込み超過となった4億ドル(約480億円)の2回目の米ドル建てファンド「Eve ONE Fund II」だ。投資家は政府系ファンド、保険会社、多国籍金融機関、ファンド・オブ・ファンズ、ファミリーオフィス、年金基金、財団など世界各国から集まっている。

Nio Capitalは、ファンドの名前にもなっているが、XpengのライバルであるNioの創業者William Li(ウィリアム・リ)氏が立ち上げた会社だが、この投資機関はNio自体とは直接の関係はない。人民元建てファンドを米ドル建てファンドとともに運用し、自動車、テクノロジー、エネルギー分野に特化している。

Rockets Capitalは、EV投資家との関係をより公にしている。独立した投資会社として活動する一方で、Xpengの「業界の専門知識とリソース」を活用し「技術革新のインキュベーション」を行う。明言されているミッションを考えると、Rocketsの将来の投資先にもXpengと取引や提携をする企業があってもおかしくはないだろう。

2016年に設立されたNio Capitalは、投資分野では先行している。中国における同社の注目すべき取引には、Bosch(ボッシュ)が支援するMomenta(モメンタ)トヨタが支援するPony.ai(ポニーエーアイ)という2つの大手ロボタクシー企業、それからTemasek(テマセク)が支援するライダーメーカーInnovusion(イノビュージョン、Nioのサプライヤーの1社でもある)、BPが支援するバッテリー交換のAulton(オールトン)、自動車チップメーカーBlack Sesame(ブラックセサミ)などがある。

過去数年間、Nio Capitalは中国の自動車産業における新進気鋭のプレイヤーたちとともに、自らの周りに要塞を築いてきた。Rockets Capitalとその後援者XpengがどのようにNio Capitalに追いつき、市場を再構築するためにどのような提携を結ぶことができるか、注目だ。

画像クレジット:Getty Images

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(文:Rita Liao、翻訳:Nariko Mizoguchi

マスク氏、テスラ事業を「極限サイズ」まで拡大する計画を明かす

Elon Musk(イーロン・マスク)氏は、Tesla(テスラ)初の欧州工場の開所を翌日に控えた現地時間3月21日、Twitterで同社の「マスタープラン・パート3」の発表を予告し、同社の事業を「極限」まで拡張する計画を示唆した。

マスク氏は同日、同社の長期計画の次の内容を支えるテーマ、すなわち人工知能と自動車メーカーの事業規模の拡大をTwitterで明らかにした。

「Teslaの主なテーマは、人類を化石燃料から解放するために必要な極限規模への拡大とAIです」とマスク氏はツイートした。「しかし、SpaceX(スペースエックス)、Tesla、The Boring Company(ザ・ボーリング・カンパニー)に関する項目も盛り込む予定です」。

この計画は、Teslaにとって「極限サイズ」がどのようなものかを詳述し、世界的なパンデミックとサプライチェーン逼迫の中で製造とサプライチェーンを拡大するための同社の戦略を概説する可能性がある。

同社は3月22日に欧州初の工場を開設し、そこで生産された初の量産車を引き渡す予定だ。50億ドル(約5970億円)を投じて建設したベルリンの工場では、欧州最大の自動車メーカーVolkswage(フォルクスワーゲン)と同社の1000億ドル(約11兆9500億円)ものEV投資に対抗するために、年50万台超の電気自動車を生産する予定だ。

Teslaは先週、中国のオミクロン新規感染者数の増加とサプライチェーンの制約を受けて、24時間稼動の上海ギガファクトリーを2日間閉鎖した。同工場は1日あたり約2000台を生産し、相当数のModel 3とModel Yを欧州に輸出している。

「マスタープラン」の第1章と第2章は、同社の製品と技術の開発に関する正確なロードマップであることが証明された。第1章は「The Secret Tesla Motors Master Plan(秘密のTesla Motors マスタープラン」と題した2006年のブログ投稿でTeslaの概念実証の概要を示した。

その10年後、「パート2」として更新されたマスク氏のマスタープランは、バッテリーストレージの開発、バッテリー電動ピックアップトラックとSUVを含む新モデルの発売の計画についてだった。第2章が終わりに近づいた今、マスクはTwitterでテスラの次の章を予告し始めた。

また、マスタープランがマスク氏の各会社に焦点を当てるのは今回が初めてで、同氏が親会社を作ってすべての会社を1つ屋根の下に置くつもりではないかとの憶測を呼んでいる。しかし、ツイートでのSpaceとThe Boring Companyへの言及は、将来における両社のコラボレーションを暗示している可能性もある。

