米アメックス、初の消費者向けフルデジタル当座預金口座を発表

American Express(アメリカン・エキスプレス)は、同社初の全デジタル消費者向けチェッキング口座サービスをローンチしたと、米国時間2月8日に発表した。この新しいサービス「American Express Rewards Checking」は、現在、対象となる米国のコンシューマーカード会員が利用可能だ。この動きは、デジタルバンキングサービスの出現により、伝統的な銀行はデジタル戦略を強化し、より競争力のあるバンキングサービスを提供することが求められている中でのことだ。

American Expressによると、この新口座は、対象となるデビットカードの購入でメンバーシップ・リワードのポイントが付与されるほか、年率利回りが全米平均の10倍となっており、対象となる購入品には購入保護が付く。また、毎月の維持費や最低残高の設定もない。American Express Rewards Checkingの年利率は0.50%で、対象商品の購入代金2ドル(約231円)につき1ポイントのメンバーシップ・リワード・ポイントが貯まるデビットカードが付属しており、このポイントは同チェッキング口座への入金に交換できる。また、会員はAmerican Expressアプリでチェッキング口座にアクセスして管理することができ、小切手をアプリで入金することも可能だ。

American Expressのコンシューマーバンキング部門の取締役副社長兼ゼネラルマネージャーであるEva Reda(エヴァ・レダ)氏は、声明の中で次のように述べている。「(カード)会員のみなさまは、当社からより多くの銀行商品やサービスを求めています。お客様は、自分にとって重要な特典を諦めることなく、当座預金にさらなる価値を求めています。そのようなことから、American Expressの強力で信頼性の高い後ろ盾のもと、会員のみなさまにさらなる価値をお届けするため、Amex Rewards Checkingを開発しました。妥協のないデジタルチェッキング口座です」。

また、この口座には、詐欺行為の防止と監視、電話やチャットによるカスタマーサービスへのアクセスが付いている。American Expressはこれまでにも、American Express High Yield Savings Account(HYSA、高利率預金口座)やCertificate of Deposits(CD、定期預金証書)などの消費者向け預金商品を提供してきたが、今回の新しい当座預金口座サービスは、これらの商品ラインアップに加えての提供となる。

画像クレジット:American Express

デジタルバンキングは、デジタルサービスへの需要の高まりと、新しいスタートアップやネオバンクの人気の高まりにより、従来の銀行セクターを進化させている。Varo BankChimeCurrentなどのスタートアップは、伝統的な銀行セクターを破壊し、American Expressのような金融企業が会員を惹きつけ、維持するために、より多くのサービスを打ち出す原因となっている。

8日の発表は、オーストラリアのフィンテック企業Openpayの米国子会社Opyとの提携計画に続くもの。この提携により米国のすべてのカード会員は、ヘルスケアと自動車の分野で対象となる購入をした際に、分割払いができるようになる。American Expressはすでに、2017年に開始した100ドル(約1万1560円)以上の購入を対象とした「Pay it Plan it」プログラムで独自のBNPL(後払い決済)オプションを提供しており、固定金利も提供している。今回のOpyとの提携により、Amexは、大きな買い物を長期間にわたって支払うオプションの需要に応えることができる。

2021年7月、American Expressは、スタートアップのBodesWellと提携し、ファイナンシャルプランニングにも進出した。クレジットカードの巨人である同社は「My Financial Plan(MFP)」と名づけられた初のセルフサービス型デジタルファイナンシャルプランニングツールの試験運用を開始した。この製品は、ユーザーが自分の財務状況を完全に把握し、住宅購入やリタイアなどの人生の大きなゴールを立てて達成できるよう支援することを目的としている。

画像クレジット:American Express

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(文:Aisha Malik、翻訳:Aya Nakazato)

アメリカン・エキスプレスがOpyと提携、米国で初めてサードパーティー製BNPL(後払い販売)サービス提供へ

クレジットカード会社はこぞって「後払い販売(BNPL、buy now, pay later)」への参入を進めようとしている。American Express(アメリカン・エクスプレス、mAmex)は米国時間12月2日、オーストラリアのフィンテックOpenpay(オープンペイ)の米国法人であるOpy(オパイ)と提携して、米国の全カードメンバーがヘルスケアおよび自動車関連の指定商品を分割払いで購入できるようにする。

この提携は、American Expressにとって米国で初めてのサードパーティーBNPL契約だと、同社広報担当者がTechCruncにメールで伝えた。Amexは、対象セクターの売り手開拓を支援する。

Opyはこのソリューションを、従来型BNPLモデルの改善バージョンだと説明し、「buy now, pay smarter(今買って、賢く支払う)」と称している。Opyは利用者に最大2万ドル(約226万円)を一度に貸し出し、最大24カ月の支払いプランを固定金利で提供する。これはAffirm(アファーム)やKlarna(クラーナ)などの企業が提供する短期分割払いとは異なっている。

American Expressは、独自のBNPLサービスを「Pay it Plan it」プログラムの名称で2017年から100ドル(約1万1300円)以上の買い物を対象にすでに提供中で、金利はやはり固定だ。Opyとの提携によって、Amexは高額の買い物を長期にわたって支払う選択肢を望む顧客に答えることができるだろうと、Opy U.S.のCEOであるBrian Shniderman(ブライアン・シュナイダーマン)氏がTechCrunchに話した。

「大きい買い物、すなわちこれは当社が特化している1000ドル(約11万3100円)から2万ドル(226万2700円)のモノを買う時、60日というのは十分な支払期間ではありません」と同氏は語った。

9.99%以下の低い金利を可能にしているのは、ターゲットが財務に明るい顧客からなる非常に特別な層だからだ、とシュナイダーマン氏はいう。顧客の平均年齢は40歳で、ちなみに他のBMPLプロバイダーの平均的顧客は20代だと彼は付け加えた。ヘルスケアと自動車部門だけでなく、Opyは住宅修繕と教育的資格獲得のための融資も行っているが、これらはAmexとの提携には含まれていない。

「当社のサービスは予測可能で透明性があります。他の後払い決済サービスを見ると、延べ払い利息や、支払いできなかった時の未払い利息があります。0%利息のはずが、融資期間全体に非常に高い利息がかかっているかのように再計算されます」と話すスナイダーマン氏は、元の職場であるDeloitte(デロイット)でAmexと密に協力した経験がある。

Amexの主要なライバルたちも最近BNPLに進出を果たし、Stripe(ストライプ)やSquare(スクエア)などの決済会社に対抗しようとしている。Mastercard(マスターカード)は、独自のMastercard Installmentsサービスをこの秋に提供開始し、その後すぐに、Visa(ビザ)もKlarna(クラーナ)とのブランド提携を発表した。

編集部注:Mary Ann Azevedo(メリー・アン・アゼベド)氏が本稿に協力した。

画像クレジット:Omar Marques/SOPA Images/LightRocket / Getty Images(Image has been modified)

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(文:Anita Ramaswamy、翻訳:Nob Takahashi / facebook

英Amazonで1月19日から英国発行Visaクレジットカードが使えなくなる

Amazon(アマゾン)がVisa(ビザ)との闘いをエスカレートさせている。2022年1月19日から、Amazonは英国で発行されたVisaクレジットカードの取り扱いを停止する。英Amazonの顧客にこの変更がメールで伝えられ、クレジットカード取引にともなってVisaが高額な手数料を課していることが理由であるとされている。Amazonの利用者は年末年始の買い物にはVisaクレジットカードを使うことができるが、その後はVisaデビットカード、またはMastercardやAMEXなど他のクレジットカードに切り替える必要がある。

