Adobe Lightroomがチュートリアル・共有アルバム・テクスチャコントロールを新装備

Adobe Lightroomは米国時間の5月14日、かなり久しぶりとなる新たなスライダーの追加を含むアップデートを受けた。そのスライダーは、画像に含まれるテクスチャを目立たせる効果を発揮する。この新機能は、Adobe製の写真編集、管理ツールの2019年5月リリースに含まれているもので、LightroomとLightroom Classicの他、Camera Rawでも利用できる。また、Lightroom内で利用できる新たな学習ツールもいくつか追加されている。これによって、初心者から上級者まで、写真編集の方法を学ぶことができる。さらに、クラウド版のLightroom用に共有アルバム機能も装備した。それら以外にも、いくつかの細かなアップデートが含まれている。

Adobeでは、新たなチュートリアルや、その他の学習機能の方をプッシュしているのだが、ほとんどの写真家にとっては、Lightroomが新たに装備したテクスチャコントロールの方が、より強い興味をひかれる機能だと思われる。前回AdobeがLightroomにメジャーな新機能としてツールを追加したのは、「かすみの除去」が最後だった。もう何年か前のことだ。テクスチャコントロールは、「かすみの除去」や「明瞭度」の調整機能と組み合わせて使うとより効果的で、毛髪、肌、樹皮など、中程度の大きさのテクスチャのディテールを際立たせることができる。

当初Adobeでは、スムージング効果を目的としてこの機能の開発を始めた。テクスチャを目立たせるのとは逆の効果だ。実際、今でもテクスチャスライダーに負の値を設定すると、たとえば肌のテクスチャなど、かなり滑らかにすることができる。しかしその際にも、顔写真などの肌のディテールを潰してしまうことがないという優れた特長を備えている。

Adobeも認めているように、このツールは、既存の「明瞭度」ツールと紛らわしく感じられることもある。「明瞭度はテクスチャよりも強い効果を発揮します。それはそれで良いのです」と、AdobeのMax Wendt氏は説明している。「テクスチャの効果は微妙なので、もっと強いものが必要となることもあるでしょう。明瞭度は、より広い領域について色調の変化をもたらします。テクスチャよりも、輝度と彩度の変化が大きくなります。テクスチャと明瞭度は、根本的に異なるツールであり、それぞれ独自の利点を持っているのです」。

さらにAdobeは、Defringe(フリンジの除去)という新しいツールも導入した。これまでのLightroomのツールを使って色収差によるフリンジを除去しようとしても、残ってしまったものを目立たなくすることができる。この機能は、macOS版およびWindows版のLightroomでのみ利用可能となっている。

またLightroomの今回のリリースには、共有アルバム機能も追加された。長い間待ち望まれていたものだ。これで「Classic」が付かない方のLightroomは、ますますクラウド指向となった。

チュートリアル、その他の教育的な素材として、AdobeはまずiOS版とAndroid版のアプリにインタラクティブなチュートリアルを追加しようとしている。今後、Mac版とWindows版でも利用できるようにする予定だ。Adobeは、何人かの写真家に依頼してチュートリアルの作成に協力を仰いだり、「インスピレーションを刺激する」写真の提供を受けている。また、通常のヘルプ機能も強化し、ヘルプ内に多くのチュートリアルを組み込んでいる。

画像クレジット:Adobe

原文へ

(翻訳:Fumihiko Shibata)

Adobe After Effectsでビデオのコンテンツ対応塗りつぶしができるように

Adobeは米国時間4月3日、Creative Cloudの一員である特殊効果ソフトウェアAfter Effectsでコンテンツに応じた塗りつぶし(content-aware fill)ができるようになる、と発表した。この機能はかなり前からPhotoshopにあり、写真から何かを消したらそのあとを、まわりにあるもの〔例: 青空〕に基づいて塗りつぶすのによく使われる。ご想像つくと思うが、それを静止画でなく動画でやろうとすると、相当大変だ。その消すべきものがあったすべてのコマで、塗りつぶしをやんなきゃならない。

同社はその大変なことを、AdobeのAIプラットホームAdobe Senseiを利用して実装した。邪魔者のブームマイクなど要らないものを消すには、それをマスクすればよい。マスキングが完全に終わったら、このツールが自動的に消されたあとを追跡して、一部が何かの後ろに隠れていたときでさえも、その場所にふさわしいピクセルで填める。結果を微修正したければ、Photoshopを使って参照フレーム(reference frames)を作ればよい。

  1. Ae_Content-Aware-Fill_1-Before

  2. Ae_Content-Aware-Fill_2-Mask

  3. Ae_Content-Aware-Fill_3-After

このコンテンツ対応塗りつぶしは360度のVRプロジェクトでも便利に使える、とAdobeは言っている。360度だから何かをカメラの視界の外に隠せない。塗りつぶすしかない。

来週行われる今年のNABの年次大会でAdobeは、After EffectsとPremiere Pro用にたくさんのビデオ機能をローンチする。その一部はワークフローの改良にフォーカスし、たとえばFreeform Projectという新しいパネルでは、重要なものを視覚的に並べ替えたり、オーディオをもっと良くするツールがある。なお、AuditionとPremiere Proには、環境音を抑制するオートダッキング機能がある。

例によってAdobeは、アプリケーションのパフォーマンスアップにも力を入れている。たとえば、PremiereのGPUレンダリングはエクスポートの時間を短縮し、8Kビデオのマスクの追跡は最大38倍速く、HDのシーンなら最大4倍速い。

ビデオは今、黄金時代を迎えているから、放送や映画、ストリーミングサービス、デジタルマーケティングなどの分野でビデオのプロたちが、消費者からのより高度なコンテンツの要求に直面している。一方でプロダクションのタイムラインはますます短く、仕事の受注数は増え続ける。Adobeのデジタルビデオオーディオ担当ヴァイスプレジデントSteven Warnerは次のように述べる。「Adobe Senseiが提供するパフォーマンスの最適化とインテリジェントな新機能の数々により、ビデオのプロたちは、だらだらと長かったプロダクションの仕事を減らし、クリエイティブなビジョンに集中できる」。

そして、Twitchのストリーマーにはボーナスがある。これからはCharacter Animatorを使ってリアルタイムのアニメーションを作れる。それはこのツールを使っているColbert Show などでお馴染みの、ライブのアニメーションだ。

[原文へ]

(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

Facebookは同社社員にAdobeのCreative Cloudを使わせるためのIT管理ツールをオープンソース化、Facebook固有色はない

Facebookでは、IT部門のことを“IT”と呼ばず、“エンタープライズエンジニアリングオーガニゼーション(enterprise engineering organization)”と呼ぶ。Facebookのクライアントプラットホーム担当エンジニアNick McSpaddenによると、Facebookぐらいの大きさの企業になると、ITはベンダーのプロダクトのボタンを押すだけの仕事ではなくなるからだ。そしてそのことを強調するかのように同社は今日(米国時間6/21)、AdobeのCreative Cloudのプロダクトを社員に使わせるための内部的IT管理サービスオープンソースにした

Facebookのそのエンタープライズ〜〜オーガニゼーションは今、3万台近くのコンピューターと4万近いモバイルデバイスを管理している。ラップトップとデスクトップの多くはOS Xだが、Windowsマシンも約8000台ある。“組織が大きくなりすぎると、もう、ベンダーからターンキーのソリューションを大量に買い付ければすむ、という状態ではなくなる”、とMcSpaddenは強調する。そこでオーガニ〜〜のチームは、たくさんのオープンソースツールを使って、必要に応じて独自のソリューションを構築することになる。McSpaddenの説によると、ベンダーが彼らのソリューションを作るときには、メインストリームのユースケースを想定しがちだが、でもつねにエッジケースはある。そしてFacebookぐらいの巨体になると、エッジケースはどんどん増えてITチームの生産性を干上がらせる。

今回Adobeのプロダクトに社員がアクセスするためのツールをオープンソースにしたのは、至るところで使われているベンダーだし、ユーザー数も多いからだ。そのFacebookのスクリプトを一般企業が使うと、Adobeのサブスクリプションへの新しいアカウントを企業レベルの裁可のもとに作成することが容易にできるし、特定のユーザーに特定のツールへのアクセスを与え、あとでそのアクセスを必要に応じて取り去ることも簡単にできる。

McSpaddenによると、この新しいツールがオープンソースになったことをAdobe自身も喜んでおり、またそのコード中にはFacebook固有の部分は何一つない、と強調した。“Facebookだけでしか使えないものを公開する気はない。現状のままで誰にでも使えるものをリリースしたい”、と彼は語る。

コードはGitHub上にあり、McSpaddenは曰く、Facebookは外部からのコントリビューションを大歓迎する、と。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

Adobeが次世代型フォトエディターProject Nimbusをプレビュー、最初からクラウド生まれ

adobemax2016-18

今日(米国時間11/2)のMAXカンファレンスでAdobeは、クラウド生まれのLightroomふうフォトエディターProject Nimbusをプレビューした。それは、Adobeの従来からの旗艦製品的写真管理/編集アプリケーションから大量の複雑性を取り除いた、シンプルでスマートな(お利口な)ツールだ。まだ一般公開の予定はないが、来年にはベータが登場することだろう。

最近のAdobeは、モバイルアプリに力を入れている。多くの点でProject Nimbusは、Adobeがモバイルから学んだものの多くをデスクトップに還元したものだ、と言えよう。

同社が今日のデモで強調したのは、Nimbusが同社のそのほかのツールとシームレスに協働できることだ。画像やライブラリの形式はクラウド上のCreative Cloudスイートの仲間たちと共有できる形式であり、画像の編集は非破壊的かつ、複数のアプリケーションに反映される。Nimbusの基本設計方針のひとつが、ユーザーがデスクトップとモバイルをシームレスに行き来できること、だった。

0211-2016-0359318851094436658

このツールは、Adobeの最新の機械学習サービスも利用している。たとえば、ユーザーは自分のライブラリ中の画像を、自然言語で見つけることができる。GoogleもGoogle Photosでそれをやっているが、しかしLightroomでは、それらを再び見つけるためには写真にタグを付けておく必要があった。またNimbusの写真修正ツールは、クラウド上のCreative SDKや人工知能サービスAdobe Senseiを使っている。

Adobeは、同社の今後の成長路線が、ユーザーがいろんなデバイスやアプリケーションにまたがって仕事ができるようにすることにある、と信じている。モバイルアプリではすでにそれができているが、そこで学んだクロスプラットホームの重要性を、デスクトップにも持ち帰りたいのだ。

Project Nimbusは、まだ、その位置づけがぎごちない。なぜなら、だいたいの写真編集機能はLightroomで間に合うからだ。Nimbusは(最終的に名前がどうなっても)、Lightroomの消費者バージョン、という位置づけかもしれない。しかしある部分では、Lightroom の次世代バージョンとして、長期的には古いツールに置き換わる製品、という感もある。

おっと、ややこしい話だが、Adobeにとってこれは、二度目のProject Nimbusなのだ。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))