Google AMP for Emailでメールの高速表示が可能に、ダイナミックなメディアに変身

AMP
米国時間3月25日、GoogleはAMP for Email正式にスタートさせた。AMP for Emailは現在の固定的なメールをウェブページのようなダイナミックなメディアに進化させることが目的だ。AMPブログによれば、まずGmailがサポートされるがYahoo Mail(ちなみにTechCrunchの親会社の所有)、Outlook 、Mail.ruのようなメジャー・サービスもAMP for Emailをサポートすることになるという。

AMP(Accelerated Mobile Pages)はGoogleが中心となって開発された新しいHTML規格で、モバイルのウェブページの高速表示を実現している。Googleがメールへの導入プロジェクトを発表したのは1年以上前だ。Googleの慎重さを考えても長い準備期間だが、この機能を正しく働かすためには膨大なバックエンド作業が必要だったということだろう。

AMP for Emailが目指すのは現在の固定的なメッセージ・システムを仕事を本当に効率化するツールに変えるところにある。Gmailのプロダクトマネージャ、Aakash Sahney氏はこう述べている。

この10年間で、静的でフラットなコンテンツは対話的なアプリケーションへと進化した。これによってわれわれのウェブ体験は決定的に変わった。しかしメールは相変わらず静的メッセージのままで、時代遅れなシステムになりつつある。メールの本文にリンクが含まれている場合、内容を確認したければそれをクリックしてブラウザに新しいタブを開き、別のウェブサイトにアクセスしなければならない。

AMP for Emailが実現すれば、メールはダイナミックかつ対話的なスペースになる。つまりOutlookに実装されている返信メニューをポップアップさせるRSVPボタンのような機能をメール本文に埋め込むことができる。アンケートに答える、ストアで在庫を確認する、コメントに返信するといった作業がメール・クライアントを離れることなく実行できるわけだ。

このフォーマットは、ホテル予約のBooking.comやスケジュール設定のDoodleを始めFreshworks、Nexxt、OYO、Rooms、Pinterest、redBusなどの有力企業がすでに採用している。こうしたサービスからメールを受け取ることを許可している場合、今後数週間のうちに対話的コンテンツを含むメールが届く可能性が高い。

デベロッパーにとってメールをAMP化するのはさほど難しくない。ウェブサイトでAMP化ページを作った経験があればなおさらだ。 フォーマットには画像カルーセル、フォーム、リストなど多数のAMPマークアップ機能が含まれている。こうしたメールには標準的な HTMLマークアップも含まれているのは重要なポイントだろう。これはなんらかの理由でAMPが作動しなかった場合のバックアップとなる。.

最初の発表以来、GoogleはグーグルはAMP for Emailをサポートするパートナーを多数集めることに成功した。これにはメールの配信および分析プラットフォームのSparkPost、メールのデザインおよびマーケティングツール化のLitmus、Twilio Sendgrid、AmazonのSES、Pinpointのユーザー向けメールとマーケティングツールなどがある。

ただしTechCrunchのDevin Coldeweyを含めて、メールへのAMPの導入に反対する意見も根強い。AMPを利用するには新しいマークアップ言語を習得し、かつサポートするインフラを必要とする。シンプルなページをすばやく構築するために必須の要素ではない。

現行のメールシステムにはさまざまな欠点があるものの、シンプルであるためにあらゆるベンダー、ユーザーの間で確実にメッセージ交換機能を果たす数少ないシステムの1つだ。メールにAMPを持ち込むことに誰もが無条件に賛成していない理由は、このメリットを帳消しにする恐れがあるからだ。しかしマーケティングや広告関係者はAMPメールを使うようにならざるを得ない。必要な作業をスピードアップすることができるなら、デベロッパーたちはメールのシンプルさを守るべきだという理想論にはあまり関心を払わないだろうと思う。

原文へ

(翻訳:滑川海彦@Facebook

Google、AMPフォーマットをメールに拡大――対話的カレンダーやアンケートを含めることが可能に

Google AMP はモバイルページを高速で表示するためのオープンソース・フォーマットだが、Googleはウェブサイトのレシピやハウツーといった記事を越えて適用範囲をさらに拡大しようとしている。今日(米国時間2/13)、Googleは手始めとしてAMPストーリーを発表し、続いてAMPをメールに適用した

AMP(Accelerated Mobile Pages)のメールへの適用というのは一見奇異に感じれるかもしれない。メールの表示が遅いと文句を言う人間は少ないからだ(メールは大部分がテキストだ)。しかしGoogleによればAMPフォーマットはメールを現代化する上でもっとも適切なフォーマットだと主張する。「ニュース、ショッピング、電車、フライトなどを始めとして、メールは現代人が情報を得る上で欠かせないツールになっている。世界では毎日2700億通のメールがやり取りされている。AMP for Emailを利用すれば、メールに含まれる情報を魅力的かつ対話性が高いものにする。ユーザーはそうしたメールにリアルタイムで反応できる」とGmailのプロダクト・マネージャー、Aarash Sahneyは今日のブログ記事に書いている。

AMP for Emailを利用すれば、デベロッパーは、たとえば、対話的に日付を指定できるカレンダーをメールに挿入することができる。つまり会議の日程を決めるのに5回も6回もメールのやり取りをする必要がない。航空会社がAMPを利用すれば常に最新のフライト情報が得られるメールを送ることができる。またユーザーが別のサイトに移動せず、その場で記入して返信できるアンケートなども作成できる。

Googleはこの間メールの現代化を図るプロジェクトを多数実施してきた。たとえば2013年にはカスタマイズ可能なアクションボタンをGmailに追加している。そうした努力にもかかわらず、メールは全体としてそう変わっていない。特にAMP for Emailのような新しいフォーマットの場合、Googleのライバルのメール・プロバイダーがサポートを決めなければ広く普及しないだろう。

現在のところAMP for Emailはプレビュー版で、デベロッパーはGoogleの専用サイトにサインアップする必要がある。Gmailでのサポートは今年中の予定。

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+