JR東日本の「ASMR」をサンプリングしてトラックを作ろう

オーディオブックを中心に展開するオトバンクQUANTUMと共同で運営しているブランデッドオーディオレーベルの「SOUNDS GOOD」。

企業の「特有の音」、例えば「山手線大塚駅周辺のまちの個性を表す音」や「工業用バーナーの燃焼音」をASMR化し、音声コンテンツにすることでブランディングに活用するという試みだ。

ASMRはAutonomous Sensory Meridian Responseの略で、よく“音フェチ”などとも言われる、脳や感情に働きかける“気持ちいい音”のこと。

そのSOUNDS GOODが、JR東日本、東京ガス、ユカイ工学のASMR音源を楽曲制作のサンプリング素材としてプロアマ問わず全てのトラックメイカーに無料での提供を開始した。営利目的での利用も可能だ。

「企業とリスナー、若手アーティストの間に新たな関係性を構築する」ことを目的としている。

企業ASMR音源使用申請フォームを記入することで素材を入手することが可能だ。

ただ、必須条件として、トラックを配信する際に、タイトルに「Sampling – “企業名(英語) on SOUNDS GOOD”」と記載する必要があったり、細かい注意点も多かったり。例えば、「複数社の音源を同時にサンプリングすることはご遠慮ください」とある。

だが、トラックメイカーにもメリットがあり、SOUNDS GOODが気に入ったトラックに関しては同レーベルのTwitterやInstagram、SoundCloud、YouTubeなどで紹介されたりする。また、SOUNDS GOODの公認アーティストとして、SOUNDS GOODから有料での楽曲制作を依頼されるというチャンスもある。

SOUNDS GOODの公式アーティストたちが制作した楽曲も公開されているので、トラックメイキングする際には参考にしてみては。

ASMRを企業のブランディングに活用するレーベル「SOUNDS GOOD」がローンチ、JR東などが参加

本を音声で楽しむオーディオブックを中心に展開するオトバンクは3月5日、QUANTUMと共同でブランデッドオーディオレーベルの「SOUNDS GOOD」を設立し、本日より運営を開始したと発表した。

SOUNDS GOODの特徴は企業の“特有の音”をASMR化し、音声コンテンツにすることでブランディングに活用し、企業とリスナー、若手アーティストの間に新たな関係性を構築する。

ASMRはAutonomous Sensory Meridian Responseの略で、よく“音フェチ”などとも言われる、脳や感情に働きかける“気持ちいい音”のこと。

第一弾参加企業は東京ガス、東日本旅客鉄道、ユカイ工学の3社。「工業用バーナーの燃焼音」「山手線大塚駅周辺のまちの個性を表す音」「製品プロトタイピングの過程で発生する独特な音」などを収録したASMR音声コンテンツを「SOUNDS GOOD」上で4週にわたり順次公開する。

  1. TOKYOGAS_01

  2. s_YUKAI_01

  3. JREAST_01 (1)

加えて、小林うてなTOSHIKI HAYASHI(%C)KSK(MGF)の3組の気鋭のアーティストが「SOUNDS GOOD」上のASMR音源に関して、心地よさや面白さなど“音楽的視点”から語る。

さらに、上記3組に加え、藤牧宗太郎(citrusplus)tajima halを加えた合計5組のアーティストがSOUNDS GOODのコンテンツをサンプリング・アレンジした楽曲を制作し、各自でSoundCloudなどの音楽配信プラットフォームで順次公開する。

  1. 小林うてな

    小林うてな
  2. TOSHIKI HAYASHI (%C)

    TOSHIKI HAYASHI (%C)
  3. KSK (MGF)

    KSK (MGF)
  4. 藤牧宗太郎 (citrusplus)

    藤牧宗太郎 (citrusplus)
  5. tajima hal

    tajima hal

たとえば工場の製造ラインで発生する特徴的な音や、製品使用時の音といった、企業の“特有の音”はこれまであまりブランディングに活用されてこなかった。ブランドを象徴する音や声をブランディングのアセットとして捉えASMR音源化し、企業と消費者との新たな接点を作り出すのがSOUNDS GOODの狙いだ。

オトバンクいわく、今回を第一弾とし、今後も第二弾、第三弾といった形で、定期的に様々な企業固有の音を扱った音声コンテンツを配信していく予定だという。

SoundCloudで聞ける第一弾のコンテンツは以下の通りだ。

ASMRビデオの専門サイトTingles、無宣伝で急成長、YouTubeの限界に挑む

Tinglesは宣伝やパブリシティをほとんどやっていないが、すでに多数のファンとそのコミュニティができている。ターゲットを絞った特殊なプロダクトが、これだけ急速に広まるなんて、めったにないすごいことだ。

スロベニアのGasper KolencとMiha Mlakarがこのサービスを立ち上げてからほぼ1年になるが、その間同社はもっぱらASMRだけを取り上げてきた。ASMR(autonomous sensory meridian response)とは、音や映像だけで幸福感やリラックス感を与える、という意味だが、そんなビデオを提供する同社は、最近Y Combinatorの傘下になったので、今後さらに大きく伸びるかもしれない。

同社のCPOであるMlakarはこう語る: “アーチストやコミュニティのためのサービスを構築する最良の方法を探している。すでにたくさんのアーチストやコミュニティと、仲良くなっている。いろんな機能はすべて、コミュニティからのアイデアがベースだ。それらを全部実装していくためには、もっと時間が欲しい”。

宣伝をまったくしなかった同社は、現在の月間アクティブユーザー数が6万、その1/3は毎日使っている。サイトのコンテンツは、200名あまりの“アーチスト”たちの作品だ。ASMRのコミュニティでは、アーチストよりも“ASMRティスト”と呼ばれている。その多くは、脱YouTubeの人たちだ。

ネット上にASMRが増えてきたその震源地は、もちろんGoogleのビデオサービスYouTubeだ。MlakarがASMRを知ったのもYouTubeからだが、YouTubeのような何でもありのビデオサイトには限界がある、と彼は言う。

“YouTubeは、発見のためには良い”、とMlakarは言う。“ぼくがASMRを発見したのもYouTubeだ。でもレギュラーユーザーになると、YouTubeは問題になる。主な問題は、広告だ。ASMRを聴いてて眠くなり、実際に眠りかけたとき、大音量の広告に起こされる。それは、とても不愉快だ”。

高度に専門化したサービスは、収益化に関しても有利だ。このサービスは広告なしで、しかも無料だが、クリエイターが同社の承諾のもとに有料コンテンツを作り、チップなどを収入源にすることができる。クリエイターに対しては、そのための審査過程があり、承認プロセスがある。それにビデオは同社が監視し、悪質なものは排除する。しかし、同社や多くのASMRファンが指摘するのは、性的なコンテンツが問題になることはない、ということだ。“エロのチャネルはほかにいくらでもあるからね”、とMlakarは述べる。

しかしTinglesにとっては、ASMRは手始めにすぎない。Mlakarによると、AndroidやiOSのアプリは、“リラックスして安眠できるビデオコンテンツを見つけるための最良の場所”だが、同社の将来プランとしては、瞑想やマインドフルネス(“気づき”)など、そのほかのリラクセーション法も取り上げていきたい。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa