小売業者と新進ブランドの商品を結びつけるマーケットプレイスAboundが約24.2億円を調達

Abound(アバンド)は、独立系小売業者が新進気鋭ブランドの新製品を販売するのを支援するオンラインマーケットプレイスを運営するスタートアップだ。同社は初の機関投資家向け資金調達ラウンドで、2290万ドル(約24億2000万円)を調達したと発表した。

CEOのBill Shope(ビル・ショープ)氏は、Niklas de la Motte(ニクラス・デ・ラ・モッテ)氏、Drew Sfugaras(ドリュー・スファガラス)氏とともにAboundを設立した。ショープ氏の話によると、小規模な小売業者は常に新製品を探しており、年に数回のトレードショーに参加しているという。一方、Aboundを使えば、それらの業者はオンラインショッピング形式で商品を見つけることが可能になる。卸売価格(最大50%の割引)で仕入れることができ、返品は無料、さらに場合によってはNet 60の販売条件(小売業者は請求書発行から60日以内に支払いをすればよい)が適用される。

Aboundは実のところ、メーカーの代表者と小売業者をつなぐコミュニティとしてスタートしたのだが、「そのモデルでは限界が見えていた」とショープ氏は語る。そこでチームは、この体験をサポートすることに決め、まずは募集した50のブランドに、無料のコンサルティングを提供するところから始めた。その条件は、2019年10月に開始するマーケットプレイスに参加するブラントの1つとなることだった。

いうまでもなく、それから数カ月の間に小売業を取り巻く環境は劇的に変化した。新型コロナウイルスの影響で、店舗は閉鎖を余儀なくされたり外出自粛により客足が減った。ショープ氏によるとAboundの売上は短期的に激しく落ち込んだものの、すぐに回復し「すべての展示会がキャンセルされた」ため、成長を維持したという。

これは、Aboundがeコマース小売業者をサポートしていることも理由の1つだが、成功している店舗の小売業者は、実店舗の運営を継続しつつ、迅速にウェブサイトを起ち上げ、カーブサイド・ピックアップ(事前にネットなどで注文した商品を、店舗に入らなくても駐車場などで受け取ることができるサービス)のような機能を追加するなど、「非常に強力なハイブリッドモデル」を持っていたからだと、ショープ氏は指摘している。

画像クレジット:Abound

Aboundでは2020年に入ってから、ベビー・キッズ用品、美容、飲食、ホーム&リビング、ジュエリーなどのカテゴリーで、18万点の新商品を追加しており、毎月の販売量は20倍に増加しているという。

「小売業の観点からいえば、(新型コロナウイルス流行以前の購買モデルに)戻ることはないと思います」と、ショープ氏は語っている。ウイルス感染が拡大する以前でさえ、独立系小売業者はAmazon(アマゾン)やWalmart(ウォルマート)のような大手企業と競わなければならなかった。「最寄品で大手に勝つことはできません。消費者が新しいブランドを発見したり、利益の10%を慈善団体に寄付したりするような店は、消費者を自分の店に引き込むために必要なストーリーや品揃えを備えているものです」。

今回の資金調達は、Left Lane Capital(レフト・レーン・キャピタル)が主導し、RiverPark Ventures(リバーパーク・ベンチャーズ)、All Iron Ventures(オール・アイアン・ベンチャーズ)、そしてブランディング会社のRed Antler(レッド・アントラー)が参加した。この資金によって、Aboundはチームを成長させ、国際的に事業を拡大し、製品の開発を継続することができる。

Left LaneのマネージングパートナーであるHarley Miller(ハーレイ・ミラー)氏は、声明の中で次のように述べている。

私の家族は過去20年間、独立系小売業を営んできました。成長するにつれて、私は多くの業界イベントに参加するようになったことで、卸売の売買がいかに最適化されていないかを、長年の間に理解するようになりました。2020年と2021年にはほとんどの主要な展示会が中止されるため、新興ブランドや独立系小売業者は、ビジネスの成功につながる新しい流通チャネルを模索してきました。Aboundは、中小企業が最も必要としている時期に、従来の卸売モデルに代わるエキサイティングでユニークな代替手段を提供しています。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:Aboundeコマース資金調達マーケットプレイス

画像クレジット:Toshiro Shimada / Getty Images

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(文:Anthony Ha、翻訳:Hirokazu Kusakabe)