Apple Watchは最初の心電計ではないが、消費者に与える影響は膨大だ

Apple’s COOのJeff Williamsは、Apple Watchが一般販売用心電計としてのFDA認可を受けたと、Apple本社で行われたスペシャルイベントで高らかに宣言した。Appleはものごとの最初になるのが大好きだが、この陳述は虚偽である。

AliveCorはKardiaMobileという製品で昨年11月以来「初」の称号を保持している。KardiaMobileは100ドルのスティック型デバイスで、スマートフォンの背面に取り付けて使用する。しかも皮肉なことに、同じくFDA認可を受けているKardiabandは、Apple Watchと共に使うブレスレット型心電計でAppleストアで販売されており、今週FDAがAliveCorのテクノロジーを使って血液検査をすることなく血液疾患のスクリーニングを行うことにゴーサインを出したばかりだ。

しかし、Apple Watchは幅広い消費者に影響をあたえる最初の製品になる可能性をもっている。まず、Appleは世界ウェアラブル市場の17%という確固たるシェアを持っており、2018年だけで推定2800万台を売っている。AliveCorのKardiabandとKardiaMobileの販売台数はわからないが、これに近い数字であるとは考えられない。

もう一つ、多くの人は、たとえ自分の心臓の状態に不安をもっていたとしても、それを調べるためだけの装置を買うことには抵抗があるだろう。自動的な統合によって、関心のある人たちが別製品を買わずに測定を始めやすくなる。さらに、心臓疾患は米国で最大の死亡原因であり世界人口の大きな部分に影響を与えているにもかかわらず、おそらくほとんどの人は自分の心拍リズムを日々考えることがない。心電計を腕時計自身に組み込むことで、モニタリングすることへの障壁が減り、一部の人がもつであろう心臓の状態を知ることへの恐怖を取り除くことができるかもしれない。

そして、Appleブランド自体の存在がある。今や多くの病院がAppleと提携してiPadを使っていることから、Apple Watchでも協業体制をとると考えることは理にかなっている。

「医者や病院も健康保険会社も自家保険の雇用者も、Apple、XiaomiFitbit、Huawei、Garmin、Polar、Samsung、Fossilその他のウェアブルメーカーと個別の提携を結びたいとは思っていない。必要なのは、どの患者にも適用できるクロスプラットフォーム製品だ」、とCardiogramのファウンダーで、心電計研究者のBrandon BallingerがTechCrunchに語った。「だから、もしAppleが医療のAppleになるのなら、CardiogramかAliveCorはこの分野のMicrosoftになればいい」

Appleの発表は、AliveCorにどう影響するのか? CEOのVic Gundotraは一笑に付した。彼はTechCrunchに、AliveCorのビジネスは大部分がKardiaMobileによるものでApple Watchに統合する心電計ではない、と話した。「Appleは以前からこの手のしくみをWatchに組み込むことを匂わせてきた」とGundotraは言った、「だから予測はできていた」

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

心臓発作防止プラットホームのAliveCorが製品をAI化、Omronなどから$30Mを調達

心電図のデータを利用して心臓発作を防止するアプリKardiaを作っているAliveCorが、Omron HealthcareとMayo Clinicから3000万ドルの資金を調達し、また、Kardiaの医師用バージョンKardiaProを発表した。

すでにFDAの承認を得ているAliveCorのモバイルアプリKardiaは、99ドルの心電図読み取り機と併用するが、昨年Mayo Clinicとのパートナーシップにより、4500名の患者に対して心臓発作に関する大規模な調査を行い、その結果として新しいプラットホームの開発を迫られた。今度のKardiaProは、発作など心臓の諸症状のリスクを抱える患者の心電図をモニタしたい、と願う医師向けの高度な製品だ。

KardiaProは、リスクを抱える患者の体重、活動、血圧など複数の要素を調べて、それらのデータをAliceCorのAIに分析させ、医師が気づかないかもしれない兆候を見つける。そしてAliveCorのCEO Vic Gundotraが患者の“パーソナル・ハート・プロフィール”(personal heart profile)と呼ぶものを作り、そのデータを元に、医師が次の診療内容/方針を決めるための注意情報(アラート)を送る。

AliveCorはこの前、Khosla Ventures, Qualcomm, そしてBurrill and Companyから1350万ドルを調達した。今回の資金と合わせると、調達総額は4540万ドルになる。しかしより重要なのは、今回、Mayo Clinicという、数百万の患者を対象としている大手のヘルスケア企業とパートナーしたことだ。またOmronも、血圧計などのヘルスケア製品を世界中に提供している企業なので、貴重な情報が得られるだろう。

[循環器疾患による死亡率(人口10万人あたり)]

心臓疾患は世界の死因のトップであり、血圧計や心電図などを定期的にチェックすることは、心臓病の早期発見と有効な症状管理に寄与する。その部分でKardiaProのAI成分は、不規則な心電図などの異状を、ほとんどリアルタイムで医師に伝えることができるだろう。

KardiaProはAliveCorの新製品だが、同社はApple Watch用の心電図読み取りバンドAliveCorのKardiaバンドも発売した。すでにヨーロッパでは使われているが、アメリカではFDAの承認待ちだ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))