スピルバーグ監督の映画会社AmblinがNetflixと契約、年間複数の新作映画を制作・配信へ

180度転換したかのような動きで、Steven Spielberg(スティーブン・スピルバーグ)監督が長年率いる映画製作会社Amblin Partners(アンブリン・パートナーズ)は、Netflix(ネットフリックス)向けに年に数本の新作映画を製作する契約を結んだと発表した。この契約はNetflixの躍進を反映したものであり、議論の余地はあるかもしれないが、伝説的な映画監督が、家庭での視聴を第一級市民とする映画界の新秩序を受け入れたことを意味する。

今回の契約はプレスリリースで発表されたが、AmblinとNetflixの幹部が語った社交辞令以外の詳細は明らかにされなかった。確かなことは、AmblinがNetflix向けに「年間複数の新作長編映画」を制作するということだけだ。

スピルバーグ監督はプレスリリースの中で「テッド(Netflixの共同CEO兼コンテンツ最高責任者であるTed Sarandos、テッド・サランドス氏)と私がパートナーシップについて話し合い始めた時から、新たな物語を新たな方法で観客に届けるすばらしい機会だということがはっきりしていました」と述べている。

数年前、Netflix作品をアカデミー賞から除外することを推し進めていると報じられたスピルバーグ氏にとって、それらの新たな方法はそれほどすばらしいものではなかった。

「テレビフォーマットにコミットした途端、テレビ映画になってしまう」と同氏は2019年3月にITVに語っている。「私は、いくつかの劇場で1週間に満たない期間(上映され)、形だけの資格を与えられた映画が、アカデミー賞のノミネート資格を得るべきではないと考えています」とも。

しかし、最終的にはその意見を推すことはなかった。スピルバーグ監督は誤解されていたのか、考えを変えたのか、あるいは空気を読んだのか、その後、自分の立場を改めた。彼はむしろ「劇場体験」を大切にし、守りたいのだと語っているが、これは現代のブロックバスターの先駆者の1人として理解できる。

Netflixにとっては、スピルバーグ作品を得られるという保証はないが、Amblinの作品を安定的に入手できるという点で当然ながら大きなメリットがある。一方のAmblinは、より伝統的な映画製作と配給を担うUniversal(ユニバーサル)との長年のパートナーシップを継続していくとのこと。Amblinは以前にもNetflixなどのストリーミングサービス向けに番組や映画を制作・配信しているが、今回の提携はこれまでで最も重要なものだ。

おそらくスピルバーグ監督とAmblinに、ストリーミングプラットフォームは消滅するどころかさまざまな意味で業界の未来であることを示唆したのは、新型コロナだったのではないだろうか。「劇場体験」が潜在的なスーパースプレッダーイベントであり、人々が自宅で「プレミア」を見る(そしてそのためにお金を払う)ことに完全に満足している世界では、柔軟に対応して物事が立ち直ることを願った方がいいのかもしれない。

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画像クレジット:Krisztian Bocsi / Bloomberg / Getty Images

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(文:Devin Coldewey、翻訳:Aya Nakazato)