Googleの実験プロジェクトから手作り系ショートビデオアプリが登場

Googleの社内インキュベーター、Area 120から新たなアプリがリリースされた。手作りに関するショートビデオで新たな発見を得るためのアプリだ。米国時間1月29日にリリースされたこのショートビデオプラットフォームの名前は「Tangi」。現在はWebとiOSで利用でき、自作好きの人々が手芸、ペインティング、料理、ファッション、ビューティーなどに関するハウツービデオを共有できる。

TikTokや最近登場したByteはエンターテインメントを主眼としているが、これに対してTangiは人々の学びを支援する。

Tangiを作ったCoco Mao(ココ・マオ)氏は「我々は手作りやクリエイティブなコンテンツに焦点を絞っている。このプラットフォームは、人々が手芸、料理、創作を1分ほどの短いビデオで学べることを目指している。ユーザーが高品質なハウツービデオをたくさん見つけられるようにTangiを設計した」と説明する。

マオ氏は上海に住む両親のもとを訪れたときにTangiを思いついた。両親はスマートフォンでペインティングや写真撮影のハウツービデオをたくさん見ていた。両親にとってスマートフォンは難しいと思っていたにもかかわらず、だ。

マオ氏は次のように述べている。「私の母はこれまでも手作りが好きだった。母が短いハウツービデオのニッチなコミュニティのおかげで油絵を描くようになったことに私は驚いた。私も料理やファッションのビデオを作る魅力的なクリエイティブコミュニティにいくつか参加してみた。そしてショートビデオには魔法のようなものがあると気づいた。文章と画像では習得するのに長い時間がかかるようなことでも、ビデオなら要点をすぐに理解できる」。

Tangiの縦長ビデオは最長1分間で、45秒ほどのものが多い。これは、YouTubeなどで公開されているように複雑なレシピをワンステップずつ説明する場ではないことを表している。Tangiにあるのは、ちょっとした料理のコツを紹介したり、キッチンで試せる新しいアイデアのヒントをくれたりするようなビデオだ。

Tangiとほかのショートビデオアプリとの違いがもうひとつある。それは「Try It」(試してみた)という機能があることだ。これはユーザーがビデオを見て自分でやってみたことをアップロードするように促す機能で、このようにしてコミュニティのメンバーと交流できるとマオ氏は言う。

最も真似されているビデオのひとつは、アボカドの皮を器にしてアボカドペーストを作るものだ。

クリエイターが手順を一つひとつ細かく見せられない場合は、コメントにレシピを書き込んでいることもある(そしておそらく、ほかのレシピサイトよりもTangiのほうがずっと見やすい。ほかのサイトでは広告やSEOのための「パーソナルストーリー」が氾濫している)。

すでに多くのクリエイターがTangiに参加している。手芸&ライフスタイルブロガーのHolly Grace、ポートレートアーティストのRachel Faye Carter、パン職人でフードクリエイターのPaola D Yee、ビューティー系ビデオブロガーのSew Wigged Out、アート&手芸のTheArtGe、料理&手芸のJonathanBlogsなどだ。

ほかのソーシャルビデオアプリとは異なり、Tangiへのアップロードは現在は申請した一部のクリエイターに限られている。こうすることで、Tangiには創作活動に限定したビデオのみが公開されるようになっている。

Tangiを見るには、知りたいことを検索したり、アートや料理、手芸、ファッション&ビューティー、ライフスタイルといったカテゴリーで絞り込んだりする。ホーム画面をただスクロールして興味をひかれるものを見つけてもよい。ビデオを保存したりクリエイターを応援したりするには、ハートのアイコンをタップする。すると自分のプロフィールにお気に入りとして保存される。

Tangiはこうしたコンテンツを扱っているため、使っていくうちにPinterestっぽい雰囲気になる。

リリースの段階では、TangiはEUを除く各国で、WebとiOSアプリで利用できる。アプリのダウンロードは無料で広告はなく、現時点では何らかの方法での収益化はされていない。

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(翻訳:Kaori Koyama)

YouTube Originalsは広告付きで9月24日以降無料化

YouTube Premiumの会員に配信された電子メールによると、YouTube Originalsのプログラムは、2019年9月24日以降、Premium会員以外にも公開される。YouTubeのオリジナルシリーズ、映画、ライブイベントなど、多くのコンテンツがすべてのYouTubeユーザーに無料で提供されるのだ。ただし広告付きで。もちろんPremiumの会員は、これまで通り広告なしで視聴できる。

Premiumに会員なると、その瞬間からシリーズのすべてのエピソードにアクセスできるようになると、YouTubeでは説明している。そしてオフラインで視聴できるようダウンロードすることも可能となる。

また、YouTube Originals番組のディレクターズカットや追加シーンなど、Premiumの有料会員のみが視聴できるコンテンツも、引き続き用意される。

YouTubeは以前に、ビデオプラットフォームの大きな戦略の転換にともない、オリジナル番組を無料で観られるようにするという計画を発表していた。Deadlineの昨年11月のレポートによると、YouTubeは、台本のあるような番組の制作計画を見直し、台本のないショーやスペシャルに注力することを目標として掲げた。すでに、台本による新たな番組の制作も停止しているという。

またそのレポートによると、YouTubeは、台本によるコンテンツで、ある程度の成功を収めることができた。例えば、Cobra Kaiなどは、当時1億回のビューとRotten Tomatoesによる100%の評価を獲得していた。しかしそれと同時に、セレブ番組でも成功していた。例えば、Katy Perry(ケイティ・ペリー)氏の「Will You Be My Witness」や、Will Smith(ウィル・スミス)のグランドキャニオンのバンジースタントなどだ。

Deadlineによれば、このあたりがYouTubeが今後追求しようとしている方向性だという。

これは偶然ではないかもしれないが、最近Varietyは、ユーチューバー向けの新しいクラウドファンディングサービスであるFundoについてレポートしている。クリエーターが、ファンを仮想のミーティングなど、有料のオンラインイベントに招待することを可能にするもの。ただし、このプロジェクトはYouTubeやGoogle自身が立ち上げたものではなく、独立して運営されている社内インキュベーターのArea 120が主導している。それでもこれは、広告や有料会員だけでなく、クリエーターにとっての新しい収入源を生み出すという、YouTubeの大きな関心を反映したものだろう。

今回のPremium会員宛のメールには、YouTube Originalsに関する変更の通知に加えて、「おすすめのダウンロード」機能がライブラリタブに追加されたことも書かれている。これは、YouTubeが固有のアルゴリズムに沿って提案するビデオをブラウズしたり、ダウンロードできるものだ。さらに、YouTube Musicの変更点も挙げている。動画とオーディオを切り替える機能や、「高く評価した曲」など、お気に入りのプレイリストやアルバムから、最大500曲を自動的にダウンロードする「スマートダウンロード」機能の導入などだ。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

Googleの社内インキュベーター出身のShoelaceは共通の趣味を持つ人々をつなぐ

Googleの社内インキュベーター、Area 120から生まれた新しいプロジェクトは、人々がやりたいことを見つけたり、興味を同じくする人を探すことが目的だ。新しいアプリのShoelace(靴ひも:ものごとを結びつけることをイメージさせる)は、ユーザーが地図上にアクティビティーを書き込み、それを他のユーザーが選ぶ。たとえば、愛犬家と知り合いたい人なら、公園で犬を会わせる計画を書き込み、グループチャットで詳細を相談したり友達を作ったりできる。

結果はFacebookイベントとWhatsAppのグループチャットを合わせたようなものかもしれない。しかしその外観は、ミレニアル世代やデジタル・ネイティブのZ世代にアピールしそうなシンプルでモダンなデザインで包まれている。

Meetupなどのライバルと同じく、Shoelaceの狙いはソーシャル・ネットワーキング・アプリをもう一つ増やすことではなく、リアル世界で繋がるための刺激を生み出すことだ。

これは新奇なアイデアではない。実際数多くのスタートアップが、オンラインの友達ネットワークを再構築するのではなく、地域や興味一致する人たちをつなぐことでFacebookに対抗しようと試みてきた。また、多くの都市には、友達を作ったり地域の活動に参加するために作られた地元のソーシャル・クラブがある。

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現在Shoelaceは招待者のみのテスト中で、期間中はニューヨーク市のみが対象だ

同サービスのウェブサイトによると、成功すれば全米の都市に展開するのが長期的目標だという。自分たちのコミュニティーにShoelaceを呼ぶための申請フォームもある。

Googleにはソーシャル・ネットワーキング製品に関して苦難の歴史がある。過去最大の取組みだったGoogle+は、今年4月ついに閉鎖された。もっとも、Shoelaceは厳密な意味で「Google製品」ではない。これが生まれたArea 120は、Google社員が会社を辞めることなくフルタイムで新しいアイデアを実験できる社内インキュベーターだ。

「Shoelaceは、Area 120で活動している数多くのプロジェクトの一つであり、集まった活動を通じて興味を分かち合う人たちが出会う場を作るアプリだ」とGoogle広報担当者がTechCrunchに話した。「どのArea 120プロジェクトもそうだが、今は早期の実験段階なので現時点で伝えられることはあまりない」

招待を受けた人はGoogle PlayまたはiOS(TestFlight)でアプリをダウンロードできる。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Googleが、返信案を自動的に提案するSmart Reply機能をすべてのチャットアプリに提供?

賢いAI技術を利用して、自動的に受信メッセージへの応答を作成するSmart Replyは、まず最初にGoogleの電子メールクライアントであるInboxに2年以上前に登場し、その後Gmail、プロジェクト FiのAndroid Messages、そしてAlloに展開された。そして現在、Googleの社内インキュベーターであるArea120に所属するあるチームが、Smart Reply機能を他のチャットアプリに持ち込むことに取り組んでいる。

新しく発表されたプロジェクトは単に「Reply」と呼ばれ、Web上のReplyのサインアップフォームによれば、最初はAndroidユーザーだけに提供されるようだ。

(電子メールでテスターに配られた)Replyの発表に含まれていたスクリーンショットには、Google HangoutsとAndroid Messagesで動作するReplyの様子が示されていた。ここでは、「いまそのレストランにいるの?」とか「家まであとどれくらいで着くの?」といった質問に対する返信案が提示されている。

これらの返信では、現在のユーザーの位置に入れられて、正しい回答を組み立てる手助けがされる。例えば、どこかに着いたかどうかに対しては「yes」または「no」を、あるいは特定の場所に車で到着するのに、後どれくらいかかるかなどだ。

Android Messagesは既に、限定的ながらもSmart Repliesを公式サポートしていることは指摘しておこう。また先月Googleは、その携帯電話向けサービス、Project Fiのユーザーたちに向けて、Smart Replyの追加を発表した。しかしこの機能は、Android Messageユーザー全員にはまだ公開されていない

とはいえ、ReplyはGoogle自身のメッセージングアプリだけを狙ったものではない。

このプロジェクトに関するArea 120の発表によれば、Hangout、Allo、WhatsApp、Facebook Messenger、Android Messages、Skype、Twitter DM、そしてSlackなどを含むさまざまな主要チャットアプリの中で、Replyの提供が予定されている。

このArea 120のプロジェクトは、それらのチャットアプリからの通知に対応して、返信案を提示する。しかし、念を押しておくが、Replyは独自のスタンドアロンアプリを提供していない。これは単に受信メッセージに対して返信する方法の1つに過ぎないのだ。

Replyには、他のさまざまな自動機能も含まれている。運転しているときに電話をサイレントにしておき、メッセージを送ってきた人に現在チャットできないと通知する”Do Not Disturb”モードや、受信者のカレンダーをチェックして休暇中かどうかを返信するVacation Responderなどがある。

また、緊急時やさらに重要なメッセージが来た場合には、Replyは携帯電話のサイレントモードを突破することができる。例えば「もうみんな待っているよ!」というメッセージが届いた場合には、Replyはあなたの注意を引き、返信するかどうかを尋ねてくる。

このプロジェクトは、Area 120の他のすべてのプロジェクトと同様に、Googleの全体的な開発とは無関係だ。つまり、Googleのメッセージング活動には直接結びついていないということである。

開発サイクルのとても早い段階でもあるため、Replyがすぐにリリースされることを期待することはできない。

しかし、このプロジェクトの背景にあるアイデアは非常に有望だ。Smart Replyは、Gmailの最も便利な機能の1つになっている。特に、受信メールの多い人や、返信を打つのが厄介な外出時に沢山の電子メールに答える人にとって便利である。おそらくはAndroidユーザーだけに対して、似たような技術をさまざまなアプリへ提供することは、一部のユーザーたちに、iOSよりもAndroidを選ばせる動機にはなるだろう。あるいはSmart Replyの便利さを知った人たちを、Gmailへと誘導することもできるだろう。

Googleは実験が実際に行われていることは認めたが、Area 120でReplyを開発しているチームや、発表の日程に関しては語らなかった。

「Area 120で取り組んでいる多くのプロジェクトの1つが、様々なチャットアプリからの通知にスマートな返信を提案してくれるReplyです」とGoogleの広報担当者は語った。「Area 120の他のプロジェクトと同様に、これは非常に初期の実験なので、今すぐ共有できる詳細はあまりありません」。

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(翻訳:sako)

FEATURED IMAGELDPROD/SHUTTERSTOCK

Googleの社内インキュベーターArea 120の最新プロジェクトは、オンライン予約管理のAppointments

昨年公表されたGoogleの社内スタートアップインキュベーターArea 120は、これまでに、パーソナルスタイリストアプリTailor、音声メッセンジャーSupersonic、そして最近ではUptimeという名のYouTube動画を一緒に視聴するためのアプリなどの、数々のプロジェクトへと結実してきた。そして私たちは、サロン予約ツールであるAppointmentsというアプリが現在開発中であるという情報を得た。

Appointmentsはまだアプリストアやウェブではリリースされていないものの、そのプロジェクトページは現在salon.area120.comに置かれている。

このアプリは、VagaroStyleSeatSquare AppointmentsMindbodyといった、より堅牢なスケジューリングサービスとの競合を目指しているようだ。しかし、ライバルたちとは異なり、このアプリは単なるオンライン予約システムの提供にとどまらず、参加するビジネス(店舗)のための統合されたウェブサイトと、SMSクライアントによるテキストメッセージで予約リンクへと誘導するツールも含んでいる。

ウェブサイトと予約アプリケーションは、オンラインまたはモバイルデバイスを介して動作し、サイト上には1週間分の利用可能状況が表示される。一方、ビジネスウェブサイトには、その店舗で提供されるサービス、道案内や地図、フォトギャラリー、価格表、住所や電話番号などの連絡先情報などを掲載することができる。

このプロジェクトはまだ初期段階にあるため、技術的な詳細や、このプロジェクトを支えるチーム、そして – もしあればの話だが – 収益化のためのプランなどに関しての詳細は不明だ。まだ動作していないアプリのダウンロードリンクを見ると、無償で提供されることが仄めかされている。

情報は限られているものの、このプロジェクトは特に、現在Google検索とGoogleマップ上にビジネスをリストアップし続けているGoogleにとって、興味深いものになるかも知れない。また今日では、Googleはウェブプレゼンスのセットアップをすることで企業を助ける活動を行っているが、そのサービスにはドメインを購入して電子メールを設定することや、基本的なWebサイトを作成してモバイルデバイスでうまく機能させることまでもが含まれている。

しかしGoogleはまだ、昨年Microsoftが昨年発表したOffice 365サービスの「Bookings」(予約管理)に相当するような、オンライン予約管理に特化したソフトウェアは提供していない。

もしAppointmentが成功するなら、それが、Microsoftの同等サービスへの代替ソリューションとして、Google自身の提供する生産性ツールスイートに埋め込まれると考えることは合理的だ。

もちろん現時点では、将来のAppointmentがどうなるかを語るのは時期尚早である。

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裏に控えるArea 120プロジェクトは、貴重なチームメンバーをスタートアップ譲ることと引き換えに、Googleの中での起業家精神を刺激するためのものだ。インキュベーターがどのような役割を果たすのかに関する以前の報告によれば、チームはまずビジネス提案をGoogleに提出し、もしそれが受け入れられれば、数ヶ月の間プログラムに参加してプロダクト開発を行なうことができる。彼らはまた、追加資金のためにGoogleに対してプレゼンを行う機会も持つことができる。

これらのチームは、Googleのサンフランシスコオフィスを拠点としているが、現時点では問い合わせのための専用のプレスコンタクトを持っていない。メインのプレスチャンネルを通してGoogleにより詳細を求めているものの、回答は得られていない。

[ 原文へ ]
(翻訳:Sako)