広告をブロックするブラウザーBraveがDow Jones Media Groupとパートナーしてブロックチェーンを実験

Mozillaの前のCEOだったBrendan Eichが始めた広告をブロックするWebブラウザーBraveに、少なくとも一社の、大手ニュース発行者が味方についたようだ。

Brave Softwareと、Dow Jonesのメディア部門Dow Jones Media Groupが今日発表したパートナーシップにより、Media Groupのコンテンツ、具体的にはBarrons.comや有料のニューズレターMarketWatchへのフルアクセスが、Braveブラウザーをダウンロードしたユーザーの一定数に、早いもの勝ちで提供される。

さらに、Barron’sとMarketWatchは、BraveのBasic Attention Token(BAT)プラットホーム上の公認パブリッシャーになる。それは、消費者と、最終的には広告主たちがパブリッシャーに支払うための、ブロックチェーンを使ったシステムだ(Braveは昨年、ICOで大成功を収めた)。

そして両社は、メディアや広告の業界におけるブロックチェーンのさまざまな有効利用について今後実験を重ねていく。

Barron’sのSVP Daniel Bernardが、発表声明で述べている: “グローバルなデジタルパブリッシャーとして弊社は、高品質な顧客体験の構築に利用できる新しいテクノロジーを継続的に探求していくことが重要、と信じている”。

なお、パートナーシップの相手はDow Jones Media Groupであり、The Wall Street Journalなどを発行しているより大きなDow Jones本体*ではない。また両社の発言からは、実験が今回のパートナーシップの主な目的であることが伺われる。〔*: さらにそのオーナー企業がNews Corp.〕

でも、パブリッシャーたちはこれまでもっぱら、ブラウザーの広告ブロック機能を痛烈に批判してきたのだから、今回の動きは劇的な変化だ。たとえば2年前には、WSJ紙を含む新聞発行者のグループが、Braveのビジネスは“われわれのコンテンツを盗んでWebサイト上に載せることと同じだ”、とする書簡を発表した

Braveはまた、最近発表したリフェラルプログラム(referral program, 紹介制度)により、ファンをBraveブラウザーに切り替えさせたクリエイターに報奨としてBATを提供している。その発表声明の中では、当ブラウザーの月間アクティブユーザーが200万、と言っている。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

GoogleがChromeブラウザーに広告ブロック機能を実装中とか

今朝のWall Street Journal紙の記事によると、GoogleはChromeブラウザーにアドブロッカー(ad blocker, 広告ブロック機能)を、デフォルトでは全ユーザーの標準機能として搭載するらしい。Googleは収益の大半が広告収入だから、ちょっと首を傾(かし)げたくなる決定だが、むしろこれは、そのほかのアドブロッカーをブロックするための手段かもしれない。

Chromeに最初からアドブロッカーがあって、ポップオーバー(pop-over, 閲覧中のコンテンツをいきなり隠すやつ)とかオーディオやビデオの自動再生などをブロックしてくれるなら、ユーザーはサードパーティ製のアドブロッカーを探さなくてもよい…というGoogleの魂胆だ。WSJの記事によると、GoogleはAdblock Plusなどのサードパーティ製ブロッカーと交わす契約が、本当は嫌である。なぜなら、ブロックされた良質な広告にはGoogle自身が金を払ってブロッカーのフィルタを迂回しなければならないからだ。

今のChromeはWebブラウザーの半分近いマーケットシェアを握っているから、そこにアドブロッカーが標準であることになれば、サードパーティ製の命は絶たれる。ユーザーとしては、自分でわざわざアドブロッカーを探す必要がなくなるからだ。

それはまるで、Amazonがeコマースの覇者になった過程に似ている。長年の薄利多売…この場合は薄利どころか、アドブロッカーの無料提供による、市場支配だ。Googleは広告の全面排除を狙ってはいないが、消費者はユーザーフレンドリーで、受け入れてもよい広告だけを見られる、という利益を得る。アドブロッカーを1秒間offにしただけで、今の状況のひどさを実感できるからね。

ただしこの計画には、落とし穴がたくさんある。Google自身もアドバタイザーだから、広告を強力にコントロールすれば業界の批判を招き、公取などのお役所も介入してくるかもしれない。WSJの記事は、計画はまだ未確定と言っているが、数週間以内で、たとえば5月のI/Oカンファレンスあたりで発表されるかもしれない。そうなれば、これがインターネット上の広告産業全体に与える影響を、われわれはすぐに、目にすることができる。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

JavaScriptの作者でMozillaの元CEOが広告ブロック機能のあるブラウザBraveを立ち上げ

adblocking

プログラミング言語JavaScriptを作り、Mozillaの前のCEOだったBrendan Eichが、新しいことを始めた。それは、広告をブロックするけれどパブリッシャーの収益性は犠牲にしない、というブラウザだ。ブロックする広告は、パフォーマンスの足を引っ張ったり、個人データを使うものが主だ。

EichのスタートアップBrave Softwareは、今日そのブラウザを一般公開するのではなくて、そのビジョンの概略を述べるとともに、サインアップしたユーザに初期的バージョンへのアクセスを提供する。同社のホームページでEichは、アドブロッカーは快適なWeb閲覧体験を提供するが、しかしそれは電車やバスのタダ乗りのようでもあり、戦争を招きかねない、と述べている。つまり、良質なパブリッシャーも傷つけられてしまい、アドブロッカーをブロックする“軍拡競争”になる、というのだ。

“弊社Braveが作ったソリューションは戦争を避け、ユーザに、Webを閲覧すると同時にWebに貢献もできる公正な取引機会を与える”、とEichは書いている。彼はインタビューで、“うちが作っているのは、アドブロッカーよりもっと大きなものなんだ”、と語った。

基本的には、Braveは広告をブロックするブラウザであり、さまざまなデータ収集機能もある。アナリティクスのためのスクリプトや、インプレッショントラッキングピクセルなどだ。Eichは、“うちは藻がいっぱい茂ってしまったプールを清掃する”、と言う。

ここにはしかし、重要なニュアンスもある。まず、Eichによれば、Braveはすべての広告をブロックするわけではない。ネイティブでトラッカーのない、パブリッシャー自身のデータしか使わない広告は正規のコンテンツだから、ブロックしない。

さらに、たぶんもっと重要なのは、Braveが自分の広告を挿入するかもしれないことだ。それは、ページのパフォーマンスを大幅に劣化させず、個人データを使ったターゲティングもしない広告だ。Eichは、こう説明している:

デフォルトでBraveは、広告を標準的なサイズでのみ挿入する。そういうスペースをクラウドロボットを使って見つけるが、ユーザが気づくほどの遅延や電池の消耗は生じない。広告のターゲティングはブラウザ側の通常言語による指定に基づいて行い、恒久的なユーザIDやユーザを同定しやすいクッキーは利用しない。

広告をブロックするけど自分の広告は出す、というアドブロッカーを、偽善と呼ぶのは簡単だ。Eichも、ブロッカーを通過させるアドバタイザーたちのホワイトリストは、身体検査をする関所のように思われるかもしれない、と述べている。しかし、微妙な違いにすぎないようだが、Braveがやりたいのは、承認するアドバタイザーのリストを作ることでも、がつがつとドルを追求することでもない: “Braveのユーザが十分に価値あるオーディエンスを形成し、弊社の、ブラウザサイドだけの情報に基づく匿名ターゲティングに、自然にアドバタイザーが集まることを期待したい。私たちは、ゲームをやりたいわけではない”。

このような、Braveからの独自広告は、収益の55%以上がパブリッシャーへ行き、比率は、ブラウザの成長とともに最高値の70%へ近づいていく。消費者もその収益の分け前に与り、それをBitcoinのウォレットでお気に入りのパブリッシャーに寄贈することもできる。

このやり方で、消費者やパブリッシャーの心を掴むことができるだろうか? 広告ブロックに対するあらゆる批判をかわせるだろうか? それはありえない、とは思うが、でもEichは、前向き思考で、そして、そう、勇敢な(brave)人びとを集めたい、と願っている。

[原文へ]。
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa)。