AIで学習時間を短縮するatama plusがEdTechカオスマップを公開、研究所設立も

atama plusは7月31日、世界のEdTech(エドテック、教育テック)の最新動向やデータを提供する「atamaEdTech研究所」の設立を発表した。国内でのEdTechへの理解や教育企業・教育機関などでの活用が進むことで教育をさらに発展させることを目指す。研究所の設立に合わせて、K-12・高等教育の領域における世界の企業35社(出典:CB Insights)をまとめたEdTechカオスマップも公開している。

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atama+EdTech研究所では、初等・高等教育領域におけるテクノロジーの活用に焦点を当て、世界のEdTechの最新動向やデータなどを、海外レポートの分析や現地取材などを通じて発信予定とのこと。

同研究所の所長には、atama plusの創業者である稲田大輔氏が就任。稲田氏は、2006年東京大学大学院情報理工学系研究科修了後、三井物産株式会社に入社。海外でEdTech企業の執行役員や三井物産の国内教育事業統括などを歴任したあと、2017年4月にatama plusを創業した人物だ。

同社が提供している中高生向けタブレット型教材「atama+」(アタマプラス)は、「得意」「苦手」「伸び」「つまずき」「集中状態」などのデータをAIが分析し、各々に適した「自分専用レッスン」を作成することで学習を効率化するのが特徴。

今年からは、駿台教育センターでは「AI演習講座」、Z会エデュースでは「AI最速定着コース」、城南進学研究社では「城南予備校DUO」として、atama+に特化したAI学習コースも開設されている。

日本では、授業をネット配信するなどオンデマンドの教育環境は整いつつあるが、家庭教師などの個別指導以外では各々の進捗に最適化した学習を受けることは難しい。生徒の習熟度やモチベーションが異なる義務教育の現場ではなおさらだ。amtama plusなどテクノロジーを活用して効率的な学習環境を構築するEdTechスタートアップの発展に期待したい。

AI解析で学習時間を短縮するatama plusが中高生向け英文法コンテンツを拡充

atama plusは7月18日、同社が開発したタブレット型AI教材「atama+」に、中学生向けの「英文法」のコンテンツを追加した。サービス開始当初からある高校生向けの「英文法」と合わせ、中高生向けのアダプティブラーニング(学習者一人ひとりに個別最適化された教材を提供する学習方法)による英文法の習得をAIを活用して学習環境を効率化する。
 
日本の英語教育は2020年度の大学入試から、従来の「聞く」「読む」に加え「話す」「書く」も含めた英語4技能が導入される。atama+はこの変更を受け、これら英語4技能を身につけるうえでの土台として「英文法」を最重要視して最短時間で習得することに特化した教材を開発したそうだ。
 
同社は、英語の文章を、基本文型、時制、動詞/助動詞、態、準動詞(不定詞・動名詞・分詞)など、さまざまな文法要素ごとに分解することで、個々の学習状況によってつまづきの原因を特定する。例えば「Was the door locked last night?」(昨夜、ドアは鍵がかかっていましたか?)という英文でつまずいた場合、従来の頭に叩き込む反復学習ではなく、具体的な原因を特定するのが特徴だ。具体的には、理解できていないの要素を、受動態、疑問文、過去形などに絞り込んで分析・診断のうえ、復習に適した教材・体系的なカリキュラムをAIが推薦してくれる。同社によると「つまずきの原因を効率的に解消していくことで、英文法が最短で身につく内容となっています」とのこと。
 同社は5月にジャフコ、DCMベンチャーズのそれぞれが運用するファンドを引受先とする15億円の第三者割当増資を発表し、累計調達額は約20億円となった。国内では教育系スタートアップがなかなか育っていない中、atama+は栄光や学研塾ホールディングス、ティエラコムなど500以上の教室に導入されている。さらに今年からは、駿台教育センターでは「AI演習講座」、Z会エデュースでは「AI最速定着コース」、城南進学研究社では「城南予備校DUO」として、atama+に特化したAI学習コースも開設されるなど、同社の活躍は目覚ましい。

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