「バドワイザーは卵を作る」食料大手が代替タンパク質産業に相次いで参入、投資額も急増

企業は代替タンパク質市場の潜在性に急速に目覚めつつある。米国最大の消費者ブランドが引き続き投資し、消費者がより健康的で環境的にも持続可能な食品へ移行するのをサポートしているスタートアップと提携している。

アースウィーク(地球保護週間)が近づく中、先に発表された新たな提携は、古い事業を一変させる新しいテクノロジーのポテンシャルを示している。

米国時間4月21日にAB InBevの投資・イノベーション部門であるニューヨーク拠点のZX Venturesは、卵の代用品の「醸造」などを含むタンパク質生産テクノロジーのデベロッパーClara Foodsと提携すると明らかにした。バドワイザーのメーカーであるAB InBevは飲用するというよりお湯で茹でるタイプの液体を作るための体制を整えている。

その場合、卵が孵化するかどうかは未来の消費者であるあなた次第だ。

「当初からClaraは世界の非動物性タンパク質へのトランジッションを加速させることをミッションとしてきました。まずは卵から始めています。毎年1兆個超の卵が世界で消費されていて、企業の放し飼いの約束は十分ではありません」とClara Foodsの創業者でCEOのArturo Elizondo(アルトゥーロ・エリゾンド)氏は話した。「地球に優しく、よりおいしい未来の実現に向けて協業するために、世界最大の発酵の会社と提携することに興奮しています。この提携は当社のビジョンの実現に向け大きなステップです」。

2020年の代替タンパク質への投資規模の拡大を示すグラフ。2019年から2020年にかけて代替タンパク質への投資は10億ドル(約1080億円)から30億ドル(約3240億円)に急増し、中でも植物性タンパク質の製品への投資が大半を占めた(画像クレジット:Good Food Institute)

提携はマーケット主導という理由がある。両社が引用した研究によると、高品質タンパク質への需要は2050年までに98%増えると予想されている。

「増大する食料需要に応えるには、新旧のいくつかの産業にまたがるコラボレーションとイノベーションの上に構築された画期的なソリューションを必要とします。昔ながらの自然な発酵プロセスは、グローバルの食料システムにおける未来の需要に応えるのをサポートするために、さらに利用することができます」とBioBrewの創業者でCEOのPatrick O’Riordan(パトリック・オリオーダン)氏は述べた。BioBrewはビール以外のものに大規模の発酵と下流処理の専門性を応用しようとしているZX Venturesの新規事業だ。「スケーラブルで持続可能、そして採算の合う方法でClara Foodsとともに高機能な非動物性タンパク質開発を開拓するのを楽しみにしています」。

一方、似たようなことがセントルイスでも起こっている。そこではシリアル大企業のPostもさまざまな代替肉を作っているスタートアップHungry Planetに投資している。

Kellogg(ケロッグ)のシリアル帝国を立ち上げたのと同じ植物ベースの食料と精神的核となるものとしての健康にフォーカスしているセブンスデー・アドベンチスト(安息日再臨派)によって組織されたPostは長らく、グレープナッツシリアルや他の穀物ベースの朝食の商品でコーンフレーク大企業のライバルだった。

そして今、PostはHungry Planetの2500万ドル(約27億円)の投資をリードした。Hungry Planetはクラブケーキ、ラム肉バーガー、鶏肉、豚肉、牛肉の肉ベースの代替品の提供を目指している。その他の投資家にはシンガポール拠点の環境に配慮したホールディングカンパーニーTrirecがある。

業界の動向を追跡しているGood Food Instituteによると、代替タンパク質はビッグビジネスだ。2020年、タンパク質の代替ソースのテクノロジー開発を手がけている企業や商業化している企業は30億ドル(約3240億円)超を調達した。

「2020年に代替タンパク質産業は前年よりもかなり多くの資金を調達し、レジリエンスだけでなく加速を示しました」とGFI法人エンゲージメントのディレクターであるCaroline Bushnell(キャロライン・ブッシュネル)氏は声明で述べた。「こうした資金流入と今後まだ行われる資金調達は、かなり必要とされているR&Dと、これらの企業がスケール展開してより多くの消費者に美味しくて手頃な値段、そして入手しやすい代替タンパク質の製品を提供できるようにする生産能力の構築を促進するでしょう」。

これは、森林破壊を止め、畜産関連の温室効果ガスの排出を減らすために、これまでよりも植物ベースの代替品を動物性タンパク質にもたらそうとする動きの一環だ。

「人類は我々が抱える問題の規模と緊急性に対応するソリューションを必要としています」とエリゾンド氏は述べた。

カテゴリー:フードテック
タグ:ZX VenturesClara Foodsタンパク質代替肉代替卵Anheuser-Busch InBev持続可能性

画像クレジット:plus49/Construction Photography/Avalon/Getty Images / Getty Images

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(文:Jonathan Shieber、翻訳:Nariko Mizoguchi

世界最大級の消費財・食品メーカーたちが持続可能サプライチェーンアクセラレーターに参加

世界最大級の消費財・食品メーカーたちが、ビールのBudweiser(バドワイザー)の親会社であるAnheuser-Busch InBev(AB InBev、アンハイザー・ブッシュ・インベブ)が運営する投資プログラムへの参加を決定した。この投資プログラムは、サプライチェーンの持続可能性を追求するアーリーステージの企業を支援するためのものだ。

アースデイ(4月22日)にタイミングを合わせて行われた今回の発表は、企業や消費者が、リサイクルプログラムがプラスチック廃棄物に関連する問題に適切に対処できておらず、そして現在の気候緊急事態に影響を与えている消費者の行動や工業製品の生産と流通に関わる幅広い問題に直面している中で行われた。

この「100+ Accelerator」という名のAB InBevのプログラムは、ウォーター・スチュワードシップ、循環型経済、持続可能な農業、気候変動対策における、サプライチェーンの課題を解決することを目的として、2018年に開始された。これらの課題は、AB InBevの新しいパートナーであるColgate-Palmolive(コルゲート・パルモリーブ)、Coca-Cola(コカ・コーラ)、Unilever(ユニリーバ)たちも熟知している。

声明によれば、アクセラレーターと投資プログラムの開始以来、AB Inbevは16カ国で36社を支援してきた。支援されるスタートアップ企業たちは、その後2億ドル(約216億3000万円)以上を調達している。

このアクセラレータープログラムは、パイロットプログラムへのファンド組成を行ったり、アーリーステージの企業たちが世界のトップコンシューマーブランドの経営陣と相談できる機会を提供したりしている。

プログラム開始以来、AB InBevはスタートアップたちと協力して、リターナブルパッケージプログラムの試験運用、コロンビアの醸造所での水とエネルギーの使用量を削減するための新しい洗浄技術の導入、アフリカと南米の小規模農場への保険の提供、ブラジルでの廃棄物の回収強化、中国での電気自動車用バッテリーのリサイクル、醸造過程で発生する穀物の廃棄物をアップサイクルして、栄養価の高い新たな食材の創出などを行ってきた。

外部の投資家や規制当局からの圧力が強まる中、企業は自社の各プロセスをより持続可能なものにするための方法に注目し始めている。

長い間懸案だった、このような大手企業同士の共同イニシアチブは、ビジネスから環境に対する影響の削減に大きく貢献できる可能性はあるが、その結果は、これらの企業が小さなパイロットプログラムを超えて、ソリューションを実際に展開していく、コミットメントの深さとスピードにかかっている。

直近のアクセラレータープログラム申込期限は2021年5月31日だ。

カテゴリー:EnviroTech
タグ:Anheuser-Busch InBevサプライチェーン持続可能性循環型経済

画像クレジット:NOEL CELIS/AFP via Getty Images

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(文:Jonathan Shieber、翻訳:sako)