Facebookが10億以上のユーザーの顔認識データを削除する

社名を変えてからわずか数日後にFacebookは、この世界最大のソーシャルネットワークが10億以上の人びとに関して集めた、いちばん心配なデータ集合を削除する計画を発表した。

火曜日のブログでFacebookの、その名も新たな親会社Metaは、同社の顔認識システムの部門を閉鎖し、顔を写真とビデオで突き合わせるために使っていた10億あまりの顔認識テンプレートの集まりを削除する、と説明した。Facebookは今後、このシステムにオプト・インしていたユーザーのマッチングを行わない。

Facebookは、写真に名前を自動的にタグ付けするために2010年に顔認識を導入した。この機能はローンチ時に自動的に有効になり、Facebookは2019年にやっと、システムを明示的にオプトインにした。それにより、同社が10億を超える顔認識プロフィールをどうやって編纂していたかも明らかになった。

ブログでFacebookの人工知能担当副社長Jerome Pesenti氏がこう述べている: 「今後に関しても、顔認識技術が強力なツールであるという認識は持ち続けるだろう。たとえば、人びとのアイデンティティを確認する必要があったり、詐欺やなりすましを防がなければならない。しかし、顔認識が役に立つ多くの具体的な事例は、この技術全体に対する懸念の高まりと比較して、その重要性の軽重を秤にかける必要がある」。

Pesenti氏によると、Metaの顔認識を制限するという決定により、顔認識技術を取り巻く環境が不確定になり、ごく一部のアプリケーションしか使えなくなるだろう、という。

現時点では、Facebookの顔認識システムはおそらく、その価値よりもトラブルの方が大きい。米国における、オンラインのプライバシーを規制する多くの提案は、その多くが、特に国のレベルでは仮説にとどまっており、既存の法律では、顔認識技術の利用が一層複雑になるだろう。たとえばイリノイ州のプライバシー法Biometric Information Privacy Act(BIPA)は、一部のテクノロジー大手の動きを制約しようとしている。

今年の初めにはFacebookがBIPAにより、イリノイ州民の写真を同意なく顔認識を使って同定したとして、6億5000万ドルの支払いを命じられた。議論を招いている顔認識企業Clearview AIも現在、同州でBIPAの訴訟に直面している。またFTCは、Facebookの顔認識の利用を欺瞞的なプライバシー実践と呼び、50億ドルという記録破りの、強制力を欠く調停案を提示している。

顔認識から撤退するFacebookの決定は、同社のメタバースをめぐる大きな社名変更と期を一にする象徴的なジェスチャーだ。Facebookのプライバシーとモデレーションの失敗に関するコンセンサスは、同社のビジネスにまったく傷を与えていない。しかし同社の次の章が社名変更であろうとなかろうと、それに続くものは大衆の不信と迫り来る規制だ。

今やMetaという名前で知られるようになった企業が自分を、次のインターネット時代における信頼される奉仕者として立て直そうとしているが、そのためには自身の努力が必要だ。これまでのプライバシーの汚名から、一部の重荷を捨てる試みは、狡猾なそぶりだ。それは、ユーザーの究極の勝利でもある。その突然の心変わりを、誰も買わないだろうが。

関連記事: フェイスブックがイリノイ州のプライバシー保護法をめぐる集団訴訟で約694億円支払う

関連記事: フェイスブックが「Meta」に社名変更、メタバースを中核事業に

(文:Taylor Hatmaker、翻訳:Hiroshi Iwatani)
画像クレジット: Kelly Sullivan/Stringer / Getty Images

[原文へ]

マイクロソフトは顔認識技術を米麻薬取締局に販売しようとしていた

最近公表されたメールによると、Microsoft(マイクロソフト)は2017年に米麻薬取締局(Drug Enforcement Administration、DEA)に、同社の顔認識技術を販売しようとしていた。

米国自由人権協会(American Civil Liberties Union、ACLU)はそのメールを、10月に提訴した記録の公開をめぐる訴訟の過程で入手(PDF)した。その訴訟は、顔認識事業を取り巻くDEAの秘密主義に挑戦していた。ACLUは、メールをTechCrunchと共有した。

メールの日付は2017年9月から2018年12月までで、マイクロソフトがDEAの職員をバージニア州レストンのオフィスに秘かに招いて同社の顔認識技術をデモしたこと、のちにDEAがその技術を試験的に導入したことがわかる。

その頃、マイクロソフトの社長のBrad Smith(ブラッド・スミス)氏は、顔認識の使用を対象とする政府の規制を公開の場で求めていた(マイクロソフトブログ記事)。

しかしメールはさらに、DEAがその技術の購入に関して懸念を表明したことを示している。DEAは、FBIによる顔認識の利用が政府の監視の目に止まり(GAO記事)批判を招いた1件を危惧していた。

批判者は以前から「顔を対照させるこの技術は米国人のプライバシーの権利を犯し、またその技術は有色人種に対する異様なほど大きな偏向を示している」と主張していた。しかし、警察や公共の場などで顔認識が広く利用されるようになったにもかかわらず、議会は適切なタイミングで規制を導入することができず、技術は規制も監督機関もないまま放置された。

しかし、George Floyd(ジョージ・フロイド)氏の死に続いて米国内と全世界で起こった抗議運動により事態は変化し、法の執行と人種による不公平に、あらためて人々の注意が集まった。

マイクロソフトの営業がメールで、DEAの職員を同社のバージニア州レストンのオフィスに招待して同社の顔認識技術をデモしようとしているメール(出典:ACLU)

マイクロソフトは先週、国の規制が整うまでは顔認識技術を警察に売らないと発表した。その前にAmazon(アマゾン)は顔認証技術を警察に売ることを1年間留保すると発表し、抑制の口火を切った。IBMはもっと極端に顔認識事業から全面的に手を引くと発表した。一方で、マイクロソフトとアマゾンは「国の省庁やDEAのような機関には今後も売らない」とは言っていない

ACLUの主席弁護士であるNathan Freed Wessler(ネイサン・フリード・ウェスラー)氏は「ドラッグに対する人種差別的な戦いを率いる法執行機関に、マイクロソフトが危険な技術を売ろうとしただけでも十分に劣悪だが、今はもっとひどい。先週、顔監視技術を警察に売らないと遅まきながら約束したあとでさえ、同社はその技術をDEAのような国の機関に今後売るのか売らないのかを言おうとしない」と語る。

「米国の麻薬取締局の履歴を見れば、それだけでも厄介だが、もっとひどいのは、報道によると司法長官のBill Barr(ビル・バー)氏が司法省の監視権限を拡大しようとしていることだ。警察の虐待行為に抗議している人々を秘かに監視するなど司法の権力が濫用されるだろう」と同氏は付け加えた。

その後、一部の議員がDEAによる抗議者の秘かな監視を停止するよう要求(BuzzFeed News記事)したが、その権利は抗議活動が米国と世界に広がった6月初めに司法省が認めたもの(未訳記事)だ。

TechCrunchの質問に、DEAのスポークスパーソンであるMichael Miller(マイケル・ミラー)氏は回答を拒否した。マイクロソフトのスポークスパーソンは、コメントのリクエストに応じなかった。

関連記事:Decrypted: DEA spying on protesters, DDoS attacks, Signal downloads spike(未訳)

[原文へ]

(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

インド警察が顔認識技術を使って暴動の容疑者1100人を特定

インド警察当局は、先月首都デリーで住民同士の暴力事件に関わったとされる1100名以上の身元を顔認識を用いて確認した。米国時間3月11日に下院の閣僚が語った。

インドのアミット・シャー内相は、同国でこの種の捜査が行われたことを初めて認め、警察機関は顔認識システムを導入しており、政府発行の個人認証カードの画像を、10億人以上のインド人および運転免許取得者に発行された12桁のAadhaar(アドハー)番号とともに認識システムに入力し、「他のデータベース」を組み合わせて、2月25、26日にデリー北東部で起きた住民間暴力事件の容疑者特定に用いたと語った。

「これはソフトウェアである。信仰は見ない。衣服も見ない。見るのは顔だけであり、人物は顔によって捕らわれた」とシャー内相は語り、罪なき人々を顔認識による監視に巻き込まないよう政府に要請した人物の質問に答えた。

この発表によって、インド政府が顔認識技術をその利用方法を監視する規制がないままに導入を急いだことも露呈した。評論家らは、政府に技術の導入前に協議して法律を整備するよう要請した

「司法の許可なくアドハーをこの目的に使用することは、KS Puttaswamy対インド政府の最高裁判決に違反している」と、ニューデリー拠点のデジタル権利擁護団体であるInternet Freedom Foundation(IFF)は語った。同団体は顔認識技術の制度についても疑問を呈した。

政府がデリーで用いた顔認識システムは、当初は行方不明の子供を識別するためにデリー警察が導入した。「2019年、同システムの精度はわず1%で少年と少女の区別もできなかった」と同団体と語る。

「すべては明確な司法の承認なく実施され、プライバシー権利判決(2017年インド最高裁)にも違反している」とIFF代表のApar Gupta(アパル・グプタ)氏は非難した。「顔認識技術は未だに発展途上であり、そのような技術を警察活動に使用するリスクは重大である」と同氏は語る。

インドでは一部の警察機関が数年前から顔認識を利用している。1月と2月はじめに、ニューデリーおよびウッタル・プラデーシュ州の警察が、 新しい市民法に対する抗議活動の際に顔認識技術を使用した。同法はムスリムを排除するものであると批判されている。

画像クレジット:Anindito Mukherjee / Bloomberg

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

顔認識スタートアップのClearview AIがイリノイ州法違反で集団訴訟に発展

つい2週間前、Facebookは米国イリノイ州のプライバシー法違反を巡る裁判で和解に達した。和解金は5.5億ドルという巨額だった。そして米国時間2月14日、数百万件のデータのスクレーピングと分析を行っていることを臆することなく認めて物議を醸しているスタートアップのClearview AIが、同様の違反行為で新たな訴訟の標的になった。

今年Clearviewは、Twitter、Facebook、Instagramなどの公開データを大規模に濫用することを前提としたビジネスモデルで波紋を呼んだ。もしあなたの顔がウェブスクレーパーや公開APIから見えるところにあれば、Clearvierはそれをすでに手に入れているか、なんとかして手に入れて顔認識システムに送り込んで分析する。ひとつだけ問題がある。その行為はイリノイ州では違法であり、無視すれば危険を招くことをFacebookは知った。

関連記事:Facebook will pay $550 million to settle class action lawsuit over privacy violations

2月13日に起こされたその訴訟は複数のイリノイ州民を代表するもので、「Clearviewは原告の生体情報(イリノイ州住民ほぼすべての生体情報だった)を積極的に収集、保存、および利用し、通知することも、書面による了解を得ることも、データ保持ポリシーを公表することもなかった」と主張している。Buzzfeed Newsが最初に報じた。

それだけではない。その生体情報は多くの警察機関にライセンスされ、その中にはイリノイ州自身の警察も含まれている。これらはすべて、2008年に制定された生体情報プライバシー法に違反している疑いがある。同法は驚くほど将来を見据えたもので、別の裁判を戦ったFacebookを含む、これを骨抜きにしようとする業界の試みに対する抵抗力もある。

Clearviewの拠点があるニューヨークで提訴された本訴訟は、現在まだごく早い段階にあり、割り当てられた判事は1名のみで、召喚状が送られたのはClearviewおよび同社のサービスを警察機関に販売する仲介業者であるCDW Governmentだけだ。現時点で結果は予測できないが、Facebook裁判の成功とふたつの裁判の類似性、顔認識システムによる写真の無断自動使用を踏まえると想像はつく。

規模の予測は難しく、BIPA(生体認証情報プライバシー法)に保護されている写真の分析の数や方法については、Clearviewの発表に大きく依存している。仮にClearvierがイリノイ州市民の全情報を直ちに削除したとしても、過去の行為について責任を問われる可能性は高い。Facebookの判例で連邦判事は、「顔認識技術を使って了解なく(今回の争点である)顔テンプレートを開発することは、個人の私的生活と利益を侵害する」と裁定した。よって違法である。これは強固な前例であり、類似性は明白だ。ただし、否定されないという意味ではない。

訴状の全文も公開されている。

画像クレジット:Stegerphoto / Getty Images

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

プライバシーを侵害する顔認識に代わる方法を開発中のTraces AI

ここ数年でディープラーニング技術が進化し、防犯カメラが賢くなって追跡機能が向上したことはおそらく間違いない。しかし人物を追跡する方法には、私たちが思うよりも多くの選択肢がある。

Traces AI(トレースAI)は、Y Combinatorが支援する新しいコンピュータビジョンのスタートアップで、顔認識のデータに頼らずにカメラで人を追跡することに取り組んでいる。顔認識のデータは人々のプライバシーを侵害する度合いが大きすぎると、同社の創業者たちは考えている。同社の技術は、人の顔をフレーム内でぼかし、顔以外の物理的な特性で識別するものだ。

同社の共同創業者のVeronika Yurchuk(ヴェロニカ・ユーチャック)氏はTechCrunchに対し「外観から得られる様々なパラメータを組み合わせている。髪型、リュックの有無、靴の種類、服のコーディネートのデータを使うことができる」と述べている。

このような技術が、複数の日にわたって街全体で人を追跡するような場面にはスケールできないことは明らかだ。映画に出てくるジェイソン・ボーンのような犯罪者がジャケットを裏返しに着て野球帽をかぶれば検出されないかもしれない。人物を追跡したい人々が、ディストピアにならないようにするためだけに高精度の技術を使わない理由はあるだろうか?しかしTraces AIは、顔認識技術が常に最適のソリューションとは言えないと確信している。すべての顧客が顔の追跡を求める、あるいは必要としているわけではなく、ソリューションはたくさんあるはずだという考えだ。

同社の共同創業者のKostya Shysh(コスティア・シャイシュ)氏は筆者に対し「我々を否定する人の最大の懸念は『現在、まさに人々を守っている技術を禁止して明日の我が国を守るつもりか?』ということだ。これについて議論することは難しいが、我々が取り組んでいるのは、効果が高くプライバシーをあまり侵害しない代替手段の提案だ」と語った。

今年初め、サンフランシスコは政府機関に対し、顔認識ソフトウェアの使用を禁じた。ほかの都市も同じ選択をする可能性があるだろう。シャイシュ氏は、街全体で顔認識技術で監視をするデトロイトのProject Green Lightに対する反発についても強調した。

Traces AIのソリューションは、そもそも敷地内にいる人のデータが限られている、クローズドな場所にも適していると考えられる。シャイシュ氏は、アミューズメントパークの園内で少ないデータから迷子を見つけた例を紹介した。

「このような場合、人物について実際に言葉で説明することができる。『10歳の男の子が迷子です。青いズボンと白いTシャツを身につけています』と言えば、この情報だけで我々は探索を始められる」と同氏は言う。

プライバシーを重視できることに加え、この技術は人種の偏見を減らす効果もあるとシャイシュ氏は見ている。白人以外の人の顔の識別が苦手であることがわかっているコンピュータビジョンシステムは、誤った疑いをかけてしまいがちだ。

シャイシュ氏は「我々の技術では、データをクラウドに送信する前に実際に人の顔をぼかす。人種や性別による偏見も避けるための安全なメカニズムのひとつとして意図的にそうしている」と語る。

同社の共同創業者たちは、米国と英国は防犯カメラの台数が多いので最大のマーケットになるだろうと考えているが、日本やシンガポールといったアジアの国々ではマスクを着用することが多く、顔が隠れて顔追跡ソフトウェアの効果が相当低くなるので、こちらも有力な顧客として開拓している。

[原文へ]

(翻訳:Kaori Koyama)

Google Pixel 4は顔認証とレーダー利用の「モーションセンス」を搭載

 Googleの次世代スマートフォン、Pixel 4についてはだいぶ以前からリーク情報が出ていた。それに加えてGoogle自身が、発売直前のプレゼンですべてを明らかにする伝統的手法ではなく、外観写真など情報を少しずつ出すPR戦術を採用している。

米国時間7月29日、GoogleはPixel 4の新しいビデオクリップをYouTubeにアップした。実際に入手できるのは今秋になってからのはずだが、ビデオで紹介された「モーションセンス」と顔認証は魅力的な新機能だ。

「モーションセンス」はPixel 4がユーザーの手のジェスチャーを認識し、対応する動作をするというものだ。 音楽を聞いているならスキップして次の曲を再生したり、アラームをスヌーズさせたり、着信音を消したりできる。Googleによれば対応動作は今後拡大されるという。Pixel 4のモーションセンスはGoogleが開発したSoliをベースにしている。これはカメラではなくレーダーを利用して手のジェスチャーなどを認識するテクノロジーだ。

最初に発表されたのは20015年のGoogle I/Oカンファレンスだったが、しばらく音沙汰がなく、2016年のGoogle I/Oでいくつかの応用が発表された。ここでは指で時計のリューズを巻くジェスチャーなどの微細な動きを認識できることがデモされた。また今年1月には電波利用機器とし連邦通信委員会から認証を得ており、実用化が近いことが予測されていた。

Pixel 4はSoliテクノロジーを搭載する最初の商用プロダクトとなるが、Googleは「Piexe 4販売開始の際にSoliが搭載されるのは一部の国となる」と述べている。米国の場合と同様、各国でも電波利用機器としての認証を得る手続きが必要だからだろう。

Googleはまた顔認証によるロック解除機能も搭載する。これはAndroid OS自体でもサポートされていたが、Pixel 4の実装はこれまでとは大いに異なるようだ。これにもSoliテクノロジーが用いられている。ユーザーがデバイスに手をのばすとSoliがそれを認識して顔認識センサーを起動し、データが一致すればアンロックされる。つまりユーザーがスマートフォンを顔の前に持ってきたときにはすでにアンロック済みで、すぐに使える状態になっているわけだ。この自動アンロックシステムは他のアプリの認証にも利用できるという。

顔認証によるアンロックは支払いを含めて各種のAndroidアプリへのログインに用いることができる。またこうした顔認証はデバイス内で完結する。 これはAppleがFace IDで用いているのと似ているが、ユーザーのプライバシーを確保するために顔認識情報をデバイスの外に出さない仕組みだ。さらにセキュリティを確保するために、顔認識関連情報は他の情報と別個にTitan Mというカスタムチップ内に保管される。これもAppleのFace IDと同様のアプローチだ。

公開までだいぶ期間があったが、Googleでは6月に外観写真(あるいは写真的精細度のCG)を公開し、メインカメラが複数台になるなど新機能を見せて消費者の関心をかき立ててきた。今回のアップデートも同様のアプローチだが、使い勝手に関する重要な機能が明らかになった。これまでの例からするとプロダクトの最終的な発表は10月になる見込みだ。

原文へ

(翻訳:滑川海彦@Facebook

FBIと移民局は運転免許証の写真を顔認識に利用している

米国移民税関執行局は、21の州から提供された数百万枚の運転免許証写真に顔認識ソフトウェアを適用して、容疑者を探している。

FBIと移民当局が(しばしば捜査令状も裁判所命令もなしに)顔写真を利用して、犯罪容疑者だけでなく目撃者、被害者、あるいは無関係の傍観者も識別しているというニュースが先週末に報じられた。中には、当局担当者が州の運輸局にメールするだけで協力を依頼したケースもあった。

しかし、連邦議会も州議会もこうした写真の利用や捜査を認めていない。ある超党派議員グループは、顔認識の利用は市民のプライバシー権利を脅かすものであると批判している

ニューヨークやワシントンDCをはじめいくつかの州では、滞在許可証を持たない移民でも運転免許を取得できる。フロリダ、テキサスなどの州でも同様の規則の導入を検討している。

情報公開請求によって入手されたThe Washington PostおよびThe New York Timesの両紙が報じた文書には、プライバシー規約違反の状況が明らかにされている。2015~2017年の2年間にユタ州だけで、法執行機関により2000回近くの顔認識検索が行われた。

顔認識に議論があるのは、人種差別の恐れを指摘されていることだけではなく、精度の低さが大きな理由だ。FBIの顔認識データベースには6億4000万枚以上の画像が登録されているが、当局はシステムの「精度を維持するために必要な措置をとっていない」。

今年、9000人の移民局担当者が、60億台分の車両検知情報を含む自動車ナンバープレートの巨大データベースを利用可能であることが記録からわかった。データベースには関心の対象となっているナンバープレート1100枚以上の「ホットリスト」も入っており、ナンバープレートリーダーがそれらの番号を見つけるたびに、アラートが発行される。

現在数万台の自動ナンバープレートリーダー(ALPR)が全米各地に配置されている。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

警察用ボディーカメラのメーカーが顔認識を「使用しない」ことを決断

顔認識はそうでなくても十分賛否両論を呼ぶ話題だが、最近は多くの(ただし十分ではない)警察官がボディーカメラをつけて日々の警察活動を行っている。多くの警察用ボディーカメラを製造しているAxonは、独立調査機関に助言を求め、同機関の研究結果に基づき現時点では顔認識を行わないと決断を下した。

かつてTaserと名乗っていた同社は、「AIおよび監視技術倫理委員会」を昨年立ち上げた。さまざまな分野の専門家11名からなる同委員会が最初に発行した報告書は、主として顔認識に焦点を絞った内容だった。

助言内容は単純明快で「使うべきではない。少なくとも今、あるいは永遠に」。具体的な指摘は以下のとおり。

  • 顔認識技術は現時点で倫理的に使用できるほどよくできていない。
  • 「精度」に注目してはいけない。注目すべきは個々の偽陰性と偽陽性だ。そのほうが重要な意味をもつ。
  • 使用する顔認識モデルはカスタマイズできすぎてはいけない。悪用される恐れがある。
  • 顔認識アプリケーションは、その影響を受ける人々の明示的同意を得たときのみ起動すること。
  • 確実に利益がもたらされるという明確な証拠がない限り、顔認識システムの利用を検討すべきではない。
  • 顔認識技術は政治的空白や倫理的空白のもとで使用も存在もしてはならない。よって顔認識技術を開発し提供する際は現実の世界を考慮しなくてはならない。

報告書の全文はこちらで読める。前置きや内部の話が多いが、実内容は24ページから始まる。上にあげた項目についてそれぞれ数ページにわたって説明と事例が書かれている。

Axonはほぼ全面的に同意している。「報告書には顔認識技術に関する思慮深く実用的な助言が書かれており、当社も同意している。委員会の推奨に沿って、当面Axonは当社のボディーカメラで顔認識技術を商品化しない」

研究開発をやめたわけではない。思うに彼らの考えは、科学的な下支えがない限り、この技術が望まれる利益を生むことはない、ということなのだろう。報告書は、AI研究分野における最新のベストプラクティスを守り、システムに偏見や体系的な欠陥がないことを確実にするよう助言しているだけで、顔認識に反対しているわけではない。

これはあまり話題にならないことだが、顔認識(Face Recognition)と顔一致(Face Matching)には違いがある。前者は日常的な汎用的言い回しで、人々が侵略的で偏見があると考えるものであるのに対して、専門用語としての後者は意味が異なる。

顔認識あるいは顔検出は、写真に写っている顔の特徴を見つけるだけだ。スマートフォンがピントを合わせたり、エフェクトをかけるためなどに使われる。顔一致は、検出された顔の特徴をデータベースと比較して一致するものを見つける。スマートフォンをロック解除するために使うこともできるし、FBIが空港を出入りする全員を指名手配リストと比較することもできる。

Axonは顔認識と追跡技術を使って、警察のボディーカメラが撮影した膨大な時間のビデオを解析する。ビデオを証拠として使用するときは、直接関与する人の顔以外にはぼかしを入れなくてはならないが、どこに顔があるかわからないとそれができない(アップデート:当初この段落には、Axonが「顔一致の低機能版」を使っていると書かれていた。これは顔をデータベースではなくビデオ内に出現した顔とだけ一致を調べるともので、同社は「再識別」(Re-Identification)と呼んでいる。この技術は現在研究段階にあり商用には提供されていない)。

この利用形態に問題はないと思われるし、他にも正当な使い方がたくさんあることは間違いない。しかし、今後顔認識技術が主流になることを踏まえ、こうした倫理委員会を作って企業の善良な利用を推進するのはいい考えだろう。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Alcatraz AIは企業バッジを置き換えるFace ID的システムを開発中

Alcatraz AIをご紹介しよう。このスタートアップは企業に備えられたすべてのバッジリーダーを、彼らの開発したFace ID的カメラシステムで置き換えようとしている。Alcatraz(アルカトラズ)は顔を認識する複数のセンサーを統合し、ドアを手軽に解錠することができるシステムだ。

考えてみれば、携帯電話に指紋認証センサーが搭載されている時代に、皆がオフィスの出入りにプラスチックバッジを使っているのは奇妙な話である。確かに、セキュリティの高い建物では指紋と虹彩のスキャナが利用されている。しかしそれは、多くの場合に、あまりにも多大な面倒を引き起こす。

まず、皆がランチ休憩から帰ってきたときに、もし全員が指をセンサーの上に置かなければならないとしたら、オフィスの前に行列ができてしまうことだろう。第二に、新入社員を採用した際に、そのバイオメトリック情報をシステムに追加する必要があるが、これは大企業にとっては面倒な手続となる可能性がある。

Alcatraz AIは、顔認証を使って、より速いバッジ相当の体験を提供することを約束する。まず新入社員は、入社時に物理的なバッジも貸与される。そのバッジを使用した最初の数回で、Alcatraz AIは将来利用するモデルを生成するために、新入社員の顔をスキャンする。そして暫く使った後では、もうそのバッジはオフィスの中に置きっぱなしにして構わない。

同社は、3Dマッピング用に従来のRGBセンサーと赤外線センサーの両者を含む、3つの異なるセンサーが搭載されたカスタムハードウェアを開発した。顧客が初期費用を支払うと、Alcatraz AIが、そのバッジ/フェイスハイブリッドリーダーをインストールする。そして企業はその後、プラットフォーム使用料として年会費を支払う。

Alcatraz AIを採用した会社は、各種分析やリアルタイムの通知を受け取りつつ、他者のあとにくっついた不正入場を検出することも可能だ。もし誰かが秘密研究室に入ることを想定されていない場合、Alcatraz AIはそこに入ることを許可された誰かの後にくっつくことで侵入しようとしている人物を検出することができる。

ここでのアイデアは、利用のためのライセンスコストは、企業が守衛に支払っている金額を下回るはずだということだ。このスタートアップは、Hardware Club、Ray Stata、JCI Ventures、Ruvento Ventures、Hemi Venturesから、600万ドル(約6.7億円)近くを調達した。

[原文へ]

(翻訳:sako)

MyMeは会った相手全員を覚えてくれる――OrCamから顔と名刺を認識するウェアラブル・カメラ登場へ

テキスト読み上げテクノロジーを利用して視覚にハンディキャップのある人々向けのデバイスを提供しているスタートアップ、OrcamからMyMeというミニカメラが登場した。Tシャツの襟元にもクリップできる小型デバイスで、 ユーザーが会った相手をすべて記憶する。

MyMeはスマートフォンからカメラ部分を独立させたようなプロダクトで、OrCam独自の顔認識アルゴリズムにより、顔と名前を一致させてくれる。会議やカンファレンスで大勢の初対面の人に会うような場合はもちろん、日常生活でも大いに役立ちそうだ。

OrCamは数年前から視覚にハンディキャップがある人々向けのMyEyeを販売している〔MyEye2は日本でも販売中〕 。これはメガネにクリップするウェアラブル・デバイスだ。カメラとスピーカーが内蔵されており、ユーザーが指さした部分を読み上げてくれる。

OrCamはこうしたリアルタイムの画像認識テクノロジーの延長線上にあるプロダクトだが、一般ユーザーを対象にしている。OrCamの秘密は非常に小型軽量のボディーにMyEyeのOCR機能と顔認識機能を搭載したところにある。当然バッテリーも小型だが、処理はすべて本体内で実行され、クラウドへの接続は必要ない。

またOrCam MyMeは画像や音声を一切記録しないのでプライバシーに関する懸念は少ない。デバイスが顔を認識すると特徴を抽出してシグナチャーを生成し、マッチする記録があるかどうかチェックする。MyMeはスパイカメラではないので相手はレンズが自分の方を向いているのに気づく。人によっては多少違和感を感じるかもしれない。

ユーザーが初対面の誰かに会う(相手が一定の距離で正面に立つ)とMyMeはスマートフォンないしスマートウォッチに通知を送る。ユーザーは通知が来たデバイス上で名前を入力できる。次にその相手と会ったときに.MyMeはシグナチャーをチェックし会ったことがある相手だと通知してくれる。

相手が名刺をくれた場合、ユーザーはMyMeのレンズの前にかざせばよい。デバイスは自動的に名刺のデータと顔データを結びつけて記録する。

ユーザーは人々を家族、同僚、友達などに分類してタグづけできる。過去数週間に会った人の数をタグ別に知ることもできるのでワーク・ライフ・バランスも数字で分かる。

MyMeはまだ市販が開始されていないが、すでにKickstarterで800台以上の予約を得ている。OrCamでは熱心なユーザーによるコミュニティーを組織し、新たなユースケースの開発に役立てたい考えだ。

私(Dillet)は先週のCESで実機に触れるチャンスがあったが、写真での想像よりずっと小型で軽いのに驚いた。それと知らなければ誰も気づかないだろう。Google
Glassのようにひどく目立って邪魔になるということはないはずだ。服装によってクリップが使えない場合はマグネットによる吸着キットも用意される。.

OrCamでは2020年1月までに399ドルでMyMeの市販を開始する予定だ。これは確かに役立つデバイスだと思うが、唯一の懸念は、「常時待機して顔認識する」というデバイスに対して人々がどう感じるかだ。

原文へ

滑川海彦@Facebook Google+

アメリカの複数の国会議員がAmazonの顔認識ソフトウェアの精度で質問状、表現の自由の無視、人種差別の疑いも

一部の国会議員たちは、Amazonがその物議をかもしている顔認識ソフトウェアRekognitionに関する質問に“十分な答を提供していない”とし、いつものように質問に無言で応じることは、答とは認めない、と主張している。

質問状には、上院議員のEdward Markeyや下院のJohn LewisとJudy Chuら8名の議員が署名し、同社の技術の仕組みやその使われ方について、Amazonの最高経営責任者Jeff Bezosに説明を求めている。

書状が送られたのは、このクラウドとリテールの巨大企業が、アメリカ政府およびフロリダ州オーランドを含むアメリカの一部の大都市からサーベイランスを受注して注目を集めた直後だ。

質問の主旨は議員たちによると、“Amazonがそのバイオメトリックス技術をアメリカの移民関税執行局(Immigration and Customs Enforcement, ICE)に積極的に売り込んでいるが、そのパイロット事業にはAmazonによる法執行職員たちに対する実地訓練が欠けている、という報道を契機として、高まった懸念を表明すること”、だという。

議員たちによると、そのシステムは精度に問題があり、人種的偏りに導きかねず、憲法で保証されている表現の自由を犯すおそれもある、という。

書簡は曰く: “しかしながら、現時点では、このタイプのプロダクトには深刻な精度の問題があるという重大な懸念を持たざるをえない。それにより有色者のコミュニティにいわれなき重荷を強い、公共の場において修正第一条の権利を実行したいとするアメリカ人の意思を抑圧するおそれもある”。

