Astraが新規顧客であるSpaceflightの初ミッションで軌道に到達

宇宙スタートアップから今は上場企業となったAstra(アストラ)は、同社の新規顧客であるSpaceflight Inc.のためのデビューミッションで、2度目の軌道到達を果たした。

これは同ロケット打ち上げ企業にとっては大きな収穫だ。Astraは2021年11月に初めて軌道に乗ったが、それ以来、その偉業を再現できていなかった。今までは。

Astra-1ミッションは、アラスカ州のコディアック宇宙港から打ち上げられた。LV0009と名付けられたロケット3.3号機は、教科書通りの(つまり特筆すべきことのない、というのは打ち上げビジネスでは良いことだ)リフトオフとステージ分離を行った。今回の打ち上げでは、アマチュアのロケット愛好家グループであるPortland State Aerospace Society(PSAS、ポートランド州航空宇宙協会)の超小型衛星CubeSatやNearSpace Launchの衛星間通信システムなど、Spaceflightの3組の顧客のペイロードを軌道に乗せた。3番目の顧客は公表されていない。

Astra-1のミッションの飛行経路(画像クレジット:Astra)

同社は、打ち上げライブ配信の終了までに、顧客のペイロード展開を確認することはできなかった。展開が確認され次第、TechCrunchは記事を更新する。

【更新】AstraはTwitter(ツイッター)で、衛星が正常に展開されたことを確認した。

米国時間3月16日に行われた本日の打ち上げは、2025年まで続くSpaceflightとの契約における一連のミッションの最初のものであると、両社は14日に発表した。

Astraは2021年7月、SPAC合併によりNASDAQに上場し、従来のIPOプロセスを回避して株式市場へ参入する宇宙関連企業が増えている中、その仲間入りをした。その後、同社の株価は下落の一途をたどり、2月の直近の打ち上げ失敗の後、26%も下落することとなった。

同社は3月初め、失敗した打ち上げに関する予備的な事後報告を発表した。Astraのミッションマネジメント&アシュアランス担当シニアディレクターであるAndrew Griggs(アンドリュー・グリッグス)氏は、失敗の原因は、フェアリング分離機構の問題でステージ分離に異常をきたしてしまったことと、推力ベクトル制御システムのソフトウェアに問題があったことの2点であると述べていた。

「絶え間ないイテレーションと広範なテストを通じ行った変更により、LV0008で発生した不具合は解消され、ソフトウェア群はより安定しました」と同氏は述べた。

Astraには大きな計画がある。同社は2021年、投資家らに対して、2023年までに週1回、さらに2020年代半ばまでに1日1回の打ち上げを行うことを目標としていると語っている。

打ち上げの様子はこちらでご覧いただける。

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Den Nakano)

Astra、フロリダからの初ロケット打ち上げに失敗

Astra(アストラ)は米国時間2月10日、フロリダ州の「スペースコースト」から初となるロケットの打ち上げを行った。これは当初、2月7日に予定されていたが、技術的な問題で中止されていた。二度目の試みとなった今回、ケープカナベラル宇宙軍基地のスペースローンチコンプレックス46から打ち上げられたロケットは、発射台を離れたものの、残念ながらペイロードは軌道に乗らなかった。

同社によると、ロケットは飛行中に問題が発生し、ペイロードを目的地に届ける機会が得られなかったという。これはロケットに積まれていたNASAの4基のCubeSat(キューブサット)が失われたことを意味する。NASAのLaunch Services Program(ローンチ・サービス・プログラム)に基づきこの契約を獲得したAstraは、小型のペイロードを宇宙に届ける低コストの軽負荷ロケットという代替手段の有効性を示すことを目標としていた。

本日の飛行中に問題が発生し、ペイロードを軌道上に届けられなくなってしまいました。

お客様であるNASAおよび小型衛星チームのみなさまに深くお詫び申し上げます。より詳細な情報は、データの確認が完了した後にお知らせします。

Astra

Astraによる打ち上げライブ中継では、ロケットのメインエンジンが切り離され、ブースターと上段が分離した直後に、何か問題が発生したように見えた。上段が制御不能な状態で転回しているように見えたが、その後、映像は切断された。

Astraのアプローチは、スピードと効率を重視し、業界の競合他社よりも大量に小型ロケットを生産することに重点を置いている。以前、AstraのChris Kemp(クリス・ケンプ)CEOは、より低コストのアプローチには、トレードオフとして競合他社よりも高い故障率を負う可能性があることを十分に認識しており、そのことはビジネスモデルに織り込み済みであると、TechCrunchの取材に対してコメントしている

しかし、これでAstraは、比較的近い時期に二度の失敗を経験したことになり、いずれもSPAC(特別買収目的会社)合併によってニューヨーク証券取引所に上場した後に起きている。前回の失敗は2021年8月、同社の最初の公式な商業打ち上げ(米国宇宙軍のためのテストペイロード輸送)で問題が発生し、軌道に到達することができなかった。しかし、Astraはそれから3カ月後の11月、商業ペイロードの軌道投入に成功している。

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画像クレジット:Astra / John Kraus

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(文:Darrell Etherington、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

Astraが2022年1月に初めてフロリダ州ケープカナベラルからロケットの打ち上げを行うと発表

Astra(アストラ)はこれまで、初期のロケット数機をアラスカ州コディアックで打ち上げてきたが、今後は打ち上げ場所を拡大する予定だ。同社は米国時間12月6日朝、クライアントであるNASAから請け負ったミッションを、2022年1月にフロリダ州のケープ・カナベラルから打ち上げると発表した

この打ち上げは、ケープ・カナベラル宇宙軍基地の広大な敷地内にあるSpace Launch Complex 46 (スペース・ローンチ・コンプレックス46)で行われる予定だ。この施設は、かつてミサイル試験用基地として使われていたが、しばらく使用が停止されていた後、1997年に商業宇宙事業のために再開された。以降は2019年に実施された直近のミッションまで、散発的に使用されている。

Astraが計画している打ち上げは、同社にとってだけでなく、米国からの打ち上げに尽力している米宇宙軍のSpace Launch Delta 45(第45宇宙航空団)にとっても大きな価値がある。これまでの宇宙開発では、打ち上げに必要な承認には数年を要していたが、今回のミッションはわずか「数カ月」で承認を得ることができた。

Astraにとっては、打ち上げのために利用可能な選択肢が増えることになり、顧客のペイロードを届ける軌道の幅を広げるという意味でも重要だ。また、フロリダという土地は歴史的に天候が比較的安定していることもあり、打ち上げ場所として人気が高い。

Astraのコアバリュープロポジションの1つは、ロケットが小型であり、現場における打ち上げ業務に必要な装備も軽量であるため、最小限の人員と準備だけでさまざまな場所から効果的に打ち上げを展開できることだ。ゆえに、それを証明するためにも、打ち上げ場所を多様化することは重要になる。

AstraのBenjamin Lyon(ベンジャミン・リオン)氏とKelyn Brannon(ケリン・ブラノン)氏は、来週の「TC Sessions:Space 2021」に講演者として参加する予定なので、2022年の計画についてはそこでより詳しく知ることができるだろう。

画像クレジット:Astra / John Kraus

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(文:Darrell Etherington、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

初の軌道打ち上げに成功したAstraが新型ロケットの試験に向けて本格的に動き出す

ロケット開発スタートアップから株式公開企業となったAstra Space(アストラ・スペース)は、米国時間11月19日の夜、同社初の軌道打ち上げに成功。11月22日朝に株式市場が開くと、株価が42%も急上昇した。しかし、本当の仕事が始まるのはこれからだ。商業運行の開始を目指す同社は、2022年の飛行試験に向けて新しい仕様のロケットを準備している。

アラスカ州コディアックのPacific Spaceport Complex(パシフィック・スペースポート・コンプレックス)から打ち上げられた「Rocket 3.3(ロケット3.3)」または「LV0007」ロケットは、米国宇宙軍の宇宙試験プログラムの一環であるペイロード輸送に成功した。これはAstraにとって、軌道に到達したごく少数の民間企業の仲間入りを果たす大きな躍進だ。

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「これは本当に難しく、1つ間違えるだけですべてが上手くいきません」と、Chris Kemp(クリス・ケンプ)CEOは、米国時間11月22日の会見で記者たちに語った。

Astraでは、機敏かつ反復的なアプローチでテストを行っており、打ち上げ用ロケット(シリアルナンバーによる命名規則がある)を迅速に製造し、比較的短期間で試験飛行を実施している。その結果、最近の「LV0006」の飛行試験では、エンジンの異常により高度約50kmに到達する前にロケットが横に流れてしまうなどの失敗も経験している。

「多くのことは、実際に飛行している状態でないとテストするのが非常に難しいのです」と、ケンプ氏は説明する。「この反復アプローチにより、私たちは記録的な速さで(軌道打ち上げを)達成できました。他の方法では、このスケジュールで達成できなかったと思います」。

今回の打ち上げに向けて、Astraではフライトシミュレーションからではなく、同社が打ち上げ施設を構えるアラスカ州コディアックの氷点下の自然環境から、多くの有益なデータを得たと、チーフエンジニアのBenjamin Lyon(ベンジャミン・ライオン)氏は語っている。

「このような氷点下の環境で運用したことは、今まで一度もありませんでした」と、ケンプ氏は付け加えた。

2人の幹部は、次のRocket 3.3である「LV0008」が打ち上げ可能な状態に近づいていることを認めたが、打ち上げを行う日時や場所などの詳細については、今後発表すると述べるに留まった。

しかし、LV0007の打ち上げが支障なく行われたため、今後の3.3バージョンの変更にはこれ以上あまり力を注がないだろうと、ケンプ氏は述べている。代わりに、Rocket 3.3で運べる50kgのペイロード容量よりも重いペイロードを搭載可能な新バージョン「Rocket 4.0」に集中するという。同社は2022年に、Rocket 4.0の試験飛行を開始する予定だ。

Astraが目指しているのは、この小型ロケットシステムを使って、ゆくゆくは毎日宇宙への打ち上げを行うことである。この目標が最終的に達成できるかどうかはまだわからないが、ケンプ氏によると打ち上げの需要は時が経つに連れて増す一方であるという。

「Astraが上場して以来、宇宙技術企業と呼ばれる会社が10社以上も上場しています」と、ケンプ氏は語る。「これによって各社は、宇宙船や衛星のさらなる開発や反復設計を行うためのリソースが得られます。ここ2、3年で見てきたように、需要は今後も増え続けることが予想されます。そこでAstraは間違いなく、正確なスケジュールで正確な軌道にペイロードを届けることができるようになる立場にあると思います」。

軌道到達。✅Astraは、太平洋標準時2021年11月19日(金)深夜、米国宇宙軍のための最初の商業軌道打ち上げを成功させました。

画像クレジット:John Kraus / Astra

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

小型ロケット専門のAstraが前回の失敗を乗り越え初の軌道到達に成功

軌道に到達した少数の(しかし増えつつある)ロケット打ち上げ会社に、新たに数えられるようになったスタートアップがある。Astra(アストラ)だ。アラメダに拠点を置くこのロケットスタートアップは、現地時間11月19日午後9時過ぎに、アラスカ州コディアックにある発射場からロケットを離陸させ、成功を収めた。

Astraの「LV0007」ミッションは、8月に行われた試みに続くものだ。前回は、離陸直後に短いホバリングと横方向へのストゥレイフ運動という不安定なスタートを切り、軌道に到達することなく終了した。その後、同社は失敗の原因(エンジンの早期停止)を調査し、LV0007の打ち上げを2021年10月末に設定した。しかし、天候の影響で打ち上げは延期された。

今回の打上ちげと初の軌道到達の1年弱前に、同社はRocket 3.2の試験打上げで宇宙に到達した。そのミッションでは軌道の手前までいき、Astraのチームを含むすべての人を驚かせた。

迅速な対応と大量生産というAstraのロケット産業へのアプローチは、まだ満たされていないニッチな分野に適している。SpaceX(スペースエックス)のFalcon 9のような大型ロケットのライドシェアモデルに頼ったり、Rocket Lab(ロケットラボ)のElectronのようなものに比較的高い価格を支払ったりするのではなく、より多くの企業が専用のミッションで貨物を宇宙に運ぶことができるような価格設定で、小さなペイロードのロケットを製造することができる、とAstraは主張している。

AstraのチーフエンジニアであるBenjamin Lyon(ベンジャミン・ライオン)氏は、2021年のTC SessionsのSpace部門に参加する。今回のマイルストーンとなる成功について、話しが聞けるはずだ。

画像クレジット:Astra / John Kraus

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(文:Darrell Etherington、翻訳:Nariko Mizoguchi

上場ロケット企業Astra初の商業打ち上げは軌道に到達せず、ロケットは無事着陸

今や上場企業となったAstra(アストラ)は、初の商業打ち上げの際に問題が発生し(このミッションは、米国宇宙軍の宇宙テストプログラムの一環として契約したテストペイロードを搭載していた)、ロケットが軌道に乗ることはなかった。米国時間8月28日、同社のロケットはアラスカの発射台で離陸時にすべてのエンジンに点火したものの、直後に5つのエンジンのうち1つが故障したため、かなり異例のホバリングとドリフトを起こしたが、その後十分な揚力を得て、空に向かい上昇することができた。

驚くべきことに、ロケットは最初のふらつきと横方向の傾きにもかかわらず、最大高度約50km(約16万4000フィート)まで上昇することに成功した。その後、同社はシャットダウン指令を出し、ロケットは無事に地上に戻ってきた。これは、同社のターゲットとしていた、受託テストに関わるペイロード展開のシミュレーションのための軌道上の目的地に到達しなかったことを意味する。

Astraの創業者で会長兼CEOであるChris Kemp(クリス・ケンプ)氏は、今回の打ち上げに関するプレスリリースの中でこう述べた。「米国宇宙軍のミッション目標をすべて達成できなかったことは残念ですが、今回のテストフライトから膨大な量のデータを得られました。今回の試験で得た知見を、現在製造中のLV0007を含む将来のロケットに反映させていきます」。

Astraが最後に打ち上げを行ったのは2020年12月のことで、その時の試験打ち上げの1つは宇宙空間に到達したものの、軌道速度にはわずかに届かなかった。その際Astraは、軌道に到達するために必要なのは、ナビゲーションシステムのソフトウェアの調整だけだと確信していると述べていた。

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画像クレジット:John Kraus / Astra

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(文:Darrell Etherington、翻訳:Aya Nakazato)

ロケット企業Astra初の商業軌道打ち上げに米規制当局がゴーサイン、8月末にデモミッション

ロケット打ち上げ企業のAstra(アストラ)は、米国航空局(FAA)から重要なライセンスを取得し、2021年8月末に予定されている同社初の商業軌道打ち上げにゴーサインが出た。

AstraのChris Kemp(クリス・ケンプ)CEOはこのニュースを米国時間8月19日にツイートし、FAAからの打ち上げオペレーターライセンスは2026年まで有効であると付け加えた。同社の広報担当者がTechCrunchに語ったところによると、この新しいライセンスは、同社が以前に取得した打ち上げライセンスを変更したもので、同社の現行バージョンのロケットに適用されるという。

FAAのウェブサイトに掲載された同ライセンスは、Astraがアラスカ州コディアックのPacific Spaceport Complex(PSCA、旧Kodiak Launch Complex / コディアック打上げ基地)にある同社の発射台から、Rocket v3の飛行を行うことを許可するものだ。期限は2026年3月9日まで。これにより、Astraは現地時間8月27日に米国宇宙軍のためにデモンストレーションミッションを実施することが可能になり、2021年後半に予定されている2回目の打ち上げにも道が開かれた。

2021年は、Astraにとって躍進の年になりそうだ。8月27日に初の商業軌道打ち上げを行うだけでなく、同社はNASDAQでティッカーシンボル「ASTR」での取引を開始した。同社は、特別目的買収会社(SPAC)であるHolicityと、プロフォーマの企業価値21億ドル(約2305億円)で合併し上場した。

2021年の夏の初めには、Astraは宇宙空間推進システム企業のApollo Fusionを買収した。電気推進システムは物体を低軌道から高軌道に移動させるのに有効であるため、この買収は、Astraが将来の打ち上げについてどのように考えているかを示すヒントとなるかもしれない。

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画像クレジット:Astra / John Kraus

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Aya Nakazato)

ロケット企業のAstraが初の商業軌道打ち上げを8月27日から9月11日の間に行うと発表

ロケット打ち上げスタートアップ企業のAstra(アストラ)が行った最後のテスト打ち上げは予想以上にうまくいき、軌道速度にあと一歩で達するところだったが、これは特定のミッションのためのストレッチゴールのようなものだ。同社は当時、軌道に到達するためにはソフトウェアを調整するだけでよいと述べていたが、それを証明する機会はいつ到来するのかが判明した。Astraは米国時間8月5日、米国宇宙軍のためのデモンストレーション・ミッションである、初の商業軌道打ち上げのローンチウィンドウが、8月27日より始まることを明らかにした。

Astraが米国宇宙軍と結んでいる契約には、2021年後半に予定されている2回目の打ち上げも含まれているが、その正確なスケジュールはまだ確定していない。

Astraのロケットが宇宙軍のために運ぶペイロードは、同局のSpace Test Program(宇宙テストプログラム)のために飛ばすテスト宇宙機になる。打ち上げは、これまでもテストミッションを行ってきたアラスカ州のコディアックにあるAstraの宇宙港から行われる予定だ。

ローンチウィンドウは、米国太平洋夏時間の8月27日午後1時から始まるが、9月11日まで継続されるため、天候などの条件を考慮した上、この期間内で打ち上げ時間が変更になる可能性もある。

2021年7月1日にSPAC(特別買収目的会社)との合併により上場企業となったAstraは、カリフォルニア州アラメダにある工場でロケットを製造している。この打ち上げプロバイダがターゲットとしているのは、同社の規模と同様、安価で、大量の、質量が小さな打ち上げであり、SpaceX(スペースX)よりも柔軟なサービスを提供し、Rocket Lab(ロケットラボ)に比べてコスト面で優位性がある。

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カテゴリー:宇宙
タグ:Astraロケット民間宇宙飛行米宇宙軍

画像クレジット:Astra / John Kraus

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(文:Darrell Etherington、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

宇宙開発企業のAstraが推進装置メーカーのApollo Fusionを買収

特別買収目的会社(SPAC)との合併から上場を計画している宇宙開発企業のAstra(アストラ)は、電気推進装置メーカーのApollo Fusion(アポロ・フュージョン)を買収すると、米国時間6月7日に発表した。AstraのチーフエンジニアであるBenjamin Lyon(ベンジャミン・ライオン)氏は、同日のブログ記事で、電気推進システムは宇宙船を低軌道から高軌道へ、さらには月へと移動させるのに有効であると述べ、Astraが地球軌道を超えたミッションも計画していることを示した。

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今回の取引条件では、AstraはApollo Fusionを株式3000万ドル(約33億円)と現金2000万ドル(約22億円)、合計5000万ドル(約55億円)で買収する。さらにApollo Fusionが一定の業績ベンチマークを達成した場合、最大9500万ドル(約104億円)の追加対価を支払う可能性もある。PJT Partners(PJTパートナーズ)は、この買収に関してAstraの財務アドバイザーを務めていると、アラメダに拠点を置くこのスタートアップ企業は月曜日に発表した。

AstraのChris Kemp(クリス・ケンプ)CEOは、同社を打上げから宇宙サービスまで提供する垂直統合型宇宙ビジネス企業にするという目標を公言しており、Apollo Fusionのスラスター技術はそのパズルの主要なピースとなる。Astraは2020年12月にアラスカのコディアックから最初のテストロケットの打ち上げを成功させたが、ケンプ氏は公式声明の中で、毎月商業打ち上げを行う計画を示している。

Apollo Fusionは「アポロ・コンステレーション・エンジン(ACE)」と「ACE MAX(ACEマックス)
」という2種類の電気推進装置を製造しており、どちらもクリプトンとキセノンの推進剤に対応している。同社は、York Space Systems(ヨーク・スペース・システムズ)から、2022年に打ち上げが予定されている低軌道(LEO)衛星コンステレーション・プログラムの推進システム供給メーカーに選ばれているという。

AstraによるApollo Fusionの買収は、AstraがSPACであるHolicity(ホリシティ)との合併を2021年末に完了させた後、成立する予定だ。ケンプ氏はTwitter(ツイッター)で、同社が7月1日に「ASTR」というティッカーシンボルでNASDAQに上場する意向であることを明かした

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タグ:Astra買収

画像クレジット:Astra / John Kraus

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

ロケット打ち上げのAstraがNASAの嵐観測衛星打ち上げ契約を獲得

カリフォルニア州アラミーダのロケット打ち上げ企業Astraは最近、SPACとの合併で上場する意図を発表したが、同社はこのほど、6基のキューブ状人工衛星(キューブサット)を打ち上げる契約をNASAと結んだ。この契約でNASAは同社に795万ドル(約8億5000万円)を支払う。これは、Astraの応答性の良いロケットの能力についての重要なテストとなり、その後の最長4カ月にはさらに3回の打ち上げが計画されている。現在、2022年1月8日から7月31日までのどこかが予定日になっている。

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衛星はNASAの「小型衛星のコンステレーションによる降雨構造と暴風の強度に対する時間分割観測(Time-Resolved Observations of Precipitation Structure and Storm Intensity with a Constellation of SmallSats、TROPICS)」ミッションに用いられ、それはハリケーンとその形成に関するデータを収集する科学ミッションだ。そこでは、気温や気圧、湿度などを観測することになる。ミッションの名前は極端に長く、頭字語をピックアップするのも困難だが、衛星の各サイズは靴箱ほどで、データは衛星の小さなコンステレーションで収集する

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Astraは2020年遅くに、最終的に軌道の達成を狙う3回の打ち上げ計画の2回目を完了し、宇宙に達して軌道の達成に近づいたという意味で、自己の予想を超えた。同社によると、ミッションで収集したデータによると実際に軌道を達成するための最後に残る壁は、すべてソフトウェアの変更で対応できるほど柔軟性がある。それに基づいてAstraのCEOで創業者のChris Kemp(クリス・ケンプ)氏は、すでに商用ペイロードを飛ばせる用意ができたと信じている、と述べている。

ケンプ氏はNASAのCTOだった人物で、これまでに多くのテクノロジー企業を共同で創業している。このNASAの最新ミッションは、同社の打ち上げ契約ではない。それどころか、すでに50を超える民間と政府さまざまな顧客のミッションを予定しており、総売上は1億5000万ドル(約159億9000万円)以上に達する。

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タグ:Astra衛星コンステレーション天気

画像クレジット:Astra

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(文:Darrell Etherington、翻訳:Hiroshi Iwatani)

ロケットスタートアップAstraがSPAC経由でNASDAQに上場の予定、ステルスから現れて1年

昨年12月にアラスカからのテスト打ち上げで宇宙空間に到達したばかりのロケット打ち上げスタートアップAstra(アストラ)が、Holicityという特別目的買収会社(SPAC)との合併を通じNASDAQに上場することになった。最近のSPAC熱はすでに宇宙ビジネスセクターにまで及んでおり、Virgin Galacticがこの新しい波に乗って上場した企業の一つであることを見ると、宇宙船打ち上げについては前例があるが、NASDAQに上場するのはAstraが初めてとなる。

取引の条件は、Holicityが信託で保有する3億ドル(約315億円)と、BlackRockが運用するファンドからのPIPE(パブリック・エクイティへの私募投資)による2億ドル(約210億円)の注入を合わせて、Astraに5億ドル(約525億円)の現金がもたらされることが予想される。この取引によりAstraのプロフォーマ評価額は約21億ドル(約2205億円)となるが、これは同社の評価額から、SPAC合併によってもたらされる5億ドル(約525億円)の現金を差し引いたもの。Astraは、今年の第2四半期までに合併を完了し、その後はティッカーシンボル「ASTR」で取引される予定だ。

Astraはカリフォルニア州アラメダの施設で、小型の軌道上ペイロードを運ぶために設計された独自のロケットを製造している。これまでのところ、アラスカ州コディアックにロケットを輸送して飛行を実施しているが、実際の宇宙港施設ではほんの一握りのスタッフがロケットの搭載と打ち上げを担当した。チームの大部分は、カリフォルニアにあるミッションコントロール施設から遠隔操作で飛行を監督した。同社のモデルは、比較的安価なロケットを高い供給能力で生産することに重点を置いており、ニーズに応じてほぼどこでも出荷・打ち上げが可能だという。

12月のテストが成功したことで、Astraは、打ち上げモデルの構築と反復型開発の作業に何年もかけて取り組んできた成果を得ることができた。同社はもともと、衛星を迅速に打ち上げることを目指し、DARPA(Defense Advanced Research Projects Agency、米国防高等研究計画局)が資金提供して実施した技術開発レースを追求していたが、そのレースは賞金の該当者が出ることなく期限切れになってしまった。12月に行われたテストの成功により、Astraのモデルの実行可能性は証明されたが、実際にペイロードを届けるための軌道速度を達成するにはわずかに足りなかった。同社によると、これは比較的簡単に解決できる問題であり、ソフトウェアの微調整で完全に管理できるとのことで、今年の夏には最初の商業衛星を納品する予定だという。

Astraは、最終的には2025年までにペイロードを毎日のように打ち上げることを目標としている。SPACのニュースに伴うブログ記事の中で、Astraの創業者兼CEOのChris Kemp(クリス・ケンプ)氏は「宇宙サービスのプラットフォームを構築する」ことにも取り組んでいきたいと述べており、現在のロケット事業の域を超えた野心を示唆している。

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タグ:Astra 新規上場 SPAC

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(文:Darrell Etherington、翻訳:Nakazato)

ロケット打ち上げスタートアップAstraのロケットが宇宙へ

ロケット打ち上げスタートアップAstra(アストラ)は、周回軌道に実際に達したエリート企業の一員となった。これは予想よりも随分速い達成だ。同社のRocket 3.2テストロケット(そう、「ロケット」と呼ばれるロケットなのだ)は、今日のアラスカ州コディアックからの打ち上げで、カーマンラインを超えた。カーマンラインとは地球の大気圏と宇宙空間の境界とされる海抜高度100キロメートル(62マイル)地点である。

今回は、Astraの軌道飛行テストシリーズの第2回目となる。同社は9月にRocket 3.1テスト機を打ち上げている。同社の定義によるとその飛行で大量のデータが得られたため、テストは成功とされているが、ロケットは宇宙に達することも軌道に乗ることもなかった。Astraによれば、Rocket 3.1も3.2も、3回に及ぶ打ち上げ計画の一環であり、3回目の試みが終わるまでには、軌道高度に達する予定という。

Astraは、カリフォルニア州イーストベイでロケットを作っている小型衛星打ち上げスタートアップだ。同社の工場は、最終的にはランチャーを大量生産できるように設計されている。同社のモデルはSpaceX(スペースX)やRocket Lab(ロケットラボ)のような既存オプションよりも小さな機体を使用しているが、比較的安価に反応性が高く短いターンアラウンドの打ち上げサービスを提供することを目標としている。宇宙行きのリムジンではなく、バスといったところだろうか。同社はVirgin Orbit(バージンオービット)のような企業とより直接的な競合関係にある。ちなみにVirgin Orbitはまだ打ち上げロケットで宇宙には行っていない

AstraのRocket 3.2第2段から見た宇宙

 

これはAstraのロケットプログラムにとって非常に大きな勝利でありマイルストーンだ。問題のあった9月の打ち上げ(同社ではオンボードガイダンスシステムの問題と結論付けている)から比較的短い期間で立て直しを実現させたのだから尚更だ。3か月以内に問題を修正し、精力的に打ち上げを成功させたことは、技術的に大変に素晴らしい功績だ。これは平常時でも目覚ましいことであるのに、同社においては新型コロナという課題に直面しているなかでの達成である。

同社はここまでの達成を予想していなかったという。同社は開発プログラムで軌道飛行に達するまでの7段階を定義していたが、今日は第1にカウントとリフトオフ、第2にマックスQ(地球の大気圏内での飛行で ロケットの動圧が最大に達するポイント)に達すること、そして第3に第1段の主エンジンの分離を達成することを予想していた。今日の打ち上げが成功と判断されるのはここまでであったのだが、CEO兼創業者のChris Kemp(クリス・ケンプ)氏は打ち上げ後の電話で「ロケットはそのまま飛行し続けた」と語っていた。

Rocket 3.2は分離に成功し、第2段はカーマンラインを超えて大気圏外へ到達した。その後もさらに進み上段点火を達成したが、その6分後に上段エンジンが停止した。その後もロケットは目標軌道高度の390キロメートルに達した。だが速度は毎時7.2キロメートルで、起動速度に必要な7.68キロメートルにわずか0.5キロメートル足りなかった。

Astraは、この段階での推進剤の配合は宇宙での現場テストでしか見極めることができないと強調。残りの速度を達成するには、上段推進剤の混合比を調整するだけだと言及している。ケンプ氏は今後数か月以内でこれを実現させ、来年初めにはペイロードの再実験を開始できると自信を見せている。これにはハードウェアやソフトウェアの変更は不要で、変数を微調整するだけとのことだ。

画像クレジット:Astra担当John Kraus

 

ケンプ氏は、コスト削減のために膨大な量のオートメーションを採用することに焦点を当てた同社のアプローチが今回の成功の鍵だと付け加えている。

「私たちはまだ創業してから約4年の企業で、チームにはわずか100人程度しかいません」とケンプ氏。「このチームは、成功までの道のりで数多くの課題を克服してきました。コディアックに向かう際に、新型コロナに感染して隔離に入ったメンバーがいました。このためにチーム全員が隔離となり、代わりにバックアップチームがコディアックに向かいました」。これが実現できたのは、打ち上げチームがたった5名で構成されていたためだ。

「当社ではたった5人のチームで打ち上げサイト全体とロケットを準備し、ものの数日で打ち上げが可能です」とケンプ氏は言う。チームは文字通りたった5名で、ロケットの荷降ろしから組立まで、現場でのすべての作業がこの5人で行われる。残りはカリフォルニア州のミッションコントロールからクラウドを通してリモートで実施されるという。

ペイロードを搭載した最終軌道試験飛行を目前に、同社は現在カリフォルニア州に位置する同社工場にてRocket 3.3の調整を行っている。その後は設計と技術の急進的な進化を通じてコストを削減し、パフォーマンスを向上させることに重点を置いて、打ち上げたRocketの各バージョンを繰り返し適用し続けていく予定だ。

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カテゴリー:宇宙
タグ:ロケット Astra

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(翻訳:Dragonfly)