Microsoft、Dynamics 365の機械学習を強化――カスタマーサービス、顧客管理など3分野のアプリを発表

有力テクノロジー企業はみなそうだが、Microsoftもあらゆるプロダクトに機械学習を取り入れようと全力を挙げている。 当然ながら、大きなビジネスとなっている顧客管理システム、Dynamics 365 CRMにもAIを適用した。Microsoftが最初にDynamics 365 AIを発表したのは1年前になる。今日(米国時間9/18)は、Dynamics 365 AI for Sales、Customer Service、Market Insightsという3つのAIプロダクトをリリースした。これによりAIプロダクトのポートォリオはセールス、カスタマー・サービス、市場分析の分野に拡大された。

Microsoftのビジネス・アプリケーションとインダストリー担当コーポレート・バイスプレジデント、Alysa Taylorはこう述べている。

現在多くの人々はCRM(顧客管理)やERP(基幹業務管理)などを抑圧的なシステムだと感じている。データを貯め込むだけで、実際にエンドユーザーの業務に役立つ情報を何ひとつ返してよこさない。しかしユーザーが求めているのは抑圧では解放だ。

Dreamforceカンファレンスの熱狂的参加者は別として各種のCRMが好きな人間はいない。抑圧のシステムというのはずいぶん過激な表現だが、初期のCRMは隔絶したデータのサイロになりがちだったという点でTaylorの言うことには理がある。もちろんMicrosoftはDynamics 365に格納されたデータは機械学習によってさまざまなタスクに容易に利用できるのでそういった抑圧的システムとは全く異なると主張する。

Dynamics 365 AI for Salesは名前のとおり、セールス部門に対して、顧客から得たデータにセンチメント分析を適用して的確な将来予測を与えようとするシステムだ。現在、この分野への機械学習の適用は標準的なものとなっているが、AI for Salesは同時にセールス・チームが次にどんな手を打つのが効果的か、どの行動が優先順位が高いかなどを教えるという。またセールス部門の管理職による担当者の教育・訓練も手助けする。

Customer ServiceアプリもAIによって自然言語処理を行い、言語によってカスタマー・サポートを行うことを可能にする。バーチャル担当者を創出することによりコストの削減が図れる。TaylorによればこのアプリはライバルのSalesforceに対抗するものだという。Talorは「多くのベンダーがそういうことができると主張しているものの、企業が実際に採用するには手間がかかりすぎるものが多い。またこうしたサービスは非常に大規模であることが必要なのでSalesforceはIBM Watsonと提携している。われわれのサービスもいよいよ実用化される」と述べている。

Dynamics 365 AI for Market Insightsも市場動向の分野で同様の機能を示し、ソーシャルメディアの書き込みを対象としたセンチメント分析を行う。ただしセールス部門におけるものよりも詳細な分析となる。「これにより企業はプロダクトやブランドに対する好き・嫌いなどの感情を分析し、続いてその結果をベースに顧客忠実度をアップするために効果的な手段を検討する。またどういうイベントが口コミで広がりをみせ、ブランドの認知度や親近感を高めるかを示唆する」という。つまり企業が口コミでニュースを拡散しようと何か始めるのを見たら、Office 365 AI for Market Insightsの助言に従ってそうしている可能性があるわけだ。

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滑川海彦@Facebook Google+

フォームの設置から顧客データの管理までワンストップで提供する「formrun」が正式リリース

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日本のスタートアップであるmixtape合同会社は本日、クラウド型のコンタクト管理サービス「formrun」をリリースしたと発表した。同サービスのオープンβ版は今年2月から公開されていたが、今回が正式版のリリースとなる。

フォームの設置から顧客情報の管理までワンストップで

mixtapeが展開するコンタクト管理サービスのformrunを利用すれば、専門知識が無くてもコンタクトフォームをWebサイトに簡単に設置することができる。それだけでなく、顧客情報を獲得するためのフォーム作成、入力された顧客情報の管理、そして顧客とのコミュニケーションをワンストップで行うことが可能になる。

同プロダクトには無料版を含む3段階のプランが用意されており、フリーミアム型のマネタイズ方式を採用している。作成できるフォームが無制限で、利用できるメンバー数が3名までの「STARTERプラン」は月額2980円、メンバー数が10名以上の企業向けには月額9800円の「PROFESSIONALプラン」が用意されている。

同プロダクトの主なターゲットとなるのは、少人数で経営されるショップや個人事業主、そして中小規模の企業だ。formrunのオープンβに参加したユーザーは500社で、そのうち法人と個人事業主の割合は5対5だった。

Webサイトの「トンマナ」に合わせてフォームをカスタマイズできる

正直なところ、コンタクトフォームの設置だけならGoogle Formsを使えばいい。Webサービスにある程度慣れた人であれば、フォームを作成するのも簡単だし、設置もHTMLの埋め込みタグを貼り付けるだけだ。ショップや企業のWebサイトの製作運営を担当するWebデザイナーやエンジニアにとっては、これほど簡単な作業はないだろう。

だが、mixtape共同創業者の堀辺憲氏によれば、formrunの必要性を一番強く感じているのは、そのWebデザイナーやエンジニアだという。その理由は大きく分けて2つある。

1つ目の理由は、デザインのカスタマイズ性が限られているGoogle Formsと違い、formrunではデザインを自由にカスタマイズすることが可能だという点だ。Google Formsでも数種類のデザイン・テンプレートは用意されているものの、一歩踏み込んだ高度なデザインカスタマイズをするのは難しい。デザインを完全にカスタマイズするためにゼロからフォームを構築しようにも、バリデーションや通知機能を整える必要があるフォームは、表はシンプルに見えるが、裏側の工数は意外に多い。

formrunの「クリエイター機能」には20種類以上のテンプレートが用意されていて、テキストを入力したり、入力が必須の項目とそうでない項目を分けたりするだけで簡単にフォームの作成が可能だ。設置から運用までにかかる時間は1時間ほどで、堀辺氏は「自分の母親でも簡単にフォームが作成できるようなサービスを目指した」と話す。HTMLやCSSを使ってデザインを自由に変更することもでき、設置はWebサイトにコードを貼り付けるだけで完了する。

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コンタクトフォームはWebサイトを構成する要素の1つでしかないが、だからこそ、フォームのトーン&マナーをWebサイトのデザインと合わせることは重要だ。堀辺氏は「formrunのオープンβに参加したコイニー株式会社は、以前からWebサイトに設置していたGoogle Formsのフォームからformrunに切り替えたところ、コンバージョン率が30%増加した」と話している。

フォームに入力された顧客情報をチームで管理

2つ目の理由は、formrunでは単なるフォーム作成だけでなく、フォームからインプットされた顧客情報をチームで管理ができるという点だ。これにより、Web開発者たちは「資料を問い合わせできるフォームを作ってほしい。それと、その見込み客の管理もしたい」というような、営業部門などの「非開発者サイド」からの要望にもすぐに対応できる。

formrunのフォームに入力された情報は自動的にデータベース化され、それを管理する「マネージャー機能」には2つのインターフェイスが用意されている。ボード管理とリスト管理だ。

ボード管理では、タスク管理ツールの「Trello」のように顧客をステータスごとに管理することができる。「顧客カード」としてまとめられた顧客情報を、「対応中」や「急いで対応」などのステータスごとに分けられたカラムに振り分けて管理するのだ。顧客情報がまとめられている顧客カードには「タイムライン」と呼ばれる機能も備えられており、社員が顧客について投稿したコメントや、メールのやり取りなどはチーム全体で共有される。
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一方のリスト管理はExcelに似たインターフェイスを持っており、データの並び替えをする時などに適している。ExcellやGoogleスプレッドシートなどと同じ感覚で操作できるのも特徴だ。

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フォームを利用して顧客とのリレーションを築く

「formrunが目指すのは、iPhoneにプリインストールされたアプリのようなもの。機能を省いたエッセンスのみを提供することで、最低限必要な機能に迷うことなくリーチできるようなサービスをつくりたかった」という堀辺氏の言葉の通り、formrunで提供されている顧客管理機能はごく基本的なものだ。機能だけを比べれば、高度な機能をもつSalesforce.comZendeskなどには到底及ばない。しかし、小規模の事業体は高いコストや導入までに時間のかかる高度なCRMサービスを導入できるリソースを持ちあわせていないことも多い。

それに、大規模なプロモーション活動を展開できる大企業とは違い、個人事業主、ショップ、中小企業がもつ顧客との「接点」は限られている。彼らにとってフォームとは、貴重な顧客情報を入手できる限られた方法の1つなのだ。そのため、顧客との接点である「お問い合わせフォーム」の情報がメールボックスに直接届くようなシステムでは、顧客とのリレーションを築くための貴重な機会をみすみす逃しかねない。

つまり、高度なCRMサービスとシンプルなフォーム作成サービスとの間に存在する空白地帯こそがformrunの事業領域である。そこでライトウェイトなCRMシステムを提供するという彼らのサービスで、ここには一定の需要がありそうだ。

同社は2017年度中に有料会員を1万社獲得することを目指している。来年の春には「どの顧客がどのキャンペーンに登録したのかなど、顧客と企業との関係値を可視化できる」機能を追加し(渡辺氏)、顧客管理機能の強化を進める予定だ。

自動車修理店自身が、ユニークで使いやすいショップ運営ソフトを作り上げた


ハイブリッドカーへの注力で知られるサンフランシスコのLuscious Garageは、その真の特徴を隠している、それは人びとへの注力だ。創業者のCarolyn Coquilletteは2007年にサンフランシスコにオートショップを開店した、そして上のビデオからも分かるように、室内装飾からそれが占める空間に至るまでが、メカニックの現場に期待されるものとは大きく異なっている。そしてそれは店舗を運営するソフトウェアにも及んでいて、Coquilletteが訪問中に紹介してくれた。

Coquilletteにとって、オートショップの空間配置や対人関係といった部分を変えるだけでは十分ではなかった;サービスを追跡し、在庫を管理し、顧客とコミュニケーションする部分も大規模なオーバーホールを必要としていたのだ。典型的なショップバックエンドソフトウェアは、本質的に石器時代の遺物である、特に顧客がスマートフォンの上に持っている平均的なソフトウェアに比べればその差は大きい。

Coquilletteは改善の必要性を、Luscious Garageにとってだけの機会と捉えず、仕事を管理し、在庫を扱い、顧客が容易に理解できる方法で伝達を行うことのできる優れたソリューションを探している、他のオートショップにとっての機会でもあると捉えたのだ。当初構築したカスタムショップ管理プラットフォーム「Hyspace」を手本に、Coquilletteはそのシステムを、更に成熟した、それ自身独立して似たようなバックエンドの近代化に挑んでいる他の店舗でも使えるようなものへの転換を図った。

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リード開発者Tyler Olmsteadを擁するチームと共に、Hyspaceは2013年に全く新しいコードベースを使って書き換えが始まり2014年にはMVP(minimum viable product:必要最小限の機能を持った製品)が発表された;Shop-Wareは2015年1月にフル機能搭載のショップ管理プラットフォームとして正式デビューを果たした。

そのウェブベースのインターフェイスは、さまざまなプラットフォーム上で使用するためのナビゲートしやすく、視覚的に魅力的で、動的なもので、スタッフに向けた在庫やワークフロー管理と同様に、顧客向けの作業承認と作業履歴のコミュニケーション、そして統合された帳簿管理のためにQuickBooksとの統合も果たしている。Coquilletteは私に、車に必要なサービスが何か、それが何故必要なのかを顧客に対して明らかにする過程で、システムがコミュニケーションという観点から正確に何ができるのかを示した ‐ Shop-Wareは、そのわかりやすい報告機能のお陰で、間違いなく消費者とサービス提供者の間のより強い長期に渡る信頼関係を構築する手助けをしてくれるものだ。

顧客にとって、カーショップに対する指示は困難に思える仕事である、特に顧客が技術的な専門知識を持っていない場合には。Shop-Wareによって、Coquilletteはその過程をはるかに簡単なものにした。一方スタッフメンバー同士のコミュニケーションや、一般的な作業もはるかに容易になっている。Slak同様に、このShop-Wareは、自身のビジネスの追求のためににテクノロジーツールを構築する際に「自らの手で作り上げる」アプローチが、最後には他の多くの人も使うようになる何かを生み出すことを示す、良い例である。

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(翻訳:Sako)