モバイル開発プラットホームAppceleratorが高度なAPIアグリゲータSinglyを買収, いよいよ業界の地固め期に

モバイル開発のためのSaaSプラットホームAppcelerator(開発ツールTitaniumなども提供)が、Webとモバイルのアプリケーション開発においてサードパーティサービス(各種API呼び出し)を管理するプラットホームSingly買収した。買収の金額条件などは公表されていない。Singlyは、同社のAppFabricサービスとDataFabricサービスをAppcelerator PlatformおよびTitaniumに統合する作業をただちに開始する。

Singlyは3年前に創業され、昨年12月に公開ベータに入った。本誌のSarah Perezは当時、Singlyは(アプリが呼び出す)サードパーティのサービスでユーザを認証したり、いろんなソーシャルネットワークやそのほかのサービスからデータ(フレンドリスト、写真、プロファイルなど)を取り込んだりするコードを、簡単にはやく書けるようにする、と紹介していた。アプリケーションの中で、ユーザが複数の異なるソーシャルネットワークで共有することも、可能にする。こういう、複数サービス横断型の総合API管理デベロッパサービスのことを、同社は“app fabric(アプリケーションの織物)”と呼んでいた。Singlyはほかにも、データのシンク、ストレージ、データの重複排除、データのクェリとフィルタリング、などの便宜をデベロッパに提供する。

SinglyのファウンダJason Cavnarは、それまでソーシャルリーダー(reader)のNsyghtにいた。Jeremie Millerは、インスタントメッセージングのオープンソースプロトコルJabber/XMPPの発明者として有名だ。そしてもう一人のファウンダが、Simon Murtha-Smithだ。

APIアナリストのKin Laneにメールでインタビューしたら、こう言った: “いろんな有力APIを利用したアプリケーションを書くとき、それらのAPIのユーザ認証とか統合といった面倒な部分を、全部Singlyが面倒見てくれる。面倒なだけでなく、各APIごとにユニークなoAuthとAPIエンドポイントをバランス良くナビゲートするのが難しい。今度の買収でSinglyのファンが増えるだけでなく、開発プラットホームとしてのAppceleratorの魅力も高まる。APIアグリゲータはほかにも数社あるが、この方面で(Singlyのファウンダ)Jeremie Millerの専門知識・技能にかなう者はいない”。

Singlyがデベロッパたちの注目を浴びているのも、その血筋の良さと、技術に対する深い理解、そしてオープンソースやコミュニティに対する情熱のためだ。その姿勢は、合衆国の主要都市を巡回して行われるAPIs&IPAsツアーにも表れている。同社のブログによると、そのイベントはミートアップでもカンファレンスでもハッカソンでもなく、とにかく、楽しい時間を過ごすことだ、という。同社は各都市の地元のテク企業とパートナーし、地元スタートアップになじみのバーを選び、テクコミュニティを惹きつけるためにイベントを宣伝する。まさに、デベロッパマーケティングの王道だ。

この二社の合体は、API管理という業界分野における一つの節目だ。これまでの数か月で、IntelがMasheryを買収CAがLayer 7を買収、そして著名なAPIデータベースProgrammable WebをMulesoftが買収するなど、業界の再編成が激しく進んでいた。Appcelerator + Singlyは、その総仕上げだ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))