クラウドベースのコールセンターシステム「Aircall」が約70億円を調達

AircallがシリーズCで6500万ドル(約70億円)を調達した。このラウンドをリードしたのはDTCPで、Adam Streetも参加した。また、これまでに投資していたeFounders、Draper Esprit、Balderton、NextWorldも追加で投資した。Aircallの調達額の合計は1億600万ドル(約114億3000万円)になった。

Aircallは、電話に関するSaaS企業だ。例えばコールセンターの運営やサポート依頼の対応にAircallを利用して、営業チームのワークフローを改善することができる。

Aircallの共同創業者でCOO(最高執行責任者)のJonathan Anguelov(ジョナサン・アンゲロフ)氏は筆者に対し「我々は2年前に資金調達を実施し、エグゼクティブチームと強力なリーダーシップを確立して、この2年間でまさに自分たちがやりたかったことを成し遂げてきた」と述べた。

製品に関しては、Aircallは他社サービスと統合して従来のコールセンターのソリューションと差別化しようとしている。例えば、チームの誰かがすでにフォローアップしている見込み客がいれば、通話の情報をCRM内に表示することができる。あるいは緊急のサポート依頼を受けたときに、Zendeskから電話をかけることもできる。

最近では、要求の厳しいコールセンター運営に役立つよう、Chorus.aiやGongと統合した。これにより、会話を文字に起こして感情を分析できる。

この2年間でAircallの売上は4倍に、従業員数は2倍になった。同社はもともとフランスで起業したが、現在では売上の大半は米国であげている。ターゲットは従業員数が10〜1000人の中小企業だ。

Aircallは年間経常収益を明らかにしていないが、年間経常収益は過去2年間のキャッシュバーンの合計を上回っているという。2年前に2900万ドル(約31億3000万円)を調達したが、その資金はまだ使い切っていないとのことだ。

同社は2020年1月に投資家への働きかけを開始し、新型コロナウイルス(COVID-19)の感染が拡大する中で調達を完了した。「我々の評価額は、前回のラウンドの3倍以上になった」とアンゲロフ氏は述べている。

現在の同社の従業員数は約320人だ。今回調達した資金で、開発者を増やし、営業チームを拡大し、オーストラリアに新たな拠点を開設することを計画している。

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(翻訳:Kaori Koyama)

仕事用電話番号アプリのOpenPhoneが約2億円を調達

Y Combinatorの卒業生であるOpenPhoneが、Slow Venturesが主導するラウンドで200万ドル(約2億1800万円)を調達した。OpenPhoneは2台目の電話機、あるいは2枚目のSIMカードを用意しなくても仕事用の電話番号をシームレスに取得できるアプリを手がけている。今回のラウンドには、Y Combinator、Kindred Ventures、Garage Capital、122WEST Venturesなども参加している。

Aircallなどのエンタープライズ向けソリューションに対し、OpenPhoneはモバイルファーストの使いやすいソリューションで、2つ目の電話番号を利用したい中小企業をターゲットにしている。例えば、個人の電話番号を公にしたくないフリーランスの場合、OpenPhoneを使うとプライベートと仕事を分けやすくなる。

OpenPhoneは、iPhone、iPad、Androidで動作する。ウェブのインターフェイスを使ってコンピュータからアプリを操作することもできる。現在の費用は1カ月、1ユーザーあたり10ドル(約1100円)。この価格で、通常の電話番号かフリーダイヤルの番号を取得できる。または既存の電話番号を移すこともできる。現在5000人がOpenPhoneを利用している。

OpenPhoneの電話番号で、通話とテキストメッセージを米国とカナダで無制限に利用できる。実はOpenPhoneは、インターネット接続を使ってVoice over IPコールを確立している。

同社は、OpenPhoneを複数のユーザーで使えるようにするコラボレーション機能にも取り組んでいる。例えば、電話番号をほかのユーザーと共有すれば、チームとしてテキストメッセージにより早く返信したり、電話を確実に受けたりすることができる。また、Slackとの統合も開始し、自分の電話番号に電話やテキストメッセージの着信があったら通知を受けられるようになっている。

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(翻訳:Kaori Koyama)