議員たちは、Amazonがどうやって精度をテストしたのか、それらのテストは独立的客観的に実施されたのか、そして偏りをどのようにテストしたのか、Amazonに説明を求めている。

[Amazonは耳に栓をするのではなく、顔のサーベイランスが誰にでももたらす深刻な脅威に関し責任を取る必要がある。とくに脅威が大きいのは、有色者や移民、そして活動家だ。Rekognitionを警察やICEの手に渡すべきでない。]

この質問状送付は、ACLUが、そのソフトウェアが28名の議員の顔認識に失敗したことを見つけたあとに行われた。とくに失敗率が高かったのは、有色者だった。

顔認識のソフトウェアは、そもそもの最初から物議を招いている。自社の社員たちからの懸念表明があったあとでもAmazonは、にもかかわらず現状の計画を推進し、何がなんでもその技術を売っていく、と言っている。

Amazonは、二週間あまりのうちに、質問状に答えなければならない。Amazonのスポークスパーソンは、コメントの要求に応じなかった。

関連記事: Amazonは顧客のメールアドレスを露出したことを認めたが詳細を明かさず〔未訳〕

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

あらゆるアプリとデバイスに顔認識能力を与えるBanubaが700万ドルを調達

ロンドン中心部の公園を見下ろすViktor Prokopenya(ヴィクトル・プロコペニア)のオフィスに足を踏み入れると、その質素さのあまり、そこがロンドンのビクトリア駅のすぐ南という最上の立地であることをつい忘れてしまう。巨大企業が拡張現実(AR)を「現実の産業」にするために世界で戦っている中、ベラルーシ出身のこの温和なビジネスマンは、その業界に革新的な新技術を投げ込む準備をここでしている。それは、世界最大の企業が今すぐにでも飛びつきたい技術ではあるが、キッチンに立って私にコーヒーを入れてくれたこの人は、そうした大企業の上に立ってもおかしくない人物だ。

目前の将来像が明確であるか否かは別として、十分な投資がなされれば、ARの未来は確かだ。

2016年、ARとVRの業界は、23億ドル(約2億6100億円)相当の投資を引き寄せた(2015年に比べて3倍の伸びだ)。2021年までには1080億ドル(約12兆2500億円)に達すると期待されている。その25パーセントはAR分野に向けたものとなる。しかし、数々の予測によれば、ARは5〜10年後にVRを追い抜くという。

Appleは、明らかにAR開発の先陣を切っている。先日、ARレンズの企業Akonia Holographicsを買収し、今月公開されるiOS 12からは、開発者はARKit 2を完全に使えるようになる。カメラを中心としたアプリの新しい波を起こそうという狙いがあることは、明らかだ。今年、Sequoia Capital Chinaとソフトバンクは、ARアプリ「Snow」に5000万ドル(約56億7600万円)を投資した。Samsungは、独自バージョンのARクラウドを発表し、ワコムとの提携により、Samsung製のSペンをARの魔法の杖に変えた。

IBMとUnityとの提携では、UnityのアプリケーションにWatsonのクラウドサービスを統合することで、開発者は、視覚認識、音声の文字化など、数多くの機能が使えるようになった。

こうした多額の投資やM&Aを見るに、ARの重要性が増していることは疑いようがない。

この戦場に参戦するのが、ProkopenyaのBanuba(バヌーバ)プロジェクトだ。もうすでに、App Storeから「Banuba」というSnapchatに似たアプリをダウンロードできるが、そのベースには、Prokopenyaが資金提供をしているツール一式がある。彼は、AIとARの専門家を擁する投資チームと密接に行動し、ものすごく大きなビジョンを実現しようと努力している。

Banubaの売り文句の中心にあるのは、アプリだけでなく、ハードウエアにも「視覚」を与える技術のアイデアだ。これはAIとARの完璧なマリアージュだ。たとえば、AmazonのAlexaが声を聞くだけでなく、ユーザーの表情や気分を読み取ることができたとしたらどうだろう? それが、この成長途中の企業の、人々の心を掴む強力な戦略になっている。

一般消費者向けのアプリとして名前を売ったBanubaは、去年1年をかけて、彼らのコンセプトを実際の市場で効率的に試すことができたわけだが、これからいよいよ、新しいBanuba 3.0 mobile SDKで、開発ツールの世界に本格参入する(SDKはiOS用がApp Storeで、Android用がGoogle Play Storeでダウンロードできる)。また同社は、Larnabel Ventures、ロシアの起業家Said Gutseriev、そしてProkopenyaのVP Capitalから700万ドル(約7億9500万円)の追加投資を受けた。

これにより、投資総額は1200万ドル(約13億6200万円)となる。ARの世界は、ロミュランのウォーバード戦闘艦がスタートレックの場面に登場したときのような雰囲気になっている。

Banubaは、そのSDKを使うことで、ブランドやアプリメーカーは、そのアプリに3D顔認識ARを埋め込み、ユーザーは最先端の顔の動作追跡、表情の解析、さらに肌を滑らかにしたり顔色を整えたりといった機能が利用できるようになると期待している。BanubaのSDKには、背景を除去する機能もある。映画やテレビ番組でよく使われている「グリーンスクリーン」のようなものだ。これにより、ユーザーが作り出せるARのシナリオの幅が広がる。オフィスの背景を取り除いて、代わりにバハマの海岸の風景を入れるといった魔法のような画像処理が可能になるのだ。

Banubaの技術はデバイスに「視覚」を与えるものであるため、デバイスは人間の顔を3Dで「見て」、たとえば年齢や性別といった、ニューラルネットワークに基づく有用な主題分析結果を抽出できるようになる。他のアプリでは不可能だったことを可能にするのだ。さらに、心拍数をモニターしたり、スペクトル分析で時間ごとの顔色の変化を知ることもできる。

この技術はすでに、「Facemetrix」というアプリに採用されている。これは、子どもの目の動きを追跡して、スマートフォンやタブレットに表示された文章を呼んでいるかを確かめるというものだ。この技術を使えば、人の目の動きを「追跡」するだけでなく、人の目の動きでスマートフォンの機能を操作することも可能になる。それを実現させるために、このSDKは、人の目の微細な動きをサブピクセルのレベルで、リアルタイムに感知できるようになっている。目の特定の位置を検出することもできる。Facemetrixが目指すのは「教育のゲーム化」だ。子どもが電子ブックを本当に読んだかどうかをアプリが正確に検知し、その結果を両親に報告し、子どもにはご褒美のゲームや娯楽アプリを提供する。

この話からドラマ『ブラック・ミラー』のエピソードを思い出した人もいるだろう。脳のインプラントによって特定のものを見えなくされた少女の物語だ。その心配は、そう外れてはいない。ただし、こちらは安全なバージョンだ。

BanubaのSDKには「アバターAR」も含まれている。すべてのiOSとAndroidデバイスで、アバターと会話したりカスタマイズできる機能を提供し、クリエイティブなデジタル・コミュニケーション方法を、アプリ開発者に生み出してもらおうという考えだ。

「私たちは今、既存のスマートフォンから、進化したメガネやレンズといった未来のARデバイスへと切り替わる微妙なところにいます。そのため、カメラを中心としたアプリの重要性は、これまでになく高まっています」とProkopenyaは話す。彼によれば、ARKitやARCoreでは最上位機種のスマートフォンを対象にした機能が作れるが、BanubaのSDKなら、下位機種でも使える機能を開発できるという。

このSDKには、楽しいアバターと会話したり、自分だけのアバターを作ったりできるアバターAR機能があるが、これはすべてのiOSデバイスとAndroidデバイスに対応する。アニ文字が楽しめるのはiPhone Xだけだなんて、面白くないではないか。

Facebookは、Messengerでの企業向けの商品紹介機能に続き、ニュースフィードでのAR広告のテストを開始した。この知らせも、Banubaにとっては有利なものだ。

Banubaの技術は、娯楽アプリ専用ではない。2年足らずの間に、同社は25件の特許申請をアメリカの特許商標庁に出願している。そのうち6件は、平均よりも短い期間に記録的な早さで手続きされた。ミンスクにある同社の研究開発センターには、50名のスタッフが技術ポートフォリオの作成に力を入れている。

面白いことに、ベラルーシはAIと顔認識技術で知られるようになった。

たとえば、2016年を思い出してみると、当時、App Storeで大人気だった動画フィルターアプリ「MSQRD」を開発したミンスクの企業MasqueradeをFacebookが買収している。2017年には、別のベラルーシの企業AIMatterがGoogleに買収されている。200万ドル(約2億2700万円)の資金調達をした数カ月後だ。AIMatterも、モバイル上で写真や動画のリアルタイム編集を行うプラットフォーム「Fabby」を公開し、SDK戦略をとっていた。これは、ニューラルネットワークをベースにしたAIプラットフォームの上に構築されたものだが、ProkopenyaがBanubaに抱いている計画は、もっと大胆だ。

2017年の初めに、彼とBanubaは「Technology-for-Equity」(平等のための技術)プログラムを立ち上げ、世界中のアプリ開発者やパブリッシャーに参加を呼びかけた。これには、また別のベラルーシのスタートアップが加わり、ARベースのモバイルゲームを開発することになった。

AR関連の技術は「実質的にあらゆる種類のアプリを発展させます。どのアプリも、カメラを通して、男性か女性か、年齢、人種、ストレスの度合いといったユーザーの様子を知ることができます」とProkopenyaは話す。そしてそうしたアプリは、さまざまな方法でユーザーに関わってくるという。文字通り、アプリは私たちを見張ることになるのだ。

たとえば、フィットネス・アプリなら、BanubaのSDKを使ってユーザーの顔を見るだけで、どれだけ体重が減ったかがわかるようになる。ゲームも、ユーザーの表情から手がかりを読み取り、そこから得られた情報に基づいて内容を変えるといったことが可能になる。

ロンドンのオフィスに戻り小さな公園を見下ろすと、Prokopenyaは「多様性とエネルギーとチャンスが信じられないほど集中した」ロンドンに、叙情的な気分を抱く。「でも、ひとつだけ気になるのは、イギリスのUK離脱にまつわる不透明さと、今後、イギリスでビジネスをしていく上で、それがどういう意味を持つかです」と彼は懸念する。

ロンドンは偉大な都市かも知れない(これからもそうあるだろう)、しかし彼の机の上に置かれたノートパソコンは、ミンスクに直結している。そこは、今まさに、未来の顔認識技術が生まれようとしている場所だ。

[原文へ]
(翻訳:金井哲夫)

中国の警察に歩行特徴認識テクノロジー導入――50m離れて後ろ向きでも個人を特定可能

中国には世界中でいちばたくさんのCCTVカメラが設置されている。 1億7000万台のビデオカメラのネットワークが存在するということだ。中国の警察はGoogle Glass的なスマートメガネを装着して人混みの中から容疑者を特定している。しかもこの恐るべき監視能力がさらにレベルアップされた。新しいテクノロジーは歩き方や体格から特徴を抽出して人物を特定できる。

APの報道によれば、この歩行特徴認識(gait recognition)テクノロジーはすでに北京と上海の警察で使用されており、カメラの映像が後ろ向きだったり顔が見えなかったりしても個人を特定できるという。

開発したのは中国のAIスタートアップ、Watrix(银河水滴科技)で、同社は最近のラウンドで1億4500万ドルの資金を調達し、システムのアップグレードを図っている。 ファウンダー、CEOの黃永禎(Huang Yongzhen)は APのインタビューに対し、このシステムは50メートルの距離から個人を特定できると答えた。既存の顔認識テクノロジーと組み合わせることにより、繁華な地区における警察の監視能力は大幅にアップするものとみられる。

捜査当局が犯罪者を発見するのに役立つことは言うまでもないが、残念ながらこのテクノロジーのインパクトはそれにとどまらない。中国ではこれまでもハイテク監視テクノロジーが民衆の弾圧のような邪悪な目的で利用されてきたことが記録されている。

ことに最近、中国政府はデータベースと顔認識テクノロジーを少数民族の統制のために利用しているとして非難されている。 新疆地域に住むムスリムのウィグル人1000万人は自宅や勤務先など特定の場所から出るとただちに当局によって監視されるとBloombergは報じている

中国政府は新疆で100万人のムスリムを「再教育施設」に収容しているとして強く批判されている。新疆の諸都市は地理的に北京よりバグダッドに近く、民族、宗教間の対立による不安定な情勢がしばしば伝えられてきた。中国政府が最新の個人認識テクノロジーをこの地区に投入してきたことにはこうした背景がある。歩行認識テクノロジーがが新疆にも導入されるかどうか、現時点では情報がない。しかし今はまだだとしても近い将来導入されるのではないかという推測はできる。

原文へ

滑川海彦@Facebook Google+

iPhoneの赤外線奥行きセンサーで人間の感情を読み取るObservant

Observantは、iPhone X, XS, XRの、赤外線を利用する奥行き(z軸方向)センサーの、新しい使い方を見つけた: ユーザーの顔の表情を分析して、製品やコンテンツに対する反応を読むのだ。

ObservantはY Combinatorの本年冬季の‘生徒’だったが、3月のデモデーの時点でもステルスだった。作者は、バグを報告するBuglifeを作ったのと同じ企業で、CEO Dave Schukinによると、彼のチームがユーザーの反応を正しく知りたいためにObservantを作った。

本誌TechCrunchはWebカメラ視標追跡(eye tracking)を使う方法を過去にも取り上げてきたが、CTOのDaniel DeCovnickと共に同社を興したSchukinによると、それらの方法はObservantに比べて精度が低い。とくにそれらは、表情の細かいニュアンスを捉えることができず、また十分明るくないと使えない。

彼によると、赤外線を用いる奥行きセンサーは、照度が低いところでも顔を詳細に捉えることができる。またObservantは独自のディープラーニング技術により、顔のデータをリアルタイムで感情に翻訳できる。

Observantは、どんなiOSアプリからでも利用できるSDKと、そのバックエンドとしてのリアルタイムの感情分析ストリームと、アプリ内イベントに対応するユーザーの反応のスナップ・ショットを提供している。今は完全招待制だが、Schukinによると、すでに一部のリテールやeコマース、それにフォーカスグループテストでも利用されている。

Observant

自分のiPhoneがこっそり自分の表情を捉えている、と後で知ったら誰しも気分悪いので、Schukinは事前にユーザーに知らせることを強調する。“ユーザーはそれがどのように使われるか明確に知っている”のだそうだ。またすべての分析はユーザーのデバイス上で行われるので、顔の映像やバイオメトリクスデータなどがどこかへアップロードされることはない。

この技術には、もっといろんな用途がありうる、とSchukinは主張する。たとえば消費者へのリコメンデーションの質をアップしたり、チャットボットが“感情認識能力”を持ったり、居眠り運転を検出したり、などなどだ。

現在、特定のスマートフォンの特定の三機種でしか使えないことに関してSchukinは、赤外線による奥行きセンサーがあるのは、開発を始めた当時iPhone Xだけだった、と言う。そして、いずれはAppleのiPhoneとiPadの全機種に搭載されるだろうし、Androidにも載るだろう、と彼は考えている。

現時点でObservantの将来性を占うのは時期尚早だが、Schukinによると、わずか一機種だったのがすぐに三機種になったのだから、今後この技術が広まっていくことは確実だ、という。

画像クレジット: Observant

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

デルタ航空、顔認証チェックインを導入へ

デルタ航空は、アトランタ国際空港の同社ターミナルで国際便を利用する客を対象にした顔認証を年内に導入する。

同航空によると、顔スキャンは任意とのことだ。スキャンは各フライト手続きにかかる時間をほんの数分短縮するだけだが、国境、そして搭乗前のセキュリティを管理する当局の負担を軽減する。この顔認証の試行はデトロイトのメトロポリタン空港、ニューヨークのジョン・F・ケネディ空港に続くものだ。

顔認証は、一部の人にとっては便利かもしれないが、別の人にとってはプライバシーの侵害となるーまた議会の承認もないままの導入は違法なのでは、と指摘する声もある。

空港における顔認証は物議をかもしていて、昨年初めて導入されて以来、ずっと非難の対象となっている。さらに広範囲での導入を見据え、すでに米国内の6つの主要空港で導入済みだ。税関・国境警備局は顔認証データを収集するのに航空会社に頼っていて、デルタ航空もそこから逃れなれなかったようだ。顔認証は“税関・国境警備局とデルタによる任意の顔認証搭乗テストに続くステップだ”と同航空は述べている。

税関・国境警備局は以前、顔認証導入の動きは違法滞在を取り締まるためのものと説明したが、プライバシーを主張する人々はプライバシー権を踏みにじるものだ、としている。

デルタの広報Kathryn SteeleはTechCrunchに対し、「顔データがとられたくない、という旅行者は、オプトアウトするいくつかの選択肢が与えられ、セキュリティを通る“普通の手続き”が引き続き利用できる」と説明した。

税関・国境警備局の広報Jennifer Gabrisは、米国民だけがオプトアウトでき、書類がマニュアルで審査される、としている。

国境警備を管轄する国土安全保障省は昨年、顔スキャンをオプトアウトしたい人は“旅行を控える”べきだ、とこれまた違う解釈を示している。

デルタが集めたバイオメトリックデータは政府により2週間保存されるが、米国市民とグリーンカード保持者の出国記録は15年間、移民ではないビジターの場合は75年間保存される。

もしこれに不安を感じるなら、導入スピードはゆるやかになると考えない方がいい。国土安全保障省はこの制度の拡大を続け、陸路の国境にも導入しようとしている。空港のスキャナーに関しては先月、ワシントン・ダレス国際空港で顔スキャン後に偽パスポートを使った旅行者が捕まった

唯一のサクセスストーリーだが、政府が今すぐ方針を変えるということはなさそうだ。

[原文へ]

(翻訳:Mizoguchi)

Amazonの顔認識ソフト、米議員の顔写真を犯罪者と誤認ー人権団体の試みで判明

注目を引くための試みとして、このほどACLU(アメリカ自由人権協会)が行ったものはこれ以上ないほどに効果抜群だ。ACLUはこれまで「市民の自由と権利をおびやかす重大な懸念がある」としてAmazonの顔認識ソフトRekognitionについて注意を喚起してきた。

これをAmazonは無視してきた。5月にはTechCrunchに対し、「Amazon Rekognitionには多くの活用方法がある」と述べている。しかしながら、議会議員がこのソフトに注意を払うよう、ACLUはAmazon Rekognitionを使って全議員の顔写真をスキャンした。

その結果、議員28人を、逮捕された犯罪者のデータベースにある顔写真と一致すると誤認したという。ACLUは声明文で「今回、我々がテストで使った犯罪者の顔写真と一致すると誤認された28人には共和党、民主党、男性、女性、そして全米の全年代の議員が含まれていた」と述べている。

誤認された議員について、「公民権についてレジェンド的存在である共和党議員John Lewis含む連邦議会黒人幹部会の6人がその中に入っているなど人種的にも不自然だ」ともしている。

当然のことながら、今回の結果をAmazonは認めていない。Amazonは、こうした技術は人を逮捕するのに使うのではなく、結果を絞り込むために使用するとしている。同社は声明で「我々は依然として画像やビデオの分析が社会において良い意味で役立てられると期待している」と述べている。

しかしながら、このソフトが規格外れのターゲットを持っているようだと判明したことは、ACLUがこれまで展開してきたプライバシーについての論調を助長するものとなる。今月初め、MicrosoftプレジデントのBradford L. Smithは、こうしたテクノロジーは今後、法執行時の“頼みの綱”になることが想定され、これに伴い追加の法規制が必要だ、と説いた。

「顔認識テクノロジーは、プライバシーや表現の自由といった基本的人権保護の核心に迫る問題を提起している」と Smithは記している。「こうした問題では、そのような商品を展開するテック企業のさらなる責任が求められる。我々の理解では、それらのテック企業は熟考された政府による規制と社会への浸透を求めている」とも語っている。

アップデートACLUの注意喚起はうまくいったようだ。民主党の議員3人はいくつかの点で回答を求める書簡をJeff Bezosに送った。その内容の一部は下記の通りだ。

顔認識を使ったサービスは法執行のツールとして役立つものかもしれないが、その技術の効果やインパクトはまだ十分に理解されていない。特に政府による調査に使用されるとき、顔認識がプライバシーや人権を侵すかもしれないという危険性について重大な懸念を伴う。またテクノロジーの精度や有色人種社会へのネガティブなインパクトについても懸念される。

[原文へ]

(翻訳:Mizoguchi)

Amazonの顔認識ソフトウェアを人権団体がプライバシー侵害で懸念、AMZNは歯牙にもかけず

Amazonは、Rekognitionを隠していたわけではない。2016年の晩(おそ)くに、この巨大ソフトウェア企業は、その顔検出ソフトウェアをAWSの比較的穏やかな記事で紹介し、その技術をすでに、オレゴン州ワシントン郡の保安官事務所が被疑者同定のために採用している、と発表した。

しかし今週、ACLU北部カリフォルニア州支部が、この技術に厳しい光を当て、このサービスが“市民の自由と権利に関する深刻な懸念をもたらす”、とする文書〔複数形〕を入手した、と発表した。

その問題の文書は、ワシントン郡が持つ30万の顔写真データベースと、郡の行政官などがそれらの顔を調べるためのモバイルアプリの存在を、とくに指摘している。また、Amazonはそのサービスの顧客を、ボディーカメラのメーカーなど郡以外にも拡大したい、と請願したとも言っている。

その北部カリフォルニアACLUのブログ記事(上記)を書いた同団体の弁護士Matt Cagleは、別の記事でこう述べている: “誰もが、政府に監視されずに通りを歩けるべきである。Rekognitionのような技術には、監視社会を自動化しこの自由を侵す危険性がある。とくに今日の政治的風土においてすでに不法に標的とされているようなコミュニティ〔複数形〕に、脅威をもたらす。このような強力な監視システムがいったん作られて展開されれば、その弊害を取り除くことはきわめて困難である”。

The Washington Post紙が、このACLUの記事に関して郡の広報担当Jeff Talbotに取材した。その担当官は同紙に対して、その技術は今あるシステムに限定されている、と語った。曰く、“われわれの目標は、防犯に関してわれわれがやっていることを公開して人びとにそれを正しく知ってもらうことだ。そのためにあえて言うならば、それは監視社会でも無差別監視でもない”。

Amazonは、その技術は本質的に人に対して侵襲的ではないか、という本誌の質問をはぐらかした。本誌宛ての社名入り声明で、こう述べている: “技術としてのAmazon Rekogniには現実世界で役に立つアプリケーションがたくさんある。そしてこのようなAIサービスの効用は、今後ますます多くの企業がAmazon Rekognitionのような先進的な技術を使い始めるに伴って、増加する一方である。一部の人びとが技術を悪用するからといって新しい技術を非合法化していたら、今日の私たちの生活の質は今よりずっと悪かったであろう。コンピューターが不法な目的に使われる可能性があるから、お客にコンピューターを買えないようにしたら、どうなっただろうか。AWSのどのサービスもそうであるように、Amazon Rekognitionに関しても私たちは、遵法性と責任ある使い方を顧客に要請している”。

画像クレジット: REMY GABALDA/コントリビューター

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

3Dモデル技術や顔認識システム開発のサイトセンシング、ニッセイキャピタルから1億円を調達

計測技術をベースに、顔認識システムなど複数の事業を展開するサイトセンシング。同社は4月6日、ニッセイキャピタルを引受先とする第三者割当増資により1億円を調達したことを明らかにした。

サイトセンシングは2012年6月の創業。同年10月に産業技術総合研究所技術移転ベンチャーの称号を与えられ、本格的に事業展開を始めた。

もともと企業が持っていた顔認識の技術を産総研が継承、それを事業化する形でスタート。現在は計測技術を核として、顔認識システム「Face Grapher」のほか、自律航法測位システム「PDRplus」や3Dモデル作成サービスを開発している。

Face GrapherではWebカメラで撮影した映像から顔を検出。性別や見た目年齢のほか、笑顔度合いを判定する。デジタルサイネージの効果測定や来店者の満足度計測などが主な活用シーンだ。

人や物の移動を自動で計測し可視化できるPDRplusも、Face Grapherと同じくリアルな空間におけるデータを取得、分析できるサービス。自律型センサに基づいて基準点からの相対移動を計測する技術を活用しているため、GPSの利用できない環境でも測位が可能。消費者や現場の従業員の行動を分析することで、マーケティングや業務改善に活用できる。

サイトセンシングによると、3Dモデル事業と自律航法事業について利用者からの支持が集まったこともあり、今回の資金調達を実施。事業の拡大に向けてより力を入れていく方針だ。

同社は今後の展開について「三次元モデル事業はモデル作成業務の生産性の大幅な向上・自動化を進め、高品質なデジタルモデルを大量且つスピーディーに提供可能な体制を構築いたします。また、自律航法事業は、計測システムの大規模化に加え、更なる付加価値向上を目指して行く計画です」としている。

顔認識技術のTrueface.aiがIFTTTを統合して多様な実用的利用が可能に

500 Startupsと多くのエンジェル投資家が支援している、まだステルス状態の顔認識スタートアップTrueface.aiが、IFTTTとの統合により、デベロッパーたちが同社の技術をいろいろ試せるようにしている。

CEOのShaun Mooreによると、IFTTTとの統合により初めて、同社の顔認識技術が、複雑なコードを理解する必要なく、多くの人が利用できるようになる、という。

同社は最初、ハードウェアとソフトウェアのベンダーだったが、2017年にハードウェアの取り扱いをやめて、ソフトウェアにフォーカスするようになった。

“われわれ自身がもっと幅広いアプローチを取ることによって、ハードウェアのデベロッパーが自分のやりたいことをできるようになる、と考えた”、とMooreは語る。

Trueface.aiが今集中しているデジタルの認識確認技術は、たとえば誰かが銀行の口座を開こうとするときの本人確認や、公証事務のデジタル化などに応用できる。しかも、“本人性や所有権の確認をリモートでできるようになる”。

その目標は、顔認識技術を誰でも使えるようにすることだ。そしてそのための第一歩が、IFTTTの統合だ。それによってデベロッパーやメイカーたちの知名度を上げることができる、とMooreは考えている。

  1. screen-shot-2018-01-25-at-2-52-47-pm.png

  2. screen-shot-2018-01-25-at-2-53-05-pm.png

  3. screen-shot-2018-01-25-at-2-53-17-pm.png

  4. screen-shot-2018-01-25-at-2-53-24-pm.png

“これ(IFTTTの統合)は、一般的にサードパーティがうちの技術を利用するときの、ひとつの形だと思う。たとえばスマートロックのLockitronがあれば、Truefaceが来客の顔を認識し、その判定に基づいてIFTTTがドアをアンロックする”。

その顔認識に使われる技術は、今やおなじみのディープラーニングだ。ソフトウェア専門で行く、と決める前のTrueface.aiは、本誌TechCrunchのニューヨークオフィスにやってきて、その前身的技術であるChuiをデモしたことがある(下のビデオ)。

その機械学習のモデルは、数百万もの顔の画像で訓練され、そしてユースケースによっては、人間の顔の数学的表現を生成することもできる(これを数学用語で埋め込み(mbedding)と言う)。

埋め込みを保存しておくと、他のモデルが本人性の推断に利用できる。同社のモデルは、生きた本人でなく、本人の顔写真でシステムを騙そうとしても騙せないようにできている。スマホのロック画面なんか、もうだめだからね。

IFTTTの統合とともに同社は、そのIDVerifyプロダクトによって同社の技術にユーザーを慣れさせようとしている。

すでに同社の技術は150か国以上の本人性証明ドキュメントと互換性があり、それらをTrueface.aiのWebアプリケーションやモバイルアプリケーションで利用できる。

Mooreは曰く、“何かを自分で作ることの好きな人たちも、うちの技術の立派なユーザーだ、と考えているよ”。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

ご注意:モバイルデバイスの顔認識アンロックは簡単に騙せる

SamsungのGalaxy Note 8が店頭に並ぶ日が近づいているが、ここで重要な注意がある。顔認識アンロック(Face Unlock)は指紋認識によるアンロックに比べてはるかに脆弱だ。テクノロジー・ニュースに詳しい向きはGalaxy S8のリリース時にこのことを聞いただろうし、今回のNoteでもそうだろう。要するに顔認識アンロックは簡単に騙せる。

なるほど実験のビデオがバイラルで有名になった原因には多少のセンセーショナリズムや反射的に情報を拡散するユーザー層の存在もあったかもしれない。しかし世界で毎日使われるポピュラーなモバイル・デバイスをロックするには現在の顔認識よりもっと安全なテクノロジーが必要だという点に注意を喚起する役には立った。

Galaxy Note 8の実機がますます多くの人々の手にわたるにつれ、顔認識を騙してアンロックするビデオはいちだんとたくさんアップロードされるようになった。私自身も試してみたが、実のところ2台のスマートフォンを使い、自分の顔写真を利用してロックを解除するトリックに成功するには多少苦労した。しかしSamsungに取材してみると、同社自身も「Face Unlockはセキュリティーを確保する上で理想的な方法ではない」と認めた。

Samsungでは顔認識アンロックをスワイプによるアンロックのようなものだと考えている。TechCrunchに寄せられた同社のコメントによれば「顔認識はスワイプと同様、アンロックのために手軽に使える便利な機能と考えてもらいたい。われわれはきわめて高度なバイオメトリクスによる安全性の高いユーザー認証機能を用意している。Samsung PayやSecure Folderを利用するには指紋か虹彩を利用したアンロックを行う必要がある」ということだ。

Samsungの回答は率直なものと言っていいだろう。たとえばGalaxy S8の設定でセキュリティーのタブを開くと、 アステリスクを付された注意書きに「顔認識は他の生体パターン、PIN、パスワードに比べて安全性では劣る」とある。ユーザーはいろいろなメニューの中に存在する高速アンロック機能(「あなたの顔は登録されました」とうるさく出てくるメッセージがそれだ)をオフにすることができる。Samsungによれば「この機能をオフにすると画像、ビデオによる不当なアンロックを困難にすることができる」という。

しかし顔認識アンロックはデフォールトでオンの状態のようだ。繰り返しになるが、Face Unlockはスワイプによるアンロックと同種のモードで、手間なしで便利だが、強固な安全性を目指した機能ではない。

Samsungは顔認識アンロックをさらに強化するべきだろう。あるいは虹彩スキャンのような手軽で安全なアンロック方法が搭載される以上、顔認識アンロック機能は搭載するべきではなかったかもしれない(まだ発売前なので今からでもそうすることはできる)。

AppleもiSamsungのものに似た顔認識アンロック機能をiPhone 8に搭載するという情報もある。それが事実ならこの問題は来週再燃するかもしれない。多くの人々が顔認識アンロックを騙すビデオを作ってアップロードすることになるのは間違いない。Qualcommでは顔認識をAndroid機の標準機能として組み込もうとしている。どの程度のセキュリティーが実現されるのか注目だ。

セキュリティーはそれぞれのプロダクトごとに個別性が高い。たとえばシステムに3Dテクノロジーによる凹凸認識機能を加えれば、別のスマートフォンの画面に2次元の顔写真を表示することで騙すのは困難になるだろう。デバイスのメーカーは搭載されているセキュリティー関連のテクノロジーについて、その能力や効率性などのデータを正しくユーザーに伝える義務がある。またデバイスの設定にあたってはユーザーも「注意書き」までよく読み、選択肢を慎重に考える必要があるだろう。

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+