HUAWEI P30 Proはやっぱりカメラがスゴイ

Huawei(ファーウェイ)が最新のフラグシップモデル、HUAWEI P30 Proを発表してから1カ月が経った。私は数週間にわたってP30とP30 Proを使ってみたが、カメラシステムは感動的だった。

P30 ProはP20 Proの後継機であり、全面的に機能が強化されている。P20 Proも、優れたスマホには違いなかっただろうが、Google Pixel 3OnePlus 6Tといった伝統的なAndroidスマホと比べると、いくらか劣っている面があったことは否めない。

フラグシップデバイス

P30 Proは、Pシリーズの中でもずば抜けて高性能なデバイスだ。巨大な6.47インチのOLEDディスプレイ、上辺近くの小さなティアドロップ型ノッチ、ディスプレイに統合された指紋センサー、数多くのカメラ、といった特徴を備えている。

カメラシステムにについて詳しく見ていく前に、デバイスについての全体的な感想を述べておこう。去年のモデルP20 Proと比べると、画面の底辺近くにあった指紋センサーを取り除き、上辺のノッチも小さくした。ディスプレイ内蔵の指紋センサーは、専用のセンサーと比べると動作が鈍いが用は足りる。

スマホをデザインで区別するのはますます難しくなってきた。P30 Proも、OnePlus 6TやSamsung Galaxy S10などによく似ている。ディスプレイのアスペクト比は19.5:9で、解像度は2340×1080ドットだ。画面の周辺部はエッジに向かって湾曲している。

結果として、デバイス全体がなだらかな曲線で包まれることになった。デバイスの上面と下面は平らになっているものの、全体的には角ばったデザインではない。フレームはアルミニウムとガラス製で、背面にはカラフルなグラデーションが施されている。

残念ながら、ディスプレイの湾曲した部分は、実際にはあまりうまく機能しない。例えばGmailのように、背景全体が白いアプリを開くと、端の近くに見苦しい影のようなものが写る。

中身に目を移すと、P30 ProはKirin 980というSoC(システム・オン・チップ)を採用している。これは、ファーフェイ自家製のチップで、性能も優れている。率直に言って、スマホの性能はここ数年、かなり向上している。もはや、性能面での不平は出ようがないほどだ。

このスマホは、40WのUSB-C充電ポートを装備している。バッテリ容量は、特筆に値する4200mAhらら。さらに、Pシリーズとしては初めて、ワイヤレス充電機能も装備した。電力は最大15Wだ。

このデバイスを使って、別のスマホ、または付属品をワイヤレス充電することも可能だ。これは、Samsung Galaxy S10と同様の逆充電機能だ。残念なのは、この機能を利用する際には、毎回手動で有効に設定しなければならないこと。

これまでの製品ではディスプレイ上部にあったのスピーカーグリルも取り除かれている。画面自体を振動させることで、通話用の小さなスピーカーの代わりに機能させる方式だ。これまで使ってみた範囲では、何の問題もなかった。

出荷時のOSはAndroid Pieだが、ファーウェイ独自のEMUIによって、ユーザーインターフェイスは大幅にカスタマイズされている。また、ファーウェイならではのアプリも数多くインストールされている。中国で使うには意味があるかもしれないが、Googleアプリを使うなら、存在意義はほとんどない。

1つ例を挙げれば、HiCareというアプリが、通知を送り続けてきてうっとうしい。さらに付け加えると、導入時の初期設定手順もかなり紛らわしい。ある画面ではファーウェイ独自の機能について説明するかと思えば、別の画面では標準的なAndroidの機能について述べているといったぐあいだ。これでは、あまり技術に詳しくない人にとっては、優れたユーザー体験とは言い難いはずだ。

左側がP30 Proで右側がP30

すべてを支配する4つのカメラ

すでにP20 Proには、かなり優れたカメラセンサーが搭載されていた。特に夜間の写真撮影に関しては、最近のAndroidデバイスをリードする存在だった。P30 Proのカメラシステムは、2つの単語で表現できる。モアとベターだ。

ついにP30 Proは、1つでも、2つでも、3つでもなく、4つのセンサーをデバイスの背面に備えるに至った

  • メインカメラのセンサーは、27mmの40メガピクセルで、f /1.6の絞りと光学式手ブレ補正機能を備えている
  • 20メガピクセルで、16mmの超広角レンズ、f/2.2の絞りを備えたカメラもある
  • さらに、8メガピクセルで望遠レンズを備えたカメラは、メインカメラに対してほぼ5倍の光学ズームに相当する125mmの焦点距離となっている。絞りはf/3.4で、これにも光学式手ぶれ補正が付く
  • もう1つ、フラッシュの下には新たにToF(飛行時間計測式)のセンサーも追加された。スマホから赤外線を発し、光線が物体に反射して返ってくるまでの時間によって距離を測定できるものだ。

すでにかなり評判になっていることだが、P30 Proのズーム機能は非常に巧みに動作する。メインカメラの画素数を増やす一方で、ペリスコープタイプの望遠レンズを装備した。このセンサーにはミラーが内蔵され、光線を90度曲げてセンサーに照射する。それによってスマホ本体の厚みを増やすことなく、より多くのレンズ層を持つセンサーを実装できた。

メインカメラのセンサーと望遠レンズのセンサーを組み合わせることで、光学とデジタル、両方式を融合した10倍ズームの撮影が可能となっている。

以下の写真は、それぞれ広角レンズ、標準レンズ、5倍ズーム、10倍ズームで撮影したもの。

望遠撮影は、日中は非常によく写るが、残念ながら夜間にはほとんど使えない。メインカメラほどうまくは機能しないのだ。

ファーウェイは、ハードウェアの改良に加えて、撮影された画像を処理するアルゴリズムの向上にも取り組んできた。特に夜間モードは途方もなくすばらしい。ただし、撮影する際には、本体を8秒間保持して、できるだけ多くの光を取り込めるようにしなければならない。以下の写真は、真っ暗な部屋を撮影して、iPhone X(左)と比べてみたものだ。

さらにHDRの処理と、ポートレート写真も進化している。新たに追加されたToFセンサーによって、たとえば顔と背景を確実に区別することができるようになった。

撮影後の後処理に関しては、今回もちょっとやり過ぎの感がある。Master AIの設定で撮影すると、彩度が高過ぎる傾向がある。たとえば芝生は実際よりもはるかに緑に見える。セルフィーカメラに美肌効果を付けると、不気味な感じになる。さらに暗い部分のスムージング処理も、やり過ぎ感が強い。

スマホのブランドを選ぶということは、それに応じて写真撮影のスタイルも選ぶことになる。私は個人的に彩度の高い写真が好きではないので、ファーウェイの色は不自然に感じられ好みから外れてしまう。

もちろん、極端に鮮やかな写真が好みで、とてつもなく高性能なセンサーを求める人にとっては、P30 Proはぴったりだ。何種類ものレンズを装備したことで、多くの可能性が開かれ、撮影の柔軟性が高くなる。

ちょっと小さな下位モデルP30も

P30 Proは、いまのところ米国内では販売されていない。しかし、ヨーロッパの主要都市の通りには、すでにP30 Proの広告が掲げられている。価格は、128GBのストレージを装備したモデルで999ユーロ(約12万4000円)だ。より大きなストレージを装備した、より高価なモデルもある。

ファーウェイは、ちょっと小型のP30も同時に発表した。このような低価格モデルが、どこで妥協しているのかを探るのは、常に興味深い。

その点では、P30には多くの利点がある。まず価格は、128GBモデルで799ユーロ(約9万9500円)だ。これで立派なスマホを入手できる。ディスプレイは6.1インチのOLEDで、画面サイズ以外はProと共通の仕様も多い。

P30は、Proと同じSoC、同じようなティアドロップ型のノッチ、ディスプレイ内蔵の指紋センサーを備え、画面の解像度もまったく同じだ。ちょっと意外なのは、P30 ProにはないヘッドフォンジャックがP30にはあること。

その一方で、ワイヤレス充電機能やエッジ部分が湾曲したディスプレイなど、P30が装備していないものもある。デバイス自体のエッジはわずかに湾曲しているのだが、ディスプレイそのものは完全にフラットだ。個人的には、こちらの方が見やすいと感じられる。

カメラについても、P30はいくらか劣っている。ズーム性能もよくない。仕様をまとめておこう。

  • メインセンサーは40メガピクセルで、絞りはf/1.8、光学式手ブレ補正付き
  • 超広角レンズ付きの16メガピクセルのカメラの絞りはf/2.2
  • 8メガピクセルの望遠レンズは、3倍の光学ズームを実現
  • ToFセンサーはなし

つまるところ、どちらを選ぶかは、スマホに何を求めているかということに尽きる。P30 Proなら、言うまでもなくPシリーズとして最高のカメラを手に入れることができる。しかしP30は、より小型のデバイスを求める人にとっては魅力的な製品だ。

ファーウェイは、特にカメラに関して、スマホに詰め込むことのできることの限界を再び押し上げた。iOSとAndroidが、もはや熟成の域に達してしまった中で、ハードウェアの進化の速度が衰えていないことを確認できるのは喜ばしい。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

Android 9を紹介する――Googleはニックネームを「パイ」に決定

 

Android 9の愛称はPie(パイ)に決まった。歴代Androidのニックネームの中で特にセンスの良さを感じさせるような名前ではないが、まあいいだろう。問題は機能そのものだ。実際Androi Pieには数々の重要な新機能が盛り込まれている。

Google Pixelを持っている幸運なユーザーは今日(米国時間8/6)からOTA(無線ネットワーク経由) でPieにアップデートできる。これまで端末でAndroidベータを使ってきた場合((Sony Mobile、Xiaomi、HMD Global、Oppo、Vivo、OnePlus、Essentialなどのデバイスですでにベータをインストールしている場合)、またGoogleが途上国市場で展開しているAndroid Oneを持っている場合も同様に今日からPieが利用できる。

それ以外のユーザーは、これまでと同様、製品のメーカーがアップデートを提供するまで待たねばならない。一部のメーカーでは年内にアップデートを出すだろうが、永久に出さないメーカーもあるだろう。

全体としてPieは健全なアップデートだといえる。唯一の不満はデフォールトでデジタル・ウェルビーイング機能がオンになっていないことだ。これは「スマートフォン中毒」を防止するためにGoogleが推進している努力の一環だが、Pieで利用するためにはベータテストに登録しなければならず、当面Pixel端末でのみ使える。Googleのハードウェア発表の時期は10月上旬が多い。そのあたりでデジタル・ウェルビーイングも正式にリリースされるのではないか?

ではAndroid 9 Pieにアップデートするとどういうことが起きるか説明しよう。 いちばん目立つのは新しいナビゲーション・システムだろう。ここ何代かのAndroidで標準だった3アイコンのナビゲーション(戻る、ホーム、オーバービュー)に代わって採用された新しいナビゲーションはほぼ常に表示され、もっと柔軟性が高い。ホームバーを押すとアプリをスワイプで切り替えることができる。オーバービューボタンを押してアプリをサムネール表示にする必要がない。ホームバーを上にスワイプすると最近使ったアプリがフルスクリーンでプレビューできる。またGooglはユーザーが使うかもしれないアプリの候補も表示する。もう一度上にスワイプするとインストールずみアプリの一覧画面になる。

このところPieを毎日使っているが、UIが従来のシステムより改善されたかどうか、まだ完全に納得するところまでいっていない。単に私が保守的で変化を嫌う性質なのかもしれないが、新しいスワイプ重視の方式がそれほど効率的だとは思えない。またホームバーをGoogleが期待するより何分の1秒か長く押しているとアプリの切り替える画面ではなくアシスタントが立ち上がってしまう。このあたりは慣れの問題だろうが、以前のシステムに戻すこともできる。

スワイプアップしたときのGoogleによる「おすすめアプリ」の表示はテクノロジーのデモとしては面白いが、実際に毎日使う上でさほど便利ではない。Googleはアプリの推薦にあたって機械学習を使っているのだろうが、「おすすめ」を表示する場所にユーザーが好みのアプリをピン留めできるようにしたほうがいいと感じた。Androidの「おすすめ」が見当外れということではないが、ベータ版を2世代にわたって使った結果、ここからアプリを起動したことはない。それと「おすすめ」アプリの大半はどのみちホーム画面に登録ずみだ。

ただし個人的な不平はその程度で、Android 9 Pieではほぼあらゆる部分が改良されている。だいなみなバッテリー管理システムもその一つでユーザーが頻繁に使うアプリを記憶し、バッテリーを長持ちさせることができる。面白いと思ったのは新しいバッテリー残量警告のポップアップだ。これにはたとえば「現在の残量は20%。充電は9:20pmごろ終了」などと表示される。これは実際に役立っている。

Googleは輝度調整も改良しており、ある環境におけるユーザーの輝度の好みを記憶して再現しようとする。Pie OSではデバイスの設定がひとまとめにされており、何をどう変えたかひと目で分かるようになったのは便利だ。音量ボタンの横にボリューム調整スライダーがポップアップするようになったのもナイスだ。

音といえば、コネクターを接続してバッテリーの充電を始めると小さい音がするようになった。使い勝手というのはこういう細部のデザインによるところが大きい。

テキスト選択ツールにも機械学習が利用されている。選択した内容によってユーザーが取る行動を予測しており、それが住所であればアプリの候補としてGoogleマップや情報共有のダイアログが示される。これの推薦には例によって当たり外れがあるが、私にとって役立つ改良は、テキスト選択ツールにズーム機能が付加され、自分が何を選択しているか拡大して確認できるところだ(もちろんiOSには以前から同様の機能がある)。

今回のアップデートの目玉に一つであるデジタル・ウェルネス機能、GoogleのDigital Wellbeingについて詳しく解説したいところだが、これは数日待っていただく必要がある。Googleの発表を紹介すると、ダッシュボードにデバイスを利用した時間が示される。App Timerでは、たとえばInsgramを指定して利用時間の上限を設定できる。設定時間を超えるとアプリはグレー表示となって起動できなくなる。Wind Down機能は「おやすみモード」で、就寝時間になるとDo Not Disturb状態になり、 デバイス自体がグレー表示となる。

PieにアップデートしてあればこのDo Not Disturbツールはすぐ使える。他のデジタル・ウェルネス機能はまずベータ登録をする必要がある。

現在はまだリリースされていない機能にSlicesがある。パイだからスライス(一切れ)になったのだろう)。これは秋に公開されるというので私も期待している。デベロッパー向けハイライト紹介によれば、Andoroidの検索バーから承認を受けたアプリ(楽曲再生や配車など)を起動できるというものだ。Googleないしアプリのパートナー側でまだ公開の準備が整っていないらしい。

と、こんなところがAndroid 9 Pieで目につく部分だ。ナイスなアップデートであることは間違いない。ただGoogleでは機械学習やAIをAndroidに組み込んだことを自慢していいるが、私にとってはさまざまな細部の改良が大いに役立っており、
快適さを増す最大の要因になっている。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+