B Dash Camp 2019 FallのPITCH ARENA優勝は複数のSaaSをつなぎ合わせるiPaaSのAnyFlow

独立系ベンチャーキャピタルのB Dash Venturesは10月30日、31日の2日間、福岡にてB Dash Camp 2019 Fall in Fukuokaを開催した。目玉企画の1つであるピッチイベント「Pitch Arena」(ピッチアリーナ)は2日間に渡って熱戦が繰り広げられた。参加できるスタートアップは、創業が2016年1月1日以降であること、株式などによる資金調達額が累計2億円未満であること、大企業の子会社でないこと、デモが可能なプロダクトがあることが条件。本戦に出場したスタートアップ企業は以下の16社。

  • Anyflow
    複数のSaaSをつなぎ合わせることで定型業務を自動化・効率化できるiPaaS
  • Bespo
    LINEで友だちになって希望条件をチャットで伝えることで予約できるサービス
  • Boulder
    エンプロイーサクセスプラットフォーム「Well」を運営
  • bunch
    ゲームしながらのグループビデオチャットサービスを提供
  • ウェルネス
    パーソナルドクターによるヘルスリテラシーコーチングサービス
  • Elaly
    家具のサブスクリプション型サービス「airRoom」を運営
  • cookpy
    使われていない店舗のキッチンを間借りできるクラウドキッチンサービスを提供
  • estie
    物件探しのプロとのマッチングによって企業のオフィス探しをサポート
  • Tippsy
    日本酒のサブスクリプション型サービス「Tippsy Sake」を運営
  • トークンポケット
    スマートフォン仮想通貨ウォレットアプリ「tokenPocket」を提供
  • Tsunagu.AI
    デザインされたサイトを自動コーディングしてくれる「FRONT-END.AI」を提供
  • Antway
    共働き世帯向けフードデリバリーサービス「つくりおき.jp」を運営
  • スペースエンジン
    商品をオフラインで展開したいブランドと売りたい店舗をマッチング
  • OsidOri
    ミレニアル世代の共働き夫婦向け、家計簿・貯金アプリ
  • ロジレス
    自動出荷を実現したいネットショップと日本全国の物流倉庫を繋げるサービス
  • ラックベア
    不動産に関わる仕事・作業をアプリで受発注できる「タテカン」を提供

初日のファーストラウンドの審査により以下のAnyflow、Bespo、cookpy、ラックベア、スペースエンジン、Tsunagu.AIの6社が2日目のファイナルラウンドに選出された。

ファイナルラウンドは以下の5人が審査員を務めた。

  • 江幡智広氏(mediba代表取締役社長)
  • 千葉功太郎氏(Drone Fund代表パートナー/千葉道場ファンドジェネラルパートナー)
  • 木村新司氏(Das Capital SG取締役会長)
  • 國光宏尚氏(gumi代表取締役会長)
  • 守安 功氏(ディー・エヌ・エー代表取締役社長兼CEO)

最終的にこの6社の中で優勝を勝ち取ったのはAnyFlow。スペシャルアワード(特別賞)はスペースエンジンが受賞した。

そのほかスポンサー各社からの賞も授与された。パーソル賞(TECH PLAY利用150万円相当)はAnyFlow、ラクスル賞(テレビCM制作&放映サービス)もAnyFlow、さくらインターネット賞(さくらのクラウド or 高火力コンピューティングの1年間無償利用権)はTsunagu.AIとなった。

Anyflow

複数のSaaSをつなぎ合わせることで定型業務を自動化・効率化できるiPaaSを提供。iPaaSは、integration Platform-as-a-Serviceの略で、SaaSのようなクラウドサービスとオンプレミス型のサービスを統合するプロダクトを指す。Anyflowの場合はプログラミングなしで複数のSaaSを簡単に繋ぎ合わせ、業務を効率化できるのが特徴だ。

関連記事:プログラミングなしで複数SaaSを連携、定型作業を自動化するiPaaS「Anyflow」が資金調達

Bespo

「LINEで友だちになって希望条件をチャットすると、店を提案してくれて最終的には予約もできる」というサービス。LINE公式アカウントの「ビスポ!(@bespo)」と友だちになるだけで利用できるのが特徴。メニューの「かんたん予約」では、チャットボットのガイドに合わせて希望日時、人数、予算、ジャンル、場所などを選べば、希望日時に席が空いている店が候補としてリアルタイムで表示されるので、好きな店を選んで予約できる。 現在、LINEアカウントを持つ食品や飲料のメーカーと、飲食店への送客についての取り組みも進めているという。

関連記事:LINEチャットでレストラン予約の「ビスポ!」にLINE、本田圭佑氏らが出資

cookpy

使われていない時間帯の店舗のキッチンを間借りして、フードデリバリーサービスを開業できるクラウドキッチンサービスを提供。利用者は注文が入った料理を作って容器に詰め、配達員に渡すだけいい。配達員については、Uber Eats、出前館、dデリバリー、finDine、樂天デリバリー、LINEデリマ、ごちクルなどと連携しており、利用者が配達員を手配する必要はない。もちろん、店舗を貸す側は営業時間外の利用料を徴収できるというメリットがある。

ラックベア

不動産に関わる仕事・作業を、アプリで受発注できる「タテカン」のサービスを提供。依頼者は不動産の所在地・作業内容を投稿するだけで働き手を募集できる。依頼・受け取り金額は固定制なので報酬によって仕事を選ぶことも可能。不動産関連の業務は、法定管理から清掃、草刈り、空き物件の内覧、不動産サイトに物件を掲載する際の写真の撮影など多岐にわたる。賃貸物件では、通常はオーナーがこれらの業務を管理会社に委託し、管理会社が業務ごとに専門業者に仕事を依頼するという流れとなり、中間マージンが発生していた。

スペースエンジン

オフラインで商品を売りたいブランドとリアルな拠点を持つ店舗をマッチングし「ECのような感覚で、簡単に店頭で自社商品を販売できる体験」を提供する。具体的には、商品をオフラインで展開したいブランド(サプライヤー)と、その商品を扱いたい店舗を委託販売形式でマッチングする。大まかな流れとしては店舗側がサービス内にあらかじめ登録した店舗情報を基に、サプライヤー側のユーザーが自分たちの商品を売って欲しい店舗を探し、販売を申請。店舗がそのリクエストを受け付けた場合にマッチングが成立する。商品が実際に売れた場合は35%が店舗の収益、15%がSpaceEngineの利用料となり、残りの50%がブランドに入る仕組みだ。

関連記事:商品をECのように簡単に店舗で売れる「SpaceEngine」公開、ブランドとリアル店舗をマッチング

Tsunagu.AI

複数のディープラーニングのモデルを独自に結合して、フロントエンド開発に特化した学習を行ったAIサービス「FRONT-END.AI」を提供。具体的には、プロがデザインしたページ全体のデザインカンプと、ウェブ用素材をアップロードするだけで、HTMLの構造および、デザイン要素の分析・自動でコーディングしてくれる。

B Dash Camp 2019 SpringのPitch Arena優勝はAI搭載型クラウドIP電話サービスのRevcomm

独立系ベンチャーキャピタルのB Dash Venturesが主催するスタートアップの祭典「B Dash Camp」が5月23日、24日に北海道・札幌で開催された。その目玉企画の1つであるピッチイベント「Pitch Arena」(ピッチアリーナ)は2日間に渡って熱戦が繰り広げられた。

今回は12社が初日のファーストラウンドに参戦。通常は6社が2日目のファイナルラウンドに進むのだが、今回はファーストラウンドで同点となった企業が出たため、異例の7社選出となった。

ファイナルラウンドで審査員を務めたのは以下の5名で、激戦を勝ち抜いて見事優勝を飾ったのはAI搭載型クラウドIP電話サービス「MiiTel」(ミーテル)を開発・提供するRevcomm(レブコム)。準優勝にあたるスペシャルアワードは、農作物の自動収穫ロボットを開発し、RaaS(Robot as a Service)モデルで提供するinahoだった。

  • 江幡智広氏(mediba社長)
  • 木村新司氏(DasCapital代表)
  • 國光宏尚氏(gumi創業者/CEO)
  • 佐藤裕介氏(ヘイ代表取締役社長)
  • 玉川 憲氏(ソラコム代表取締役社長)

以下、優勝のRevcomm、準優勝のinahoを含めファイナルラウンドに登壇した各企業をピッチ順に紹介していこう。

モノグサ

2016年8月設立。知識習得のための問題作成から習得判定までを自動で行うサービスを開発・提供する。具体的には、解いて覚える記憶記憶アプリ「Monoxer」を提供している。このアプリは、解答を入力するだけでAIが誤答の選定も含めて作成してくれるのが特徴だ。

利用者の学習状況から知識の定着度を計測し、問題の出題頻度や難易度を自動で調整する機能も備える。現在は学習塾を中心に10社40万人ほどが利用しており、月間アクティブユーザーは3000人程度とのこと。個人には無料で提供、法人向けの利用料金は、スタンダードプランは無料、プレミアムプランは1ユーザーあたり年額3000円。プレミアムプランでは、進捗の確認や非公開スクールの作成が可能だ。

今後は、会計や法律、トークスクリプトなど学習塾以外の企業への導入も計画している。

Nature Innovation Group

2018年1月設立。傘のシェアリングサービス「アイカサ」を昨年12月に東京・渋谷エリアでスタート。1日70円で傘を借りられるサービスで、専用アプリを必要とせず、LINEでアイカサと友だちになることですぐに使えるのが特徴だ。アイカサスポットに設置されている施錠状態の傘に張られているQRコードをスマホで読み取ることで解錠・決済が可能。

LINE Payとも連携しており、クレジットカードとともに決済方法として選べる。直近では福岡市やLINE Fukuokaとの連携を発表。すでに福岡市内で1000本の傘のシェアリングを開始している。

inaho

2017年1月設立。画像処理とロボットアームの技術をベースに、アスパラやきゅうりといった農作物の自動収穫ロボットを開発。

従来は、農家が目視で収穫可能かどうかを判断する必要があった農作物を、機械学習によってAIが自動判断してロボットアームが収穫する。赤外線センサーを内蔵しているので、夜間作業も可能とのこと。

ロボットは売り切りではなく、RaaS(Robot as a Service)として提供。ロボットには重量を量るセンサーも備わっており、農家が収穫量した野菜の市場取引価格の15%を同社が手数料として徴収するというマネタイズモデルだ。15%という手数料は人件費に比べると安価とのこと。しかもinahoのロボットはRaaSモデルのため、稼働していない時期は手数料が発生しないのもポイント。センサーやカメラなどの性能が向上した場合はロボットのアップグレードなども追加費用なしで受けられる。農業従事者は季節雇用のケースも多く、不安定な労働条件を強いられる。そのためなかなか人が集まらず、収穫量はもちろん農家の収入も落ち込む。inahoは、そういった課題をロボットで打破する。

A1A

2018年6月設立。見積査定に必要なデータを一元管理することで、企業の購買担当者が最適な価格で購買できるようにする「RFQクラウド」と呼ばれるサービスを提供。

100人を超える現役購買担当者へのインタビューを通して抽出した「見積査定に必要な明細項目がそろっていない」「過去の類似品目の見積が残っていない」「データの保管場所が散在している」といった課題を解決する。購買担当者の業務負荷を軽減しつつ、将来のAI活用経営に向けた下地作りをサポートするとのこと。

実際の現場では、仕入れ先では部品点数が多く見積もりフォーマットも統一されていないため、同じ材料を使った同じ製品でも価格が異なるという問題が発生していた。購買側が統一フォーマットを用意して発注することで、原価低減やコストの最適化を進めていけるとしている。相見積もりや過去の見積もりとの参照も簡単になる。

ネクストイノベーション

2016年6月設立。女性向けの遠隔診療サービスを提供。生理などの悩み相談を受け付けるサービス「アレのスマルナ」では、診断後にピルの処方・発送までを実現。婦人科での診察に抵抗がある若年層を中心に、重い生理痛で学業や仕事に支障をきたすといった問題を解決する。

もちろん、避妊などの相談も可能だ。意図しない妊娠を避けるためのアフターピルを処方してもらうこともできる。同社によると、最近は副作用が少なく女性の身体に負担がかからないピルが主流だが、ピルにはいまだ昔の悪いイメージがあり日本ではなかなか普及しない。オンラインで気兼ねなく受診してピルを入手できるルートを確保することで、女性がより活躍できる社会を目指す。

RevComm(レブコム)

2017年7月設立。電話営業や顧客対応を可視化する音声解析AI搭載型クラウドIP電話サービス「MiiTel」(ミーテル)を提供。電話営業や電話での顧客対応の内容をAIがリアルタイムで解析することで、成約率を上げつつ、解約率と教育コストの低下を目指す。

顧客管理システムとの連携も可能で、顧客名をクリックするだけで簡単に発信できるほか、着信時に顧客情報を自動表示するいった機能もある。電話での会話内容は顧客情報に紐付けてクラウド上に自動録音されるため、すぐにアクセスできる。一部を抜粋して共有することも可能だ。

現在のコアターゲットは人材会社だが、今後は教育目的やコンプライアンス目的など多く業界で幅広く活用できるとしている。さらに世界進出時にまず狙う国はインドネシアとのこと。

AiLL

2016年10月設立。人とのコミュニケーションをAIがナビゲートとするマッチングサービスを提供。出会いから相手の気持ちの変化、自分の行動による結果などをAIがリアルタイムで分析できるのが特徴だ。

相手への好感度をAIが分析し、上がったのか下がったのかがすぐにわかるほか、相手をデートを誘うまでの会話をAIがアシストすることで効率よくコミュニケーションが取れる。「フラれて傷つくのが怖いので人に声をかけにくい」という不安をAIが払拭する。

現在は、大企業の20~30代の共働き志望の正社員独身者を対象に、企業の福利厚生サービスとして試験導入されている。

日本のICOファンド「B Cryptos」、韓国のブロックチェーン・プラットフォーム「ICON」と提携

左より、B Dash Ventures代表取締役の渡辺洋行氏、B Cryptos代表取締役の本吉浩之氏、ICON Foundation創業メンバーのJH Kim氏

B Dash Venturesが設立したICOファンドのB Cryptosが、ブロックチェーン・プラットフォーム「ICON」を提供する韓国のICON Foundationとの戦略的パートナーシップを発表した。これにより、ICON Foundationの創業メンバーであるJH Kim氏がB Cryptosの投資委員会に参加し、主に海外の投資案件に対する助言を行うという。

2017年12月に設立したB Cryptosは、国内および海外の仮想通貨へ直接投資を行うICOファンドだ。B Cryptos代表取締役の本吉浩之氏によれば、「来月中にも本格的な投資活動を開始する」という。なお、当初は100億円規模のファンド設立を見込むと話していたB Cryptosだが、設立後に起きたNEM流出事件の影響からか、現時点ではその目標までには達していないという。具体的なファンド規模は非公開。

一方、B Cryptosが提携を発表した韓国のICON Foundationは、イーサリアムやNEOなどと同じく、分散型アプリケーションの構築や、異なるガバナンスをもつ独立したブロックチェーン・ネットワーク同士の連結を目的としたプラットフォーム「ICON」を提供している。また、韓国の証券コンソーシアム向けのブロックチェーンを活用した本人認証システムや、韓国の生命保険会社Kyobo Life Insuranceと共同の自動保険金請求システムなどの開発実績もある。

記事執筆時点では、ICONで使用される仮想通貨「ICX」の時価総額は約17億ドル(約1800億円)で世界20位。「C-rep」と呼ばれる代表者たちによってICXの発行枚数が決定されるシステムや、「SCORE」と呼ばれる独自スマートコントラクト技術をもつことなどで注目を集めている。また、イーサリアムなどの他のプラットフォームとは違い、サービス提供者とユーザーとの間で取引手数料の負担比率の調整が可能であることも特徴だ。

B CryptosとICON Foundationは今回の戦略的パートナーシップにより、今後ハッカソンやデモデイを共同で開催するほか、ブロックチェーン技術のインキュベーションプログラムを運営していくとしている。来月にも本格的な仮想通貨への直接投資を開始する予定のB Cryptosにとっては、JH Kim氏をはじめとするICON Foundationがもつ投資案件の“選球眼”を手に入れることになる。

なお、現時点ではB CryptosがICXへ投資するかどうかは「検討中」(本吉氏)だという。一方、JH Kim氏は「今後、日本のレギュレーションに沿ったかたちで、ICXを日本の仮想通貨取引所へ上場させることも目指す」と話した。

B Dash Venturesが100億円規模のICOファンド設立へ、ICOで大成功したQUOINEも参画

今年、いろいろな意味でかなりの注目を集めたキーワードは何かと聞かれると、「ICO」と答える人も多いのではないだろうか。そのICO分野でまた大きなニュースが飛び込んできた。日本のVCであるB Dash VenturesがグローバルICOファンドを設立するのだ。

B Dash Venturesは2017年10月、仮想通貨への投資事業やICOコンサルティング事業を行うことを目的に新会社「B Cryptos」を設立しており、今回発表されたICOファンドの運営は同社が行うことになる。

写真左より、B Dash Ventures代表取締役の渡辺洋行氏、B Cryptos代表取締役の本吉浩之氏、QUOINE代表取締役の栢森加里矢氏

TechCrunch Japan読者のなかには仮想通貨まわりに詳しい人がいることは承知の上で説明しておくと、ICOとはイニシャルコインオファリングの略で、資金調達を行いたい企業が独自の仮想通貨(トークン)を発行することで資金を集めることを指す。企業が発行したトークンが仮想通貨の取引所へ上場をすれば、株式と同じように取引所経由で売買ができるようになる。また、トークンのなかには発行企業が提供するプロダクトやサービスの購入にも使えるものもある。

B CryptosのICOファンドはこれから組成していくという段階だから、どのようなLP(出資者)の顔ぶれになるのか、ファンド規模がどれくらいになるのかはまだ分からない。しかし、B Dash Ventures代表取締役の渡辺洋行氏によれば「ファンド規模は100億円ほどになる」見込みだという。これは、米Pantera Capitalが設立した1億ドルのICOファンドに匹敵する規模だ。

B Cryptosがファンドとして利益をあげる仕組みはこうだ。同ファンドは、ICOでトークンを発行したスタートアップ企業への出資の対価として、上場前のトークンを受け取る。基本的には、トークンが取引所に上場して価格が上昇したところで売却し、利益を得る。従来のエクイティ投資でいえば、これは未公開株式への投資にあたる。第三者割当増資などでスタートアップの株式を引受け、株式市場への上場(IPO)のタイミングで株式を市場に放出することだ。

しかし、B Cryptosはそういった上場前のトークン投資だけでなく、上場後のトークンにも投資を行っていくという。その割合は「外部環境がどうなるかによって変わる」(渡辺氏)ということだが、ファンドとして比較的大きな利益を狙いやすいのは上場前のトークンを取得することには変わりはない。

ICOファンドの出資者として考えられるのは、通常のVCファンドと同じく、事業会社や機関投資家、個人投資家などだ。また、その出資者リストのなかに他のVCが含まれる可能性も大いにあるだろう。VCによっては、ファンド組成時の規約もあって暗号通貨に直接投資できないこともある。前述したPantera Capitalの場合は、そういったVCが出資者としてICOファンドに参加した例もある。

登録仮想通貨交換業者であるQUOINEがファンド運営のサポート

今回組成する予定のICOファンドでは、2017年9月に仮想通貨交換業登録(関東財務局長第00002号)を受けたQUOINE(コイン)が参画する。B Dash Venturesによれば、これによりB CryptosのICOファンドは「登録仮想通貨交換業者がサポートする日本初のグローバルICOファンド」になるという。

QUOINEはみずからもICOを成功させたことでも有名だ。QUOINE CFOの紺野勝弥氏によれば、同社は2017年11月に行った独自トークン「QASH(キャッシュ)」の売り出しにより、日本円にして約100億円を調達。ICOに参加した投資家は、世界98カ国4988人だったという。ディスカウントも含めた売り出し価格が26円だったQASHは、現在100円付近の価格をつけるまでになった。

それと、ちょっとややこしいのだけれど、QUOINEはB Dash Venturesの投資先の1つでもあり、仮想通貨取引所「QUIONEX」を運営する企業でもある。また、B Criptosの投資委員会にはQUOINEから人材が拠出されることにもなっている。つまり、投資案件によっては、QUIONEXに上場予定の企業に投資するかどうかを検討する場にQUIONEの社員がいるというケースも出てくるだろう。

それについて渡辺氏は、「(以上のようなケースの場合、)利益相反になることを防ぐため、投資委員会ではQUOINE、B Dash Venturesに加え、外部の有識者の方に入って頂き、公正で的確な投資判断を行う」としている。

そのうえで、B CryptosのICOファンドにQUOINEが参画することによるメリットとはなんだろうか。B Cryptosによれば、QUOINEが今回のICOファンドに果たす役割は以下の通りだ。

  • ICOファンドの投資委員会に人材を拠出
  • 投資案件のソーシング
  • QUOINEがもつセキュアな取引所システムの活用(例えば、ウォレット管理システムの活用による資産保全、アービトラージ取引でのシステムの活用)

まあでも、おそらくQUIONEが参画することでB Cryptosが得られる一番のメリットは、このICOファンドの信用度が高まるということではないだろうか。ICOには大きな期待が寄せられている反面、いわゆる「ICO詐欺」が現れるなど、不安視する声があることも確かだ。これから出資者を集めるフェーズに入るB Cryptosにとっては、そのような不安を払拭することが重要になってくる。

「ファンドの構想から約半年かかった」と渡辺氏が話すB CryptosのICOファンド。彼らはこれから、どのような出資者からどれだけの金額を集めるのだろうか、そしてどのような企業に投資をしていくのだろうか。

B Dash Venturesが100億円規模の3号ファンドを設立、エンタメ・FinTech領域へ投資

独立系ベンチャーキャピタルのB Dash Venturesは10月30日、新たなベンチャー投資ファンド「B Dash Fund3号投資事業有限責任組合」を設立したことを明らかにした。ファンド規模は100億円程度をめざしており、すでに独立行政法人中小企業基盤整備機構、KDDI、グリーのほか、上場企業や金融機関、インターネット関連企業の経営者等がLPとして出資。すでに9割程度の資金を集めているという。

B Dash Venturesはこれまで、2011年9月に20億円規模の1号ファンド、2014年7月に60億円規模のファンドを立ち上げている。領域としてはゲームやメディア、広告を中心にして、シードやアーリーから、レイターまで幅広いステージのスタートアップに投資。これまでにgumiやGunosy、マイネット、アップベイダー、スケールアウト、iemo、コネヒト、エイリム、Candle、3ミニッツ、そとあそびなどのイグジット実績がある。

3号ファンドでは、 これまで同様にゲーム、メディア、広告の領域に投資を行うほか、エンターテインメントやFinTech関連のスタートアップにも投資を行うという。最近では女優・柴咲コウさんが代表を務めるレトロワグラースへの投資も行っている。「ネットやSNSによって、『個』をエンパワーメントすることで、個人がどんどん活動できる時代に入ってきている。これまでに3ミニッツやC Cannnelなどにも投資を行い、インフルエンサーマーケティングの走りのようなところも見てきた。社会的影響力がある人達が入ってくると、ネットはもっと大きく広がる。ネットやSNSによって、『個』をエンパワーメントすることで、個人がどんどん活動できる時代に入ってきている」(B Dash Ventures代表取締役社長の渡辺洋行氏)

これまでもB Dash Venturesは積極的にエンタメ業界と積極的にコミュニケーションを取ってきたVCだ。彼らが主催する招待制イベント「B Dash Camp」には、ミュージシャンの小室哲哉さんや、俳優・イベントプロでデューサーの小橋賢児さん、インフルエンサーのGENKINGさん、イベント企画やタレントマネジメントなどを手がけるアソビシステム代表取締役社長の中川悠介氏なども登壇している。直近ではアーティストに対してマーケティングやECサイト構築支援なども行う予定だという。

またこれまで、QUOINEなど仮想通貨領域には出資していたB Dash Venturesだが、今後は決済やレンディングといったFinTech領域にも積極的な投資を行う。

Frilの月間物流総額は5億円–「空中戦」も必要になったフリマアプリ市場

スマホ向けフリマアプリの元祖であるFablicの「Fril」。若い女性に特化したこのアプリだが、現在の月間物流総額は5億円以上、アプリのダウンロード数は150万件以上になっているという。

福岡で7月17〜18日に開催されている招待制イベント「B Dash Camp 2014 in Fukuoka」の2日目のセッション「新興eコマース〜新たなトレンドを作り出せるか?」に登壇したFablic 代表取締役社長の堀井翔太氏が明らかにした。

このセッションでは堀井氏のほかにアクティブソナー 代表取締役社長の青木康時氏、BASE 代表取締役鶴岡裕太氏が登壇。それぞれのビジネスについて語った。

「空中戦」も必要になったフリマアプリ市場

Fablicは、これまでほとんどメディアでビジネスの話をしたことがなかったし、アプリのダウンロード数をはじめとした情報を発信してこなかった。しかしここに来て数字を公開した堀井氏は、「今は競合も十数個ある。そういう(情報を非公開にする)フェーズではない」と語る。

競合とされる後発の「メルカリ」は、14億円超の大型調達、テレビCMなども奏功して大きくユーザーを拡大。1周年を迎えた2014年7月時点で、月間流通総額は10億円、ダウンロード数350万件という数字を発表している。

こういった状況に対して堀井氏は、「メルカリやGunosyなどは大きな資本を調達して勝負している。今まではプロダクトを磨いて、リテンション伸ばして…としてきたが、最近の戦い方はテレビCMなども含めて『空中戦』もするような状況にシフトしている」と語る。

Open Network Labのインキュベーションプログラム出身のスタートアップということで、デジタルガレージグループからシードマネーを調達しているFablic。1期目から黒字化して資金調達の必要もなかったとのことだが、今後は資金調達してテレビCMを放送することも検討しているという。さらに、ユーザーのニーズも多いことから、一部のユーザーに限定してフルフィルメントサービスを試験的に提供していることも明かされた。

BASEは「カート」ではなく「決済」

手軽にウェブショップを構築できる「BASE」を提供するBASE。個人だけでなく、中小企業を中心とした法人もサービスを利用している。最近では芸能人やニコニコ生放送の“生主”のような売り手も登場しており、数千万円から億単位の売上を実現しているショップもあるそうだ。

サイバーエージェントやグローバルブレインなどから資金を調達し、現在はユーザーの拡大フェーズにあるという。クレジットカードの決済手数料などは徴収しているものの、サービスの利用手数料は無料。「売上はゼロと言っていい」(鶴岡氏)状況だそうだ。「(調達によって)うちのようなところがどんどん攻めていけるのはありがたいし、EC(領域)自体を評価して頂いていると思っている」(鶴岡氏)

鶴岡氏はBASEについて、「本質は決済を提供するサービス」と語っている。カート機能でのマネタイズはあまり考えていないそうで、将来的には、決済、金融といった領域でのマネタイズをやっていくそうだ。

サービス開始当初は、ブラケットの「STORES.jp」と比較されることが多かったBASE。「初期はSTORES.jpもあったことで認知度が上がった」(鶴岡氏)とも語るが、スタートトゥデイがブラケットを買収したこともあって状況は変わったという。「最近は自社でどれだけがんばれるか。突き抜けないといけない」(鶴岡氏)将来的には世界展開で100万店舗を目指す。さらには日本から海外に商品を売るための支援もしていくそうだ。

プラットフォームを目指すアクティブソナー

CtoBtoC型のブランド商品委託販売サービス「RECLO」を提供するアクティブソナー。

こちらの記事にもあるように、米国ではCtoBtoC型のECサイトが複数登場しており、ユーザーのニーズも見えている状況だという。日本では(米国でも先行する)「RealReal」などのプレーヤーはいるが、まだデファクトスタンダードたる位置にあるサービスはない。そこで自らこの領域に挑戦したそうだ。

今後は海外向けに商品を販売していくほか、家具や中古車の販売なども視野に入れるという。また、CtoBtoCは言ってしまえば「小売り」だが、1つ1つの商品を売るということではなく、あくまでプラットフォームとして成長していきたいと語った。

この領域に大手企業が参入することについて尋ねられたところ、「大きいプレーヤーが来るのは脅威だが、狙っているのは(大きいプレーヤーがチャレンジできない)隙間でのおもてなし。ネットサービスでは実現できないフルフィルメントを全部やるというところ」(青木氏)とした。


スマホ、常時接続が導き出す数年後のトレンド–Gunosy、gumiら4社が語る

福岡で7月17日〜18日にかけて開催中の招待制イベント「B Dash Camp 2014 Summer in Fukuoka」。

1日目のセッション「次世代リーダーになれるか!?」には、Gunosy代表取締役 共同最高経営責任者の木村新司氏、gumi 代表取締役社長の國光宏尚氏、フリークアウト 取締役COOの佐藤祐介氏、スポットライト 代表取締役社長の柴田陽氏が登壇。それぞれが手がける事業やイグジット戦略などが語られた。その中から、モデレーターを務めたB Dash Ventures 代表取締役社長の渡辺洋行氏が投げた「自身が手がけるマーケットをどう伸ばすのか、また来年再来年どういう分野がトレンドになるのか」という質問に対する登壇者の回答を紹介したい。

木村氏:CtoCのサービスを含めて、ユーザーとユーザーが同時接続している時間が圧倒的に増えた。それに加えてこれまでネットに繋がっていなかった人たちも、本格的にネットに繋がってきた。だがそういう人たちにサービスが提供できてなかった。

そうなると(トレンドは)1つはメルカリのようなCtoC。そして(個と個を)繋ぐだけではなくて、Uberやbento.jpのように、モノを調達するところだけやってあげて、ユーザーと繋ぐというサービス。これらがいくつも出てくるし、リアルな生活に近いのでマーケットも大きくなる。

佐藤氏:「常時のコネクティビティ」というのは明らかにキーワードになっている。それによってあらゆる産業のデマンドに対するサプライヤーはいたが、「ポテンシャルサプライヤー」ともいう人が出てきて、マッチングが起こっている。例えば移動したいときにはタクシーじゃなくて、どっかのおっちゃんの車もあるし、荷物を取りにくるのも業者ではなくてどこかのおばちゃんだったりする。それはコネクティビティの問題。つながってマッチングするということ。そこに機会が生まれるはず。

柴田氏:スマホは大事なキーワードになり続ける。ネットが街中に出て行ったことこそが大きな変化。Uberもそう。ネットが街中に出た当然の帰結。

街中(で起こるビジネス)だと、あとは飲み食い、買い物、人と会うこと。これらはまだサービスがデマンド(要求)に対して少ない状況が続くのではないか。

あと、スマートフォンというのは「インプットできるセンサー類がついているデバイス」ととらえている。そんなスマートフォン以外のセンサーのたぐいが広がると思う。そうなるとスクリーンだけではないアウトプットも出てくる。

國光氏:大きいビジネスは家、車、テレビ、健康の4つの市場。人生の時間が足りないから全部はできないので、ゲームはこのまま突っ走っていく。

(これまでも言い続けている時価総額8兆円の話を踏まえて)次次はテレビのDisrupt(破壊)をしたい。あとはオモチャ。ゲームと連動したテレビやオモチャやをダントツで意識している。

海外と国内のスタートアップのエコシステムの話がよくあるが、結局ベンチャーキャピタルがどうかという話より米国ではGoogleやFacebook、Microsoftなどがボコボコとスタートアップを買っていくからスピード感が増している。一方で日本はM&Aが起こらない。gumiは大きくなったら買いまくる。(エコシステムのスピードを)5倍速くしないと、シリコンバレーにはならない。gumiが上場すればガンガン行く。

木村氏:M&Aはやっていきたい。ただ日本の場合のれん代の問題もあるが。やれる部分はやっていきたい。

佐藤氏:あと数年先と言うより直近で面白いのは「暇な時間」の定義の変化。スマホのせいだと思うが、5〜10秒の時間でも暇だと思うようになった。そこをどう取るか。あとはマルチタスクになっている。例えばゲーム1個やっているのでは暇だ(と感じる)。実はそういったことに対してチャレンジしていることが1つ伸びている。

あとは広告。インターネットはリアクティブメディアになってきている。コンテンツはプッシュになってきているので、検索する前にその人の需要がやってきて、(顧客を)刈り取っている。Googleはスマホ広告の50%くらいのシェアがあると思うが、メディアに合った広告手法には張っていきたい。

柴田氏:変化しているのは、「生活必需品」の定義。Amazonが予測デリバリーの特許を持っているが、(ニーズを)予測できるモノが生活必需品になっている。それとエモーショナルな、ベタな感動をするモノとプロダクトが二極化している。それぞれを提供していかないといけない。