アトラシアンが自然言語理解のための独自のAIエンジンを開発するPercept.AIを買収

Atlassian(アトラシアン)は米国時間1月27日、Percept.AI(パーセプトエーアイ)を買収したことを発表した。Percept.AIはY Combinator(ワイ・コンビネーター)の2017年夏のバッチに参加したAI企業で、自然言語理解のための独自のAIエンジンをベースに、自動化されたバーチャルエージェントサポートソリューション(基本的にはチャットボット)を提供する。Atlassianはこのバーチャルエージェント技術を、ITチームが従業員や顧客に対してより良いサービスを提供するためのツールであるJira Service Management(ジラ・サービス・マネジメント)に統合する予定だ。

Crunchbase(クランチベース)によれば、Perceptは今回の買収に先立ちシードラウンドを実施し、Hike Ventures、Builders VC、Cherubic Ventures、Amino Captial、Tribe Capital、Y Combinatorなどから金額非公開の資金を得ていた。両社は、今回の買収の金額的詳細については明らかにしていない。

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AtlassianがJira Service Managementに多大な投資をしていることは間違いない。2020年には、企業のアセット管理を行うMindville(マインドビル)に加えて、Slack(スラック)ファーストのヘルプデスクチケッティングサービスを提供するHalp(ヘルプ)を買収した。また2021年にはAtlassianは、Jira Service Managementを強化するために、ノーコード / ローコードのフォームビルダーであるThinkTilt(シンクティルト)を買収した(これは、近年のJiraエコシステムに関する数多くの買収に続くものだ)。

AtlassianのIT ソリューション製品責任者である Edwin Wong(エドウィン・ウォン)氏は、サービスを拡大するためには買収だけに賭けているわけではないと語った。

「無機質な投資を行うだけではありません。私たちが行ってきたことは有機的に統合されているのです」とウォン氏はいう。「何かを買ってきて接続するだけではなく、もっと考え抜かれた戦略が必要です。何がフィットするかを考え、これまでに作られたものの上に構築して、1つの製品として統一された体験を生み出すのです。ですから『6つの異なるものを用意しました』と差し出して、お客様に『これらをまとめるには何が必要なのだろうか?』と考えていただく必要はありません。私たちが目指しているのは統合された体験を生み出すことなのです」。

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しかし、ITチームは、パンデミックの厳しい影響下でも、これまで以上に優れた顧客サービスを提供しなければならないというプレッシャーにさらされていることは間違いない。いまや企業顧客であっても一般消費者のような体験を求めているからだ。理想的にいけは、Percept.aiのような製品は、サポート質問の大部分を処理しつつユーザーにすばらしい体験を提供し、ITチームがより複雑なタスクに集中できるようにすることができるだろう。

それがJira Service Managementのような製品の目標であり、ウォン氏が述べたように、このサービスは現在、ほぼすべての業界から3万5000以上の顧客を集めている。

ウォン氏は、チームがPerceptに惹かれた理由として、サポートクエリの背後にある多くの文脈を理解できるエンジンの能力を挙げている。エンジンは内容、意図、感情を分析し、ユーザーのプロファイルと組み合わせて、パーソナライズされた応答を提供することができる。バーチャルエージェントが応答の限界に達すると、自動的に人間にインタラクションを移行する。チームは、ノーコードツールを使ってサービスの設定や調整を行うことができるが、これもPerceptがアトラシアンにとって魅力的である機能の1つだ。

今後その技術を、Jira Service Managementの中にネイティブに統合していく予定だ。一方、Atlassianはこのサービスの機能を拡張することも計画している。

「もう少し先を見据えた私たちのより広いビジョンは、あらゆる形態のサポートやサービスデスクのための統一プラットフォームを作ることです。それが私たちの究極の目標なのです」とウォン氏は説明する。「私たちは、そうした拡張が本当にさまざまな種類の製品、さまざまな機能をカバーすると信じています。例えばConfluence(コンフルエンス、JiraのWiki)スペースやそこに書かれた記事の知識を利用して、さまざまな質問に答えることはできないでしょうか?例えばTrello(トレロ、タスク管理)ボードなどの情報を利用することはできないのでしょうか?今回の買収はもちろん、お客様に優れたエクスペリエンスを提供するという、Atlassian全体のより広範な長期的ビジョンの一環なのです」。

今回の買収は短期間で行われたため(ウォン氏によると、両社は2021年末に話を始めたとのこと)、Percept.AIの既存顧客が今後どうなるかはまだわかっていない。

関連記事:AtlassianがHalpを買収、JiraやConfluenceとの統合を進める

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(文:Frederic Lardinois、翻訳:sako)

グーグルがGmailに自動化サービス「AppSheet」導入、JiraがChatとSpacesをサポート

Google(グーグル)は米国時間10月12日、同社の自動化サービス「AppSheet」の新機能を発表した。Googleのノーコードプラットフォームを利用する開発者は、Gmailと直接やり取りするカスタムアプリケーションや自動化機能を作成できるようになる。開発者は、動的メールを利用して、ユーザーがGmailの受信トレイの中で起動・実行できるアプリケーションを開発することができるようになる。2019年にGoogleが動的メールを発表して以来、それが可能なことはわかっていたが、多くの開発者がこの機能を実際に利用しているとは言えない状況だ。

AppSheetの開発者は、例えば、ユーザーがメール上ですぐに更新できる承認ワークフローや資産管理システムを開発できるようになる。

AppSheetの創業者で、同社をGoogleに売却したCEOのPraveen Seshadri(プラビーン・セシャドリ)氏は、AppSheetのミッション全体の中で今回のステップは小さいながらも重要だと述べた。同社のミッションは、多くのユーザーが自分のアイデアを実用的なソフトウェアに変換したり、開発者(同氏は「クリエイター」と呼ぶ)がユーザーにリーチしたりすることを可能にすることだ。

「今、私たちが取り組んでいるのは、言ってみれば『どうすればクリエイターと呼ばれる人々、つまり、物事をより良く動かす方法や自動化する方法などのアイデアを持つ人々に、それらを開発してもらうか』ということです。従来はアプリを作っていましたが、最近では『アプリをいかにエンドユーザーの体験に深く統合するか』ということを目指しています。これは、開発者がワークスペースプラットフォームを使って行ってきたことであり、今はそれを非開発者にまで広げようとしているのです」とセシャドリ氏は語る。

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一般的に、ビジネス上の問題に最も近いのはビジネスユーザーであり、セシャドリ氏が指摘するように、彼らは通常、自動化ソリューションに何を求めているかを知っている。同氏は、ビジネスユーザーは自分でコードを書けないかもしれないが、AppSheetが宣言的アプローチに重きを置いているため、ユーザーは「その成果を達成するための非常に退屈なステップ」ではなく、成果に集中できると主張する。しかし同氏は、ほとんどのビジネスで、ノーコードのユーザーと従来のエンジニアが一緒に働いているとも指摘する。ノーコードアプリケーションの基盤となるデータベースを誰かが構築し、維持しなければならないからだ。

チームが現在注目しているのは、AppSheetプラットフォームの機能拡張に加え、それがエンドユーザーにどのように利用されるかということだ。

「従来は、アプリケーションを開発する場合、アプリケーションにアクセスして、そこで何かをしなければなりませんでした」とセシャドリ氏はいう。「私が経費精算レポートを作成しなければならないとします。そのために、経費精算レポートのアプリケーションを開きます。それは、ウェブページか何かでしょう。そして、それを実行します。さて、次に採用活動に関して何かをしなければならないとします。それを扱うアプリケーションにアクセスするでしょう。ありがちなのは、あらゆる場面で、ユーザーの文脈を変えてしまうということです。私たちが今取り組んでいるのは、クリエイターが作ったAppSheetアプリケーションをGmailに取り込むことです。そうすれば、ユーザーはその時の文脈から離れずに済みます。仕事の方からユーザーにやって来たり、アプリケーションの方がユーザーにやって来たりするわけです」。

セシャドリ氏は、Google Workspaceの中ではGmailが明確な出発点だというが、全体的な目標は、ユーザーの側に寄っていき、可能な限りユーザーが現在の仕事の文脈から離れないようにすることだ。

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上記と関連して、次のことも注目に値する。Googleは、Atlassian(アトラシアン)と新たに統合し、その結果、JiraがGoogle ChatとSpaces(旧称「Rooms」)に組み込まれる。ユーザーはChatやSpaceからJiraの新しいチケットを作成したり、チケットのプレビューを見たり、アクティブな課題を追跡したりすることができる。Slack(スラック)やMicrosoft Teams(マイクロソフトチームズ)のユーザーはすでに利用している機能であり、Googleは単にツールボックスの足りない部分をを埋めたにすぎない。

「現代の仕事では、人々はこれまで以上に文脈やツールをすばやく切り替える必要があります」とAtlassianのチーフプロダクトオフィサーであるJoff Redfern(ジョフ・レドファン)氏は話す。「私たちは、ユーザーが日々頼りにしているツール間のオープンなエコシステムと緊密な統合が、彼らの成功に不可欠であると考えています。2017年以降、Gmailと統合した当社のTrelloは700万人以上にインストールされました。本日、AtlassianとGoogleの連携に基づき、JiraとGoogle ChatおよびSpacesが統合され、職場での協業をさらに推進できることをうれしく思います」。

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(文:Frederic Lardinois、翻訳:Nariko Mizoguchi

Atlassianは同社Jira Software Cloudの開発工程に新インサイト機能を追加

DevOpsのチームは、常に社内のソフトウェアのデリバリーをもっと速くし、しかも信頼性を高めたいと頑張っているが、そのために必要な知識や現場の情報が得られないことも多い。

Atlassianは目下、同社のプラットフォームJira Software Cloudのユーザーに、開発工程の現状データに基づいた洞察を提供する一連の新機能を提供する。Jiraは課題やプロジェクトのトラッキング技術として人気があり、開発者やそのチームがワークフローのどこにいるのかを把握するのに役立つ機能を備えている。

それらの新しい洞察は、Jiraがユーザーに従来提供していたものの一歩先を行き、アジャイルソフトウェア開発のさまざまな側面への洞察が得られる。この新たな洞察の目標は、組織が今自分たちのやってることをよく理解でき、チームはどこを改良できるかわかるようになることだ。それにより、全体的に効率がアップする。

Jira SoftwareプロダクトのトップMegan Cook(ミーガン・クック)氏は「データは至るところにあるが、しかしそれと同時に、あなたが行なうアクションの洞察と理解はどこにもない。その意味では、賢く仕事をすることは困難であり、私たちが今挑戦しようとしているのも、そうした大きな問題だ」という。

クック氏は、AtlassianがJira Cloudで行っている大きな変化の1つとして、異なる開発トラッキングツールからのデータを1つの場所にまとめ、開発チームが意思決定できるようにすることを挙げている。

Jira Cloudが今ユーザーに提供している洞察の1つの例として、スプリントコミットメントに関連しているものがある。アジャイルソフトウェア開発のアプローチでは、デベロッパーが競走状態になる、いわゆる「スプリント(短距離走)」になることがある。しかしそんなスプリントコミットメントに洞察が伴えば、チームは過去のパフォーマンスに基づいて、自分たちが処理できる仕事の量を理解できる。ここでビジネスゴールは、そのスプリントに対してチームがコミット過多 / 過少になってないか理解することだ。

もう1つの例はイシューのタイプ別分類だ。クック氏の説明によると、各チームのイシューのカテゴライズのやり方は、個人の好みで偏重することがある。今プロジェクトがやっているのがバグフィックスか技術の借用かなどにより、プロジェクトのそんなタイプがカテゴリーになることもあれば、タイプというか性質が、イノベーションか成長製品か、機能の段階的なアップデートかという違いでタイプが分かれることもある。イシューのタイプの分類に向けた洞察は、チームが今取り組んでいるイシューやプロジェクトのタイプをより直感的に理解するために視覚化を導入させるだろう。クック氏によると、前のように検索機能によってユーザーはイシューの違いを同定できたかもしれないが、しかし彼女が強調するのは、新しい洞察方式の方がずっと容易だ、という点だ。

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クック氏によると、今後の数週間で洞察を増やし、スプリント燃え尽き洞察なども加わる。アジャイルソフトウェア開発のアプローチでは、燃え尽き洞察でスプリントをフィニッシュするために何が残されているかを知る。スプリント燃え尽き洞察は映像や画像によって、まだやり残している仕事の量や、割り当てられている時間内に仕事が完了するかなどを知ることができる。

デベロッパーのチームがもっと効率的に仕事をできるようにするためのAtlassianのやり方は、同社が何年もかけて築いてきた主要な価値の1つだ。それは、同社の強力な成長に貢献した。Atlassianの第4四半期の決算報告では、売上は5億6000万ドル(約615億円)で前年比30%の増だが、特に貢献量が大きいのは、強力なデベロッパーコラボレーションツールとマネージメントツールだ。

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(文:Sean Michael Kerner、翻訳:Hiroshi Iwatani)

社員が自分の製品アイデアを実用化することもできるソフトウェア企業Atlassianの社内インキュベーター

どんな企業も、初期段階スタートアップの頃に持っていた当初の輝きを守っていきたいと思っているが、上場企業へと成長して行く中でその輝きを維持することは必ずしも容易ではない。Atlassian(アトラシアン)は、製品のアイデアを社内コンペで共有し、特に優れたものには、市場に出すことを目指して実際に資金を提供して開発を行うという、ユニークなアプローチをとっている。

Atlassianでこのプロジェクトを指揮しているSteve Goldsmith(スティーブ・ゴールドスミス)氏によれば、これはPoint A(ポイントA)という名の社内スタートアップインキュベーターだという。会社としては、社員たちに、製品を改善するための新しい方法を常に考えるよう奨励したいと考えているのだ。しかも、多くの人が想像するような、エンジニアやプロダクトマネージャーだけが参加するのではなく、全社員が参加を奨励されている。

ゴールドスミス氏はいう「Point Aは、アイデアを商品化するための社内の仕組みです。これは、社内で起こっているイノベーションを見つけ出し、そのアイデアが成熟して実際にお客様に提供できる製品になるまでの、プロセスとフレームワークを提供するためのものなのです」。

彼によれば、多くの企業と同様に、Atlassianも社内ハッカソンなどのイベントを開催し、社員が独創的な製品コンセプトを提案することも多かったそうだ。しかしそうしたものはイベントが終わった後は棚に置かれて見向きもされないことが多いそうだ。Point Aでは、自分たちの試作を動かして競うことができ、また実際に使えるものかどうかを見極めることができる。

「つまり私たちはPoint Aのことを、みんなが頭の中や机の脇などに持っている、さまざまなアイデアやプロトタイプ、コンセプトを見つけ出して、それらのアイデアを表に出すためのプロセスと仕組みを提供し、一定の魅力を持つものには実際に投資を行う方法だと考えています」とゴールドスミス氏はいう。

また、ゴールドスミス氏は、社内に提案を吟味し資金を提供できる公式なプロセスを用意することで、組織内の人たちは、自分たちの提案に耳を傾けてもらえること、提案を提出するための仕組みがあること、会社はその提案をすくい上げる手段を用意していることを知ることができるという。

同社は2019年にPoint Aを開始し、35の可能性のあるプロジェクトを検討し、製品としての可能性を検証している。1月には、彼らは9つの製品を選んで仕上げ、そのうちの4つは実際の製品となって今週発売された。その中には米国時間4月28日にリリースされたJira Work Management(ジラ・ワーク・マネジメント)ツールも含まれている。

次のプログラムも、ピッチデーコンペティションでアイデアを発表し、盛り上げるようとしている従業員たちのおかげで開催準備が整っている。ゴールドスミス氏は「私たちの最初のクラスはこのプログラムを卒業しました、【略】再びプロセスを始めようとしています。2回目に参加するすべてのアイデアをリストアップして、ピッチデーを行うことになっています。きっと「Shark Tank」(「マネーの虎」のヒントになった番組)や「The Voice」(米国の歌唱コンクール番組)にインスパイアされたような楽しい大会になるでしょう」と語る。

当社の共同創業者であり、共同CEOでもあるMike Cannon-Brookes(マイク・キャノン-ブルック)氏とScott Farquhar (スコット・ファーカー)氏が審査員として参加する。これは経営陣の賛同を得ることで、プログラムに大きな影響力を与えるとともに、社員のアイデアが真剣に受け止められていることを示すメッセージにもなっている。

会社は、資金や通常の業務から離れる時間、エグゼクティブコーチを提供する。そして顧客とのコラボレーションと早い段階からの創業者の関与を組み合わせて、チームが最も革新的なアイデアをコンセプトから顧客へ届けるのに役立つ、定義されたフェーズを持ったスケーラブルで反復可能なプロセスを見つけることを目標としている。

ご想像どおり、成功する者もいれば、失敗する者もいる。しかしこれまでのところ、この計画はうまくいっているようにみえていて、すべての企業が目指すべき、社内からのイノベーションを促すことに成功しているようだ。

関連記事:AtlassianのConfluenceが新型コロナ禍における利用急増を受けデザイン面を強化

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:Atlassianハッカソン

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(文:Ron Miller、翻訳:sako)

AtlassianのConfluenceが新型コロナ禍における利用急増を受けデザイン面を強化

Confluenceは、Atlassianのwiki的なコラボレーションワークスペースだが、登場から15年以上が経ち、今ではそれを実装している企業の中核的な知識共有ツールであることが多い。しかし多くの場合Confluenceはビジネスツールであり、それらしく分厚いテキストと、ときどきグラフや表や画像を用いるという使い方が主だった。しかし最近ではユーザーの期待も変わってきたため、Atlassianがこのサービスのデザインを重視しようとしているのもそれほど意外なことではない。

たとえば米国時間3月18日のアップデートでは、表紙の画像やタイトルの絵文字、カスタマイズできるスペースのアバターなどが導入された。スペースというのは、Confluenceの1つの節のことだ。また最近導入されたスマートリンクを使うと、YouTubeやTrelloなどのリンクを貼り付けることが、それらがわかりやすくなるだけでなく、元のかたちで表示できる。その他の新機能として、新しいページを公開するスケジュールの設定や、ページをブログ記事に変換できるといった機能がある。ブログ機能は、Atlassian自身がパンデミックの間に企業内ブログの人気再燃を経験している。

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AtlassianのConfluence Experience Groupでプロダクト管理のトップを務めているNatalia Baryshnikova(ナタリア・バリシュニコワ)氏が、次のように説明してくれた。「結局落ち着いたのは、私たちが『愛の全力疾走(love sprint)』と呼んだやり方です。まず拡張機能として約30の機能を優先しました。それらはすべて、全力疾走というテーマに沿って、読むべきものや書くべきものが非常に多いときの、情報のデザイン方法と関係しています。注意持続時間の限界を押し広げなければならないこともあります。そんな状況のためには、どんなデザインが必要でしょうか?どうやったら、自分のコンテンツを見つけてもらえるでしょうか?」。

バリシュニコワ氏によると、チームはソーシャルメディアの世界でコンテンツの制作、管理、配信がどのように行われているかを詳しく調べた。しかし、新機能の中には、変化する作業環境に対する純粋な反応でもある。たとえば、ページの公開スケジュールを設定。在宅勤務をしている社員は、育児を優先させるために、残業や早い時間に仕事をすることがある。しかし、彼らは自分たちが制作したコンテンツを社内で見られるようにしたいと考えており、例えば午後11時に公開するような場合には難しいかもしれない。

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また、Confluenceの利用自体が2020年から急激に増えているため、自分のコンテンツが見てもらえないこともある。Atlassianによると、今は6万以上の企業がこのサービスを使っている。そうした企業の中では、ユーザーが以前に比べてとても忙しい。2020年3月と2021年3月で、創られたConfluenceのページの数は33%以上増えた。ユーザー1人あたりのページ制作量は平均で11%増えたが、このプロダクトのスーパーユーザーともなると、アウトプットの量が2、3倍になっている。

また会議を減らすためにConfluenceを利用するケースも多くの企業で増えている。バリシュニコワ氏がいうには「Confluenceのページが会議と競っているだけでなく、ページがページと競っている」。この競合に勝つためには、常時大量のコンテンツの中で目立つために、グラフィクスを良くするなどの工夫が必要だ。正直になところ、これほどの活況ぶりは少々奇異に感じる。しかし、ウェブ自身と同じく、コンテンツが企業という環境の中で目立つためには、自分が作る文書を目立つようにして、人びとの注意と関心を惹かなければならない。今や廊下で雑談するためのウォータークーラーもない。おそらくそのために、社内ブログが見直されているのだろう。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:AtlassianConfluence

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(文:Frederic Lardinois、翻訳:Hiroshi Iwatani)

AtlassianがY Combinator出身のデータ視覚化プラットフォームChartioを買収

Atlassianはエンタープライズの運営とコミュニケーションに関するサービスを提供するプラットフォームだ。同社は2020年秋、機械学習レイヤーのAtlassian Smartsを立ち上げた。これは機械学習を利用して膨大な情報を検索して会社内外の共同作業を効率化するサービスだ。同社はChartioを買収すると発表したが、これはファミリーのプロダクトに新しくデータ分析および視覚化のコンポーネントを追加するためだ。買収金額は明らかになっていない。

同社はソフトウェアの開発、運用のクラウドJiraをはじめとするプラットフォーム全体にChartioテクノロジーを組み込む計画だ。買収以前にChartioのプラットフォームには28万人のユーザーに利用されており、54万種類のダッシュボード上で10万を超えるデータソースから1050万種のグラフが作成されていたという。

Atlassianはプラットフォームにデータの可視化コンポーネントを導入し、プラットフォーム内のデータをダイナミックに活用するためにChartioを利用する計画だ。同社のプラットフォームプロダクトエクスペリエンスの責任者であるZoe Ghani(ゾーイ・ガーニ)氏は、今回の買収を発表したブログ記事の中で「我々のプラットフォームはデータの宝庫です。そこで私たちの目標は、データのの潜在的力をフルに利用し、ユーザーがありきたりのレポートの体裁を超えて、組織のニーズに合わせてカスタマイズされた強力なアナリティクスを生成きるようにすることです」と述べている。

関連記事:Atlassianの2年にわたるクラウドへの旅 ―― AWSへの大幅な移行

Chartio の共同ファウンダーでCEOのDave Fowler(デイブ・ファウラー)氏は自分のサイトのブログ記事で「我々は2020年末から話し合いを始め、今日の発表に至った」と書いている。こうした買収の説明として標準的だがファウラー氏は「我々はスタンドアローンで運営を続けるよりも膨大なリソースを持つAtlassianのような大規模な組織のメンバーになったほうが良い結果が得られる」と考えたと述べている。

私たちは長年独立企業として運営されてきましたが、巨大なプラットフォームと膨大なリーチを持つAtlassianと協力できる機会が得られた信じられない幸運でした。プロダクトを重視した市場戦略、ユーザーニーズ、教育訓練を重視したマーケティングはChartioにとっても常にインスピレーションの源でした。

ただしChartioのユーザーにとっては残念なことに同社のプロダクトは2021年をもって終了する。まだ十分な時間があるし、他のツールにデータをエクスポートすることは可能であり同社のサイトにはその方法が詳しく記されている

Chartio2010年に創立され、Y Combinatorの2010年夏のクラスを卒業している。Pitchbookのデータによると調達した資金は総額で803万ドル(約8億6000万円)とささやかなものだ。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:AtlassianY Combinator機械学習買収

画像クレジット:Chartio

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(文:Ron Miller 翻訳:滑川海彦@Facebook

プロジェクト管理ツール「Trello」が大幅刷新、新たなボードビューやカード機能を追加

2017年にAtlassian(アトラシアン)が買収した、かんばん方式のボードを中心にしたプロジェクト管理ツール「Trello(トレロ)」が、ここ数年で最も重要なアップデートと思われるものを、米国時間2月16日に発表した。

5000万人を超える多くのユーザーを持つTrelloは、現在最も人気のあるプロジェクト管理ツールの1つであり、多くの点でデジタルかんばん方式を主流に押し上げた。今回発表されたアップデートでもその重点は変わらないが、開発チームは新しいボードビューを多数追加するとともに、それらのビューを構成する個々のカードに新しい機能を追加。特に外部ツールからデータを取り込むことに注力した。加えて、サービス全体のルック&フィールにも多くの変更が加えられている。

「何年もかけて、私たちはこの巨大で情熱的なオーディエンスを築き上げてきました」と、Trelloの共同創業者であり、現在はAtlassianのTrelloの責任者を務めるMichael Pryor(マイケル・プライアー)氏は、今回の発表に先立ち筆者に語った。「私たちは、5000万人以上の登録ユーザーを抱えています。この5000万人というのは2018年頃の数字で、現在の数字はまだ知らされていません。【略】そして2020年、新型コロナウイルス感染流行が発生しました。以前、未来の仕事のやり方について話しましたよね?それが突然、現実になったのです。いや、単に仕事のやり方のことです。今ではみんながそのとおりに仕事をして、すべてが分散されています。まさに一晩で変わったのです。以前は爆発的に増えるアプリについての話をしていました。ブラウザのタブの話とか。情報の拡散で人々が迷子になるという話をしていました。それが一気に最大値を超えた状態になったのです」。

Trelloに多くの新機能が追加された理由は、ユーザーがTrelloの中でより多くの作業をより容易に行えるようにするためと、チームが自分たちで取り組んでいることだけでなく、各チーム間や組織内で何が起こっているのかを、よりマクロ的に見ることができるようにするためだ。さらに、この新バージョンには、さまざまな外部ツール形式のデータを、いちいちツールを切り替えなくとも、Trello内でネイティブに見る方法が追加されている。

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実際に使ってみると、Trelloに5つの新しいビューが追加されたことがわかる(そして、それらは簡単に切り替えることができるようになっている)。

1つ目は、会社全体やプロジェクト間にまたがる仕事をスプレッドシート式の表示で把握することができるテーブルビュー。2つ目は作業間の障害となるギャップがないことを確認し、開始日や期限を調整するためのタイムラインビュー。3つ目は期日や期間を確認するためのカレンダービュー。4つ目は仕事に関わるさまざまな場所や位置情報を視覚的に確認するためのマップビュー。そして5つ目はプロジェクトの進捗状況や指標をわかりやすく視覚化したりリポートを作成するためのダッシュボードビューだ。

これらのほとんどは、名称からどういうものかわかる。しかし、ここで最も興味深い機能は、新しいテーブルビューが、複数のボードからカードを取り込めるTrello初のビューであるということだ。

「これによって、単一のボードレベルだけでなく、ポートフォリオレベルまで視野を広げることができます」と、プライアー氏はいう。「最終的には、すべてのビューで同じことができるようになります。ボード上でカードを回転させて、プロジェクトの内容や必要性を確認できるようになります」。このアイデアは、Trelloの既存のビジュアル言語を使用・拡大し、共有された視点を加えるためであると、同氏は説明した。

また、ここでもう1つ重要なのは、Trelloはこの機能を、独自のビューを構築したいと考えるサードパーティに開放することも計画しているということだ。たとえばTrelloチーム自身は、プロジェクト内のすべてのカードを使ったスライドを自動的に作成するスライドビューを構築し、たとえば会議で簡単にプレゼンテーションできるようにすることを考えている。

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だが、Trelloが新しいカードで何をできるようにしたかということは、おそらくもっと重要だと、プライアー氏は主張する。新たに導入された「リンクカード」は、リンクするURLを貼り付けるだけで、YouTube(ユーチューブ)、Google Drive(グーグルドライブ)、Figma(フィグマ)、JIRA(ジラ)など、30種以上の外部プラットフォームのデータを、Trelloカード内でプレビューすることでができる。同様に「ボードカード」は、他のボードのURLをカードのタイトルとして貼りつければ、そのボードを参照できる。

「これが何を意味するかというと、カードに現れているものが、Trelloの中だけに存在するものから、他のすべてのツールにまたがって起きている作業を表すものへと昇華されるということだと、私は思います」と、プライアー氏は説明する。「JIRA(Atlassianの課題管理システム)のチケットをTrelloカードと一緒に存在させることができるようになるということです。そしてJIRAで起きていることとは独立した状態で、それを分類し、移動させ、それについて話すことができます。他のカードとつなぐこともできますが、ダッシュボードを作成する機能が追加されたので、すべての作業を1カ所でまとめて見ることができるようになりました」。

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開発チームは、Trelloのユーザーがすでに気に入っているシンプルさと視覚的な言語を活用し、それを他のツールにも応用したいと考えていたと、プライアー氏は指摘している。「競争に巻き込まれて、プロジェクト管理の機能だけを構築することもできました」と彼はいうが、チームは単なるプロジェクト管理アプリ以上のものを作りたいと考えた。Trelloを、ユーザーがすべてのプロジェクトを管理するのに役立つアプリにしたいと考えた。

機能を追加するだけでは、ただ肥大化するだけだと彼は主張する。そうではなく、チームはカードのメタファーを利用してそれを拡張し、ユーザーがすでに慣れ親しんでいる視覚的な言語を使って、Trelloの中で新しいソリューションを構築できるようにしたいと考えたのだ。

もう1つの新機能も近々導入される。それはTrelloコミュニティで長らく待ち望まれていたもの、「ミラーカード」だ。これは基本的に、複数のボードで同じカードを共有できる機能で、元のカードから他のボードのカードにリンクさせるだけで、元のカードの情報が他のボードのミラーカードに表示される。元のカードを更新すると、他のボードのミラーカードにも自動的に反映される。

関連記事:AtlassianがTrelloにテーブルビューを導入、複数プロジェクトを俯瞰チェック可能に

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:TrelloAtlassian

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(文:Frederic Lardinois、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

Atlassianがオンプレミスのサーバーライセンス販売終了、エンタープライズ向けの新料金体系を追加

Atlassianは以前より、すべてをクラウドにすると明言してきたが、今やそれが公式のものとなった。同社は米国時間2月3日から、オンプレミスのサーバーライセンス販売を停止する。おそらく、これによる組織の大きな痛みを緩和するために同社は2月2日、新たに何でもありのエンタープライズ料金プランを発表した。

Atlassianの最高収入責任者であるCameron Deatsch(キャメロン・ディーチ)氏によると、以前は無料プランを提供し、次にスタンダードとプレミアムの有料プランを提供してきたという。「これからはクラウドのEnterprise Editionが弊社の最高プランになります。より複雑なデプロイメントと、無制限の拡張性を必要とする最大規模のお客様、あらゆるセキュリティおよび規制要件を抱えたお客様、データ常駐サービスなどが可能になります。これが、本日開始するサービスです」とディーチ氏はいう。

エンタープライズティアが提供するのは、エンタープライズ顧客ごとに、Atlassianの全プロダクトラインを横断する無制限のインスタンスとなる。たとえば複数の事業部のある大企業は、各事業部ごとにデプロイしたJiraとConfluenceのインスタンスをそれぞれ20個、そして中央管理コンソールを配置することができる。

同社は2024年までオンプレミスの既存サーバー顧客をサポートしていたが、今ではクラウドに移行しようと考えており、このサービスが役に立つはずだ。明らかになったことの1つは、このパンデミックによって、あらゆる規模の企業がクラウドへの移行を加速させていることだ。これによって、同社最大の顧客が移行を促進するはずだ。

「実際のところ、需要は以前からあることははっきりわかっていました。しかし私たちの最大の顧客が抱える巨大なパイプラインが目の前にある以上、クラウドへの移行は今後2年ぐらいかけて計画を練る必要があります。私たちのEnterprise Editionの一般的な可用性が確立すれば、それをさらに加速できるでしょう」とディーチ氏は説明する。

これは同社が以前から進めてきた移行だが、そのかたちが実際に見えてきたのはオペレーションをAWSにシフトして、2016年から全スタックをマイクロサービスの集合へと再構築してからだ。エンタープライズティアが必要とするワークロードの増加に対応できるための、それが最初のステップだった。

2021年1月末に発表された同社の決算報告は、売上が5億140万ドル(約526億8000万円)で前年比23%の増、新規登録会員1万1000社以上となり、同社の新記録となった。新しいエンタープライズティアは顧客増には寄与しないが、より多くの顧客がクラウドのソリューションと、ニーズにマッチした料金体系を求めるにともない、全体的な売上には貢献するはずだ。

関連記事:Atlassianの2年にわたるクラウドへの旅 ―― AWSへの大幅な移行

カテゴリー:ネットサービス
タグ:Atlassian

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(文:Ron Miller、翻訳:Hiroshi Iwatani)

AtlassianがJiraに新DevOpsメトリクスを導入、プロジェクトマネージャーや開発者はより深い考察が可能に

米国時間12月3日、Atlassian(アトラシアン)はユビキタスなプロジェクト追跡サービスJira(特にJira Software Cloudバージョン)のアップデートし、コードが開発パイプラインをどのように動くかを視覚・測定するための新機能を追加した。これにより、プロジェクトマネージャーと開発者は、コードチームが作業しているコードや、そのコードが配置パイプラインのどこにあるかについて、より深い洞察を得ることができる。Jira Software Premiumのユーザーは、サービス内で展開の頻度とサイクルタイムを追跡することもできる。

「『洞察』という神話に近い世界に到達しようとする中で、多くのチームは統合をコントロールと間違えている。しかし課題はツールの数ではなく、統合されほうだ。アジャイルソフトウェアチームが必要とするすべてのプロダクトを提供するベンダーは1社も存在しないため、点と点を手作業でつなぐ仕事がこれからもチームの重荷になる」とJiraのチームは今回の発表で述べている。

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Atlassianによると、今回のアップデートそのためのものだという。ほとんどのチームにとって、Jiraは既に各作業が何らかの形で文書化されている中心的なリポジトリであり、その作業の一部はAtlassianのツールを使うが、そのほとんどはサードパーティのサービスのコンテキストで行われる。この度のアイデアは、このDevOpsワークのすべてを統合して、それにより多くの可視性と、その企業の開発パイプラインの状態に対するインサイトを提供するというものだ。

具体的に4種のアップデートがある。最初の「Jiraでコードを書く」はJiraの中でコードを書けるという意味ではなく、BitbucketやGitHub、GitLab、あるいはGit Integrationの中の、どのJira用リポジトリに対して現在、アクティブに仕事をしているのかを見ることだ。「デプロイメント」という新しい機能でユーザーはいまや、Bitbucket PipelinesやJenkins、Azure DevOps、Circle CI、Octopus Deploy、JFrogなどのCI/CDサービスのすべてにわたる、デプロイ情報をリアルタイムで見ることができる。

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「どの機能がどの環境へデプロイされたかを知りたいプロジェクトマネージャーでも、プロジェクトの中でチームがアイデアからプロダクションへ移行するのに要する平均時間を知りたいチームリーダーでも、Deployments in Jiraのタブに回答が表示されます」と同社は説明する。

最後の2つの機能は、料金が高くよりエンタープライズ的なJira Software Premiumにしかないが、デプロイの導入頻度とサイクルタイムに関する詳細な測定基準を提供する予定だ。ここでの目的は、チームがトレンドをよりよく理解し、プロセスの異常値を特定するのに役立つ、より多くのメトリックを提供することだ。

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Atlassianが自身のエコシステムに投資する52.5億円のベンチャーファンドを立ち上げ

Atlassian(アトラシアン)は米国時間6月16日、Atlassian Ventures(アトラシアン・ベンチャーズ)の立ち上げを発表した。これは、Atlassianのエコシステム全体の中で製品を開発しているスタートアップや、ある程度確立された企業に対しても投資するための、新しい5000万ドル(約52億5000万円)のファンドだ。

Atlassianの経営企画責任者であるChris Hecht(クリス・ヘクト)氏は「ますます多くの顧客が当社のクラウド製品に移行する中で、私たちは顧客のエクスペリエンスを向上させ、すべてのユースケースを満たす、クラウドベースのアプリの堅牢なエコシステムを育成することを通して、顧客のビジネスをサポートすることをお約束します」と本日の発表の中に書いている。「私たちは、マーケットプレイスですでに利用可能な4200本以上のアプリと、提供済みのSlack、Zendesk、GitHubといった人気の高いツールとの統合をとても誇りに思っています。しかし、そうした栄光に浸っている場合ではありません。Atlassian Venturesは、お客様がイノベーションの次の波を加速し、現在と将来の両方でご自身の仕事を管理するために必要となさる、最高のツールと統合に対する継続的な投資を促進して行きます」。

今回のファンドは三方向からのアプローチを採っている。まず同社のクラウド製品向けの製品を開発する初期段階のスタートアップに投資する。同社のクラウド製品向けの製品には、Jira、Confluence、BitbucketTrelloなどが含まれている。

しかし、現在ビジネスの拡大に取り組んでいる既存の企業にも投資を行う。ファンドの規模を考えれば、こうした投資を行うにはほかのVCとパートナーを組むことも当然あるだろう。ヘクト氏はこの例として、Zoom、Slack、InVision、process.st、Split.ioに対するAtlassianの既存の投資を挙げている。

これらの2つのグループに加えてファンドは、クラウドサービスを強化したり、将来の仕事をサポートする新しい製品を作成したりするAtlassian Partner Programのメンバーに対しても投資を進める。

この文脈では、Atlassianが最近そのエコシステムの中でいくつかの企業を買収したことも注目に値する。例えば、Automation for Jiraを開発するCode Barrel(コードバレル)、Mindville(マインドビル)Halp(ハルプ)などだ。

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(翻訳:sako)

SlackとAtlassianが連携を強め、製品の統合をさらに進める

テック企業間の「パートナーシップ」の多くはプレスリリースの内容を大きく超えることはなく、大して身の入らない共同販売の試みのようなものだったりする。2018年にAtlassianがチャットサービスをSlackに売却したとき、両社は新しいパートナーシップを作っていくと述べた(Atlassianのブログ)。Atlassianがチャットのサービスを終了し、多くの人がその真の意味を懐疑的な目で見ていた。

それ以降、両社のコラボレーションについてはあまり聞こえてこなかった。しかし米国時間8月13日、両社はこれまで取り組んできた深い統合、特にSlack内での統合について発表した。

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この2年間でSlackとAtlassianは11のプロダクトの統合をリリースし、現在では毎月のアクティブユーザー数はおよそ100万人となっている。最も多く使われているのはJiraとの統合で、Atlassianが2020年5月に買収したHalpがそれに続く。

Atlassianは毎月4200万件のJiraの通知をSlackに送っており、その数は増え続けている。

両社の統合の要は、Slackのダイレクトメッセージでも公開チャンネルでもプライベートチャンネルでも、Atlassian製品へのディープリンクをリッチに展開できることだ。この展開の機能はまもなくSlackのデフォルトの機能となり、Atlassianのユーザーになっていなくても展開したものを見られるようになる。

Slackの事業開発および経営企画担当VPであるBrad Armstrong(ブラッド・アームストロング)氏は「現時点では、Jiraのユーザーでない場合、あるいはユーザーであっても認証はしてはいない場合、Jiraのリンクをチャンネルに送信すると単にリンクだけが表示される。展開の利点を活用することはできない。そこで、ログインしているかどうかに関わらず、さらにはAtlassianの顧客であるかどうかに関わらず、展開したものを誰でも見られるよう取り組んでいる」と述べている。

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両社はプロダクト間を容易に切り替えられるようにすることについても緊密に連携してきた。例えばJiraのユーザーであればSlackでリンクをクリックでき、Atlassianのアカウントにログインしていない状態であれば自動でログインされるようになる。両社は連携をさらに進め、Slackから来たユーザーには自動でJiraのアカウントを作成できるようにする。

アームストロング氏は「ユーザーでなくても、リンクをクリックすればSlackからのマッピングでJiraのユーザーアカウントを自動で作成してプロビジョンし認証するので、即座にJiraのユーザーとしてSlackのコンテンツの一部を共同作業で利用できるようになる」と説明する。

このようにして、SlackがAtlassianのプロダクトスイートにアクセスするためのパスポートのようなものになると両社は説明している。そうなれば、新規ユーザーもこれまでよりずっと簡単に使い始めることができるはずだ。

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Atlassianのプロダクトパートナーシップ責任者であるBryant Lee(ブライアント・リー)氏は「おそらく想像がつくと思うが、使い始めることは大変だ。役割やチームの規模など異なる要素がたくさんあるので難しい。認証の問題もあり、検出した情報を展開するには何が実践されているのかを理解する必要がある。しかし我々が見ているのは、単にプロダクトではなく人とプロダクトと実践だ。つまり我々は、人を理解して最適化しようとしている」と述べた。

こうした新たな統合はまもなく公開されるが、さらに両社は共同マーケティングの取り組みも拡大し、まずはSlackを利用したいAtlassianユーザーに対して50%の割引を提供する。

Slackの共同創業者でCEOのStewart Butterfield(スチュワート・バターフィールド)氏は「我々はこの2年間、パートナーシップを成功させるための強固な基盤を作ってきた。その結果、ともに顧客獲得に大いに弾みをつけ、影響力のあるプロダクトの統合を成し遂げてきた。SlackとAtlassianの戦略的な提携により、両社は開発者チームに最適なテクノロジースタックになった」と述べている。

関連記事:AtlassianがHalpを買収、JiraやConfluenceとの統合を進める

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(翻訳:Kaori Koyama)

AtlassianがTrelloにテーブルビューを導入、複数プロジェクトを俯瞰チェック可能に

Atlassian(アトラシアン)は米国時間7月15日、コラボレーションとプロジェクト管理のツールであるTrelloConfluenceワークスペースのアップデートを発表した。同社によるとその主な狙いは、「次の段階のリモートワークをサポートすること」だ。各企業が在宅勤務へのシフトを開始した3月半ばには、Trelloだけでもサインアップは前年比で73%増加した。

新しい機能は、どれも単純明快だ。Trelloのユーザーのハイライトは確実にテーブルビューのベータだろう。Trelloのさまざまなボードで行われていることを、スプレッドシートのように概観できるのはこれが初めてだ。スプレッドシート的という点ではAirtableを思い出すが、Trelloの開発チームによると機能そのものよりも重要なのは「これはアプリケーションを構成する複数のプロジェクトのデータを見るための一連の新しい方法の最初のものである」という点だ。

Confluenceのほうは、新しい機能の多くが時間の節約や時間の計測に関連している。例えば、間もなく提供されるコンテンツ一元管理機能では、1回のクリックで複数のページをアーカイブしてラベルを付け、エクスポートもできる。

すでに使えるConfluence Smart Links機能は、コンテンツをウェブでプレビューできるので、重要な情報を見るために自分のワークスペースを去る必要がなく、コンテンツへのリアルタイムのフィードバックもConfluence上に表示される。そしてサービスがエディットモードのときでも、インラインのコメントを見たり作ったり解決したりできる。

最後に紹介するConfluenceの新機能はPage Insightsだ。これは測定機能で、リードタイムの推測値やページのビューカウントなどが提供される。これにより「忙しいときにコンテンツをいつどのように消費するのかに関する決定を迅速にでき、コンテンツのエンドレスな海をナビゲートする精神的負担が軽くなる」と同社は説明している。長いドキュメントを全部読める時間とエネルギーは誰にもないのだ。

AtlassianのConfluenceの責任者であるPratima Arora(プラティマ・アローラ)氏は「世界中のチームが今はリモートワークを強いられているが、でも今では多くの企業が、もっと分散化された仕事環境への恒久的な移行を検討している。複数の部門間や個人間にたくさんの仕事の流れがあるから、もはやメールの連鎖のような古いシステムで計画や管理を行うことはできない。企業全体にわたって長期的にコラボレーションをサポートできるような、仕事の正しい管理システムを導入しているか、指導者たちは検討する必要がある」とコメントしている。

画像クレジット: Atlassian

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

Atlassianが新しいDevOps機能を発表

Atlassian(アトラシアン)は米国時間6月2日、Bitbucket CloudやPipelinesからJiraなどを含むさまざまなサービスに対して、DevOpsを中心に据えた多数のアップデートを発表した。

これはかなりの規模の発表だが、企業が開発手法としてDevOpsを採用する際に、チーム同士がさまざまな役割を横断してコラボレーションしやすくなるようにすることが、全体的なコンセプトだ。

AtlassianのアジャイルならびにDevOpsソリューションの責任者であるTiffany To(ティファニー・トゥ)氏は「私は何年にもわたって、多くのテック企業がアジャイルならびにDevOpsトランスフォーメーションに取り組んでいる様子を見て来ました」と語った。「誰もがDevOpsのメリットを望んでいますが、複数のチームを組み合わせようとすると事態は複雑化します、私たちはそのことを知って、今回のツールを追加したのです。多くのユーザーと話し合う中で、ユーザーがDevOpsで成功するためには、実際には単なるツールセット以上の多くのものが必要だということがわかりました。チームとして機能できるようにする必要があるのです。ということで、今回の機能の多くが、そうした目的に焦点を合わせたものになっているのです」と続ける。

トゥ氏が強調したように、同社は複数のエコシステムパートナーとも協力している。例えば、Jira Software Cloudの自動化機能を拡張した。これによって、GitHub、GitLab、およびJira Software Cloudに統合されている他のコードリポジトリ内での、コミットおよびプルリクエストによっても自動化機能がトリガーできるようになった。「これで、開発者の皆さんがイシューの更新に時間を費やすことを不要にできる、DevOpsへの素晴らしい統合を手に入れることができるのです」とトゥ氏は指摘した。

実際、発表の多くはサードパーティツールとの統合に焦点を当てている。これによってAtlassianは、開発者がどこにいても接触を保てるようになるのだとトゥ氏は語った。例えば、ユーザーが選択したコードエディターがVisial Studio Codeである場合、ユーザーはAtrassianのVS Code拡張機能を試すことができる。こうすることで、Jira Software Cloudからエディターにコードを引き出すようなタスクを実行できるだけでなく、コードレビュー作業や、Bitbucket PipelinesからのからのCI/CDトラッキングも使える。

また、Bitbucket Cloudの「Your Work」(割当作業)ダッシュボードも新しくなり、アサインされたすべてのJiraイシューと、Bitbucket CloudのCode Insightsを表示できるようになった。Code Insightsは、テスト自動化のためのMabl、監視のためのSentry、セキュリティ脆弱性を発見するためのSnykとの統合機能を備えている。これらの統合は公開APIの上に構築されているため、チーム自身が独自の統合を行うこともできる。

「なるべく早めの対応を行おうとする、本当に重要な流れが生まれています。バグやセキュリティの問題を取り除くためのコストは開発サイクルの後半になるほど高くなります。ではどうすればそれらの問題を開発サイクルの早い段階で取り除くことができるのでしょうか」とトゥ氏は言う。「その検出プロセス全体を、ソフトウェアライフサイクルのかなり早い段階で行う必要があるのです」。

Jira Service Desk Cloudには、変更のリスクをスコアリングしてリスクの低いものを自動承認できる、新しいRisk Management Engine(リスク管理エンジン)と、承認プロセスを合理化するための新しい変更管理ビューが組み込まれた。

最後に、アラートを一元化してノイズを除去することを約束する、新しいOpsgenieとBitbucket Cloudの統合、およびチームがインシデントが発生する前に発生した最後のデプロイメントを確認するのに役立つ、優れたインシデント調査ダッシュボードがある。

「こうした細々とした機能が必要な理由は、非常に多くのツールをつなぎ合わせるために、多くの摩擦点が生まれるからです」とトゥ氏は述べている。「仮に1つのベンダーだけから1つのツールチェーンをすべて購入した場合には、これらの摩擦点は少なくなりますが、最良のツール群を選択することはできないという、バランスの問題に突き当たります。私たちの使命は、万能のツールがない中で、最高のツールを選択できるようにすることなのです」。

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(翻訳:sako)