タッチ画面でペイントとドローができる新アプリの名前はAdobe Frescoと判明

近くリリースされるペイント&ドローアプリの正式名称がAdobe Frescoとなることが発表された。 湿った漆喰の上に顔料ですばやく描くフレスコ画技法から取った名前だという。Adobe(アドビ)によれば、即興的でクリエーティブなインスピレーションを活かすアプリだ。

このソフトはProject Geminiというコードネームでしばらく前から開発が進められており、2018年のAdobe Maxカンファレンスで最初の発表が行われた。iPadアプリが最初のプロダクトとなり、続いてタッチやスタイラスの利用が可能な他のデバイス向けのバージョンが出る。

Frescoは水彩画、油絵などクリエーターがメディアの表面にタッチして製作する画法をデジタル化するのが狙いだ。Frescoで用いられるツールはライブブラシ(Live Brushes)と呼ばれる。

2017年からアドビに所属するアーティストであるKyle Webster(カイル・ウェブスター)氏が製作したPhotoshop用ブラシも利用できる。ベクターグラフィックスのファン向けにFrescoにはベクターブラシも用意されている。ライブブラシがピクセルベースであるのに対してベクターブラシは方向と長さを持った幾何学的な線を作り出すため、サイズを任意に変化させることができる。

Frescoにはレイヤー機能も含まれており、重ね合わせやマスキングも簡単にできる。成果物はPhotoshopで編集できる。Illustratorにエクスポートする場合はPDFで書き出す必要がある。

アドビは「近く」というだけで具体的なリリース期日は明かさなかった。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

顔写真が修正されていることを見つけて元に戻すニューラルネットワーク

Photoshopなどの画像加工ソフトを使って写真の顔を微修正することは一般的に行われているが、その画像に伴うデータに、いついつ修正されたと明記されることは少ない。カリフォルニア大学バークリー校とアドビの研究者たちが作ったツールは、写真が修正されていることを見抜くだけでなく、それを元に戻す方法も示唆する。

最初にお断りしておきたいが、このプロジェクトはPhotoshopによる修正を対象とし、特にその「Face Aware Liquify」(顔だけを液化)機能を使ったものだけに限定される。この機能を使うと、さまざまな顔の特徴を細かく、あるいは大きく、調整できる。どんな修正でも検出できるツールはまだ未来の話だけど、これはそれに向かっての第一歩だ。

研究者の中には、本誌のAI+ロボティクスイベントに最近出演したAlexei Efros氏もいる。彼らは、修正写真はアドビのツールを使ってるものが多いという想定から出発し、だからまずそれらのツールでできる修正に着目しよう、と考えた。

彼らは、ポートレート写真を少しずつ違ったやり方で修正するスクリプトを作った。目の位置を動かしてスマイルを強調する、頬と鼻を細くするなど。そして、それらの変形した視像とオリジナルを一緒に全部機械学習のモデルに投じ、それらの違いを見分けられるようになることを期待した。

学習は成功した。人間に画像を見せて、どれが修正されているか当ててみろと言ったら、当る確立はきわめて低い。でも訓練されたニューラルネットワークは、修正された画像を99%の精度で同定した。

それは一体、何を見ているのか?おそらく、画像の光学的なフローの中に、人間には感知できない小さなパターンを見つけているのだ。それらの小さなパターンが、どんな修正が行われたかを示唆する。そしてオリジナルを見たことがなくても元に戻すやり方を示唆できる。

対象はPhotoshopで修正された顔だけだから、自分の顔が変えられてどっかに勝手に載せられることを、このツールで防ぐことはできない。でもこれは、今少しずつ進歩しているデジタル鑑識技術の多くの小さな始まりの1つなのだ。

このプロジェクトに参加したアドビのRichard Zhang氏はこう言っている。「今の世界では、自分たちが消費するデジタル情報を信用することがますます難しくなっている。このような研究が今後もっともっと進歩することを期待したい」。

このプロジェクトを説明しているペーパーと彼らが書いたコードは、ここでで見られる。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

アドビが動画編集アプリPremiere RushをAndroid向けにリリース

2018年後半、Adobe(アドビ)は「Premiere Pro」(プレミアプロ) と 「Adobe Audition」(アドビオーディション) をコンパクトにまとめた、オールインワンの最新動画編集ツール 「Premiere Rush」をリリースした。当時はiOSとmacOS、Windowsにしか対応していなかったが、今回ついにAndroid版がリリースされた。

ただし、アプリはSamsung(サムスン)の「Galaxy S9」や「Galaxy S10」、そしてGoogle(グーグル)の「Pixel 2」や「Pixel 3」、そして「OnePlus 6T」といった、かなり新しいスマートフォンでしか動作しない。

Premiere Rushの背景にあるアイデアは、Premiere Proのような複雑なツールを熟知していなくても、動画を作成するのに必要なすべてのツールを、熱心なユーザーや動画をすぐに公開する必要があるYouTubeユーザーに提供するというものだ。アプリはプロ向けの製品と同じ技術がベースとなっており、ずっと簡単に使える。つまり柔軟性を失う代わりに、効率性を得るのだ。

Premiere Rushの試用は無料だが、その「Starter Plan」では3つのプロジェクトしかエクスポートできない。フルアクセスにはアドビのCreative Cloudを購読するか、Premiere Rushにアクセスする月額9.99ドルのプランを購入する必要があり、またチームとエンタープライズ向けにはそれぞれ月額19.99ドルと月額29.99ドルにて提供される。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

Adobe Lightroomがチュートリアル・共有アルバム・テクスチャコントロールを新装備

Adobe Lightroomは米国時間の5月14日、かなり久しぶりとなる新たなスライダーの追加を含むアップデートを受けた。そのスライダーは、画像に含まれるテクスチャを目立たせる効果を発揮する。この新機能は、Adobe製の写真編集、管理ツールの2019年5月リリースに含まれているもので、LightroomとLightroom Classicの他、Camera Rawでも利用できる。また、Lightroom内で利用できる新たな学習ツールもいくつか追加されている。これによって、初心者から上級者まで、写真編集の方法を学ぶことができる。さらに、クラウド版のLightroom用に共有アルバム機能も装備した。それら以外にも、いくつかの細かなアップデートが含まれている。

Adobeでは、新たなチュートリアルや、その他の学習機能の方をプッシュしているのだが、ほとんどの写真家にとっては、Lightroomが新たに装備したテクスチャコントロールの方が、より強い興味をひかれる機能だと思われる。前回AdobeがLightroomにメジャーな新機能としてツールを追加したのは、「かすみの除去」が最後だった。もう何年か前のことだ。テクスチャコントロールは、「かすみの除去」や「明瞭度」の調整機能と組み合わせて使うとより効果的で、毛髪、肌、樹皮など、中程度の大きさのテクスチャのディテールを際立たせることができる。

当初Adobeでは、スムージング効果を目的としてこの機能の開発を始めた。テクスチャを目立たせるのとは逆の効果だ。実際、今でもテクスチャスライダーに負の値を設定すると、たとえば肌のテクスチャなど、かなり滑らかにすることができる。しかしその際にも、顔写真などの肌のディテールを潰してしまうことがないという優れた特長を備えている。

Adobeも認めているように、このツールは、既存の「明瞭度」ツールと紛らわしく感じられることもある。「明瞭度はテクスチャよりも強い効果を発揮します。それはそれで良いのです」と、AdobeのMax Wendt氏は説明している。「テクスチャの効果は微妙なので、もっと強いものが必要となることもあるでしょう。明瞭度は、より広い領域について色調の変化をもたらします。テクスチャよりも、輝度と彩度の変化が大きくなります。テクスチャと明瞭度は、根本的に異なるツールであり、それぞれ独自の利点を持っているのです」。

さらにAdobeは、Defringe(フリンジの除去)という新しいツールも導入した。これまでのLightroomのツールを使って色収差によるフリンジを除去しようとしても、残ってしまったものを目立たなくすることができる。この機能は、macOS版およびWindows版のLightroomでのみ利用可能となっている。

またLightroomの今回のリリースには、共有アルバム機能も追加された。長い間待ち望まれていたものだ。これで「Classic」が付かない方のLightroomは、ますますクラウド指向となった。

チュートリアル、その他の教育的な素材として、AdobeはまずiOS版とAndroid版のアプリにインタラクティブなチュートリアルを追加しようとしている。今後、Mac版とWindows版でも利用できるようにする予定だ。Adobeは、何人かの写真家に依頼してチュートリアルの作成に協力を仰いだり、「インスピレーションを刺激する」写真の提供を受けている。また、通常のヘルプ機能も強化し、ヘルプ内に多くのチュートリアルを組み込んでいる。

画像クレジット:Adobe

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

アドビのCommerce CloudはMagentoにAmazonとGoogleを統合

Adobe(アドビ)がMagentoを16億ドル(約1760億円)で買収し、Adobe Commerce Cloudを立ち上げてから、まだ2、3カ月しか経っていない。米国時間5月13日、MagentoのImagine 2019カンファレンスで、同社はいくつかのアップデートを発表した。プラットフォームのカバー範囲を同社のサービスを利用する中小企業にも拡げることを狙ったものだ。

AdobeがMagentoを買収した際には、同社のサービスを利用していた中小企業の多くはAdobeが既存の大企業に注力するようになるのではないかと心配した。つまり、それ以前からAdobe Experience Cloudを利用していたような企業のことだ。今回の一連の発表は、さまざまな面でこうした懸念を打ち消すことを目指したものとなっている。

中でも、Magentoユーザーにとって最も重要な2つのニュースは、Amazon、およびGoogleとの新たな統合機能だ。

まずAmazonについては、業者は直接MagentoのバックエンドからAmazonの在庫を自動的に管理し、メンテナンスすることができるようになった。Amazon Sales Channelに適合した値付けルールを設定し、複数のAmazonアカウントを使って複数のAmazonブランドを管理し、さらにAmazonの製品データにアクセスすることも可能だ。

この新機能は、すでにMagento Marketplaceで入手できる無料の機能拡張を導入することで、すべてのMagentoユーザーが利用可能となってる。

「多くのブランドや業者にとって、Amazon内にストアを構築するのは簡単なことではありません」と、Adobeのコマースプロダクト&プラットフォーム担当副社長であるJason Woosley氏は述べている。「そのためは、運用上の課題のあれこれに適切に対処しなければなりません。新しいプラットフォームを導入し、チームのメンバーがその使い方をマスターして、管理、維持の方法を学ぶ必要もあります。もしチームの仕事量が限界を超えてしまったら、新たなスタッフを雇うか、そのままではビジネスの目標を達成できないロードマップを考え直す、といったトレードオフも必要となるでしょう」。

一方GoogleについてもMagentoは同日、Google Shoppingとのネイティブな統合機能を、やはり無料の機能拡張としてリリースした。これにより、Magentoの管理者はMagentoのダッシュボードからGoogle広告を管理し、Google Merchant Centerアカウントを運用できるようになる。さらに、Magentoから直接Googleのマーケティングキャンペーンも管理できるようになる。ここでも、Magentoを利用している業者は、すでに使い慣れたツールを使って他のプラットフォームまでも操作できるようになるのがポイントだ。これまでは、複数のサービスの間を行ったり来たりしながら、それらが同期して動くよう苦労していた。

さらにAdobeは、PWA(Progressive Web Application)Studioも発表した。これは、高い技能を持ったMagentoユーザーが、アプリ同様に使えるオンラインストアを構築することを可能にするもの。現状では、支払いオプションとしてPayPalのBraintreeをサポートしている。Woosley氏は、特に新興市場においては、多くのMagentoユーザーにとって、PWAこそ進むべき道であると期待しているという。

画像クレジット:Bogdan Vija/EyeEm/Getty Images

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

AdobeがIllustratorの新しいカラーパレットを実験中

米国時間4月26日、Adobeはバルセロナで行われたOFFFフェスティバルで、ベクター描画アプリケーションIllustratorの実験的機能を披露した。基本的な狙いは、Illustratorユーザーが写真などの画像をベースにしたカラーパレットを簡単に試せるようにすることだ。画像から作られたリアル世界のカラーパレットを使うことで、既存の描画作品を使って驚くほど簡単に新たなバリエーションを加えることができる。

ただし現時点では、これはAdobeがいうところの「チラ見せ」段階にありで、製品化にはまだ至っていない機能だ。

各機能は、最終的に対応するCreative Cloudアプリの一部になったりならなかったりする。しかしこの実験はかなりわかりやすいので、次期バージョンのIllustratorに入らなければむしろ驚くだろう。カラーパレットの抽出自体はさほど難しいものではない。実際同社は、Adobe Colorというこれを行うためだけのスタンドアロン・ツールをすでに提供している。ポイントはそのパレットを既存の作品にどう当てはめるかだ。現在どの程度うまくいっているかを説明するのは難しいが、少なくともAdobeのデモを見る限り、かなりシームレスな体験だった。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

アドビがUI/UX開発ツール「Adobe XD」テコ入れのためデベロッパーを約224万円で勧誘

デザイン業界は本格的な競争状態にある。これまでの歴史を振り返って見ても、デザイナーやそのチームにとって、これほど豊富なオプションが選択肢として揃っていることはなかった。需要と供給が共に増加するにつれて、デザインのためのツールを作る側は、ユーザーに対してなるべく包括的な体験を提供できるように努めてきた。

この分野の重要なプレーヤーであるAdobe(アドビ)は、米国時間4月16日にAdobe Creative Cloud Plugin Accelerator(アドビ・クリエイティブクラウド・プラグイン・アクセラレータ)を発表した。Adobe XD用のプラグインの開発に集中して取り組んでみたいと考えている個人、またはチームは、Adobeの本社で3カ月間を過ごすことになる。その間は、Adobeの製品を自由に使い、デザイン、開発チームと協力して仕事を進めることができる。また経費として、1人あたり2万ドル(約224万円)の固定給が支払われる。

ただ、Adobeはこのプロジェクトに対して公平な立場を取ってないことは承知しておくべきだ。参加者はその間に開発したものに関する知的財産権の100%をAdobeに引き渡さなければならない。

このAdobe Creative Cloud Plugin Acceleratorは、2018年5月に発足した1000万ドル(約11億2000万円)のAdobe主催のベンチャーファンドのFund for Designからサポートを受けている。このファンドも、そしてこのアクセラレータも、これまではかなり閉鎖的なエコシステムを築いてきたAdobeを、よりオープンなものにすることを目的としている。

「Adobeのような会社にとっては、外部の人材を本社に招き入れることによって、体質を解きほぐすことが重要です」と、Adobeの主席デザイナー、Khoi Vinh氏は述べている。「5年から10年前のAdobeと比べれば、考え方は大きく変わっています。さらに、コミュニティの活力を取り込もうとしているのです」。

AdobeがAdobe XDのAPIを開放してから、まだ1年も経っていないが、それによってUserTestingやAirtableなど、他のツールとの統合が可能となった。

Vinh氏によると、どれほどの数のチームや個人に、アクセラレータに参加してもらうことができるのか、現時点ではまだAdobeとしてもはっきりしていないという。会社として、このようなことをするのは今回が初めてなので、特定の数の参加者や固定的なカリキュラムに固執することはなさそうだ。Vinh氏が見たところ、自分たちが開発しようとしているものについて明確なビジョンを持っていて、あとはAdobeの技術部門、あるいは製品開発チームから個別にアドバイスを受けたいと考えているチームもあれば、コラボレーションが可能な環境でのブレインストーミングによって、アイディアそのものを開拓したいというチームもあるようだ。

1つだけ明らかなことは、Adobeが探し求めているのは、超初期段階のプロジェクトであるということ。

「結局のところ、Fund for Designで起こったことは、創立者、あるいはすでに自分の会社を持っている人々にとって、助成金と投資が大きな役割を果たしたということです」と、Vinh氏は述べている。「プラグインアクセラレータがターゲットにしているのは、創業することを考えるよりも前の段階の人で、自分の会社を始める準備もできていない人なのです」。

希望としては、2、3のチームが素晴らしいプラグインを開発し、Adobe XDというプラットフォームをより魅力的なものにすることができること。ちょうどFigmaやInVisionが、同じ領域のユーザーのために実現しているのと同じように。

Adobeはベンチャー基金を立ち上げた最初のデザインツール会社というわけではない。たとえばInVisionは、2017年末に500万ドル(約5億6000万円)のDesign Forward Fundを立ち上げている。

Creative Cloud Plugin Acceleratorに興味がある人は、ここから応募することができる。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

クラウド上でレンダリング可能なAdobe Dimension CC

アドビは米国時間4月3日、2Dおよび3Dの合成ツール、Dimension最新版のリリースを発表した。Creative Cloudの最新メンバーだ。新しいリリースには、2つのハイライトがある。1つは、まだベータ段階だが、クラウドレンダリング。もう1つは、AllegorithmicのSubstance Designerから、Substanceマテリアルをインポートできることだ。

Dimensionでのクラウドレンダリングは、クラウドそのものと、その長期的なビジネスについて、アドビがどのように考えているかを端的に表す機能だろう。ユーザーは、この新機能を使って、レンダリングの負荷から自分のマシンを開放し、それをクラウドに転嫁することができる。3Dコンテンツの生成には、どうしても多大な計算能力が必要となる。特に最終的に高解像度の作品に仕上げたいという場合はなおさらだ。最近のノートパソコンやデスクトップ機なら、そうした画像を生成するのに必要な性能は備えている。それでも、多くのリソースが必要となり、一時的にせよマシンの反応が悪くなることもある。ファンも高速に回転する。

クラウドレンダリングを実現するには、アドビとしてもクラウドリソースに対する出費が必要となる。それは安いものではない。そこで、この機能を使用するために、すべてのCreative Cloudユーザーに、15の無料レンダリングクレジットが提供される。1回のレンダリングごとに、1から3クレジットが必要となる。これは、画像の品質によって異なる。今のところ、この15のクレジットが、ユーザーが手にできる最大のものだ。ベータ期間中は、クレジットを買い足すことはできない。アドビは、ベータ期間終了後も、ユーザーに無料のレンダリング機能を提供したいと言っているものの、CCの有料メンバーが何クレジットもらえるのか、クレジットを追加購入する場合の料金体系はどうなるのか、などは明らかにしていない。

ベータ期間中は、画像サイズは2000×2000に制限されている。自動ノイズ除去は無料で利用できる。

この技術をアドビがどう扱っているかを見れば、ビデオのレンダリングなど、他にもコンピュータにとって重い処理に応用しようと考えていることがよく分かる。

Allegorithmicのサポートも、まったく驚きではなかった。アドビは、すでにこの1月に同社を買収していたからだ。Allegorithmicは、テクスチャやマテリアルを作成するツールを開発している会社で、ゲームのクリエーター、視覚効果アーティスト、デザイナーなどに利用されている。Dimensionは、Substanceのネイティブなファイルフォーマットをサポートするようになった。そのマテリアルは、スマートテクスチャと呼ばれるパラメータベースのものなので、利用するシーンに応じて簡単に調整できる。

その他の新機能としては、3Dモデル上の高解像度グラフィックの品質向上がある。たとえば、3Dのボトルの上にロゴを貼り付けるような場合だ。従来、多少ピクセルが荒い感じに見えていたのだが、今では高い解像度が維持されるようになった。さらに、DimensionもCCライブラリをサポートするようになった。これは、アドビのCreative Cloudに含まれるアプリ間でアセットを共有するためのサービスだ。たとえば、Photoshopで画像を編集すると、更新された画像がDimensionでもただちに利用可能になる。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

アドビがいち早く新元号「令和」の合字を発表、正直まだなじめないが

アドビ システムズは4月1日、本日発表された新元号「令和」の合字を発表した。Adobe Fontsの「小塚明朝」「小塚ゴシック」「源ノ角ゴシック」の日本語およびPan-CJKフォントに「令和」の合字を追加している。同社では、明治、大正、昭和、平成の各元号を構成する2文字を全角1文字に入るように圧縮・デザインした合字を提供しており、今回いち早く新元号の令和にも対応した。

合字は「国際符号化文字集合(UCS)」にも収録される予定で、新元号の合字には「U+32FF」の文字コードが割り当てられる。同社は今後、「令和」の縦組、横組用の2つの合字を作成し、Adobe Fontsから提供するアドビのフォントに段階的に追加していく予定とのこと。

価値の高いビジネスデータを共有、MSとアドビ、SAPがOpen Data Initiativeを拡大

昨年のMicrosoft Igniteカンファレンスでは、Microsoft、Adobe、SAPのCEOが一緒にステージに上り、Open Data Initiativeの立ち上げを発表した。この取り組みが目指すのは、それぞれの顧客が、お互いのサービス間でデータをやり取りしやすくすること。そのために、共通のデータフォーマットを標準化し、データをそれぞれのサイロから取り出して、顧客が選択した単一のデータレイクに移動できるようにする。今週開かれているAdobe Summitで米国時間の3月27日、3社はこのプログラムを拡大する計画を発表した。さらにパートナーを追加することも視野に入れている。

「私たちが力を合わせて取り組むのは、それぞれの顧客に共通の問題を解決するためです。その問題は、ずっと以前から言われ続けているもので、価値の高いビジネスデータほど、さまざまなアプリケーションの内側にサイロ化されているというものです」と、Microsoftのビジネスアプリケーションおよびグローバルインダストリ担当副社長のAlysa Taylor氏は語った。「データを取り出して、そのフォーマットを類推し、データに秘された情報を収集することは、非常にコストがかかり、手動の作業も必要で時間がかかるものなのです」。

このアライアンスの基本理念は、データは顧客のものであって、顧客はそこから可能な限り最大限の価値を引き出すことができなければならない、というもの。理想的には、共通のデータスキーマを持つことには大きな意味がある。つまり、顧客はベンダーから得たデータを変換する方法を考え出す必要もなく、そのすべてを簡単に1つのデータレイクに流し込むことができるようになる。それにより、そのデータを、さまざまな分析サービス、機械学習システム、さらに他の会社が提供するツールによって活用できる。

今回のAdobe Summitで、この3社連合は最初の顧客のユースケースを示した。それは、Unileverが、この共通のデータ標準をどのように利用しているかを明らかにするものだ。彼らが強調したかったさらに重要なポイントは、Open Data Initiativeは、当然ながら他の会社に対してもオープンになっているということ。その最初のステップとして同連合は、パートナー諮問委員会を設立することも米国時間3月27日に発表した。

「これが基本的に意味しているのは、このエコシステムを担っている主要な会社にも、ODIの取り組みに参加してもらえるように拡張した、ということです」と、Adobeのエコシステム開発担当副社長、Amit Ahuja氏は述べた。「私たちが始めようとしているのは、2つあるパートナーの大きなグループに焦点を合わせることです。そのうちの1つめは、この種のコアデータを多く持っている、本当に興味深いISVです。私たちは、そうした会社を、1つに統一された視野の中に確実に取り込みたいと考えています。そして2つめのグループは、自分たちのエンタープライズ向けアーキテクチャの中で、顧客を手助けしようとしている大手の事業者です」。

この新しい委員会に加わった最初の12のパートナーは、Accenture、Amadeus、Capgemini、Change Healthcare、Cognizant、EY、Finastra、Genesys、Hootsuite、Inmobi、Sprinklr、そしてWPPの各社だ。しかし、これはまだ最初のステップに過ぎない。やがて、このグループは、これら最初のパートナーをはるかに超えて拡大し、さらに多くの関係各社を巻き込んでいくはずだ。

「私たちは、本当にこれを広めたいと強く望んでいます。それにより、すばやく進歩し、私たちが話していることを実際にデモで示したいのです。コンセプトの段階でも、間違いなく顧客の利益になるものであることが分かってもらえるはずです」と、SAPのグローバルビジネス開発&エコシステム担当副社長、Abhay Kumar氏は述べた。このアライアンスが把握しているユースケースは、市場情報、販売情報、そしてサービス情報に重点を置いたものとなっていると、彼は付け加えた。

今日、企業は何十もの異なるシステムからデータを取り込む機会も多く、それらの情報をすべて理解するのはかなり困難となっている。そして、その段階に到達するだけでも、まずデータを変換して、利用可能な状態にする必要がある。そうするためには、データを解きほぐす、別のアプリケーションをいくつも動員しなければならない。「私も、そのために15から20ものアプリケーションを購入したくはありません」とAhuja氏は言う。「投資を身のあるものにして、すでに購入したアプリケーションへの投資を回収したいのです」。

