2億近いユーザーを抱えるBilibiliは中国のYouTubeになりつつある

中国のビデオストリーミングサイトBilibiliは、かつて若者のサブカルチャーの聖地と見なされていたが、ユーザーの高年齢化およびコンテンツの多様化により、着実にメインストリームになっていった。NASDAQに上場している同社は、第1四半期に前年同期比で70%の成長を記録し、月間アクティブユーザーは1億7200万に達した。同社は今は、TencentとBaiduが運営しているビデオサービスであるiQiyiと肩を並べている。

ユーザーの1日の滞留時間は87分間という記録的な長さになったが、それはおそらく新型コロナウイルス(COVID-19)による在宅命令が延長されたためだろう。

同四半期にTencent Videoは1億1200万のサブスクライバーを報告し、iQiyiは1億1890万を集めた。ほぼ全員が有料ユーザーだろう。対照的にBilibiliは、MAUのわずか約8%が有料ユーザーだ。

しかしBilibiliの成長要因は独特だ。Tencent VideoとiQiyiがNetflixのようにプロが制作した商業的コンテンツ中心であるのに対して、BilibiliはYouTubeのようにユーザーが作成したコンテンツが中心だ。クリエイターの数は毎月146%増えており、現在は180万で彼らが提出するコンテンツ数は毎月490万本だ。上位のクリエイターの中には、なんとCommunist Youth League of China(中国共産主義青年団)がいる。

Bilibiliはゲームやアニメファンのフォーラム、または中国版の最新のYouTubeだと思ってるかもしれないが、AlibabaとTencentがバックについてからは、1億3000万の愛国的な若者たちにもサービスを提供している。Youth LeagueはBilibiliの上位から7番目のクリエイターで、下のグラフに示すように、いいね!の数では最高だ。ここやその他の国が公認しているサイトにはウイルス関連の陰謀説が氾濫し、反アメリカ的な感情を煽っている。

Bilibiliは収益化の方法も独特だ。若いユーザーが多くてモバイルゲームのプラットフォームという性格もあるので、Q1の売上の半分はビデオゲームだ。その他の売上源は、ライブのブロードキャストにおける仮装アイテムの売上、広告収入、そしてBilibiliにショップがあるコンテンツクリエイターの売上だ。

ユーザーは順調に伸びているが、Bilibiliは今期、損失が7610万ドル(約82億円)に増えている。前年同期の2738万ドル(約29億5000万円)と比べて急激な増加だ。その原因としては、新型コロナウイルスによる商品配送の遅れが挙げられている。

しかしそれでも、同社の現金準備はSony(ソニー)からの4億ドル(約431億円)の巨額投資もあって11億3000万ドル(約1217億5000万円)と厚い。Sonyは両社間のアニメとゲームのシナジーに期待している。また、長年のライバルだったAlibabaとTencentはこのところ共同投資の事案が増えており、Bilibiliもその対象のひとつだ。

同社のCFOであるFan Xin(ファン・シン)氏は決算報告の席で「弊社のキャッシュフローはプラスであり、損失よりも大きい。全体として弊社の財務状態は健全である」と述べている。

画像クレジット:Bilibiliホームページのスクリーンショット

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Googleが10月15日にPixel 4発表へ、そのほかのハード新製品も登場か

Googleは10月15日にニューヨークで行われるイベントで次期Pixelを詳しく紹介する。同社は米国時間9月16日、メディア各社に送った招待状でそのことを確認した。GoogleはすでにPixel 4の画像や機能の詳細を公表しているが、招待状には「新しいMade by Googleがたくさん」とあるから、もっといろいろあるのだろう。

Pixel 4についてわかってることは、そのすべてだ。というか、すでに多くのことがわかっている。たとえ、GoogleのクールなSoliレーダーによる、顔認識めのアンロックやモーションコントロール。次々と出てくるリークの中には、単色単一テクスチャの背面、カメラがワイド、標準、ズームと3つあるような背面の盛り上がり、XLのOLEDディスプレイは3040×1440ドット、アニメーションとスクロールを滑らかにする90Hzモードなどがある。

unnamedGoogleが送った2019ハードウェアイベントへのアニメーションによる招待状

上部と下部のベゼルが大きいのは、今どきのスマートフォンにしては珍しい。でもGoogleは、スクリーンの中にノッチがあるよりまし、と判断したのだろう。また顔でアンロック用のSoliの技術とドットプロジェクター用には、上部にスペースが欲ほしいのだ。

そのほかの噂のハードウェアとしては、ChromeOS搭載のPixelbookやGoogle Hhiwaomeスマートスピーカーの新製品がある。11月に立ち上げたクラウドゲームサービスであるStadiaも、何かの発表があるだろう。そして、さらなるサプライズとしては、Chromecastのアップデートとか、新たに認証されたWi-Fi 6スタンダードによるGoogle Wifiがあるかも。

要するに、Pixel 4がネタとして安定しすぎていても、そのほかのサプライズがたくさんあるということだ。10月15日にはTechCrunchも頑張って、それらすべてをお伝えしよう。

関連記事: Google Pixel 4は顔認証とレーダー利用の「モーションセンス」を搭載

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ハリウッドにオープンソース団体ができてLinux Foundationと提携、アニメなどはほとんどオープンソース

今やオープンソースは至るところにあるので、あのアカデミー賞の主宰団体Academy of Motion Picture Arts and Sciencesが今日(米国時間8/10)、Linux Foundationとパートナーして、映画とメディア分野のデベロッパーのための、新しいオープンソースファウンデーションAcademy Software Foundationを発表したことも、意外ではないかもしれない。

創立メンバーには、強力なメディアおよびテクノロジー企業が顔を揃えている。それらは、Animal Logic, Blue Sky Studios, Cisco, DreamWorks, Epic Games, Google, Intel, SideFX, Walt Disney Studios, そしてWeta Digitalなどだ。

Linux FoundationのCEO Jim Zemlinはこう言っている: “オープンソースのソフトウェアは、デベロッパーやエンジニアが、映画やテレビやビデオゲームなどにおいて毎日のように、すばらしい効果やアニメーションを作ることを可能にしている。Academy Software Foundationは、このオープンソースデベロッパーのコミュニティが互いに協力し、映画や幅広いメディア産業の全域にわたって、次の大きなイノベーションの波を起こしていくための、拠点を提供する”。

Academy Software Foundationの綱領はこう述べている: “複数のプロジェクトにまたがる取り組みを調整する、神経系のようなフォーラムでありたい。ビルドとテストのための共通のインフラストラクチャを提供し、個人や組織に、オープンソースのエコシステムを前進させるための明確な参加の径路を提供したい”。

Academyの調査によると、業界の84%の企業がすでに、主にアニメーションや視覚効果のためにオープンソースのソフトウェアを使っている。また、メディア業界でオープンソースの開発の妨げになっているものは、複数の企業から成る開発チームがそれぞれ、孤立して閉鎖的になりがちなことだ、という。

Walt Disney Animation StudiosのCTO Nick Cannonはこう語る: “Academy Software Foundationが作られたことは、映画産業にとって重要でエキサイティングなステップだ。この団体は業界内のコラボレーションを増進することによって、われわれ全員の努力を共通の技術基盤の上にプールさせ、相互運用性の新しいスタンダードを産み育て、イノベーションのペースを大きくする”。

今やハリウッドでさえオープンソースとその協力的性質を前向きに受け入れようとしていることは、ソフトウェア開発の世界がここ数年間でいかに変わったかを表している。近年では、伝統的な大企業が、自分たちのソフトウェアインフラストラクチャを動かすために開発した技術が、実際には彼らの顧客に価値を届けていないことに、気づきつつある。ソフトウェア開発という分野では、お互いが企業として激しく競争していても、協力することに意義がある。その抗しがたい事実を、ハリウッドの伝統的な映画スタジオも認めざるを得なくなっている。

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ニューラルネットワークを使って、ゲームのアニメーションのぎこちなさを減らす

最近のゲームのグラフィックス精度には目を見張るが、クリエーターが表現に苦労することの一つが人間の滑らかな動きだ。本物のモーションキャプチャーデータを利用したニューラルネットワークに基づくアニメーションシステムを使えば、アバターの歩いたり走ったりジャンプする動きをもっと自然にできるかもしれない。

もちろん最近のゲームをプレイしたことのある人なら、すでに多くのゲームでスムーズな動きが実現しているのをご存知だろう ―― しかしそのためには、アニメーターたちがさまざまな動きをライブラリーから選びあらゆる場面にリンクさせる忍耐強い作業が必要だ。女性キャラクターが2階に登りながら弓を引き、さらにかがみこんだらどうなるのか?彼女が細い棒の上でバランスを取っている間に撃たれたらどうなるのか?可能性は無限にある。

エジンバラ大学とMethod Studiosの研究者が、さまざまな動きのモーションキャプチャーの部品を組み合わせる機械学習システムを作った。例えば「この方向へ行く」と入力すれば、地形を考慮して、例えば駆け足から小さな障害物を飛び越える場面にもっとも適したアニメーションを出力する。

駆け足からジャンプへと遷移するカスタムアニメーションを作る必要はない。アルゴリズムが判断してスムーズな動きを生成し、アニメーションのタイプが切り替わる際の不快な動きはない。多くのゲームエンジンが、足の位置やアニメーションのブレンドなど間に合わせの機能を提供しているが、これはもっと本格的なものを目指す新しい方法だ。

機械学習は以前からこの分野に導入されてきたが、ビデオでも言っているように、生成されるシステムはかなり原始的だった。動きが間違っていたりアニメーションが抜けることがあり、それはどれを使えばいいのかシステムにはわからないからだった。アニメーションの状態を決めつけすぎて動きがぎこちなくなることもある。

これを避けるために研究者らは、ニューラルネットワークにフェーズ機能を追加することで、例えばジャンプの途中で歩く、といった異なるタイプのアニメーションをあやまって混ぜることを防いだ。

「われわれの方法はデータ駆動なので、キャラクターは単にジャンプのアニメーションを再生するのではなく、障害物の高さに基づいて動きを連続的に調節している」と新しい方法を説明するビデオで研究者が語った。

これをそのままでゲームに使うことはもちろんできないが、アニメーションのブレンディングや作成のもっと高度な方法を作るための出発点になるだろう。これは、アニメーターの不満が減り、キャラクターの動きはもっと自然になるという意味かもしれない。あとは、エイリアンや蜘蛛やその他の生き物など、ふだんモーションキャプチャースタジオで見かけないものはどうするかだけが問題だ。

Daniel Holden、Taku Komura(以上エジンバラ大学)、Jun Saito(Method Studios) の3名が今年のSIGGRAPHで発表する。Holdenのウェブページに詳しい情報がある。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Google、特殊効果レンダリングのZyncを、Google Cloud Platformで初のベータ公開

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Alphabet最大の子会社、Googleは、映画スタジオに同社のクラウドを使って特殊効果のレンダリングをしてもらいたい。

昨年8月、GoogleはZync買収した。スタジオや個人アーティストがクラウド上で自分の作品をレンダリングできる、ビジュアルエフェクト・レンダリングサービスだ。今日(米国時間8/11)同社は、Zyncの1次ベータを来週8月20日にGoogle Cloud Platformで公開すると発表した。

Zyncのテクノロジーは、Star Trek: Into DarknessLooperFlightなどの映画で、特殊効果のレンダリングに使用されている。

Zyncを使いたいアーティストは、今すぐベータにサインアップすれば300ドル分のCloud Platformのクレジットをもらってサービスを試すことができる。これで約100時間の無料レンダリングが可能だ。

このサービスは、Maya、Nuke、VRay、Arnold、および(近々)PixarのRendermanなどの人気ツールと一緒に使える。

「RenderManがもうすぐGoogle Cloud PlatformのZyncと統合できることを非常に喜んでいる」と、Pixar Animation StudioのRenderManビジネスディレクター、Chris Fordが今日の発表で言った。「近々統合が提供された暁には、RenderManユーザーはGoogleの驚くべきクラウドレンダレングサービスを簡単に利用できるようになり、膨大なコンピューティングパワーを手軽に使って、アニメーションやVFXの締め切りを守れるようになる」

Zyncレンダーには、コスト計算機が内蔵されているので、ユーザーは自分のレンダリング費用がどれくらいになるかを概算できる。

Googleによると、アーティストは1600基の専用コンピューティングエンジンコアを使って作業を実行できる(このコアはZyncに最適化されていると私は想像する)。ユーザーは、営業時間内にサポートを受けることもできる(応答時間4時間以内)。

GoogleがZyncを買収した時に言っていたように、多くのスタジオは既に専属のレンダーファームを持っているが、多くの会社にとって「社内にレンダーファームを作りたくても、そのリソースや意欲がないか、既存の能力を超えている」。

Googleが昨年Zyncを買収した際、サービスはAmazonのEC2サービスで使うよう最適化されていた。Googleが自社プラットフォームに載せたことは驚きではない。さらに、Zyncのホームページおよび全チュートリアルからAmazonの文字が消え、Goolge Cloud Platformに特化して説明されているのも驚くことではない。

ちなみに、AmazonとGoogleともに、自身のクラウドプラットフォームの能力を、レンダーファームとして紹介することが時折あるが、彼らに欠けているのは、スタジオがそれを簡単に使うためにソフトウェアソリューションであることは指摘しておきたい。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

イラスト制作の様子を自動的にInstagram用ビデオにまとめるSketchVid

また、面白いiOSアプリケーションが登場してきた。名前をSketchVidというものだ。描いた落書きをInstagram用のアニメーションにすることができる。

手元の写真をなぞって絵にすることもできるし、もちろん普通に絵を描くこともできる。いずれにしてもスケッチの手順をすべて記録し、そしてその描画の様子を15秒間のビデオにまとめるのだ。

自分ではJotスタイラスを持ってはいるものの、絵を描くのは得意でない。しかしSketchVidにはトレース機能も用意されていて、Crispin Gloverの絵も、なんとか本人であると認識できる程度には描写することができたように思う。

上手に描くことができたなら、SketchVidから作品を共有することができるようになっている。YouTubeではイラスト作成の様子をうつしたものが人気ジャンルのひとつとなっているし、そうした流れにのってSketchVidを使ってInstagram上でマーケティングないし教育目的などの目的で作品を公開する人も増えてきているようだ。ターゲットとなる利用者の幅は広いだろうが、とくに子供などは自分の作品が動き出すのを見てとても喜ぶのではないだろうか。

SketchVidを製作したのはトロント在住のSaeed GhaferiとArfan Chaudhryだ。あるときSaeedがArfanにスケッチを送ったのだそうだ。

「Arfanは最初、本当にSaeed本人がが描いたのだとなかなか信じなかったのです」とのこと。「そのときにひらめいたのです。イラストを描く様子を記録して、それをビデオ化すれば面白いのではないだろうか、と」。

公開するプラットフォームとしてInstagramを利用することとした。「アート分野に携わる人にも、自分の写真やビデオ作品などを公開する場としてInstagramを利用している人が多かったからです」。

他にもイラストの様子を記録するアプリケーションがある中、公開場所をInstagramに特化することで、アプリケーションの特徴を出そうとも考えたのだろう。写真をトレースする際、写真は自動的に正方形に切り取られ、またイラスト作成手順がどれだけ複雑であろうとも、ちゃんと15秒に収まるように編集してくれる。

SketchVidはiOS版が提供されていて、基本機能は無料で利用することができる。またアプリケーション内販売の機能を使って、さらに便利な描画ツールを入手することもできる。今の段階でも相当に楽しいものになっていると思うが、アニメーションのクオリティを高めるために、すぐにもアップデートする予定にしているのだとのことだ。またAndroid版も現在作成中であるとのことだった。

GhaferiとChaudhryのお気に入り作品をいくつか掲載しておこう。

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(翻訳:Maeda, H


役者の動きをリアルタイムに3Dアニメ化、MUGENUPは「和製Pixarを目指す」

ゲームイラストのクラウドソーシングを手がけるMUGENUP。2013年3月にクラウドソーシングの受託者(クリエーター)と社内ディレクター間でのチャットやファイル、工程などを一元管理するツール「MUGENUP WORK STATION」を開発することで、約1万7000人のクリエーターで数多くの案件を管理できる体制を整えている同社だが、2014年はそのクラウドソーシングのノウハウをイラスト以外の分野に横展開をすると語っていた。

その第1弾として同社は、クラウドソーシングを使ったゲーム攻略サイト「みなゲー」を1月に公開している。こちらに関してはまだ状況は伝わってこないが、第2弾の事業が展開されている。

MUGENUPは3月24日より、ディー・エヌ・エー(DeNA)が提供するライブキャスティングサービス「Showroom」にて、ライブコミュニケーティングアニメーション 「こちら娘島高等学校ほーそお部」を開始する。配信時間は毎週月曜の午後9時から9時30分まで。

ライブコミュニケーティングアニメーションと聞くと何のことか? と思うかもしれない。これは、モーションキャプチャーや画像解析技術を組み合わせることで、役者の動きをリアルタイムに3Dアニメ化するというもの。リアルタイムにアニメ化されるので、ユーザーとのインタラクティブな会話も実現する。言葉で説明するよりも、MUGENUPが提供するイメージビデオを見てもらう方が早いだろう。なおアニメのキャラクターや3Dモデルもクラウドソーシングを使って作成しており、キャラクターの衣装変更なども素早く対応できるのだという。

「日本はクリエイティブを発信することについて力があるのに、みんなテクノロジーに目を向けない。手書きには手書きの良さがあるがそれだけではないのではないか」——MUGENUP代表取締役社長の一岡亮大氏はこう語る。

クラウドソーシングで2Dのイラストに加えて3Dデータの取り扱いもはじめていたMUGENUP。3Dデータを使ったサービスの可能性を考えている中でShowroomのリリースを知り、すぐにDeNAにコンタクトをとったのだという。「ソーシャルゲームの次の“波”は動画しかないと思っていた。今がその潮目。動画で、課金の機能を持っているプラットフォームでコンテンツプロバイダーになろうと思った。テクノロジーで和製Pixarを目指す」(一岡氏)

システムに関しては詳細は公開されていないが、ゲームエンジンのUnityを利用し、モーションセンサーなどもバルク品などを組み合わせているとのことで、「制作期間は企画から2カ月ほど。スピードは通常のアニメーションの3分の1、費用は10分の1程度になる」(MUGENUP執行役員CCO エンターテイメント事業部部長の西山理彦氏)だという。

最近では、YouTubeで自ら企画、出演した動画を配信する「YouTuber」と呼ばれる人たちも登場しており、uuumのように、そのマネジメントを手がけるスタートアップも登場している。一岡氏はライブコミュニケーティングアニメーションがYouTuberらと本質的には同じとしながらも、「属人的ではなく、企画からコンテンツを作れるので広がりがある。さらに言えばキャラクターなのでリスクコントロールもしやすいと考えている」と強みを語る。すでにタイアップやOEMの打診などもあるという。

マネタイズについては未定だが、3Dデータをフィギュア化することなども含めて「ファンの数に応じた回収方法はあると思っている」(一岡氏)という。制作を手がける西山氏も「艦これ(艦隊これくしょん〜艦これ〜:DMM.comとKADOKAWA GAMESのブラウザゲーム)のようにネット発のIPが出てきた。まずはやってみる、やり続ける」と語っている。

実は僕は、この取材にあわせて少しだけではあるが、テスト配信を見る機会を得た。3Dアニメの動きと、役者の会話は見事に一致して配信されている様には大いに驚いた。時間のある方は、まず今夜その配信を見てみてはいかがだろうか。

左からMUGENUP代表取締役社長の一岡亮大氏と執行役員CCO エンターテイメント事業部部長の西山理彦氏


GIFアニメよりも高品質なPNGアニメAPNG, そのエディタツールがKickstarterで資金募集中

GIFは今でも大健在で、ありとあらゆるアプリや、ミームや、職場厳禁のTumblr的エロ画像やらにあふれているから、この、ビットの集合で表した画像フォーマットが今年で25歳以上になると知ると、けっこう驚きだ。でも新しいフォーマットに比べると、とくにアニメGIFは、パレットの制約や画像の歪みなどが、その年齢を感じさせる。そこで、今Kickstarterで資金を募集しているapngasmは、PNGをアニメ化したAPNG(animated PNG)フォーマットと、それをアプリケーションがサポートするためのデベロッパライブラリを提案している。基本的な原理はアニメGIFと同じだが、PNG画像の色質、画質、そして自由性を具有する。ただし現状では、ほとんどのWebサイトがサポートしていないし、PNGを開発した連中からの公式の賛助もない、という大きな問題がある。

APNGを作るための画像エディタの名がapngasmで、その名はMax Stepinが開発したAPNG Assemblerに由来している。

そのStepiは曰く、“GIFの制約に不満な人は多い。色は256色しかないし、透明度は1ビット、それは1980年代にはよくても、今は2013年だ。もっと良い規格に、みんなが合意してもよい頃合いではないか”。

APNGの普及努力がドンキホーテ的なのは、PNGを作った人たちからの公式のサポートがないことが大きい。APNGは2004年にMozillaが作ったが、それは、サポートするコードが複雑膨大になりがちなMNG(multiple-image network graphics)アニメーションを彼らが捨てた直後だった。しかしPNGグループはその後も、APNGを標準規格にすることを拒んでMNGに固執した。その理由は、pngという一つのファイルタイプでスチールとアニメの両方があるのは良くない、と思われたからだ。このブログ記事には、APNGをめぐる複雑な経緯が簡潔に書かれている。筆者のThomas Boutellは、昔PNGの仕様を書いた人で、彼自身はAPNGを支持している。

でも、apngasmをKickstarterに載せた人たちは、アニメGIFの制約に不満を抱いている人の多くがAPNGを支持するだろう、と考えている。そこで彼らは二つの戦略を推進しようとしている。ひとつは、apngasmをもっと使いやすくして、アニメGIFを作るよりも簡単にAPNGファイルを作れるようにすること。もう一つは、デベロッパたちが自分のサイトでAPNGを容易にサポートできるためのオープンソースのソフトウェアツールを作ること。APNGのサポートはFirefoxとOperaにあり、ChromeはAPNG extensionでサポートされる。APNGとアニメGIFの違いが、このページにデモされている。

apngasmをKickstarterに出したデベロッパRei Kagetsuki(影月零)は、絵文字プロジェクトPhantom Openのアニメ画像の配布方法を探していたときにAPNGの支持者になった。Phantom Openの人たちは最初、GIFコンバータを書いたが、画質が悪すぎると感じた。SVGによるアニメも検討したが、十分なサポートがない、と判断した。しかしKagetsukiは、APNGの画質とその背景談に魅せられた。

“これが標準規格にならずに、それどころか反対論がある、それが信じられないね。ぼくは、絶対的に支持するよ”、とKagetsukiは言ってる。

PNGグループのメンバーの多くに拒否されたAPNGは、それでも“はみ出し規格”として生き残った。Redditに集まる連中に人気のある画像ホスティングサービスImgurはAPNGをサポートしており、それに今Kagetsukiが住んでいる日本では、多くのアーチストたちがこのフォーマットを使って作品を作り、それらをPixivで共有している。

Kagetsukiも、APNGの本格普及は難しい、と認めている。GIFに慣れているユーザが、あまりにも多いからだ。Kickstarterも、apngasmのサンプルAPNG画像をふつうのPNGに変えてしまったので、オフサイトのサンプルサイトのリンクを載せるしかなかった。でもKagetsukiは、FacebookやTwitterがサポートしたらAPNGが大普及する、と思っている。

“何でもそうだけど、普及を阻む最大の原因が、ツールがないことだ。apngasmでは、ユーザがコンテンツを作れるためのツールを提供する。APNGの制作がうまく行かなかったときのアドバイスもする。apngasmのライブラリを利用すれば、実装も容易なはずだ”、とKagetsukiは言う。

彼によると、APNGはGIFをリプレースするのが狙いではない。デベロッパやWebサイトデザイナーやアーチストたちの手元にあるアニメーション用ツールが増えてより充実すればそれでいいんだ、と。

“GIFのレトロな感じは悪くない。昔のゲームのピクセルアートみたいに、かわいいし、懐かしさもある。だからAPNGが普及しても、GIFの魅力は生き残るだろう”。

apngasmのKickstarterページはすでに最初の目標5000ドルを達成し、今は7500ドルの拡張を狙っている。そのお金で、PhotoshopのアニメツールからAPNGにエクスポートできるプラグインを作りたいと考えている。10ドル以上出資した人はそのプラグインのライセンスが得られる。今後もAPNGのツールが売れれば売れるほど、開発のための獲得資金は増える。資金募集の締切りは9月8日だ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))