画像クレジット:ROBYN BECK/AFP / Getty Images

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(文:Jaclyn Trop、翻訳:Nariko Mizoguchi

ポルシェが、独自のEV充電ステーション網を構築すると発表

Porsche(ポルシェ)は、2023年より独自に世界的な専用充電ステーションのネットワークの構築を開始すると発表した。これは他社との提携に依存するとしていた当初の戦略から逸れることを意味する。

同社の年次総会で明らかにされたこの計画は、ポルシェが電気自動車のラインナップ拡大に向けて準備を進めていることを受けたものだ。同社は2025年までに、現在の「Taycan(タイカン)」以外に少なくとも2モデル「Macan(マカン)」と「718」の電気自動車を市場に投入する予定だ。

ポルシェブランド初の充電拠点は、来年よりまずはドイツ、スイス、オーストリアの需要の高い地域に建設される予定だと、同社幹部は述べている。

しかし、ポルシェのビジョンは単なる充電ポートに留まらない。プレスブリーフィングで詳細を語ったOliver Blume(オリバー・ブルーメ)CEOとLutz Meschke(ルッツ・メシュケ)取締役会副会長によると、充電ステーションにはラウンジのような施設が備わり、バッテリーを充電しながらコーヒーを飲んだり、仕事をしたりできるようになるという。

「充電だけでなく、お客様の利便性を高める方向に持っていきます」と、メシュケ氏はいう。「クルマの電動化に集中するだけではなく、クルマに留まらないカスタマージャーニーにも力を入れることが、私達にとって非常に重要なのです」。

ポルシェはまず欧州市場に注力する予定だが「特別なサービスを提供し、公共の充電インフラをサポートできる」中国や米国への拡大も検討していると、ブルーメ氏は述べている。

ポルシェは、欧州最大の急速充電ネットワークを擁する複数の自動車メーカーによる合弁事業、IONITY(アイオニティ)との提携も継続する。IONITYは、現在400カ所の充電ステーションを、2025年までに1000カ所まで拡大することを計画している。

「私たちは、パートナーと共同でプレミアム充電ステーションに、そして私たち自身の充電インフラに投資しています」と、ブルーメ氏は述べている。

ブルーメ氏は、ポルシェが建設を計画しているステーションの数、開設までのタイムライン、コストに関する数字を示すのは、時期尚早であるとした。しかし、同氏のコメントは、同社がこのプロジェクトへの投資に熱心であることを示唆している。

世界のEV市場が軌道に乗る準備を進める中「今後数年間は、このための迅速な増強が非常に重要であり、ゆえにポルシェは多額の投資を行っています」と、同氏は付け加えた。

ポルシェの取り組みは、この分野で先行するTesla(テスラ)に倣ったものだ。テスラは2500以上の拠点に約3万台のSupercharger(スーパーチャージャー)と呼ばれる急速充電器を備えた独自のグローバルネットワークを構築している。最近では、オランダをはじめとする欧州数カ国で、このネットワークを他メーカーの電気自動車にも開放し始めた。Rivian(リヴィアン)も独自の「アドベンチャー」ネットワークを構築しているが、同社はその充電システムに、近年欧州や米国で普及しているオープンな国際規格であるCCS(Combined Charging System、通称コンボ方式)直流コネクタを採用している。このため、CCS規格を持つ他の電気自動車も、ソフトウェアでブロックされる可能性はあるものの、理論上はRivianのネットワークを利用することができる。Rivianは2023年末までに、米国とカナダの600カ所以上に3500基の急速充電器を増設することを計画している。

ポルシェは今後もIONITYとの提携を支援しながら、米国では46州とワシントンD.C.に670基の充電ステーションを持つElectrify America(エレクトリファイ・アメリカ)ネットワークの利点をアピールしていく。しかし、ポルシェ独自のネットワークを持つことによって、顧客体験と充電ステーションの品質を、自社で直接コントロールすることが可能になる。同社の広報担当者によると、この戦略は既存の急速充電インフラの欠落部分を埋めるためのものであるという。

ポルシェと同じくVolkswagen(フォルクスワーゲン)グループ傘下のAudi(アウディ)もまた、2階建てのラウンジのようなコンセプトの試験運用を欧州で開始している。この充電ステーションでは、顧客は下でクルマを充電しながら、上階で寛ぐことができるようになっている。

画像クレジット:Porsche

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(文:Jaclyn Trop、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

ポルシェがミドエンジンスポーツカー「718」を2025年までに電気自動車にすると発表

Porsche(ポルシェ)のモータースポーツの歴史を現代に伝えるミッドエンジン・ロードスター「Porsche 718(ポルシェ718)」は、2025年までに完全な電気自動車として生まれ変わる予定だ。

ドイツ時間3月18日に、ポルシェの年次総会で予告されたこの718 EVは、同社の野心的で最近拡大されたラインナップ電動化計画の一部だ。同社はこの日、2030年までに新車販売の80%を電気自動車にしたいと述べている。

「世界の各地域によって変革のスピードは異なるため、我々は非常に柔軟なエンジン戦略を持っています」と、ポルシェのOliver Blume(オリバー・ブルーメ)CEOは語った。「我々が目指すのは、エモーショナルな内燃エンジン、パワフルなプラグインハイブリッド、スポーティなハイブリッド、そして完全な電気自動車です」。一部のモデルはさまざまなパワートレインを並行して提供すると、同氏は付け加え「911」には今後も内燃機関を搭載していくことを強調した。

ポルシェ718EVは、2019年にデビューした「Taycan(タイカン)」、近々登場が予定されている次期型「Macan(マカン)」に続く、ポルシェのラインナップで3台目の完全電気自動車となる。

この新たに掲げられた販売目標は、タイカンとその多数の派生車種の人気を上昇させるだけでは達成できない。完全電気自動車のマカンと718 EVがその隙間を埋めることになると、同社の幹部は年次総会前のブリーフィングで述べた。同社はこの日、独自のEV充電ステーション網の構築が計画に含まれていることも明らかにした。このポルシェ専用の充電ステーションは、バッテリーの充電を待つ間、顧客は仕事をしたりコーヒーを飲んだりできるラウンジのような場所を備えるという。

次期型マカンのEVは、これまでの計画通り、まずは2023年に欧州で発売され、続いて2024年に米国へ導入される予定だ。ブルーメCEOによると、718 EVは2025年にデビューする予定だという。マカンEVは、ポルシェとAudi(アウディ)が2018年に共同で開発に着手した電気自動車用アーキテクチャ「PPE(Premium Platform Electric)」プラットフォームがベースとなる。

ポルシェは718EVのために特別な構成を開発しており、タイカンのような800ボルトのシステム電圧も採用し、業界屈指の高速充電を可能にするとブルーメ氏は付け加えた。

ポルシェは、象徴的スポーツカーである911のハイブリッドモデルも製造する予定だと述べている。これはプラグインハイブリッドではなく、ル・マン24時間レースで優勝した「Porsche 919 hybrid(ポルシェ919ハイブリッド)」のテクノロジーを受け継ぐスポーティなハイブリッドになるという。

画像クレジット:Porsche

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

マセラティ、2025年までに6車種の電気自動車を市場に投入

イタリアの高級車ブランド、Maserati(マセラティ)は、2025年までにラインナップの各モデルに電気自動車バージョンを導入し、2030年までには内燃エンジンの廃止を計画している。これによって同社は、Aston Martin(アストンマーティン)からVolvo(ボルボ)まで、電気自動車への移行を公約に掲げる自動車メーカーの長いリストに加わる最新のブランドとなった。

マセラティは2023年に、3車種のバッテリー駆動電気自動車を発売する予定だ。次世代型の2ドアクーペ「Granturismo(グラントゥーリズモ)」とコンバーティブルの「Grancabrio(グランカブリオ)」、そして新型ミッドサイズSUV「Grecale(グレカーレ)」のEVバージョンである。さらに2025年までに、スーパースポーツカー「MC20」と、次世代にモデルチェンジする4ドアセダン「Quattroporte(クアトロポルテ)」およびSUV「Levante(レヴァンテ)」にEVが登場する。つまり、2025年までにマセラティは、全部で6車種のEVを提供することになるわけだ。

3月22日に発表イベントが予定されているグレカーレは、現行のレヴァンテに続くマセラティのSUVだ。レヴァンテは、現在マセラティのラインアップで唯一のSUVだが、同社の売上の60%近くを占めている。グレカーレは、EVと高級SUVに対する消費者の需要の高まりに対応することで、市場のスイートスポットを突く可能性がある。

マセラティのクルマは、今後もイタリアで生産が行われる予定だ。マセラティの親会社で、Fiat-Chrysler(フィアット・クライスラー)とPSA Group(PSAグループ)の合弁会社であるStellantis(ステランティス)は、積極的に電動化を推進している。このコングロマリットは、2030年までに全世界で500万台のEVを販売するという目標を掲げ、そのために75車種以上のバッテリー電気自動車を用意する計画を立てている。