この取り組みは、エンジニアリング、セールス、製品マーケティングの各グループにまたがるものであり、協力関係が非常に重要であると、3社は口を揃えて強調している。

(関連記事:Microsoft, SAP and Adobe take on Salesforce with their new Open Data Initiative for customer data

画像クレジット:Microsoft

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

アドビがマーケター向けの新しい分析ツール「Journey IQ」を発表

米国時間3月26日、ラスベガスで開催されているAdobe Summitにおいて、アドビはAnalyticsスイートの機能を強化することを発表した。新しい機能はマーケターが顧客をより深く理解するのに役立つもので、カスタマージャーニー全体を追跡する新しいツールや、広告とマーケティングの成果の関係(これを理解するのは驚くほど難しい)を確かめるのに役立つツールなどが含まれている。

カスタマージャーニー全体を追跡する新しいツールの名前は「Journey IQ」。カスタマージャーニー全体をもっと理解しようとするアイデア自体は新しくない。マーケティング分析をするベンダーはこの問題に10年以上取り組んでいる。

Adobe Analyticsのプロダクトマーケティング担当ディレクターであるJohn Bates氏は、カスタマージャーニーに対する理解は今後のマーケティング活動を考える上で役立つもので、Journey IQはそのために作られたツールだと言う。「このツールはまさにこれまでの体験を完全に把握するためのもので、良い体験や瞬間と悪い体験や瞬間を区別するのに役立ちます」と同氏は説明する。

サイト内の顧客のエンゲージメントにおいて何が起きたかを理解する助けとなるように、アドビは行動につながるデータと分析を顧客に提供しようとしている。それは今後のより良い体験につながるからだ。マーケティングベンダーにとっては常に体験がすべてであり、体験を理解することを主眼としたデータを多く得られれば大きな成功が得られるとベンダーは考えている。

このソリューションは、チャーン分析、カスタマージャーニーをステップ・バイ・ステップで追跡するタイムラプス分析、過去や将来を見る分析といった要素を取り入れている。ゴールはマーケターに対してできるだけ多くの情報を提供することだ。これによってマーケターはサイトの訪問者がポジティブな行動をとるように改善することができる。マーケターにとっては、この次は何かを(もっとたくさん)買うことがジャーニーの終わりとなる。

広告とマーケティングキャンペーンの成果の関係を見るツールの方は「Advertising Analytics」という名前で、Adobe Advertising Cloudと新たに統合される。マーケターはすでにデジタル広告に関する洞察を得ていると思われがちだが、広告とマーケティングはテクノロジー面でサイロ化していることが多く、両方のデータをまとめて全体像を描くことは難しい。

アドビは、顧客に対する広告と顧客がサイトを訪れたときにとった行動の関係をマーケターに提供しようとしている。この関係がわかれば、消費者の行動につながる効果的な広告戦略を深く理解できるだろう。

この2つの分析ツールはマーケター向けに、顧客がどのようにしてなぜサイトを訪れたのか、サイトでどう行動したのかを理解するために、また顧客はなぜ行動したのか、行動しなかったのかをより深く考察するために作られている。

ポジティブな顧客体験を構築し、その結果として売上を増やし顧客満足を高めるために、本稿で述べてきたような関係を理解することは不可欠だ。しかしこうしたツールを使っても何が起きているかを理解するのは難しいと心にとどめておかなくてはならない。

Image Credits:Getty Images

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(翻訳:Kaori Koyama)

アドビとマイクロソフトが取引先データの共有で連携

Microsoft(マイクロソフト)とAdobe(アドビ)はここしばらく関係を築いてきたが、米国時間3月26日にラスベガスで開催されたAdobe Summitで、両社は2つのプラットフォーム間のより強固な連携を発表した。

そこには、 Adobeが昨年9月に47.5億ドルで買収したMarketoという会社のデータ共有も含まれている。このデータ共有は、Account Based Experience(ABX、取引先に基づく体験)と呼ばれている。両者は、Adobe Experience CloudのMarketo Engage、Microsoft Dynamics 365 for Sales、さらにはMicrosoftが2016年に262億ドルという巨額で買収したLinkedInなど複数のシステムの取引先データを共有する。

Microsoftは以前からLinkedInのデータを役立てる方法を探っており、MarketoのようなツールはLinkedInのデータを利用して取引先担当者の理解を深めるのに役立つ。Marketoの前CEOで現在AdobeでMarketoチームを率いるSteve Lucas氏は、顧客取引先は個人への販売と比べて複数の意思決定者が存在するためずっと複雑であると言った。販売サイクルは数カ月にわたることもあり、窓口担当者の追加情報を得られることは大きな意味がある。

「新しい取引先ベースの機能によって、マーケティングチームと営業チームは取引先や担当者に関する情報の連携が強化され、ビジネスへの影響力を測る新しい基準になる」とLucas氏が声明で説明した。

CRM Essentialsの代表でCRM、カスタマーサービス、マーケティングに長年携わっているBrent Leary氏は、これを顧客にも両社とっても有意義な提携だと見ている。「Microsoft DynamicsとLinkedInを、Marktoとより密接に連携させることで、AdobeのExperience CloudはB2B顧客の状況を知るために大きな価値のあるデータを手に入れることができる」とLeary氏はTechCrunchに話した。

目標は、複雑な営業案件を成立させることであり、両社のプロダクトを横断するより完全なデータを利用できるようになることがそれに役立つだろう。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Premiere Rush CCはパソコンでもモバイルでもビデオ編集可能――AdobeからYouTuber向けツール登場

今年初頭、Adobeはマルチプラットフォームのビデオ編集プロダクトのプレビュー版をProject Rushとして発表した。今日(米国時間10/15)開幕したAdobe MaxカンファレンスではProjectが外れ、Premiere Rush CCとしてCreative Cloudの一員となったことが発表された

Rushの狙いは非常にストレートで、オールインワンの効率的なビデオ編集ツールの提供を目指している。これはパソコンであれモバイルであれ、あらゆるプラットフォームですばやくビデオを編集し、YouTubeなどのソーシャルメディアにアップしたいという現代のビデオ・クリエーターのニーズに合わせたプロダクトだ。実際、紹介ビデオを見るとYouTube世代がターゲットであることがよく分かる。

RushはAdobeのオーディオ、ビデオ編集ツールのコア部分を抽出し、モバイル、デスクトップの双方をサポートする単一ツールにまとめたプロダクトだ。たとえばモーション・グラフィックスにはテンプレートが用意されおり、文字や画像にアニメーション効果を加えることができる。これによりRushのユーザーは目を引くタイトルの作成が簡単にできる。また色味の調整はフル機能のビデオソフト、Premiere Proに用いられているテクノロジーと基本的に同じものだ。オーディオ編集には既存のAuditionで用いられたの同じダッキング機能がサポートされており、ユーザーがナレーションを録音するとき他の音量が自動的に絞られる。

編集はすべてのプラットフォームで同期されるので、ビデオブロガーはスマートフォンで録画し編集を始めた後、ノートパソコンで仕上げで公開するなどができる。

製品版のRushの機能は数ヶ月前にAdobeが予告していたとおりだが、今日のカンファレンスでの発表では今後予定されているアップグレードのプレビューも紹介された。近々(Adobeによれ来年)、RushはAndroidでも利用できるようになる。またスピード調整機能がサポートされ、再生速度を増減できる(この機能はYouTubeでやたらに使われることになりうそうだが)。またプラットフォーム別に数種のビデオファイルを簡単に出力できるようになる。また当然、処理速度も改善される。

Premiere Rush はCreative Cloudのフルバージョンの契約者の場合、自動的に利用可能となる。単一アプり版、学生版の契約も用意されており、個人の場合月額9.99ドル、チームの場合月額19.99ドルだ。スターター・プランは無料でアプリの全機能が利用できるが、エクスポートは3プロジェクトまでとなっている。

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Adobe、AR構築ツールとiPadアプリを発表――MAXカンファレンス開幕

今日(米国時間10/15)、ロサンゼルスで開幕したAdobe MaxカンファレンスではCreative Cloud(CC)ベースの新しいツールがいくつも発表された。中でも注目されたのはAR体験を構築するProject AeroとiPad上でラスターとベクター双方の作画ができるProject Geminiだ。

Projectというのは初期段階のバージョンで、まだ一般ユーザー向け安定版プロダクトではないことを示すAdobe流の用語だ。しかし近くProjectが外れてCCの正式な一員となるだろう。

AdobeがARツールを発表することは十分に予想された展開だった。ARテクノロジーが業界にこれだけ大きなバズを巻き起こしているというのにAdobeがじっと傍観していることはあり得ない(VRの場合もdobeはパイオニアの一社だった)。Project AeroはAdobe DimensionやPhotoshopと統合されており、作成された資産は簡単にインポートできる。現在はプライベート・ベータだが、年明けには公開範囲がさらに拡大されるはずだ。

Project GeminiはiPad向けのスタンドアローンのグラフィックス・ツールで、Photoshopのペイント・エンジンを利用している。このアプリはPhotoshop SketchやIllustrator Drawなど既存のモバイル・アプリのテクノロジーも使っている。タイムラプス効果やPhotoshopブラシのサポートはこれらのアプリから採用されたものだ。しかし選択やマスクのツール、グリッド、ガイドなどが含まれ、ラスターとベクターの双方で画像を作成できる新しいパッケージに再構成されている。

興味深い点は、このプロジェクトにおけるKyle T. Websterの存在だ。AdobeはWebsterのPhotoshopに多数のブラシを提供するサービスをちょうど1年前に買収している。

Adobeは今日発表されたリリースにこう書いている。

あらゆるスキルレベルのアーティストを対象とした厳しいテストの結果、われわれはドローイング・ツールが効果的に働く仕組みについて理解を深めた。Project Geminiのすべての機能は ドローイングとペインティングのワークフローを効率化することを目的としている。ユーザーは水彩風、油絵風などKyle
Websterが制作した自然なタッチのデジタルブラシを全面的に利用できる。また選択、マスク、変形もサポートされている他、Adobeのリサーチ・チームが開発した買う↑アズのテクノロジーが統合sれている。

Geminiではダイナミック・ブラシを含めPhotoshopがサポートしているブラシがすべて利用できる。また作成したファイルは両プロダクトの間で自由にやり取りできるという。

Adobe Maxで発表された他のプロダクト同様、Project Geminiもまだプライベート・ベータだ。また当面、デバイスはiPadがサポートされる。ただしAdobeでは他のプラットフォームにもサポートを拡大する計画だ。AdobeとMicrosoftの緊密な関係やAndroidにはこれというほどの魅力的なタブレットが存在しないことを考えると、サポートの拡大というのはWindowsベースのタブレットを指すのだろうと思う。

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Adobe、Photoshop CCのiPad版を発表

Adobeが同社の Creative Cloudアプリを近代化して、あらゆるプラットフォームに持ち込もうとしていることは周知の事実だ。本日(米国時間10/15))同社は、ロサンゼルスで行われたMaxカンファレンスで、Photoshop CCのiPad版を正式にアナウンスした。

残念ながら今すぐ試すことはできないが、2019年になったら、あらゆる画像をiPadでレタッチできるようになる。そして、当初はデスクトップ版の全機能を使うことはできないが、今後追加していく予定だとメーカーは言っている。

あらゆるAdobe製品がそうであるように、Photoshop for iPadは他のあらゆるバージョンのPhotoshopと互換があり、PSDに加えた変更はデバイスを横断してすべて同期される。ユーザー体験が一から再構築され、タッチ用にデザイン変更されているのも驚きではない。標準Photoshopの画像編集ツールとレイヤーパネルのほとんどが実装される。もちろん、デジタルスタイラスにも対応している。

iPadバージョンはデスクトップ版Photoshopとコードベースを共有しているため、「機能やパフォーマンスや編集結果に妥協は一切ない」とAdobeは言っている。

しかし現時点でPhotoshop CC iPad版についてわかっていることは、これくらいだ。これ以上は2019年まで待つしかない。もっとも、知っておくべきことはおそらくこれだけだ。Adobeはずっと以前から、ユーザーがどこにいても作業ができるようにしたい、と言ってきた。当初それは、大きなCreative Cloudエコシステムと同期する、機能に特化した数多くの小さなアプリ群のことを意味していたが、今はPhotoshopのような巨大アプリのフルバージョンをモバイルで動かす方向にシフトしているようだ

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

GoogleやFacebookも使っているデザインツールFramer Xの魅力は開発工程の上流下流への柔軟な対応

デザインツールはどの企業にとっても、ますます重要になっている。今日はそのレースに、新人が入ってきた。

新人とは言ったが、Framer Xは三年前にできたFramerの改造バージョンであり、ファウンダーのKoen BokとJorn van Dijkはさらにその前の2011年に、デザインソフトのSofaをFacebookに売っている。そしてFramer Xは、Reactベースのリッチなデザインツールで、どんなデザイナーでもインタフェイス成分を描けて、それらを技術者のコラボレーションチームに送れる。

その鍵は、再利用性と忠実な再現性だ。Framer Xでは、技術者たちが今本番開発に使っている成分を送って、デザイナーたちはそこから仕事を始められる。逆にデザイナーはボタンやアイコンをデベロッパーにファックスで送るのではなく、その成分のSVGコードをデロッパーに送れる。

[Framer Xはベクターツール]

Framer Xではまた、ユーザーがFramer Xのストアで成分やそのほかのデザインアイテムをパッケージとして集め、デザインの過程でそれらに容易にアクセスできる。Framer XのFramer X Storeは一般公開されているので、たまにデザインをするような人が経験豊富なプロのデザイナーの作品をベースに仕事を始められる。

また、企業がその社内だけで使うプライベートなストアを、Framer Xの上に開ける。

Framer Xの使用料はユーザー一人あたり月額15ドルだが、企業のプライベートなFramer Xストアは、企業の規模などに応じて適宜課金される。

Framer Xの強敵といえば、InVision, Adobe, Sketchなどだ。

同社によると、現在の月間アクティブユーザーは約5万、企業ユーザーは200社だ。その中には、Google, Facebook, Dropboxなどもいる。資金はこれまで、Greylock, Foundation Capital, Designer Fund, Accel Europeなどから900万ドルを調達している。

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Adobe Photoshopの‘コンテンツに応じた塗りつぶし’が性能アップ、おかしな失敗が減少

Adobe Photoshopの“コンテンツに応じた塗りつぶし”(content-aware fill)が登場したときは、誰もが感激した。退屈な名前だけど、すばらしく便利な機能で、画像のセレクトした範囲内にAIが選んだ画像の破片をリプレースして、そのまわりと同じ本物らしく見せかける。しかしAIは万能ではないから、ときどき、おかしな、笑えるような結果になった。でも今度の新しいツールでは、AIの失敗がほどんどなくなるそうだ。

今日(米国時間9/10)発表された予告編ビデオでは、コンテンツに応じた塗りつぶしの設定項目が大量に増えたから、修正作業が楽しくなるかもしれない。フォトグラファーは元々、加工や修正が好きな人種だが、修正のメニューが増えればそれだけ結果も良くなる。

以前は、どうだったか…

…ときどき、こんな結果になった…

[コンテンツ対応の失敗]

…今度からは右側に大量のオプションが並ぶのでそこから選ぶ。

いちばん重要な違いは、ユーザーが範囲指定をした領域内でどの部分を塗りつぶすべきかを、AIが選べることだ。上の失敗例では、馬の部分を塗りつぶそうとして、ほんの一筆(ひとふで)か二筆(ふたふで)ぶん、除外している。しかし正確である必要はない。人間の手とマウスによる指定が1ピクセルの精度で間違っていても、今度のアルゴリズムは正しく判断する。

改良されたアルゴリズムはさらにお利口になり、使用する成分の回転や縮小拡大も臨機応変に行なう。その方が良い、と判断したら、コンテンツの鏡像も使う。

塗りつぶしを、別のレイヤ(層)に出力できるので、アーチストにとって重要な「非破壊的編集」ができる。これは、前からあるべきだった、とぼくなどは思うね。

ここまで強力な修正をやると、純粋な人はしらけるかもしれない。でも、実際に手元にある写真を使うしかない場合もあるし、ちょっと牛の数が多すぎる、ということもあるだろう。手作業による写真修正の名人ではない人が、大きな修正をしなければならないときには、使ってもいいことにしておこう。

今回の新しいアップデートは“もうすぐ提供”ということだから、アップデートの通知によく注意していよう。

画像クレジット: Adobe

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

顧客エクスペリエンス事業を強化するAdobe

マーケティング担当者たちは、顧客をよりよく理解し、カスタマイズされたインタラクションを提供し、最終的に売上を増やすために、長年にわたりオンラインショッピング体験を最適化してきた。人工知能がそれを加速すると期待されてきたが、今日(米国時間9月10日)Adobeは、Adobe TargetとAdobe Experience Managerの強化を発表し、少なくとも部分的にその約束を実現しようとしている。

Adobeはここしばらく、その企業向けビジネスの強化に注力してきた、彼らは100億ドルの企業になるための道を順調に進んではいるものの、企業側からのさらなる収益の可能性は残されたままだ。彼らはそれをさらに推し進めるために、AIに大いに頼ろうとしている。

AdobeのLoni Starkは、企業はカスタマイズと最適化に関するより洗練されたソリューションを求めていると語る。その中には、マーケティング担当者がプログラムを調整してより良いエクスペリエンスを生み出すのを助けるために、Senseiと呼ばれるAdobeのインテリジェンスレイヤーを使用することが含まれている。

まず手始めに同社は、ユーザーが任意の一連のタスクに対して最適なアルゴリズムを選択する手助けをしたいと考えていいる。Adobeは、昨年Auto-Targetと呼ばれたツールをリリースして、AIによる支援を持ち込んでいる。「マーケティング担当者が直面してきた課題の1つは、どのアルゴリズムを使用するのか、そしてそれをどのようにパーソナライズ戦略にマップすれば良いのかです。Adobe Senseiによって、最高のアルゴリズムを選択することができます」。彼女は、マーケティング担当者たちに選択のためのスマートアシスタントを提供することで、このタスクが遥かに負担の少ないものになるという。

Adobeはまた、3月のAdobe Summitで初めて導入された、Smart Layoutsと呼ばれる新しいツールを使って、レイアウトデザインにある程度のスマートさを導入している。ここでのアイデアは、マーケティングチームがパーソナライゼーションの規模を拡大し、行動を起こす可能性を高める(つまり購買につながる)ことができるように、どの時点でも適切なレイアウトを提供しようというものだ。

ここでも、同社はAIにプロセスをガイドさせ、サイト訪問者の任意の時点での振る舞いに応じて、異なる対象層に対して異なるレイアウトを生成させる。すなわち、訪問者がショッピングプロセスを辿る際に、小売業者は知っていることに基いてより細かいページを提供できるようになる筈だ。よりカスタマイズされたエクスペリエンスを提供できれば、買い物客が実際に購入してくれる可能性が高くなる。

Adobeは、Amazon Alexaのようなデバイスが徐々に普及するにつれて、新しい配信チャネル、特に音声を使ったものを検討している。ウェブ、モバイル、プリント、その他の配信アプローチと同様に、マーケティング担当者たちは、異なる音声やワークフローに対してA/Bテストなどの基本的なタスクを適用する必要があり、Adobeはこれらをツールに組み込んでいる。

これらの新機能はすべて、顧客の業務を楽にするために、マーケティングツールを合理化し続けるAdobeの継続的な試みの一環である。人工知能を使用してワークフローをガイドすることで、彼らはデジタルエクスペリエンス部門からより多くの収益を得ることを期待している。これらのツールは役に立つはずだが、それでもAdobeはまだCreative Cloudから大部分の収入を得ている。6月に出された最新のレポートによれば、四半期の総収益22億ドルのうち、デジタルエクスペリエンス部門が占めるのはまだ5億8600万ドル(前年比18%増)に過ぎない。

AdobeはMagentoを獲得するために、5月に16億8000万ドルという大金を費やした 。彼らは9月18日に次の四半期レポートを報告する予定である。Magentoの買収と人工知能の利用の増加が、ビジネスのこの側面を拡大し続けるのに役立っているかどうかを見ることは興味深い。

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(翻訳:sako)

写真提供: John Lamb / Getty Images

Adobeのマーケティングツールはメールを送るベストのタイミングをAIが教えてくれる

Adobeの機械学習ツールAdobe Senseiが、マーケティングのためのメールを送る最良のタイミングを教えてくれるようになる。Adobe自身のの研究開発部門Adobe Researchから生まれたこの新しい技術は、近い将来に実用化されるようだ。

マーケターは、AdobeのメールマーケティングツールAdobe Campaignに、キャンペーンの開始日と終了日を教えると、Senseiが、メールが相手の受信箱に到着すべき最良の日時を見つける。そういうメールは消されたり無視されることが多いので、ツールは開封率の最大化を目指して最適化される。

Adobe Researchはさらに、メールの受信者がメッセージにどのように反応したかに基づいて、彼らを自動的に分類分割する技術にも取り組んでいる。これによりマーケターは、コミュニケーションの正しい頻度を判断できる、という。

これら二つのツールはどちらもまだ研究開発の段階だが、今日(米国時間8/22)ローンチしたいくつかの機能は、ユーザーが即利用できる。まず、ドラッグ&ドロップでメールのメッセージをデザインできる機能。そしてAdobe Campaignの動的レポーティング機能。さらに、Adobe Campaignのプッシュ通知の多言語化と高速化により、マーケターは短い時間により多くのメッセージを送ることができるようになった。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Adobe、iPad版Photoshopを開発か

現在AdobeのアプリはApp Storeに30種類以上ある。しかし、ひとつ欠けているものがある。Bloombergによると、同社はiPad用にフルバージョンのPhotoShopを開発しているらしい。うなずける理由はたくさんある。

第一に、今やiPadは複雑な画像編集プログラムを動かせるだけのパワーを持っている。つい2日前、SerifはiPad用のAffinity Designerを発売した。Adobe Illustratorの競合品だ。さらにベンチマークを見れば、iPad Proが多くの中堅クラスのノートPCより強力であることがわかる。

第二に、複数のデバイスにまたがるファイルやプロジェクトの同期が簡単になり、多くの人々が複数端末を使うようになった。職場のパソコンと個人のノートPCで同じMicrosoft Wordファイルを使うようになってからもう何年にもなる。おそらく、DropboxやOneDriveを使って同じページを開いている人もいるだろう。これは巨大なメディアライブラリーについても同じことが言える。

数年前まで、人は環境に応じてデバイスを使い分けていた。仕事用のノートPC、ソファで使うiPad、ゲーム用の大きなデスクトップパソコン等々。しかしそれは過去の姿であり、今は文字通りあらゆるデバイスで仕事をしている。

そしてPhotoshopに関して言えば、、Apple PencilとタッチスクリーンのおかげでiPadはとりわけ便利なデバイスだ。写真を見るために大きな画面が必要なときもあるだろうし、Apple Pencilを使って写真を操作したいこともあるだろう。

iPadでPhotoshopを使えるようになれば、複数デバイス間をシームレスに行き来しながら同じファイルを編集できる。イラストレーターたちはこの利便性を生かしてWacomのタブレットを捨てられるかもしれない。

AppleがMac Proワークフローチームを同じ理由で結成したことを覚えているだろうか。Final Cut Pro XやLogic Pro XがiMacやiPadで動くようになれば、プロジェクトとのかかわり方が変わるかもしれない。Appleはタッチスクリーン付きのMacを作ることはないかもしれないが、人の指やApple Pencilを使ってクリエイティブなプロジェクトに参加する方法が用意されることは間違いない。

そして、PhotoshopをiPadに載せることはビジネスモデルの観点からも意味がある。定期購読モデルに移行したAdobeにとって、ユーザーを固定することは何よりも重要だ。ユーザーの使うどのプラットフォームでもお気に入りのアプリが動いていれば、Adobeアプリに費やす時間は増え、Creative Cloudに毎月支払い続けることになる。

このプロジェクトは高度なエンジニアリングの成果だ。しかし、Adobeが1つのアプリを複数プラットフォームで開発するのは初めてではない。

Bloombergによると、iPad版Photoshopの詳細は10月のAdobe Macカンファレンスで聞くことができるかもしれない。AdobeのCreative Cloudプロダクト最高責任者、Scott Belskyは、これらの新バージョンをできるだけ早く公開すべく努力していると語った。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook