アウディの電動スクーターは片手運転で手信号を出せる

電動スクーターがどんどん普及しているのはうなずける。扱いが簡単で利用しやすく安価で、しかも短い距離の移動なら楽しい。しかしまだスクーターは完璧ではない。

欠点のひとつは、手信号を出すのがほぼ不可能ということだ。スクーターが人気になり台数が増えてくると危険を招く。アウディはこの問題を解決するかもしれない電動スクーターを、米国時間7月5日に発表した。

アウディは電動SUVに「e-tron」という名前を付けている。今回発表されたのは、この名前を冠したe-tronスクーターで、これまでの電動スクーターとスケートボードのようなしくみを組み合わせている。このスクーターは2000ユーロ(約24万円)と、安くはない。そして使い方はやや複雑なようだ。スケートボードのように体重移動をして足でスクーターをコントロールする。

スクーターの重量は約12kgで、折り畳んだりキャスター付きバッグのように引いて転がしたりすることができる。小回りが利くように車軸が動く4つの車輪が付いている。

このスクーターはサーフィンのようなものだとアウディは説明している。この説明が大げさかどうかはさておき、このスクーターは片手で安全に乗れる。そのため、停止、左折、右折の際に、ほかの車や歩行者、自転車に手信号を出すことができる。

片手で乗れるスクーターはこの製品だけではない。TechCrunchでは先日、Boostedのスクーターが片手で操作できることを紹介した。とはいえ、このような設計は例外的で、スクーターの世界での決まりではない。

ハンドルがあるので、スケートボードに乗れなくてもこのスクーターには乗れる。ハンドルの柄にはバッテリーと電子部品が格納され、加速とブレーキの操作にも使う。ハンドルの下にはバッテリー残量を示すディスプレイがある。

e-tronスクーターはおそらく操作しやすく安全性も高いが、最高時速は20kmと速くはないので興味がわかない人もいるかもしれない。

回生ブレーキを備え、走行距離は20km。油圧式のフットブレーキと、LEDのヘッドライト、日中用の走行ライト、テールライト、ブレーキライトも付いている。

生産と個人顧客への販売は2020年後半の予定だ。アウディはこのスクーターについて、事業用車両として使われたり、e-tronの電気自動車を購入した顧客に提供したりすることを示唆している。専用のコンセントを使って車のトランク内で充電できるようになる予定だ。

画像:audi

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(翻訳:Kaori Koyama)

アウディが量産型EVのE-Tron SUVをリコール、バッテリー発火の恐れ

Audi(アウディ)は米国時間6月10日、バッテリー発火の恐れがあるとして、米国で電気自動車(EV)のE-Tron SUVを自主回収すると発表した。Audiの広報はBloombergに対し、これまでに販売された1644台で発火は報告されていない、と語った。発表にると、ワイヤーハーネスを通じて湿気が電池の中にしみ込むことがわかったとのことだ。これが原因の電池故障が世界で5件報告されている。

E-Tronはアウディ初の大量生産EVだ。ちょうどいま世界中のマーケットで発売されているところで、米国ではこれまでに540台が売れた。

私は昨年E-Tronに試乗したが、自信に満ちた車という印象を受けた。Tesla(テスラ)車ほど速くないが、Audi独自の快適性と、加速性が十分にあるパワートレインを備えている。ただし航続距離は200マイルで、主な競合相手となるテスラのModel Xには及ばない。

リコール対象車のオーナーには補償金800ドルが支払われ、車をショップに預けている間の代車も提供される。

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(翻訳:Mizoguchi)

アウディの自動運転車はアップルとニコンの出身者が作ったAevaのセンサーを採用

Audi(アウディ)の自動運転車部門は、ユニークなライダー(LIDAR)を開発しているスタートアップと手を組んだ。自律走行可能なSUVタイプの電気自動車、e-tronに搭載して、ミュンヘン市内でのテストを拡大する。

Audiの子会社となっているAID(Autonomous Intelligent Driving)は、Aevaによって開発されたライダーセンサーを採用したことを、水曜日に明らかにした。AevaはAppleとNikonの出身者によって、わずか2年前に設立されたスタートアップだ。

Aevaは、カリフォルニア州のマウンテンビューを拠点とする会社で、Soroush Salehian氏とMina Rezk氏によって設立された。同社が開発した「4Dライダー」は、距離はもちろん、かなり遠くのものまで瞬間速度も計測できる。また太陽光や他のセンサーによる干渉を受けないのも特長だ。「4D」というネーミングはともかくとして、この技術には説得力がある。

ライダー(「ライト」と「レーダー」を組み合わせた造語)は、光線によって距離を測定するレーダーの一種だ。勃興する自動運転車業界では(Teslaは例外だが)重要かつ不可欠なセンサーと考えられている。そして何年もの間、その市場はVelodyneの独壇場だった。

今日では、Velodyneよりも高解像度で精度も高く、そのうえ低コストのセンサーを提供するためのブレークスルーを実現したと主張する何十ものライダーのスタートアップが登場している。これはかなり大胆なチャレンジだ。特に大量生産を可能にするのは難しい。

伝統的なライダーセンサーは、可視光のスペクトルの外にある高出力の光パルスを送出し、そのパルスが戻ってくるのにかかる時間を計測することで、距離を特定することができる。パルスが戻ってくると、そのパルスを反射した物体の方向と距離が記録され、測定結果から3次元のマップが生成できる。

Aevaによれば、同社のセンサーは連続的な低出力レーザー光を放射する。それにより、フレーム内のポイントの瞬間速度を、最長で300メール先まで計測できるという。言い換えれば、Aevaのセンサーは、物体までの距離、方向、そしてその物体がセンサーに近づいたり遠ざかったりする速度までも測定できるのだ。

これは、歩行者、自転車、他の車など、さまざまな速度で移動する物体が存在する環境で運行される自律走行車にとって、有効な知覚機能となる。

Aevaは、Lux CapitalやCanaan Partnersといった投資家の支持を受けている。同社のセンサーは、他のセンサーや太陽光による干渉とは無縁である、という大きな特長も備えているとされる。

AevaのセンサーがAIDのCTO、Alexandre Haag氏を納得させたのは、このように長距離の測距、毎秒何センチという精度での瞬間速度の計測、そして干渉に強いという特長を兼ね備えていたからだ。

Aevaのセンサーは、Audiと、その親会社のVolkswagen(フォルクスワーゲン)による、過去18か月に渡る検証プロセスを通過した。今回の発表は、AevaがAudiの自動運転車事業における重要なハードルを乗り越えたことを確認するものだ。Aevaのセンサーは、すでにミュンヘン市内を走行中のAudi e-tronの開発用車両に搭載されている。Audiでは、都市部での移動サービス用として、自動運転車を今後数年以内に供給することを計画している。

もし干渉の影響を受ければ、3次元のマップ上に、ランダムな点が次々に出現してしまうことになる。ライダーが直接太陽の方に向けられた場合や、同じクルマに複数のセンサーが取り付けられているような場合、その可能性は否定できない。ライダーのメーカーは、いろいろな干渉パターンを防ぐために、さまざまな手法を考案してきた。また自動運転車のメーカーも、太陽や雪の影響による干渉の問題を把握していて、それによって発生する異常値を無視するようなアルゴリズムを開発している。

Salehian氏も、やはり干渉は重大な課題であると主張している。

規模に合わせて開発したり、大規模に利用される製品を設計するという課題について言えば、それは単にどれだけ容易に製造できるかという問題ではない、とSalehin氏は強調する。「そうしたものをずらっと並べて使うときでも、完全に協調して動作するようにしなければならないということです。そのような車を何十万台も作るとなれば、それは一大事なのです」。

画像クレジット:Aeva/スクリーンショット

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

自動運転車AIがチャンピオンレーサーと対決

自動運転車の開発の世界は、ともすると無味乾燥なものになりがちだ。無事故で走った距離が百万マイルに達したとか、歩行者の検出範囲が10%増えたとか、そういったことしか語られない。しかしここで紹介する研究は、そのような指標からは見えてこない面白いアイディアを持ち、驚くほど実践的なテスト方法を採用している。自動運転車とレーシングドライバーを、サーキットで競わせようというのだ。

念のために言っておくが、これは見世物ではない。紛れもないまじめな研究なのだ。コース上でポジションを争ったり、フェイントをかけたり、バンバーを擦り付けたりはしない。走行は別々に行われた。また私がやりとりした研究者は、ラップタイムを明らかにすることを丁重に断ってきた。これはあくまで科学であることをご理解いただきたい。

スタンフォード大学のNathan Spielberg氏とその同僚は、自動運転車の極限状態での挙動に関する質問には喜んで答えてくれた。言うまでもないが、一般的な自動運転車の走行のほとんどは、通常のスピード、良好な条件でのものだ。また、その際に遭遇する障害物のほとんどは、想定内のものとなっている。

もしも最悪の事態となり、車が通常の操縦の限界を超えなければならなくなったとき、たとえばタイヤのグリップ力の限度を超えるような状態になったときでも、その自動運転を信頼できるのだろうか? 果たして、そのような運転が可能なAIを開発できるのだろうか?

この研究者の論文は、Science Robotics誌に掲載された。物理学ベースのモデルでは、こうした状況に十分に対処できないかもしれない、という仮説から始まっている。そうしたコンピュータモデルは、重量、速度、路面状態、などの条件を考慮して、車の挙動のシミュレーションを行う。しかし、そうした条件は、どうしても単純化されているので、値が通常の範囲を超えると、かなり不正確な結果を導くことになる。

そのようなシミュレーションが、タイヤの接地を点または線に単純化して考えているとしよう。しかし、実際に滑り始めたときには、タイヤのどちら側に強い摩擦力が働いているのかは非常に重要だ。そこまでの詳細なシミュレーションは、現在のハードウェアの能力を超えていて、十分に速くかつ正確に実行することができない。しかし、シミュレーションの結果は、入力と出力に要約することができる。それらのデータをニューラルネットワークに処理させたらどうだろう。その結果、非常にうまくいくことがわかった。

シミュレーションによって、この車の構造と重量なら、Xという速度のときにYの角度で曲がろうとすれば、どのような挙動を示すのか、という基本的な情報が得られる。もちろん、実際にはもっと複雑だが、基本的にはそういうこと。ここまでは単純だ。次に、このモデルはトレーニングによるデータを参照し、さらに現実世界の結果も調べる。それはおそらく、理論とは異なったものとなっている。

そうして、車がコーナーに差し掛かったとき、理論的にはハンドルをどれだけ左に切る必要があるか、次の点ではどれだけ切り足すか、といったことを知ることができる。しかし車内のセンサーが、車が意図したラインから少しずれていることを報告したとする。すると、その入力が考慮され、AIエージェントはハンドルをもう少し切るか、逆に戻すのか、状況に合わせて判断するのだ。

では、レーシングドライバーはどこで登場するのか、と疑問に思われるかもしれない。研究者は、この車のパフォーマンスを人間のドライバーと比較する必要があった。それも、摩擦の限界で車をコントロールする方法を経験的に体得しているようなドライバー、つまりレーサーのことだ。普通の人には、なかなかそこまでの運転はできない。

チームによれば「アマチュアレースのチャンピオンドライバー」というレーサーを雇って、カリフォルニアのThunderhill Raceway Parkを走らせた。それから、Shelleyという名の、2009年型のAudi TTSを改造した自動運転車を送り出した。それぞれ10回ずつだ。これは、のんきな日曜日のイベントなどというものではなかった。上記論文には、以下のように書かれている。

自動運転車と人間のドライバーは、いずれもサーキットをできるだけ短い時間で周回しようと試みた。この運転の最大加速度は、ほぼ0.95Gに達した。タイムを最短にできるようなレーシングラインを通り、タイヤのグリップの物理的な限界を追求した状態だ。縦方向と横方向ともに、このレベルの加速度を実現すると、車の最大速度は、サーキットの一部区間で95mph(約153km/h)に達する。

このような極端な運転条件の下でも、コントローラーは一貫してレーシングラインをトレースすることができた。平均的な誤差は、サーキット上のあらゆる区間で40cm以下だった。

言い換えれば、それだけのGがかかり、95mphの速度に達した状態でも、自動運転のAudiは、理想的なレーシングラインから1フィート半以上逸れることはなかったのだ。人間のドライバーのズレは、もっと大きかった。しかし、これはエラーとはみなされていない。人間は、自分の判断でラインを変更するものなのだ。

「サーキットをセグメントに分けて、いろいろなタイプのコーナーを比較しました。それによって貴重なデータを収集できました」と、Spielberg氏はTechCrunchへの電子メールで述べている。「サーキット1周全体のデータについても比較し、同様の傾向が維持されていることも確認しています。つまり、Shelleyは、一貫性という点では優れていますが、人間のドライバーは車の変化に応じてラインを変更できるという点で優れています。これは現在実装中の能力です」。

Shelleyは、人間よりもラップタイムの変動がずっと小さかったが、人間のレーサーは周回を重ねることで、かなり優れたタイムを出すようになった。セグメントごとの平均を評価すると、ほとんど同等だが、わずかながら人間が優っていた。

これが単純な自動運転モデルであることを考えると、かなり印象的な結果だ。現実世界の知識は、システムにはほとんど組み込まれていなかった。たいていは、シミュレーションから得られた結果によって、その瞬間、瞬間で、どのようにハンドルを操作すべきか判断していた。しかも、フィードバックは非常に限られていた。自動運転システムが置かれた状況を把握するために使うことの多い、高度なテレメトリにはアクセスしていなかったのだ。

結論を言えば、比較的単純なモデルによって、通常のハンドリングの条件を超えた車をコントロールするというアプローチも、なかなか有望だということになる。ただ、路面の状態や条件によって、調整する必要はあるだろう。たとえば、後輪駆動車で未舗装路を走るのと、前輪駆動車で舗装道路を走るのとでは、明らかに違っている。そのようなモデルを、どのようにして開発し、どうやってテストすれば良いのか、ベストな方法は今後の研究課題となる。しかしチームは、それも単にエンジニアリング上の課題だと確信しているようだ。

今回の実験は、あらゆる運転操作において、自動運転車が人間よりも優れるという、まだまだ遠い目標を追求するために実施されたもの。この初期段階のテスト結果は希望の持てるものだった。とはいえ、自動運転車がプロと渡り合えるようになるまでには、まだ長い道のりがある。それでも、その時が来るのが楽しみだ。

画像クレジット:スタンフォード大学

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

Audi、新しいV2I(ブイツーアイ)機能で青信号通過を支援

Audiは、最新車種に新しいV2I(vehicle to infrastructure:車と道路設備間の通信)機能を導入し、ドライバーがどの交差点も青信号で通れるようにした。

GLOSA(Green Light Optimized Speed Advisory)と呼ばれるこの技術は、同社の車に内蔵されている信号読み取り技術の一部だ。AudiはこのGLOSA機能を搭載した初めてのメーカーだと同社は言っている。

始まりは2016年にAudiがTraffic Light Informationを公開したときだった。全米の一部の都市と市街地で車が道路設備と通信できるシステムだ。

当時、機能はまだ限定的だったが、原理的には車が信号機のセンサーから情報を受取り(4G LTEホットスポット経由)、赤信号が青に変わるまでの時間をドライバーに伝えることができる。

これに基づいて作られたGLOSAは、青信号で通るために走るべき速度をドライバーに知らせる。システムは交通信号情報と車の現在位置のほか、停止距離、制限速度、信号のタイミングなどの重要データに基づいてこれを行う。

そしてドライバーが青信号を通過するのを助けるための推奨速度を表示する。最終目標は赤信号で止まる回数を減らし、その結果停車時間を短縮することだ。これは排ガス減少と燃料節約にもつながる。米国のドライバーは年間平均300時間ハンドルを握っている、とAAAは報告している。

現在、”time to green” 機能とこのGLOSA機能には、ダラス、ゲインズビル、ヒューストン、カンザスシティ、ラスベガス、ロサンゼルス、ニューヨーク市、オーランド、フェニックス、ポートランド、サンフランシスコ、ワシントンDC、およびバージニア北部の13都市、4700箇所の交差点でが対応している。

対応都市は増えているものの、機能はある意味でまだ限定的だ。Traffic Light InformationはAudiの有料購読機能であるConnect PRIMEの一部で、2017、2018年の一部新車種のみで利用できる。

Audiは将来V2I対応機能を増やしていく意向だと話しており、車のスタート/ストップ機能(排ガス減少が期待できる)やカーナビの最適ルーティングなどその他の予測サービスと統合していく。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

2019年CES最優秀賞を車載VRのHolorideにあげたい…楽しいデモだったから

大量のデモと発表と超長距離のウォーキングの日々が終わった今、自信を持って申し上げたいのは、今年のCESのベストはHolorideである!ということだ。もちろん、あくまでも個人的な評価だが、今年のCESで見たものの中ではHolorideが最高だ。

今年のCESは、全体的に良かったんじゃないかな。メインテーマはスマートフォンまわりのネットサービスだ。今やものすごく多様なデバイスがAmazonやGoogle、Appleなどのサービスをサポートしている。CES 2019でその次に目立ったのが、新しいチップセットと自動運転プラットホームだ。でもいちばん印象的だったのは、Audiが産んだスタートアップHolorideだ。このドイツの自動車メーカーは、VRを全車に載せてエンターテインメントを提供し、乗り物酔いを防ごうとしている。

Iron Manが助けを求めている、とRocketが言った。そこで、その宇宙の戦闘に加わってThanosの悪者たちをやっつける。そのとき、頭にはOculusを着けていて、体は宇宙空間の中で銃を構え、H難度のアップ&ダウンを体験している。まるでディズニーワールドの遊具の世界だし、たしかにそのコンテンツにはディズニーも協力している。でも、実際にいた場所はラスベガスで、AudiのSUVの後部座席に乗って時速145キロでトラックを走っていたのだ。


トラックを2周したが、H難度のVR体験にもかかわらず、全然酔わなかった。車の外に出ても、ふらつかない。ただし、車の中でスマホを使ったりしないタイプだけど。

Holorideの真価は、VRコンテンツと自動車の動きとの同期にある。車が動くと、同じ方向へコンテンツも動く。そのために、車酔いがなくなるのだ。…と、思う。

AudiはVRを全車に載せるつもりで、この小さなスタートアップを創った。そのファウンダーたちはすでに過去数年間、車載VRの研究開発をやっている。社名はAudi Electronics Ventureで、Audiの子会社だ。その技術のライセンスをAudiがHolorideに提供し、スタートアップはオープンなプラットホームから多くの自動車メーカーやコンテンツデベロッパーにライセンスを提供していく。

VRのデモは、これまでにたくさん体験したけど、今回はとっても良かった。車載、という形にも無理がない。エンターテインメントを提供するだけでなく、酔いを防ぐ。Uberの車や長距離バスが広告入りで採用するのは、時間の問題だろう。飛行機の中でもよいし、小さい子を乗せた長時間ドライブも、これで楽になるだろう。

Holorideは一種の賭だから、コンテンツやそのデリバリー、他との互換性など、問題はまだ山積みだ。離陸するためには、デベロッパーと自動車メーカーと消費者を巻き込んだエコシステムを作る必要がある。すばらしいユーザー体験は、頑張れば作れる。しかしそれを売るのは、また別のスキルだ。

関連記事: 時速145キロの車の中でVRを使っても気持ち悪くならなかった!

関連記事: Audi spins out Holoride to put VR in every car…Audiは全車にVRを載せる気だ…(未訳)

CES 2019 coverage - TechCrunch

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

時速145キロの車の中でVRを使っても気持ち悪くならなかった!

Holorideのシステムは楽しくて、乗り物酔いも防いでくれる

VRヘッドセットを使うと私は気持ち悪くなる。そう感じるのは私だけではない。これは仮想現実コンテンツに対して良く聞かれる苦情だが、今回紹介するスタートアップは、この問題をとても意外なやり方で解決したかもしれない。Holorideは人びとに、乗用車の後部座席でVRを使わせようとしている。

私の胃袋にかけて、その狙いは成功だと報告したい。

昨日私は、Oculus Goを装着して、ラスベガス郊外のレーストラックで、90マイル(145キロ)に達するスピードに振り回されたが、気持ち悪くならなかったのだ。実際、その乗車体験が終了したあと、時速35マイル(56.3キロ)以上の速度が出ていたことに驚いた程だ。Holorideのシステムは、面白くて気を紛らわせてくれるものだった。それはわたしを車のシートから引き離し、アイアンマンやロケット(どちらもマーベルコミックのキャラクター)と共に戦う宇宙へと導いた。

このデモを体験したあと、将来の車内エンターテイメントは仮想現実になるのではないかという思いを抱いたのだ。

それはこのようなものだった。

Audiの新しい電動SUV、e-tronの後部座席に座った私に、会社の代表者が車に接続されたOculus Goヘッドセットを装着してくれた。そして私はリモコンを手渡され、指示に従うようにと言われた。

マーベルのロケットが説明のために登場した。彼は、自分とアイアンマンを助けて、悪のタノスたちを、宇宙を飛行しながら撃ち落として欲しいと言う。

そして私たちは出発した…ゲームの中に、そして路上に。まるでディズニーワールドの乗り物のような心持ちがした。

画面上のコンテンツは、車両の動きと同期していた。Audi のSUVがトラックを走り回るのに合わせて、コンテンツが変化した。

e-tronが走り始めると、ゲームの中の私のロケット船も飛行を開始したし、e-tronがストレート部分を駆け抜けたときには、私のロケットも直進飛行した。その間私は、後部座席で子供のように笑いながら、リモコンを振り回して、タノスの魔の手から宇宙を全力で救おうとしていた。

どういうわけか、私は気分が悪くならなかった。

Holorideの秘密の一部は、VRコンテンツを車両のわずかな動きと一致させることにある。コンテンツは、バンプ(道路の隆起)から急カーブ、そして急な停止に至るまで、全てを補完する。同社が見据えている未来は、乗客が長時間の乗車に耐え、車酔いも起こさないような世界だ。

この技術の可能性には説得力がある。乗客を楽しませることは脇に置いたとしても、今でも車酔いは多くの人びとに影響を与えており、この仕掛はそれを解決してくれるように見えるのだ。もし飛行機または電車または長距離バスに向けてプログラムされたならば、Holorideのシステムは、より快適な乗車を可能にするだろう。

Holoride(MicrosoftのHoloLensとは無関係)は、過去2年間Audi社内でこのテクノロジーを開発していた。Audiはその技術を子会社として分離し、そのシステムを他のメーカーの他の車両に自由に組み込めるようにした。

乗り物酔いを誘発する傾向があるVRの性質は、普及のための最大のハードルの1つである。そしてただそこに立っているだけでも、多くの人たちがそれを経験しているのだ。車両の動きを、宇宙旅行のVRにミックスすることで、内耳があらゆるミックスされた信号を受け取ることになる。Holorideは、その課題を特長へと転化することを目指している。

この初期段階のデモは、Holorideが正しい方向に進んでいることを示しているが、コンテンツとユーザーを獲得するのは簡単ではないと思う。Holorideは、Disney GamesおよびInteractive Experiencesと協力してコンテンツを開発した。

私が体験したデモは感動的なものだった。それは私が欲しいもの全てを備えていた:インタラクティブコンテンツ、人気キャラクター、そして楽しいストーリーライン。しかし、私は程なく退屈し、数回しか遊ぶことはできなかった。多分私の子どもたちならもう少し長く楽しむことはできたと思うが、それでもそれほど長くはないだろう。

Holorideの創業者たちは、TechCrunchに、開発者にプラットフォームを開放するSDKを、年末までにリリースするつもりであると語った。現在のVRコンテンツをそのSDKに簡単に移植できるかどうかは不明だ。

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Holorideは自身を独立系企業だと言っているが、このスタートアップのルーツは完全にAudiである。Audi自身は、この技術を開発した子会社のAudi Electronics Ventureを通して、強くない影響力を持っているだけだ。Audiはこの技術をHolorideにライセンスし、そしてスタートアップ自身はオープンプラットフォームを使って、コンテンツデベロッパーだけでなく、FordからTeslaその他の全ての自動車メーカーが、希望の「○○現実フォーマット」を作り出すことができるようにしたいと思っている。

Audiのデジタルビジネスの責任者であったNils Wollnyは、AudiのVRエクスペリエンスのプロジェクトリーダーであるMarcus Kuhneならびに、同社のソフトウェアエンジニアであるDaniel Profendinerと共同で、Holorideを設立した。WollnyはHolorideの新しいCEOである。

彼ら共同創業者たちは、2014年にVRに取り組み始めた。しかしプロジェクトが真の意味で開始したのは、Disney GamesならびにInteractive Experiencesと提携をした2年前からである。

システムは車種毎に異なる設定をする必要がある。それは開発プロセスの一部なのだ。現段階では、Holorideの開発サイクルの中で、HolorideエクスペリエンスはAudiのe-tronのためにプログラムされていて、例えばChevy Tahoeでは機能しない。ある車種から別の車種へと気軽にヘッドセットを移すことはできないのだ。

Holorideに関しては、多くの疑問が残っている。プロジェクトにAudiの名前は冠されているものの、Holorideは独立した会社である。創業者たちはTechCrunchに対して、次の投資ラウンドを探す必要が出てくるまでには、まだ十分な余裕があると語った。

個人的には、過去このシステムほど感動したテクノロジーデモはわずかである。しかし、魅力的なデモを開発することと、成功するコンテンツ会社を生み出すことは異なる仕事だ。個人的な期待としては、私は大陸間飛行の最中に、乗り物酔いや他者からの干渉を排除できるようなヘッドセットを、装着することができるようになれば良いなと思っている。

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(翻訳:sako)

Audi、Waymoらのメーカーが集結して自動運転の教義を広める

自動運転のエバンジェリストたちが集結した。

自動車メーカー、IT企業、その他自動運転車に深く関わる数多くの企業が同盟を結成し、最先端の自動車技術と自動運転車に関する言葉を広めようとしている。Audi、Aurora、Cruise、GM、Mobileye、Nvidia、Toyota、Waymo、Zooxらが参加している。彼らのメッセージはこうだ:このテクノロジーは交通を変革させ安全性と持続性を高める。

新しい同盟、Partners for Automated Vehicle Education(PAVE)は月曜日(米国時間1/7)にラスベガスのCES 2019で発表された。PAVEの目標は、一般市民や政策立案者に自動運転車の可能性を広く知らせることにある。

「一般市民や彼らの選んだ議員たちに、未来の道路を形作るために必要な知識を伝えることは不可欠だ」と米国国家運輸安全委員会のDeborah A.P. Hersman委員長が月曜日に語った。Hersmanは発言の中で、PAVEはロビー団体ではないことを強調した。

「重要なのはロビー活動ではない。教育だ」とHersmanは言った。「われわれは国民に利点と限界を理解してもらいたい」

HersmanはAudi of Americaと共にPAVEの初代共同代表を務める。自動車メーカー、IT企業の中で、Ford、Fiat Chrysler、およびAptiveは同盟の立ち上げに参加しなかった。新組織の活動が本格化すれば参加が増える可能性がある。

自動運転技術に関する業界主導の同盟、団体、ロビー団体は多数存在する。Automated Vehicle Coalitionのほか、Ford、Waymo、Lyft、Uber、Volvoが参加しているSelf-Driving Coalition for Safer Streetsなどがある。

PAVEは、運転者支援や自動運転技術を消費者や政策立案者に紹介するイベントを全米で開催すると言っている。連邦、州、および地方自治体の職員向けの教育ワークショップ、教材の開発や小売店やカスタマーサービス要因への配布も行う。

PAVEは一般消費者も教育したいと考えている。そのために、SAE Internationalと連携して体験ワークショップを後援し、進化する自動運転技術に触れる機会を与える計画だ。

スタンフォード大学のCenter for Automotive Researchなどの学術機関との提携による政策ワークショップも開催し、政策立案者に自動運転技術とその可能性を理解を深めてもらう。

「伝統的自動車メーカーや新規参入者たちは、自動運転車を可能にする技術に数十億ドルをつぎ込んできた」とAudi of Americaのプレジデント、Mark Del Rosso が言った。「PAVEは情報公開への投資の必要性を理解している——消費者と政策立案者に、何が真実で、何が可能で、何が噂や憶測であるかを間違いなく理解させる必要がある」

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Porsche Taycanは最初の1年間の生産台数がすでに予約で売り切れ、多くがTeslaからの乗り換えだ

Porscheの初めての完全電動スポーツカーは、2019年のもっとも待ちに待たれた車になるのかもしれない。Teslaのオーナーですら、その虜(とりこ)なっている。

最近のCNETのインタビューでPorsche North Americaの社長でCEOのKlaus Zellmerは、すでに預託金を払っている予約購入者が全員実際に購入するとしたら、Taycanの最初の1年の生産量がそれだけで売り切れてしまう、と言っている。

そういう、初期の予約客って誰のことか? Zellmerによると、その半数以上は過去にも現在にもPorscheのオーナーではない/なかった人びとだ。もっと具体的に言うと、これらの潜在的顧客はTeslaから来ている。

CNETから引用しよう:

通常、他のブランドから来る人たちと言えば、それはAudiやBMW、Mercedesなどのブランドからだ。しかし今回のナンバーワンブランドは、Teslaだ。Teslaに関心を持つような人たちにとって、さらにもっと関心を持つ車があることは、たいへん興味深い。

Zellmerは、具体的な数字などを挙げなかった。何人の人が預託金を払ったのか、Taycanの1年間の生産台数は何台か。後者については、計画量2万台、という発表が前にあった。PorscheのCEO Oliver Blumeが11月にドイツの経済誌WirtschaftsWocheに語っているところによると、Taycanは需要が予想外に大きいので生産能力を増やすというが、やはり台数の言及はない。

Taycanは、2019年の年末に発売される。

画像クレジット: Porsche

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

Audi, Italdesign, Airbusの三社が自動運転飛行タクシーを設計し実動プロトタイプをテスト

ドイツの自動車メーカーAudi, ヨーロッパの航空機メーカーAirbus, そして自動車専門のイタリアのデザイン企業Italdesignの三社が、火曜日(米国時間11/27)に、彼らの未来のビジョンの縮尺バージョンをプレゼンした。それは、タクシーを自動運転電気自動車から外して、目的地へ飛び去っていくドローンだ。

三社は、アムステルダムで行われたDrone Weekで火曜日に、その空飛ぶタクシーのコンセプトを披露した。

そのデモのさまざまな段階を、下のビデオで見ることができる。

正確に言うと、三社が見せた“Pop.Up Next”は実物の1/4サイズの実動プロトタイプで、小さすぎて人間は乗れない。

しかしそれでも、彼らは将来に関して楽観的で、10年後には実用供用される、という。

“空飛ぶタクシーはもうすぐ実用化される。Audiでわれわれはそれを確信している”、とAudiの部品調達とIT担当取締役で、Audiの子会社Italdesignの社長Dr. Bernd Martensが声明で言っている。“ますます多くの人びとが都市へ移り住み、そして自動化によってますます多くの人びとが都市内移動をするようになる。未来には、高齢者や子どもたち、そして運転免許証のない人たちが、便利なロボットタクシーを使おうとするだろう。それらのトラフィック(交通量)を、道路と空域の両方にスマートに割り当てることに成功したら、人間と都市の両方が大きな福利を得るだろう”。

AudiはYouTubeのビデオで、空飛ぶタクシーの供用開始は次の10年以内に十分可能、と言っている。

そのときに備えてAudiは、Airbusの子会社Voomの協力により、オンデマンドフライトサービスのあるべき形をテストしている。メキシコシティやサンパウロでは顧客がヘリコプターのフライトを予約できるが、そのときAudiがヘリポートと自宅などとの間の交通機関を担当する。

“このような実用サービスを実施することによって、顧客のニーズをよりよく理解できる。未来には空飛ぶタクシーがさまざまな都市住民にアピールしなければならない。われわれのPop.Up Nextでわれわれは、技術的に可能なことと、顧客のニーズの両方を探求している。次のステップは、フルサイズのプロトタイプの試験飛行と運用だ”、とMartensは言っている。

Audiは、インゴルシュタットの飛行タクシープロジェクトUrban Air Mobilityも支援している。これは、Audiの敷地で行なう飛行タクシーの運用試験の、準備のための企画だ。

画像クレジット: Audi

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

空飛ぶタクシーのLilium、AudiとAirbusの元幹部を招聘

未来的な空飛ぶタクシーサービスのための垂直離着陸機を開発するLiliumは、AirbusAudiから大物の元幹部を招き入れ、テクノロジーを向上し市場にサービスを提供する準備を進めている。

Mirko Reuterは、Audiで自動運転の責任者を務めていた人物で、無人飛行の責任者として取締役に就任する。Jakob Waeschenbachは元Airbusの機器組立責任者、Rochus Moenterは元Airbusの財務・投資部門担当副社長で、それぞれ飛行機組み立て責任者、および法律顧問・法務責任者としてLiliumに加わる。

Liliumは2015年にDaniel Wiegand、Sebastian Born、Patrick Nathen、およびMatthias Meinerによって共同設立され、そのビジョンは独自の垂直離着陸機のネットワークを構築することで航空移動のコストを削減し、パリからロンドンまで乗客を1時間以内に運ぶことにある。

Audiで長年自動運転の長を務めたReuterは、無人航空機システムに必要なプロセスと技術の開発を受け持つと同社は声明で述べた。

「私は、社会のあらゆる分野で広く使われる効果的で利用しやすい輸送を可能にする革新的サービスを開発する、という当社のミッションに全力を注いでいる。Liliumは新しい革命的な輸送手段を開発しており、その一端を担えることを非常に嬉しく思っている」とReuterが声明で語った。

Liliumは2019年に最初の機体を送り出す準備を整えるなか、経営チームを強化していると記事は伝えている。2017年、同社は9000万ドルの新たな資金調達を行い Tencent、国際民間銀行資産管理グループの LGTAtomico、Skype共同ファウンダーのNiklas Zennströmが設立したLiliumのSeries A支援者、およびTwitterのEv Williamsが共同設立した初期ステージVCファンドのObvious Venturesらが出資した。

こうした投資や有力幹部の入社は、益々競争の激しくなるこの業界でLiliumのビジネスに信用を与える(そう、空飛ぶタクシー業界は競争が激しい)。

ドイツの自動車メーカーDaimlerは、Volocopterを支援する投資家コンソーシアムに参加して約2850万ドルを出資し、配車サービスのUberはブラジルのEmbraerやスロベニアのPipistrelと組んで、独自の空飛ぶタクシーを開発している。実は飛行機メーカーのAirbusも、独自の無人空飛ぶタクシーVahanaを開発中で、数年のうちに市場に出したいと考えている。

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フォルクスワーゲン、アウディのCEOを解雇

Volkswagen AGはRupert Stadlerを解雇し、Audi CEOおよびVolkswagen取締役の職を解いた。同社のディーゼルエンジン排ガス偽装隠蔽に関与したとして逮捕されて以来数ヶ月後のことだった。

Stadlerは、1990年にAudiで働き始め、親会社であるVolkswagen AGの最も新しい幹部となったが、3年前に発覚したディーゼル車排ガス偽装スキャンダルを受けて追放された。このスキャンダルには、VWグループ傘下のVolkswagen、Audi、さらにはPorscheを含む複数ブランドの数多くの経営幹部が関与していた。

ディーゼル排ガススキャンダルは、2015年にVolkswagenグループのいわゆる「クリーンディーゼル車」に、排ガステストを騙すソフトウェアが仕込まれていたことが発覚して勃発した。

Volkswagenは2015年にCEO Martin Winterkornをスキャンダルに関与したとして解雇した。後にWinterkornは、謀略および有線通信不正行為の罪で米国裁判所に告発された。3年後、Winterkornの後任であるMatthias MüllerもVolkswagen CEOを解任され、Herbert Diessが後任となった。

Stadlerは、6月にディーゼル排ガス偽装の犯罪捜査でドイツ当局に逮捕された後、CEO職を離れていた。Stadlerは現在も収監されている。

Stadlerの逮捕以来、Bram Schotが暫定CEOを兼任している。

VWの声明は以下の通り:

本日Volkswagen AGおよびAUDI AGの監視委員会は、Rupert Stadlerとの契約を解除し、Volkswagen AG取締役およびAUDI AGの取締役会会長、ならびに業務委託契約を終了することに同意した。Stadler氏の退職は直ちに有効となり、すでにVolkswagenグループには所属していない。Stadler氏の処遇は、現在進行中の公判前拘留のために取締役としての義務を果たすことが困難であり、裁判に集中したいと希望していることによる。本契約の履行は刑事訴訟の経過および結果に基づく。

Stadlerは2003年に取締役会に加わった。4年後、Audi AG の会長に就任した。2010年、StadlerはVolkswagen AGの取締役に任命された。

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Audiが全電気車、e-tron SUVの量産開始

フォルクスワーゲン傘下の自動車メーカー、Audiは今週から全電気SUVの生産を始めた。 3年前にフランクフルトで開催されたモーターショーでコンセプトモデルが発表されてから3年後に量産開始となった。

ただし、Audiの電気SUVの実車が公開されるのは9月17日まで待たねばならない。Audiではこの日、サンフランシスコで華々しいお披露目イベントを計画している。

Audiは4WDの電気自動車、 e-tronの量産に向けてここ数年努力を重ねてきた。これまでも価格、航続距離、インテリアなどに関する情報がアップデートされてきた この車両はAudiのブリュッセル工場で生産されている。この工場は2016年に電気自動車の生産拠点として抜本的な改修を受けた。これによりブリュッセル工場はフォルクスワーゲン・グループの電気自動車化計画の要の位置を占めるようになった。

Audiはボディー製造、塗装、組み立てなどすべてのラインを一から作り直したという。また搭載するバッテリーもこの工場で生産される。

このSUVは乗車定員5人で、直流による急速充電が可能、最大出力は150キロワットだ。当初、Audiでは95キロワットのバッテリーで500キロ(310マイル)以上の航続距離があると述べていた。その後この数字は400キロ(250マイル)前後と改定された。今月下旬に実車が世界デビューするのと同時に最終的なスペックも公表されるはずだ。 電気SUVの販売が実際に始まるのは今年末とみられる。

e-tronはAudiが計画している全電気自動車シリーズの最初の製品となる。Audiは2020年までに4ドアGT(Audi e-tron Sportbackコンセプトカーの量産版)およびコンパクト版の生産も開始する。Audiでは2025年までに20モデル以上の全電気車、プラグイン・ハイブリッド車をデビューさせる計画だ。

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Nvidiaのチップ、Audiのレベル3自動運転車に搭載

この火曜日にAudiは来年登場予定の次世代A8はレベル3自動運転システムを搭載する初の量産車になることを明らかにした。Audi A8の自動運転システムにはNvidiaのテクノロジーが利用されており、「渋滞パイロット」機能を持つ。

Nvidiaはこれ以外にもA8のさまざまな能力を支えている。実際A8はNvidiaのチップを6基搭載しており、交通渋滞に対処するだけでなく、インフォテインメントシステム、バーチャルコックピット表示、後部座席用ヘッドレスト裏のタブレットなどを駆動する。

A8がレベル3になるということは、特定の状況、たとえば 時速60キロ以下あるいは高速道路を走行中などの場合、ドライバーは道路に注意を払う必要がなくなる。走行環境がそのような条件を満たすと、ドライバーは(現地の交通法規が許せば)車の運転に注意を払うことなく合法的に他の作業を行うことができる。ドライバーの操作が必要な状況になればシステムがドライバーにそれを要請する。

レベル3は現行のTeslaのオートパイロットより一段進んだ自動運転となる。Teslaのオートパイロットはレベル2に分類されており、ドライバーは走行中常に道路に注意を払い、即座に運転を代われる態勢を維持する必要がある。オートパイロットが高速道路で一定の範囲で速度を維持して走行することを主な目的としているのに対して、A8のシステムでは渋滞時にドライバーが一切の操作から解放されるのが大きな違いだ。

NvidiaのプロセッサはAudiのzFASシステムの頭脳となり、A8の自動運転を実現している。車両に装備されたレーダー、カメラ、レーザースキャナー、超音波センサーなどから得られたデータを処理し、車両が置かれた環境を総合的に認識する。渋滞パイロット・モードに入った場合、zFASシステムは自車の取るべき動作を決定する。このときシステムは毎秒25億回の入力を処理するという。

レベル3自動運転は本質的にある種の矛盾を抱えている。つまり一方ではドライバーはリラックスして他の作業をしてもよいとしながら、いざというときには即座に運転に戻らなければならず、完全に車任せにはできない。レベル4の自動運転になって始めてシステムが完全に車両をコントロールするようになる。自動運転中の事故の責任はシステム側にあるためAudiとNvidiaは自動運転システムに強い自信を持っているのだろう。

〔日本版〕自動運転のレベルについては日本もSEA(Society of Automotive Engineers)の区分を踏襲することを決定している。レベル3は「条件付運転自動化」とされ、システムが要請した場合を除いて車両側が加減速、ハンドル操作を含むすべての走行操作を実施する。詳しくは官民ITS構想ロードマップ2016(PDF)

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Audi、自動運転技術に特化した子会社を設立へ

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Audiは、Daimlerらに続き電気自動車や自動運転車等、最先端技術への未来投資に力を入れていくと、CEO Rupert Stadlerは語った。先週末ドイツStuttgarter Zeitung紙(Reuters)でStadlerは、2025年までにAudiの全売上に占める電気自動車の割合を30%にする目標に加え、同社が無人運転技術に特化した子会社、SDS Companyを設立する計画を持っていることを明らかにした。

Audiの電気自動車計画では、2020年までに3種類のモデルを発売する予定であり、電気自動車生産ラインを強化するために社内リソースの大胆なシフトを行う、とStadlerは語った。電気自動車の製品ラインにはAシリーズの小型車が入る見込みで、A3の2ドアモデル等のコンパクト・ガソリン車は、未来に向けたプロジェクトに予算を明け渡すべく販売が中止される可能性もある。

Stadlerは無人運転への野望について、「ハンドルもペダルも不要になるロボットカーは都会交通に理想的だ」と同紙に語り、必要な技術を開発するために、Audiは今もダンスパートナーを探していると付け加えた。多くの自動車メーカーが通信会社やソフトウェア会社その他のIT専門家と組んで最先端の自動車ロードマップを描こうとしている。Audiも専門知識豊富な誰かに頼りたいようだ。

Audiは専門の子会社を作る前から自動運転技術に取り組んでいる。最近の走行テストでは、車線変更の前にその意思を伝えるために車線標示に寄る、といった繊細で人間的なしぐさをするところを見せて見出しを飾った

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VWの排ガス不正事件、賠償金の内訳はこうだ

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6月28日、Volkswagenは米国規制当局(FTC(連邦取引委)を含む)、米国の一般原告団、および44の州との間で、TDIディーゼル不正問題に関する約150億ドルの賠償に合意したことを発表した。

おさらいが必要な人のために書いておくと、2015年秋、VWが同社のTDIディーゼルエンジンの制御ソフトウェアを改造し、排ガステスト中と通常走行時とで異なる振る舞いをさせていたことを研究者らが突き止めた。テスト中であることを検出すると ― ハンドルが真っすぐで、一定時間スピードや回転数が変わらない ― エンジンはクリーンな状態で動き、性能は損われるがテストには合格する。通常走行時は、性能が向上するとと共に排ガスも増加した。

賠償金額の内訳は以下の通り:

  • 47万5000台のVWおよびAudiのディーゼル車が、買い戻されるかリースが終了する
  • もし対象者全員がこの支払いを要求すれば、VWによると総額は103.3億ドルに上る
  • VWは「環境改善基金」に27億ドルを投資する
  • VWは米国での無公害車推進活動に20億ドル投資する
  • VWは44の州、ワシントンDC、およびプエルトリコにして6.03億ドルを支払い、消費者保護訴訟の解決に努める

これは、2.0リッターTDIエンジン塔載車のみが対象だ。今後さらに、3.0リッターTDIエンジン車についての示談 ― および追加の支払い ― が待っている。

もしあなたがTDI車のオーナーなら、いくつか選択肢がある。買い取りあるいはリース終了プラス現金、あるいは、排ガス基準に合致するよう車を改造させることができる。前者の場合、買い取り価格はNADA Used Car Guide 2015年9月号の”Clean Trade-In Value”(良好状態下取り価格)に基づく。後者の場合、車を所有し続け(ただし性能は損われる可能性が高い)た上でいくらかの現金をVWから受け取る。改造については、EPAおよびCARBの承認が下りてから実施される。

ソフトウェア改竄は2009年から2015年の車に影響を与えているので、あなたが以前TDI車を所有していて既に売却あるいは下取りに出していることも考えられる。がっかりするのはまだ早い ― その場合でもいくらか現金をもらえるかもしれない。まだウェブサイトに詳細は書かれれいないが、該当する人は注意しておく価値がある。

あなたがどの選択肢に該当するか、どれを利用したいか関わらず、まずこの夏に書類を提出して裁判所の承認を受ける必要がある。実際にTDIのオーナーが現金を手にするか改造を受けるのは2016年秋になる。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

自動運転時代の自動車保険について専門家はこう考える

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人間のドライバーを必要とせず、自動運転車に行きたい場所を告げるだけでどこへでも自由に行けるようになるというユートピアの実現までにはまだ長い時間がかかりそうだ。しかし自動運転車の時代は確実に近づいている。

VolvoHondaAudiTeslaその他ほぼあらゆる自動車メーカーに加えて、 Googleは(おそらくはAppleも)自動車に組み込める高度ドライバー援助システム(ADAS)をすでに開発している。

自動車を運転する役割が次第にコンピューターが移行するにつれて、損保ビジネスにどういう影響が出るのかが問題にされ始めた。将来、自動運転の楽園が来るとしても、それまでの間に事故は何度も起きる。保険会社は誰に責任があるかに強い関心を持っている。たとえばVolvoはこの点で一歩を進め、自車が自動運転モードで事故を起こした場合はVolvoが責任を持つとしている。しかし今のところVolvoは珍しい例外だ。

危険が迫ったときに人間がシステムに介入しないことは人間の責任になるのだろうか? 自動車メーカーが十分なテストしなかったという責任、あるいはセンサーを納入したティア1サプライヤーの責任、ティア1サプライヤーにセンサー部分を供給したサプライヤーの責任、等々も問題になるだろう。どかの時点で保険会社はパニックに陥るに違いない。

保険比較サイト、Compare.comのファウンダー、CEOのAndrew Roseは「(損保会社は)自動運転車という未来を恐れるべきだが、今のところは安全だ」と述べている。私の電話インタビューに答えてRoseは「30年後には現在の自動車保険ビジネスの大部分は消滅しているだろう。自動運転車の事故率は次第に減り、保険会社が請求できる保険料もそれに応じて少なくなる。つまり自動車保険のビジネスは縮小する」とこう説明した。Roseはまた「しかし保険会社は当面リラックスしていい。自動運転がその段階に達するには長い時間がかかるはずだ」と付け加えた。

Compare.comは世界有数の自動車損害保険会社、Admiral Groupの傘下にある。 たまたまAdmiralの英国本社を訪問していたRoseは、TechCrunchのインタビューに備えて、本社の担当者にこれまでの自動運転車の関係するすべての事故の保険請求に関する情報を尋ねてみたという。しかしその答えは「そんな請求を受けたことは一度もない」だった。Admiral Groupの保険に入っている自動車はイギリスで何百万台もある。「今のところ自動運転車関係の保険請求は出ていない。しかし水平線上にその可能性が覗いている」とRoseは述べた。

保険金の請求が来ていない理由の一つは自動車メーカーがきわめて慎重な姿勢を取っているからでもある。メーカーは自動運転テクノロジーを一般消費者向け市場に適用する際に誤りを犯した場合に影響が巨大になることを知っている。Volvoが自動運転テクノロジーの研究を始めたのは10年以上前になる。事故の責任を引き受けるという決断はこの長年の経験に基づくものだろう。「ささいな応用なら間違いもささいなことですむ。しかしACC〔定速走行・車間距離制御可能なクルーズ・コントロール〕が誤作動すれば、致命的な結果をもたらしかねない」とRoseはいう。

われわれの多くは完全な自動運転が実現する未来を望んでいる一方、保険会社は事故の責任をまず自動車メーカーに求めようとするだろうという。Roseによれば、「われわれは誰かに〔事故の損害を〕払ってもらわねばならない。Volvoは自動運転モードで起きた事故はVolvoの責任だとしている。しかしそうなると厳密に交通法規を守らねばならない。自動運転車は時速65マイルの区域では決して65マイルで走らない」という。

この点がやっかいな問題を引き起こすことになりそうだ。すべての自動車が自動運転に切り変わるには時間がかかる。その間、自動運転車は自分で事故を起こすことはほとんどないだろうが、事故をもらう可能性は高い。「しばしばぶつけられることにあるだろう」とRoseは予測する。自動運転車は交通法規の字句に厳密に従うからだ。事実、Googleの自動運転車がバスと衝突したのはまさにこれが原因だった。「非常にこんがらがった問題だ。この問題はその一つにすぎない。自動運転車が増えて、自動運転車が出会うのが他の自動運転車ばかりになれば問題はずっと簡単になるだろう」とRoseは語った。

画像:e Kristen Hall-Geisler

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+

米国取引委員会、フォルクスワーゲンを虚偽広告で提訴

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連邦取引委員会(FTC)は今日(米国時間3/29)、Volkswagen Group of Americaを、「同社の『クリーンディーゼル』であるべきVWとAudiの販売促進に使用した広告キャンペーンで、顧客を欺いた」として提訴した。もちろんみなさん覚えている通り、2015年10月の排ガス試験で不正が見つかったあの車のことだ。

本訴訟は、VolkswagenまたはAudiを2008〜2015年に購入したアメリカ人全員の損害を対象としている。さらにVolkswagen社に対して、これ以上消費者を騙さないよう要求した。同社が過去6ヶ月間学習したであろう教訓だ。

FTCによると、Volkswagenは同社のディーゼル車を低排ガスで環境に優しく再販価値を維持できると宣伝した。その7年間に50万人以上のアメリカ人がそれを素晴らしいと感じ、VWとAudiを購入あるいはリースした。

訴状は特に、問題の車が「50州の規制に適合」と宣伝されていたことを指摘している。これは、全米のどこでも、最も厳格なカリフォルニア州でも排ガス試験に通過することを意味している。そして、実際試験には合格したが、誠実なやり方ではなかった。

これらの車は、通常行われるように実験室で排ガス試験を受けていることを検知すると、エンジンの挙動を変えて排出量を減らす数行のコードが組み込まれていた。車が路上を走っている時は、排ガスを犠牲にしてエンジン性能を最適化していた。路上で排気管内のプローブを使って試験したところ、窒素酸化物は基準の最大35倍に達していたことを、国際クリーン交通委員会ウェストバージニア大学の代替燃料・エンジン・排ガスセンターの協力によって発見した。本訴訟は、これを不公正な取引行為であるとして訴えている。

おそらくみなさんは、自分が影響を受けた消費者であるかどうかおわかりだろうが、もし不確かであれば、訴訟の対象は、2009〜2015年のVolkswagen TD Jetta、Passat、およびTouareg、並びに同期間のAudi TDI全車である。該当車種の平均価格は2万8000ドルで、FTCはこれらの車をいかなる価格で購入した顧客に対しても賠償するよう求めて訴えている。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Nokia、HERE地図情報事業を30.7億ドル(3800億円)でアウディ、BMW、ベンツに売却

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Nokiaは先ほど、HERE地図情報事業をヨーロッパの自動車メーカーのコンソーシアムに 28億ユーロ(30.7億ドル、3800億円)で売却したと発表した。これによって数ヶ月前から流れていたHERE事業の将来に関するさまざまな観測に終止符が打たれた。

Nokiaによれば、HERE事業を買収したのはアウディ、BMWグループ、ダイムラー(メルセデス・ベンツ)が共同で組織したコンソーシアムで、買収手続きの完了は来年の第一四半期が予定されている。 Nokiaがデバイス事業をMicrosoftに売却した後、HERE事業の将来が業界の注目を集めていた。今年4月、NokiaはHEREについて売却も含む各種の選択肢を検討中と発表した。

HEREの6454人の従業員に対してレイオフがあるのかどうか、またあるとすればどれほどの規模になるのかは今のところ不明だ。NokiaがHERE事業の売却に傾いた理由の一つがこの膨大な人員だったという観測もある。 最近の財務情報によれば、HERE事業はNokiaグループの売上の1割を占めている。

HEREが売りに出ていることは自動車メーカー以外からも強い関心を集めていた。Uber(およびその投資家)と百度が共同で買収に動いているという噂も流れた。中国最大の地図情報サービス、NavinfoやAmazon、、Alibaba、Facebook、 Appleさえも関心を示したとされる。

TechCrunchのIngrid Lunden記者は先月の記事でこの問題を分析し、HERE事業が保有するテクノロジー、特許、データベース、豊富な地点属性(元HERE社員によれば300種類)について、「これほど価値ある資産が地図情報分野で市場に出ることは当分ないだろう」と述べた。

Nokiaはアルカテル・ルーセントの166億ドルの買収を来年上半期に完了するものと見られている。これらの抜本的再編によってNokiaはブロードバンド・インフラ事業、Nokia Technologiesおよび先進的研究開発事業のネットワークとして生まれ変わる。当面の目標としてNokiaグループはメーカーと提携して新たなモバイル・デバイスを2016年中にリリースすることを目指す。

社内で制作されたインタビュー・ビデオで、Nokiaのプレジデント、Sean Fernbackは「この売却によってHERE事業は独立かつ中立の企業となる。いわばデジタル地図の世界におけるスイスのような存在だ。これによってHEREは一層強くなるだろう」と述べた。

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