Amazonの広報は発表の中で以下のように述べている。

カード利用にともなうコストは、お客様にベストプライスを提供しようと努力している企業にとって常に障壁です。こうしたコストは技術の進歩にともない減少してしかるべきですが、実際にはコストは下がらずむしろ上がっています。Visaの利用手数料が依然として高額であることから、残念ながら当社のAmazon.co.ukでは英国で発行されたVisaクレジットカードの利用を2022年1月19日に停止します。お客様は引き続きVisaデビットカードを含むすべてのデビットカード、およびVisa以外のクレジットカードを利用してAmazon.co.ukでショッピングをしていただけます。決済に関する状況が世界中で急速に変化する中、当社は今後もお客様のために革新を続け、世界中の当社ストアで速く、安く、包括的な支払い方法を追加し推進していきます。

一方Visaの広報は「Amazonが今後消費者の選択を狭めると脅しをかけていること」に失望していると述べ「消費者の選択が限られている場合に、勝者はいない」とした。Visaはさらに、カード会員が「2022年1月にAmazonが課す制限を受けることなく」ウェブサイトで英国発行のVisaクレジットカードを使い続けられるようにAmazonとの間で解決に取り組んでいると述べた。ちなみに、Amazonと他のクレジットカード企業との関係はもっと良好だ。英Amazonは現在、消費者向けクレジットカードでMastercardと、ビジネスカードではAMEXと提携している。

AmazonとVisaはお互いから有利な条件を引き出そうとして闘いを公開しているのかもしれない。Amazonはここ数カ月間、Visaに圧力をかけてきた。シンガポールのAmazonサイトでは9月15日からVisaクレジットカードでの購入に0.5%の追加料金を課し、その1カ月半後にはオーストラリアでもVisaでの購入に追加料金を課すようになった。どちらの場合もAmazonは、Visaクレジットカード以外の支払い方法を追加した顧客に対し、ギフトカード(30シンガポールドル / 約2500円、20オーストラリアドル / 約1600円)を提供した。

編集部注:本稿の初出はEngadget。執筆者のMariella MoonはEngadgetのアソシエイトエディター。

画像クレジット:Håkan Dahlström Photography / Flickr under a CC BY 2.0 license.

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(文:Mariella Moon、翻訳:Kaori Koyama)

アメリカン・エキスプレスがBodesWellと提携しファイナンシャルプランニング分野に進出

American Express(アメリカン・エキスプレス)は、BodesWell(ボーズウェル)という7人組のスタートアップの協力を得て、ファイナンシャル・プランナーとしての活動に乗り出すことになった。

この大手クレジットカード会社は先日「My Financial Plan(マイ・ファイナンシャル・プラン、MFP)」と名づけられた、初のセルフサービス型デジタル・ファイナンシャル・プランニング・ツールの試験運用を開始した。今回の6カ月間の試験運用は、7月11日よりアメックスのカード会員約2万5000人を対象に始まっている。

アメリカン・エキスプレスは2020年末に、投資部門のAmex Ventures(アメックス・ベンチャーズ)を通じ、ひそやかにBodesWellに出資した。それ以来、金融サービスの巨大企業は小さなスタートアップと手を組み、ユーザーのためのファイナンシャル・プランニング・ツールを開発してきた。この新製品は、ユーザーが自分の財務状況の全体像を把握し、住宅購入や引退といった人生における大きな目標の達成を支援するように設計されている。

TechCrunchは、新製品につながる投資と戦略を主導したAmex VenturesのJulia Huang(ジュリア・ホアン)氏と、BodesWellの共同創業者でCEOのMatthew Bellows(マシュー・ベロウズ)氏に話を聞き、詳細な情報を得た。

実は2人は、2019年にある委員会で同席した際に出会ったという。

「丸投げの貯蓄ツールではなく、自分の経済的な全体像を理解して、人生の決断がもたらす経済的な影響を計画するために使える全体的なツールという点に惹かれました」と、ホアン氏はTechCrunchに語った。

これまで70社以上のスタートアップを支援してきたAmex Venturesは、BodesWellへの出資を決定する前に「この分野をかなり広範囲に査定した」とホアン氏はいう。

ホアン氏は、ベロウズ氏と彼のスタッフを、アメックスのデジタルラボのチームに紹介し、アメックスの顧客向けに特化した製品の共同開発に乗り出した(ベロウズ氏はボストンを拠点としているが、同氏によればこのスタートアップは「グローバルに展開している」とのこと)。

「私たちの目標は、詳細な洞察と予測を提供し、全体的な計画を支援することで、カード会員のファイナンシャル・プランニングを民主化することです」と、ホアン氏はTechCrunchに語っている。

画像クレジット:Amex Ventures

ベロウズ氏は、クライアントや顧客が自らのファイナンシャル・プランを構築できるようにすることを目的として、2019年初頭にBodesWellを起ち上げた。

「多くのファイナンシャル・プランニング・ソフトウェアは、ファイナンシャル・アドバイザーを対象としており、彼らが実行する必要があります」と、ベロウズ氏はいう。「だから、ほとんどの人は、ファイナンシャル・プランニングの恩恵を受けることができません。(中略)私たちの願いは、より多くの人にその恩恵を拡大することです」。

BodesWellは、ユーザーにファイナンシャル・プランの構築の仕方を案内し、Plaid(プレイド)を介して他の財務情報と同期させることで「リアルタイムで更新」できるようになるため、より効果的に機能すると、ホアン氏はいう。

このツールは「収入、資産、支出、負債など、キャッシュフローを総合的に考慮し、ユーザーがドラッグ&ドロップでライフイベントを計画できるようになっています」と、ベロウズ氏は述べている。

米国では、約8500万の家庭がファイナンシャル・プランナーをつけていないと言われている。その理由は、プランナーの意図に対する不信感や、単にそのプロセスに困惑してしまうためなど、さまざまだ。

現在、このMy Financial Planは試験的に無料で提供されているものの、今後有料化するかどうかはまだ決まっていない。

「私たちはまず、この製品のお客様に対するエンゲージメントとパワーを測っているところです」と、ホアン氏はTechCrunchに語っている「私たちは、この製品がお客様の心に響くものであることを確認し、より多くの人々にとって役に立つものにするために、繰り返し提供していきたいと考えています。私たちの第一の目標は、お客様がこれを使い、価値を見出してくださることです」。

アメックス・ベンチャーズは、投資先企業の3分の2以上と「何らかのパートナーシップ」を結んでいるという。

「我々が出資するスタートアップのエコシステムに価値を提供するため、そのような形でポートフォリオに関与したいと私たちは考えています」と、ホアン氏はいう。

BodesWellはこれまでに、Cleo Capital(クレオ・キャピタル)、Ex Ventures(Exベンチャーズ)、Riot.vc(ライオットVC)、GritCapital(グリットキャピタル)、Argon Capital(アルゴン・キャピタル)などの投資会社や、HubSpot(ハブスポット)のCEOであるBrian Halligan(ブライアン・ハリガン)氏、Kintent(キンテント)のCEOであるSravish Sridhar(スレイヴィシュ・スリダー)氏などのエンジェル投資家から約150万ドル(約1億6500万円)を調達している。

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カテゴリー:フィンテック
タグ:American Express

画像クレジット:Omar Marques/SOPA Images/LightRocket / Getty Images (Image has been modified)

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(文:Mary Ann Azevedo、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

インド中央銀行がデータ保存規則違反でアメックスに対し新規顧客の追加を制限

インド中央銀行は、同国におけるデータ保存規則の違反を理由に、American Express(アメリカン・エキスプレス)とDiners Club(ダイナースクラブ)が新規顧客を増やすことを2021年5月から制限するとインド時間4月23日に発表した。

インド準備銀行(RBI、Reserve Bank of India)は声明の中で、2つのカード会社のいずれかを利用している既存の顧客は、5月1日に発効するこの新しい命令による影響を受けないと述べている。

インド中央銀行が、2018年に発表された同国のデータ保存規則へのコンプライアンス違反を理由に企業にペナルティを科すのは、今回が初めてだ。この規則では、決済企業はすべてのインドでの取引データを同国内のサーバーに保存することが求められている。

Visa(ビザ)やMastercard(マスターカード)をはじめとする複数の企業と米国政府は、これまでにインド政府に対し、規制当局の「自由な監督アクセス」を可能にするための規則を再考するよう要請してきた。

さらにVisa、Mastercard、American Expressの3社は、このルールを大幅に変更するか、完全に破棄するよう当局に働きかけていた。しかし、これらの努力が功を奏さなかったため、ほとんどの企業がルールを遵守するようになった。

American Expressの広報担当者は、現地時間4月23日夜に発表した声明の中で「RBIがこのような行動に出たことに失望している」としながらも「できるだけ早く」懸念を解決するため当局と協力していると述べた。

同国におけるAmerican Expressの顧客数は約150万人に上り、インドの外資系銀行の中で最も多くの顧客を獲得している。

「当社は、インド準備銀行とデータローカリゼーションの要件について定期的に対話を行い、規制遵守に向けた進捗状況を示してきました。【略】これにより、インドの既存のお客様に提供しているサービスに影響はなく、お客様は通常通り当社のカードをご利用いただけます」と同社は述べている。

Discover Financial Servicesの傘下にあるダイナースクラブは、インド最大の民間銀行(HDFC)との提携によりインドでクレジットカードを提供しているが、声明の中で、インドは引き続き同社にとって重要な市場であり「インドでの成長を継続できるよう」中央銀行と協力して解決策を検討している、と述べている。

2020年、インド中央銀行は、HDFC銀行のサービスが停電に見舞われた後、新規のクレジット顧客を追加したり、デジタル事業を立ち上げないよう命じた。

4月23日の命令は、インドのもう1つの主要外資系銀行であるCitigroup(シティグループ)が、収益性の向上を目指してアジアの消費者向け事業の大半から撤退する計画を発表した中でのことだ。13カ国で展開している同銀行の消費者向け事業は、現在売却先を探している。

カテゴリー:フィンテック
タグ:インドAmerican ExpressDiners Clubクレジットカード

画像クレジット:Nasir Kachroo / NurPhoto / Getty Images

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(文:Manish Singh、翻訳:Aya Nakazato)

パンデミックにも負けずスモールビジネスは前向きな精神を貫く、アメリカン・エクスプレスの調査報告

企業も消費者も、みんなが前代未聞のこの現状を受け入れ、回復力を保とう奮闘している。回復には時間がかかるだろうが、最新の調査では適切な資源と準備さえあれば、いまも未来も、あらゆる障害を乗り越えられるという前向きな姿勢を貫く起業家精神の強靱さと、スモールビジネス経営者の根性が証明された。

American Express(アメリカン・エキスプレス)が初めて行った起業家精神に関する調査Entrepreneurial Spirit Trendex(アントレプレニューラル・スピリット・トレンデックス)が中小企業1000社を対象に行ったアンケート調査から、米国の起業家精神に関する大変に注目すべき洞察が得られた。パンデミックの渦中においても、スモールビジネス経営者の75%は事業の回復に対して前向きな考えを持ち、82%が将来の危機にはもっとうまく対処する心構えができたと考えているという。

スモールビジネスは積極的に助言を求めている

前例のないこの難局をうまく乗り切るために、企業経営者たちは適切な支援が得られる情報源を探している。企業は積極的にバーチャル会議やオンラインセミナー(47%)、バーチャルイベント(44%)、危機を乗り切るための助言と情報(44%)、ストレスを解消し気持ちを豊かに保つ方法が学べるもの(42%)を積極的に探している。

最大の懸案はキャッシュフロー

当然のことながら、経済危機においては81%の企業経営者がキャッシュフロー管理(Kabbageサイト)を優先させ、サービスのオンライン化など、支出削減と売上げ向上のための方法を特定しようとする。この調査で示された対策の順位は次のとおりだ。

  • マーケティングを強化する(41%)
  • 製品またはサービスをオンライン化する(40%)
  • 支出を減らす(36%)
  • 収入源を多様化する(35%)

方向転換を繰り返す

いまのままの事業方針でパンデミックに対処できるスモールビジネスなど、ほとんど存在しない。多くの企業にとって、2020年は方向転換の年だったが、その傾向は2021年も続くであろうことがこの調査から見てとれる。

データによると、企業経営者の76%はビジネスモデルの方向転換をしたか、方向転換の途中だと答えている。さらに、すでに方向転換を果たした経営者のうちの73%が、来年もまた方向転換をするだろうと考えている。事業の健全性を保つには、変化する市場の要求に対応できるよう、常に敏捷でいることが極めて重要となる。これはパンデミックでなくてもいえることだ。

態度を明らかにする

パンデミックを乗り切ることと同時に、企業経営者には現在、人種間の公平のための歴史的な戦いが強いられている。人種間の不公正への異議や、人種間の公平化を推進する団体への金銭的貢献の表明を通じて、改革に向けて戦っている経営者は多い(43%)。

また企業経営者は、自社の改革も実施している。調査に応じた経営者の73%は、職場の多様性を高めようとしている。そこで優先される課題の順位は次のとおりだ。

  • 多様な従業員がより強い仲間意識が持てるように企業文化を徹底的に改善する(54%)
  • 雇用と求人の手順を変える(47%)
  • 将来、人種間の不公正に対処するための測定可能な目標を立てる(47%)

2020年は大変に多くのスモールビジネスが倒産に追い込まれたが、起業家精神はいまだ健在であり、その気持ちが前進を続け、改善を重ね、成功を目指す力になっていることが今回の調査でわかった。American Expressの報告書全文はこちらで読める

【Japan編集部】著者のKathryn Petralia(キャサリン・ペトラリア)は、American Express(アメリカン・エキスプレス)傘下でスモールビジネスのキャッシュフロー対策を支援する企業Kabbage(キャべッジ)の共同創設者であり社長。

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カテゴリー:その他
タグ:スモールビジネスCOVID-19新型コロナウイルスAmerican Express

画像クレジット:Westend61 / Getty Images

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(翻訳:金井哲夫)

米アメックスがソフトバンク出資の中小企業向けオンライン融資Kabbageを買収

中小企業は新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックで大きな打撃を受けた。それは多くの場合、中小企業にサービスを提供する会社にも波及した。中小企業への融資を中核事業とするスタートアップが、このタイミングでクレジット業界の巨人に買収された。フィンテック業界は中小企業向けビジネスの分野で、将来の「ニューノーマル」(新常態)を取り込み始めた。

機械学習アルゴリズムを使用するプラットフォームにより中小企業への融資を審査・実行するKabbage(キャベッジ)をAmerican Express(アメリカンエクスプレス)が買収すると両社は8月17日に発表した。Amex(アメックス)は声明で、Kabbageの融資や他の金融サービスツールが加わり、同社が抱える「数百万」の中小企業の顧客に提供できるサービスの幅が広がることは、同社がこのセクターに注力していく計画の表れだと述べた。

買収の金銭的条件は公表されていないが、2020年8月初めの報道によると買収額は最大8億5000万ドル(約900億円)に上るという(Bloomberg記事)。参考までに、Kabbageはこれまでに負債と資本で約9900億ドル(約105兆円)を調達しており(そして少なくとも35億ドル、約3700億円を証券化している)、2017年にソフトバンクがリードした2億5000万ドル(約270億円)の株式ラウンドでは12億ドル(約1270億円)を超えるバリュエーションがついた

この買収は、中小企業だけでなく、中小企業にサービスを提供するフィンテック企業、特にKabbageにとって新型コロナウイルスの嵐を乗り切ろうとする難しい時期に行われた。

Amexの買収対象に従業員、技術、財務データが含まれているのは確かだが、「Kabbageの既存の融資ポートフォリオは買収契約には含まれていない」とAmexはプレスリリースで述べている。

融資ポートフォリオに何が起こるかについてKabbageの広報担当者は、クロージング時に融資を管理・回収する別会社が用意されると発表した。

Kabbageの融資の合計金額は不明だが、広報担当者はKabbageが過去数年間の事業運営で実行した融資だけでなく、ペイチェック・プロテクション・プログラム(PPP)に基づく米国の中小企業向け融資も含まれていることを明らかにした。先週の時点でPPP融資は約30万件あり(Kabbageリリース)、合計70億ドル(約7400億円)に上る。2019年にKabbageはTechCrunchに対し、同年の融資実行額が25億~30億ドル(約2650~3180億円)となるペースだ(未訳記事)と述べていることからも既存の融資ポートフォリオは決して小さい金額ではなく、現在の経済状況ではおそらく大きなリスクを抱えている。

今回のニュースはフィンテック業界でKabbageが見せた数々の興味深い大きな浮き沈みの最後を締めくくる。同社は急成長するビジネスを背景にソフトバンクや他の多くの投資家(および顧客)の注目を集めた。そのアイデアは人工知能を使用して中小企業による融資申請から成約に至るプロセスをスピードアップするというものだ。

従来の銀行と、その遅くて時には苛立たしい融資審査のアプローチの双方に革新をもたらすKabbageは、融資実行や融資条件の判断に従来の決算情報からソーシャルメディアのシグナルまで、さまざまな情報源を独自の機械学習アルゴリズムのインプットとして利用する。Kabbageが他の貸し手(競合の銀行を含む)にホワイトラベルサービス(顧客のブランドで販売するために自社製品を提供すること)としてプロダクト提供するほどに成功した。

2020年2月以降は厄介な状況が続く。多くの中小企業がパンデミックにより休業を余儀なくされ、同社のビジネスは崖から落ちるように悪化した。中小企業の休業の多くは恒久的になった。同社は3月末、相当の数の従業員に一時帰休を言い渡し(未訳記事)、4月には中小企業向けクレジットラインを突然停止した(Bloomberg記事)。その後、PPP融資業者大手3社の1つとしてゆっくりと以前の業務に戻った。

だがPPPは短期的なプログラムだ。KabbageとAmexの買収契約で注目されるのは、中小企業に長期の金融サービスを提供するにあたり、2社が異なるアプローチを持ち寄り同じ屋根の下で連携できるかだ。

American Expressは数年前から、業界をリードする企業向けカードに留まらず、企業顧客に決済と運転資金ソリューションも提供し、その規模を拡大してきた」とグローバルコマーシャルサービスプレジデントのAnna Marrs(アンナ・マーズ)氏は述べた。「この買収により、米国の中小企業に決済とキャッシュフローをワンストップでデジタル管理する簡単で効率的な方法を提供するという当社の計画が加速する。これは今日の環境ではかつてないほど重要だ。Kabbageの革新的なテクノロジーと才能あるチームを、当社の幅広い顧客ネットワークと中小企業を支援する60年以上の経験とあわせることにより、顧客がこの困難な時期を乗り越えるのをより厚く支援できる」。

「Kabbageでは、常に米国の中小企業の成功を第一の目標に掲げてきた」とRob Frohwein(ロブ・フローウェイン)CEO兼共同創業者は声明で述べた。「当社は、大企業だけに用意されていた機能や洞察を中小企業にも提供できるテクノロジーとデータプラットフォームを構築した。American Expressに加わることで、当社は小規模な企業が完全にデジタル化された一連の金融プロダクトによって成功を収めるのを助け、彼らの事業運営と成長を支援できるようになる」

カテゴリー:フィンテック

タグ:American Express Kabbage

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(翻訳:Mizoguchi