食品ロス削減のフードシェアリングTABETEが1.1億円のシリーズA調達、開発体制や新規店舗・新規ユーザー獲得を強化

食品ロス削減のフードシェアリングTABETEが1.1億円のシリーズA調達、開発体制や新規店舗・新規ユーザー獲得強化

食品ロス削減サービス「TABETE」(タべテ。iOS版Android版)運営のコークッキングは1月31日、シリーズAラウンドとして、第三者割当増資による総額1億1000万円の資金調達を実施したと発表した。引受先は、KIBOW社会投資ファンド、SMBCベンチャーキャピタル、山口キャピタル、のとSDGsファンド。累計資金調達額は約3億8000万円となった。また、さらなる経営基盤強化として社外取締役にグロービスのマネージャー(グロービス経営大学院教員)の井上智映子氏が就任した。

調達した資金は、主に以下の用途にあてる。
・組織(開発体制・セールス体制・マーケティング体制)の強化
・食品ロス削減サービス「TABETE」のサービス改善
・食品ロス削減サービス「TABETE」の新規店舗・新規ユーザー獲得、既存ユーザーのエンゲージメント向上のためのセールス・マーケティング強化

TABETEは、パン屋をはじめとする中食・飲食店舗で、閉店までに売り切るのが難しく、まだおいしく安全に食べられるのに廃棄の危機に直面している食事と、レスキュー(購入)したい消費者を直接マッチングさせるというフードシェアリングサービス。これまで累計25万食のパンや洋菓子・弁当などの食品ロスを削減してきたという。また、現時点で登録店舗数は約2000店舗、登録者数は約49万人となっており、TABETEに出品された食品の2つに1つ(約50%)はレスキューされているそうだ。食品ロス削減のフードシェアリングTABETEが1.1億円のシリーズA調達、開発体制や新規店舗・新規ユーザー獲得強化

スムージーやスティックで野菜や果物が摂れるKenckoが約11.4億円調達

植物由来でミキサーを使わないスムージーを提供するKencko(ケンコー)が、新しいカテゴリーに進出するために1000万ドル(約11億4000万円)の資金をシリーズAで調達した。

今回のラウンドは、既存の投資家であるSiddhi Capitalが主導し、Next View Ventures、Riverside Ventures、Silas Capital、Cheyenne Ventures、Shilling Capital、Indico Capital、Mission Point、Gather Ventures、Nextblue Venturesなど、既存および新規の投資家が参加した。今回の投資により、Kenckoの資金調達総額は1350万ドル(約15億4000万円)を超えた。

TechCrunchがKencko(日本語で「健康」を意味する)を最後に取り上げたのは、同社が340万ドル(約3億9000万円)のシードラウンドを実施した2019年のことだった。当時、同社は6種類のフレーバーのフルーツドリンクを販売しており、さらに2つの新商品を発売する準備をしていた。

現在は、オーガニックスムージーには10数種類のフレーバー、ガムドロップには4種類のフレーバーを用意している。フリーズドライ技術により、1食分のグミキャンディのようなスティックで2.5食分の野菜と果物を摂取することができる。精製された砂糖や甘味料、人工的な素材は一切使用していない。

Kenckoは、2030年までには70億ドル(約7971億6000万円)の規模になるといわれる競争の激しい世界の健康 / ウェルネス市場の中で、独自のニッチな位置を占めている。他の企業もベンチャーキャピタルを引きつけているが、例えば毎日の栄養補給を目的とした粉末飲料AG1を開発したAthletic Greens(アスレチック・グリーンズ)は、米国時間1月25日に1億1500万ドル(約131億円)の新たな資金調達を発表し、プレマネー評価額を12億ドル(約1366億6000万円)に引き上げた。

今回の投資のニュースとともに、Kenckoは2月下旬に発売される最新のボウル型加熱式製品を発表した。

共同創業者でCEOのトマス・フローズ氏(画像クレジット:Kencko)

Kenckoは、そのままでは廃棄されてしまう野菜や果物を転用することにも力を入れており、2021年1年間で1000万本以上のフリーズドライのスムージーを出荷することができたが、同社によればこれは約660トンの生鮮食品に相当するそうだ。また、2022年には完全なカーボンニュートラルを目指している。

共同創業者でCEOのTomás Froes(トマス・フローズ)氏は、TechCrunchにメールで、創業からわずか3年で年平均500%以上の成長を遂げていると語った。2021年末のKenckoの会員数は約36万人で、2020年比で173%の伸びを示している。

フローズ氏は、新たな資金を、Kenckoのサプライチェーンおよび自社製造の拡大・最適化に投入したいと考えている。社員数はちょうど100名を超えたところで、今後12カ月間でチームを倍にする予定だ。

フローズ氏は「今回の増資によって、会員の方々にとって手間のかからない栄養補給の機会である『Kencko moments』を増やすことができるでしょう」と付け加えた。「私たちは、より多くの人々が日々の果物や野菜の摂取量を増やすことで、より健康的な生活へと移行できるよう、今後も努力していきます。私たちはエキサイティングな新製品を数多く開発しており、2022年中には実店舗での販売を開始できたらと思っています」。

画像クレジット:Kencko

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(文:Christine Hall、翻訳:sako)

お魚サブスク「フィシュル」で魚の食品ロス削減を目指すベンナーズが3200万円調達、サービス認知拡大目指す

魚の食品ロス削減を目的としたお魚サブスクリプションサービス「Fishlle!」(フィシュル)を運営するベンナーズは1月17日、第三者割当増資による総額3200万円の資金調達を1月14日に完了したと発表した。引受先はアカツキ、セゾン・ベンチャーズ、エンジェル投資家の海野慧氏。

調達した資金は、フィシュルのデジタルマーケティングチャネルの確立とPR強化、ユーザビリティ向上のための商品ラインナップの拡充とカスタマーサポート体制強化、シリーズAラウンドに向けた人材採用強化にあてる。

ベンナーズは、魚の食品ロスを減らすことで「日本における水産業の発展」と「作り手、使い手、社会を豊かにすること」を目的に、お魚のサブスクリプションサービスを2021年3月よりECサイトでスタート。ライフスタイルの変化による消費者ニーズの多様化や、コロナ禍による人々の生活・行動様式の変動に対応し、衰退しつつある日本の魚食文化の再建を目標としているという。

フィシュルは、最適な味付けを施した上で、季節ごとに旬の魚のミールパックを定期便として届けるサービス。形の悪さや十分な水揚げ量がないといった、味には関係のない理由で規格外とされ価値が付かず通常の流通に乗らない「未利用魚」を積極的に利用することで、食品ロス削減と漁業者の収入の底上げも図っているそうだ。

またそうした形で、SDGs12条の「つくる責任 つかう責任 持続可能な方法で生産し、責任を持って消費する」とSDGs14条「海の豊かさを守ろう。持続可能な社会のために、海と海の資源を守る 海と海の資源を持続可能な方法で利用する」への貢献も目指している。

2018年4月設立のベンナーズは、食の三方よし「作り手、使い手、社会を豊かにすること」を目指す、福岡拠点のスタートアップ。フィシュルなどによる魚の食品ロス削減のためのプラットフォーム事業や卸売業を事業としている。

環境保護は企業の負担ではなく利益の機会とSpoiler Alertは主張する

私たちは食品の育成や加工、輸送、販売などに、とてつもない量のリソースを割いている。十分に食べられない人がいる世界で、米国では生産される食べ物の30から40%が消費されていないことは恥ずかしいことだ。Spoiler Alertはこの問題に焦点を当てた。同社は最近1100万ドル(約12億30000万円)を調達してその仕事の規模を広げ、もっと多くの食べ物を、祭壇の供物にすらならないことから救おうとしている。

Spoiler Alertの共同創業者でCEOのRichard Ashenfelt(リチャード・アシェンフェルト)氏の説明によると「食品の廃棄は企業の利益機会の大きな喪失で終わる問題ではなく、地球レベルの気候危機の最大の原因でもあります。私たちが最初から抱えているビジョンと仮説は、『食糧を大規模に生産している企業などに、良質な製品が廃棄物になることを防止するツールや英知、そしてネットワークへの接続を効果的な方法で提供するためには、何をどうすべきか』という点にあります。私たちは、大量廃棄や有機物リサイクルに頼る前に、このビジョンをできるだけ多くの消費者に届けようとしています」。

Spoiler Alertのプラットフォームを、現在、多くの世界の大規模加工包装食品メーカーが、彼らのB2B流動化プロセスのデジタル化のために利用している(従来廃棄物になっていたモノの現金化)。顧客は、NestléやKraft Heinz、Campbell Soup Company、Danone North Americaなどで、4社とも世界最大の食品と飲料メーカーだ。

Spoiler Alertの共同創業者でCPOのEmily Malina(エミリー・マリナ)氏は次のように語る。「私たちが固く信じていることは、もはや廃棄という処理方法は必要なものではなく、事業費用として容認できるものでもないということです。私たちが行っていることのすべては、そのままにしておけば腐敗するだけの食品在庫をできるだけはやく移動して、それらを企業とリテイラーと消費者とそしてこの惑星の利益に変換することです」。

それがどうして同社のミッションになったのか、アシェンフェルト氏の説明は続く。「世界の食べ物の、供給の30〜40%は、消費されずに終わる。さまざまな対気候変動ソリューションをリストし検証しているProject Drawdownの研究調査によると、地球規模の気候危機に対する有効性の大きい対策の1つが、食品の廃棄を減らし解消することだ。私たちの場合は、食べ物を埋立地行きから救いだせば救い出すほど、大気汚染は減少し、リソースはそのプロダクトをもっと良い方法で収穫し流通することに向けられる。それは究極的には、それらのプロダクトを売ることによって企業の利益にもなり、プロダクトの償却が減るので、廃棄費用も不要になります」。

Spoiler Alertの創業者リチャード・アシェンフェルト氏とエミリー・マリナ氏(画像クレジット:Liz Linder Photography

企業はSpoiler Alertの柔軟性が高くしかもプライベートな流動化プラットフォームを利用して、余剰在庫や短納期の在庫、陳腐化した在庫などをシームレスに販売することができる。それが企業の利益を増やすことにつながり、リテイラーやその他の在庫一掃チャネルにとって臨時在庫の強力な供給になる。しかも「遅すぎた」ということがない。Spoiler Alertの強さを感じるのは、同社が資本主義の枠内で操業してこの問題の解決に取り組んでいるためだ。

アシェンフェルト氏は「私の父は環境問題の弁護士で、学生および学者としての私はその全精力を、世界最大のエネルギーと環境の問題を、プライベートセクターがプライベートセクターでありながら解決できる方法の研究に捧げてきました。私は生まれながらの環境保護家ですが、商業的であろうと努めてきました。企業や消費者が環境に対して正しいことをするための、容易で具体的なソリューションを私は追究してきた。そんな私たちが強く感じているのは、持続可能な気候にフォーカスした投資へのベストアプローチは、企業がスケールできる本物のビジネスに根ざすものでなければならない、ということです」という。

この投資をCollaborative Fundがリードし、Acre Venture PartnersThe Betsy & Jesse Fink Family FoundationMaersk GrowthSpring Point Partners、そしてValley Oak Investmentsが参加した。

画像クレジット:Spoiler Alert

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(文:Haje Jan Kamps、翻訳:Hiroshi Iwatani)

NTT西日本・愛媛大学・青空がドローン空撮画像解析で野菜の生育状況を見える化し農作物生産をコントロールする共同実験

NTT西日本・愛媛大学・青空がドローン空撮画像解析で野菜の生育状況を見える化し農作物生産をコントロールする共同実験

NTT西日本グループは7月5日、愛媛大学、農家の契約栽培の支援などを行う青空と共同で、廉価な汎用ドローンと空撮画像の解析を活用した「圃場分析技術」による農作物生産コントロールの実証実験を開始すると発表した。低コストなデジタル活用により圃場内の農作物の生産品質・収量の安定化、余剰生産による廃棄ロスを抑止し生産性の高い農業を実現する。

現在国内農業は、農業就業人口や農家数の減少により、少数の大規模農家が多数の圃場(ほじょう:畑、水田、牧草地など耕作地の総称)を管理して生産を行う形に移行しつつあるという。しかし広大な圃場では、エリアによって作物の育成にばらつきが出る。少ない労力ではきめ細かい管理が行き届かず、さらに天候不順の影響による収穫量の増減を吸収しようとすれば、常に余剰生産を行うことになり、大量の廃棄ロスが生じてしまう。生産の安定化と廃棄ロスの削減を実現するには、既存の手法では高価な機材を導入せざるを得ない。

そこでNTT西日本グループは、同社ドローン・ソリューションとクラウド基盤と、愛媛大学が開発した抵コストで導入できる圃場分析技術(特許出願中)とを組み合わせた農作物の育成状況を分析する仕組みを構築。圃場分析の結果に基づく施肥による、生産量と品質の安定化を目指した実証実験を行うことになった。

今回の実験には、「生産の安定性に向けた実証」と「廃棄ロス抑止に向けた実証」の2つの要素がある。生産の安定性では、岡山県真庭市にある青空のレタス圃場を廉価な汎用ドローンで空撮し、その俯瞰画像データからSPAD値(植物の葉の葉緑素含有量)を分析。レタスの葉緑素の推定濃度から生育状況を可視化し、それに基づき、必要な箇所に必要な量の施肥を(可変施肥)行うことで、生育、品質のばらつきの抑制を目指す。

廃棄ロス抑止では、レタスの生育状況の分析データ、天候データ、青空の栽培ノウハウを活かし、収穫可能時期と収量の予測から、需要に対する余剰量を早期に予測し、余剰分の販売先を事前に確保という、収益性に優れた営農手法の確立を目指す。

それぞれの役割分担は、NTT西日本がクラウド基盤の提供(分析環境)と収量予測モデルの作成、NTTビジネスソリューションズがビジネス性評価とドローン自動化撮影、愛媛大学が葉緑素推定アルゴリズムの提供と圃場葉緑素分布マップの作成、青空が圃場葉緑素分布に基づく可変施肥の実施、農作物品質および収量評価、収量予測ノウハウの提供となっている。2021年6月から2022年3月まで行われる。

NTT西日本グループでは、2022年度の「農業生産DXソリューションの事業化」を進めると話している。

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カテゴリー:フードテック
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