希望条件を基にAIが旅行情報を提案する「AVA Travel」が正式リリース、レコメンドエンジンのAPI提供事業にも挑戦

希望条件を基にAIが旅行情報を提案する「AVA Travel」が正式リリース、レコメンドエンジンのAPI提供事業にも挑戦

AVA Intelligence(アバインテリジェンス)は10月7日、AIを活用した旅行サービス「AVA Travel」(アバトラベル)の正式版リリースを発表した。また、AVA Travelの旅行提案機能(レコメンドエンジン)のAPI提供事業にも挑戦すると明らかにした。希望条件を基にAIが旅行情報を提案する「AVA Travel」が正式リリース、レコメンドエンジンのAPI提供事業にも挑戦

AVA Travelは、ユーザーの希望や条件を基にAIが適した旅行情報を提案するサービス。2019年8月にローンチしたβ版では、海外における約100都市からユーザーに合わせた旅行先の提案を行っていた。その後コロナ禍の影響もあり、国内旅行先の提案にも対応し、現在は国内外合わせ約400の旅行先から好みに合わせて提案するようにしたという。

また、広島県を舞台としたアクセラレーションプログラム「ひろしまサンドボックス『D-EGGS PROJECT』」(2021年4月採択)で実証開発を行い、正式版では現地での具体的な観光スポット・ホテル・体験・レストランまでユーザーごとにおすすめ順で提案可能となっているそうだ。特に、広島県尾道市周辺の観光情報は、現地の人のみぞ知るようなディープな情報も提案できるようにしており、自力で探していては出会いにくい、新たな発見を提供するという。

さらに同社によると、AVA Travelの裏側で動いている旅行提案機能について、APIとして利用希望先へ提供する事業を開始予定という(2022年に正式提供予定)。現在、同機能の正式提供に向け、実証開発に協力可能な企業を募集中だ。

同APIでは、旅行に関する希望・条件を送ると、それに応じた旅行先や、旅行先における観光スポット・ホテル・体験・レストランなどをおすすめ順で受け取れる。これにより同社レコメンドエンジン提供先では、まだ具体的な旅行プランの決まっていない検討ユーザーに対して瞬時に提案することが可能となり、ユーザー体験価値の向上が期待されるという。希望条件を基にAIが旅行情報を提案する「AVA Travel」が正式リリース、レコメンドエンジンのAPI提供事業にも挑戦

旅先の体験もAIが提案、「AVA Travel」が楽天グループの「Voyagin」と連携

AI旅行提案サービス「AVA Travel(アバトラベル)」を運営するAVA Intelligence(アバインテリジェンス)は2月18日、楽天グループのVoyagin(ボヤジン)が運営する現地アクティビティの予約サービス「Voyagin」との連携を開始した。

AVA Travelは2019年8月にベータ版としてリリースされた、AIを活用した旅行サービスだ。ユーザーへの質問をもとに、性格や旅行に求めることを判断し、おすすめの旅行先を提案する。2019年12月には、ホテル・航空券の予約サービス「エクスペディア」と連携。AVA Travel内で航空券やホテルの検索・閲覧が可能となったほか、AIがユーザーに合わせて、ホテルをおすすめ順で表示する機能も搭載した。

一方のVoyaginは、アジアを中心に、世界200都市以上のツアー、チケット、レストランなどの旅行体験を予約することができるサービスだ。2012年末にスタートしたこのサービスは、2015年7月、買収により楽天グループに参入している。今回の連携により、AVA Travelでは、旅行の行き先やホテルだけでなく、現地でユーザーが楽しめそうなアクティビティについても、AIが提案できるようになった。

旅行先でのアクティビティをホテル・航空券の情報とあわせて提供し、予約できるサービスとしては、老舗の「TripAdvisor」などもある。AVA Travelの場合は、自分が旅行で重視するポイントが買い物なのか、食事なのか、はたまた歴史的建造物の見学なのか、といったところを勘案して、行き先候補も含めてプランが提案され、予約できる点が面白いところだろう。

ズボラ旅 by こころから」なども、旅行先での体験を重視し、行先の提案から宿泊先、交通手段まで案内してくれるところは、AVA Travelと似ている。ズボラ旅では、チャットを通じた相談で旅行にまつわる面倒さを解決しようとしているが、AVA Travelでは最初のステップはAIが担い、行き先候補や体験すべきアクティビティをある程度絞り込んだ上で、後半はユーザーが選ぶ形を採っている。

現在、AVA Travelが対応している旅行先は海外のみだが、AVA Intelligence代表取締役の宮崎祐一氏は、今春にも国内旅行の提案サービスを展開していく予定だと述べている。また国内のアクティビティ予約サービスとの連携についても検討を進めているということだった。地域の歴史ガイドや、文化を体験するツアーなど、同じ国内でも普段なかなか知ることのできない日本を、改めて知る機会になるなら楽しみだ。

「AVA Travel」にAIホテルおすすめ機能追加、「エクスペディア」との連携で

AI旅行提案サービス「AVA Travel(アバトラベル)」を運営するAVA Intelligence(アバインテリジェンス)は12月26日、ホテル・航空券の予約サービス「エクスペディア」とシステムを連携し、AIによるホテルの個別提案を開始した。

2019年8月にベータ版としてリリースされたAVA Travelは、ユーザーへの質問をもとに、性格や旅行に求めることを判断。旅行先でのんびりしたいのか精力的に動きたいのか、計画的かそうでないか、旅行中は贅沢に過ごしたいのか安く済ませたいのか、行きたいのは買い物なのか博物館なのか、それともスポーツ観戦なのか、といった条件から、どの都市がおすすめかを提案する。

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今回、エクスペディアとのシステム連携により、AVA Travelのサイト内で航空券やホテルの検索・閲覧が可能になった。また、エクスペディアが取り扱うホテルの中から、AIがユーザーごとのおすすめ順で一覧表示。ユーザーは自分に合ったホテルや航空券を、より短時間で、手間をかけずに見つけやすくなった。

実際にログインした状態で、ホテルの一覧表示を試してみたのだが、エクスペディアのサイトではホテルの数が多すぎて、予算やエリア、設備などの条件をかなり絞り込んで、ようやく選びやすくなるところが、AVA Travelでは都市を選び、宿泊日と宿泊人数だけ入力すれば、ほぼ「こういうところに泊まりたかった」という価格帯や雰囲気のホテルがリストアップされるので、かなり楽に選択できそうな印象を持った。毎回細かい条件まで自分で設定してホテルを選びたい人には、従来のエクスペディアのサイトの方が向いていると思うが、何となく自分に合った宿を手早く見つけたいなら、便利だと思えるのではないだろうか。

AVA Intelligence代表取締役の宮崎祐一氏は、今後、エクスペディア以外のサービスとの連携も順次進めていくと話している。海外の現地ツアーやテーマパークなどが申し込める、アクティビティ体験予約サイトとの連携も予定。また国内旅行の提案についても、来春以降展開できるよう、開発を進めているということだった。

空出身の宮崎氏がAI旅行提案サービスをリリース、4000万円超の資金調達も

2018年、スタートアップが進出する領域としてトレンドのひとつになった旅行関連サービス。チャットでざっくり条件を伝えるだけで旅行プランの提案・予約ができる「ズボラ旅 by こころから」や後払いで旅行に行ける「TRAVEL Now」、LINEとTravel.jpとの提携でスタートした「LINEトラベル.jp」など、旅行領域への進出は盛んに行われていた。

大きな市場があり、ディスラプトする余地が残るジャンルとして、旅行カテゴリーはスタートアップや投資家にとって、まだまだ魅力的な開拓先のようだ。8月8日には、新たにAIを活用した旅行サービス「AVA Travel(アバトラベル)」のベータ版リリースが発表された。サービスを提供するのはAVA Intelligence(アバインテリジェンス)。創業者はホテルのプライシングサービス「MagicPrice」を提供、TechCrunch Tokyo 2017 スタートアップバトルで最優秀賞を獲得したで開発企画、マーケティング、広報PRを担当していた宮崎祐一氏だ。

メタサーチ+AIでスマートな旅選び体験を提供

AVA Intelligenceは2018年10月の設立。ユーザーデータをもとに、それぞれに合った選択肢や情報を提供するアバターAIを開発するスタートアップだ。今回リリースされたAVA Travelは、ユーザーの性格や旅行に関する条件をもとに、AIが適した旅行先を提案。旅行先情報の閲覧・保存から、航空券・ホテル検索までを1プロダクトでまかなえるサービスである。

宮崎氏は高校生の頃から起業すると決めていたそうだが、旅行サービスで創業しようと決意したのは、自身が約30カ国へ旅行した経験からだ。「予約サイトではサイトによって値段などが違い、情報の非対称性が大きい。また、それを解決するために価格比較サイトなどでよく使われている『メタサーチ』の手法では情報量が多くなりすぎて、逆にユーザーの選択が不自由になるという点に課題を感じた」と宮崎氏はいう。

AVA Travelでは、メタサーチによって旅行予約サイトや旅行情報サイトなど、複数サイトにある多くの情報を自動収集しながら、AIにより各ユーザーに合った情報だけを判断して提供。情報の非対称性は解消しつつ、自分に合った情報に絞って提案してくれる。

検索・提案の効率のほかに、既にある旅行提案アプリやサービスと違う点として宮崎氏が挙げるのは、「タビマエの提案サービスというだけでなく、タビナカ、タビアトといった旅行の一連のプロセスで一貫して使えるサービスを目指しているところ」だという。

「AVA Travelでは旅行先を決める際に必要なインスピレーションをAIが瞬時に与え、旅行先ではどんなことができるのかを詳しく見ることができる。これにより旅行メディアサイトを複数、自身で見に行く必要はなく、気に入った旅行先情報があれば、それをAVA Travelのユーザーページ内にストックできる。今回のリリースでは実装していないが、今後はこのストックした旅行先情報から簡単に旅行先スケジュールを生成する機能の実装も計画している。また、訪れた旅行先情報をまとめて管理したり、必要に応じて公開したりできる、タビアト機能も実装予定。タビログ管理ができることに加えて、このタビログ情報をもとにAIがよりユーザーの好みを理解し、学習するようになる予定だ」(宮崎氏)

今回のベータ版では、ユーザーはAIからの旅行提案を実際に受け、予約まで行える。AIの学習度や提案できる都市の数(現状では海外の100超程度の都市が対象)の関係でベータ版としてリリースしているが、今後AIの学習度を進め、日本国内の提案も可能として、正式版公開を目指すという。

「空での経験は実に多く生かせている」

宮崎氏は起業にあたり、「空での経験は実に多く生かせている」という。そもそもAIを活用してホテル料金の提案を行うMagicPriceとは「旅行×AI」という分野が同じ。それゆえ「旅行業界における知見や人脈、そしてAIの可能性、生かし方が感覚として身についている」と宮崎氏は述べている。

また「スタートアップでのサービスをグロースさせる経験ができたことも非常に良かった」と宮崎氏。空CEOの松村大貴氏は「起業家が日本にどんどん増えていってほしい」と語っており、その思いは宮崎氏も同じだという。「スタートアップで働く人がどんどん増え、またそこからさらに新しいスタートアップを創業する人が増えていって欲しいと思う」(宮崎氏)

今回、プロダクトリリースの発表と同時にAVA Intelligenceでは、サイバーエージェント・キャピタルインキュベイトファンドTRADコンサルティング汐留パートナーズを引受先としたJ-KISS型新株予約権方式による増資と、日本政策金融公庫、みずほ銀行からの融資による、総額4000万円超の資金調達実施を明らかにしている。調達資金は、さらなるプロダクト開発、採用とユーザーへのコミュニケーション強化などに充てるという。

写真左から2人目:AVA Intelligence代表取締役 宮崎祐一氏