Apple WatchはwatchOS 6で内蔵アプリも削除できるようになる

Apple Watchを持ってるけど要らないアプリがたくさんあるのはいやだ、という方に朗報がある。新しいオペレーティングシステムwatchOS 6が今年後半にリリースされると、Apple Watchのオーナーは、デバイスに最初からあるファーストパーティ製のアプリをこれまでよりも多く削除できる。これまで削除できなかったアラーム、タイマー、ストップウォッチ、リモコン、カメラリモコン、ラジオなどに加えて、心電計や呼吸、ノイズ、生理の周期チェックなどの健康関連アプリも消せる。

Apple Watchのオーナーは現在、アプリストアからダウンロードしたサードパーティアプリは簡単に削除できる。アプリを押したままにすると表示される「X」をタップしてもよいし、あるいはApple Watchのアプリの設定へ行って「Show on Apple Watch」をオフにする。

また、多くの内蔵アプリをiPhoneから削除できるし、そうすると、それらに対応するApple Watchのアプリも削除される。

でもiOS側に何もないWatch専用アプリ、タイマーやラジオなどは削除できない。

それが、今秋ローンチされるwatchOS 6で変わるのだ。

今週Appleはこれらの、それまで削除できなかったアプリの一覧を、アプリストアのリストで発表した(下図)。

アプリのリリース日–画像提供: Sensor Tower

これらのアプリは、ユーザーが削除できるけど、気が変わったらアプリストアから再インストールできる。削除の仕方は、これまでのサードパーティアプリと同じく、アプリを押し続けると出る「X」をタップする。

内蔵のiOSアプリやWatchOSアプリでも、削除できないのがある。心拍やメッセージなどがそうだ。

Watchのデフォルトアプリの多くが削除可能になることは、オーナーにとって好評だろう。数年前にはiOSの内蔵アプリの一部も、iOS 10のリリースで削除可能になり、やはり好評だった。Stocks(株価アプリ)を削除できたときは、あなたも嬉しかったでしょ?

やはりApple Watchでも、最初からあるデフォルトアプリを全部使いたいユーザーはあまりいないのだ。

Apple WatchのBreathe(呼吸)アプリのセルフケアバイブなんて、全然関心のない人もいる。またもちろん、最近ローンチされたApple Watchの生理の周期チェックアプリは、女性にしか用がない。

この変更が発表される前には今月初めのWorldwide Developer Conference(WWDC)でアップルは、watchOS 6でApple Watchに専用のアプリストアを設けると初めて発表した。これで、WatchアプリのiOSからの独立性が強まる。iPhoneやiPadのアプリに同伴しなくてもよい。必要なければデベロッパーは、iOSバージョンを作らなくてもよい。

* 原注: 今提供されているwatchOS 6 betaにはこの機能はないが、Apple方面に詳しい情報筋によると、アプリは確かに「削除可能」になるようだ。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

アップル製品の将来を占う新しいアプリ開発環境

開発ツールに関しては、デベロッパー向けのメディア以外で大きく扱われることはあまりない。しかし、Apple(アップル)がWWDCで発表した開発ツール類は、今後のアップル製品向けのアプリの数と質の両方に、多大な影響を与える可能性が高い。それはiPhoneだけに限らない。macOS、watchOS、tvOS、そして新たに加わったiPadOSを搭載する製品にすべて関わってくる。

今回のイベントの主役ではなかったが、デベロッパーがさかんに話題にしていたのはSwiftUIだった。

5年前、アップルはプログラミング言語Swiftを発表して、アプリ開発をできるだけ容易なものしようとする動きを見せた。そして今回のWWDCでは、SwiftUIと呼ばれるまったく新しいユーザーインターフェースのフレームワークを発表し、そのビジョンをさらに押し進めた。SwiftUIを利用することで、スムーズなアニメーションの付いたフル機能のユーザーインターフェースを、シンプルな宣言的コードによって実現できる。

デベロッパーにとっては、これは大幅な時間の節約につながる。SwiftUIが備える自動化の機能によって、アプリの設計を洗練されたものにできるだけでなく、バグを減らすことになるからだ。また、アップルがデベロッパーに説明したところによれば、「単にコードの量を減らせるだけでなく、より良いコードにできる」ということだ。

シンプルであることを目指したのは、そうでなければどうしても避けられない、さまざま種類の誤りの発生を防ぐことを意図したもの。SwiftUIのコードは、まるで他の人からユーザーインターフェースについて説明を受けているかのように読みやすい。さらに、デベロッパーは異なるプラットフォーム間で、より多くのコードを再利用できるようにもなる。

それによって、開発サイクルの大幅な短縮にもつながる。デベロッパーが、アプリのユーザーインターフェースの一部だけを変更したくなった場合でも、素早く、しかも簡単に変更できる。

SwiftUIのフレームワークは、インターフェースのレイアウトをはじめとして、さまざまな面に効果を発揮する。たとえば、iOS 13が装備するダークモードへの対応、アクセシビリティ、右から左へ向かって書く言語への対応を含む国際化などだ。しかもSwiftUIは、同じAPIをiOS、iPadOS、macOS、watchOS、さらにtvOSという複数のOSに共通のものとすることで、アップルのアプリのエコシステム全域にまたがって使えることも重要なポイントだ。

このような特徴によって、これまでiOSだけに注力していたデベロッパーも、既存のアプリをSwiftUIに対応させさえすれば、クロスプラットフォームの開発に着手しやすくなる。

もちろん、アプリの性格によって、どこまでSwiftUIに対応できるかの程度は異なるだろう。しかしSwiftUIは、新規のデベロッパーにとっても魅力的なだけでなく、初めてアプリ開発に取り組むような初心者をも惹きつけるものがある。

SwiftUIは、Xcodeの新バージョンとともに発表された。このXcode 11には、新しいグラフィカルなUIデザインツールが含まれている。それによってデベロッパーは、コードを書くことなく、SwiftUIを使ったユーザーインターフェースの開発が可能となる。

視覚的なデザインツール上でUIが変更されると、そのつど新たなSwiftコードが自動的に生成される。さらに、そのアプリがどのような表示になり、どのように動作するのか、iPhone、iPad、iPod Touch、Apple Watch、Apple TVなど、接続されたデバイス上のリアルタイムのプレビューで確認できる。

これによりデベロッパーは、各プラットフォームでコードがどのように機能するかをテストできる。たとえば、マルチタッチに対してどのように応答するか、カメラやセンサー類の動作はどうかなど、開発プロセスの中で確認できるのだ。

Watchアプリ

watchOSに関しては、SwiftUIによって、Watchアプリならではのアニメーションとエフェクトの開発の複雑さを解消することができる。これまでは、その難しさのせいで、Watchアプリに手を出すのを躊躇するデベロッパーもいた。

SwiftUIは、スワイプして削除、リストアイテムの並べ替え、カルーセルのスライド、デジタルクラウンへの直接アクセス、といった機能を備えたWatchアプリの開発をサポートする。

またApple Watchは、デバイスから直接App Storeに接続できるようになり、ペアとなるiOSデバイスやiPhoneがなくても、スタンドアローンのアプリをインストールできるようにもなった。

このスタンドアローンのWatchアプリは、iOSから独立して動作させることができるだけでなく、Apple Watchを独立したプッシュ通知のターゲットに設定することも可能となる。つまり、そのユーザーがログインしているすべてのデバイスにではなく、Watchにだけ通知を送信することができる。

Watchアプリは、CloudKitのサブスクリプションをサポートできるようになり、プッシュ通知をコンプリケーションとして表示することで、ユーザーに最新情報を伝える。Watchアプリは、対応するiPhoneアプリを使っていないユーザーをもターゲットにできるようになったので、ユーザー名とパスワードを入力するテキストフィールドを表示するようになった。そこに入力してサインアップするか、今回発表された「Sign in with Apple」ボタンを使うこともできる。状況によってはアップルでサインインが必須の場合もある。

Watchアプリは、オーディオのストリーミング再生もできるようになった。これにより、これまで可能だったものとは異なるタイプのアプリへの道が開かれる。デモで見たように、Pandoraのようなインターネットベースのストリーミングサービスを利用して、スポーツ中継や音楽をストリーミング再生するアプリを想像するのも難しいことではなくなった。

さらに、watchOSの新しい拡張ランタイムは、ユーザーが手首を下げた状態でも動き続ける、新たな種類のWatchアプリの開発を促すことにもなるだろう。

たとえば、セルフケア、マインドフルネス、理学療法、スマートアラーム、健康状態のモニタリング、といった分野のアプリは、このランタイムを利用することで、Apple Watchのユーザーにとって新たな体験を創出することができるだろう。

これまでのWatchアプリのエコシステムが停滞したのは、アプリ開発の複雑さによるものだけでなく、ユーザーが手首を持ち上げている状態でしか動作しないというような制限をデベロッパーに課してきたことにもよる。ユーザーの手首の上で何ができるかを考えることを止めても、たとえばセンサーやストリーミングオーディオを利用することで、デベロッパーは単純に普通のiOSアプリを移植することも可能となる。

驚くべきことではないが、これまでそうしたアプリの多くは失敗し、やがて削除されることになった。アップルは、Watchアプリのエコシステムの再起動を狙っている。

macOSアプリ

今回のWWDCで発表された新しい開発ツールは、iOSのデベロッパーが、1億人のアクティブなMacユーザーにアピールする機会を生むことになる。

アップルによれば、いくつかの純正iPadアプリは、Mac上でも十分通用するものであることを認識しているという。しかし、一般のデベロッパーは、macOSのAppKitを使ってiPadアプリを移植する時間的な余裕がない。そこで今年のWWDCでは、デベロッパーにとって「最小限」の労力でiPadOSアプリをMac用に移植できるような技術を発表した。

現在、iPad用には100万本を超えるアプリのエコシステムがあり、その多くはMac上で動かしても意味のあるものだと考えられるということだ。

この取り組みの一環として、アップルはiOSからMacに40個ものフレームワークを移植した。その結果、わずかな例外を除いて、ほぼすべてのiOSのAPIの移植が完了した。これは、UIKitをネイティブなフレームワークとして採用し、次期macOSのリリース、Catalinaに直接組み込むことによって実現した、とAppleは述べている。

さらにアップルは、iPadアプリをMacに移植するための3段階のプロセスを用意した。

その最初のステップは、Xcodeのプロジェクト設定で「Mac」と書かれたチェックボックスをオンにすること。

するとXcodeでは、ソースに変更を加えるたびに、iOS、iPadOS、そしてmacOS用のすべてのアプリが自動的に更新されるようになる。

またiPadアプリを優れたものにすることは、ベストプラクティスをサポートするところから始まるという考えに沿って、デベロッパーはMac用にカスタマイズすべき部分を示唆される。つまり、状況に応じてメニューバー、タッチバー、マウスホバーのイベントなどをサポートすべきことが示される。

チェックボックスをオンにするだけで優れたMacアプリが開発できるわけではないが、それによって作業量は軽減される。

ただし、アップルが(優れた」iPadアプリの条件として、どの程度のものを要求するかについては疑問も残る。アップルは最大の効果を得るためには、デベロッパーはiPadのベストプラクティスを採用すべきだとしている。たとえば、外部キーボードをサポートしたり、Metalのようなキーとなる技術を採用することなどだ。

とは言え、もしアップルが本当にMac App Storeの品揃えを充実させたいなら、そしてもっと利益を生み出すアプリを増やしたいと考えているなら、Macに移植されるiPadアプリに、それほど多くを強いることはないかもしれない。

アップルでは、WWDCで発表する前に、すでに10社程度のデベロッパーとこの移植プロセスを試している。その中には、アメリカン航空、Crew、DCユニバース、Post-It、ツイッター、Tripit、フェンダー、アスファルト9、Juraなどが含まれる。

iPadOS

ところで、iPad上で動作するiOSには、iPadOSという新たなブランディングが施されることになった。

これまでのiPadは、発売当初からずっとiOSを搭載してきた。しかし時が経つにつれ、iPadの大きな画面を活かすための独自の機能も実現してきた。たとえば、スライドオーバー、スプリットビュー、ドラッグ&ドロップや、Apple Pencilのサポートなどが挙げられる。

まずはじめに、iPadOSでは、ホーム画面のアイコンのグリッド間隔は狭くなる。これは、サードパーティアプリが使えるホーム画面のスペースが広くなることを意味する。また、ウィジェットはホーム画面に固定できるようになる。これも、iPadアプリがホーム画面に占めるスペースを確保することになり、それだけユーザーの注意を引くことになるだろう。

しかし、iPadが本当に優れているのは、ノートパソコンの代わりに使えること。生産性も高くなり、スケッチやデジタルアートなど、クリエイティブな使い方も可能なのだ。

仕事効率化アプリのデベロッパーにとっては、1つのアプリから独立した別ウィンドウを開けるようになるのは、パソコン的な使い方を可能にする便利な機能だ。さらにアプリExposeや、3本指によってコピー、カット、ペースト、取り消しを可能にするジェスチャーも使えるようになる。

デベロッパー向けのツールについては、PencilKitというAPIが新たに加わり、サードパーティのアプリでも、純正アプリと同様に新しいApple Pencilにアクセスすることが可能になる。

それでも、実際にiPadアプリの開発を促進するのは、iPadアプリを簡単にMacに移植できるようになることかもしれない。言い換えれば、iPadアプリを開発しようというデベロッパーのモチベーションを本当に高めるのは、以前よりもずっと少ない労力で、同じアプリをMacでも動かせるようになること、なのかもしれない。

tvOS

Apple TV用のtvOSは、SwiftUIとiPadアプリのMacへの移植の話題に比べると、ほとんど注目されなかった。それにはアップルは、Apple TVとそのストリーミングサービス、つまりApple TV+に関しての熱意を示すイベントを開催したばかりだったということもある。

とは言え、SwiftUIはここでも活躍する。tvOSアプリでも、コードの再利用が可能になるからだ。

拡張現実と機械学習

アップルが今回のWWDCで発表したのは、作業をシンプルにして開発を促進することを狙ったものばかりではない。他の技術としては、まずARKitをさらにアップデートしたARKit 3が挙げられる。これは、モーションキャプチャー機能を備え、フレームの中の人物も認識できるようになった。それによって、人物をARオブジェクトの後ろに配置したり、前に出したりすることなどが可能となる。

これもアップデートされたCore ML 3を使えば、デベロッパーが機械学習の専門知識を持っていなくても、自分のアプリで機械学習を構築し、学習させ、その結果を利用できるようになる。

他にも、MetalやCreateMLのような重要な技術に進化が見られる。そうした技術を利用することで、デベロッパーは、それぞれの領域で、より品質の高いアプリを開発できるようになるだろう。

それでも、もっとワクワクさせ、興味を引きつける部分は、やはりアップルが現在最も人気のあるアプリプラットフォームであるiOSにテコ入れして、アプリのエコシステム全体に活を入れようとしていることだろう。今回のWWDCで発表されたツールによって、アップルは開発とデザインを合理化し、よりシンプルなものにしようとしている。それにより、より多くの人にプログラミングに参加してもらい、アプリのデベロッパーのコミュニティがiPhoneを超えて発想してくれるよう促しているのだ。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

Apple Watch専用のApp Storeとアプリが登場

Apple Watchアプリがこれまでの制約から解放される。Apple(アップル)はデベロッパー会議でApple Watch上で作動する専用のApp Storeを発表した。つまり、Apple WatchのアプリをiPhoneで探したり、オンやオフをトグル設定したりしなくてもよくなり、新しいApple Watchアプリを手首でブラウズして探すことができる。

Apple Watchの新App StoreではiOSのApp Store同様にアプリの説明、スクリーンショット、評価などが表示される。そしてスクリーンをタップしてアプリをApple Watchにインストールできる。

このApple Watch専用App Storeに関連して、アップルはwatchOSアプリがiOS アプリから独立して作動すると説明している。これによりデベロッパーはWatch専用のアプリをつくることができるようになる。おそらくこうした変更によりiOS用のApp Storeでは展開できなかったApple Watchエコシステムを始動させることを思い描いているのだろう。最近の消費者はアラームの受信や、着信・メッセージへの応答、音楽の操作などのビルトイン機能をApple Watchで活用する傾向にある。

今回、新たなストリーミングAPIも発表された。この独立したApple Watchアプリにはライブのオーディオフィードが含まれ、会議のステージ上で紹介されたようにスポーツイベントの中継を聴いたりすることもできる。

こうした新たな要素は、より多くの消費者にApple Watchを購入したいと思わせるかもしれない。今まではApple Watchを使うにはiPhoneも持っていなければならなかった。しかしこれからはAppleのエコシステムに多くを投資することなく、さまざまなWatch機能のアドバンテージを享受できるようになる。

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(翻訳:Mizoguchi)

Fitbit、新デバイスInspireで健保と企業福利分野に進出

Fitbitから新しいフィットネスモニターが登場したが、これは店舗で購入はできない。

Fitbitは先週金曜日にInspireをひっそりリリースした。これは同社として始めての健保加入者ないし企業社員向けのプロダクトだ。会社や健保が補助するプロダクトを手がけることで企業ヘルスケアの分野に一層深く浸透しようというアイディアだ。

新しいデバイスはクリップがオプションとして付属するリストバンドだ。ベーシック版の機能は標準的で、運動、睡眠のモニター、カロリー消費の推計、設定されたスマートフォンへのアラートなどだ。ハイエンド・モデルには、GPSによる位置追跡、心拍数モニター、詳細な睡眠時分析が含まれる。プロダクト紹介のページに価格は表示されていないが、これはユーザーは料金を支払う必要がないからだ。

CNBCの番組でのインタビューで、 CEOのJames Parkは 、「われわれのユーザーは680万人に上る。この中には企業の福利厚生の一環のウェルネスプログラムのメンバーや健康保険に付帯する各種プログラムのユーザーを多数含んでいる」と述べた。今回発表されたInspireはFitbitの中でいちばん入門的デバイスだが、ユーザーを大きく増やすことが目的だという。Parkは「FitbitはUnitedHealthなどの健康保険と協力しており、全米27州の42のMedicare Advantageプランでカバーされるフィットネス・デバイスになった」と述べた。

コンシューマ市場の競争は非常に激しい。Fitbitが健康保険、企業福利厚生の分野に進出したのは賢明だ。ウェエラブル・デバイスがパイオニア的な物珍しいプロダクトではなくなるにつれてライバル間の競争は激化している。Appleはヘルスケア市場に全力投球している。ハイエンド市場はほぼApple Watchの独占で、健康保険分野への進出も検討している。これに対してエントリーレベルではXiaomiやパートナーのHuamiが30ドルといった低価格のプロダクトで勝負を挑んでいる。

Fitbitの上場は2015年で売出価格は20ドル、初日の終値は29.68ドルだった。新製品発表で金曜日の株価は6.48ドルまでアップしたが、それでも上場時点を大きく下回っている。金曜終値による時価総額は約16億ドルだった。

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滑川海彦@Facebook Google+

AppleとAplhabetが進化させるヘルスケアウェアラブル

Appleが、Apple Watchのデータを活用する新しいアプリに関して、健康保険会社のAetnaと提携したという発表や、Googleの親会社のAlphabetの傘下にある健康にフォーカスする会社Verilyが、体重と動きを検知できる靴を開発しているといったニュースは、ウェアラブルからのデータを、臨床用の健康管理アプリや治療に活用しようという動きが勢いを増していることを示している。

ベンチャーキャピタルの投資家にとって、このようなAppleとAlphabetの動きは、ウェアラブルデバイス用の新しいアプリケーションへの道を切り開くものであり、正しい方向への第一歩となる。それは、むしろ遅すぎたくらいだ。

「医療サービス提供者として、私たちは予防医療の重要性についてかなり話してきました。しかし米国の医療システムには、それにお金を払うための適切なインセンティブがありません」と、Trinity Venturesの起業家、Cameron Sepahは書いている。「大会社の経営者は(メディケードやメディケア以外に)すでに多額の医療費を支払っているので、予防のためにまでにお金を出そうという気には、なかなかなりません。というのも、従業員がそれほど長く会社に留まることもないので、長期的な健康管理の費用を負担しようとは思わないからです。そのため、この分野のスタートアップのほとんどは、企業にとって見返りの少ない健康手当となりがちです。しかし、Aetnaのような保険会社が会員を十分長く引き止めておけるのであれば、うまく連携して、このアプリを普及させることもできるでしょう」。

Sepahは、健康保険会社とハイテク企業が提携すれば、さまざまな種類のデバイスによって健康状態を検出して診断することができる、という大きな可能性を視野に入れている。

「ほとんどの患者と保険会社との関係は、紙に印刷された請求書や通知を郵便で受け取るだけで、顧客満足度(NPS)はどこを見ても最低です」とSepahは電子メールに書いている。「しかし、もし手首に装着されたデバイスを通して、より密接な関係を築く方法があれば、他の健康関連技術のスタートアップと協力して取り組む可能性も広がります。たとえばMindstrongは、自覚症状が出る前に精神的な健康の問題を通知できます。またCardiogramは、高血圧や睡眠時の無呼吸を検出して治療を促します。あるいは、Omada Healthは、デバイスからの健康データを、慢性疾患の治療プログラムに活用することができます」。

(関連記事:Apple partners with Aetna to launch health app leveraging Apple Watch data

Aetnaは、Apple Watchのデータを健康保険に結び付けた最初の会社ではない。John Hancockは、2018年の9月にVitalityというプログラムを立ち上げた。ユーザーがJohn Hancockのアプリとリンクすれば、最新のApple Watchを割引するというものだ。さらに、ユーザーがダイエットとエクササイズに関する習慣を変えれば、会社が報奨金を支払う。

米国、英国および南アフリカ共和国の40万人を対象としてRand Europeが実施した調査によれば、Apple Watchを着用し、Vitalityのプログラムに参加したユーザーは、Apple Watchを着けていない人と比べて、運動量が平均で34パーセントも増加したという。その数字は、1ヶ月あたり、ほぼ5日分もトレーニング量を増やしたのに相当する。

「CVSとAppleの協力が、どのような結果になるのか興味深く見守っています。個人の医療履歴と、ウェアラブルからのリアルタイムのデータの組み合わせに基づいて、健康に関するパーソナライズされたアドバイスを提供することは、非常に大きな価値のある目標となるでしょう」と、ベンチャーキャピタルMenlo Venturesの共同経営者、Greg Yapは書いている。しかしYapは、「彼らの第1世代のアプリが、幅広い利用者に対して十分な価値を提供できるだけのデータや学習能力を備えているかについては疑問があります。しかし話題性はあるし、それも重要だと思っています」と続けている。

その一方で、消費者の健康情報を記録するデバイスの種類は増え続けている。これも、少なからずVerilyのおかげだ。

CNBCによれば、Verilyはユーザーの動きや体重を監視するセンサーを備えた靴の共同開発に取り組んでいて、さらに健康状態の監視および管理のための常時接続型デバイスの種類を拡張しているという。すでに同社は、FDAが承認した心電図を含む、患者の特定のデータを監視する腕時計を実用化しており、さらに、糖尿病に由来する眼の疾患を感知する技術や、白内障を治療するスマートレンズを開発中だという。

こうした動きは、ハイテク企業が、ほぼ3兆ドル規模にもなるヘルスケア市場に食い込もうとして、消費者の健康に密接に関わることをもくろんでいるのを示すものだ。

ウェアラブルデバイスから、あるいは消費者の行動から、より多くのデータを収集できれば、そしてそれを継続的に監視できれば、ハイテク企業が、より早い段階で通知することで、より低コストの治療を提供することもできるかもしれない。緊急の、あるいは救急医療の必要性をなくすことにつながるからだ。

ハイテク企業による、いわば大風呂敷を広げたようなコミュニケーションとモニタリングのサービスは、うまくすれば、ユーザーと将来に医療を受ける人を、今とは異なったシステムに移行させるかもしれない。それは、治療の量や処置の回数よりも、結果にフォーカスすることになり、低コストのものになる可能性が高い。

持続的なモニタリングが良質な治療に結びつくと、すべての医師が確信しているわけではない。スタンフォード大学の有名な教授であるDr. John Ioannidisは、データが実際に何を明らかにするのかをはっきり理解しない限り、モニタリングを有効に利用することはできないと主張している。

「情報というものは、それが何を意味するのかを知っていれば、有益なものとなります。その情報の大部分については、何を意味しているのか分かっていません。それをどう扱えばよいのか、皆目見当も付かないのです。単に不安の種を増やすだけでしょう」と、Dr. Ioannidisは述べた。

ライフサイエンスのスタートアップを支援している投資家によれば、目標は、機械学習を使用して問題を特定し、同時に治療方法を確立できるような、パーソナライズされたアドバイスを提供することなのだという。

「Omada、Livongo、Lark、Vida、Virta、といったスタートアップは、リアルタイムのデータと、個人の履歴データを組み合わせるというアイディアに、すでに取り組んでいて、それはうまくいくと私は考えています。しかし、スタートアップが成功するためには、さらに細かく絞り込むことで、より良い結果を提供できるようにする必要があるでしょう。もちろん、早急に経済的な利益を生み出すことも重要です」と前出のYapは付け加えた。

画像クレジット:VenimoShutterstock

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

Apple、高齢者医療保険によるApple Watchの助成を検討中(CNBC報道)

Watchを本格的医療機器へと進化させようというAppleの意欲が、心電計の採用によって強められたことは間違いない。同社は以前からこのベストセラー・ウェアラブルを様々な医療保険プラットフォームに載せることを目指してきたが、 最新の報道によると、同社はApple Watchの助成を受けるべく、複数の民間メディケアプラン[高齢者向け医療保険]提供会社と接触している。

もし保険会社が話に乗れば、279ドル以上するApple Watchが高齢ユーザー向けに大きな成功を収める可能性がある。心電計機能とともに、昨年発売されたSeries 4には、転倒検出という、高齢者や医療保険会社にいっそうアピールする機能が加わっている。

記事によると、少なくとも3社が同社と話をしているという。本誌はAppleにコメントを求めたが、契約完了前に返事があることは期待していない。しかしAppleにとってこのような提携は、ウェアラブル分野ではめったに光の当たらないターゲット層の顧客を増やす可能性がある。

医療健康に力を入れているのはもちろんAppleだけではない。Fitbitもこの分野を積極的に追求している。本日(米国時間1/16)同社は、国立衛生研究所 (NIH)の新しい医療研究プロジェクト、”All of Us”に参加することを発表した

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Apple Watchの心電図機能が使えるようになった

【編集部注:原文は米国12月6日に掲載された】

ECG/EKGは新Apple Watchの最も賞賛された機能だ。そして最も提供が遅れた機能でもある。もちろん、こうした大事な健康機能は、正しい情報が得られなければならないというのは誰の目にも明らかだ。

watchOS 5.1.2アップデートに伴い、心電図機能がSeries 4でようやく今日から使えるようになった。これは重要な機能だーウェアラブルをより本格的な健康モニターとするのに道を切り開くものだ。

新機能はSeries 4にビルトインされたハードウェアのアップグレードで可能になった。Watch背面のクリスタルの中に埋め込まれた1対の電極と、デジタルクラウンだ。起動すると、この新機能は心臓の健康に関するいくつかの鍵となる要素をチェックする:Watchが受身的にバックグラウンドでモニターする不規則な心拍と、ユーザーが能動的にWatchのデジタルクラウンのエッジに指先をあてることで測定が可能になるECGだ。

もちろんこうした機能を利用できるようにするのは、アップデートされたソフトウェアをインストールするほどに簡単なものではない。当然のことながら、利用に至るまでには同意の長いプロセスがある。この2つの機能のためのオリエンテーションのプロセスは、数ページの長さがある。そこではAppleがいくらかの生体情報を集めていること、ウォッチは心臓発作を感知することはできないといった事実など重要な情報を繰り返し述べている。もしユーザーが心臓発作のようなものを感じたら救急車を呼ぶべきだ。

Apple Watchはもちろん医師に代わるものでもない。実際、余病をモニターする一つの手段にすぎない。スマートウォッチは救命する可能性があるもの、あるいは医療周辺デバイスとしてとらえられるかもしれないが、それは常に身に付けるモニターのような機能を有するからだ。結局のところ、激増するこうした種のウェアラブル以外で、我々の多くは医師の世話になるまで常にECGをモニターするという経験をすることはない。もしこの機能が事前に情報を分離することができれば、余病が大きな問題となる前にその存在を知らせることができるようになるかもしれない。

サインアップのプロセスは注意を促すものであって、エンドユーザーを情報で圧倒しようとしているわけではない。このバランスは難しいところだ。我々がこれまでに利用規約から学んだことといえば、あまりにも多くの情報というのは結局ユーザーの目を疲れさせて終わりとなる、ということだ。しかしApple Watchのこの機能の場合、適切に表示しなければ重大な結果につながる可能性がある。

知っておくべきいくつかの重要なポイント:

・心臓発作を感知することはできない(医師の診察を受けるべき)

・血栓や梗塞を感知することはできない(医師の診察を受けるべき)

・他の心臓関連の病状を感知することはできない(医師の診察を受けるべき)

・心房細動を常に測定していない

最後の点は、この新機能を区分する上で特に重要だ。心拍リズムの感知は機能に含まれるが、Watchは定期的に心房細動をチェックしていない。そこでECGアプリと指感知があるわけだ。心拍リズムの感知機能は、心拍モニターが異常ー心拍が飛んだり速くなったりーをとらえるめのものだ。異常が感知された場合、すぐに手首のデバイスにノーティフィケーションを送る。

その場合、ECGアプリを立ち上げ、腕をひざか机の上に置き、指先をデジタルクラウンに30秒間あてる。すると、待っている間、心拍のグラフをリアルタイムに表示する。正直、これには奇妙にも癒されるが、Appleは必要性がない場合にこの機能の定期的な使用は勧めていない。

試しに使用したとき、「このECGは心房細動を表してはいません」と表示された。これは、心拍が洞調律のパラメーター内に収まっていることを意味する。

ここにお馴染みWebMDからの引用:

心臓の役目は、血液を体中に送ること。本来通りに働いているときは定期的に安定したビートで血液を送る。これは正常洞調律と呼ばれる。しかしそうでないときは心房細動と呼ばれる不整脈を起こしている可能性がある。

ふう、一安心。医者を呼ばなくていい。しかし、それでも気分が悪ければスクリーン上に救急サービスに電話がつながるリンクがある。もし気分が100%の状態でなければ、症状を加えるところもある。Appleはデバイスで収集された情報を誰ともシェアしないと約束しているが、ユーザーはいつでも医師にみてもらうために情報をPDFとしてエクスポートすることができる。

この新機能導入にはテクノロジーの詳細が書かれたホワイトペーパーも伴っている。Appleではいつもの透明性のためのもので、Appleは当然のことながら可能な限りテクノロジーについて正直であろうとしている。ホワイトペーパーには、この機能を一般リリースするためにどんなことを行ってきたのかについて詳細に述べられている。

Appleは、不整脈と診断されたことのある人が全体の15%を占める、2000人を対象とした前臨床試験を実施した。そして、そのうちの600人を対象に、心房細動を確認する臨床試験を行った。

循環器専門医による12誘導心電図の心拍分類が、ECGが収集されたと同時にECGアプリで行われる心拍分類と比較された。ECGアプリでは、心房細動と分類する精度は98.3%で、洞調律の分類精度は99.6%だった。

Appleはまた不整脈ノーティフィケーションを確認するのにも同様の試験を展開した。「Apple WatchとECGパッチの両方を同時につけた被験者のうち、おおよそ80%がECGパッチで心房細動が認められた時にノーティフィケーションを受け取った。そして98%がECGパッチで関連した不整脈を感知した時にノーティフィケーションを受け取った」と書いている。

試験に加え、Appleはこのプロダクトがこうした製品に望まれる厳しいスタンダードに見合うものかどうか、という点を多くの医師に確かめてもらった。

研究についての詳細な情報は、Appleのパートナーであるスタンフォード大学が今月初めに発表した文書で確認できる。

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(翻訳:Mizoguchi)

ファーウェイ、Apple Watchより安い「HUAWEI WATCH GT」12月7日発売

eng-logo-2015ファーウェイ・ジャパンは、GPSと心拍センサー起動でもバッテリーが2週間持続する「HUAWEI WATCH GT」を12月7日に発売します。

「HUAWEI WATCH GT」は、1.39インチのOLEDディスプレイを搭載したスマートウォッチです。高級感のあるセラミックベゼルを採用するほか、心拍センサーや3つの測位システム(GPS・GLONASS・Galileo)を搭載。5気圧防水にも対応し、マラソンや水泳、登山などといったアクティビティーを記録できます。

特徴的なのはバッテリーの持続時間です。心拍モニター・スマートフォンからの通知ON、90分のトレーニング(トレーニング時はGPSをON)というユースケースの場合、2週間バッテリーが持続するとのこと。また、心拍モニターとGPSをOFFにした状態では30日バッテリーが持続します。加えて、GPSを常時ONにしてマラソンをトラッキングし続けたとしても、22時間バッテリーが持続するといいます。(公称値)

その他、気圧センサーや環境光センサー、加速度センサー、ジャイロセンサーを搭載します。

本体価格はスポーツモデルのブラック(シリコンベルト)が2万4880円(税別、以下同)、クラシックモデルのシルバー(レザーバンド)が2万5880円。Apple Watch Series 4の最低価格4万5800円より大幅に安いのも魅力的と言えそうです。

Engadget 日本版からの転載。

Spotifyが正式にApple Watchアプリを公開

そのテストレポートに続いて、Spotifyは本日(米国時間11月13日)待望のApple Watchアプリの提供を開始した。このアプリを使うことで、ユーザーはSpotifyストリーミングサービスの再生をApple Watchの画面から制御することができるだけでなく。コンピューターやWi-FiスピーカーなどへSpotify Connectを通して接続したり、Shuffleをオンオフしたり、プレイリストや最近再生したアイテムへのアクセスをしたり、好きな曲にハートを付けたりすることが可能だ。

このニュースは本日Spotifyのブログで発表された。そこでアプリの詳細機能が説明されているが、音楽に加えてポッドキャストの再生機能も含まれている。

「私たちは音楽を持ち歩くことの重要性を知っています。それこそがApple Watchを使うモバイルユーザーの皆さんに新しいSpotifyアプリを提供できることに興奮している理由です」と同社は語っている。「この新しいアプリによって、ユーザーの皆さんは、より良いコントロールやスピーカーやデバイスへのよりシームレスな接続による、優れた体験をお楽しみいただくことができます」。

App Storeのリリースノートには、これがウォッチアプリの「ファーストバージョン」であることが示されているため、さらなる機能追加が期待される。

Spotifyも、将来的のリリースでは音楽やポッドキャストをオフラインで聞くことができるようになることを認めている。

単に音楽やポッドキャストを再生したり停止したりするだけでなく、新しいアプリは曲をスキップしたり、聞き逃した部分をもう一度聴くためにポッドキャストを15秒巻き戻したりすることができる。これらもすべてApple Watch の画面から行うことが可能だ。

アプリは正式に公開されたが、Spotifyによれば新しい機能はこの先の一週間程でApple Watchユーザーに順次展開されるという。今すぐにWatchアプリを追加することはできないかもしれないが、すぐに可能になる筈だ。

アプリにアクセスするためには、App StoreからSpotifyアプリの最新バージョン(v.8.4.79)を取得する必要がある。

(訳注:訳者のApple Watch(第一世代)では既に利用可能になっていた)

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(翻訳:sako)

Apple、watchOS 5.1.1を公開。一部Apple Watchの文鎮化問題を修正

AppleはwatchOS 5.1.1を公開した。前バージョンのwatchOS 5.1から一週間もたたないなか、一部のApple Watchが文鎮化するという報告を受けてのことだ。

このアップデートには、ほかにウォーキートーキー機能やアクティビティのリワードが一部表示されない問題などのバグ修正も含まれている。

watchOS 5.1は10月29日にiOS 12.1と共に公開されたが、ソフトウェアアップデートをインストールした後Apple Watchが 立ち上がらないという苦情を受けすぐに配信が停止された。Appleは、この欠陥アップデートが「少数」のユーザーに影響を与えた(詳細は語らず)ことを認め、「問題のあるユーザーはAppleCareに連絡をとってほしい。インストールが成功した人は何もしなくてよい」と発表した。

watchOS 5.1.1はwatchOS 5.1の全機能に加えて、グループFaceTimeオーディオ、新しい絵文字、新しい文字盤などいくつか新機能も追加された。

ほかに、セキュリティーアップデートも施され、アタッカーがカーネル特権を得られる重大な脆弱性が修正された。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Apple Watchはこうやって世界を変えた

2015年、スイスは終わった。AppleのJony Iveが漏らしたこの無遠慮な信念は、時計業界の終焉として繰り返しメディアに報じられ、スイスウォッチは死に、引き金を引いたのはAppleだ、という悲しい真実が明らかになったかと思われた。

3年後、Apple Watch 4世代後の今、Iveは正しかったのか? Appleは世界を変えたのか? そして何よりも大切なのは、スイスは生き延びたのか、だ。

たしかに。しかし…

お気づきの通り、スイスウォッチ産業は今も存続している。主要なスイスメーカー——LVMH、Richemont、およびSwatchグループ——は順調に売上を伸ばしており、米国内では特にそうだ。 スイス時計協会によると、売上は前年比5.5%で伸びており、それはちょっとしたニュースだったが、Apple Watch Series 4のレビュー記事の勢いの中、ほとんど埋もれてしまったのが皮肉だった。

米国売上の増加は、今年の大きなトレンドに反するものであり、匿名希望のある市場インサイダーによると、彼の知る営業担当者全員が3000ドル以上の時計の売上が増えたと言っている。低価格のファッションウォッチは「消滅」し、高級品市場が伸びていると彼は言った。しかし、なぜだろうか?

Swatch Groupによると、スイスウォッチの輸出は前年比4.8%上昇し、Reutersは、「スイス時計協会によると、第1四半期の輸出は10.1%増加し、これは2012年中期以来最大の四半期成長である」と報じた。

「年末の好調——2桁成長——はご存知だと思うが、それが続いているので毎月が新記録の月だ」とSwatch Group CEOのNick HayekがCNBCに語った。つまり、同業界は不況以来最低の状態から復活した。

ウォッチアナリストたちは、Appleがハロー効果を生み出したと信じている。Apple Watchを購入、着用している数百万人のうち、大部分はそれまで時計を身につけようと考えたこともなかった人々だ。しかしひとたびApple Watchを試し、革製ベルトや派手なミラネーズループと服装に合わせたカラーを選ぶようになると、行動様式が変わった。腕時計をつけることがそんなに楽しくて自己表現になるのなら、他のもっと名高い時計も試してみようか? 売上の数字を見つけるのは難しかったが(時計メーカーは秘密主義で知られている)、私が運営するウォッチ強迫症向けサイト、WristWatchReviewでは、2015年に明白なトラフィック増が見られ、2018年までほぼ続いている。2017年にははっきりと減ったが、それは私のサーバーがほとんど定常的にダウンしていたからだ。

これは腕時計にとって何を意味するのか? 第一に、レコードと同じように、新たなマニア層が、古くからある物に新しい潜在価値を見出したことによって、コレクターに仲間入りした。Apple Watchはティソ(Tissot)のゲートウェイドラッグ(入門薬物)であり、ティソはロレックスのトロピカルサブマリーナーのサイン入りベルト付きへのゲートウェイドラッグだ。初めて買ったRadioheadのMP3がきっかけで、ターンテーブルとアンプ、さらにはGradoのカートリッジとMoon Shaped Poolのアナログ盤を買うことになるのと同じだ。

「高校生の頃、Pebbleをつけていた時があった」と20歳の大学2年生、Bradyが私に話した。「すぐに気が散る高校生にとって、あれはごく基本的機能のウェアラブルだったが、スマホを使うべきではない多くの時間、私の注意を引いた。腕時計を見るべきでもない時だったのだが。その後私はNixoのクォーツ『ファッションウォッチ』に移り、これも十分正確に時を刻むことを知り喜んだ。次はSeiko SNK805 Automaticだった。機械式でない時計は1つも持っていない。これは職人技への尊敬の念だ」

ウェアラブルも変化を続け、通常の時計を檜舞台に再び押上げている。Greenlight.GuruのVP、Jon Speerは、今から数年後にほとんどのウェアラブルは時計のように見えなくなるだろうと言った。

「次世代のウェアラブルはITアクセサリーと医療機器の境界を曖昧にすると予想する。こうした「デバイス」は、血圧、血糖値、体温などを測定する機能を持つ」と彼は言った。「FDAは業界の担当者と密に連絡をとってイノベーションにありがちな障壁を見つけ出そうとしている。De Novo Programは、AppleがApple Watchを推している分類で、既存の分類に収まらない医療機器のためのカテゴリーだ。医療技術と消費者技術が融合することで、FitbitやGarminがDe Novo Programを利用することが想像できる。私は消費者の一人として、その可能性と進歩への期待に胸をふくらませている」

こうして時計を身につける習慣は、その習慣の起源——ちいさな四角い鋼鉄とガラスを手首に巻きつける——が消滅したあとにも続いていくのかもしれない。

すべては幻影ではないのか?

新しいApple Watchのレビュー評価は非常に好意的であり、Android Wearも未だに侮れない勢力だ——Montblancなどの企業は非常に高機能なファッション志向のスマートウォッチを販売している。そして、スイスを終わりにするとJony Iveが言ったモノを試した人全員が、時計を身につけるようになるわけでもない。

腕時計は使うほどに味の出る道具であり、クラフトビールや工夫紅茶を始めとするPinterest向き嗜好と同じだ。時には、腕に付けるだけでは十分ではないこともある。

「私は第1世代のApple Watchを買った」と起業家のDavid Berkowitzは言った。「すごく気に入ったが、しばらくして付けるのをやめた。そのうち充電器をなくして買い直そうと思ったことはなかった。以来一度もつけたことはないし、新しいのを買おうと本気で考えたこともない」

「私はそういう客ではなかったということだ」と彼は言った。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Apple StoreでSkydioの自律飛行ドローンを買えるしApple Watchからコントロールもできる

これからはほんの数タップで、Skydioの1999ドルの自律飛行ドローンをApple Watchからコントロールできる。まるで自分がSFの主人公になったように、高価な自律飛行ドローンを、小さな腕時計型のコンピューターで操縦できる。

このとってもクールな自動飛行ドローンR1は、アメリカのApple Storesでも買えるようになる。これからは、Webサイトに注文しなくてもお店でドローンを買えるようになるのだ。これまでAppleで買えたドローンは、ドローン最大手のDJIのものがほとんどだったが、その中でSkydioは、エリートのような位置づけになる。

ところで、現実に話を戻すと、しかしそもそも、一体何のためにApple Watchからドローンをコントロールしなければならないのだ? 確かに、適切な質問だ。Apple Watchはサードパーティアプリが山のようにあったが、最近ではデベロッパーもAppleも、このデバイスは、何かを積極的にするよりもむしろ、受動的な用途に向いてることに気づき始めた。

SkydioはR1を、GoProのユーザーのような人たちが使う、と位置づけている。とってもユニークな映像を、ドローンが自動操縦で撮ってくれるのだ。でもスマートフォンの上でSkydioのアプリを使うと、今やってるアクションをちょっとやめて、何よりもまずスマホの画面を確認する、という作業が入る。でもApple Watchならもっと撮りやすい、と言える用途がいくつかあるだろう。たとえば、自転車に乗ってる自分をドローンで撮りたい、というときは、スマホの画面という面倒なもののない、ウォッチからのコントロールがずっと楽だ。狭いところで、ローキーな映像を撮りたいときも、ウォッチならコントロールしやすい。

このWatchアプリは単純明快なUIで、ドローンのコントロール項目がたくさんある。スキルのリストがあり、Lead, Follow, Orbitなどのタッピングのモードもある。もっとおもしろいのは、写っている人を指定して、その人を追えることだ。Watchからのコントロールは意外なほど良好で、このデバイスに本来ある強力な機能か、と錯覚してしまう。

Skydioのユーザーにとっては、Watchでコントロールのオプションが増えたことになる。操縦のメカニズムとして理想的、とは言えないけど、とにかくもっと楽にR1を操縦したいと思ったら、このオプションを使いたいだろう。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Zimmer BiometとAppleがApple WatchとiPhoneを使った膝と腰の人工関節置換手術のための臨床研究を開始

Appleは、最新型Apple Watchの利便性を訴えるものとして健康を大きな柱に据えているが、本日(米時間10月16日)、その新たな道筋が形となって現れるというニュースが報じられた。人工関節置換手術の治療材料やシステムの開発で世界をリードするZimmer Biometは、人工膝関節および人工股関節の置換手術を受ける人々に焦点を当てた臨床研究を、Appleと共同で行うと発表した。

この試みは三段階に分かれており、最初の2年間で最大1万人の患者が参加することが予測されると、Zimmer Biometの遠隔医療副社長Ted Spoonerはインタビューで語っている。

彼によると、患者のケアは次の3つの側面によってカバーされる。Apple WatchとiPhoneのセンサーを使い、患者の術前と術後の状態をモニターする。患者自身による術前と術後のケアの質を向上させるための教育と情報を提供する。医師、介護士、患者との間に連絡チャンネルを開設し、質問や答えを交換できるようにする。これらはすべて、Zimmer Biometのmymobilityアプリで行われる。

このプロジェクトに参加する医療施設は以下のとおりだ。
University of Utah Health(ユタヘルス大学)、Rush University Medical Center(ラッシュ大学医療センター)、University of Pennsylvania Health System(ペンシルベニア・ヘルスシステム大学)、Emory University Orthopaedics & Spine Hospital/Emory Healthcare(エモニー大学整形および脊椎病院/エモニー・ヘルスケア)、Hoag Orthopedic Institute in Southern California(ホーグ整形病院サザンカリフォルニア)、Massachusetts General Hospital(マサチューセッツ総合病院)およびBrigham and Women’s Hospital(ブリガム・アンド・ウイメンズ病院)が設立した非営利団体Partners HealthCare(パートナーズ・ヘルスケア)のメンバーであるNewton-Wellesley Hospital(ニュートン・ウェルスレイ病院)、Centura Health(センチュラ・ヘルス)所属のPorter Adventist Hospital – Colorado Joint Replacement(ポーター再臨派病院コロラド人工関節置換部)、Legacy Meridian Park Medical Center(レガシー・メリディアン・パーク医療センター)所属のROC Orthopedics(ROC整形病院)、OrthoArizona(オーソアリゾナ)、Midwest Center for Joint Replacement(人工関節置換中西部センター)、Hartzband Center for Hip & Knee Replacement(人工股関節膝関節置換ハーツバンドセンター)、New Mexico Orthopaedic Associates(ニューメキシコ整形連盟)、Michigan Institute for Advanced Surgery(ミシガン高度外科病院)所属のThe DeClaire LaMacchia Orthopaedic Institute(デクレア・ラマッキア整形病院)、
Joint Implant Surgeons(関節移植外科)、Orthopedic and Fracture Clinic(整形および骨折クリニック)、Panorama Orthopedic and Spine Center(パノラマ整形および脊椎センター)。

Spoonerによるとこの研究は(現在はアメリカ国内に限られている)、Zimmer BiometとAppleが2年間におよぶ水面下での共同作業が実を結んだものだ。その目的は、Zimmer Biometが求める遠隔医療アプリの実効性を測る知る数値の収集だけではない。Appleの側には、スマートウォッチとスマートフォンを中心に構築される医療サービスに医療業界が期待していることを出資者たちに理解させるという狙いもある。現在、世界中で行われている人工膝関節置換手術の4回に1回を占めるZimmer Biometは、その中心的な存在だ。同社は、股関節、肩関節、足、歯でも同様に堅固な市場を確保している。

Appleがこの研究の重点をどこに置いているかは、この立ち上げにコメントを寄せた人たちの言葉でわかる。

「顧客に力を与えるには、自分の健康と活動の情報を利用して自分自身の健康管理を改善する手段を与えることだと、私たちは信じています」と、Appleの最高執行責任者Jeff Williamsは声明の中で述べている。「人工膝関節と人工股関節の置換手術を行った患者が、自分自身のデータを使い、また医師と直接共有することで、自分のケアと回復に参加できるようになることを、私たちはとても嬉しく思っています。これは、従来の面接による診察という方法では実現できなかったことです。このソリューションは、消費者と主治医を、手術の前も後も、継続してつないでゆきます」

股関節と膝の人工関節置換手術はもっとも一般的な手術で、
アメリカでは毎年に100万回も行われている。Deloitteによれば、人口の増加と長寿化、さらに若いころにフィトネスのための激しい運動で体を酷使した人たちも多く加わり、2035年にはその数は350万回に増えるという。

遠隔医療サービスを人工関節手術を主に受けている高齢者に売るのは、難しそうだと考えるかも知れない。しかしSpoonerは逆だと言う。

「現在、スマートフォンをもっとも早く導入する年代層は、55歳から64歳だとわかりました」と彼は話す。彼らは、そのひとつ下の年代に比べて、スマートフォンやその他の接続機器を3倍の早さで購入しているという。もろん、高齢者が使い始めたのが遅かったというのも理由のひとつかも知れない。とは言え、その数字に関して、「他の年代グループの複合年間成長率が2パーセント以下であることを考えると、本当にびっくりです」と彼は言っている。同様にスマートウォッチについても、高齢者のユーザー数が高い伸びを示している。「若い人たちよりも、高齢者ほどその恩恵を多く受けることになります。年を取ると健康に敏感になるので、このプロジェクトには最適の時期だと私たちは考えました」

Zimmer BiometとAppleが解決を目指す課題の中心には、患者が積極的に治療に関われるようにすることがある。計画どおりに行かない何かが起きた場合、それを特定して対処できるようにしなければならない。システムには大きなダッシュボードと分析機能を備え、診察日の間に患者がどのような行動をとっているかを、医師や介護士が評価できるようにする。

患者は、手術までの間に何度も知らせを受ける。手術が受けられる健康状態を保つために、活発に動くよう指導されるのだ。医師は、患者の体の動き、脈拍数、そしてとくに、1日のうちに立つなどの基本的な動作をどれぐらい行っているかなどをモニターして、患者が指導に従っているかを確認できる。同じことは、術後も続けられる。その間、たとえば傷口がどう見えるかといった不安を覚えた場合、患者は医療チームに相談することも可能だ。ただしそれは、患者のモニターや教育といった第一義的な目的からは外れる使い方だとSpoonerは言う。

Zimmer BiometがAppleと一層緊密に協力し合うようになったのは、医療系企業が(他の多くの業界もそうだが)デジタルサービスの進歩によってもたらされたイノベーションに飛び込む必要性を感じたからだ。そうしなければ、医療の未来を一切捨て去ることになる。Spoonerは、とくに今回の挑戦のために設立したスタートアップRespondWellを通してZimmer Biometに出会ったという。

「この市場は、患者の継続的な利用、そして自分の状態をより詳しく知り、介護士とうまくやってゆけるようにするための有効な生体データを探す場所でした」と彼は言う。彼のスタートアップはMicrosoft Connctを使っていた。「しかしそのとき、Zimmer BiometがAppleと事前交渉を行っていたのです。私たちは、彼らと共通するアイデアを持ってクパチーノに向かいました。そこから今回のコラボが始まりました」

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(翻訳:金井哲夫)

Apple Watchがジュエリー業界の売上に食い込む?すでに時計業界の脅威になっているとの観測も

eng-logo-2015第1サプライヤーが工場をフル稼働しても生産が追いつかず、第2サプライヤーが追加されるとの噂があるほど売れ行き好調なApple Watchシリーズ。その影響が腕時計業界だけにとどまらず、宝石などジュエリー業界の売上を脅かすかもしれないとの観測が報じられています。

今年2月には、2017年内のApple Watchの出荷台数が1800万台を突破し、2016年から実に50%以上もの伸びを示しているとの推移データを調査会社Canalysが発表。さらにオンライン調査会社Statistaが、2017年にApple Watchの出荷台数が初めてスイスの時計業界を抜き去ったとの推計グラフを公表しました。

これらは推測に過ぎませんが、今年4月にスイスの高級時計メーカーFrederique ConstantのCEOであるPeter Stas氏が個人ブログにて「スイスの腕時計業界はApple Watchやその他のスマートウォッチが、どれだけクォーツ時計のシェアに食い込んでいるかまだ理解していない」との不安を語っていました

同社はスマートフォンとの連動機能を備えた機械式スマートウォッチを発売したメーカーでもあり、Stas氏もこの方面にはとりわけ敏感と思われます。

さらにApple Watchの脅威が腕時計業界にとどまらず、 今年のホリデーシーズン(11月下旬のサンクスギビンクデーからクリスマスまでの、アメリカの年末商戦)にはジュエリー業界にも及ぶとの見解が各方面から発せられています。

たとえばCitizen’s BankのJaime Ward氏によれば「これらのハイテク必需品がさらに買われることで、他の嗜好品への出費が抑えられてしまう」とのこと。「残念ながら、ジュエリー業界は打撃を受けるだろう」と述べています。

一方、Cascend Securitiesのアナリストは、アップルが今年12月期に1000万台のApple Watchを販売し、2018年には売上高がほぼ90億ドルになると予測。「ホリデーシーズンでのGoogleや他社のスマートウォッチ製品との競合はアップルにとって問題になりません。すでにアップルのエコシステムに参加している顧客は、統合された機能のためにApple Watchを使い続けるからです」と分析しています。

Apple Watchの「時間を知る」以上の実用性が、個人の限られた資金の中で「単なる嗜好品」である宝飾品よりも優先されるのは、十分有り得ることと思われます。

ウォッチフェイスなど盤面は変えられるものの外形のデザインは画一的なApple Watchですが、より普及台数が伸びれば、ケースのバリエーションも増えてファッション性が強化されるのかもしれません。

Engadget 日本版からの転載。

新Apple Watchの「炎」文字盤は実際の炎を撮影したもの

Apple Watch Series 4では、これまでよりも大きなディスプレイが採用された。角は丸くなりベゼルも薄くなった。そして新しくなったディスプレイをより魅力的なものとするため、新たに炎と水、、液体金属、および煙などをイメージした文字盤が導入されている。そしてこの新文字盤はCGによるものではなく、スタジオでの実写によるものなのだということだ。

こうしたイメージを小さなディスプレイに表現する場合、CGが用いられるのが一般的だ。しかしAppleは実際に撮影したものを利用することを選んだ。

Cool Huntingで、撮影の様子が公開されていた。ちょっとこれは一見に値する。

映像にあるように、火炎放射器を使ったり、大量に貯めた水の上で風船を破裂させたり、カラーパウダーを用いて爆発の様子を再現したり、液体金属を撹拌してその様子を撮影したりもしている。

これがつまり、Appleの文化ということなのだろう。楽な方法を選ばず、存分に予算を投入するという文化だ。

ついでといってはなんだが、新しいApple Watchを紹介するビデオも掲載しておこう。

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(翻訳:Maeda, H

Apple Watchは最初の心電計ではないが、消費者に与える影響は膨大だ

Apple’s COOのJeff Williamsは、Apple Watchが一般販売用心電計としてのFDA認可を受けたと、Apple本社で行われたスペシャルイベントで高らかに宣言した。Appleはものごとの最初になるのが大好きだが、この陳述は虚偽である。

AliveCorはKardiaMobileという製品で昨年11月以来「初」の称号を保持している。KardiaMobileは100ドルのスティック型デバイスで、スマートフォンの背面に取り付けて使用する。しかも皮肉なことに、同じくFDA認可を受けているKardiabandは、Apple Watchと共に使うブレスレット型心電計でAppleストアで販売されており、今週FDAがAliveCorのテクノロジーを使って血液検査をすることなく血液疾患のスクリーニングを行うことにゴーサインを出したばかりだ。

しかし、Apple Watchは幅広い消費者に影響をあたえる最初の製品になる可能性をもっている。まず、Appleは世界ウェアラブル市場の17%という確固たるシェアを持っており、2018年だけで推定2800万台を売っている。AliveCorのKardiabandとKardiaMobileの販売台数はわからないが、これに近い数字であるとは考えられない。

もう一つ、多くの人は、たとえ自分の心臓の状態に不安をもっていたとしても、それを調べるためだけの装置を買うことには抵抗があるだろう。自動的な統合によって、関心のある人たちが別製品を買わずに測定を始めやすくなる。さらに、心臓疾患は米国で最大の死亡原因であり世界人口の大きな部分に影響を与えているにもかかわらず、おそらくほとんどの人は自分の心拍リズムを日々考えることがない。心電計を腕時計自身に組み込むことで、モニタリングすることへの障壁が減り、一部の人がもつであろう心臓の状態を知ることへの恐怖を取り除くことができるかもしれない。

そして、Appleブランド自体の存在がある。今や多くの病院がAppleと提携してiPadを使っていることから、Apple Watchでも協業体制をとると考えることは理にかなっている。

「医者や病院も健康保険会社も自家保険の雇用者も、Apple、XiaomiFitbit、Huawei、Garmin、Polar、Samsung、Fossilその他のウェアブルメーカーと個別の提携を結びたいとは思っていない。必要なのは、どの患者にも適用できるクロスプラットフォーム製品だ」、とCardiogramのファウンダーで、心電計研究者のBrandon BallingerがTechCrunchに語った。「だから、もしAppleが医療のAppleになるのなら、CardiogramかAliveCorはこの分野のMicrosoftになればいい」

Appleの発表は、AliveCorにどう影響するのか? CEOのVic Gundotraは一笑に付した。彼はTechCrunchに、AliveCorのビジネスは大部分がKardiaMobileによるものでApple Watchに統合する心電計ではない、と話した。「Appleは以前からこの手のしくみをWatchに組み込むことを匂わせてきた」とGundotraは言った、「だから予測はできていた」

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Apple Watchシリーズ4とiPhone XS, XRのプロモーションビデオはこちら

Apple Watchシリーズ4とiPhone XS, XRのプロモーションビデオはこちら
Appleはつい先ほど、iPhoneApple Watchの最新機種を発表した。各機種のプロモーションビデオを下に貼ってある。例によってAppleの最高デザイン責任者、Jony Iveがナレーションを担当し、ビデオは新製品のさまざまな機能を映し出していく。

more iPhone Event 2018 coverage

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

リーク写真の新Apple Watchは縁なしディスプレイ搭載

新しいiPhone XSのリーク写真のスクープに続いて、9to5Macが来るべきApple Watch 4の写真も入手した。新しいウォッチはエッジ・ツー・エッジの縁無しディスプレイを擁し、発表されたばかりのAppleプレスカンファレンスで9月12日にiPhone XSと共に披露されると思われる。

来るべきApple Watchの写真(9to5Macは「画像処理ではない」と言っている)は、既存のモデルと明らかに違っている。ディスプレイは時計前面の縁まで伸び、Appleは2015年の発売以来最初の本格的デザイン変更を計画しているという と一致している。

アナリストらは、新ウォッチのディスプレイは15%大きくなり、バッテリー寿命が伸び、ヘルスモニター機能がアップグレードされると 予測している。

画像クレジット:9to5Mac

Appleは大きくなった画面を生かして、いっそう多くの情報を新しい文字盤に詰め込もうとしているようだ。

9to5Macが掲載した画像(上図参照)には、アナログ文字盤に温度、ストップウォッチ、天気、アクティビティリング、日付、音楽、予定、さらにはUVインデックスまで表示されて混雑している。これらは文字盤そのものの外側、内側、針の下にも散りばめられている。
これは少々やりすぎと言わざるを得ない。しかし、おそらくこの画像はカスタマイズ可能な文字盤に表示できる要素を可能な限り載せたもので、推奨例ではないだろう。

もちろん、すでにこのルックスに関する議論は始まっている。新しい文字盤や装飾などを熱狂的に推す意見もあれば、それ以外の——慎重に楽観的な意見もある。

写真には、デジタルクラウン(竜頭)下に新しい穴が一つ見える。これは追加のマイクロホンだろうと記事は伝えている。

それ以外の変更は、ハードウェアのアップグレードもwatchOSソフトウェア機能の追加もまだわかっていない。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

FossilのAndroid Wearファッションウォッチが心拍計などフィットネス機能を充実

バッグや腕時計など、伝統的なファッション小物のメーカーであるFossilが、スマートウォッチという形でウェアラブルの世界に入ってきたことは、スタートアップとは別の意味で興味深い。同社のそのQウォッチシリーズの新製品Fossil Q Venture HRとFossil Q Explorist HRは、Fossilの初期のシンプルなウォッチにAndroid Wearの機能をたっぷり盛り込んでいる。いわばこれらは、フィットネスのファンのための、良くできた低価格のスマートウォッチだ。〔*: HR==heart rate==心拍数〕

最初のQウォッチはアナログの文字盤と歩数計をハイブリッドした巧妙な設計だった。しかしウェアラブルをやるようになると、同社はAndroid Wear路線を選んで低電力消費のタッチスクリーンウォッチをいくつか出した。しかし今回は新しいチップセットを採用して、大量の機能をうまくまとめることに成功した。VentureとExploristにはテザリング不要のGPS, NFC, 心拍計があり、電池寿命は24時間だ。高度計やジャイロセンサー(角速度センサー)もある。

これらの新型ウォッチは255ドルで、QualcommのSnapdragon Wear 2100チップを搭載している。それは、フィットネスウォッチ向けに最適化されているチップセットだ。

形とバンドは複数種類あり、文字盤は36種ある。それらの中にはフィットネス機能だけに専門化した文字盤もある。Google Payで支払決済もできるが、Apple Payはサポートしていない。コンテンツを保存して歩行やランニング時に見たり聴いたりできる。防水だから水泳の計時もできる。VentureとExploristはそれぞれ、40ミリと45ミリだ。ストラップは交換できる。スイス製の1万ドルの名品ではないが、ルックスも機能もとてもいい。

〔関連記事: ウェアラブルオペレーティングシステムAndroid Wearが‘Wear OS by Google’に改名

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

iPhoneやiPad、Apple Watchを医療現場で活用ーーOchsner Health Systemが目指す“ヘルスケア変革”

国際モダンホスピタルショウで公演を行うOchsner Health SystemのRichard Milani氏

医療機関が抱える数々の問題をAppleのiOSデバイスなどを連携しアプリを導入することで解決へと導く。それがOchsner Health System(オシュナー・ヘルスシステム)のRichard Milani氏が抱えるミッションだ。

Ochsnerは、30の病院、プライマリケアを含む80を超えるクリニックからなり、急性期および慢性期医療を提供するアメリカ南部沿岸地域で最大規模の非営利大学医療センター。Milani氏はドクターでありながら、病院経営を改革すべくChief Clinical Transformation Officerとして病院の改革に注力する。現場にiPhoneやiPad、Apple Watchを導入し、医療のIoT化でヘルスケアの変革を推進している。

そのMilani氏が7月12日、東京ビッグサイトで開催された「国際モダンホスピタルショウ」にて「iPhoneやiPad、Apple Watchを活用したヘルスケア変革の実現」と題された国内初の特別公演を行った。

その公演の一部をTechCrunch Japanの読者にも共有したい。

Milani氏の話だと、医師は1日に平均にして約2300メートル、病院内を歩くのだという。「患者の情報を得る必要がある度に固定のワークステーションに立ち寄る手間を想像してみてほしい」と同氏は話した。病院は果てしなく広く、部屋数も膨大だ。施設内を移動中、どこでも必要な情報を得られることは医師や看護師だけでなく、もちろん誰よりも患者にとって大きなメリットとなるだろう。

Ochsnerでは現在、医師や看護師はiPhoneやiPadを操作することで患者のカルテやヘルスケア関連のデータを閲覧し、緊急時などにはApple Watchで通知を受け取っている。

Epic Systemsのアプリ「Haiku」を使い、勤務前に、前夜に入院した新しい患者の情報、担当患者の状況について確認。院内では「Canto」アプリを使い、カルテや検査結果、ラボからの報告、バイタルサイン、トレンドレポートなどの確認を行っている。こうすることで、医療機器を操作したり、紙のカルテをチェックしたり、などの手間を省くことに成功している。

また、患者は入院時にiPadを渡され、「MyChart Bedside」アプリを使うことで検査結果や服用中の薬、担当ケアチーム、スケジュールなどを確認することができる。医師や看護師の顔を覚えることが簡単になり、メッセージを送ったりすることで従来以上に密なコミュニケーションを図ることも可能だ。

日本でもOchsnerと同様の取り組みは実際に行われてる。例えば、新百合ヶ丘総合病院では2017年11月20日より、同院いわく「国内初」の試みとしてApple Watchを本格導入した。2014年8月電波環境協議会が出した「医療機関における携帯電話等の使用に関する指針」により、院内における携帯電話の利用が事実上解禁され、デバイスを医療・看護の現場で活用しようとする動きが高まった、と同院は言う。

Oschsnerの技術的革新はiOSデバイスやアプリの導入だけにとどまらない。2018年2月18日に発表しているとおり、EpicとMicrosoft AzureのAIとクラウドの技術を使い、急な心停止や呼吸停止、敗血症などを事前に察知する取り組みを開始している。これはカルテや検査・診断結果などの電子化によって成し得たと言っていいだろう。

AIは全ての患者のトータルで10億にもおよぶ医療情報を網羅し、次の4時間以内に起こり得る急な病状の悪化を察知するのだという。その短い時間内に対応するため、Ochsnerでは特別な医療チームが編成されている。チームのメンバーはApple Watchを身につけており、通知を受け取ることで急な対応を行うことが可能だ。「これがデジタルトランスフォーメーションの成果だ」とMilani氏は語る。「患者のケアを人類が今まで成しえなかった形で行うことができる」(Milani氏)

慢性疾患の退院後のモニタリングにもAppleデバイスはその力を発揮する。Milani氏は退院後、多くの患者が必要な服薬をしないのだという。だがHealthKitとEpicアプリ導入済みのApple Watchは患者に服薬のリマインドを通知。血圧や心拍数を計測してモニタリング目的のためクリニックにその情報を送信する。

続けて、OchsnerがなぜAndroidでなくAppleのiOSデバイスなどを採用しているのかを説明したい。何故ならその理由が単に「林檎のマークが格好いいから」というだけではないからだ。公演後、Milani氏はその理由を別室でのグループ・インタビューで詳しく解説してくれた。

インタビューに応じるMilani氏

Milani氏はAppleのデバイスは「操作が簡単・セキュリティーが高い・ハッキングが難しい」と公演中繰り返していた。それとは別に、「Android端末は作っている会社も機種数も多い」という点も、Appleのデバイスに限定している理由なのだという。グループ・インタビューに同席したAppleのWorldwide Healthcare Markets担当者Afshad Mistri氏は「Androidと聞くと1つの大きなファミリーに思えるかもしれない」と話し、だが実際には14000以上のAndroid端末が存在する、と説明。各Android用にインターフェイスを作るとコストが嵩んでしまうとMilani氏は語った。

Ochsnerが行なっているiPhoneやiPad、Apple Watchの導入による医療現場のIoT化は医師や看護師の負担を軽減しているだけでなく、患者のとのコミュニケーションや急な病状変化への対応、退院後のフォローアップにも大いに役立っている。日本でも今後、医療現場のイノベーションがさらに加速することを期待したい。