オープンソース、多言語対応のカタログ管理ソフト、AkeneoがExcel地獄の解消を目指す

ラグジュアリーなブランド製品で有名なパリの某社の場合、新作コレクションのウェブ・カタログを完全にアップデートするのに4ヶ月かかるという。大勢の人間がいろいろな場所で大量の複雑なデータをExcelに出し入れするのは悪夢のような作業だ。そうこうするうちにもう次の新作コレクションが登場する季節になってしまう。こういう状態を改革しようというのがAkeneoの狙いだ。

Akeneoは製品情報のCRMというべきソフトウェアで、単一のデータベースに製品情報を追加していくだけで、ウェブ版、、モバイル版、印刷版のカタログが簡単に制作できる。またサードパーティーのソフトウェアとの連携も可能だ。このフランスのスタートアップは最近、Alven Capital.から230万ドル(180万ユーロ)の調達に成功した。

共同ファウンダーでCEOのFrédéric de Gombertは電話インタビューに答えて、「製品情報をカタログ化するにはたいへんな手間がかかる。現在、ほとんどの会社では手作業でExcelファイルをアップデートしているというのが実情だ。そこでこの作業には多額の人件費がかかっている。われわれのシステムはこれを画期的に効率化できる」と説明した。

基本的にAkeneoはExcelや各種のERP(企業資源計画)ソフトと連動するオープンソースの情報管理ソフトだ。オープンソースなのでユーザー・コミュニティーは互いに独自のカスタム化を公開、共有してさらに価値を高めていくことができる。

ただし、高度な機能や製品サポート、教育研修などが必要であれば、Akeneoから有料のサービスが受けられる。このエンタープライズ・プランは年額$3万2000ドル(2万5000ユーロ)から用意されている。この料金はIBMやOracleが提供する同種のサービスに比べれば非常に安い。

「私は以前eコマース・システムを開発していた。しかしわれわれが新しいプロジェクトを提供しても、クライアントは必要なデータをどうやって集めたらいいかわからないことが普通だった。それがAkeneoを始めたきっかけだ」とGombertは言う。

AkeneoはフランスですでにAuchan、Cora、Feu Vert、Lagardère Activeなど有名企業を多数クライアントにしている。Akeneoがターゲットにしているのは完全にカスタマイズされた独自システムを構築できるほどの大企業ではないが、Excelと人手だけでは製品情報管理が限界に達しているような中規模のビジネスだ。

Akeneoのもっとも重要な機能は製品情報管理の大幅な効率化だ。ユーザーは製品情報を単一データベースに保存し、簡単な操作で異なるチャンネルに送り出すことができる。サイクル時間は平均して60%から80%短縮されるという。

Akeneoの社員は現在15人だが、国際的な拡大を計画中だ。オープンソースで世界どこでも自由にダウンロードできるという特性を生かし、すでにドイツやアメリカへの展開の糸口をつかんでいる。もちろんその他の国も視野に入っている。

Akeneoを利用する効果は時とともに拡大する。特に新しいチャンネルにカタログ情報を流す必要が生じたときの効果が大きい。

Akeneoはフランスを代表するテクノロジー・スタートアップだ。一見すると地味だが、現実のビジネスで切実に必要とする課題に着実に応えている。今後の課題はよりいかにしてより広い市場にアピールし、ユーザーを獲得してていくかだろう。

Photo credit: Foad Hersi under the CC BY-ND 2.0 license

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+