マセラティのDavide Grasso(ダヴィデ・グラッソ)CEOは、これらマセラティの新モデルが親会社の他の車種とプラットフォームを共有するかどうかについては明言を避けた。

「もちろん、ステランティスの中で、私たちは多くの機会を持つビッグファミリーの一員です」と、グラッソ氏は語った。「マセラティがパフォーマンスとラグジュアリーの象徴であることは明らかであり、それは将来も確実に守られていくはずです。電動化に向けて、マセラティでは最高の航続距離とパフォーマンスの実現に焦点を当てた専用アーキテクチャを、より多く目にすることになるでしょう」。

グラッソ氏によると、マセラティは今のところ、Formula One(フォーミュラ・ワン、F1)から距離を置き、自動車メーカーがバッテリー技術をテストするために役立つ電気自動車レースシリーズのFormula E(フォーミュラE)に集中するという。「今はフォーミュラ・ワンの参戦は計画していません。しかし、今後も絶対にないとは言いません」。

画像クレジット:Maserati

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(文:Jaclyn Trop、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

テスラが上海ギガファクトリーを2日間閉鎖、新型コロナ感染者急増で

中国のオミクロン感染者数が増加し、政府が現地での規制を強化する中、電気自動車メーカーのTesla(テスラ)は上海ギガファクトリーを2日間閉鎖する。

ロイター通信によると、Teslaは米国時間3月16日、従業員とサプライヤーに工場閉鎖を知らせる通知を送付した。

Teslaは、16日と17日に生産を停止する理由を明らかにしていない。しかし、世界二大自動車メーカーのトヨタとVolkswagen(フォルクスワーゲン)も今週、新型コロナウイルス感染者が中国で増加し、政府がその急増を抑制するために追加の規制を行ったため、現地での操業を一時停止している。Teslaの生産停止はそうした中でのものだ。

また、サプライチェーンの制約が操業停止につながっている可能性もある。

24時間稼働する工場はTeslaのグローバルな事業、そして収益にとって重要な役割を担っている。Teslaの工場の中で生産台数が最も多い上海ギガファクトリーは、かなりのModel 3およびModel Yを欧州に輸出している。同工場は1日あたり約2000台を生産しているため、2日間の操業停止でも同社の生産台数は激減し、納品がさらに遅れる可能性がある。

中国では新型コロナが再び急増し、2022年1~3月の感染者数は2021年の総数を上回った。1日あたりの新規感染者数は、2020年3月にパンデミックが発生して以来の水準に達しようとしている。

パンデミックを通じて、中国政府は感染を封じ込めるために集団検査と隔離を実施してきた。

画像クレジット:Getty Images

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(文:Jaclyn Trop、翻訳:Nariko Mizoguchi

メルセデス・ベンツが2023年型SUV「EQS」のインテリアを公開

4月19日の正式デビューに先駆け、メルセデス・ベンツは2023年型SUV「EQS」のインテリアを初公開した。写真からわかるように、メルセデスはインテリアデザインを一新したわけではない。これまでと同様、最も目を引くのは、フロントキャビンの幅一杯に広がる56インチのMBUXハイパースクリーン(オプション)だ。12.3インチの有機ELディスプレイが組み込まれ、車の走行中に助手席で映像コンテンツを視聴することができる。ドライバーがディスプレイを覗き込んだことを車載カメラが検知した場合、自動的に画面が暗くなり、ドライバーの視線を道路に集中させる。

メルセデス・ベンツ 2023年型SUV EQSのインテリアキャビン

キャビンには、ウッドとレザーの両方が取り入れられて、「ラウンジのような雰囲気」が演出されている。顧客は7種類の色の組み合わせでインテリアをカスタマイズすることが可能だ。また、オプションで3列目シートと電動調整式の2列目シートを提供することで、EQS SUVは最大7人の輸送を可能にする。その他の注目機能には、ドルビーアトモスサウンドシステムや、花粉やホコリの侵入を防ぐHEPAフィルターを組み込んだエアフィルターシステムなどがある。

また、メルセデスは米国時間3月16日、アラバマ州ビブ郡に新たに開設する電池工場でSUVのEQS(およびSUVのEQE)用電池を製造し、最大600人の雇用を創出すると発表した。同社は、アラバマ州タスカルーサ近郊に昔からある工場で同車の組み立てを行う予定だ。

画像クレジット:Mercedes-Benz
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(文:Igor Bonifacic、翻訳:sako)