アカツキがアクティビティ予約のそとあそびを14億円で買収へ、ゲームからリアルに進出

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3月に上場したばかりのアカツキ。スマートフォン向けゲームを開発する同社がレジャー・アクティビティ予約サイトの「そとあそび」を運営するそとあそびを買収する。アカツキは6月13日開催の取締役会で株式取得を決議したと発表した。アカツキは今後2018年6月まで、4回に分けて株式を取得する。取得価格の合計は14億1004万7000円となる予定。

そとあそびは2004年にスタートした老舗のアクティビティ予約サイト。アウトドア経験豊富な「キュレーター」が体験取材したアクティビティを掲載している。

このサービス、もともとは現在そとあそびのキュレーターとして活躍する山本貴義氏が個人で立ち上げたものだった。2014年には現在代表取締役社長を務める、ガイアックス元代表取締役副社長COOの中島裕氏が株式を取得。株式会社化してサービスを拡大してきた。2015年6月にはB Dash Venturesなどから総額3億円の資金調達を実施している。開示された資料によると、2016年2月期は売上高が3097万6000円(前期比80%増)、営業利益が9254万1000円の赤字(前期は3789万7000円の赤字)、経常利益が9343万1000円の赤字(同3906万1000円の赤字)、純利益が9372万1000円の赤字(同3950万7000円の赤字)。

ところでアカツキと言えばソーシャルゲームの会社。そんな同社がなぜいわゆるアウトドアのサービスを買収するのだろうか? その答えとして、アカツキでは今回の買収発表に合わせて、新たに「ライブエクスペリエンス事業」を開始すると発表している。

ライブエクスペリエンス事業では、生の体験——つまりアクティビティや旅行、インバウンドなどに関わる領域のサービスを展開していく。アカツキでは今日の発表の中で、(1)世界観やストーリーを生かした企画力・プロデュース力、(2)スマホ向けサービス開発の技術力とスピード、(3)データを元にしたマーケティングやPDCAサイクルの実施などを続けてきた運用力、(3)台湾子会社を通じた海外オペレーション力——という自社ゲーム事業での強みが、ライブエクスペリエンス事業でも活用できると説明している。

スマホゲームのアカツキが14億円を調達して台湾にも拠点設立


先日のSansanの発表以降も大型調達のニュースが続いている。スマートフォンゲームの開発を手がけるアカツキが、グロービスやリンクアンドモチベーションを引受先とした総額14億円の第三者割当増資を実施した。出資比率は非公開。この調達を契機に、開発体制の強化、テレビCMを含めた広告宣伝の強化、海外進出を進める。現在スタッフは約70人だが、来年をめどに倍近い130人まで拡大する。

アカツキは2010年6月の設立。共同創業者で代表取締役 CEOの塩田元規氏は、ディー・エヌ・エーの出身。同じく共同創業者で取締役 COOの香田哲朗氏は、アクセンチュアの出身。創業当初はGREE、Mobageのプラットフォーム向けにソーシャルゲームを提供してきたが、2012年後半には開発リソースをスマートフォン向けのネイティブゲームにシフト。現在テレビCMも展開している「サウザンドメモリーズ」は現在200万ダウンロード(CM効果もあり、2週間で70万ユーザーが増加。この時期の新規ユーザーは実数こそ聞けなかったが、アクティブ率も高いそうだ)。そのほかにもバンダイナムコゲームスとの共同タイトル「テイルズオブリンク」などが好調だという。売上高は非開示だが、4期連続での成長を実現しているとのこと。

海外展開については、6月をめどに台湾に子会社「「暁数碼股份有限公司(Akatsuki Taiwan Inc.)」を設立。香田氏が代表に就任する。子会社は日本法人の外部開発リソースという扱いではなく、企画から開発までゲームスタジオとしての機能を一通り持たせて、中国語圏へのゲーム展開の拠点とすることを狙う。

また今回の発表にあわせて、元IBM Venture Capital Groupパートナー日本代表で、勝屋久事務所代表の勝屋久氏が社外取締役に、元ミクシィ取締役CFOの小泉文明氏が非常勤監査役に就任する。小泉氏はメルカリ取締役を務めるなど、スタートアップ複数社の資本施策を支援しているという。先日メルカリが発表した14.5億円の調達にも関わった。

リンクアンドモチベーションが出資する理由は?

僕としては増資の引受先としてリンクアンドモチベーションの名前が挙がったのが意外だったが、これにはアカツキの理念が関係してくるのだという。

香田氏が「業績がよくても、『働いても幸せではない』なんてことがあるじゃないですか。そういうことにはならない会社にしたい」と語るとおり、アカツキでは幸せに働くためのオフィス環境整備、制度作りには相当力を入れているそうだ。夜になると、自社が契約する八百屋からサラダが届けられる「OFFICE DE YASAI」のような仕組みもあるそうだ。

そういった風土作りのために、同社はリンクアンドモチベーションから人材に関するコンサルティングを受けており、その中でリンクアンドモチベーションが2013年秋よりインキュベーションを手がけていることを知ったそうだ。香田氏は「人材についての考え方がシンクしたことが大きい。同社の執行役員がアドバイザーに入ることになるが、経営者の課題はやはり『人』なので、そこを一緒に考えてもらえることは大きい」と語った。