アマゾンが同社初の衣料品実店舗をLAにオープン

Amazon(アマゾン)は、2021年からの噂を裏づけるように、ハイテクを駆使したショッピング体験を約束する初の衣料品実店舗「Amazon Style(アマゾン・スタイル)」をオープンする。同社によると消費者が「知っていて好きな」ブランドを提供し、アプリでアイテム、サイズ、色を選び、試着室や受け取りカウンターに直接送ることができる。最初の店舗は、ロサンゼルスのThe Americana at Brandに「2022年後半」のどこかでオープンする予定だという。

Amazonはファッションクリエイターが選んだ「数百のブランド」と「Amazon.comで買い物をする数百万人の顧客から提供されたフィードバック」を提供すると述べている。具体的な言及はなかったが、同社のオンラインストアでは現在、Oscar de la Renta(オスカー・デ・ラ・レンタ)、Altuzarra and La Perla(アルチュザラ、ラ・ペルラ)といったデザイナーの商品を扱っている。しかし、多くの高級品やハイエンドブランドは、Amazonに商品をオンライン掲載することに抵抗してきた

店舗では、従来の店舗の2倍のスタイルが提供される一方、正しいサイズや色を顧客に手作業で探させないようにしている。気に入った服があれば、Amazon Shopping Appを使ってそのQRコードをスキャンし、サイズや色、顧客評価などの詳細を確認することができる。そして気になる服を試着室に送ったり、試着不要の場合は受け取りカウンターに直接送ったりすることができる。また、想像がつくかと思うが、顧客がすでに選んだ商品をもとにさらに多くの商品を推薦するAI搭載のアルゴリズムを使っている。

アプリを使って試着室のドアを開けると、中には選んだアイテムがすべてそろっている。それぞれの試着室にはタッチスクリーンがあり、その場を離れることなく買い物を続けたり、新しいアイテムの試着を依頼したりすることができる。Amazonがフルフィルメントセンターでも使っている技術により、商品は「数分」で到着する。

店舗で見つけた商品をオンラインで購入することも可能で、価格はどちらも同じだ。商品は店頭で返品でき、スキャンした商品はショッピングアプリに保存されるので、後でもう一度見ることができる。

Amazonはすでに、書店美容室などとともに、多数のFresh食料品店を出店している。FreshやWhole Foodsに見られるレジなし技術「Just Walk Out」を使うかどうかは明言しなかったが、レジには手のひら認証サービス「Amazon One」を利用する予定だという。

編集部注:本稿の初出はEngadget。執筆者のSteve DentはEngadgetの共同編集者。

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(文:Steve Dent、翻訳:Nariko Mizoguchi

アマゾンとチケット販売会社が連携、非接触の手のひら認証システムAmazon Oneがイベント入場システムに採用

Amazon(アマゾン)の小売店向け生体認証スキャナーである手のひら認証システムのAmazon Oneが、Amazonの店舗以外にも広がっている。米国時間9月14日、Amazonはチケット販売会社のAXS(アクセス)が他社で初の顧客になったと発表した。AXSはAmazon Oneシステムをイベント参加者が非接触で入場する方法としてコロラド州デンバーにあるRed Rocks Amphitheatre(レッドロック野外劇場)に導入する。

Amazon OneシステムがAmazon傘下の小売店以外で利用されるのはこれが初めてだ。エンターテインメント会場の入場システムに使われるのも初となる。Amazonは、AXSは将来的にさらに別の会場にもこのシステムを導入する予定だとしたが、会場や時期についての詳細は明らかにしなかった。

レッドロックでは、来場者は入場する前に専用ステーションでAXSモバイルIDとAmazon Oneを紐づけて使う。あるいは今後のAXSのイベントでスキャナーを使用するために、入場してから別のステーションで登録することもできる。登録にかかる時間は1分ほどで、来場者は片方または両方の掌紋を登録できる。セットアップが完了すると、チケット所有者はAmazon Oneユーザー専用の入場列を利用できるようになる。

AXSのCEOであるBryan Perez(ブライアン・ペレス)氏は発表の中で「我々はAmazonと連携し、最先端のイノベーションでチケット販売の未来を作っていくことをうれしく思います。迅速さ、利便性、非接触のチケット販売ソリューションが求められる現在、Amazon Oneを我々のクライアントや業界に提供できることにも期待しています。AXSはこれからも新しいテクノロジーを導入し、イベント前、イベント中、イベント後のファンのエクスペリエンスを向上させるセキュアでスマートなチケット販売サービスを構築していきます」と述べた。

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Amazonの手のひらスキャナーはコロナ禍の2020年9月、コンビニのAmazon Go(アマゾン・ゴー)で利用者が手のひらを使って支払いをするシステムとして初めて登場した。このシステムを使うには、利用者はまずクレジットカードを挿入し、次に手のひらをデバイスにかざして、掌紋と支払い方法を紐づける。セットアップが済むと、利用者は手のひらを生体認証スキャナーに1秒ほどかざすだけで入店できる。利用者がスキャナーに実際に触れるわけではないので、Amazonはこのシステムを安全な「非接触」の支払い方法として売り込んでいる(コロナ禍が続いていることを考えると、非接触なのはありがたい)。

技術面に関しては、Amazon Oneはコンピュータビジョンのテクノロジーを活用して掌紋を生成しているという。

最初の導入から数カ月間で、Amazonはこの生体認証システムをAmazon Goの他の店舗や、Amazon Go Grocery(アマゾン・ゴー・グローサリー)、Amazon Books(アマゾン・ブックス)、Amazon 4-star(アマゾン・4スター) の店舗にも拡大した。2021年4月にはWhole Foods(ホール・フーズ)の一部店舗にも導入。掌紋の登録を推進するために、対象店舗で掌紋を登録すると10ドル(約1100円)のクレジットをもらえるプロモーションも実施した

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掌紋がAmazonのアカウントとリンクされれば、Amazonは顧客のオフラインでの行動からデータを収集し、いずれ広告やキャンペーン、おすすめに活用できるようになる。データは、顧客が明示的に削除するか、または最後の利用から2年以上経つまでは、Amazonが保有する。

AXSとの契約では、AXSで登録する利用者はAXSに対して、Amazon One IDを作成する目的で自分のメールアドレスをAmazonと共有することに同意する。ただしAmazonは、AXSのイベントに参加するAmazon Oneユーザーのチケットや購入に関する情報は一切AXSから受け取らないとしている。

このシステムは非接触の支払い方法としては興味深いが、こうした分野におけるAmazonの過去の事例からするとプライバシーの懸念がある。同社は過去に生体認証の顔認識サービスを米国の法執行機関に販売したことがある。同社の顔認識テクノロジーは、データのプライバシーに関する訴訟の対象となった。また、Alexaの音声データはユーザーが自分のオーディオファイルを削除した後も保存されていることが明らかになった。

Amazonの対応としては、掌紋の画像は暗号化され、クラウドにあるAmazon One専用のセキュアな領域に送られて、そこで顧客の掌紋を生成するという。また取引がすべて処理された後で、顧客はデバイスまたはone.amazon.comのウェブサイトから登録を削除できるとも述べている。

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(文:Sarah Perez、翻訳:Kaori Koyama)

アマゾンが手のひら決済「Amazon Oneスキャナー」をスーパーWhole Foodsに導入

Amazon(アマゾン)は新しい生体認証デバイス「Amazon Oneスキャナー」をWhole Foods店舗に導入する。小売大手Amazonは2021年秋、買い物客が手のひらをスキャンして店舗に入ることができるようにするAmazon Oneスキャナーを発表していた。顧客の手のひらの特徴はAmazonのキャッシュレスストアAmazon Goのような小売店の決済メカニズムに紐づけることができる。Amazon Go店舗では顧客は買い物して従来の精算プロセスを経ることなく店を後にできる。そして今、Whole FoodsでAmazon Oneスキャナーが精算時の決済手法として加わろうとしている。

つまり、顧客は購入の際、現金やクレジットカード、デビットカードで支払う代わりにリーダーに手のひらをかざすことを選択できる。

さしあたって、Amazon OneスキャナーはシアトルのマディソンブロードウェイにあるWhole Foodsの店舗に導入されるが、数カ月内にシアトル広域にあるさらに7つの店舗で展開される計画だとAmazonは話す。シアトルはAmazonが広範に展開する前に新しいテクノロジーを試すテストマーケットとなる。

2020年9月の導入以来、Amazon OneスキャナーはすでにAmazon Go、Amazon Go Grocery、Amazon Books、Amazon 4-star、Amazon Pop UpなどシアトルエリアにあるいくつかのAmazon店舗に導入された。「何千人」もの顧客が手のひらの特徴を登録したと同社は話す。

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Whole Foods店舗への導入では、顧客はキオスク、あるいは参加店舗にあるデバイスでAmazon Oneに申し込むことができる。登録は片方の手のひら、あるいは両手のひらのどちらかを選ぶことができる。スキャナーは独特の手のひらの特徴を登録するのにコンピュータービジョンテクノロジーを使っていて、手のひらの特徴は客がデバイスに挿した決済用クレジットカードに紐づけられる。

異なるロケーションでAmazon Oneに登録した既存客は、サービスを使いたい店舗で再度クレジットカードを挿し込む必要がある、とAmazonは説明した。

加えて、顧客はWhole Foodsでの買い物でPrime会員割引を受けられるようにするために、将来Amazon Oneデバイス経由でAmazon One IDをAmazonアカウントとリンクさせることができる。

「Whole Foods Marketでは顧客のために買い物エクスペリエンスを改善すべく、新しくイノベーティブな方法を常に模索しています」とWhole Foods Marketのテクノロジー担当シニアバイスプレジデント兼テクノロジー最高責任者Arun Rajan(アラン・ラジャン)氏は導入についての声明で述べた。「Amazonと緊密に連携を取りながら、Prime会員割引、オンライングローサリー配達とピックアップ、無料の返品のようなメリットを顧客に提供してきました。決済の選択肢としてAmazon Oneを今日から加えることをうれしく思います。シアトルのマディソンブロードウェイの店舗にまず導入し、この決済手法を今後他店舗でも展開しながら顧客の意見を聞くのを楽しみにしています」と付け加えた。

もちろん、Amazonの生体テクノロジーでの追跡記録を考えると、デバイスには懸念もつきまとう。同社は生体顔認証サービスを米国の法執行機関に販売した。顔認証テクノロジーはデータプライバシー訴訟の対象だった。そしてRingカメラ会社は引き続き警察と提携している。またAlexaの音声録音を削除するというオプションを顧客は持たず、音声録音は無期限に保存されていることも明らかになった(Amazonは後にそれを変更した。そして公平のためにいうと、GoogleAppleも顧客の音声データを誤って取り扱っていた)。

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ちょうど4月20日、Amazonはロンドンエリアの美容室で別の小売とARテクノロジーをテストすることを発表した。このテストには顧客のイメージをとらえるカメラが含まれる。「顧客のデータ」の保持はしないと述べたが、美容室で集められる非パーソナルデータについての質問には答えなかった。

4月21日の発表の中で、AmazonはAmazon Oneデバイスが「複数のセキュリティコントロールによって守られていて、手のひらの画像はAmazon Oneデバイスに保存されることは決してない」と説明している。画像は暗号化されて、Amazonが顧客の手のひらの特性を作るクラウドのAmazon One専用の安全なエリアに送られる、とも話している。同社はまた、デバイスあるいはone.amazon.comでAmazon Oneから脱会する方法を顧客に提供する。脱会ではすべての決済が完了したときに生体情報も削除する。

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タグ:AmazonAmazon OneシアトルWhole Foods生体認証店舗

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(文:Sarah Perez、翻訳:Nariko Mizoguchi

アマゾンが手のひらを読み取る生体認証システムの採用店舗を拡大、いずれはオフィスや他社店舗にも

2020年秋、Amazon(アマゾン)が新しい生体認証デバイス「Amazon One(アマゾン・ワン)」を導入したことで、Amazon Goの店舗では手のひらを使って支払いができるようになった。

同社は米国時間2月1日、この装置をシアトルにある他のAmazonの店舗にも導入すると発表した。これにより、Amazon Go(アマゾン・ゴー)のコンビニエンスストア、Amazon Go Grocery(アマゾン・ゴー・グローサリー)、Amazon Books(アマゾン・ブックス)、Amazon 4-star(アマゾン4スター) を含む、合計8つのAmazonの実店舗でこのシステムを利用できるようになる。

同日より、シアトルのマディソン&マイナーにあるAmazon Goの店舗で、Amazon Oneシステムが入店時オプションとして追加される。今後数週間のうちに、5th&MarionとTerry&Stewartにある2つのAmazon Goストアにも展開される予定だと同社は述べている。これでシアトルの8店舗にこのシステムが導入されることになり、今後数カ月の間には米国の他の都市への拡大も期待される。

説明されているように、Amazon Oneシステムは、コンピュータビジョン技術を使用して、顧客ごとに固有の掌紋を読み取るもので、これをアマゾンは初期設定時に顧客が挿入したクレジットカードと関連づける。顧客はAmazonアカウントを持っていなくてもサービスを利用できるが、アカウント情報を関連づけると、Amazonのウェブサイトで買い物の履歴を見ることができるようになる。

Amazonによると、掌紋の画像は暗号化されてクラウド上で保管され、顧客の手のひらによる署名が作成されるという。手のひらの画像だけでは顧客の身元を特定できないため、掌紋は他の本人確認の方法よりもプライベートな生体認証の形式であると、このシステムの発表時にAmazonは主張していた。

しかし、もちろんAmazonは単に手のひらの画像を保存しているだけではない。手のひらの画像を顧客のアカウントやクレジットカードと照合し、効果的に顧客の生体認証データベースを構築しているのだ。また、そこから収集した買い物履歴などのデータを利用して、後に顧客の買い物傾向に合ったおすすめ商品を紹介したり、キャンペーンなどを提供することができる。

このシステムは、Amazonのより大きな計画に対する疑問も提起する。過去に同社の生体認証の使用は、かなり物議を醸してきたからだ。Amazonは、米国の法執行機関に顔認証サービスを販売していたが、同社の顔認識技術はプライバシー侵犯で訴訟の対象となった。Amazon傘下のセキュリティカメラ会社Ring(リング)は、警察との提携続けている。ユーザーデータのプライバシーに関しても、Amazonは慎重ではない。たとえばユーザーが音声ファイルを削除しても、Alexaの音声データを保存し続けるといった具合だ。

しかもAmazonは、Amazon Oneを単なる自社店舗への入店手段として想定しているわけではない。これらはあくまでもテスト市場に過ぎない。そのうちAmazonは、スタジアムやオフィスビル、Amazon以外の小売業者など、サードパーティでもこの技術を利用できるようにしたいと考えている。

新型コロナウイルス感染流行の真っ只中というAmazon Oneが発表されたタイミングは、顧客の利用に拍車をかけた。クレジットカードとその後の買い物を非接触で関連づけることができるためだ。店舗に再び来店した際には、リーダーの上に手をかざすだけで再度スキャンされ、入店することができる。

しかしこれらのシステムは、現金による支払いを好む社会経済的地位の低い層にとって、不利になる可能性がある。キャッシュレスやチェックアウトフリーの店舗では、店員を呼んで手続きしてもらうまで待たされることになるからだ。

Amazonによると、このシステムは今後もさらに多くの店舗に展開していくという。

関連記事:アマゾンが手のひらをかざして入店・決済できるスキャナー「Amazon One」をシアトルの2店舗に導入

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タグ:AmazonAmazon One

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(文:Sarah Perez、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

アマゾンが手のひらをかざして入店・決済できるスキャナー「Amazon One」をシアトルの2店舗に導入

マスクとプラスチック手袋を着用して店舗に入る人が多いパンデミックの最中に、Amazon(アマゾン)の実店舗チームは新たな生体認証デバイスを導入する(Amazonリリース)。買い物客が手のひらを使ってAmazon Goストアで決済できるようになるというものだ。同社は米国時間9月29日、「コンタクトレス」とうたうAmazon Oneを発表した。これはスキャナー装置で、クレジットカードを差し込んで手のひらをデバイスにかざすと、手のひらの特徴とその人の決済メカニズムが連動するようになる。一度クレジットカードの情報が登録されれば、Amazon Oneデバイスの上に1秒ほど手のひらをかざすことでAmazon Goに入店できるようになる。

実際には手のひらをデバイスの上に置かなくてもよくかざすだけでいいが、ユーザーに知ってもらう必要がある新たなテクノロジーであり、短期的にはちょっとした問題となるかもしれない。

今日の消費者はiPhoneをTouchIDでアンロックするために指先で触れる、あるいはセキュリティロックを解錠するのに親指の指紋を使うのに慣れている。多くの人が手のひらをAmazon Oneの平らな表面にくっつけるのだと思い込むというのはあり得る。

それ以外では、さほど懸念はないだろう。しかしこのデバイスが新型コロナウイルスによる健康危機に直面している米国で導入されることを考えるとき、店舗入り口で触ることになるかもしれないポイントを増やすというのは、導入のタイミングとして今はベストではないだろう。

もちろんアマゾンはデバイスが「コンタクトレス」であることを強調する。これは顧客がありがたく思う点だろう。しかし店舗スタッフがデバイスを定期的に拭き取るために入り口に立たない限り、どのように作用するのか客が確かめようとするのにともなってかなりタッチされることになりそうだ。ゆくゆくは、「コンタクトレス」であるという目標をAmazon Oneは達成するかもしれない。しかし一方でデバイスはスタッフが付き添い、拭き取られ、入店する人全員にデモンストレートされるべきだろう。

アマゾンは、新デバイスが手のひらの特徴を生成するのにリアルタイムでコンピュータービジョン技術を使うと話す。なぜ手のひらを選んだかというと、手のひら認証は他の生体認証による本人確認よりも個人に属する特徴だと考えているからだ。つまり、手のひらの画像を見るだけでは誰かの身元を特定できない、とアマゾンは話す。そうかもしれない。ただ、手のひらの特徴が決済のカードと紐づいていることを考えると、手のひら画像がどれほど認識できるものかよりも、データの安全が保証されることの方が重要だ。

アマゾンはまた、画像は暗号化され、顧客の手のひらの特徴が生成される安全なクラウドに送られると話す。このプロセスがどのように展開されるのか、今回、詳細は示されなかった。ただ、アマゾンの生体認証を使った過去のプロダクトは議論を醸してきた。同社は米国の法執行当局に顔認証サービスを販売していた(BiometricUpdate.com記事)。同社の顔認証テクノロジーはデータプライバシー訴訟の対象でもある(BiometricUpdate.com記事)。傘下のカメラ企業である会社Ring(リング)は警察と提携している(未訳記事)ことが明らかになり、市民権問題を起こした。直近では、Ringはホームセキュリティ用の屋内ドローンを発表したが、ホームオーナーのプライバシーにとって新たな脅威となる(RetailWire記事)かもしれない。

ゆえに、アマゾンの生体認証データによる顧客データベースを構築するという計画には疑念の余地がある。

アマゾンは、新たなデバイスを使用して入店するのにアマゾンのアカウントは不要だと話す。必要なのは、手のひらと電話番号だけだ。しかし客は、アマゾンのウェブサイトで使用履歴をみるためにアカウントと連動させることができる。また2つめの手のひら画像を追加することも可能だ。

Amazon Oneはまずシアトルエリアの2店舗で導入される。7番街とブランチャード通りにあるオリジナルのAmazon Go、それからボーレン通りノース300番地のサウス・レイク・ユニオンの店舗だ。ただし、Amazon Oneは他の入店方法に完全に置き換わるわけではない。客はAmazon GoアプリやAmazonアプリを使って入店でき、現金で支払うことも可能だ。

Amazon Oneは入店のためだけに使用される必要はない、と同社は指摘する。このデバイスがスタジアムやオフィスビル、アマゾン以外の小売店といったサードパーティで使用されることも想定している。

アマゾンは現在、関心を寄せている企業や団体と協議中だが、まだ明らかにはできないとした。ただし、アマゾンが過去に競争を抑制するような意図でサードパーティのデータを使っていたこれまでの経緯を考えると、サードパーティの小売業者が顧客の決済データを扱うのにどの程度アマゾンを信用するのかは不透明だ。

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(翻訳:Mizoguchi