中国が火星軌道周回機と探査車ミッションを7月に打ち上げ

中国の現在の宇宙開発計画によると、7月に火星探査ミッションを打ち上げる予定だ。これには火星を探査するための軌道周回機と、地表探査のための遠隔操作ロボット探査車(ローバー)が含まれる。一方アメリカも、火星でのロボット探査車ミッションを計画しており、火星へと最も効率的に飛行できる今年の夏に打ち上げられる予定になっている。

これは中国の宇宙開発計画にとって最初の火星への探査車ミッションとなり、NASAの宇宙探査計画に対抗する計画のうちの1つだ。NASAはこれまでに4回の火星探査車ミッションを実施しており、5回目のミッションはPerseveranceと呼ばれる最新の探査車で、2020年に打ち上げられ2021年2月に火星へと到着する予定だ。

NASAのミッションには、野心的な岩石サンプルリターン計画も含まれており、それを持ち帰るための初となる火星からの宇宙船打ち上げも含まれている。NASAはまた、このミッションで初の大気圏用空中探査機を火星に送り込む予定だ。これは、火星上空を短時間飛行しデータを収集するヘリコプタードローンである。

中国は新たに独自の宇宙ステーションを開発し2022年までに打ち上げるなど、いくつかの宇宙探査計画を進めている。また同国は最近、新しい有人ミッション用の宇宙船の試験打ち上げを行い、これは最終的には中国の宇宙飛行士を月面に着陸させるミッションにも使用されることになる。

一方NASAは、特に月への到達と恒久的な人間の存在を確立することに関連した、宇宙での国際協力を継続するために提案された新しい規則の草案を発表した。同宇宙機関はまた、米国時間5月27日の水曜日にSpaceXのクルードラゴン宇宙船で宇宙飛行士が搭乗した初のデモンストレーション打ち上げを実施し、米国の宇宙飛行士打ち上げへの復活を目指している。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter

遠い恒星の可住周回軌道上に地球サイズの惑星が見つかった

アメリカ航空宇宙局(NASA)とエイムズ研究センターの研究者たちが、太陽系の外の恒星を周回している地球大の惑星を発見した。その惑星はKepler-1649cと呼ばれ、地球の1.06倍の大きさしかなく、物理的な寸法ではわれわれの惑星によく似ている。それはまた、その恒星にとても近くて、地球が太陽から得ている光の約75%が得られる距離を周回している。

その恒星は赤色矮星で、星というよりフレアに近く、われわれのお隣さんとは違って、その岩だらけの衛星の表面で生命が進化するのは難しかっただろう。軌道は恒星にとても近くて、1年がわずか19.5地球日だ。ただし恒星の熱は太陽よりも相当少ないので、場所によっては液状の水がありうるだろう。

Kepler-1649cは、2018年に引退したKepler宇宙望遠鏡のこれまでの観測データを科学者たちが掘り返しているとき見つかった。そのデータから惑星らしいものを見つけるアルゴリズムは失敗したが、情報を見直していた研究者たちがKepler-1649cに気づいた。

その外惑星には、大気はどんなのかなど、これから知るべきことがたくさんある。Kepler-1649cの生命をサポートする能力に関しても、問題は山ほどあり、また、それが地球に似ているとか、恒星の周囲の正しい可住ゾーンにあるという判断も、元のデータにエラーがあるかもしれない。でもとにかく、そのサイズと、それが乗っている軌道帯の温度だけで言えば、これまで見つかったものの中でいちばん生命をサポートする可能性のありそうな太陽系外惑星だ。

地球のような特徴のある外惑星の発見は、今後の調査の良い候補を提供する。地球や宇宙にある観測機器を何に向けるべきか、という問題の解にもなる。生命のサポートについて確実なことが何か言えるまでには、長い時間を要するだろう。でも、その可能性のある外惑星が見つかっただけでも嬉しい前進だ。

画像クレジット: NASA/Ames Research Center/Daniel Rutter

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

毒針を持つアカエイにヒントを得た航空機が金星の大気を調べる

NASAの次の金星探査では、バッファロー大学(University of Buffalo、UB)が設計した、アカエイのように後尾に針のあるロボットが大気のサンプリングを行う。宇宙観測のための新しい革新的な設計コンセプトを追究しているNASAはその活動の一環として、ニューヨーク州立大学バッファロー校で航空宇宙機器の衝撃耐性を調べている研究所CRASH Lab(Crashworthinesss for Aerospace Structures and Hybrids laboratory)に、初期的な研究助成金を交付した。

そのアカエイの形をした宇宙船には、金星の上空の大気中の強風の中を飛べるための羽ばたく「翼」がある。UBによると、それによって飛行のコントロールが可能になり、効率的に飛行できる。その設計はBREEZEと呼ばれ、4日〜6日で金星を1周でき、2〜3日おきにその惑星の日照面にあるときには充電できる。

なお、金星は太陽のまわりを回る軌道が独特なため、その1日は地球の1年よりも長い。そこで探査用宇宙船は、他の自転周期の短い惑星の場合のように、推力を使って惑星の大気中に静止する設計にする必要がない(Wikipediaによると、金星の公転周期は224.7地球日、自転周期は243地球日)。

BREEZEが実際に金星の雲の中に出没するまでには、まだ長い時間がかかる。しかし、NASAから認められて補助金ももらったのだから大きな一歩前進だろう。

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

NASAの最新の惑星探索衛星が3つの新世界を見つけた

4月にSpaceXのFalcon 9ロケットに乗って打ち上げられたNASAの惑星探索衛星Transiting Exoplanet Survey Satellite(トランジット系外惑星探索衛星)が、太陽よりも小さくて低温の矮星を軌道を描いて周回する3つの新しい世界を見つけた

新たに見つかった惑星はサイズも温度もまちまちだが、どれも地球より大きく平均温度も高い。温度の計算は彼らが周回している星からの距離とそのエネルギー出力にのみ基づき、大気についてはまだ何も分かっていないので大気の影響はまったく含まれていない。温度が最も低いTOI 270 dは平均温度が摂氏66度で、地球の3倍に近い。

最も遠いTOI 270 dと、最も近いTOI 270 cは、どちらも主にガス状と考えられ、太陽系の中では海王星がそれらに一番似ている。「似ているとは言っても、とても小さいから太陽系には存在しない新しいタイプの惑星だ」とNASAの研究者たちは言っている。

どれも大きさが地球の1.5倍から2倍程度と小さく、惑星としては異例であることが研究者にとって関心の的だ。このTOI 270と呼ばれる矮星系は、今後のジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡からきわめて観測しやすい位置にあるので、この観測所が実働に入る2021年以降がさらに一層、研究の好機と見なされている。

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SpaceXがNASAと契約してブラックホールや中性子星を調査する宇宙船を打ち上げ

SpaceXがNASAからの受注で、画像作成X線偏光測定探査船(Imaging X-ray Polarimetry Explorer、IXPE)を打ち上げることになった。この研究用宇宙船は、中性子星やパルサー星雲、超大質量ブラックホールなどの光源からの偏光を調べて、これまでの宇宙観測よりもさらに多くの画像を提供する。

このミッションは科学者たちによるマグネター(強力な磁場をもつ特殊な中性子星)やブラックホール、パルサー風星雲などの研究を助ける。パルサー風星雲は、超新星の残存物の中にある星雲だ。

SpaceXはこのIXPEミッションの打ち上げを、すでに性能が実証されているFalcon Xで行い、その契約総額は5030万ドルだ。打ち上げは2021年4月で、フロリダ州ケネディ宇宙センターのLC-39Aから行われる。

SpaceXの社長でCOOのGwynne Shotwell(グウィン・ショットウェル)氏は、声明でこう述べている。「NASAが重要な科学的ペイロードの軌道打ち上げ用に弊社の実証された打ち上げ船体を信頼していることは、SpaceXの名誉である。IXPEは弊社にとって6度めのNASA打ち上げサービス事業からの受注であり、内二つは2016年と2018年に打ち上げ成功し、同機関の科学観測能力の増大に寄与した」。

NASAとの契約によるSpaceXの今後の打ち上げ計画はほかにもまだまだあり、その中には国際宇宙ステーションへの定期的な物資供給輸送業務もある。

画像クレジット: NASA/JPL-Caltech/McGill

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ホーキングのブラックホールに関する最終論文がオンライン公開された

スティーヴン・ホーキングは今年76歳で死去したが、彼の驚くべき知性の科学界への貢献はまだ終わっていない。著名な物理学者の最終論文がオンラインで誰にでも読めるように公開され、博士の輝かしい経歴を明らかにした物質界の謎を振り返ることができる。

Black Hole Entropy and Soft Hair“[ブラックホールのエントロピーと柔らかい髪]と題されたその論文は、ホーキング博士と共同研究者のSasha Haco、Malcolm Perry、およびAndrew Stromingerの共著による。論文保存公開サイトのArXivから無料でダウンロードが可能で、ホーキングへの心のこもった賛辞も載せられている。

「私たちは最愛の友で共同研究者だったスティーヴン・ホーキングを亡くし深い悲しみにくれています。ブラックホール物理学に対する博士の貢献は、最後の最後まで絶大な刺激を与え続けるでしょう」

この論文は、ホーキングの経歴にとって一種のブックエンドといえるものであり、ブラックホールの量子構造に関する博士の最近の業績が集められている——ホーキングが 過去40年間追究してきたテーマだ。

ホーキングの最終論文が、物理学最大の未解決問題の一つへの挑戦となったことは実にふさわしいことだ。その問題は博士自身が提起したものでもある:ブラックホールに落ちていく物体は本当に消滅するのか、たとえ物理の法則がそれを不可能だとしていても? このパラドックスが悩ましいのは、量子力学の法則と一般相対性理論の法則を戦わせることになるからだ。

論文中ホーキングらは、「柔らかい髪」と呼ばれるものがその矛盾を解決することを示唆している。「髪」とは」とはブラックホールの縁である事象の地平線に存在する光子を意味している。柔らかい髪バージョンの事象においては、ブラックホールの縁にあるその「髪」が、ブラックホールに落下した物体に関する情報を保管する。これは、物質に付随していた情報は宇宙から消滅したのではなく、見かけ上の地平線の彼方に消えたように見えるだけであることを意味している。

「これは道半ばの一歩であり、決して完全な答えではない」と共同研究者のMalcom PerryがGuardianに語った。「これまでより若干パズルの数は減ったが、厄介な問題がいくつか残っていることは間違いない」

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

新惑星の発見に貢献したNASA/Googleの機械学習システムAstroNetをあなたも利用できる

おぼえておられると思うが、昨年12月に、NasaのデータとGoogle Brainの脳力を利用する機械学習により、二つの新しい惑星が見つかった。あなたがそれと同じことをやってみたいなら、そのシステムを作ったチームが今日(米国時間3/8)、その天文学的偉業の達成に使われた、AstroNetと呼ばれるプログラムのコードをリリースしたから、試してみたらどうだろう。

NASAのKepler宇宙望遠鏡は、銀河系を何年もかけてスキャンし、惑星サイズのオブジェクトが星の前面にあって、そこだけやや暗くなってるところ(上図)を観察した。

そのデータセットは、機械学習のシステムにとってすばらしい遊び場だ。量が膨大でノイズも多いため、微妙な変異を単純な統計学的方法や人間による精査では見つけることができない。そのような、データの泥沼からおもしろい結果を取り出すためには、畳み込み式ニューラルネットワークが格好のツールだった。

しかし例によってAIは、人間がやった先例に従わなければならない。そのニューラルネットワークは、すでにラベルがついていて惑星か非惑星かを検証されている何千ものKeplerのスキャンデータで訓練された。この訓練されたモデルが、Kepler-90iとKepler-80gの発見に貢献した。

研究者たちによると、プロジェクトのソースを公開したことによってそれがさらに正確になり、研究がもっと早いペースで進み、また新しいデータセットも取り入れることができる、と期待される。ドキュメンテーションを読んでコードをフォークしてみたい人は、GitHubへ行ってみよう。

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パソコン原始時代の名機Altairが現代にタイムワープしてきたAltairduino

Altair革命を懐かしく思い出す方は本誌読者の中にはおられないと思うが、われわれのような元祖コンピューターおたくは、あのころのクールな原始的コンピューターを思い出の中で美化せずにはいられない。1975年の1月にあの不思議な8800チップと対話するために売られたAltairは、キーボードもマウスもスクリーンもないのに、初めてのホームコンピューターとして使えた。元祖おたくにとって、それは天国だった。

そして今や、Altairのレプリカが売られている。スイッチもライトもケースも、完全に同じだ。そのAltairduinoはマイコンボードArduino Dueを使用し、初期のAltairを再現するのに必要なものが、すべて揃っている。

作者のChris Davisはミネソタ州のデベロッパーで、パーソナルコンピュータの歴史にのめり込んでいるうちに、実際にそれを作ってしまった。

“ずっと欲しいと思っていたけど、中古はあまりにも高すぎるし、エミュレータキットも今あるやつはものすごく高い。Hackster.ioでDavid Hanselのコードをたまたま見て、自分で作れることが分かった。さっそく作って、さらにもう一台作った。回路基板がすこし余っていたから、ネット上で何人かにあげた。希望者がとても多かったから、今度は売り物として作ることにした”。

そのキットは完全にオープンソースで、シミュレーターもある。まだDavisのプロジェクトは、終わっていない。

“Altair 680やKenbak-1も再現したい(後者はほぼ完成している)。紙テープを読むOAE OP-80Aも作りたい”。

彼はAltairのパワーには感動したが、この初期の奇妙なコンピューターで、昔のゲームをやろうとすると不満かもしれない。

“Doomはだめだけど、Colossal Cave Adventureはできるよ!”、と彼は言っている。

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地球の比較的近くに人が住めそうな惑星が見つかった、そこまでの距離は11光年

火星のことは忘れましょう。わずか11光年先に、地球ぐらいの大きさで、居住できるかもしれない惑星が見つかったのです。

Ross 128bと呼ばれるその惑星は、推定年齢70億歳の、生命にやさしい赤色矮星のまわりを周回している。

赤色惑星は銀河系でいちばんありふれた星で、知られている星の約70%を占め、その周回軌道上には水のある惑星がありえる、と言われている。つまりそれらの惑星には大気があり、生命をサポートしているかもしれない。

ここ数年、そういう赤色惑星を周回している、居住可能かもしれない惑星の発見が爆発的に増えた。というか、最近の研究によると、赤色惑星の恒星系の可住域には惑星が600億ぐらいあるかもしれない。その中でRoss 128bが話題になるのは、地球から近いからだ。

もっと近い地球サイズの惑星として、4.25光年先のProxima Centauriをご存知の読者もおられるだろう。でも、その恒星系の太陽である赤色惑星は若くて高温なので、惑星は灼熱地獄だろう。人が住める場所ではない。

Ross 128bには、人間が住めるかもしれないと思わせる特徴がいくつかある。まず、自転の揺れが安定している。その‘太陽’は高齢なので、かなり沈静化しているだろう。コンピューターのシミュレーションでは、雲におおわれているので水が表面から蒸散しない。ということは大気もあって、生命をサポートできるだろう。

この惑星を発見した科学者たちが、それを最初に報じたNational Geographic誌で語っているところによると〔日本語訳〕、今後はもっともっとデータが必要である。目下チームは、16光年以下の範囲内に、そのほかのRoss 128b的惑星を探している、ということだ。

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地球の比較的近くに人が住めそうな惑星が見つかった、そこまでの距離は11光年

火星のことは忘れましょう。わずか11光年先に、地球ぐらいの大きさで、居住できるかもしれない惑星が見つかったのです。

Ross 128bと呼ばれるその惑星は、推定年齢70億歳の、生命にやさしい赤色矮星のまわりを周回している。

赤色惑星は銀河系でいちばんありふれた星で、知られている星の約70%を占め、その周回軌道上には水のある惑星がありえる、と言われている。つまりそれらの惑星には大気があり、生命をサポートしているかもしれない。

ここ数年、そういう赤色惑星を周回している、居住可能かもしれない惑星の発見が爆発的に増えた。というか、最近の研究によると、赤色惑星の恒星系の可住域には惑星が600億ぐらいあるかもしれない。その中でRoss 128bが話題になるのは、地球から近いからだ。

もっと近い地球サイズの惑星として、4.25光年先のProxima Centauriをご存知の読者もおられるだろう。でも、その恒星系の太陽である赤色惑星は若くて高温なので、惑星は灼熱地獄だろう。人が住める場所ではない。

Ross 128bには、人間が住めるかもしれないと思わせる特徴がいくつかある。まず、自転の揺れが安定している。その‘太陽’は高齢なので、かなり沈静化しているだろう。コンピューターのシミュレーションでは、雲におおわれているので水が表面から蒸散しない。ということは大気もあって、生命をサポートできるだろう。

この惑星を発見した科学者たちが、それを最初に報じたNational Geographic誌で語っているところによると〔日本語訳〕、今後はもっともっとデータが必要である。目下チームは、16光年以下の範囲内に、そのほかのRoss 128b的惑星を探している、ということだ。

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バーチャル望遠鏡サービスのSlooh、日食に向けて準備完了

コネチカット州のSloohという会社は、世界中に設置された数十台の望遠鏡のいずれかを使って簡単に(そして今は無料で)夜空を見ることのできるサービスだ。ログインして望遠鏡を選ぶだけで使える。自分で望遠鏡を制御して様々な宇宙空間を見ることもできるし、プロの天文学者に任せてただ宇宙の旅を楽しむこともできる。Sloohユーザーは、宇宙をのぞき込みながら発見したものをシェアすることもできる。

来たるべき日食を祝って、Sloohはこのイベントを遠方から見学したい人たちのために無料アカウントを提供している。4.95ドル払えば一カ月間望遠鏡を制御することもできる。

Sloohには8万人のメンバーがおり、ライブショウ(流星群や日食などの興味深いイベントの際に行われる望遠鏡ライブ中継)の視聴者は延べ2000万人に上る。無料アカウントのおかげで、登録者数は1万人増えた。

「われわれの望遠鏡は、世界最高水準の天文台に設置されている」とファウンダーのMichael Paolucciは言う。「こういう場所は、ふつうアマチュアや一般の人はまず利用できない」

全部で25箇所の天文台がSloohに映像を提供しており、望遠鏡の多くはユーザーが制御できる。

「あなたがSlooh望遠鏡をのぞいている時、世界中が一体となって驚きと共に空を見上げている」とSloohの天文学者、Paul Coxは言う。

本誌がSloohと最後に話したのは2009年に無人探査機LCROSSの月面衝突を彼らがライブ中継したときだった。今回の新たな取り組みは、世界を良い方向へ変えようとしているPaolucciの活動の一環だ。

「私がSloohを作ったのは、Cantor Fitzgerald銀行で働いていた親友のBlake Wallensが9.11に殺されたときだった」とPaolucciは言った。「Sloohは2003年、宇宙を共同探索することで人類をつなぐためにスタートした。私は国際望遠鏡ネットワークを構築し、特許技術を駆使して天体映像をリアルタイムで見えるようにした。望遠鏡を通じて宇宙を見ることによって、宇宙の中の自分たちの位置づけを考えることができる。これは平和と啓発を示す行動であると同時に、9.11を引き起こした狂信者の屈折した世界観に直面する機会でもあると私は考える。人々が世界の雄大さを自らの目で見られるようにすることが、究極的に霊的信仰の進化につながると信じている」。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Amazon、認定外の日食用メガネ購入者に返金

Amazonは、この夏の大日食イベントに向けて販売した日食用サングラスが偽物である可能性があるとして、購入者に返金した。

多くの人々が、8月21日に北米大陸を横切る日食 ーー 場所によって、完全な暗黒になるか部分的に太陽が隠れる ーー を前に準備を進めている。そして多くの人が、この太陽現象が頭上を通過する間に直接空を見上げるのに必要な保護メガネを入手するために、手軽なAmazonを使った。

しかしAmazonは、同サイトで売られているメガネが信頼ある製造元で作られているものばかりではないことを認識し、安全のため、疑わしいメガネを使用しないよう顧客に通知した。Vergeが最初に報じた。

「安全は当社の最優先事項の一つです」とAmazon広報担当者がこの件についてTechCrunchに語った。「当社は多数の警告に加え、業界標準をみたしていない可能性のある日食メガネの購入者に連絡して返金を行ないました。お客様にはAmazon.comで常に安心して買い物していただきたいと考えています。また、Amazon.comで販売される日食用メガネは、関連するISO標準を必ず満たようにいたします。」

安全問題についてはここ数ヶ月間話題になっている。最近Amazonから返金を受けた女性は、中国のメーカーからまとめて500個購入し、会社からは安全だと聞かされていた。後に、その会社が意図的に偽の安全表示をして彼女を騙そうとしたことがわかった。

言うまでもないが、不適切なメガネで直接日食を見ると視力に深刻な損傷を与える場合がある。「自作のフィルターや一般のサングラスは、たとえ色の濃いものであっても太陽を見るには適していない。許容される何千倍もの太陽光を透過させるからだ」と、米国宇宙航行学会(AAS)は警告している。

報道によるとAmazonは、検証不可能な日食用サングラスを販売している店舗を閉鎖するとともに、商品を使用しないよう顧客に注意を喚起しているがすでに遅すぎる可能性がある。プライムメンバーでない人は、間に合うよう購入するためには今がギリギリのタイミングだ。

もちろん、Amazonサイトには幅広いセレクションの日食用メガネがある。しかし、購入に際してはISO 12312-2国際安全基準の表示があることを確認されたい。認証済みのメガネは太陽光を10万分の1に減衰し、イベントを楽しむ間あなたの目を保護してくれる。

NASAおよびAASは、必要な安全基準を満たすブランドをごくわずかしか認めていないことにも注意されたい。認定済みメーカーの一覧は ここで見られるので、購入前に確認することをお勧めする。

製品の安全性についてAmazonから通知を受けていない人は、購入した製品がISO準拠であることをAmazonが確認されている。それでも自分が認定外製品を購入したのではないか心配な人は、Amazonのカスタマーサービスに連絡して、A-to-Z Guaranteeによる返金を受けることができる。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Mystery ScienceとGoogleがパートナーして小学生に日食眼鏡を配布

洞窟で原始人スタイルの生活をしている人以外は、みんな知ってると思うけど、8月21日には日食がある。日食(皆既日食)がアメリカを横断するのは1918年以来初めてで、2045年まではこれが最後だ。だからたくさんの人たちが、当然のように興奮している。そしてもちろん、アメリカじゅうの先生たちが、子どもたちにこれをうまく教えようと準備している。しかしその授業のためには、日食眼鏡(eclipse glass, 日食グラス)がどうしても必要だ。子どもたちが太陽を直視して目を負傷することは、絶対に防がなければならないからね。

すでに発表されているとおり、GoogleはGordon and Betty Moore Foundation, SSI(Space Services Inc. of America), National Science Foundation, NASAなどとの共同事業で、全国およそ5000の図書館を通じて、太陽を見るための眼鏡を200万個、配布する。そしてさらにGoogleは、Y Combinatorで育った、教師に(理科の)授業計画(レッスンプラン)を提供するスタートアップMystery Scienceとパートナーして、小学校へ直接、15000の眼鏡を寄付する。

Mystery Scienceの協同ファウンダーDoug Peltzによると、彼は8歳のときからこの日食を待っていた。彼と協同ファウンダーのKeith Schacht(元Facebookプロダクトマネージャー)らによるチームは、図書館から無料の眼鏡を配布されない小学校でも、先生たちが児童たちに確実に眼鏡を配れるようにしたい、と考えた。そこで彼らはGoogleとパートナーして眼鏡を学校へ送れるようにし、また先生たちにはこのイベントに関する授業計画を無料で送るようにした。

プロジェクトのホームページには日食の時刻表があるので、見忘れる心配も少ない。でも、午前中に急に空が暗くなったら、気づかない人はいないと思うけどね。

Mystery Scienceの授業計画は全米の小学校の10%が利用している。小学校の先生たち全員が、理科を上手に教えられるとは限らないからだ。カリキュラムをよく理解できない先生も、いると思う。同社のサービスは、教師個人単位でも契約できるが、ファウンダーたちによると、今では教師全員用にライセンスを購入する校区が多い。

いずれにしても、今この記事を読んでるあなたが小学校の先生なら、今同社のサービスの会員である・ないにかかわらず、Mystery Scienceから日食の授業計画と日食眼鏡を無料で入手できる。

〔参考記事: 日食の一覧

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

パンスターズ計画、5年間2ペタバイトの巨大宇宙観測データを公開

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パンスターズ(Pan-STARRS)計画で5年間にわたりハワイ、マウイ島のマアナケア山頂天体観測から撮影した50万枚の画像によって、天文学者は新たに強力なデータ資源を得た。今日(米国時間12/19)一般公開された2ペタバイト(2 x 10^15)のデータは、天空の3/4を網羅し、恒星、星雲、小惑星等数十億個の天体を写し出す。

これは印刷して壁に飾る種類の画像ではないが、上に載せた観測範囲全体の可視光を映しだした画像は実に美しい。ハッブル天文台等で撮影した写真が超望遠レンズで写した個々の表情だとすれば、これはわれわれの宇宙近隣を撮った超広角写真だ。実際には何千ものレイヤーを重なり合わせて作られている。

長期間にわたり繰り返し観察することで、地球近傍天体や、明るいけれども短時間の事象、大規模な現象等を追跡することが可能になる。パンスターズによって、数十の小惑星やクエーサー(準恒星状)が発見され、宇宙マイクロ波背景放射の「コールドスポット」といった謎の事象の定義にも役立っている。プロジェクトの成果の一部は、この(やや古い)PDFに記載されている。

Pan-STARRS1 Observatory「パンスターズは、既に地球近傍天体や太陽系のカイパーベルト天体から、星間の浮遊惑星まで様々な天体の発見に成功している」とプロジェクトの責任者であるハワイ大学のケン・チャンバース博士がニュースリリースで言った。「銀河系内のダストを3次元にマッピングすることで、新たな星の流れを発見したほか、新種の爆発星や初期宇宙の遠方クエーサーも見つけた。

今回公開されたのは “static sky” と呼ばれる5年間の観測データを平均した値だが、来年には高精度の大規模データが公開される。知りたいことのわかっている人はパンスターズのウェブページへ行けば見つけられるはずだ。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

この星団から送られてくる信号は「おそらく地球外知的生命体」と科学者らが主張

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“Astronomical Society of the Pacific” 誌に寄稿した科学者らは、ある星団から送られてくる特異な信号を発見し、それは「おそらく地球外知的生命体から」であると言っている。その信号は、「以前の論文が予言した形状と正確に一致しているため、この[地球外知的生命体]仮説を裏付けている」。

「少数の太陽型星団の特異な周期的スペクトラム変調の発見」と題した論文には、その信号がある種の地球外知的生命体[ETI]の存在を示唆しているという仮説が説明されている。

「太陽のスペクトル型付近を中心とする狭いスペクトル域内にある極く少数の星団にのみ、この信号が見られるという事実も、ETI仮説と一致している」と論文の著者である、E.F. BorraとE. Trottierは書いている。

終末論カルトに走り出す前に言っておくと、問題の信号が知的生命体によって生成されたものであることが証明されたわけではない。実際、それはある種の星団で化学反応によって形成されたものである可能性もある。

「現段階では、この仮説を裏付けるために研究を重ねる必要がある」と著者らは書いている。「可能性は低いが、この信号がごく一部の銀河系ハローに存在する非常に特異な化学物質によることもあり得る」

信号は、バーストの連続からなり、地球外生命が自らの存在を伝えようとしていることを示唆していると言う。この主張に同意する人は多くない。地球外知的生命体探査協会の上級天文学者、Seth Shostakは、この論文は天文学界で議論を呼んでいる、とAstronomy Magazineに言った。

「査読者の何人か ― 3、4人以上 ― はこれが掲載されることに抵抗を感じているようだ。私もかなり懐疑的であり、特にスペクトルデータの採取や時間変化の推測方法には疑問がある。このため少々慎重になっている」とShostakは語った。

著者たちでさえ、結論までにいくつか飛躍があることを指摘している。また、結局自らの仮説を主張しながらも追加研究が必要であると認めている。

「これは複雑かつ極めて不確実性の高い問題であり、あまり深入りすべきではない」と著者らは書いている。

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iRobotが開発中のロボット芝刈機は、天文学者を怒らせている

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複数のFCC提出資料によると、ロボット掃除機メーカーのiRobotは自動芝刈機を開発している ― そして電波天文学者をイラつかせている。プロジェクトは未だベールの中にあるが、芝刈機がよそへ入り込まないために低出力のラジオビーコンを使って庭の境界を検出している。他の自動システム ― ワイヤーやバリアーを使ってロボットを包囲する ― と異なり、このビーコンが6240~6740MHzの電滋波を放出する。

これは国際電波天文台(NRAO)によると、宇宙空間のアルコール ―
「星間メタノール」― の検出に用いられており、メタノールの存在は星が誕生しつつあることを意味する。FCCは「電波天文学研究を妨害しないために、実施可能なあらゆる手段を尽くすべきである」とまで言明している。

面白いのはここからだ。NRAOの天文学者らはFCCのコメントでiRobotに返答している。例えば:

iRobot:「iRobotのRLM[ロボット芝刈機]の使用は芝刈作業の安全性を高める。推定1517件の死亡事故が1997~2010年の間に芝刈機によって起きている。消費者がロボット芝刈機を使用すれば、そのような死亡や怪我の多くが起きないと仮定することは合理的である。毎年1700万ガロンの燃料、主としてガソリンが、芝刈機の燃料補給時にこぼれ出ている。バッテリー駆動のRLMは、排気ガス、ガソリン漏出、火災、その他の事故を減少させる。
NRAO:「iRobotは、複数の恐ろしい事故やガソリン漏出の例を挙げて、同社のロボット芝刈機を認めることの公益を主張している。しかしながら、ワイヤーループ[埋め込みエッジワイヤー]を用いたロボット芝刈機は既に競争市場を形成しており、iRobotが現状の芝刈作業と関連付けている痛ましい事故の発生傾向を既に妨げている」

Screen Shot 2015-04-13 at 11.29.58 AM

iRobotのファウンダー、Colin Angleがコンピューター科学で修士号を取得し、人工知能とロボット工学の深い知識を持っていることを踏まえれば、これが映画「メガマインド」に出てくる天才同士の戦いになることは必至である。このiRobot RLMと呼ばれるであろう新製品、そしてAngleらがどうやって星間メタノール分光法の妨害を回避するのか、どちらも興味深い。資料全文はこちらで見られる。

via Spectrum

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook