【コラム】離陸間近なeVTOLにまつわる2021年4つのトレンド

数十億ドル(数千億円)の資金と数十件の契約と1件の法廷闘争。2021年はeVTOL(電動垂直離着陸機)にとって忘れがたい1年だった。大手航空セクターが新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミックによる落ち込みから徐々に回復するのに忙しい中、スタートアップはスピードを上げている。

以下に、第一線アナリストと投資家に追いつくべく、2021年eVTOLが巻き起こしたトレンドを紹介していく。これらのトレンドは今後数年も影響を与え続ける可能性が高い。

誰がSPACといった?

Archer Aviation(アーチャー・アビエーション)、Joby Aviation(ジョビー・アビエーション)、Lilium(リリウム)、Vertical Aerospace(バーチカル・エアロスペース)。eVTOLを開発している、という以外の共通点は何か。4社とも、2021年白地小切手会社との合併を発表あるいは完了した。そしてこの生まれたばかりで、現実離れしているとさえ思えるテクノロジーに、あきれるほど巨額な資金が注入されている。

もし2021年が、eVTOLの世界で何かしら記憶に残る年になるなら、巨額な資金がこの業界に流れ込んだことが主な理由だ。3つのSPAC案件だけで(JobyArcher、およびドイツのデベロッパーLilium)総額25億ドル(約2852億円)以上の資金を獲得し、Jobyの調達額はその半分近い11億ドル(約1255億円)に上る。垂直離着陸機は、SPACを挙って公開市場への乗り物に使った唯一のモビリティテクノロジーではないが、そのおびただしい案件数は、2021年の傑出したトレンドの1つであることに間違いない。

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「現在のeVTOL業界が、以前、例えば1年前と何が違っているかといえばそれは資本の入手です」とMorgan Stanley(モルガン・スタンレー)の航空宇宙・防衛上級アナリストであるKristine Liwag(クリスティン・リワグ)氏は説明した。

この並外れた資金流入が意味しているのは、これらの企業は自社の飛行機が商業運用に必要な連邦航空局の認可を得るための、長くて徹底したプロセスを通過するための重要な資金を手にしているということだ。それが十分であるかどうかは別問題であり、各企業の進捗と費用効率による。

テクノロジーを商業化するための高いコストが、SPACトレンドへと走らせた可能性は高い。航空産業は資本集約的ビジネスであり、eVTOLの設計から生産、認可までには10億ドル(約1141億円)程度必要だと多くの人は考えている。

「私にとって最大の驚きは、第一線スタートアップの多くが、自社製品を認証完了までもっていくための予算を獲得する方法を見つけたことです」とIDTechExのテクノロジーアナリスト、David Wyatt(デビッド・ワイアット)氏はいう。「今ある数多くのテスト機がプロトタイプ状態から確固たる本格的eVTOLへと飛躍する大きな一歩であると感じています」。

SPAC以外でも、eVTOL企業へのベンチャー投資は少なくなかった。2021年は巨額の調達ラウンドが見られた年でもあった。たとえばBeta Technologies(ベータ・テクノロジーズ)の3億6800万ドル(約420億円)のシリーズAやXpeng(シャオペン)が支援するHT Aero(HTエアロ)の5億ドル(約571億円)のシリーズAなどだ。

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「2021年は、『認証はとれるのか?』を質問するだけの年でした」とSMG Consultingのファウンダー・パートナー、Sergio Cecutta(セルジオ・セクッタ)氏がいう。「これからの質問は、認証はいつとれますかです。『本当に飛べるの?認証は取れるの?」という段階は過ぎました。いずれも可能です。あとは、気合を入れと取りかかるだけです」

地上での動き

エアタクシー開発者が力を入れているのは飛行機だけではない。電動飛行機の市場を現実にするためには必要なことがたくさんある。地上インフラ、すなわちバーチポート(垂直離着陸要飛行場)あるいは空港内の専用エリア、および十分な電力を供給するための充電ポイントだ。

この部分でやるべきことは「やまほど」あるが、2021年にeVTOL運用会社らが、商業運用開始に必要な基盤を5年以内に確立するための作業開始に向けてスタートを切ったことは注目に値する。たとえばLiliumとABB E-mobilityは、Lilium Jetのための充電インフラストラクチャ提供で提携し、JobyとArcherは駐車場所有者のREEF Technologyと提携、Verticalとヒースロー空港は、空港運用にeVTOLを組み込む方法を共同で検討している。

Archer、Joby、Volocopter(ボロコプター)の3社もロサンゼルスのUrban Movement Labs(アーバン・ムーブメント・ラボ)と協力して、都市型エアモビリティを既存のインフラや輸送ネットワークに統合する方法を探っている。

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「各空港がこの問題を本気で考え始めていることを私は知っています」とJetBlue Technology VenturesのプレジデントであるAmy Burr(エミー・バー)氏はいう。「空港で何らかのインフラストラクチャー・プロジェクトに携わっている人なら誰でも、バーチポートを置く必要があるかどうかを考えています」。

(不確定な)発注

最後に、2021年に我々は、eVTOL機の大量発注が始まったのを見た。もちろん、United(ユナイテッド航空)がArcher Aviationに10億ドルの発注を行ったというニュースのためだ。その後、Embraer(エンブラエル)が支援するエアタクシーデベロッパーであるEve Urban Air Mobility(イブ・アーバン・エア・モビリティが発注、UPS(ユーピーエス)がBeta Technologiesに発注、そしてVertical Aerospaceが1350台の条件付き先行予約を受けるなど次々と注文が続いた。

はっきりしておく必要があるのは、どの発注も確定ではないことであり、商業製品が未だ実在していないことを考えれば当然である。開発、認証の完了が条件であり、他にも性能面の条件がある可能性が高い。

それでも、たとえ個々の企業にとっては気を抜けない状況であっても、業界にとっては有望な兆候だ。

「これらの飛行機に明確な市場が存在していることは、有望だと思っています。航行許可を得て、飛べるようになりさえすれば、市場は十分な関心を持っている、という確信を与えるものです」。

伝統的メーカーも参入を伺う

2021年で注目すべき最後のトレンドが、活発化する伝統的自動車メーカーの動きだ。ほとんどの見出しはスタートアップが占めていたかもしれないが、古くからいる伝統的企業も電動飛行機の可能性に気づき始めている(中でもBoeing[ボーイング]やAirbus[エアバス]をはじめとする伝統的航空機会社は、eVTOへの強い関心を示している。BoeingはKitty Hawk[キティ・ホーク]とWisk Aero[ウィスク・エアロ]とのジョイントベンチャー、AirbusはCityAirbus NextGenのeVTOLコンセプトを発表している)。

自動車メーカーでは、Hyundai(現代、ヒョンデ)が目立っている。この会社は2020年のCESでeVTOLのコンセプト・デザインを披露し、2021年はSupernal(スーパーナル)の名前で都市型エアモビリティ事業を正式発表した。Honda(ホンダ)はハイブリッドeVTOLの開発計画を正式発表した。同社はこれを、つながるアプリやHondaの自動車を含む「モビリティー・エコシステム」の一環と位置づけていることが注目の理由だ。そして、もちろん、中国の自動車メーカー、Xpeng Motors(シャオペン・モーターズ、小鵬汽車)は10月末、都市型エアモビリティ子会社、HT Aero(HTエアロ)が、eVTOL機コンセプト開発のために5億ドルを調達したと発表した。

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いずれの動きも注目に値する。なぜなら主要自動車メーカーはeVTOLプロジェクトを進めるために必要な資本と生産基盤の両方を持っているからだ。それは成功を保証するものではもちろんなく、これらの大企業にスタートアップと同じようなプレッシャー(もモチベーション)もないが、今後注目し続けるべきであることは間違いない。

画像クレジット:Bryce Durbin

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Nob Takahashi / facebook

エアタクシー離陸に向けたロサンゼルスの取り組み

配車サービスやeスクーターなどの製品を提供している企業は、発生する問題の数を超えるペースでさまざまな問題を解決していくと約束してはいるものの、米国中の都市の交通は混乱状態だ。ロサンゼルスは、CO2排出量ゼロの交通機関を導入しようと躍起になっており、エアタクシーの導入では過去の過ちを繰り返さないようにしたいと考えている。


ロサンゼルスでのエアータクシー導入の準備を進めるため、ロサンゼルス市長Eric Garcetti(エリック・ガーセッティ)氏の肝いりで設立された非営利組織が、2020年代後半に予定されている商業運転の開始に先立ち、エアタクシーの開発元および地元住民と協力して、ポリシーツールキットの開発に取り組んでいる。

しかし、その前に多くの問題を解決する必要がある。第一に、エアタクシーは、連邦航空局の認可を受ける必要がある。これ自体、大変な仕事だ。しかも認可を受ける前に、サービス提供企業はインフラの構築計画を立てる必要がある。つまり、エアタクシーのバーティポート(垂直離着陸機用の離発着ターミナル)の建設だ。ところが、これには騒音、都市計画法などの現実の問題がともなう。これらは、市民だけでなく交通網にも影響を及ぼす可能性のある問題だ。

Urban Movement Labs(UML)は、2020年に市長の経済開発局からスピンアウトして設立され、市のモビリティの未来を形成するという目的で、501c(3)非営利独立組織となった。2021年、同組織は市長室およびロサンゼルス運輸局と都市航空モビリティ(UAM)の推進で提携し、UAMを市の既存のインフラおよび交通網に統合し、なおかつ公平性とアクセス性が最大化されるようにするための具体的な取り組みを進めている。

このパートナーシップに資金を供給したのは、Archer AviationとHyundaiの都市エアモビリティ部門だ。

「HyundaiとArcher Aviationからは、このポリシーツールキットの開発支援を重視するという確約をいただいています」とUMLのエグセクティブディレクターSam Morrissey(サム・モリシー)氏は、最近行われたインタビューに答えて語った。「このポリシーには、エアタクシーの飛行区域、飛行経路、民間機専用空港以外で着陸が許可される場所についてのポリシー、その他バーティポートの計画に関連するポリシーが含まれます」。

Joby Aviationは設立当初からUMLと協力を続けている。また、ドイツのUAM開発企業Volocopterが2021年10月初め、最新のパートナーとして新たにUMLに参加した。

「私たちの役割は、ロサンゼルスへの新しいテクノロジーの導入を促進することです」とモリシー氏はいい、Uber、Lyft などの輸送企業およびスクーターレンタルサービス登場後の状況のように、新しい輸送テクノロジーが導入されてから慌てて規制を整備するようなことは避けたいと考えていると付け加えた。

「2016年にUber Elevateが米国の各都市でエアタクシーを巡航させるという話を始めたとき、ロサンゼルス市は「この問題に注力できる別の組織が必要だ」と述べている。

インフラストラクチャの課題

UMLは、自身を、ロサンゼルス市、民間企業、そして何より、ロサンゼルス市民の三者間の橋渡し役と考えている。この三者の展望は必ずしも一致していない。特に、電気エアタクシーの導入には、火災の危険性、飛行区域、騒音、利害関係者間で意見の食い違いが生じるさまざまな問題など、解決すべき特殊な課題がある。

バーティポートについて考えてみよう。航空機の認可は完全にFAAの管轄だが「新しいインフラをゼロから構築する必要がある場合は、地方自治体と市の問題であることは明らかです」とJoby Aviationの政府業務関連担当主任GregBowles(グレッグ・ボウルズ)氏は説明する。「(エアタクシーの)利用方法、アクセス、許可はすべて自治体の問題です」。

モリシー氏によると、各企業は飛行経路の策定を、例えばUberのプレミアムサービスであるUber Blackが現在主にどこで利用されているかを見るという具合に、マーケットの観点から考えているが、UMLは、これを地域計画のアプローチに重ね合わせることで、UAMが既存の交通網を長期的にどのような形で支えるようになるのかを説明したいと考えている。

敷地と都市区画法の問題もある。かつてバーティポートの敷地候補となった場所が突如として浮上してくるニンビー主義についてはすぐに想像できるが、その他にも、航行速度や1時間あたりのフライト数なども、特定の敷地を利用できるエアタクシー業者の数に影響を与える可能性がある。

Archer AviationとJoby AviationはどちらもREEF Technologyとの民間提携を宣言して、立体駐車場などの資産をバーティポートとして再利用することを考えているが(UMLも立体駐車場はいろいろな意味で極めて合理的だという認識を示している)、エアタクシーが実際に顧客を乗せて飛行するには、市自体の規制も考慮に入れる必要がある。

「立体駐車場の屋上階を歳利用するのは良いアイデアですが、最終的にはビルの安全性部門が、こうした立体駐車場はエアタクシーを支えるだけの強度があるのかとか、消化設備は十分に備わっているのかといった問題を調査する必要があります」とモリシー氏はいう。

バーティポートを専用利用にするのか企業間で共有するのか、また専用と共有の割合をどくらいにするのかというのも大きな問題だ。エアタクシーの離着陸サイトとしては、空港ゲート型(均一的ですべての航空会社によって共有される)、ガソリンスタンド型(ブランド化されており、競争が激しく、施設も異なる)などが想像できる。この点も、市、住民、エアタクシー企業の間で対立が生じる可能性がある。

とはいえ、少なくとも最初は、大半の企業が、(例えば騒音や料金などについて標準を設定するなどして)連携するほうが、各企業で個別に取り組むよりも全体的な商業化と採用への近道になると考えるだろう。

「私たちはバーティポートを競合スペースとしては見ていません」とJoby Aviationのバーティポート標準化作業についてボウルズ氏はいう。「バーティポートは絶対に必要ですから、他の多くのOEM業者や将来のエアタクシー事業者と協力して取り組んでいます」。

画像クレジット:Joby Aviation

最後の質問はもちろん、誰が費用を支払うのかという永続的な問題だ。

「将来のバーティポートについて考える場合は、さまざまな課題について検討する必要があります。建設費用と運営費用の負担、バーティポートを利用できる人についての市との話し合い、自由にアクセス可能にするかどうかについてのコミュニティ側から見た賛否両論などです」とArcher Aviationの事業開発担当主任Andrew Cummins(アンドリュー・カミンズ)を氏はTechCrunchによる最近のインタビューで語った。

UMLの都市エアーモビリティ担当フェローClint Harper(クリント・ハーパー)氏もカミンズ氏と同意見だ。ロサンゼルス市は「OEMあいまい性」を好んでいることを明言してきたものの、最終的な交通網の大半は、バーティポートが完全に民間によって建設されるのか、官民連携で建設されるのかによって大きく異なってくる。「完全な民間と官民連携とでは、インフラを現実化するための財源モデルも異なります」と同氏はいう。「どのような財源モデルを採用するかによって、複数事業者の共有施設になるのか、単一事業者の専用施設になるのかが決まります」。

Volocopterの最高商務責任者Christian Bauer(クリスチャン・バウアー)氏は、すべてのOEMにとって「オープンなシステムが必要」だというのが同社の考えであると語った。「私たちは不動産には投資したくありません」と同氏は付け加えた。

市との協力体制と今後

以上の問題の多くは大きな問題であり、妥協案が成立するまでに数年を要するだろう。というのは、各都市はまだ連邦規制のガイダンス待ちの状態だからだ。ハーパー氏は、FAA、National Fire Protection Association(全国防火協会)、International Code Council(国際基準評議会)の建築基準法の推奨事項の変化に柔軟に対応していくと語った。

エアタクシーOEM業者も自分たちの意向を反映してもらうために連邦レベルでポリシーの策定作業を進めている。Archer Aviation、Joby Aviation、およびVolocopterはすべて連邦の規制担当機関および都市と協力して作業を行っている。

UMLは、2021年の残りと来年を見据え、交通支援グループ(歩行者や自転車の安全支援組織など)およびホームレス問題などを注視している社会問題グループにも接触して、都市航空モビリティ計画の策定方法を把握するつもりだという。過去の過ちを繰り返さないためには、交通計画には公平性がとりわけ重要となる。例えばUnion of Concerned Scientists(憂慮する科学者同盟)によると、有色および低所得のカリフォルニアの住民は排ガスにさらされる度合いが異常に高いという。

市側の作業の大部分は、市の関連部門がバーティポートの建設に関する最新の動向を常に把握している状態にすることだ。具体的には、建設、安全、火災関連部門などが、バーティポートおよび新しいインフラの建設準備のためにフルタイムの職員を割り当てられるようにすることなどがある。

結局のところ、UMLは、順序立てて事を進めていくつもりだ、とモリシー氏は述べた。

「エアタクシーはおそらく現実のものとなるでしょう。私たちはそのためにあらゆる準備を怠らず、ハイプ・サイクルに陥らないようにしたいと考えています」。

画像クレジット:Patrick T. Fallon/Bloomberg via Getty Images / Getty Images

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Dragonfly)

企業秘密を盗用されたと主張するWisk AeroのArcher Aviationに対する仮差止請求を連邦判事が却下

米国時間7月22日、電動航空機のスタートアップ企業であるWisk Aero(ウィスク・エアロ)は、競合企業のArcher Aviation(アーチャー・アビエーション)に対する仮差止請求を、連邦判事に却下された。これは、Archerがその主力製品の航空機「Maker(メーカー)」の開発において、Wiskの企業秘密を盗んだかどうかをめぐり継続されてきた法廷闘争で下された最新の司法判断だ。

意見書の全文はまだ発表されていないものの、William Orrick(ウィリアム・オリック)判事は、先週初めに提出した仮判決の中で、Wiskが提出した「不正使用の証拠は、仮差止を正当化するにはあまりにも不明確である」と述べた。Wiskは5月に差止命令を要求しており、これが承認されると、Archerの事業は事実上、直ちに停止することになる。

Wiskは、Archerによって盗まれ、使用されたと主張する52件の企業秘密を裁判所に提出し、差止命令を求めることで、訴訟の最終判決が出るまでArcherがそれらを使用することを防ごうとした。これは異例の要求であり、オリック判事が不正使用のより確実な証拠を必要とすることは理に適っている。

オリック判事は暫定的な判決の中で「流用の疑いのある証拠はいくつかあるが、証拠が非常に不明確であることから、Wiskは差止命令という特別な対策を受ける権利はない」と述べている。「なぜなら、それらの真価が非常に不明確であり、Wiskは不正使用に基づく回復不能な損害を十分に示すこともできていない。不正使用の確かな証拠がなければ、差止命令はArcherの事業を大きく脅かすことになるため、不利益の比較衡量はArcher側の有利となる」。

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Wiskでは、差止命令に関する裁判官の判断は、訴訟の結果とは関係がなく「少なくともArcherを免責するものではない」と述べている。

「我々は、WiskのIPが盗用されたという確かな痕跡に基づいてこの訴訟を提起しました。そして、今日までの司法手続きを通じて集められた初期の限られた証拠は、ArcherによるWiskの企業秘密の不正流用が広範囲におよび、Archerの航空機開発に浸透しているという、我々の確信を裏付けるものに他なりません」と、Wiskは続けて述べている。「本日の判決を受け、Wiskは本格的に証拠収集を開始します」。

Wiskは2019年に、Kitty Hawk(キティホーク)とBoeing(ボーイング)の合弁会社として設立されたが、その電動航空機開発の歴史はもっと前までさかのぼることができる。同社はもともと2010年にLevtという会社として設立され、後に姉妹会社のKitty Hawkと合併した。Wiskによると、同社は(Kitty Hawkとして)2016年に固定翼に12ローターを採用した機体の設計に着手したという。同社がてがけた最初の航空機である「Cora(コーラ)」は、この設計が中核となっている。

それと対照的に、Archerはこの分野では新参者だ。4月に提出されたWiskの訴状の大部分は、Archerがそのエアタクシーサービスを市場に投入する速さを根拠としている。Archerはまた、多くの元Wiskのエンジニアを採用している。その中には元社員のJing Xue(ジン・シュ)氏も含まれており、Wiskでは同氏が退社前に5000件近くのファイルをダウンロードし、それをArcherに渡したと主張している。

シュ氏は反対尋問を受けた際、現在進行中の連邦捜査を理由に、憲法修正第5条を主張し、自己負罪拒否特権を行使した。

Archerによると、Wiskは訴訟の中心的な主張であるArcherがWiskの企業秘密を受け取って使用したことを示す実質的な証拠を提出していないとのこと。Archerの副法律顧問であるEric Lentell(エリック・レンテル)氏は、Wiskの主張は「陰謀論と明らかな虚偽」に基づいていると述べている。

Archerの共同設立者であるBrett Adcock(ブレット・アドコック)氏とAdam Goldstein(アダム・ゴールドシュタイン)氏は「Archerの勢いと革新の速さを認識したWiskが、自らの成功の欠如を補うために、我々の足を引っ張ろうとして、司法および刑事司法制度を悪用し始めたことは、本件におけるWiskの行動から明らかです」と述べている。

裁判所は8月11日にスケジュール調整会議を開き、そこで裁判官が本件の次の段階について概要を説明する。裁判の日程はまだ決まっていない。

この訴訟は、米国カリフォルニア北部地区連邦地方裁判所に、事件番号5:21-cv-2450として提訴されている。

カテゴリー:モビリティ
タグ:Wisk AeroArcher Aviation裁判

画像クレジット:Youibot / Wisk Aero

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

eVTOLのArcher AviationがライバルWisk Aeroからの企業秘密流用の嫌疑対する差し止め請求に反撃

Archer Aviation(アーチャー・アビエーション)が、競合相手であるWisk Aero(ウィスク・エアロ)から受けている企業秘密流用の嫌疑に対して、対抗活動を強化している。2021年6月初めに、eVTOL(電動垂直離着陸機)の「Make」(メーカー)を発表したArcherは、米国時間6月23日に提出した裁判資料の中で、WiskがArcherの航空機デザインを知ったのは、その特許意匠出願の数週間前だったと主張し、Wiskのデザインを盗んだという主張を実質的に覆した。

Wiskは4月の訴訟で、自社のデザインがArcherのものとほぼ同じものであり、その類似性は、Wiskの元従業員(後にArcherに採用された)が、Wiskで作業に使っていたファイルを盗んだ結果であると主張していた。今回の新たな申請では、Archerが採用を検討していたWiskのシニアエンジニアのGeoff Long(ジェフ・ロング)氏に対して、12ローターを搭載したチルトデザインの計画を共有したのだと主張し、そしてArcherは、Wiskが特許を出願する数週間前に、ロング氏がそのArcherの計画をWiskの幹部に伝えたのだと主張している。

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まだ話についてこれているだろうか?また、Archerは、第三者に依頼してフォレンジック分析を行ったところ、Archerのシステムや、Wiskの元社員だったロング氏が所有するデバイスに、盗まれたとされる文書の証拠は一切見つからなかったとしている。

今回の申請は、ライバルのArcherによって盗まれたとWiskが主張する52のトレードシークレットの使用を、直ちに禁止するよう裁判所に要求した5月の差止命令に対抗するものだ。この要求は、Archerに壊滅的な影響を与える可能性があり、Archer自身もそのことを申請書の中で認めている。Archerは、差し止め命令が承認されると「無期限に活動停止」となり、Archerとそのパートナーやサプライヤーのネットワークに「重大な危機」が生じると主張している。

Archerは申請書の中で「Wiskの訴訟とメディアを使った攻撃は、Archerが予定している合併とそのビジネスパートナーシップを頓挫させる恐れがあり、Archerはこの訴訟に対抗するために多大な資源を振り向けざるを得ない」と述べている。さらにArcherは、差止命令が出される場合には、11億ドル(約1218億5000万円)の保証金が差し出されるべきだと要求した。裁判所がArcher側の主張を受け入れた場合にはWiskはその金額を支払わなければならない。

今回の申請を受けてWiskは、TechCrunchに以下の声明を送ってきた「Archerの今回の申請は不正確なものばかりで、同社が直面している深刻かつ広範な不正使用の訴えから目をそらそうとしているものです。今回の申請によって変わるものはありません。ArcherがWiskの知的財産を不適切に使用したことを明らかにするために、法廷で訴訟を続けることを楽しみにしています」。

この訴訟は、カリフォルニア州北部地区の米国連邦地方裁判所に提訴されていて、事件番号は5:21-cv-2450である。

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カテゴリー:モビリティ
タグ:Archer AviationWisk Aero裁判

画像クレジット:Wisk Aero

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(文: Aria Alamalhodaei、翻訳:sako)

2人乗りの自律型デモ航空機「Maker」をArcher Aviationが公開、商業運航への「足がかり」に

Archer Aviation(アーチャー・アビエーション)は「Maker」(メーカー)と名づけられた自律型電動2人乗り航空機を米国時間6月10日に発表した。同社は同機を、2020年3月に発表済の、より大型の操縦士付き5人乗り航空機の認証取得に向けたテストに使用する予定だ。

6月10日に発表された航空機は、2024年に商業運転を開始した際に空を飛ぶものではない。だがArcherの認証責任者Eric Wright(エリック・ライト)氏は、TechCrunchに対して、自律型航空機から始めることでより効率的にテストプロセスを進めることができると語っている。

ライト氏は「2人乗りのMakerは、認証取得への足がかりとなるものです」と説明する。そして「これは飛行制御システムや電気推進装置など、私たちが認証を受ける航空機に搭載するものについての知識や認識を深めるためのテストベッドです。同時に私たちの試験を通して米連邦航空局(FAA)によるその設計への信頼を深めることができるようにするためのものでもあるのです。もちろん、FAAもその開発を見守ることになります」と述べている。

Makerと、まだ名前の決まっていない5人乗り航空機は、どちらも全部で12個のローターを持ち、そのうち前部6個のローターが傾く「ティルトローター」を採用しているという仕様上の共通点を持つ。このティルト機構により、航空機はヘリコプターのように垂直に上昇し、飛行機のように前進することができる。

両機はまた、それぞれ安全のために6つの独立したバッテリーパックを搭載しており、1つのバッテリーが故障しても残りのバッテリーが作動するようになっている。このバッテリーにより、両機は時速150マイル(時速約241.4km)で60マイル(約96.5km)の航続距離を実現している。2人乗り機は、翼幅が40フィート(約12.2m)で、重量は約3300ポンド(約1498.2kg)だが、より大きな機体ではもっと重くなるだろうとライト氏はいう。

画像クレジット:Archer

パロアルトに本社を置くArcherは、Makerが2000フィート(約608m)の上空から発する音は、わずか45dBだと予想している。この騒音仕様は、エアタクシーへの展開を目指している電動垂直離着陸機(eVTOL)メーカーにとって特に重要なものだ。一般の人々や規制当局に、同機の大量導入が受け入れられる可能性が出るのは、航空機が十分な静粛性を備えている場合に限られる。

Archerは、United(ユナイテッド)航空から10億ドル(約1096億円)の受注を獲得したと発表した後、2人乗り機の高品質なレンダリング画像を公開するなど、ここ数カ月の間にMakerに関する情報を少しずつ提供してきた(なお、このレンダリング画像の公開によって、ライバルのeVTOL開発会社であるWisk Aero [ウィスク・エアロ]から企業秘密の流用を主張する訴訟が起こされた)。米国時間6月10日のイベントは、38億ドル(約4167億円)の評価を受けている同スタートアップが、実際の航空機を一般に公開する初めての機会となった。

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このデビュー機が自律型である理由を聞かれたライト氏は、そのことでテストや検証のプロセスをより効率的に進めることができるからだと答えた。ライト氏は「航空機を自律的に動かすことで、航空機のパイロットが実際に操縦する必要なしに、より迅速に物事を進めることができます」という。「そうすることで、入力に対する機体の反応を、自律的な観点から、より早くより効率的に見ることができるのです」。

自律型エアタクシーが都市部で人々を運ぶようになるのはまだ先のことかも知れないが、Archerは他のeVTOL開発企業と同様に、長期的な青写真の中で、自律型エアタクシーを単に大型機の認証プロセスを促進するものではなく、運用可能な航空機として捉えているのだ。

ArcherのCEOであるBrett Adcock(ブレット・アドコック)氏は、別のインタビューの中で次のように述べている「輸送の世界に本当に大きな影響を与えようとするなら、長期的には、操縦士を使った方法でそれを実現することは本当に難しいと思っています。航空業界に入り、認証を受け、それをすぐにでも実現するという意味では、操縦士を使うやり方は確かに正しい方法だと思います。そして将来的には、乗客とネットワークの両方の安全性を高めるために、自律的な航空業界への移行が重要になってくると思っています。だから、業界がうまくスケールして大きくなるためには、ある程度の自律化は避けられないと思っています」。

創業3年目のこの企業は、2024年にロサンゼルスとマイアミを皮切りに商用運行を開始することを目指している。同社のシステムシミュレーションチームは、VTOL機離着陸場をどこに配置するかを決めるために、Prime Radiant(プライムラディアント)という名のシミュレーションツールを使っている。同チームを率いているのは、2020年12月にJoby Aviation(ジョビー・アビエーション)に売却された、Uber(ウーバー)のエアモビリティ部門Uber Elevate(ウーバー・エレベート)の、元データサイエンス責任者だ。

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またアドコック氏は、エアタクシーのルートを考える際には必ず必要となる、ファーストマイルとラストマイルの車での移動を統合するために、ライドシェア会社との間で話し合いを進めているのだという。

同社の共同創業者であるGoldstein(ゴールドスタイン)氏は、2024年のローンチ予定に先立ち、パートナーである自動車メーカーのStellantis(ステランティス)と2つの施設についての作業を進めていると語った。1つは従来の航空産業のように年間数百機を提供する施設で、もう1つは将来的にさらに大量の航空機を製造する施設だ。

Archerには、自動車メーカーと同様の製造上のニーズがあるとゴールドスタイン氏はいう「多くの部品に軽量のカーボンファイバーを使用し、自動車と同様に電気モーターやバッテリーを使用するのです」。

カテゴリー:モビリティ
タグ:Archer Aviatio自律飛行eVTOLエアタクシー

画像クレジット:Archer

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:sako)

飛行モビリティWisk Aeroが特許侵害と企業秘密盗用の疑いでArcher Aviationを提訴

Kitty Hawk(キティ・ホーク)とBoeing(ボーイング)の合弁会社で、飛行モビリティを手がけるWisk Aero(ウィスク・エアロ)は、米国時間4月6日、Archer Aviation(アーチャー・アビエーション)を相手取り、特許侵害と企業秘密の横領を主張する訴訟を起こした。

Wisk Aeroは訴状の中で、Archer Aviationが機密情報と知的財産の「大胆な窃盗」を行ったと主張している。この訴訟では、2021年2月にArcher Aviationが初めて発表した電動航空機のデザインが、Wisk Aeroの潜在的なデザインの1つをコピーしたものであると指摘。そのデザインは2020年1月に米国特許商標庁に提出されており、類似点があまりにも多く、偶然の一致ではないとWisk Aeroは主張している。

さらにWisk Aeroは、Archer Aviationが同社の元エンジニア10名を雇用した後に行われた捜査で、そのうちの1名が退職前に数千ものファイルを密かにダウンロードしていたことが明らかになったと主張。別のエンジニアもファイルをダウンロードしていたと訴えている。

盗まれたファイルに含まれる情報には、システム設計、テストデータ、航空機のデザインなどが含まれていると、Wisk Aeroは4月6日に投稿したブログ記事で述べている。

「訴状で説明しているとおり、Archerが公開したデザインには、Wiskの長年による実験とモデリングに基づいた広範な空力試験と評価データに関する内部知見が反映されています」と、同社はブログ記事で述べている。「航空機全体のデザインが類似していることから、航空機の推進機関、電力管理、航空電子工学、飛行制御、製造方法に関連した特徴を含む、さらに詳細な設計上の特徴を、Archerが利用していることは明らかです」。

Archer Aviationは2021年、特別買収目的会社であるAtlas Crest Investment Corp.(アトラス・クレスト・インベストメント)との合併を2月に発表し、時価総額が38億ドル(約4171億円)に達するなど、いくつかの大きな勝利を掴み取っている。同じ2月に、このカリフォルニア州パロアルトを拠点とするスタートアップ企業は、顧客および投資家としてUnited Airlines(ユナイテッド航空)から10億ドル(約1100億円)の注文を獲得している。

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Archer Aviationの広報担当者は、TechCrunchに宛てたメールで次のように述べている。「Wiskが、従業員数名の離職の原因となったビジネス上の問題から目を逸らすために、訴訟を起こすことは遺憾です。原告がこれらの問題を提起したのは1年以上前ですが、徹底的に調べた結果、Wiskの独自技術がArcheに渡ったと信じるに足る理由はありませんでした。私たちは精力的に自らを弁護するつもりです」。

また、同社の広報担当者は、次のように続けた。「当社では、政府による調査と、ある従業員に対して出された捜査令状に関連して、その従業員を休職させました。この捜査は、その従業員が当社に入社する前の行為に焦点を当てていると、我々は考えています。Archerと、当該従業員が一緒に働いていた他の3名の従業員も、この捜査に関連した召喚状を受け取っており、全員が当局に全面的に協力しています」。

この刑事捜査のニュースを受けて、Wisk Aeroの広報担当者は「Archerがこの件に関する刑事捜査を開示したことは承知しており、当社は政府に全面的に協力しています。現時点ではそれ以上のコメントはありません」と述べた。

この訴訟は、カリフォルニア州北部地方裁判所に、ケースNo.5:21-cv-02450として提訴されている。

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画像クレジット:Wisk Aero

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

2024年までにLAでの都市型エアタクシー導入を目指すArcher Aviation

特別買収目的会社との合併を通じて公開企業となることを最近発表した電動航空機スタートアップのArcher Aviation(アーチャー・アビエーション)は、2024年までにロサンゼルスで都市航空タクシーのネットワーク立ち上げを計画している。

今回の発表は、ロサンゼルス市長であるEric Garcetti(エリック・ガーセッティ)氏のオフィス、ロサンゼルス市交通局、そしてUrban Movement Labの3者が、都市型航空機を既存の交通網や土地利用政策に統合する方法についての計画を策定するための1年計画である「Urban Air Mobility Partnership」の結成から2カ月後に行われたものだ。2019年11月に立ち上げられたUrban Movement Labsは交通テクノロジーの開発・テスト・展開を目的とする地元政府と企業による官民連携の組織だ。Urban Movement Labsとロサンゼルス市は、人々が「Urban Air Mobility(UAM、アーバン・エア・モビリティ)」航空機に搭乗できる「垂直離着陸飛行場」の設計とアクセスに取り組んでいる。UAMとは、都市や郊外で乗客や貨物を低高度で運ぶことができる高度にかなり自動化された航空機を指す。

Archer Aviationは2週間前に、特別買収目的会社との合併を通じて公開企業となるという発表の中でUnited Airlines(ユナイテッド航空)が顧客、そして投資家となったことを明らかにした。Archer Aviationは2021年2月初めに特別買収目的会社のAtlas Crest Investment Corp.と合併することで合意に達した。この手法はスタートアップが従来のIPOプロセスを回避することを可能にしている最近頻繁に取られているものだ。ニューヨーク証券取引所にティッカーシンボル「ACHR」で上場する合併会社の評価額は、38億ドル(約4008億円)となる。

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ロサンゼルスに主要ハブを置くユナイテッド航空はこの取引の主要投資家の1社だ。合意条件に基づき、同航空は10億ドル(約1055億円)相当の航空機を発注した。5億ドル(約527億円)分の航空機を追加購入するオプションも持っている。

「初のeVTOL(電動垂直離着陸機)をユナイテッド航空のハブの1つで立ち上げるというArcherの約束は、当社の顧客が旅行のあらゆるステージで、座席に座る前から二酸化炭素排出を抑制することに1歩近づいたことを意味します」とユナイテッド航空の経営企画・投資関係担当副社長のMichael Leskinen(マイケル・レスキネン)氏は声明で述べた。「Archerにとってロサンゼルスは始まりにすぎないと確信していて、我々のハブ全体へと拡大するのをサポートすることを楽しみにしています」。

Archerが乗客をシャトル輸送するようになるまで、道のりは長い。同社はフル充電すれば時速150マイル(約241km)で60マイル(約96km)飛行するようデザインされているeVTOLをまだ大量生産していない。同社は以前、フルスケールのeVTOLを2021年後半に披露し、2023年の大量生産開始を目指している、と述べた。

垂直離着陸飛行場ハブのデザインと構築は、今後3年間で終えなければならない数多くのタスクの1つだ。同社の共同創業者で共同CEOのBrett Adcock(ブレット・アドコック)氏とAdam Goldstein(アダム・ゴールドステイン)氏は、短期的にはヘリパッドや駐車場のような既存インフラを使うのに前向きだ。同社によると、「Maker」という名のeVTOLは既存インフラに収まるサイズとなる。Urban Air Mobility Partnershipが仮にその戦略に同意するとして、そうしたフレキシビリティはArcherが2024年という目標を達成するのに貢献するかもしれない。

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画像クレジット:Archer Aviation

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Nariko Mizoguchi