マイクロソフトがマルチクラウド管理サービス「Arc」にデータサービスを導入

マイクロソフトは米国時間9月22日、Azureの顧客が同社の競合他社を含むクラウドとオンプレミスのデータセンターを横断してワークロードを実行・管理できるようにするマルチクラウドサービス「Arc」のメジャーアップデートを発表した。2019年のMicrosoft Igniteで初めて発表されたArcは、ユーザーがサーバを管理するのを支援するだけでなく、Azure SQLやAzure Database for PostgreSQLのようなデータサービスを、データが置かれている場所の近くで実行できるようにすることを常に意識していた。

本日同社は、予想どおりAzure SQLやAzure Database for PostgreSQLをサポートしたAzure Arc対応のデータサービスのプレビュー版を発表し、この約束を果たした。さらに、Arcの中核機能であるArc対応サーバの一般提供も開始した。これらはサービスの中核を成すツールであり、標準のAzure Portalを使っている企業が、マルチクラウドとエッジ環境でWindowsとLinuxサーバを管理・監視できるようになる。

画像クレジット:Microsoft

同社のAzure Data担当コーポレートバイスプレジデントであるRohan Kumar(ローハン・クマー)氏は「企業が各社のアプリケーションモデルやビジネスモデルでクラウドの利便性を享受しつつ、特定のアプリケーションとワークロードをオンプレミスで維持する必要性を両立させたいというニーズは以前からありました」と説明する。「実際、多くの顧客がマルチクラウド戦略を採用しています。場合によってはコンプライアンスのためにデータを保存する必要があります。多くの企業は既存の投資を最大化したいと考えていますし、彼らは多額の設備投資を行っているのです」と続けた。

クマー氏が強調したように、同社は例えばコンテナアーキテクチャの採用やArcを使用するために特殊なエンジニアリング機器を交換するなく、顧客がいる場所で顧客に対応したいと考えている。「ハイブリッドとは、顧客に柔軟な選択肢を提供し、顧客のいるところで顧客に対応することであり、ソリューションを規定することではない」と続ける。

同氏はこのアプローチがソリューションのエンジニアリングをより難しくしていることを認めたが、チームはベースラインをコンテナのエンドポイントにして、それ以上は何もしないことにした。そしてほとんどの場合、同社のエンジニアがすでに使っていたツールをパッケージ化して自社のインフラ上でAzureサービスを動かし、それらのサービスをマルチクラウド環境で管理することができる。

「振り返ってみると、最初は少しやりがいがありました。なぜなら最初に構築したときには、こんな風にパッケージ化するとは想像もしていなかったからです。しかし、これは非常にモダンなデザインポイントです」と同氏。しかしその結果、Azureの場合と非常に似ているので顧客サポートは比較的容易になったとのこと。

クマール氏によると、Azure Data Servicesのセールスポイントの1つは「Azure SQLのバージョンが基本的に永続的であり、SQL Serverのライセンスやサポート終了に関する質問を気にする必要がないことだ」という。

Microsoft Ignite

画像クレジット:porcorex / Getty Images

原文へ

(翻訳:TechCrunch Japan)

CodementorのCode Against COVID-19事業でボランティア作のコロナ対抗ソフトウェアを登録/発見できる

ソフトウェアのデベロッパーをオンラインで教育するCodementorが、パンデミックと戦うソフトウェアプロジェクトCode Against COVID-19を立ち上げた。それはCodementorの収益事業ではなく、プログラマーたちを、援助を必要としている大学や非営利団体や地方行政などの機関および組織に結びつけることが狙いだ。

Code Against COVID-19が今展開している事業Safe PathsCovid Watchは、COVID-19の拡散を防ぎ個人のプライバシーを護るためのツールを作っている。またそれは、デベロッパーをHospital@homeのような草の根プロジェクトに結びつける。新型コロナウイルスの広がりを止めるためのジオフェンシングアプリ(境界線作成アプリ)を作っているUXデザイナーらにも、プログラマーの助けを提供する。

Codementorのプラットホームには今、世界中のデベロッパーが数十万人いる。そしてCOVID-19関連のソフトウェアを作るために、プログラマーの助けを必要としている企業や行政機関が多いことを知った同社は、そのコミュニティに呼びかけた。創業者でCEOのWeiting Liu氏によると、98%が協力の意思を表明し、そこから、プログラマーとプロジェクトを早く結びつけるCode Against COVID-19が発足した。

今のところ、無料または報酬が低くても長期プロジェクトに関われる、という登録プログラマーが200名あまりいる。

Liu氏が住んでいる台湾は、中国に近いにもかかわらず、ロックダウンをせずにCOVID-19の大規模なアウトブレークを防いでいる

Liu氏が本誌TechCrunchの取材に応えて語ったところによると、Codementorのチームは台湾政府のデジタル大臣Audrey Tang氏が指揮するソフトウェアプロジェクトの成功に刺激された。その中には台北の全市的警報システムや、配給品のマスクの在庫がある薬局などが分かる地図がある。後者は、長い行列ができるのを防止する。

「ソフトウェアで世界を変えられると信じてきた人にとっては、今が絶好の機会だ」、とLiu氏は語り、Codementorの台湾のチームはほかの国も助けたいと思っている、と述べた。「台湾の今の状況は幸運だ。ロックダウンで子どもたちと家に閉じ込められることもない。比較的安全だから、コミュニティを助けることができる」、と彼は言う。

プログラマーが出動するボランティア事業として、ほかにCoding DojoのTech for Americaがある。こちらは中小企業のWeb開発を助けている。またHelp with COVIDには、世界中から1万名あまりのデベロッパーが自作のCOVID-19関連ソフトウェアプロジェクトを登録している。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

ARMv8-M向けにカスタムインストラクション機能を導入

米国時間10月8日、米国サンノゼで開催された今年のTechConイベントでArmCustom Instructions(カスタムインストラクション、カスタム命令)を発表した。ARMv8-Mアーキテクチャの組み込みCPU用の新機能で、顧客は組み込みシステムやIoTのアプリケーションなどで、特定のユースケースに最適化できる独自のカスタムインストラクションを書けるという機能だ。

The logo of British technology company ‘arm’ is pictured at the Mobile World Congress (MWC) in Barcelona on February 28, 2019. – Phone makers will focus on foldable screens and the introduction of blazing fast 5G wireless networks at the world’s biggest mobile fair as they try to reverse a decline in sales of smartphones. (Photo by Pau Barrena / AFP) (Photo credit should read PAU BARRENA/AFP/Getty Images)

本日の発表に先立ってARMの自動車とIoT事業担当シニアディレクターであるThomas Ensergueix(トーマス・エンセルグエイ)氏は「開発を支援する方法はすでにあるが、それはCPUの心臓にまで達するような深いものではない。今回弊社が顧客に提供しようとしているのは、独自のインストラクションをプログラムでき定義できる自由度であり、そしてそれらをCPU自身が実行できることだ」とコメントした。

彼は、最適化のためのオプションがARMには常にあったことを指摘する。それは専用バスでGPUに直結するためのメモリマッピングのアーキテクチャに始まり、現在のニューラルプロセッサーユニットに連なる。これによりCPUとアクセラレータ(GPU)が並列に動くが、データの通り道となるバスがボトルネックになる。顧客はCPUに直接接続されているコプロセッサー(浮動小数点演算プロセッサ)を使うことができるものの、本日の発表ではARMの顧客は独自のアルゴリズムにより、それらをCPU上で直接動かせる。これによりレイテンシーは下がるが、メモリマップド(GPUなどの外部チップとデータをやり取り)する手法とは異なり並列では動かせない。

arm instructions

ARMの主張では、この機能によって顧客のワークロードを低コスト低リスクで効率化でき、CPUの既存機能に対する妨害が何もない。しかも顧客は、すでに慣れ親しんでいる既存のスタンダードなツールをそのまま使える。

custom assembler当面、カスタムインストラクションを実装できるのはArm Cortex-M33 CPUのみで、2020年の前半から可利用になる。しかし将来は、すべてのCortex-Mプロセッサーがデフォルトで利用できる。顧客に新たな費用やライセンス料は発生しない。

エンセルグエイ氏が指摘するのは、今後インターネットに接続されたデバイスがますます増えるとともに、ARMの顧客は自分が使うプロセッサーを独自のユースケースに合わせて最適化したくなるということだ。そして、そんなときカスタムインストラクションを作れれば、デバイスの電池寿命を延ばすことなどが可能になるだろう。

ARMはすでに、カスタムインストラクションでIAR SystemsやNXP、Silicon Labs、STMicroelectronics(STマイクロエレクトロニクス)などをパートナーにしている。

NXPのマイクロコントローラー担当上級副社長兼ジェネラルマネージャーであるGeoff Lees(ジェフ・リーズ)氏は「当社のようなシリコンサプライヤーは、ARMのカスタムインストラクションがあれば顧客により高度なアプリケーション固有の命令(インストラクション)の最適化を提供して、これからの時代の組み込みアプリケーションのパフォーマンスや電力消費、コードサイズの安定などの面を改善してもらえる。しかも、これらすべての改善がCortex-Mの幅広いエコシステムの中でできるので、顧客の既存のソフトウェア投資の効果が最大化される」と語る。

なお、組み込み関連のもうひとつのニュースとしてARMは本日、Mbed OSのガバナンスモデルのセットアップを発表した。この組み込みデバイス用のオープンソースのオペレーティングシステムは、ARM Cortex-Mチップで動く。Mbed OSそのものは常にオープンソースだが、Mbed OS Partner GovernanceモデルではARMのMbedシリコンパートナーたちが、毎月のProduct Working Groupのミーティングなどで、OSの開発について注文をつけられる。Analog Devices(アナログ・デバイセズ)やCypress(サイプレス)、Nuvoton(ヌヴォトン)、NXP、Renesas(ルネサス)、Realtek(リアルテック)、Samsung(サムスン)、そしてu-bloxなどがすでにこのグループに参加している。

[原文へ]

(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa