OCR技術を提供するオーストリアのAnylineが約13億円を調達し米国進出

オーストリアのウィーンを拠点とし、ウェブサイトやアプリにOCR機能を組み込む開発者向け技術を提供するAnylineが、シリーズAで1200万ドル(約13億2000万円)を調達した。同社は米国進出の計画も明らかにした。

このラウンドを主導したのはベルリンを拠点とするVCファームのProject Aで、これまでもAnyline投資してきたJohann ‘Hansi’ Hansmann(ヨハン・ハンシ・ハンスマン)氏、Senovo、Gernot Langes-Swarovski Foundationも参加した。

Anylineは2013年に設立された。同社によれば大手のテクノロジーベンダーがまだ提供していない専門的なOCRソリューションを提供しているという。それにより同社はキヤノン、ポルシェ、ドイツ電力大手のE.ON、各国政府や国連といった国際的なクライアントを抱えている。

AnylineのOCR機能は最新のウェブサイトやアプリに組み込むことが可能だ。企業はこの機能を使って、一般的なモバイルデバイスで身分証明書、シリアル番号、公共料金のメーターといったさまざまな「アナログ」情報をスキャンし、収集できるようになる。

こうしたアプローチの利点は言うまでもない。実用的なOCR技術の活用で、企業はミスが発生しがちなデータの手入力をなくし、時間とリソースを大幅に節約できる。

顧客側も、OCRでデビットカードをアプリに追加したり検針結果を送信できれば、何桁もある数字をスマートフォンで手入力するよりずっと楽だ。

Anylineは、新たな資金は主に従業員数を2倍にし、2020年前半に初の米国本社をボストンに開設するために使う予定だという。これにより、モバイルOCRソリューションを海外の新たなマーケットやスマートマニュファクチャリング、本人確認サービス、フィンテックといった新しい業界に広げていくことができると同社はいう。

AnylineのCEOで共同創業者のLukas Kinigadner(ルーカス・キニガードナー)氏は発表の中で次のように述べている。「企業がますますバーチャルの世界に移行していく中で、これまではアナログだったメディアをデジタル化する高度なテクノロジーの利用は不可欠だ。世界中の企業で、手入力によるエラーと非効率な作業とフラストレーションをなくすためにヨーロッパ生まれのテクノロジーが力になっていることを、我々は誇りに思う。AnylineはモバイルOCRのマーケットリーダーとして、こうした課題に取り組むべき企業のテクノロジーパートナーになるつもりだ」。

米国進出に関しては、同社はAnyline Inc.を設立し、Cognex Corporationのグローバルセールス責任者だったBryan Boatner(ブライアン・ボートナー)氏をセールスおよび事業開発担当バイスプレジデントとして迎えた。

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(翻訳:Kaori Koyama)

スマホアプリにOCR機能を持たせるためのSDKを提供するAnylineが€1.5Mを調達、拡張現実など可能性は無限

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オーストリアのAnylineは、モバイルのOCR技術をデベロッパーに提供して、アプリにテキスト認識機能を持たせられるようにする。その同社がこのほど、150万ユーロの資金を調達した。投資家たちの顔ぶれが、おもしろい。

まず、エンジェル投資家のJohann ‘Hansi’ Hansmann、busuuの協同ファウンダーBernhard Niesner、Lukas Püsböck、それから合衆国のVC iSeed Venturesだ。しかしいちばん目立つのは、ラウンドをリードしたのがGernot Langes-Swarovskiグループであることだ。

ある投資家が、いみじくも言った: “Svarovski家がラウンドをリードしたということは、やっと‘古い’お金がオーストリアのスタートアップに来るようになったということさ”。

Anyline独自の光学式文字読み取り(Optical Character Recognition, OCR)技術は、スマートフォンのカメラを使ってどんなテキストでも正確にスキャンし、文字、数字、それにプログラムのコードも認識する。協同ファウンダーでCEOのLukas Kinigadnerが言うには、困ってる人たちが多いと思ってこのシステムを作った、と。

“数字の入力も、スマートフォンの上だと、よく間違えるだろ。10桁の長い数なら、みんな間違えるよ。何度も、タイプしなければならない。でも元の数をOCRで読み取れば、一発で正確な入力ができるからね”、と彼は語る。

AnylineのSDKを使えば、アプリケーションはバーコードやパスポートなどもスキャンできる。電気のメーターや(上図)、製品のシリアルナンバー、など、物の上の文字や数字も読める。仕事を楽にしてくれる、便利な用途はいろいろありそうだ。

“今は、いろんな業務をデジタル化しようとしている企業からの引き合いが多い。みんな、サードパーティ製の、信頼できるソフトウェアを使うつもりでいる”、とKinigadnerは述べる。

“ということは、うちのターゲットはソフトウェアデベロッパーであるべきだ。スクラブルゲームなどでデモを見せるとデベロッパーたちは面白がって興味を持つし、Anylineのいろんな可能性を、彼らに教育できるね”。

同社自身が大きな可能性として考えているのは、スマートグラス(電脳眼鏡)にOCR機能を持たせることや、年内に予定している拡張現実(Augmented Reality, AR)への応用だ。そのためのパートナーは、ARプラグインの技術を持つwikitude、ダウンロード可能なスマートグラスSDKを提供しているEpson Moverio Pro、そして流通を担当してくれるKonica Minoltaだ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa