1万円以下・WiFi設定だけで導入できるスモールビジネス向けAIカメラ「ManaCam」

「もういくつ寝ると」と年末の声が聞こえてくると楽しみなのが、お正月。そして年明け早々、毎年ラスベガスで開催されるテックプロダクトの見本市、CESの出展内容だ。特に「Eureka Park」には今年も、世界中から1200を超えるスタートアップのプロダクトが集まる予定。日本からも、JETROが事務局を務めるJ-Startupパビリオンで、29社の出展が決まっている。

展示されるプロトタイプの中から、今日はFutuRocket(フューチャーロケット)が開発中のAIカメラ「ManaCam」を紹介したい。ManaCamは、エッジコンピューティングにより、設置された空間内の顧客数、利用者数の自動集計を行うAIカメラだ。これだけ聞くと、特に目新しさを感じられないかもしれないが、ManaCamは「1万円以下で導入できる」「WiFiの設定を行うだけで利用できるようになる」という特徴を持ち、スモールビジネス向けに特化したプロダクトだ。

ManaCamは、アタッチメントを使えば電球ソケットからも給電が可能。天井の照明などを電力源として利用でき、配線のための手間や工事は不要だ。

ManaCamを設置すると、以降の利用者数推移レポートはクラウドを通してWebサイトで見ることができるようになる。FutuRocketはカメラの販売ではなく、このクラウドによるレポート機能を少額の月額課金で提供していくことで収益とすることを目指している。なお、当初はレポート機能も無償で提供される予定だ。

開発中の「ManaCam」プロトタイプ

AIカメラ導入はこれまで、大規模の企業や行政機関など、ある程度予算を持つ機関に限られてきた。FutuRocketが目指すのは、「誰でもリアルの世界で、手軽に利用者数の集計ができる」ようにすること。デジタルでは、小さなEC事業者でもページビュー分析などが当たり前になってきているが、これをリアルな空間に持ち込もうという試みだ。

ManaCamは、小売店などスモールビジネス事業者による来店者数把握のほか、コワーキングスペースやオフィスの会議室、イベントスペース、展示会のブースなどでの来場者数把握といった利用が想定されている。

CESでの展示の後、1月下旬から、FutuRocket社が採択されたYOXO Accelerator(よくぞアクセラレーター)プログラムにより横浜市でManaCamの実証実験が行われる。また渋谷区のコミュニティスペースEdgeOfでも実証実験を行うということだ。

FutuRocket創業者でCEOの美谷広海氏は、ものづくりスタートアップとして尖ったプロダクトを生み続けてきたCerevoで、2015年1月からSenior VP、Global Sales & Marketing担当を務めていた。FutuRocketは2017年8月の設立だ。

FutuRocketでは、ManaCamのほか、トイレットペーパーの残量がモニタリングできるスマートIoTトイレットペーパーホルダー「KamiR(カミアール)」などのプロダクトも開発されている。KamiRは、北九州でIoTアクセラレータプログラムにTOTO社によって採択されたことをきっかけに開発されたプロダクト。こちらも神戸市のスタートアップ提案型実証実験事業「Urban Innovation KOBE『+P』」に採択され、1月下旬から神戸市で実証実験が行われることになっている。

スマートIoTトイレットペーパーホルダー「KamiR」

Amazonが発表したAWS DeepLensは、開発者のためのAIカメラだ

本日(米国時間11月29日)のAWS re:Invent基調講演で、少し驚くような発表があった。コンテナの話や奇妙な音楽に散りばめられたそのイベントの中で、AmazonがAWS DeepLensカメラを発表したのだ。このデバイスは、Googleが最近発表したClipsカメラと同様に働き、AIを活用してより良い撮影を行う。だがAmazonのカメラがユニークな点は、開発者をターゲットに絞っているということだ。

Amazonによれば、このビデオカメラは、AI、IoT、サーバーレスコンピューティングといった、Amazonの様々なAIへの取り組みに対応する開発者たちの、開発速度を上げるようにデザインされているということだ。Amazonはまた、このカメラが開発者たちに、AWS GreengrassとAWS Lambdaサービスを使ったアプリケーションを作りたい気持ちを起こさせることをも望んでいる。

このハードウェアが、Googleが数ヶ月前に披露したClipsよりも、少々野暮ったいのは驚くようなことではないが、4つのHDMIと2つのUSBポート、そしてデュアルバンドWiFiといった豊富な接続性は備えている。インテルAtomプロセッサと8GBのRAMを搭載し、Ubuntu(Linux)が実行されている。カメラは1080pの撮影が可能で、特に素晴らしいというわけではないが、いずれにせよこれは開発者用デバイスなのだ。

ここで最も興味深いのは、顔や犬猫や、ホットドッグのような無生物など、あらゆる種類の画像認識を行うように事前に訓練されたモデルが含まれているということだ、と同社は説明する。AWSは、それらのテクノロジを活用するためのオンラインテンプレートを提供している。これは開発者たちが、事前に整えられた様々な機能をもつプロジェクトとプラグインを元に、開発を始めることができるという意味で、とても親切な仕掛けだ。

DeepLensは今日から注文が可能だ。同社は本日のイベントの中で開発者たちに、ハードウェアのデモを行う予定である。価格は249ドルだ。Clipsと同じ価格であるのは偶然ではあるまい。

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(翻訳:Sako)