Apple News、初のデイリーローカルニュースレターをベイエリアの読者向けに配信開始

Apple News(アップル・ニュース)は、初のデイリーローカルニュースレターをベイエリア向けに導入した。他の都市への提供拡大も積極的に検討している。ベイエリアのデイリーローカルニュースレターは、日刊の地方紙を思わせるもので、地元ニュース、スポーツ、政治、食事などの分野にわたって主な最新ニュースを掲載している。これらの記事はSan Francisco Chronicle(サンフランシスコ・クロニクル)、SF Gate(SFゲート)、Eater SF(イーターSF)、KQED、The Oaklandside(オークランドサイド)など、数多くの出版物から編集されたものだ。

このニュースレターに掲載される記事はすべて、アルゴリズムによって選択されるのではなく、Apple Newsの編集者によって監修されている。これは、クリックベイトのような価値の低いコンテンツの再循環を減らすためだ。Apple Newsは、このベイエリア向けニュースレターを、地域における1日の終わりのダイジェストとして、注目すべきニュースや身の回りで起こっていることに関する情報を伝えるものだと考えている。デイリーローカルニュースレターは、より多くの読者に全米のニュースを配信するApple Newsのデイリーニュースレターに追加される。

Twitter(ツイッター)のRevue(レヴュー)買収や、Facebook(フェイスブック)のニュースレタープラットフォーム「Bulletin(ブレティン)」など、多くのテクノロジー系企業がニュースレターをサービスの一環として追加している時期に、アップルはこのサービスを開始した。ニュースレタープラットフォームのトップ企業であるSubstack(サブスタック)がシリーズBの時点で6億5000万ドル(約743億円)の評価を受けたことでも、旧来型のニュースメディアの市場規模が大きいことがわかる。これには、新聞社のウェブサイトの使い勝手が低下していることも、少なくとも部分的な原因になっている。

もしアップルがより多くのデイリーローカルニュースレターを展開することになれば、いくつかの市場から選ばれることになるだろう。現在、Apple Newsはサンフランシスコ、ベイエリア、ニューヨーク、ヒューストン、ロサンゼルス、サンディエゴ、サクラメント、マイアミ、シャーロット、サンアントニオ、ワシントンD.C.という11の市場でローカルニュースを提供している。アップルは、今後さらに多くの都市でローカルニュース機能を開始する予定だと述べている。

アップルがローカルニュース機能に力を入れるということは、Flipboard(フリップボード)やSmartNews(スマートニュース)のような、米国の何千もの都市でローカルニュースを提供している他のニュースアグリゲーターサービスとのさらなる競争に、目を向けていることを示している。

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画像クレジット:TechCrunch

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(文:Aisha Malik、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

Apple News、さらに米国の3都市でローカルニュース提供開始

Apple Newsは、ローカルニュースの対象地域をシャーロットとマイアミとワシントンD.C.に広げた。ローカルニュースのこの拡大によってユーザーは「Axios Charlotte」「Charlotte Observer」「Eater Miami」「Miami Herald」「DCist」「Washingtonian」「Washington Post」などのメディアにアクセスできるようになる。


ローカルニュースはApple Newsの編集者たちが整理・選択し、レストランの開店や不動産価格の動向、重要な政策決定など、多様な話題を扱う。

Apple Newsが選択整理されたローカルニュースを最初に立ち上げたのは、2020年のベイエリアとヒューストン、ロサンゼルス、ニューヨークそしてサンフランシスコだった。そして2021年前半には、サクラメントやサンアントニオ、サンディエゴなどが追加された。

Appleによると、今後もローカルニュースの対象都市は増えていく。明らかにこの巨大テクノロジー企業は、FlipboardSmartNewsといったすでに何千もの米国の都市をカバーする他のニューズアグリゲーターとさらに競合していくつもりだ。

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Apple Newsのローカルへの拡張は、AppleがFitness+と同社のApple One Premierのサブスクリプションのバンドルを11月3日にさらに17カ国(オーストリア、ブラジル、コロンビア、フランス、ドイツ、インドネシア、イタリア、マレーシア、メキシコ、ポルトガル、ロシア、サウジアラビア、スペイン、スイス、アラブ首長国連邦)に拡張していくタイミングで行われた。

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(文:Aisha Malik、翻訳:Hiroshi Iwatani)

アップルがApple Newsを提供するニュースパブリッシャーのアプリ内購入の手数料を引き下げ

米国時間2021年8月26日、Apple(アップル)は、Apple News(アップルニュース)アプリに参加し、一定の条件を満たすサブスクリプション制の報道機関に対し、App Store(アップストア)で認定された自社アプリ内での購入にかかる手数料を15%に引き下げられる、新しいプログラムの開始を発表した。通常、Appleのサブスクリプションベースのアプリケーションのモデルでは、App Storeにおける最初の1年間は30%の標準手数料率が適用され、2年目には15%に下がる。しかし、同日発表されたAppleの新しいNews Partner Program(ニュースパートナープログラム)では、プログラムに参加する報道機関の手数料は初日から15%になる。

ただし、このプログラムへの参加条件には、Appleにとって有利ないくつかの注意事項がある。参加資格を得るためには、報道機関はApple Newsでのプレゼンスを維持し、コンテンツをApple News Format(アップルニュースフォーマット、ANF)で提供しなければならない。ANFとは、Mac(マック)およびiPhone(アイフォン)などのAppleのモバイルデバイス用に最適化されたJavaScript Object Notation(JSON)形式のことで、Apple Newsの記事を作成するために使用される。通常、報道機関のウェブサイトやCMS(コンテンツマネジメントシステム)にあるニュース記事を、Apple NewsがサポートするJSONフォーマットに変換するためには、ちょっとした設定が必要になる。WordPress(ワードプレス)やその他の主要なCMSでは、そのプロセスを容易にするためのプラグインが用意されている。

一方、既存のApple Newsの4つの市場(米国、英国、オーストラリア、カナダ)以外に本社を置く報道機関は、代わりにRSSフィードをAppleに提供することで、プログラムへの参加資格を満たすことができる。

App Storeにおいて15%の手数料が適用されるパートナーアプリは「プロが執筆したオリジナル」のニュースコンテンツ配信に使用されなければならず、Appleのアプリ内購入システムを使用して自動更新可能なサブスクリプションを提供する必要がある。

画像クレジット:Apple

報道機関がApple Newsへの接続を確立するためには、ある程度の初期作業が必要だが、ほとんどの主要な報道機関がすでにAppleのプラットフォームに参加している点は注目される。つまり、それらの報道機関は、自社アプリにかかる手数料削減のために、これまでに加えて作業をする必要はない。しかし、このプログラムは、報道機関の広範なビジネスにおける財務的な効果を高めることから、Apple Newsのエコシステムに継続して参加することを後押しする働きもある。

この点については、報道機関の間でも意見がわかれるようだ。付帯条件なしでApp Store手数料の減額を望む報道機関もあるだろう。

一部の報道機関では、Apple Newsのエコシステムに縛られることで、自身のビジネスに対するコントロールを失ってしまうのではないかと心配しているところもある。例えば2020年、New York Times(ニューヨーク・タイムズ)は、Appleが同社が望むような読者との直接的な関係を認めないため、読者を同社のアプリやウェブサイトに誘導したいとして、Apple Newsとの提携を解消すると発表した。

しかしAppleは、報道機関のビジネスを邪魔するものではないと主張するだろう。同社は、報道機関がコンテンツを収益化するペイウォールの仕組みを提供し、加えて販売した広告から得られる広告収入を100%確保できるようにしている(もし、すべてを売り切れない場合や、同社に販売を代行してもらいたい場合は、同社に手数料を払う代わりに広告収入の70%を確保する)。さらに、Apple News+(アップルニュースプラス)サブスクリプションサービスの場合、サブスクリプション収入の分配率ははるかに高いが、これは「ボーナス的な収入」だと主張することもできる。なぜなら、報道機関自身が獲得できなかった顧客に対して、Appleがサービスを販売するからだ。

Appleの新しいNews Partner Programの開始は、AppleがApp Storeビジネスをどのように管理しているかについて規制当局監視しているで行われた。最近では、米国および韓国などの主要なApp Store市場において、反競争的な問題を解決することを目的とした法案が提出されている。

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このような市場の変化を察知したAppleは、すでにApp Storeの手数料を調整することで、Epic Games(エピックゲームズ)との間で係争中の訴訟のような反トラスト法違反の苦情や訴訟から身を守る対策を講じていた。2020年、AppleはApp Store Small Business Program(アップストア・スモールビジネスプログラム)を開始し、アプリ内購入の手数料を30%から15%に引き下げたが、これは収益が100万ドル(約1億1000万円)までの開発者に限られていた。

このプログラムは小規模な報道機関の助けにはなったかもしれないが、一部の大手報道機関がまだ不満を持っていたことは明らかだった。2020年11月に小規模ビジネス向けの手数料引き下げが発表された後、AP(エーピー)、New York Times、NPR(エヌピーアール)、ESPN(イーエスピーエヌ)、Vox(ヴォックス)、Washington Post(ワシントン・ポスト)、Meredith(メレディス)、Bloomberg(ブルームバーグ)、NBCU(エヌビーシーユー)、Financial Times(フィナンシャル・タイムズ)などを代表とする報道機関の業界団体「Digital Content Next(デジタル・コンテンツ・ネクスト、DCN)」は、その翌月に権利擁護団体でありロビー組織である「Coalition for App Fairness(アプリ公平性のための連合、CAF)」に参加した。

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これらの報道機関は、以前からApple CEOのTim Cook(ティム・クック)氏に手数料の引き下げを求める書簡を送っていたが、収益の分配については、分配額の大きさ以外にも不満を持っていた。サブスクリプションについては、アプリ内購入としてAppleのサービスの利用を強いられることも望んでおらず、この「Apple税」によって消費者向けの価格を上げざるを得ないとしている。

これらの報道機関が、Apple News Partner Programの開始に対して、どのような反応を示すかはまだわからない。

このプログラムは、App Storeの料金を下げる方法を提供するものではあるが、Appleのプラットフォームとそのルールに対する報道機関の広範な不満を解消するものではない。それどころか、料金の引き下げが、報道機関をAppleのエコシステムにさらに閉じ込めてしまうプログラムに結びつけられている。

また、Appleは同日、善意の意思表示として、3つの主要なメディア関連の非営利団体への支援を再開すると発表した。Common Sense Media(コモン・センス・メディア)、News Literacy Project(ニュース・リテラシー・プロジェクト)、Osservatorio Permanente Giovani-Editori(オッセルバトリオ・ペルマネンテ・ジョーバニ・エディトリ)だ。これらの非営利団体は、公平で独立したメディアリテラシープログラムを提供しており、Appleは、人々がスマートかつ積極的にニュースを読むことができるようにするという、大きな目標の実現に向けて重要な働きをしていると考えている。同社はまた、他の団体によるメディアリテラシープロジェクトについても後日発表するとしている。しかし、コミットメントの資金規模は明らかにしておらず、また、過去にこのような団体に対して提供した金額についても言及していない。

Appleのサービス担当上級副社長のEddy Cue(エディ・キュー)氏は、声明の中で「Apple Newsのお客様に、報道機関パートナーからの信頼できる情報を提供することは、当初からの優先事項だった」と述べている。そして「10年以上にわたり、Appleは、お客様が当社の製品やサービスを介してニュースコンテンツを楽しむためのさまざまな方法を提供してきた。世界数十カ国では数百のニュースアプリがApp Storeから入手できる。また、報道機関がコンテンツを紹介するためのツールを提供し、何百万人ものApple Newsユーザーにすばらしいサービスを提供するためにApple News Formatを作成した」と同氏は付け加えた。

本プログラムの詳細および申請書は、News Partner Programのウェブサイトから入手できる。

Japan編集部注:Apple Newsは本記事公開時点である2021年9月現在、日本未対応

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(文:Sarah Perez、翻訳:Dragonfly)