Facebookのインスタント記事でも360度コンテンツが掲載可能に

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Facebookのインスタント記事は、Facebookをモバイルから利用するユーザーに対し、パブリッシャーが素早くロードして邪魔の少ないコンテンツを提供するための形式だ。今後さらにインタラクティブなものになるという。本日、このソーシャルネットワークは、インスタント記事も360度動画と写真に対応すると発表した 。パブリッシャーは記事内に360度コンテンツを挿入することができ、ユーザーはモバイル端末を動かしたり、タップしたり、ドラッグしたりすることでコンテンツを操作できるようになる。

Facebookのニュースフィードは昨年360度動画機能に対応し、360度写真も今年6月に対応している。どちらのテクノロジーも、より没入的にその場面を体験することができる方法で、これはモバイルでもウェブでも視聴可能だ。この機能のローンチ以降、ユーザーのフィードにはVRに似たこの360度コンテンツが登場するようになった。モバイル端末を傾けたり、回したりすることで場面の様子をもっと見ることができる。デスクトップではウェブからクリックやドラッグすることで同じことができる。

360度写真と動画はすでに大手パブリッシャーやニュースメディアが報道や他にシェアしているコンテンツを充実させるために使用している。例えば、NBCの番組Saturday Night Liveやミレニアル向けニュース媒体VICEは早くから360度動画を展開している。また、The New York Timesなどのパブリッシャーや政府機関NASAは360度写真をいくつか公開している。

今後、ジューナリストや他のコンテンツクリエイターは360度動画や写真を直接インスタント記事に挿入することが可能となる。このコンテンツを含む記事を開くと、すぐにユーザーはモバイル端末を傾けたり、クリックやドラッグをして360度写真や動画を楽しむことができるようになる。

USA Today NetworkとBILDとは公式ローンチ前から、インスタント記事に360度コンテンツを入れる検証を行ってきたとFacebookは伝える。USA Today Networkでは、Ken Burnsがナレーションを務め、アメリカの国立公園を巡る360度動画を作成した。BILDは空母ハリー・S・トルーマンのツアーが視聴できる動画を作成している。

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読者もこれらの記事を見ることができる。承認されたインスタント記事の検索結果から、パブリッシャーが投稿した記事を見てみよう。

ニュース記事のマルチメディア化が進み、帯域幅が必要なメディアが使われるようになるほど、 早くロードするインスタント記事で360度写真や動画が利用できるのはパブリッシャーにとって魅力になるかもしれない。

しかし一方でパブリッシャーは、Facebookからではなく、通常のウェブブラウザからコンテンツを視聴する読者にどう対応していくべきかを考える必要があるだろう。パブリッシャーが利用している既存のCMSより、インスタント記事の方が技術的に上回ってきたように見える。パブリッシャーが自社サイトに360度写真を挿入し、全てのサイト訪問者に対してそれが正常に表示されないのなら、問題になりかねない。

パブリッシャーは他で使用している360度写真や動画をFacebookの投稿に埋め込むことができるが、そういったコンテンツを通常のウェブサイトやモバイルで表示させるには時間がかかる場合もあるかもしれない。

Facebookのインスタント記事では表示の遅さの問題はあまりない。 それが良いかどうかに関わらず、多くの人はFacebookで毎日のニュースを見るようになっているが、それでもウェブサイトのパフォーマンスを維持し、多くのオーディエンスが使えるようにする責任がパブリッシャーにはあるだろう。

[原文へ]

(翻訳:Nozomi Okuma /Website

「360度動画のテレビ局を目指す」360Channelが本日ローンチ

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360Channelは本日、オリジナルの360度動画の配信サービス「360Channel(サンロクマルチャンネル)」をローンチしたことを発表した。360Channelはコロプラの100%子会社で、VRで視聴できる360度動画に特化したサービスを提供するため昨年11月に設立した。これまで事業内容や提供サービスなどに関する情報開示をあまり行ってこなかったが、今月16日になって360度動画の配信サービスを開始すると発表していた。そして昨日、本日のサービスローンチに先駆け、メディア向け発表会を開催したので、その内容をお伝えしたい。

360Channelは「360度動画のテレビ局」を目指すと同社経営企画の中島健登氏は話す。360Channelでは、オリジナルの360度動画製作と動画配信を行う。360Channelは現在20名ほどの社員を抱え、テレビ番組や広告映像の製作に携わってきたメンバー、そして360度動画を製作するための映像をスティッチする部隊で高品質の動画コンテンツをユーザーに届けると話す。

最初に手がけるのは「バラエティ」「旅行」「ライブ」「パフォーマンス」「体験」「ドキュメンタリー」といったカテゴリーの6チャネルで、ローンチ時では22のコンテンツが視聴可能だという。1コンテンツの長さは5分から10分程度だ。お笑い芸人のチュートリアルが司会を務めるバラエティー番組やアイドルの音楽ライブ、ANAと協力し製作した機体工場見学などのコンテンツがある。動画の更新頻度に関しては、ユーザーの視聴習慣を促せる頻度で行ってしていきたいと360Channelは話す。

動画製作には、下の写真にあるGoProのアクションカメラを複数台取付けたVRカメラを使用しているという。

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動画コンテンツはPC、スマホ、そしてヘッドマウントディスプレイ(HMD)で視聴可能だ。ローンチ時にはOculus RiftとGear VRに対応している。順次他の機種にも対応予定だという。ユーザーは360Channelにアカウント登録をすることで動画コンテンツをお気に入りに登録することもできる。

Gear VR

Gear VRと360Channelのアプリ

今回、Gear VRとOculus Riftのどちらでもコンテンツを視聴した。Gear VRとOculus Riftの性能に差があるため操作方法が少し違ったり、動画の画質にも少し差があるが、360Channelでできることは基本的には一緒だという。

360Channelの「チャンネル」は、テレビのようにずっとコンテンツを配信しているということではなく、番組名を指しているようだ。見たいチャンネルの中に複数ある録画コンテンツの中から一つを選んで視聴する形だ。360度動画はYouTubeでもFacebookでも平面のものはいくつか見たことがあるが、HMDで見る360度動画は臨場感があり、ありきたりな表現だが本当にその場にいる雰囲気が味わえた。旅行番組では行ったことがない街のお店を見てまわっているような感覚になり、アイドルの番組では実際に話しかけられているようにも感じられた。ドキュメンタリー作品である熊本の震災現場を写した動画では、これまであまり自分ごととして感じていなかった震災がすごく身近に感じられて恐いと思う反面、震災への備えをしたり、危機感を持とうと思えた。

360Channelの体験デモ

私は今回初めてHMDで360度動画を視聴したが、操作方法は直感的ですぐに慣れることができ、意外とHMDも軽くて快適だった。動画コンテンツも頭の動きと動画表示の差はさほど感じなかったので、違和感なく楽しむことができた。ただ、自分で動画内を見回すという狭い範囲での動きは可能だが、当然のことだが動画の中で歩くことはできないし、また動画は定点で撮影しているものが多く、動画の中でシーンが切り替わることでしか次の場面に移動することもない。動画の中では、さもその場を歩いて回ったり、興味がある箇所に近寄ったりできそうな感覚なのに、そうできないのはちょっともどかしく感じた。

360Channelでは、今後動きに対応する端末への対応や動画にインタラクティブな要素を加えたり、生中継などのコンテンツも追加したりすることも考えていると話していたので、さらにコンテンツが充実していくことに期待できそうだ。

Gear VRは昨年の12月、Oculus Riftは今年の3月末に一般向けに発売されたことを考えると、まだVRが普及するには時間がかかるかもしれない。今後魅力的なコンテンツが増えるほど、より多くの人がHMDを手に取る機会も増えていくだろう。