ゲームエンジン開発のUnityがディープラーニングスタートアップのArtomatixを買収

UnityはAIを利用したゲーム開発者向けツールのスタートアップ、Artomatixを買収した。Artomatixはアイルランドのダブリンが拠点で、ディープラーニングを利用してリアルなテクスチャを簡単に作成するゲーム開発者向けツールを構築している。

開発者は、ArtomatixのArtEngineプラットフォームを使ってゲームの世界に現実世界の素材を描くことができる。既存のツールセットよりも短時間でビジュアルのパターンを3Dの世界に合わせることができ、継ぎ目や不自然さも減らせる。ArtEngineは複製したときの見た目の問題点をAIで特定するので、開発者は環境を延々調整する必要がなくなる。

Artomatixは2015年のTechCrunch Disrupt SFで姿を現した。同社は助成金と、Enterprise Ireland、Suir Valley Ventures、Manifold Partners、Boost Heroesなどのベンチャーキャピタルからの資金で、1200万ドル(約13億円)以上を調達した。Artomatixは、これまでのダブリンのオフィスで業務を続ける。Unityは買収金額を明らかにしていない。

Unityは、新作ゲームの半数以上が同社のエンジンを使って作られているとしており、Artomatixのテクノロジーを買収するのは当然の成り行きだ。同社のエンジンは最近も成長を続けてパワーを増しているが、機能が増えて複雑になり、レンダリングにかかる時間が長くなってきている。

Artomatixのテクノロジーがデジタルの環境を描き出すアートを制作するゲームデザイナーの役に立つなら、UnityはAI支援ツールを使うワークフローを推進し、開発者の時間を節約できるようになる。

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(翻訳:Kaori Koyama)

ゲームのキャラ、情景、環境などのアートデザインをArtomatixの人工知能が迅速に作ってくれる

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ビデオゲーム産業はなんと、800億ドル産業といわれる。しかもさらにクレージーなのは、ゲームの開発コストの60%が、ゲーム内アートのデザインという骨折り仕事に投じられていることだ。

今日(米国時間9/21)のDisrupt SF Startup Battlefieldに登場したArtomatixは、データからヴィジュアル関連の情報を読み取り、ゲームアートを自動的に描く、という人工知能アプリケーションだ。これを使って、没入型ゲームの(背景、シーン等の)デザインに投じられるお金とマンアワーを大幅に減らす、という。

どういうことかというと、たとえばデベロッパが求めるゾンビーのデザインのラフスケッチをArtomatixに投げ与えると、簡単にゾンビーの何千人〜何万人の大群を作ってくれるのだ。さらにこのプログラムは、それまでに作ったキャラクターの類似性や違いに基づいて、新しいキャラクターを次々と作る。それらの他との違いは、乱数で作られる。

とくに、あまり裕福でないインディーのゲームデベロッパは、広大な情景シーンや個々のキャラクター、さまざまな環境要素などを作るのが、かなりたいへんな作業になる。Artomatixは主なユーザとしてそういうインディーのデベロッパをねらっており、彼らが仕事をもらっている大手のゲーム制作スタジオから干されないように、人工知能に頑張ってもらう。

Artomatixの使用料は、それをスタジオが負担する場合はその規模によって異なる。またこのSaaSをインディーデベロッパ個人が利用する場合は、ArtomatixのCTO Dr. Eric Risserによると、月額30ドルだ。大手のスタジオがArtomatixを自分たちの工程に組み入れる場合には、ライセンス料が年額10万ドルに達することもある。

当面Artomatixの人工知能エンジンはビデオゲームのデザインワークをターゲットにするが、同社によると、それと近い応用が効くのが、仮想現実コンテンツや映画の制作だ。しかもそれらの業界も、ゲーム業界に劣らず市場機会が大きいだろう、と同社は皮算用している。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa