RPAソフトAutomation AnywhereがFortressIQを買収、プロセスディスカバリー分野に進出

ロボティック・プロセス・オートメーション(RPA)ソフトウェアで知られるAutomation Anywhere(オートメーション・エニィウェア)が、プラットフォームの拡大を計画している。同社は米国時間12月23日朝、プロセスディスカバリーのスタートアップ企業であるFortressIQ(フォートレスIQ)を買収する意向であると発表した。両社は買収金額を明らかにしていない。

FortressIQは、Automation Anywhereに不足していたプロセスディスカバリーのコンポーネントを提供することになる。これによって、AIを搭載したソフトウェアで自動的に内部プロセスをマッピングすることが可能になり、高額なコンサルタントが不要になる。

「Automation AnywhereとFortressIQは一緒になって、自動化の未来を再形成し、デジタルトランスフォーメーションのイニシアチブを追求するお客様の自動化、適応、加速の方法を変えていきます」と、Automation AnywhereのCEO兼共同創業者であるMihir Shukla(ミヒル・シュクラ)氏は、声明の中で述べている。

この発言には、幹部ならではの大げさな言葉が少なからず含まれているものの、この買収が同社の能力を拡大することは確かだ。PitchBook(ピッチブック)のデータによると、FortressIQは2017年の創業以来、4600万ドル(約52億6000万円)を調達しているという。TechCrunchでは、2018年に1200万ドル(約13億7000万円)を調達したシリーズAと、2020年の3000万ドル(約34億3000万円)を調達したシリーズBを記事にしてきた。

しかし、これに対して市場リーダーのCelonis(セレニス)は、Crunchbase(クランチベース)のデータによると、6月に110億ドル(約1兆2600億円)の評価額で10億ドル(1143億円)の大規模なシリーズBを実施するなど、これまで14億ドル(約1600億円)の投資を集めている。4月には大規模な組織内でそのサービスを販売するためにIBMと重要な契約を結んだ

FortressIQの創業者兼CEOであるPankaj Chowdhry(パンカジ・チャウドリー)氏は、シリーズBラウンドの際に、同社は自動化されたプロセスディスカバリーを支援するコンピュータービジョンを用いたソリューションに注力していると語っていた。

「私たちはプロセスディスカバリーの、主にプロセスを自動化する部分を支援するために、このようなクールなコンピュータビジョンを開発しています。しかし、私たちが見てきたのは、人々が当社のデータを活用して変革戦略を推進しているということであり、結局その中で自動化はかなり小さな要素になっています」と、チャウドリー氏は当時、語っていた。Automation Anywhereの一部として、自動化はより大きな役割を果たすことになるはずだ。

2021年は、RPA、ローコードのワークフローツール、プロセスマイニングが一体となって過剰なほど市場を活発化させており、確かにプロセスオートメーションは最近注目を集めている

RPA市場のリーダーであるUIPath(UIパス)は、4月に株式を公開して大きな反響を呼び、最終的な非公開評価額は350億ドル(約4兆円)に達したが、その後は株価が冷え込んでいる

それでもなお、IT調査会社のGartner(ガートナー)は、UIPath、Blue Prism(ブルー・プリズム)、Automation Anywhereの3社をRPA市場のリーダーと見なしている。今回の買収はAutomation Anywhereにとって、業界に遅れを取らないようにそのプラットフォームと同社の自動化能力を拡大するためのものだ。

画像クレジット:Nataliia Nesterenko / Getty Images

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(文:Ron Miller、翻訳:Hirokazu Kusakabe)