GIFアニメよりも高品質なPNGアニメAPNG, そのエディタツールがKickstarterで資金募集中

GIFは今でも大健在で、ありとあらゆるアプリや、ミームや、職場厳禁のTumblr的エロ画像やらにあふれているから、この、ビットの集合で表した画像フォーマットが今年で25歳以上になると知ると、けっこう驚きだ。でも新しいフォーマットに比べると、とくにアニメGIFは、パレットの制約や画像の歪みなどが、その年齢を感じさせる。そこで、今Kickstarterで資金を募集しているapngasmは、PNGをアニメ化したAPNG(animated PNG)フォーマットと、それをアプリケーションがサポートするためのデベロッパライブラリを提案している。基本的な原理はアニメGIFと同じだが、PNG画像の色質、画質、そして自由性を具有する。ただし現状では、ほとんどのWebサイトがサポートしていないし、PNGを開発した連中からの公式の賛助もない、という大きな問題がある。

APNGを作るための画像エディタの名がapngasmで、その名はMax Stepinが開発したAPNG Assemblerに由来している。

そのStepiは曰く、“GIFの制約に不満な人は多い。色は256色しかないし、透明度は1ビット、それは1980年代にはよくても、今は2013年だ。もっと良い規格に、みんなが合意してもよい頃合いではないか”。

APNGの普及努力がドンキホーテ的なのは、PNGを作った人たちからの公式のサポートがないことが大きい。APNGは2004年にMozillaが作ったが、それは、サポートするコードが複雑膨大になりがちなMNG(multiple-image network graphics)アニメーションを彼らが捨てた直後だった。しかしPNGグループはその後も、APNGを標準規格にすることを拒んでMNGに固執した。その理由は、pngという一つのファイルタイプでスチールとアニメの両方があるのは良くない、と思われたからだ。このブログ記事には、APNGをめぐる複雑な経緯が簡潔に書かれている。筆者のThomas Boutellは、昔PNGの仕様を書いた人で、彼自身はAPNGを支持している。

でも、apngasmをKickstarterに載せた人たちは、アニメGIFの制約に不満を抱いている人の多くがAPNGを支持するだろう、と考えている。そこで彼らは二つの戦略を推進しようとしている。ひとつは、apngasmをもっと使いやすくして、アニメGIFを作るよりも簡単にAPNGファイルを作れるようにすること。もう一つは、デベロッパたちが自分のサイトでAPNGを容易にサポートできるためのオープンソースのソフトウェアツールを作ること。APNGのサポートはFirefoxとOperaにあり、ChromeはAPNG extensionでサポートされる。APNGとアニメGIFの違いが、このページにデモされている。

apngasmをKickstarterに出したデベロッパRei Kagetsuki(影月零)は、絵文字プロジェクトPhantom Openのアニメ画像の配布方法を探していたときにAPNGの支持者になった。Phantom Openの人たちは最初、GIFコンバータを書いたが、画質が悪すぎると感じた。SVGによるアニメも検討したが、十分なサポートがない、と判断した。しかしKagetsukiは、APNGの画質とその背景談に魅せられた。

“これが標準規格にならずに、それどころか反対論がある、それが信じられないね。ぼくは、絶対的に支持するよ”、とKagetsukiは言ってる。

PNGグループのメンバーの多くに拒否されたAPNGは、それでも“はみ出し規格”として生き残った。Redditに集まる連中に人気のある画像ホスティングサービスImgurはAPNGをサポートしており、それに今Kagetsukiが住んでいる日本では、多くのアーチストたちがこのフォーマットを使って作品を作り、それらをPixivで共有している。

Kagetsukiも、APNGの本格普及は難しい、と認めている。GIFに慣れているユーザが、あまりにも多いからだ。Kickstarterも、apngasmのサンプルAPNG画像をふつうのPNGに変えてしまったので、オフサイトのサンプルサイトのリンクを載せるしかなかった。でもKagetsukiは、FacebookやTwitterがサポートしたらAPNGが大普及する、と思っている。

“何でもそうだけど、普及を阻む最大の原因が、ツールがないことだ。apngasmでは、ユーザがコンテンツを作れるためのツールを提供する。APNGの制作がうまく行かなかったときのアドバイスもする。apngasmのライブラリを利用すれば、実装も容易なはずだ”、とKagetsukiは言う。

彼によると、APNGはGIFをリプレースするのが狙いではない。デベロッパやWebサイトデザイナーやアーチストたちの手元にあるアニメーション用ツールが増えてより充実すればそれでいいんだ、と。

“GIFのレトロな感じは悪くない。昔のゲームのピクセルアートみたいに、かわいいし、懐かしさもある。だからAPNGが普及しても、GIFの魅力は生き残るだろう”。

apngasmのKickstarterページはすでに最初の目標5000ドルを達成し、今は7500ドルの拡張を狙っている。そのお金で、PhotoshopのアニメツールからAPNGにエクスポートできるプラグインを作りたいと考えている。10ドル以上出資した人はそのプラグインのライセンスが得られる。今後もAPNGのツールが売れれば売れるほど、開発のための獲得資金は増える。資金募集の締切りは9月8日だ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))