ご注意! 新しいiPad ProのデュアルSIMについてAppleの意図を知っておこう

2016-03-24-ipadprosim

Appleが新しい9.7インチのiPad Proを発表したとき、ひとつの技術的問題が目を引いた。Appleのサポートデスクに寄せられた質問の大半がこの問題に関するものだったという。つまりApple SIMが内蔵になったという点だ。 AppleはiPad Air 2でAppleはApple SIMを発表した。これは一般的なSIMカードの形状だが再プログラム可能だった。ユーザーはデバイス上の設定から世界に何十種類もあるキャリヤを自由に選択できた。

Appleにとっての利点は明白だ。プログラマブルSIMならどんなキャリヤとも互換性がある。無線ネットワークがデバイスのサポートする規格を採用してさえいればよい。Appleは世界中でただ1機種を発売するだけですむ。

しかし問題はApple SIMが従来のSIM同様、取り外して交換できるという点だった。一部のキャリヤはユーザーが書き換えできないようにしたプログラムしたSIMを取り付けて販売し、結果的にAir 2を自社ネットワークにロックしてしまった。そこで新しいiPad ProではSIMを内蔵させるという対策が取られたわけだ。では内蔵SIMが再プログラムされるとどんなことが起きるのかというのが大きな疑問となる。その答えは簡単にいえばこうだ。

  • Verizon版のiPad Proの場合、内蔵SIMは無効化される。VerizonのiPad Proを海外で使うには現地で利用できるキャリヤの物理的SIMカードを装着する必要がある。
  • AT&TのストアでiPad Proを買った場合、内蔵のApple SIMは有効。ただしアメリカ国内、国外ともAT&Tネットワークにロックされる。しAT&Tのストアから直接購入せず、他の経路からデバイス入手し、後でデバイス上の設定から内蔵SIMにAT&Tをプログラムした場合、アメリカ内外ともにアンロック状態となる。つまりAT&Tから買った場合はSIMはロックされ、国外で使う場合もAT&Tが定めたローミングを利用することになる。後でAT&Tを選択した場合、 内蔵SIMはロックされておらず、後でキャリヤをAT&T以外に変更することができる。
  • 他のアメリカのキャリヤはロックをかけていない。T-Mobileは安全だ。しかし日本ではキャリヤ独自のストアから購入したデバイスはそれぞれのネットワークに接続するようプログラムされている。他の日本のキャリヤに変更することはできるが、海外のキャリヤには変更できない。〔この点についてはAppleサイト参照〕。
  • AT&TとT-Mobileは内蔵のApple SIMに対応している。AT&Tのデバイスに新たにT-Mobile SIMを装着すれば内蔵SIMは上書きされ、T-Mobileが利用できるようになる。Wただし、T-MobileのSIMを抜くとAT&T接続に戻る アップデート:ユーザーはSIMを抜き差しする必要はない。どちらのキャリヤもデバイスの設定から携帯ネットワークを選択できるようになっている。

以上からは、さほどすばらしいニュースだとは感じられないかもしれない。しかし後でキャリヤを変更するユーザーにとって非常に有利な点が一つある。新しいiPad Pro 9.7インチはデュアルSIMだ。つまり内蔵のApple SIMに加えて筐体右側面〔日本版注〕にSIMスロットが設けられており 内蔵SIMがAT&Tにロックされていても他のキャリヤのSIMカードを挿入して利用できる。つまり内蔵のApple SIMのロックと関係なく、他所で購入した他のネットワークの物理的SIMカードを使うことによって、ロックを無効化できるということだ。このデバイス自体はどのキャリヤに対してもロックさせることはできない。

やっかいな問題を巧みにかわしたといえそうだ。こうしたテクニカルな話題を紹介するのは、Appleは今後発売されるデバイスでも内蔵SIMを利用する可能性が高いと考えたからだ。もちろんAppleがキャリヤを説得して自社へのロックを止めさせることができれば理想的だ。しかそのようなユートピア的夢想が簡単に実現するとは思えない。

依然としてわかりにくい話ではあるが、この説明でいくぶんなりと混乱が収まることを願っている。

〔日本版〕 新iPad Proのnano SIMカードのトレイはホームボタンを下部に縦に保持したときの右サイト(長辺)の下部にある。実機が出荷されていないので日本での対応状況にははっきりしない点もあるが、SoftBankの新iPad Proは内蔵SIMを利用せず、物理的SIMカードを挿入してSoftBankのネットワークに接続するタイプという。海外での利用などについてはAppleサイトのSIMの解説を参照。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

グローバルな出張の多いビジネスマン/ウーマンよ喜べ、日本でもApple SIMが使えるようになった

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iPadのユーザが加入キャリアを変えるためのSIMカードApple SIMが、KDDIとのパートナーにより日本でもローンチした。AppleのWebサイトによると日本語〕、このカードは日本ではKDDIのモバイルネットワークauをサポートする(出典: AppleInsider)。

適用機種はiPadのWi-Fi + Cellularモデル、Apple SIMは主に旅行者の便宜のために提供されている(今のところ世界90か国のセルラーデータプランをサポート)。多くの国がGigSkyとのパートナーシップによるもので、この企業は多くの国のデータプランを提供している。AppleがApple SIMで同社とパートナーしたのは今年の6月だ。それまではApple SIMは、AT&TやEE、Sprint、T Mobileとのパートナーシップにより、合衆国とイギリスでのみ利用できた。

Apple SIMのWebページによると、アジア太平洋地区の対応国、インド、バングラデシュ、カンボジア、日本の中で、東アジア地区は日本だけだ。最近は地球上のほとんどの国が旅行者にとって重要だが、Apple SIMの可利用性はそれらの国のキャリアとAppleとのパートナーシップの如何にかかっている。

[原文へ]。
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa)。

AT&T、Apple SIM構想を破壊。一旦AT&Tを選ぶと変更不可に

新しいiPadに採用されたApple SIMを支える構想は、実にすばらしい:1枚のSIM、複数のキャリア。キャリアを切り替えたい時は、設定画面を開いて別のを選ぶだけだ。自分のSIMを使いたければ、それも可能 ― だが、そうでなければすべてはソフトウェアを通じて行われる。SIMの差し替えも、新しいSIMの注文も、何の面倒もいらない。

しかし、これを邪魔しようとする者がいた。AT&T(他に誰がいる?)はすべてを台無しにしようとしている。、

現在Apple SIMは4社のキャリアと互換性がある:米国のT-Mobile、Sprint、およびAT&T、そして英国のEEだ(米国でVerizonが入っていないことに注意。彼らはまだこのアイデアに賛同できないようだ)。

これら4社のうち3社の間で、ユーザーは自由に切り換えて、自分のニーズにあったキャリアを見つけることができる。

しかし、AT&Tを選択するとイヤなプロンプトが表示される。「アクティベーションが完了すると、」という書き出しに続き、「このApple SIMはAT&Tでのみ利用できます。将来キャリアを変更する場合には、新しいApple SIMが必要になります」

As MacRumorsの記事によると、Appleのサポートページにはこの見苦しい一言が書かれている:

Apple SIMを使用すると、異なるキャリアの様々なプログラムが利用できます。データプランはキャリア毎に異なりました。例えば米国では、SprintまたはT-Mobileの国内向けプランを利用し、必要に応じて他のキャリアの別のプランも利用できます。iPad Air 2およびiPad mini 3でAT&Tを選択した場合、Apple SIMは同社ネットワーク専用になります。

AT&Tからは彼らがこれをやっているという確認を取ったが、私はさらに、〈なぜ〉そうしているかについて詳しい説明を求めている。まだ回答はない。

ちなみに、これが適用されるのはApple SIMが装着された状態で出荷された新しいiPadを購入した時だけだ ― これはややこしいことに、すべての新しいiPad〈ではない〉。あなたがどこで買うかによる。Appleで買うと、Apple SIMが入っている。独立リセラーで買っても、Apple SIM。しかし、例えばSprintで買うと、Spint専用SIMが付いてくる。

しかし、Apple SIMを手に入れたからには、ある一定のしくみで動き、それが〈継続する〉ことをユーザーは期待する。AT&Tが ― あるいは今後誰がやるにせよ ― 購入後にApple SIMに対してこれをやることは、本来の構想を台無しにするものだ。もしこれが、今後の変化の波に対する彼らなりの抵抗の方法だというのなら、何とも間抜けに見える。

そしてこの男を知る人ならご推察の通り、T-MobileのJohn Legere(彼も上の画像を掲載した)は勝利宣言のチャンスを掴んだ:

[@apple sim入りのIPadを見ると、@Verizonの名前はない @ATTはユーザーをロックしようとする、@sprintはエラーページが出る! @TMobileの勝利だ]

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook