Facebook、ブラックフライデーとサイバーマンデーをの前に広告システムが「断続的」中断

広告ネットワークの大規模なダウンの翌日、オンライン広告プラットフォーム最大手のFacebookは、広告主にとってもっとも重要なこの時期に今も広告システムの「断続的」問題を起こしている

同社広報担当者によると、ほとんどのシステムは復旧したが、断続的な問題が広告主に影響を与える可能性がある。

昨日(米国時間11/20)の大部分の時間、広告主はキャンペーンの作成や編集のためにAds ManagerやAds APIツールを使うことができなかった。

同社は既存の広告は配信されたと言ったが、広告主が新しいキャンペーンを設定したり、既存のキャンペーンに変更を加えることはできなかったと複数の広告ネットワークユーザーが言った。

Facebookによると、レポーティング機能は全インターフェースで復旧しているが、コンバージョン率のデータは米国では一日中、その他の地域では夕方に遅れがでていた。

ダウンの影響を受けたキャンペーンがいくつあったのか、広告プラットフォーム休止の補償や穴埋めをするかとうかについて、Facebookはコメントしなかった。

一部の広告主は今も機能停止状態にあり、不満を表わしている。

[メディアバイヤーがブロガーに費用を払うことをからかったり笑ったりするのは簡単だ。しかし私は違う。多くの中小ビジネス、なにやり私の生活はこのしくみに依存している。Facebookには説明責任がある。アドマネージャーが28時間停止していることで仲間の会社はすでに影響を受けている。]

これはほかにいくつもの部分に問題を抱えている会社にとって残念な状況だ。しかも、いじめやヘイトスピーチやFacebookの収益に影響を与えない誤情報などの問題と異なり、広告の販売はFacebookが金を稼ぐ手段そのものだ。

1年で一番忙しい買い物シーズン(すなわち1年で一番忙しい広告シーズン)に広告の反響を見ることができず、一部のデベロッパーが未だに断続的停止を経験しているのは悪い兆候だ。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

VRコンテンツに特化した広告ネットワーク「VRise Ad」、クローズドベータテストを開始

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盛り上がりを見せるVR市場にまた新たなスタートアップのサービスが登場した。VRizeは8月4日より、VR内動画広告ネットワーク「VRize Ad」のクローズドベータテストを開始する。申し込みは同社のウェブサイトから行えるが、利用は一部の開発者に限定する見込みだ。正式版のリリースは2016年秋の予定だ。

VR内動画広告ネットワーク——ちょっと聞き慣れないかも知れないが、これはVR向けのコンテンツ内で表示される動画広告のアドネットワークだ。VRアプリを制作する開発者がVRize Adの提供するSDKを組み込むことで動画広告の配信が可能になる。海外を見ると、アプリ向けリワード広告を手がけるTapjoyの元CEOであるMihir Shah氏らが手がけるImmersvなどが同種のサービスを展開しているが、VRize代表取締役の正田英之氏によると、国内企業としては初のプロダクトになるという。

VRise Adで提供する広告は大きく3つ。1つは360度動画を使った広告、もう1つはVR空間にバーチャルな部屋を作り、その中に巨大スクリーンを設置。そのスクリーン上で広告を配信するテレビCM風のもの。そして最後はCGのオブジェクトをVR空間上で動かして表示するものだ。

特に最後の広告については自分で書いていても説明が難しいのだけれども、ゲームアプリなどで言うところの、ステージクリアごとに画面にポップアップ表示される「インタースティシャル広告」の3DCG版といったような印象を受ける。僕がデモで見せてもらったのは、スポーツの360度動画を再生する際、清涼飲料水とそのロゴの3DCGがどこからか目の前に飛んできて目の前に数秒表示され、消えるというものだった。

VRコンテンツに関しては言葉で表現するのは難しいけれども、テレビのCMなんかよりも短く(2、3秒)、かつ目の前に迫ってくる面白さもあって(これは慣れの問題もあるかもしれない)、ユーザーとして決して受け入れにくいモノではないと感じた。正田氏に聞くと、VRiseでもこの最後の広告がビジネスの中心になると考えているそう。今後はアドネットワークのシステム開発だけでなく、CGの制作も請け負う予定だとしている。

VRiseは2016年2月の設立。代表の正田氏は、以前にInstagramを活用したフリマアプリの「10sec」を米国で展開していた人物。独自のフリマアプリなども開発していたが、2015年秋にサービスをクローズ。当時からのメンバーであるCTOの露木雅氏と新会社を立ち上げて二度目のチャレンジとしてVR広告に取り組んでいる。今春にエンジェル複数人から資金を調達。6月に独立系ベンチャーキャピタルのTLM、East Venturesから資金を調達している(いずれも金額、出資比率等非公開だが合計で数千万円前半と見られる)。

VRise代表取締役の正田英之氏(左)と、CTOの

VRise代表取締役の正田英之氏(左)と、共同創業者でCTOの露木雅氏(右)

ソフトバンクが2億ドル出資したモバイル広告のInMobi、対話的ビデオ広告のプラットフォームをローンチ

InMobiは119億ドルのモバイル広告マーケットでさらに大きなシェアを獲得すべく、今日(米国時間2/10)、新しいモバイル・ビデオ広告プラットフォームをローンチした。

この広告プラットフォームはInMobiがGoogleやFacebookに匹敵するようなエコシステムの構築を目指す努力の一環だ。昨年の10月、InMobiはモバイル広告の効果を強化するような広告パブリッシャー向けホワイトラベルのアプリストアを立ち上げている。

InMobiのCEO、Naveen Tewariは私の取材に対して、「向こう半年から1年の間にわれわれの既存の広告主の30-40%は新しいプラットフォームに移ると考えている。InMobiの売上の少なくとも25%は近くビデオ広告にシフトするはずだ。これは同時に、これまではテレビに出稿していた新しい広告主の獲得にもつながるだろう」と答えた。

InMobiが発表した顧客の反応からするとTewariの予測は楽観的にすぎるということはなさそうだ。

正式ローンチ前の数週間、世界で9社がベータテストに参加し、それぞれ5万ドルを投じてビデオ広告を掲載したところ、2億回の再生、6万件のコンバージョンがあったという。

新しいビデオ広告プラットフォームはテレビCMで流していたようなビデオを単にモバイル・デバイスに表示するわけではない。InMobiによれば「顧客との対話性を向上させることによって、テスト参加企業の場合、反応は5倍になり、売上も大きく伸びた」ということだ。これには昨年のOverlay Mediaの買収によるコンテキスト・ターゲティングの能力も大きな力になっている。

InMobiは2年後には売上10億ドルを達成すると期待されている(2013年の売上は5億ドル)。同社のモバイルへのシフトは、ユーザーがモバイル化しているだけでなく、もっとも多くのイノベーションと競争が生まれている分野だということもあって、なおさら重要だ。

ユーザー総数6億9100万人の広告ネットワーク(人数ではFacebookに次いで2位)のInMobiはこれまでに2億1600万ドルの資金をSoftBank、Sherpalo Ventures、Kleiner Perkins Caufield & Byersなどから調達している。2011年にシリーズCのラウンドでSoftBankから2億ドルを調達した後、InMobiはMMTGLabs、Appstores.com、Overlay Mediaの3社を買収している。

InMobiはコンテキスト対応モバイル・ビデオ広告を武器に差別化を図っている。これはOverlay Mediaを昨年買収したときからの戦略だ。 しかし同時にInMobiのビデオ広告はテレビCMでは不可能な対話性により、顧客からリアルタイムの反応を引き出すことができる点が重要だ。

InMobiのビデオ広告は個人の特性、ロケーションその他のコンテキスト情報にもとづいてターゲティングされている。たとえば、夏の暑い日にスターバックスの近所にいるユーザーのスマートフォンに冷たい飲み物の広告を表示するようなことができる。またビデオ広告をクリックしてリアルタイムで購入を行うことも可能だ。

「InMobiのモバイル・ビデオ広告はすでに10億回以上の再生に成功し、世界的なスケールを実証することができた」とプロダクト担当副社長のPiyushShahはコメントした。

InMobiのモバイル・ビデオへのシフトはオンライン広告市場の大きな流れを表すものだ。インストールベースも滞在時間でもますますユーザーのモバイル化が進み、GoogleからFacebookまで有力プレイヤーはすべてこの方向に動いている。伝統的なバナー広告はすでに過去のものだと考えられる中、どのプレイヤーがどのような成績を上げることになるのか注目だ。

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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+