アドビが「Experience Cloud」のカスタマージャーニー分析に新たな実験機能を追加

Adobe(アドビ)は米国時間3月15日、同社の「Experience Cloud(エクスペリエンス・クラウド)」製品群に含まれる、プラットフォーム全体で顧客を追跡するツール「Customer Journey Analytics(カスタマージャーニー分析)」に導入された多数の新機能を発表した。

新型コロナウイルス感染流行から、より多くのブランドとその顧客がオンラインショッピングへの移行を加速させる中、チャンネル(ウェブ、モバイル、店舗など)をまたいでユーザー体験を管理し、パーソナライズできるようにする必要性も高まっている。しかし、これらのデータをすべて追跡してダッシュボードにプロットすることと、その実用価値を高めることは、また別の話だ。

画像クレジット:Adobe

小さな変化でも、さまざまなプロパティをまたがってカスタマージャーニー全体にどのような影響を与えるかを、企業がより理解しやすくするために、アドビは企業が現実のシナリオをテストして、その結果を分析できる新しい実験機能の提供を開始した。例えば、モバイルアプリに変更を加えることによってコールセンターへの問い合わせが減少するかどうかを確認したり、ウェブサイトを変更するとモバイルアプリのダウンロードが増加するかどうかなどを確認することができる。これは基本的に、カスタマージャーニー全体を対象とするA/Bテストだが、さらに企業はこのデータを使って、個々のユーザーや大規模なユーザーセグメントに向けて、ユーザー体験を正確にパーソナライズできるという利点もある。

これらはすべて機械学習モデルによって行われるもので、膨大なデータセットから相関関係を容易に見つけ出すことができる。アドビによると、このアルゴリズムは「過去のデータ、比較可能なキャンペーン、進行中のベンチマークなど」を参照するということだ。

「現在、人々はしばしばデジタルを使って、以前にはやらなかったかもしれないようなことを始めています。彼らは1つの結果を得るために、複数のデバイスを通じて複数のチャネルに関与しているのです」と、Adobe Analytics(アドビ・アナリティクス)のプロダクトマーケティング担当ディレクターを務めるNate Smith(ネイト・スミス)氏は筆者に語った。「このことは、生涯価値と顧客保持に力を入れる多くのブランドにとって、オムニチャネル分析の優先順位を押し上げることになりました。問題になっているのは、そのような分析を行っている方法です」。

スミス氏は、従来のアプローチ、すなわちデータウェアハウスやデータレイクへのデータパイプラインとか、SQLレイヤーとその上の可視化ツールといったやり方では、一見シンプルだがコード化するのが難しい質問に対する迅速な答えを関係者が必要としている環境では、あまりにも複雑で効率が悪いと主張する。

「私たちのカスタマージャーニー分析では、Adobe Experience Platform(アドビ・エクスペリエンス・プラットフォーム)に用意されている多くの専用コンポーネントを利用できます。このプラットフォームは、当社がこの分野で買収した企業がネイティブに接続できるように、この数年間で完全にネイティブに構築されています」と、スミス氏は語る。「他の多くのベンダーが、マーケティング・クラウド・ポートフォリオを構築するために大規模な買収を行っていますが、当社はそのためのプラットフォームを実際に開発しました。なぜなら、これらをすべて機能させるためのダクトテープや針金は、ある時点でなくなってしまうからです」。

このカスタムプラットフォームがあるからこそ、新たな実験機能にチームはデータを送り込むことができる。スミス氏が指摘するように、これは開発者が既存のあらゆるツールを使って、これらのテストを構築できることも意味する。

アドビはまた、カスタマージャーニー分析が持つ顧客セグメントの発見機能と「Customer Data Platform(カスタマーデータプラットフォーム、CDP)」との間の新たな統合も構築した。「カスタマージャーニー分析で発見したオーディエンスをCDPで実際に共有し、どのシステムでもそれに対するアクションを起こすことができます」と、スミス氏は説明する。「私たちにとって、インサイトを発見するだけでなく、インサイトを最終的に活性化できるというのが、本当にエキサイティングな瞬間なのです」。

画像クレジット:David Paul Morris/Bloomberg / Getty Images

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(文:Frederic Lardinois、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

Adobe、パーソナライゼーションに注力してExperience Cloudをアップデート

Experience Cloud(エクスペリエンス・クラウド)は、Adobe(アドビ)のデジタルエクスペリエンスソリューションのための包括的なブランドだ。含まれる代表的な機能は、データと分析サービス、コンテンツ管理ツール、コマースプラットフォーム、そして2020年のWorkfront(ワークフロント)の買収によって取り込まれた、完全なマーケティングワークフロー管理サービスなどだ。Experience Cloudブランドは、同社の2017 Digital Marketing Summit(デジタル・マーケティング・サミット2017)でデビューした。このイベントは現在Adobe Summit(アドビ・サミット)と呼ばれていて、ちょうどCreative Cloud(クリエイティブ・クラウド)を中心とするAdobe MAXカンファレンスを、Experience Cloudを中心にしたものに相当すると考えることができる。米国時間3月15日、同社は2022年の(仮想)カンファレンスで同社のデジタルエクスペリエンスプラットフォームの新製品やアップデートを多数発表したことは驚きではない。

今回の発表の焦点は、ブランドとそのために働く開発者たちが、よりパーソナライズされた体験を構築し、Experience Cloud内の異なるサービス間のより深い統合を提供することを助ける新しいツールを提供すること、そして長年要望されていたAdobeのCreative Cloudとの統合も提供することだ。

Adobeの戦略・製品担当副社長であるLoni Stark(ロニ・スターク)氏は「私たちがお手伝いする企業は、その顧客によりパーソナライズされた体験を提供する必要があり、このデジタル経済で成功するためのツールを従業員に提供する必要があると考えています」と語る。「コンテンツとコマースに関する革新において私たちが焦点を合わせているのは、ショッピングとコマース体験をパーソナライズするための機能を提供して、顧客体験を開発する組織内のすべての人が、それを行うために必要な最も豊かな資産と洞察を得ることができるようにすることです。私たちの強みは、最高の技術を提供する一方で、開発者が想像するものを構築することを可能にできることであることを認識しながら、私たち消費者が恩恵を受けることができる、より大きなビジネス成長とエキサイティングな体験を推進する手助けができることです」。

とはいえ、おそらく今回の発表会の目玉は、新しいAdobe App Builder for Commerce(アドビ・アップ・ビルダー・フォー・コマース)かもしれない。Adobeは、これを使って、クラウドネイティブのコンテンツおよびコマースアプリケーションを構築するためのツールを開発者に提供する。これは、開発者が一連の開発者用ツールとSDKを通じて、Adobeのコマースソリューションの機能を拡張することを支援するというものだ。これによって、開発者は新しいユーザー体験だけでなく、企業のITスタックの残りの部分との統合を行うためのマイクロサービスも構築することができる。これは2021年末にローンチされたApp Builder for Experience Manager(アップ・ビルダー・フォー・エクスペリエンス・マネージャー)プラットフォームを補完するものだ。

「開発者がExperience Cloudにアプローチする際に、構築のために多すぎるツールを持たせないようにしたいのです。APIゲートウェイで統一されたエクスペリエンスを提供する必要があります」とスターク氏はいう。このApp Builderによって、開発者はより簡単にユニークなストアを構築したり、既存のeコマースツールを拡張してストア内での選択を可能にしたりすることができると指摘した。

画像クレジット:Adobe

統合機能としては、同社のマーケティングワークフロー管理サービスAdobe Workfront(アドビ・ワークフロント)」が、マーケターによるオムニチャネルキャンペーンの管理・分析を支援するJourney Optimizer(ジャーニー・オプティマイザー)と連携するようになった。また、企業内のより多くの従業員がキャンペーンや体験の構築に積極的な役割を果たすようになる中で、同社はCreative Cloudとのより深いつながりを構築して、組織間のサイロを打破し、Adobe Experience Manager Assets(アドビ・エクスペリエンス・マネージャー・アセット) とAssets Essentials(アセット・エッセンシャル)サービス内にあるCreative Cloudライブラリのコンテンツへのアクセスをより多くのユーザーに提供するようになる。

ここでのアイデアは、同社が「エクスペリエンス・フラグメント」と呼ぶものを構築することだとスターク氏は指摘する。これは基本的に企業のコンテンツライブラリを構成する最小単位のことで、これをさまざまなチャネルで再利用することで、ユーザー自身の好みや使用しているプラットフォームに基づいて高度にパーソナライズされたコンテンツを提供することができる。

画像クレジット:Adobe

パーソナライズ化への注力の一環として、Adobeは本日(米国時間3月15日)、B2CやB2Bブランドが顧客行動や製品売上、人気トレンドに基づいてより良いレコメンデーションを提供できるようにする、AI主導の新しい製品レコメンデーション機能をAdobe Commerce(アドビ・コマース)内に組み込んだことも発表した。同社は、この新製品をすでに試用している企業では、受注額が25%以上増加したと主張している。同様に、Adobe Sensei AI(アドビ・センセイAI)プラットフォームを採用した同社の新しいLive Search(ライブ・サーチ)機能は、コンシューマーブランドに、より高速でよりパーソナライズされ、より適切な検索結果を提供するのに役立つ(検索結果がしばしば笑ってしまうほどナンセンスなAmazon[アマゾン]も、おそらくこれを試した方がよいだろう)。

画像クレジット:halbergman / Getty Images

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(文:Frederic Lardinois、翻訳:sako)

Netflix、PayPal、Adobe、Epic Games、任天堂もロシアでの事業停止

ロシアのウクライナ侵攻を受けて、ロシアでの事業を停止するハイテク企業のリストが増え続けている。この動きに最近加わった企業には、Netflix(ネットフリックス)、PayPal(ペイパル)、Mastercard(マスターカード)、Visa(ビザ)などの有名どころが含まれている。

Varietyが最初に報じたように、Netflixは米国時間3月6日、ロシアでのサービスを停止すると発表した。この措置は、同社が先週、ストリーミング配信会社にロシアの20のプロパガンダチャンネルホスティングを義務づけるロシアの新法に従わないと述べたことを受けたものだ。Netflixはまた、ロシアで制作を予定していた今後のすべてのプロジェクトを一時停止している。

Adobe(アドビ)も、ロシアにおける自社製品・サービスの新規販売をすべて停止すると発表した。同社は、自社の製品やサービスが「法律に反した戦争の支援に使用されない」ようにする責任があると信じている、と述べている。

PayPal(ペイパル)は、米国時間3月5日にロイターが最初に報じたように、ロシアでのサービスを停止すると発表した。ウクライナのMykhailo Fedorov(ミハイロ・フェドロフ)副首相はツイートで、PayPalのCEOであるDan Schulman(ダン・シュルマン)氏がこの措置を確認している書簡を公開した。

ロシアから撤退した決済企業はPayPalだけではない。Mastercardは米国時間3月5日、ロシアにおけるネットワークサービスを停止すると発表した。つまり、ロシアの銀行が発行したカードは、今後Mastercardのネットワークではサポートされなくなる。また、ロシア国外で発行されたすべてのカードは、ロシアの商店やATMで使用できなくなる。同社は、適切な時期に業務を復活させるとしている。

同様にVisaも同日、ロシアでの全業務を停止したと発表した。同社は、ロシア国内の顧客やパートナーと協力し、すべてのVisa取引を停止するとしている。ロシア国内で発行されたVisaカードでの取引はすべてロシア国外では機能しなくなり、ロシア国外の金融機関が発行したVisaカードはロシア国内で使えなくなる。

ゲーム会社もまた、テック業界の他の企業とともにロシア国内でのビジネスを終了する。Epic Games(エピックゲームズ)は米国時間3月5日、ゲームに関するロシアとの取引を停止すると発表した。しかし同社は「他のコミュニケーションツールがオンラインであるのと同じ理由で、アクセスをブロックしていない。自由な世界は、すべての対話をオープンにしておくべきだ」と述べた。

態度を明らかにしたゲーム会社はEpic Gamesだけではない。Activision Blizzard(アクティベーションブリザード)も同じ日にロシアの消費者へのゲーム販売を一時停止すると発表した。同社はまた、ロシアでのゲーム内購入の提供も停止する予定だ。

任天堂も、利用している決済サービスが「ルーブルでの決済処理を停止した」ため、ロシアのeショップを一時的にメンテナンスモードにし、同国でのデジタル販売を停止した。

Snapchat(スナップチャット)は先日、安全予防策としてウクライナで公開されているSnap Mapの「ヒートマップ」を無効化すると発表し、対応を拡大した。ヒートマップ機能は通常、人々が多数のSnapを共有した場所を目立たせる。この措置は、同社がその前にロシアで広告を一時停止していると発表したのに続くものだ。

また、TikTok(ティクトック)は米国時間3月6日、ロシアの新しい「フェイクニュース」法に対応して、ライブストリーミングと動画サービスの新コンテンツを停止すると発表した。この法律では、ロシア政府がウクライナ侵攻に関する偽情報と見なすものを公開した者は刑務所に入ることになる、と脅している。TikTokは、従業員とユーザーの安全を維持するために、同国での事業を停止することを決定した。

Samsung Electronics(サムスン電子)は「このところの地政学的な動きにより」ロシアへの全製品の出荷を停止すると発表した。出荷が停止された製品には、スマートフォン、半導体、家電製品などが含まれる。この動きは、デバイスメーカーのApple(アップル)やDell(デル)、チップメーカーのIntel(インテル)、ソフトウェア大手のMicrosoft(マイクロソフト)からの同様の発表に続くものだ。

GrubHub(グラブハブ)は、ロイターが最初に報じたように、ロシアのテック大手Yandex(ヤンデックス)との提携を終了すると発表した。複数年にわたるこの提携は、大学生に食事を配達するドライバーレスロボットに関するものだった。Grubhubは、欧州最大の食事宅配会社Just Eat Takeaway.com(ジャストイート・テイクアウェイ・ドットコム)の一部門だ。

ロシアに対抗する姿勢を示したこれらの最新の企業グループは、AppleやGoogleなどの仲間入りをしている。Appleは3月1日、ロシアでの製品販売を停止したことを認めた。また、App StoreからSputnikとRT Newsを削除し、同国でのApple Payサービスの一部を無効にしたGoogleはAppleに続き、自社のモバイルアプリストアからRT(ロシア・トゥデイ)とSputnikのアプリを削除した。Googleはロシアでの広告販売も一時停止した

画像クレジット:NurPhoto / Contributor / Getty Images

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(文:Aisha Malik、翻訳:Nariko Mizoguchi

アドビ、同社コアアプリの機能やAIツールをそれぞれ必要十分なだけ利用する新ツール「Creative Cloud Express」を発表

Adobe(アドビ)は米国時間12月13日、Creative Cloud Expressの提供を開始した。これは、広範をカバーするCreative Cloud SuiteとAcrobat PDFツールの優れた機能を1つに統合したモバイルとウェブの新アプリで、ソーシャルメディアへの投稿からプロモーション用のポスターや動画まで、あらゆるものをすばやく作成することができる。

Creative Cloud Expressは、テンプレートファーストのアプローチを採用し、ストック画像やその他のアセットへのアクセスが組み込まれているため、個々のCreative Cloudアプリよりもはるかに利用しやすいものとなっている。このアプリには、無料版と、より複雑なテンプレートのライブラリや機能を追加した月額9.99ドル(約1130円)の有料版が用意されている。この新しいアプリへのアクセスは、AdobeのCreative Cloud All Appsとフラッグシップのシングルアプリプランにも含まれる。

画像クレジット:Adobe

ウェブアプリの他に、無料のアプリがAppleのアプリストア、Google Play、Microsoft Storeで提供されている。

Creative Cloud Expressの一般的な考え方は、プロではない人に自分のビジョンに命を吹き込むために必要なツールを提供することだ。AdobeのAshley Still(アシュリー・スティル)氏が指摘したように、同社は近年、プロではないユーザーを増やしてきた。しかし、これらのユーザーの多くは、最初はCreative Cloudのフルアプリの精度とコントロールが欲しいと考えるかもしれないが、実際には同じタスクを迅速かつ簡単に実行できる方法を求めていることが多い。

「Creative Cloud Expressで行っていることは、幅広いウェブアプリやモバイルアプリ、そしてPhotoshopや画像、動画などのCreative Cloudのコアテクノロジーから得られた知見を、Creative Cloud Expressという統一されたサービスに集約することです。これは、プロセスではなく結果を重視する人たちのためのものです。彼らは真っ白なページからではなく、1億7500万ものAdobe Stockライブラリから画像を選んで始めたいのです。フォントを作成するのではなく、Adobe Fontライブラリにある2万種類のすばらしいフォントにアクセスするのです。チラシを作るために複数のアプリを使い、そして印刷できるようPDFを作成したりはしたくありません。1つの場所ですべての作業ができるようにしたいのです」。

画像クレジット:Adobe

実際には、膨大な数のテンプレートにアクセスできるようになるだけでなく、画像から背景を削除したり、Photoshopスタイルのフィルターやエフェクトを適用したりするツールも利用可能だ。また、Creative Cloud Librariesとの統合により、同僚が作成したPhotoshopやIllustratorの作品を、Creative Cloud Expressアプリで再利用することもできる。

また、動画をGIFに変換したり、文書をPDFに変換したりするツールもある。ここで興味深いのは、Adobe Stockの統合だ。Adobe Stockには無料プランはないが、Creative Cloud Expressの無料版に(いくつかの制限付きで)統合されている。無料プランのユーザーは、約100万点の画像やその他のアセットにアクセスできる。プレミアムプランのユーザーは、1億7500万点のAdobe Stockの写真、2万点のフォント、Photoshop ExpressとPremiere Rushへのアクセスが可能になる。

「Creative Cloud Expressでは、『Less is more(少ない方が豊か)』です」とスティル氏は話す。「Photoshopですべてのことができる必要はありません。例えば、ニューラルフィルターは必要ではなくても、背景の削除や画像の簡単な編集など、いくつかの簡単なことができなければなりません。Acrobatでは、PDFをパスワードで保護する必要はなく、PDFを作成したり編集したりすることができれば十分です。シンプルさの多くは、人々が達成しなければならない最も重要なことは何かということを、私たち自身が編集することで実現しています。彼らの意図は何なのでしょう?」。

Creative Cloud Expressは、ソーシャルグラフィックスや短編動画、ウェブサイトを構築するツールであるSparkを少しだけ進化させたようなもののように感じるかもしれない。Adobeはそうは言わないだろうが、もしSparkが強化されたものとあなたが考えるなら、それは大きな間違いではないと筆者は思う。なぜなら、Creative Cloud Expressは、ユーザーインターフェイスのデザインや全体的な哲学の多くを共有しているからだ。実際、発売前にadobe.com/expressにアクセスすると、Sparkのホームページにリダイレクトされていた。

しかし、スティル氏が述べたように、同社はこれをSpark、Photoshop Express、Premiere Rushなどのアプリの代替とは考えていない。これらのアプリはすべて、Adobeのコア機能やAIツールをより利用しやすくするためのものでもある。

また、Creative Cloud Expressの対象ユーザーはもう少し広い。Adobeは、Creative Cloud Expressを、学生から中小企業の経営者まで、誰もが気軽に利用できるコンテンツ制作ツールにしたいと考えている。

AdobeのCreative Cloud部門の最高製品責任者で執行副社長のScott Belsky(スコット・ベルスキー)氏は「誰もが伝えたいストーリーを持っており、誰もが自分のアイデアを表現できるようにすることが我々の使命です。何百万人もの人々が個人やプロフェッショナルのブランドを構築しているこのユニークな時代に、Creative Cloud Expressを発表できることをうれしく思います。創造、コラボレーション、共有のプロセスを統一するシンプルなテンプレートベースのツールで、誰もが簡単に作成できるようになります」。

画像クレジット:Adobe

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(文:Frederic Lardinois、翻訳:Nariko Mizoguchi

アドビ、同社コアアプリの機能やAIツールをそれぞれ必要十分なだけ利用する新ツール「Creative Cloud Express」を発表

Adobe(アドビ)は米国時間12月13日、Creative Cloud Expressの提供を開始した。これは、広範をカバーするCreative Cloud SuiteとAcrobat PDFツールの優れた機能を1つに統合したモバイルとウェブの新アプリで、ソーシャルメディアへの投稿からプロモーション用のポスターや動画まで、あらゆるものをすばやく作成することができる。

Creative Cloud Expressは、テンプレートファーストのアプローチを採用し、ストック画像やその他のアセットへのアクセスが組み込まれているため、個々のCreative Cloudアプリよりもはるかに利用しやすいものとなっている。このアプリには、無料版と、より複雑なテンプレートのライブラリや機能を追加した月額9.99ドル(約1130円)の有料版が用意されている。この新しいアプリへのアクセスは、AdobeのCreative Cloud All Appsとフラッグシップのシングルアプリプランにも含まれる。

画像クレジット:Adobe

ウェブアプリの他に、無料のアプリがAppleのアプリストア、Google Play、Microsoft Storeで提供されている。

Creative Cloud Expressの一般的な考え方は、プロではない人に自分のビジョンに命を吹き込むために必要なツールを提供することだ。AdobeのAshley Still(アシュリー・スティル)氏が指摘したように、同社は近年、プロではないユーザーを増やしてきた。しかし、これらのユーザーの多くは、最初はCreative Cloudのフルアプリの精度とコントロールが欲しいと考えるかもしれないが、実際には同じタスクを迅速かつ簡単に実行できる方法を求めていることが多い。

「Creative Cloud Expressで行っていることは、幅広いウェブアプリやモバイルアプリ、そしてPhotoshopや画像、動画などのCreative Cloudのコアテクノロジーから得られた知見を、Creative Cloud Expressという統一されたサービスに集約することです。これは、プロセスではなく結果を重視する人たちのためのものです。彼らは真っ白なページからではなく、1億7500万ものAdobe Stockライブラリから画像を選んで始めたいのです。フォントを作成するのではなく、Adobe Fontライブラリにある2万種類のすばらしいフォントにアクセスするのです。チラシを作るために複数のアプリを使い、そして印刷できるようPDFを作成したりはしたくありません。1つの場所ですべての作業ができるようにしたいのです」。

画像クレジット:Adobe

実際には、膨大な数のテンプレートにアクセスできるようになるだけでなく、画像から背景を削除したり、Photoshopスタイルのフィルターやエフェクトを適用したりするツールも利用可能だ。また、Creative Cloud Librariesとの統合により、同僚が作成したPhotoshopやIllustratorの作品を、Creative Cloud Expressアプリで再利用することもできる。

また、動画をGIFに変換したり、文書をPDFに変換したりするツールもある。ここで興味深いのは、Adobe Stockの統合だ。Adobe Stockには無料プランはないが、Creative Cloud Expressの無料版に(いくつかの制限付きで)統合されている。無料プランのユーザーは、約100万点の画像やその他のアセットにアクセスできる。プレミアムプランのユーザーは、1億7500万点のAdobe Stockの写真、2万点のフォント、Photoshop ExpressとPremiere Rushへのアクセスが可能になる。

「Creative Cloud Expressでは、『Less is more(少ない方が豊か)』です」とスティル氏は話す。「Photoshopですべてのことができる必要はありません。例えば、ニューラルフィルターは必要ではなくても、背景の削除や画像の簡単な編集など、いくつかの簡単なことができなければなりません。Acrobatでは、PDFをパスワードで保護する必要はなく、PDFを作成したり編集したりすることができれば十分です。シンプルさの多くは、人々が達成しなければならない最も重要なことは何かということを、私たち自身が編集することで実現しています。彼らの意図は何なのでしょう?」。

Creative Cloud Expressは、ソーシャルグラフィックスや短編動画、ウェブサイトを構築するツールであるSparkを少しだけ進化させたようなもののように感じるかもしれない。Adobeはそうは言わないだろうが、もしSparkが強化されたものとあなたが考えるなら、それは大きな間違いではないと筆者は思う。なぜなら、Creative Cloud Expressは、ユーザーインターフェイスのデザインや全体的な哲学の多くを共有しているからだ。実際、発売前にadobe.com/expressにアクセスすると、Sparkのホームページにリダイレクトされていた。

しかし、スティル氏が述べたように、同社はこれをSpark、Photoshop Express、Premiere Rushなどのアプリの代替とは考えていない。これらのアプリはすべて、Adobeのコア機能やAIツールをより利用しやすくするためのものでもある。

また、Creative Cloud Expressの対象ユーザーはもう少し広い。Adobeは、Creative Cloud Expressを、学生から中小企業の経営者まで、誰もが気軽に利用できるコンテンツ制作ツールにしたいと考えている。

AdobeのCreative Cloud部門の最高製品責任者で執行副社長のScott Belsky(スコット・ベルスキー)氏は「誰もが伝えたいストーリーを持っており、誰もが自分のアイデアを表現できるようにすることが我々の使命です。何百万人もの人々が個人やプロフェッショナルのブランドを構築しているこのユニークな時代に、Creative Cloud Expressを発表できることをうれしく思います。創造、コラボレーション、共有のプロセスを統一するシンプルなテンプレートベースのツールで、誰もが簡単に作成できるようになります」。

画像クレジット:Adobe

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(文:Frederic Lardinois、翻訳:Nariko Mizoguchi

AIでモデルのポーズを変えるアドビのProject Strike a Poseは

毎年開催されるAdobe MAXカンファレンスの目玉の1つは「スニーク」セッションだ。このセッションで同社は最先端研究をしているプロジェクトをいくつかお披露目する。研究成果は主力製品であるCreative Cloudのアプリに組み込まれることもあれば、クールなデモだけのこともある。2021年のAdobe MAXのスニークで興味深かったものといえば、Project Strike a Poseだ。

こんな課題を解決したいとしよう。使いたいモデルの写真はあるのだが、そのモデルがあなたの希望するポーズをとっている写真がない。こんなときにProject Strike a Poseは、別のモデルがあなたの希望するポーズをとっている写真をサンプルにして、AIプラットフォームのAdobe Senseiの活用により、使いたいモデルがそのポーズをとっている写真を自動で生成する。基本的にはモデルのポーズに関するStyle Transferのようなものだ。

画像クレジット:Adobe

サンプルのポーズと大まかに似せただけでもなく、顔を入れ替えただけでもない結果になるのが印象的だ。少なくとも、このプロジェクトに関わるAdobeのリサーチサイエンティストであるKrishna Kumar Singh(クリシュナ・クマール・シン)氏が見せたデモでは、Project Strike a Poseのニューラルネットワークは、例えばモデルが着ている服、モデルの頭の角度、靴までも適切に再現できているようだった。

しかも、モデルが背を向けた写真が欲しいときにもこのツールを使える。ただし下の写真の通り、髪は若干ずれている。

画像クレジット:Adobe

Adobeはこのプロジェクトで使われているアルゴリズムのトレーニングについては説明していない。しかしこのようなニューラルネットワークをトレーニングするには、モデルがさまざまなポーズをとっているサンプルをたくさん使う必要があるのは明らかだ。シン氏はこれまで敵対的生成ネットワークに関する多くの研究をしてきたので、この新しいプロジェクトはすでにその技術をベースにしている可能性がある。

現時点では実験的な研究プロジェクトで、Maxのスニークで披露されるものはたいていそうだが、これがPhotoshopなどのツールに組み込まれれるかどうかはわからない。もしこれがデモと同じように動作するなら(Adobeは人種の異なるモデルを使ってもソフトウェアに問題はないと言っている)、Photoshopなどのアプリ、さらには画像を操作するスキルがさほど高くない人々がすでに広く使い始めているAdobe Sparkなどでも、この機能は間違いなく多くのユーザーに歓迎されるだろう。

残念なことだが、このようなシステムを悪用する方法も容易に想像できる。ディープフェイクや写真の操作が問題となる現在、技術に明るくない人が有名人、あるいは他の誰かの名誉を傷つけるような画像を簡単に作れてしまう。もちろん今でもそうしたことは可能だが、うまくやろうとすればある程度のスキルは要る。Project Strike a Poseなら数回のクリックでできてしまうのだ。

画像クレジット:Adobe

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(文:Frederic Lardinois、翻訳:Kaori Koyama)

アドビが「ウェブ版」アプリに力を入れる理由とは?Creative Cloud製品群・最高製品責任者ベルスキー氏インタビュー

アドビが「ウェブ版」アプリに力を入れる理由とは?Creative Cloud製品群・最高製品責任者ベルスキー氏インタビュー

Webブラウザ版Photoshop

アドビは10月27日から28日にかけて、クリエイティブの祭典「Adobe Max 2021」を開催する。本稿では、同社Creative Cloud製品群の最高製品責任者であるスコット ベルスキー(Scott Belsky)へのグループインタビューを元に、質疑応答の内容を抜粋してお届けする。

アドビ、Creative Cloud担当エグゼクティブバイスプレジデント兼CPO(最高製品責任者)のScott Belsky(スコット ベルスキー)氏

アドビ、Creative Cloud担当エグゼクティブバイスプレジデント兼CPO(最高製品責任者)のScott Belsky(スコット ベルスキー)氏


── 2021年におけるクリエイター市場でのトレンドをどのように把握していますか?

いくつか興味深いトレンドがありました。例えば、写真でしたら、当然普段なら実際にその場所へ行ったりとか、もしくはスタジオで撮影したりするわけです。こういった部分での成長は大きくありませんでした。一方で、ビデオや、3D、「イマーシブクリエーション」と呼ばれる没入型のコンテンツ制作の分野に関しては、かなり大きな成長が見られました。

特に企業やブランドがお客様に対し、エンゲージするためのコンテンツを作りの重要性を認識したことで、さまざまなソーシャルプラットフォーム上でビデオが使われるようになりました。また、3D&イマーシブというセクターにおいては、以前でしたら多くの企業がスタジオで物や人を撮影していましたが、最近は3Dでレンダリングすることが増えてきています。

──トレンドとして挙げられた3D&イマーシブジャンルについて、アドビとしては3Dモデリング制作ツールなどの展開をどうお考えですか?

3D&イマーシブにおけるクリエイティブの世界は、まだ早期の段階にあると思います。これまでにコンシューマーの多くが3Dを経験したのかと考えても、そうではないはずです。一方で、将来的には私たちは、ARを駆使した世界で生活し、エンターテインメントの多くもVRになっていくことでしょう。こういった世界においては、全てのクリエイティビティに関するプロフェッショナルが3Dや没入型、あるいはインタラクティブなコンテンツものを作らなくてはならなくなります。

私たち自身がよりバーチャルな世界で生活することを「メタバース」と言ったりもします。そんな世界では、ファッションや、アクセサリー、そして3Dの空間といったものが、一層必要とされてくるのだと思います。そのため、私たちにとっても、「Adobe Substance 3D Collection」を充実させるのが非常に重要だと思っています。これはクリエーターの方々が、新しいバーチャルな世界において、制作活動を続けていくために欠かせません。そのためには、 やはり3Dの能力や機能をPhotoshopやIllustratorといったプロダクトに含めていくことが重要であると考えています。

──今回、Creative CloudスペースやCreative Cloudカンバスなど、Web上でのコラボレーションを想定した新サービスが登場しました。その背景についてお聞かせください。

クラウドドキュメントの開発は、私たちにとっても長い旅路になると思っています。元々、最終的には全てのプロダクトをクラウドに持っていきたいという意図はありました。また、お客様からも私たちの製品をあらゆるところで使いたい、例えば「どんな場所にいてもiPadでPhotoshopを使いたい」とか、「Webでのコラボレーションをより簡単にしたい」といった、要望がありました。

こうした背景もあって、私たちはクラウドドキュメントに対して方向性を定めなければいけないと考えてきました。アドビという企業はかつて、ローカルでのファイル格納や、デスクトップ製品に慣れていました。そういう意味において、Web上でのサービス提供は大きなトランスフォーメーションになると思います。こうした変化は、コロナ危機によって加速したと言える側面もあります。

私たちとしては、クラウド上にプロダクトを持ってくることによって、より多くの可能性を開放できると考えています。皆さんがより共同作業を行いやすくなりますし、異なるデバイスを使うこともできる。クラウドでしか実現できないようなAIのパワーをワークフローに取り入れることも可能です。さらに、その他のWebアプリケーションやクラウドサービスとの相互接続性も担保されていきます。

──10月に買収完了した「Frame.io」についてお伺いします。同社由来の機能をCreative Cloud製品群へのネイティブに実装することで、どのような進化が期待できるでしょうか?

Creative Cloudの全てのセグメントでどのようなコラボレーションをしたいか、を表しているのがこの「Frame.io」です。まず、このFrame.ioには、深いオプションがありまして、権限管理や、ビデオのウォーターマーク(透かし)付与、エディターのフィードバックの管理などが行えるのが特徴です。Frame.ioを使うようになったお客様は、よく「Frame.ioを使っていなかったころ、どうやっていたのか覚えていない」と仰られることが多いですね。

我々は、Adobeのプロダクトを利用する全てのお客様に対して、こういった魔法のようなコラボレーション機能を同じレベルで提供したいと考えています。

──Adobe MAXの完全オンライン開催は今回で2年目になります。昨年の経験が活かせた部分などはありますか?

「どういうふうになるのか」が何となく想像がついている点で、昨年よりも今年の方がよりリラックスして臨めましたね。例えば、私は基調講演の収録をしますので、自分が語りたいストーリーを考える際に、新しい人たちだったり新しい製品だったり、新しい声だったりを十分にカバーできたと思います。

ただ、そうは言っても、実際にお客様とお会いするということがなかなかできないのは少し残念には感じます。通常でしたらカリフォルニアや東京で行うイベントですので、現場でコミュニティやお客様との繋がりが生まれることになります。それができないのは大変残念です。

将来的には、オフラインとオンラインのハイブリッドでできればな、と思います。オンラインのセッションで何百万人もの人たちに、色々と語る機会があって、同時にコミュニティの繋がりを生むイベントなどもできればいいなと思っています。

──ありがとうございました。

なお、昨年開催されたAdobe MAX 2020における動画視聴回数は2100万回以上を記録したという。400以上のセッション、キーノート、MAX Sneaks、ワークショップが実施され、Adobe.comのイベントサイトへの訪問は220万回以上、ソーシャルインタラクションは5000万回以上を記録した。

2021年のAdobe MAX 2021は、日本時間10月27日~28日の2日間に渡って開催され、基調講演や400以上のブレイクアウトセッションが公開される予定だ。日本向けのオリジナルセッションも50以上用意され、すべて無料で視聴できる。アーカイブ視聴も用意されるので、ぜひチェックしてみて欲しい。

(井上晃(AKIRA INOUE)。Engadget日本版より転載)

アドビ、次世代Creative CloudでもAIの推進を続ける

ここ数年、Adobe(アドビ)はAIに全力で取り組んできた。2021年のMAXカンファレンスでも、同社のAIプラットフォーム「Sensei」を搭載したほぼすべての製品のアップデートが行われ、その成果が披露された。Lightroomのマスキングツールやプリセットの推奨、Photoshopでの画像間の色のトランスファー、Character Animatorのボディトラッカーなど、さまざまな機能がアップデートされている。


Photoshopを使ったことのある方なら、対象オブジェクトを正確に選択して操作することの難しさをご存知だろう。「自動選択ツール(英語だとMagic Wand Tool=魔法の杖ツール)」を使っても、魔法のようにはいかないことが多かった。2020年、AdobeはAIを使った「オブジェクト選択ツール」を追加した。今回のアップデートではさらに一歩進んで、画像内のさまざまなオブジェクトを自動的に認識する「オートマスキング」が導入された。Adobeは、まだすべてを検出するわけではないということをかなりオープンに認めているが、この機能は時間とともに改善されるだろうとも述べている。

画像クレジット:Adobe

同様に、2020年、Adobeは「ニューラルフィルター」と同社が呼ぶ機能を導入した。これにより、古い白黒画像のカラー化、ポートレートの改善、深度ブラーまたは画像のズームアップなどの機能が追加され、ニューラルネットワークが自動的にすべてのディテールを再作成しようとする。

画像クレジット:Adobe

2021年は「ランドスケープミキサー」という機能が導入されている。いくつかのスライダーを動かすだけで、プリセットを使ったり、または自分でカスタマイズして、例えば秋や冬に撮影されたような写真にすることができる。または、前景が少し暗いけれど、緑のイメージにしたいとしたら、青々とした緑の風景が写っている画像を探してきて、そのスタイルをトランスファーすることができる。

画像クレジット:Adobe

また、以前から搭載されていた深度ブラーは、焦点距離を事後に変更できるようになり、画像内のオブジェクトの周囲をすべてぼかすことに主眼を置いていた従来のフィルターに比べて、かなりプロフェッショナルな印象を与える。

一方、Lightroomでは、写真編集者が新機能を使って空を自動的に選択できるようになった(反転させて空以外のものも選択できる)。また、AIとは関係ないが、Lightroomの「見つける」フィードに「リミックス」タブが追加され、写真家が自分の作品を共有し、他のユーザーに自分が行った編集を見てもらうことができるようになった(変更を許可することも可能)。

ビデオグラファー向けには、Premiere Proに、音楽クリップの長さをビデオシーケンスの長さに合わせて自動的に調整することができる新しいAI機能を追加する。Creative CloudスイートのオーディオエディターであるAdobe Auditionで初めて採用された(やや紛らわしいが「Remix」と呼ばれる)この新機能は、シーケンスが終わったときに曲の途中でフェードアウトしないようにする。音楽クリップを短くする際に、曲の最後がシーケンスの最後に残っているようにオーディオを自動的にカットするという。

画像クレジット:Adobe

Creative Cloudのその他のアップデートとしては「Creative Cloud スペース(Creative Cloud Web)」がある。これは、ウェブ上のファイルやライブラリにアクセス、整理、共有するための新しいハブだ。これはまだプライベートベータ版で、Fresco、Illustrator、XD、Photoshopでのみ利用できる。これは、チームがアセットにテキスト、ステッカー、画像を追加できるリアルタイムのコラボレーションスペースを備えている。なお、これはウェブ上のPhotoshopやXDではない。プロジェクトやアセットを話し合うための場に過ぎない。

画像クレジット:Adobe

しかし、絶望することはない。PhotoshopとIllustratorのウェブ版(パブリックベータ版)も発表され、ブラウザ上での基本的な編集ツールをサポートしている。

その他にも、Creative Cloudのすべてのツールにさまざまなアップデートが行われている。明らかなのは、Adobeがクリエイティブプロフェッショナルやホビイストの作業をより楽にするために、AIに大きく賭けているということだ。ある意味では、SkylumのLuminar AIのような、AIをアプリケーションの中心に据えている競合他社に追いつきつつあるとも言える。しかし、Adobeの優位性は、その機能セットの幅広さであり、新規参入者がこれを再現するのは難しいだろう。

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(文:Frederic Lardinois、翻訳:Aya Nakazato)

アドビのクリエイター向けSNS「Behance」がNFTと有料サブスク販売を新たにサポート

Adobe(アドビ)は米国時間10月26日、年次カンファレンス「MAX」において、同社のクリエーター向けポートフォリオサイトBehance(ビハンス)の興味深いアップデートを発表した。Adobeによると、2020年1年間で1億6000万人以上がBehanceを訪れ、22億5000万回以上もクリエイターの作品を閲覧したという。これは非常に活発なコミュニティであり、Adobeが、ユーザーがそこから直接、あるいは間接的に利益を得られるような新機能をいくつか追加するのも当然のことかもしれない。


Adobeが追加した機能の中で最も注目を集めているのは、NFTアートワークをサイト上でよりよく紹介できるようになったことだろう。クリエイターは、Behanceに自分の暗号ウォレットを接続できるようになった。同社は、Polygon(ポリゴン)、Solana(ソラナ)、Flow(フロウ)、Tezos(テゾス)などのブロックチェーンの導入を進めている。また、OpenSea(オープンシー)、SuperRare(スーパーレア)、KnownOriginRarible(ラリブル)などのNFTマーケットプレイスと提携し、現在多くのCreative Cloud(クリエイティブ クラウド)ツールに組み込まれている「コンテンツ認証イニシアチブ(Content Authenticity Initiative、CAI)」のデータ来歴を、Behanceに加えてそれぞれのサイトで可視化して表示している。

Adobeの副社長でBehanceを含む複数の部署を担当するWill Allen(ウィル・アレン)氏は、Adobeは独自のNFTマーケットプレイスを作ることには興味がないという。「当社は、クリエイターが自分の作品を発表しやすくすることに専念しています。当社ができることの中で重要な焦点は、クリエイターが自分の作品を紹介する場を作り、好きな場所で取引ができるようにすることです」。

画像クレジット:Adobe

Behanceのユーザーの多くは、学ぶために仲間のクリエーターのサブスクライバーとなっている、とアレン氏は筆者に話してくれた。「彼らに共通しているのは『学びたい』ということですね」と同氏はいう。「舞台裏を見たがっているわけです。『この人はすごいイラストレーターだから、創作活動を見て、どうやってこれらのことをするのかを見てみたい。彼らのPSDにアクセスして、それをテンプレートにして、自分の創造性を次のレベルに引き上げたい』などというように」。

クリエイターは、Behanceでサブスクリプションを販売し、チュートリアル、ワークショップ、ライブストリームへのアクセスを販売することもできるようになった。これらのサブスクリプションの価格はクリエイターが自由に設定することができ、Adobeはこれらの販売からコミッションを受け取ることはないという。

また、Behanceのもう1つの新機能として、仕事の依頼が可能であることを表示できるようになった。多くのBehanceユーザーにとって、仕事の機会を見つけることは常に目標となっていたが、新しいボタンを使うことで、クリエイターはそれを明示できるようになった。クリエイターは、自分がフリーランスで働けるのか、フルタイムで働けるのかを示すことができる。

画像クレジット:Adobe

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(文:Frederic Lardinois、翻訳:Aya Nakazato)

アドビ、PhotoShopに作品の来歴や帰属を簡単に確認できるようになるコンテンツ認証機能を導入

Adobe(アドビ)は、クリエイターが自分の作品を盗用されないようにしたり、画像がどのように作成されたか(加工された可能性もある)を一般に公開するための新しいツールを米国時間10月26日からベータ版として提供する。同社は2年前にいくつかのパートナーと共同で「Content Authenticity Initiative(CAI、コンテンツ認証イニシアチブ)」を立ち上げた。今回の取り組みは、デジタルコンテンツの来歴や帰属のデータを保存して誤った情報に対抗するというミッションを拡大し、PhotoShopに直接反映させるものだ。


具体的には、Adobeは「コンテンツクレデンシャル機能」と呼ぶものを立ち上げる。これには、コンテンツクレデンシャルに対応した画像のメタデータと編集履歴を暗号化して署名するPhotoshopのオプトイン機能や、同社のストックイメージサービスAdobe Stockからコンテンツクレデンシャルなものを自動的にダウンロードする機能が含まれる。Photoshopで写真を編集すると、AIツールの使用を含む編集履歴や、画像の作成に使用したアセットのリストがアプリケーションによって自動的にバックグラウンドで更新される。

また、クリエイターは、Photoshop内からソーシャルメディアのプロフィールを暗号化されたウォレットのアドレスにリンクしたり、ウォレットをBehanceにつなげたりすることができる。

新しいVerifyサイトのおかげで、消費者はコンテンツの認証情報を簡単に見ることができるようになっている。

画像クレジット:Adobe

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(文:Frederic Lardinois、翻訳:Nariko Mizoguchi

アドビが米国の全従業員に12月8日までのコロナワクチン接種を義務付け、未接種の場合は無給休暇

アドビが米国の全従業員に12月8日までのコロナワクチン接種を義務付け、未接種の場合は無給休暇

Morsa Images via Getty Images

Adobeが、12月8日までに新型コロナウイルスのワクチン接種を義務付けるとして、米国の全従業員にメールを送信しました。これは、米国のバイデン大統領による大統領命令に従うためのもの。

バイデン大統領は9月、全ての連邦政府職員と契約職員、請負業者、医療関係者に12月8日までのワクチン接種を義務付けると発表しています。Adobeは米国政府との取引が多く、2021年3月には、50州すべてと提携しAdobe Experience CloudとAdobe Document Cloudでサービスのデジタル化を支援すると発表しています。このこともあり、政府と取引をするならワクチン接種が必須になると判断したようです。

なお、社内アンケートによれば、米国従業員の93.5%がすでにワクチンを接種済みか、接種過程にあるとのことです。ワクチン未接種の場合、無給休暇の扱いになるようですが、宗教的・医学的理由でワクチンを接種できない場合は考慮するとしています。

ワクチン接種の義務付けはAdobeに限ったことではなく、IBMでも同様の措置を発表済み。また、Googleも7月に出社するすべての従業員にワクチン接種を義務付けるとしています。Appleはワクチン接種を義務付けてはいませんが、11月1日以降ワクチン未接種の従業員は毎日の検査報告が義務付けられます

(Source:CNBCEngadget日本版より転載)

Adobeがビデオ・クリエイティブの雄Frame.ioを1400億円超の巨額で買収

米国時間8月19日、AdobeはFrame.ioをキャッシュ12億7500万ドル(約1400億円)で買収したことを発表した。ビデオレビューとコラボレーションを中心とする同プラットフォームは、現在100万以上のユーザーが利用している。

2014年に、ポストプロダクション企業のオーナーEmery Wells(エメリー・ウェルズ)氏と技術者のJohn Traver(ジョン・トラバー)氏がニューヨークで創業したFrame.ioは、駆け出しの映画作家が直面するワークフローの問題を解決することを目的としている。

今やFrame.ioのプラットフォームは、プロのクリエイターたちをサポートし、ビデオの制作過程を合理化、ラッシュや台本、ストーリーボードなどのメディア資産を集中管理したり、フレーム単位のフィードバックやコメント、注釈、リアルタイムの承認などを受け入れる。また同社は、VimeoやBox、Dropboxなどの他社よりもアップロードが速いことが自慢だ。

Frame.ioはこれまで9000万ドル(約98億9000万円)のベンチャー資金を調達し、2019年の11月にはInsight Partnersがリードする5000万ドル(約54億9000万円)のシリーズCを発表している。これには、Accel、FirstMark、SignalFire、そしてShasta Venturesが参加した。2015年に同社のシードとシリーズAのラウンドをリードしたのはAccelだった。

Adobeによると、Frame.ioはPremiere Proやビデオ編集のAfter Effectsなどのようなクリエイティブのソフトウェアと、レビューや承認などの機能性が組み合わさって、ビデオ編集の工程を動かすコラボレーションプラットフォームを作り出す。Frame.ioのウェブプラットフォームは、それが顧客の既存の工程の一部になれるように設計されており、たとえばAdobe Premiere Proのようなノンリニア編集システムの統合もできる。そういう統合があるために編集者はFrame.ioに直接アップロードでき、プロダクトを内部的にも、あるいは外部顧客と共同でも編成したり共有ができる。

Adobeは今日の声明で次のように述べている。「最新の娯楽作品のストリーミングであれ、あるいは運動に点火するソーシャルメディアであれ、また何千人ものリモートワーカーを結びつける企業のビデオであれ、今やビデオの創造と消費はとてつもない成長を経験しています。しかし今日のビデオのワークフローは複数のツールと、ステークホルダーのフィードバックを誘うために使われている複数のコミュニケーションチャネルによって分断されています。Frame.ioは映像のリアルタイムのアップロードとアクセス、そして全作業面にわたる安全でエレガントな体験としてのステークホルダーのインラインコラボレーションを可能にして、ビデオのワークフローの非効率を排除します」。

今回の買収はAdobeの2021会計年度の第4四半期中に完了すると予想され、その過程には規制当局からの承認や慣例的な完了条件が含まれる。完了後にウェルズ氏とトラバー氏はAdobeに加わる。ウェルズ氏はFrame.ioのチームの統轄を続け、Adobeのプロダクト担当最高責任者(CPO)でCreative Cloudの執行副社長でもあるScott Belsky(スコット・ベルスキー)氏が直接の上司となる。

ForresterのシニアアナリストであるNick Barber(ニック・バーバー)氏は、ビデオは人間の感情にインパクトを与える最強のメディアであり、今後ますます多くの企業がビデオを利用していくと考えている。

バーバー氏によると「Frame.ioがAdobeの傘下に入ったことによって、同僚たちと一緒に行うビデオ編集が、まるでGoogleドキュメント上のコラボレーションのようになるだろう。この買収よってAdobeはクリエイティブの工程の一段高いところに属することになるが、そんなAdobeにとってこの買収における最大のチャレンジは、大型のプロダクションハウスではなくて、ためらいや予算制限のあるブランドにこの買収の成果を積極的に採用してもらうことだ」という。

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画像クレジット:Frame.io

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(文:Mary Ann Azevedo、翻訳:Hiroshi Iwatani)

ウォルマートがAdobeと提携し自社のeコマーステクノロジーを他の小売業者に提供

Walmart(ウォルマート)は、実店舗を中心とした小売事業から、対面販売とオンラインショッピングを融合したビジネスへの転換を図るために投資してきたソフトウェアや小売テクノロジーを、初めて他の小売業者にも提供すると、米国時間7月28日に発表した

ウォルマートは、新たに提携を結んだAdobe(アドビ)との戦略的パートナーシップを通して、Walmart Marketplace(ウォルマート・マーケットプレイス)へのアクセスや、さまざまなオンラインおよび店舗におけるフルフィルメントやピックアップに関するテクノロジーを、Adobe Commerce Platform(アドビ・コマース・プラットフォーム)に統合する。

これらテクノロジーは、Adobe Commerceと(アドビが買収した)Magento Open Source(マジェント・オープンソース)のどちらの顧客も利用できるようになると、アドビは述べている

これはつまり、ウォルマートは数千もの中小規模の小売業者に、世界最大級の小売業者が事業運営に使用しているのと同じツールを、実質的に利用できるようにさせるということだ。

この提携により、アドビの顧客である小売業者は、商品を受け取れる店舗や時間をオンラインで表示することができ、カーブサイド(道路の路肩)や実店舗内など、複数の受け取り方法を提供することが可能になる。店員にモバイルツールを供給して、注文の受け取りや商品選択の確認、代替品の取り扱いなどができるようにしたり、商品を注文した顧客がカーブサイドに到着する時間を店員に知らせるなど、受け取り注文に関して顧客とのコミュニケーションを図るさまざまなツールを利用することができるようになるわけだ。

また、今回の提携によって小売業者は、ウォルマート・マーケットプレイスに自社の商品を配給して販売することもできるようになる。

この提携は、小売テクノロジーによる新たな収益源を提供し、ウォルマートの収益に貢献することを目的としているだけでなく、ウォルマートがAmazon(アマゾン)とオンライン小売の覇権を争う上での新たなツールとして機能する可能性もある。

小売業者は、Adobe Commerceプラットフォームを利用して、ウォルマート・マーケットプレイスに商品を掲載し、全米各地に2日で商品を配送するウォルマートのフルフィルメント・サービスを活用することで、これまでよりも広い顧客を相手に商売できるようになる。

そしてウォルマートにとっては、これまでアマゾンに大きく水をあけられている、マーケットプレイスで販売可能な商品数を増やすことができる。

ウォルマートのマーケットプレイスは、第三者機関の推計によると、新型コロナウイルス感染流行の影響によるオンラインショッピングの急増により、2020年には推定7万人の出品者数を抱えるまでに成長した。これは2019年に比べて2倍以上の増加だ。Marketplace Pulse(マーケットプレイス・パルス)のデータによると、現在ウォルマートのマーケットプレイスの出品者数はさらに増えて10万人を突破しているとのこと。一方、アマゾンのマーケットプレイスは、全世界で推定630万人の総出品者を数え、そのうち150万人が現在アクティブに活動していると推定されている。

ウォルマートがマーケットプレイス事業を拡大する上で問題となっている可能性があるのは、売り手にとっての使いやすさに関することだ。ウォルマートのマーケットプレイスは、アマゾンに比べてはるかに使いづらく、プラットフォームで販売が承認されたかどうかについて、ウォルマートから返事が来るまで何カ月も待たされるという苦情が、多くの中小販売業者から寄せられている

アドビとの提携は、このような問題の解決に役立つ可能性がある。

アドビは、他のチャネルソリューションを単一の統一された拡張機能に統合することにも取り組んでおり、顧客の小売業は、アカウント設定やカタログの編纂が容易な統合されたツールを使用して、アマゾンを含む複数の販売チャネルで販売することができる。

ウォルマートが自社の小売テクノロジーを他の企業に提供するのは、これが初めてだと同社は述べている。また、この新しいパートナーシップがどのような収益をもたらすかということについては、まだ予測していないとのこと。しかし、アマゾンも最近は、AIやコンピュータービジョンを活用したキャッシャーレス決済「Just Walk Out(ジャスト・ウォーク・アウト)」システムのような、斬新な小売イノベーションの投資収益率を最大化することを追求している。ウォルマートの動きはこれに続くものと言えるだろう。

「Scan & Go(スキャン&ゴー)などのチェックアウト技術や、AIを活用したスマートな代替品推奨機能、ピックアップ&デリバリーなど、あらゆるアイデアの中心には、人々が金銭的負担を減らし、より良い生活を送るための手助けをするという私たちの中核的な使命があります」と、ウォルマート・インクの最高技術責任者および最高開発責任者を務めるSuresh Kumar(サレシュ・クマーシュ)氏は、声明の中で述べている。そして「コマースエクスペリエンスを提供するアドビの強みと、当社の比類なきオムニカスタマーの専門知識を組み合わせることで、私たちは他の企業のデジタルトランスフォーメーションを加速させることができます」と続けた。

両社の発表によると、米国においてアドビの顧客の小売業者は、2022年初頭からウォルマートのテクノロジーを自社のストアフロントに統合できるようになるとのこと。価格やその他の詳細については、導入時期が近づいたら発表される予定だ。

今回の発表は、チャネルパートナーとしてアドビと提携することで技術の再販に役立てるというものだが、ウォルマートには小売業者を直接対象とするGoToMarket(ゴートゥマーケット)チームもある。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:WalmartAdobeeコマース小売

画像クレジット:Nicholas Kamm/AFP / Getty Images

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(文:Sarah Perez、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

マイクロソフトが「Windows 10コンポーネント版Flash Player」を完全削除するアップデートを7月配布

マイクロソフトが「Windows 10コンポーネント版Flash Player」を完全削除するアップデートを7月配布

マイクロソフトが、7月にWindows 10コンポーネントとしてのAdobe Flashを取り除くアップデートを配布します。またそれよりも先、今月配布予定のWindows 10 21H1にアップデートした場合はその時点でFlashは削除されます。

同様のFlash掃討作戦はWindows 8.1、Windows Server 2012、Windows Embedded 8 Standardなどの古いOSでも実施されることをブログ記事で告知しているため、それらのOSでFlash必須の作業を抱えているユーザーは事前に対応策を考えておく必要がかもしれません。なお、サポートページを見ると、ユーザーが手動インストールしたアプリケーションとしてのAdobe Flash Playerは削除されないとのこと。

今回の削除はまだOSにコンポーネントとしてプリインストールされているFlash Playerの削除であり、2021年1月以降に最新バージョンに更新されたMicrosoft Egdeブラウザーからは、Flash機能は削除されているはず。ChromeやFirefoxといった主要なブラウザーは2016年無効化を実施し、Adobe自身も2020年末をもってそのサポートを終了しました

あらゆる環境でFlashへのサポート終了は進行しているものの、歴史上、Flashで構築されたソフトウェア資産にはゲームをはじめ多種多様なものがあるため、Internet Archiveはそうした遺産をインターネットの重要な部分として保存したライブラリーを公開しています。もし栄華を極めた頃のFlashを懐かしく思うのなら訪れてみるのも良いかもしれません。

(Source:MicrosoftEngadget日本版より転載)

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カテゴリー:ソフトウェア
タグ:Adobe / アドビ(企業)Adobe Flash(製品・サービス)Windows(製品・サービス)Windows 10(製品・サービス)Microsoft / マイクロソフト(企業)Microsoft Edge(製品・サービス)

Adobeは新しいシンプルなデジタル資産管理ツールをローンチ

Adobe(アドビ)は米国時間4月27日、新しい資産管理ツールAdobe Manager Essentials(マネージャー・エッセンシャルズ)のローンチを発表した。舌を噛みそうな名前だが、Adobeに言いやすい名前を考える気があったのか否かは別として、そもそもこれは膨大なデジタル資産を利用するチームに、現行のAdobeの企業向け資産管理ツールよりも簡単な、Adobe Experience Cloud(エクスペリエンス・クラウド)の使い勝手を提供しようというアイデアから生まれている。

またAdobeは、この新しいエクスペリエンスを統合した最初のツールもローンチした。Adobe Journey Optimizer(ジャーニー・オプティマイザー)だ。この新ツールは、顧客データからカスタマージャーニーを構築し、それに沿ってメッセージやコンテンツを提供するための最善の方法を探す手助けをするというものだ。

「この取り組みは、デジタルコンテンツとその豊かで魅力的なエクスペリエンスの構築に向けたものであり、顧客が望んでいたものです」と、Adobeの戦略および製品マーケティング・ディレクターのElliot Sedegah(エリオット・セデガ)氏は私に話した。「ほぼすべてのインタラクションにおいて、人は豊かなエクスペリエンスを期待します。それは単に画像や動画など豊かな素材を手に入れた時点のみならず、顧客とインタラクションするあらゆる時点においても求められます。そこを重視することで、顧客の側も単にブランドとインタラクションするというより、それをカスタマージャーニーとして感じ取れるようになります。同じコンテンツを、アウェアネスからコンバージョン、さらにはポストセールスやロイヤリティまで使う。人は同じストーリーが続いて欲しいと願うのです。しかし、すべてのタッチポイントでそれを行うのは、次第に困難になってきています」。

画像クレジット:Adobe

同等の製品もあるが、要は、コンテンツのクリエイターとそれを使用するチームのための中央集中型の協働的スペースを築こうということだ。その点で言えば、この新しいツールは、他社が提供する共有オンラインファイルの管理サービスとそう大きく変わるものではない。だがAdobeは、そこにいくつか独自の能力を盛り込んだ。例えば資産の分類とタグづけを支援するAIとAdobe Sensei(センセイ)プラットフォームの導入だ。それにより検索がうんと楽になる。またこの新ツールには、Adobe Asset Link(アセット・リンク)が統合され、プロのコンテンツクリエイターは、資産の検索、内容確認、さらには作業の流れを変えることなく、Photoshop、Illustrator、InDesign、XDでダイレクトに編集することができる。

セデガ氏が指摘していたとおり、少し前までは、コンテンツ制作とその管理作業に携わっていたのは、ほとんどが制作部門とマーケティング部門だけだった。しかし今では、そこにセールスやマーケティングなどの担当者も含まれるようになり、その傾向はパンデミックでさらに加速された。

画像クレジット:Adobe

「私たちの顧客は、ビジネスモデルの再考と、顧客との関わり合い方の再考を迫られてきました。そして基本的にそれが、あらゆる場面での顧客体験のデジタル化を早め、顧客はますます企業にスピード感を求めるようになり、そのコンテンツを活用する人や仕事の数も増えました」。

そのため、これまでのAdobeの企業向け資産管理ツールはよくできてはいたのだが、ユーザーからクリエイティブツールとの相性を良くして欲しいとの要望があり、同社は資産管理技術を、より多くの人が、さらに簡単に使えるものに作り変えた。

この新しい資産管理エクスペリエンスに直接統合された最初のツールが、Journey Optimizerだった。「これは、顧客が提供したかったユーザーエクスペリエンスについて、そしてそれを簡便化することについて、再考するよい機会となりました」とセデガ氏。「コンテンツジャーニーを構築するとき、または顧客がブランドにエンゲージするときに送られるようなコンテンツをデザインするとき、デジタル資産がクリエイターの目の前に現れて、利用できるようになります」。

次に統合されるのが、2020年にAdobeが買収した作業管理プラットフォームWorkfront(ワークフロント)だ。Adobeの資産管理技術とWorkfrontの計画の管理、プロジェクトの各工程の審査と承認、同様の資産管理システムとの間には、明らかに相乗効果がある。

だがAdobeは、このエクスペリエンスをすべてのExperience Cloudアプリケーションに統合する長期戦略を立てている。

関連記事:Adobeがマーケティングワークフロー管理のWorkfrontを約1600億円で買収

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:AdobeAdobe Experience CloudAdobe Manager Essentials

画像クレジット:Karen Blumberg (flickr.com/specialkrb) / Getty Images

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(文:Frederic Lardinois、翻訳:金井哲夫)

Adobeが自動化されたワークフローとカスタマーエクスペリエンスをWorkfrontで統合

5カ月前にAdobe(アドビ)は、マーケティング部門のワークフロー構築を支援するWorkfront(ワークフロント)を、15億ドル(約1625億6000万円)で買収した。米国時間4月27日、Adobeはその利用計画を公式に発表した。企業のマーケティング幹部たちが、顧客にカスタマイズされたエクスペリエンスを構築しながら、その戦略をクリエイティブプロセスに適用するためのバランスを取ろうとする際に、Adobe Experience Manager(AEM、アドビ・エクスペリエンス・マネージャー)にぴったりと組み合わされる何らかのマーケティングワークフローツールが必要とされていた。Workfrontはそこにうまく着地できたのだ。

かつてWorkfrontでCEOを務め、現在はAdobe WorkfrontのVPでGMを務めるAlex Shootman(アレックス・シュートマン)氏は、このツールをAEMの内部でマーケティング部門の記録を行うシステムとして捉えていると語った。この説明そのものにもマーケティングの要素が少なからず含まれているが、Workfrontのワークフローから得られるデータが、クリエイティブプロセスの記録として機能するのだ。

Adobeの一部として、彼らはExperience ManagerとCreative Cloud(クリエイティブ・クラウド)にフックを組み込んで、マーケティングのクリエイティブ作業が組織的かつ監査可能なプロセスを経て、何が起こったかを正確に知ることができるデータ証跡を残す、マーケティング記録システムを提供する。

シュートマン氏は、この記録システムがあることで、マーケティングチームはいろいろなことができるようになるという。まず第一に、戦略と実行を結びつけることができるようになる。彼は「あるCMOのことをを考えてみましょう、彼または彼女のチームは、年間または四半期の意思決定のための重要な優先事項を策定しています。私たちのツールを使うことで、そうした重要な優先事項を、マーケティング組織内の活動を推進するために役立てることができるのです」という。

そしてそのためには、変化に応じてチームが反復的に作業を再計画できるように、マーケティング部門の人材、プロセス、データを単一のシステムに統合する必要があるという。そこで活躍するのがWorkfrontだ。

CRM Essentials(CRMエッセンシャル)のリードアナリストであるBrent Leary(ブレント・リアリー)氏は、このアプローチは非常に理に適っているという。彼は「お客様のニーズの変化に合わせて、つながりを保ち続けるために、十分にパーソナライズされたコンテンツを大規模に作成していくのは、チームスポーツです。そこにはクリエイティブプロセス全体を通した緊密なコラボレーションが必要になります。AEM内部のWorkfrontは、そうしたクリエイティブプロセスに高度なプロジェクト管理機能をもたらすのです」という。

パンデミックに見舞われたことで、売上の大半がオンラインに移行したため、その対応が必須となった。そのため、速度と敏捷性の必要性が高まったのだ。このワークフローツールをAdobe Experience Managerに内蔵したことで、マーケティングチームが顧客向けのカスタマイズエクスペリエンスを構築できるようになるだけでなく、そうしたカスタマイズの裏側にあるワークフローを自動化することも可能になる。

実際の利用時には、まずマーケティングチームがキャンペーンを作成し、それでWorkfrontの中に展開するといった利用方法が考えられる。そうした展開を行うことで、クリエイティブ部門にタスクが割り当てられ、そのタスクがCreative Cloud上に表示される。割り当てタスクが完了すると、それは自動的にWorkfrontに戻され、そこでレビューが行われて、最終的に承認されてデジタルアセットマネジメント(DAM)ツール上に公開され、マーケティングチーム全体で使用できるようになる。

買収そのものが、どれほど成功したのかを知ることは難しい。しかし、Workfrontは特にAdobeのエコシステムに適しているように思える。それはクリエイティブプロセス全体に不足していた、ワークフローの自動化コンポーネントを提供し、マーケティング幹部が戦略の成果を正確に確認できるようにするツールなのだ。

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:AdobeマーケティングWorkfrontワークフロー

画像クレジット:Justin Sullivan / Getty Images

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(文:Ron Miller、翻訳:sako)

アドビがAppleシリコンMac用ネイティブPhotoshopとディテールを損なわずに画像を拡大する機能を提供

Adobe(アドビ)は、同社の画像処理ソフトウェアが、Apple(アップル)の新しいMac用内製プロセッサAppleシリコン(M1)上でネイティブに動作するように、画像処理ソフトウェアのアップデートを急ピッチで進めている。M1プロセッサの搭載は、2020年末に発売されたMacBook ProとMacBook Airを皮切りに始まっている。LightroomとCamera RawのM1ネイティブ版を出荷した後、今度はAppleシリコンに最適化されたバージョンのPhotoshopのリリースを行おうとしている。このバージョンはAppleのRosetta 2ソフトウェアエミュレーションレイヤー上で動作するIntel版と比較して、大きなパフォーマンスの向上が実現されている。

どれくらい速くなったのだろう?Adobeの内部テストでは、エミュレート版で行われる同じタスクと比較して、Photoshopで提供されている多くの異なる機能で、最大1.5倍のパフォーマンスの向上が見られるとのことだ。しかし、これはほんの始まりに過ぎない。Adobeは、Appleとの協力の下で、Appleシリコン上のソフトウェアから時間をかけてさらなる性能向上を引き出すことを続けていくと述べている。M1フレンドリーな追加機能には「クラウドドキュメント編集への招待」や「プリセット同期」オプションなど、まだ欠けている機能もあるが、そうした機能は将来のバージョンで移植されていく予定だ。

Appleシリコン版のPhotoshopに加えて、Adobeは同梱されるCamera Rawのプラグイン(後でLightroom用にもリリース予定)に、新しいSuper Resolution(超解像度)機能をリリースしている。これは、大規模な画像データセットで訓練された機械学習を使用して、細部を維持したまま写真を巨大なサイズに拡大する機能だ。Adobeは以前、複数の露出を組み合わせて解像度を上げる超解像度オプションを提供していたが、今回の機能は1枚の写真で効果を発揮する。

関連記事:Adobe CTO says AI will ‘democratize’ creative tools

それは古典的な「コンピューター、解像度を上げて」式のSF機能を現実のものにした。この機能は、以前Photoshopが導入した「Enhance details(ディテールの強化)」機能の上に構築されている。もしAdobe信者でなければ、おそらくPixelmator Pro(ピクセルメーター・プロ)の「ML Super Resolution」機能を知っているかもしれない。この機能は異なるMLモデルとトレーニングデータセットを使用しているが、ほとんど同じように動作する。

AdobeのSuper Resolutionの動作例(右側)

肝心な点は、AdobeのSuper Resolutionは、水平解像度で2倍、垂直解像度で2倍の画像を出力するということだ。すなわち合計では4倍の画素数となる。このことは、ディテールとシャープネスを維持しながら行われる。つまり、これまではそのような拡大に耐えられなかった画像から大きなプリントを作成することができるようになるということだ。また、今まではぼやけてしまって残念な結果になっていた要素の明瞭な映像を取り出すために、コレクション内の写真をトリミングするのにも最適だ。

この機能は、CoreMLやWindows MLなどをはじめとする、機械学習(ML)ジョブに最適化されたGPUの恩恵を受けている。AppleのM1チップには「Neural Engine」(ニューラルエンジン)と呼ばれるML処理専用エリアが組み込まれているので、こうした用途にはぴったりなのだ。同様に、NVIDIA(エヌビディア)のGPUであるRTXシリーズとそのTensorCores(テンソルコア)もこうしたタスクに適している。

またAdobeは「Photoshop for iPad」についても、同社のクラウドドキュメント非ローカルストレージ用のバージョン履歴などの、いくつかのメジャーアップデートを公開している。またクラウドドキュメントのバージョンをオフラインで保存し、デバイス上でローカルに編集することも可能になった。

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:AdobeAdobe PhotoshopApple M1Appleシリコン画像編集

画像クレジット:Adobe

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(文:Darrell Etherington、翻訳:sako)

アドビがウェブ版AcrobatにPDF内のテキストと画像を編集する機能を追加

Acrobat(アクロバット)は長年、PDFを扱うための、特に編集するための、Adobe(アドビ)の主力デスクトップアプリだった。近年、AdobeはAcrobatをウェブ上で使えるようにしたが、デスクトップ版ほど機能が充実していたわけではなく、多くのユーザーが求めていた機能の1つであるPDF内のテキストや画像の編集機能は、デスクトップ専用の機能のままだった。それが変わりつつある。Adobeは、ウェブ版Acrobatの最新のアップデートで、まさにこの機能をオンラインサービスに導入した。

「ブラウザを使って仕事をする人が増えてきているので、(Acrobat Webは)戦略的に重要です」と、Adobeのドキュメントクラウド担当副社長であるTodd Gerber(トッド・ガーバー)氏は語る。「彼らの1日は、G Suiteであれ、Microsoft Office 365であれ、ログインすることから始まります。ですから、私たちは人々が仕事をしているすべての面に係わりたいと考えています」。チームは最初にPDFを作成して変換する機能を導入したが、ガーバー氏が指摘するように、ある程度のパフォーマンスでリアルタイムにPDFを編集できるようになるまでには時間を要した。「もっと早く導入することはできたかもしれませんが、高速、軽快、高品質という基準には達していなかったでしょう」。この機能をオンラインで利用可能にする上で、チームが直面した困難な問題の1つは、フォントを扱うことだったと、ガーバー氏は特に言及している。

人々はPDFをAdobeのフォーマットと考えがちだが、PDFはオープンスタンダードであり、多くのサードパーティツールがPDFを作成できることもガーバー氏は指摘した。このような大規模なエコシステムでは、実装間でばらつきが生じる可能性があるため、Adobeにとって編集機能を備えることがより難しくなるということだ。

今回の発表にともない、Adobeは新たにブラウザベースで利用できる機能として、PDFを保護する機能、2つに分割する機能、複数のPDFを結合する機能も追加する。Adobeは2020年に、Google(グーグル)と協力して、同社が提供するショートカットドメイン「.new」を使ったいくつかのショートカットの提供を始めたが、現在はさらに「EditPDF.new」のような新しいショートカットも使用可能になる。Adobeは2022年に向けて、これらのショートカットをさらに導入していく予定だという。

Adobeによれば、既存のショートカットを合計すると、約1000万回のクリック数を記録したとのこと。それだけ多くの人が毎日PDFを変換したり署名を入れたりしているということだ。

ガーバー氏が指摘するように、潜在的なユーザーの多くは必ずしも最初にAcrobatを使おうと考えるわけではない。彼らがやりたいことはPDFを圧縮したり、変換したりすることなのだ。Acrobat Webと .new ドメインは、新たなユーザーを同社のプラットフォームに呼び込むのに役立っていると、ガーバー氏は考えている。

「これによって、最初はAdobe製品を使うことを考えていなかった新しいユーザーを開拓することができます。彼らはPDFについて考え、それを使って何をする必要があるのかをということを考えています。彼らが探しているものを見つけて、最終的に処理を行うまでの間に関係性を築くことで、我々は顧客基盤を拡大することができるのです。Acrobat Webの展開は、実はこの考えから始まりました。ブランドを特定しないニーズを狙おう、ということです。

Adobeはもちろん、ユーザーが明示的にAcrobatを探している場合には、Acrobatデスクトップアプリに誘導するが、よりカジュアルなユーザーには、サービスにサインアップする必要さえなく、目的のアクションを簡単に実行できるAcrobat Webを案内する。

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(文:Frederic Lardinois、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

Flashの最後の日、Adobe自身がサポートを停止

2020年をあれほどひどい悪夢にしたもののほとんどが、2021年1月1日になってもまだ残っているが、Adobe Flashとゲーム「FarmVille」だけは、新年とともに本当の本当に私たちの元から離れ去ることになる。

Flashの終わりは長かった。このプラグインは1996年にリリースされ、かつては大量のオンラインコンテンツをサポートしたが、スマートフォンの普及とともに徐々に不要なものになっていった。iPhoneは一度もFlashをサポートしなかったし、Apple(アップル)の当時のCEOだったSteve Jobs(スティーブ・ジョブズ)氏が公開書簡(未訳記事)でその技術の欠陥を指摘したのは、10年以上も前だ。

Adobeはその終末を計画し、2017年にその年の終わりまでにFlashを段階的に廃止する(未訳記事)と発表した。多くのウェブブラウザがすでにFlashのサポートを止め、そして2020年12月31日が公式の最終日になる。Adobe自身がそのサポートを終了した。ただし、まだあと1つ「Flashの死」を確定する儀式が残っており、1月12日に同社は、Flashコンテンツの再生をブロックし始める。

このニュースと関連してZyngaがこのほど、Flashの終わりはFarmVilleの終わりであると発表した。この農業シミュレーションゲームは、Flashプラグインに依存していた。

FarmVilleほど当時の文化的時代精神を見事に捉えたゲームはほかにない。レディー・ガガは「Born This Way(ボーン・ディス・ウェイ)」をFarmVilleからリリースした。FarmVilleを創った素晴らしいチームと、何年間にもわたる数億のFarmVilleプレーヤーに、とても感謝している。

Flashと同様FarmVilleも、過去のインターネットの遺物のようだ。私のライターとしてのキャリアの初期には、この2つについてたくさん書いていたこともあり、自分が年を取ったとも感じる。2009年にローンチしたFarmVilleは、その人気がZyngaとFacebook上のゲームに上昇の道を拓いた(NYTimes記事)が、Zyngaとゲームのその後の成長の方が大きい

同社の共同創業者で元CEOのMark Pincus(マーク・ピンクス)氏は一連のツイートで当時の思い出を述べている。それによると、ゲームの初期の開発はMyMiniLifeの買収(VentureBeat記事)が契機だった。

「FarmVilleは、ゲームが常時動いている生き物であることを示した。それは毎日のように、その日の驚きと喜びを与えた。まるでテレビの大好きな連続番組のように」とピンクス氏は書いている。「そして、ゲームは人びとのグループを結びつけ、お互いを近づけることもできた」。

この記事をたまたま読んでるFarmVilleファンの方は、がっかりしないように。「FarmVille 2:Tropic Escape(ゆったり楽園生活)」と「FarmVille 2:Country Escape(のんびり農場生活)」は今でもプレイできるし(いずれもApple AppStoreとGoogle Play Storeからダウンロードできる)、FarmVille 3もモバイルに登場する。今日は最初のゲームの終わりにすぎない。

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画像クレジット:Bryce Durbin

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

Adobe Sparkに新しいデザインアセットが2万種類以上追加

米国時間12月17日、AdobeはソーシャルメディアデザインツールのSparkアップデート(Adobe発表)し、新しいデザインアセットを2万種類以上追加した。このアップデートは2020年9月にSparkにアニメーションが導入されたのに続くもので、新機能に合わせてUIも若干変更されたが、基本的には多くのユーザーがSparkですでにやっていたことがデザインアセットで拡張されたと考えることができる。

画像クレジット:Adobe

Adobe SparkプロダクトマネージャーのJustin Church(ジャスティン・チャーチ)氏は筆者に対し「起業家やマーケッターといったユーザーの方々は、プロ級の仕上がりのコンテンツを作りたいと考えていますが、実際にはデザインの経験はあまりありません。我々が公開する数万種類もの新しいデザインアセットは、このようなユーザーの方々がそれまでには作れなかったオリジナリティと創造性にあふれた目を引くソーシャルの投稿やInstagramのストーリーのようなものを制作する際にほんとうに役立つでしょう」と述べた。

チャーチ氏が指摘したように、ユーザーの多くはSparkのテンプレートを選ぶところから制作を始めている。しかし白紙の状態から始めるユーザーも多く、こうしたユーザーにとっては特にフレーム、イラストレーション、ブラシなどをすぐに使えることは利点となるだろう。

画像クレジット:Adobe

Adobe社内には大規模なコンテンツデザインチームがいて、アセットをデザインしたり外部のリソースが制作したアセットを厳選してまとめたりした。アセットはすべてタグ付けされ、Sparkの検索機能で簡単に見つけられるようになった。現時点では検索結果はパーソナライズされず、自分がすでに作ったデザインと合う検索結果にもならないが、AdobeはAIを使ってユーザーのデザインに合うアセットを見つけやすくする方法を探っている。

当然のことながら、幅広いユーザーがいるためAdobeは制作の出発点となるアセット(とスタイル)を幅広く用意している。もちろん今後さらにアセットを拡張していく計画でどのカテゴリーが人気かを注視していくが、祝日やイベントなどに関連する新しいアセットをリリースする計画もある。

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画像クレジット:David Paul Morris/Bloomberg / Getty Images

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(翻訳:Kaori Koyama)