Workbounceの「GoogleとSlackの融合」B2B営業チーム向けツール、Index Venturesから約3.1億円を調達

Workbounceの創業者たち(画像クレジット:Workbounce)

商用製品の販売は昨今かなり複雑なプロセスになっており、パンデミックはそれをさらにややこしくした。営業チームは、特にやりとりの多くがバーチャルであるハイブリッドな世界では、自社製品への信頼を築くことの難しさに阻まれがちだ。Highspot、Seismic、Showpadのようなレガシーセールスツールは、異なる時代に作られたということもある。

英国を拠点とするWorkbounce(ワークバウンス)は、複雑な製品に関する膨大な量のコンテンツを検索できるようにし、営業担当者が案件を獲得するために必要な情報を見つけられるようにすることが解決策になると考えている。これは、プラットフォームに依存せず、Googleドライブ、Slack(スラック)、Notion(ノーション)などのツールに接続することで実現される。同社は、この製品を営業チーム向けの「Google meets Slack(グーグルとスラックの融合)」と呼んでいる。

このたび同社は、Index Venturesとエンジェル投資家のグループから270万ドル(約3億1300万円)の初期段階の資金を調達した。この資金調達はタイムリーなものだ。Crunchbaseによると、セールスイネーブルメントツールへの投資は過去5年間で22倍に成長しており、2017年の2100万ドル(約24億3300万円)から2021年には4億7700万ドル(約552億6500万円)に増加している。

Rowan Bailey(ローワン・ベイリー)氏とAdam Smith(アダム・スミス)氏(2021年3月にWorkdayが7億ドル / 約811億円で買収した従業員フィードバック企業Peakonの最初の採用者の1人)によって2021年初めに設立されたWorkbounceは、営業チームが使用するすべての異なるナレッジハブへの単一のエントリポイントとして機能するという。

共同創業者兼CEOのスミス氏は声明でこう述べている。「企業が営業やカスタマーサービスチームを通じて顧客と1対1でエンゲージする方法は変化しており、それは顧客の期待の高まりと、我々の働き方のシフトの両方が原因です。次世代のB2B関係は、単に製品やサービスを販売するだけでなく、ソリューションに向けたコラボレーションが重要になるでしょう」。

Workbounceは、そのリモートファーストの構造は、ポストパンデミックの世界のために構築されているという。

「Workbounceは、営業ナレッジにアクセスし、B2Bの顧客関係を改善するための主要なツールになる可能性を秘めています」とIndex Venturesのパートナー、Hannah Seal(ハンナ・シール)氏は付け加えた。「職場が変化するにつれ、適切な情報を適切なタイミングで見つけることがますます困難になっています。Workbounceはこの問題を解決し、営業チームが顧客とエンゲージし、取引を成立させることを支援します」。

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(文:Mike Butcher、翻訳:Den Nakano)

レストランなどの食品調理業向け在庫管理マーケットプレイスを提供するブラジルのCayena

ラテンアメリカでは、商店の品揃えは楽な仕事ではない。発注は今でも、紙の伝票や電話で行われることが多く、お店の主人が卸屋まで車を運転して品物を手に入れることもある。

Cayenaを創業したGabriel Sendacz(ガブリエル・センダツ)氏とPedro Carvalho(ペドロ・カルヴァーリョ)氏、そしてRaymond Shayo(レイモンド・シャヨ)氏は、材料の確保にテクノロジーを利用すれば、彼らの母国であるブラジルやその他の地域で、レストランやバー、ベーカリー、ホテル、そしてダークキッチンなどの食品調理調製業がもっと楽になると考えた。

「ラテンアメリカのB2Bは巨大な市場ですが、その需要と供給は細分化しています。私たちの顧客も、約90%が中小の家族経営の独立店です。供給の側も、何千もの流通業者が、それぞれいろいろな品物を扱っていますが、マーケットシェアが1%に満たないところばかりです」とシャヨ氏はいう。

対照的に米国には、SyscoやU.S. Foods、Gordon Food Serviceのような大きなフードサービス企業がそれぞれおよそ10%のマーケットシェアを握り、食品から洗剤に至るまでのあらゆるもののワンストップショップを提供している。

Cayenaの共同創業者。左からペドロ・カルヴァーリョ氏、ガブリエル・センダツ氏、レイモンド・シャヨ氏(画像クレジット:Cayena)

そこで、シャヨ氏によれば、いくつかの問題が生じる。まず、ベンダー20社ぐらいで同じ品目の価格が最大で40〜50%も違う。クレジットカードがレストランに払うために30日かかることもあるが、一方レストランは自分の原料等の注文に前金を支払うため、運転資本の問題が生じ、特にレストランは材料費が最大のコストなので資金繰りが苦しくなる。

つまり、ラテンアメリカではレストランが慢性的に経営難を抱えることになる。そこで同社はB2Bのマーケットプレイスを構築し、年商1000億ドル(約11兆5400億円)といわれるラテンアメリカの食品卸業界を狙った。それによりユーザーは原材料などを一度に複数のサプライヤーからまとめて仕入れることができ、翌日に配達してもらえる。また、後払い販売(BNPL)といった新たな金融サービスを提供することもできる。

ユーザーは必要な品目の卸価格を複数の卸店にわたって比較でき、その品目の現在の相場を知ることができる。Cayenaのアルゴリズムは、サプライヤーの在庫品目と価格、ユーザーの予算を比較対照して、ベストマッチをユーザーにアナウンスする。配達には直送方式を利用して、注文が成立したら、そのオーダーを顧客に配達するようサプライヤーに通知が届く。

このマーケットプレイスを立ち上げた2020年以降は、顧客数が1年で10倍に増え、レストランの原材料の調達が困難になるにともない1回の購入単位額は4倍になり、Cayenaでの顧客の平均購入回数は1カ月で5回になった。

この急速な成長で資金が必要になった同社は、2021年後期にPicus Capitalがリードする350万ドル(約4億円)のラウンドを調達し、それが、その前にCanaryのリードで調達した55万ドル(約6300万円)に追加されることになった。

事業は順調で9月のシードラウンドのすぐ後にCayenaはそれまでの倍に成長し、2カ月で倍増というペースが続いたため、年商1億レアル(約22億6000万円)のマイルストーンに達した。同社の現在の商圏は、サンパウロ州の50都市となる。

こうした加速度的な成長が投資家の関心を集め、同社はVine Venturesが主導し、MSA Capital、Picus Capital、Canaan Partners、Clocktower Ventures、FJ Labs、Femsa Ventures、Gilgamesh、Astella、EndeavorおよびGraoVCの参加も得て、1750万ドル(約22億2000万円)のシリーズA投資を先取りすることになった。これにより、Cayenaは総額2100万ドル(約24億2000万円)強の資金を調達したことになる。

「今のところ極めてホットな市場ですが、世界中の投資家が成長企業を探している現状ではそれは良いことです。数年前、私たちは比較の対象にもなりませんでしたが、今ではどこが新しいアプローチと戦略で成長しているのか、誰の目にも明らかです」とシャヨ氏はいう。

Cayenaのビジネスモデルでは、倉庫やトラックや流通への投資はなくテクノロジーのみであるため、資金の多くが雇用に使われる。シャヨ氏の予想では年内に社員数は倍増して60名になるという。また、プロダクトとテクノロジーにもフォーカスしており、新たな金融プロダクトを作り、サプライヤーの地理的範囲も広げたいとのこと。

また、創業者たちはラテンアメリカ全体が商機だと捉えており、トラックなど1台も所有することなく次のステップでまず1〜3年後にブラジルで最大のフードサービスサプライヤーに、その次のステップでラテンアメリカ全体への拡張を考えているという。

画像クレジット:Cayena

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(文:Christine Hall、翻訳:Hiroshi Iwatani)

【コラム】フィンテック創業者の教訓、B2BでCを解決する

消費者にとっての大きな問題を解決しようとするフィンテック企業の創業者は、ほとんどの場合「人を助けたい」という善意でスタートを切る。しかし、その目標を大きく外してしまうことがあり、その結果他のフィンテック企業の創業者は消費者にどれだけ効果的に役立つことができるのかに疑問の目が向く。ベンチャー企業で営利を目的としたフィンテックのスタートアップ企業に「Altruis(利他主義)」という名前をつけるとしたら、ある種の健全な懐疑論がつきまとうことは確かだ。

フィンテックの世界は、さまざまな意味で内部対立の上に成り立っているため、その懐疑的な見方は理解できる。フィンテックの創業者の大半は、収益性の低い目標を達成するための超高収益ビジネスモデルの力と価値を深く理解している。また、金融機関出身者が多いため、金融ツールや金融機関が消費者の利益にならず、時には搾取している点を見抜くことができるという内部者的な強みがある。

創業者たちは問題をすばやく特定し、それを解決するスキルを持っているため、人々を支援するためのソリューションを構築し始める。彼らの意図は、概して利他的だと言える。

しかし、フィンテックの創業者にとっては、ここからが複雑だ。解決しなくてはいけない問題の特定に役立った業界のノウハウやビジネスへの理解がきっかけで、多くの人が当初の使命を放棄する道に走るからだ。

では、利他的なフィンテック創業者はどこで道を踏み外すのか。どんな市場の力によって、彼らの「破壊」が同じ古風なビジネスモデルに変わってしまうのだろうか。そして、最も重要なことだが、それらをどのように避けることができるのだろうか。

搾取の道を回避

フィンテックの創業者が取るべき最初のステップは、対応可能な市場規模を適切に設定することだ。これは単に広範なニーズを特定することではない。「人々が貯蓄を始めるのをサポートしたい」というのはすばらしいミッションステートメントだが、創業者はこのニーズを実現する方法については現実的でなければならない。

もしビジネスモデルが、対応可能な市場から200ベーシスポイント以上の収益を上げなければならないというものならば、サポートを提供する顧客に対してコストが大きすぎるかもしれない。要するに、正しい計算をしなければならないのだ。

ビジネスのユニットエコノミクスは、あまりにも多くのお金がかかるためにその顧客の資産に基づいて顧客を獲得することができなくなっている。その計算を成り立たせるためには、膨大な顧客生涯価値を生み出さなければならず、助けたい顧客は十分なお金を持っていないため、巨額の手数料を徴収しなければならない。

多くの消費者向けフィンテック、特に貯蓄型商品のビジネスモデルを実際に見てみると、その手数料は実質的に年率5%であることが多い。それは略奪的な融資に近いものだ’。

事実上彼らは「私たちの製品を使ってもらい、あなたが本当は利益を得ることができないことに気づかない程度の少額の取引手数料をいただきます」と言っているのだ。

さらに悪いのは、多くの創業者がこのような搾取的な道を、気づかないうちに進んでいることだ。正しく計算することが最初のステップだが、別の道がないか、もう一度じっくりと検討するのに悪いタイミングはない。

ベンチャー企業のプレッシャーと注意を逸らすもの

対応可能な市場の「計算」が間違っていると、フィンテック創業者の次の危険な罠、つまり「手っ取り早い成長」プログラムに巻き込まれる可能性がある。

ベンチャー市場によって、フィンテック事業は浅薄なものとなった。そして同じ作戦で組織をスケールアップし、多くの資金を集めなければならないという大きなプレッシャーがある。残念ながら、このアプローチでは、しばしば顧客が干からびてしまう。

例えば、投資、購入、消費を自動化するある大手フィンテック企業は、崇高な使命を掲げており、全資産に対して1%の収益を見込んでいることも公言している。これは高額な手数料であり、多くの非デジタル・プラットフォームのほぼ2倍である。

しかし、本当に計算して、正に「破壊的な」4分の1の手数料を取るなら、50億ドル(約5775億6250万円)の資産は1200万ドル(約13億8615万円)のビジネスにしかならない。投資家は小さな会社を作りたがらないし、1,200万ドルは小さな会社なのだ。だが1%になると、突然、世界を変える力を持ったユニコーンになれる。

このようにすばやく大きくなることは、消費者の足を引っ張る高値の製品や「ミッションクリープ」につながる可能性がある。人々がお金を貯めるのを助けようとした創業者が高額の暗号資産投資サービスを製品に付加する創業者になってしまうかもしれない。なぜか?暗号資産は、その当時、成長と資金調達への近道を提供したからだ。

資金調達に躍起になることも、道を踏み外す早道だ。創業者が迅速な資金調達ラウンド(金庫証券や従来の優先株式の調達)を何度も行うと、気がつけば自分の会社の最小限の割合しか所有していないことがよくある。

その時点で「どんな犠牲を払ってでも成長する」ことに縛られてしまい、利益を得るためにはモンスターを作り上げなければならなくなる。

B2B化でCを解決する

もちろん、このコラムを読んでいる創業者の中には、すでに計画の真っ最中である人もいるだろう。可能な限り市場規模を把握し、必要な資金を調達し、投資家を選択したことだろう。上記のようなリスクを管理するために、あなたができることはほとんどないかもしれない。

しかし、利他的な創業者が消費者を支援するための無視されがちな道もある。結果ではなく、原因にアプローチするのだ。

消費者のお金との関係ほど複雑で個人的な問題はない。多くの企業が、消費者が抱える1つの苦悩を切り離すことで、何らかの形でシステム的な変化をもたらし、誰かのためにより良い金融生活を実現できると考えている。彼らは消費者の問題を特定し、その解決策は消費者との直接取引でなければならないと考えているのだ。

貯蓄、予算、投資のどれをとっても、これらの解決策は善意に由来し、上手く実行されているが、これは不眠症を布団で「解決」するのと同じようなものだ。

消費者の問題を無視しろとは言わまいが、一般的な人が日常生活で対処していること以外にも視野を向けることで、最も消費者を助けることができるかもしれない。

お金を貯めることの難しさは、新しい銀行システムを開発することで解決できるかもしれない。給料日に振り込みを間に合わせるのが難しい人は、雇用者と協力して給与計算のソリューションを改善することで解決できる可能性がある。資産運用の苦労は、アドバイザーが顧客を支援するための優れたテクノロジーを提供することで軽減することができる。

そして何より、ビジネス上の問題を解決することは、フィンテック創業者が陥りがちな問題を回避することにつながる。B2Bソリューションの対応可能なマーケットを適切な大きさにすることで、誇大妄想に陥る可能性は低くなる。B2Bの世界には、注意を逸らすような美味しい話や「急成長」の罠がはるかに少ないのだ。B2Bフィンテックを支援する投資家は、ランウェイやARRに対して、より忍耐強く、合理的な期待を持っている傾向がある。

いずれは消費者向け製品をリリースすることになるかもしれないが、その時までには消費者に効果的にサービスを提供するための適切な安定性と規模を獲得しているだろう。

多くの場合、消費者を支援するための最良の道は、消費者以外を見つめることなのだ。

編集部注:Jason Wenk(ジェイソン・ウェンク)はAltruistのCEO兼創設者。

画像クレジット:sorbetto / Getty Images

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(文:Jason Wenk、翻訳:Dragonfly)

サステナビリティに配慮するファッションブランドのためのB2Bマーケットプレイスを構築するNovi

これは、昔からある話だ。あなたはかっこいいパンツのブランドを経営していて、心温まる製品を作りたいと考えている。その製品の素材はフェアトレードにより調達され、持続可能な方法で栽培された原料や素材を使っている。ただ、あなたは、どこに頼ればよいのかわからない。そんなとき、Novi(ノビ)が、あなたの悩みに対する絞りたての解決策を入れたピッチャーを持って、壁を突き破ってやってくるのだ。同社はTigerDefyGreylockから新たに4000万ドル(約46億円)の小切手を受け取った。

Noviは、持続可能で革新的な原料とパッケージのB2Bマーケットプレイスだ。同社は、何千という顧客が、より持続可能な素材を使った製品を市場に送り出す手助けをしている。基本的にNoviは、サプライヤー、メーカー、小売業者、ブランドで形成されるデータ豊富なネットワークを活用し、新製品を開発する際に、持続可能で革新的な素材やパッケージを考案、発見、試供、購入することを容易にする。アイデアはシンプルだ。ブランドにとって持続可能な製品を作ることが簡単になれば、そうしないことに対する言い訳はできない。うまく運べば、私たちの行き過ぎた消費主義がもたらす負荷によって地球が燃える際の輝きを少し減らすことができる。

「キャリアの初めの頃、私は空軍に入隊し、難しい問題に取り組みたいと思うようになりました。空軍では、データサイエンティストとしてすばらしいキャリアを積んできました。そして、Eventbriteなどのテック企業でデータチームを作ることになりました」とCEOで創業者のKimberly Shenk(キンバリー・シェンク)氏は説明する。「私は2017年に妊娠し、自分が使う製品や含まれる成分を強く意識するようになりました。人間の健康や環境に対する毒性について夢中で学びました。2017年、私はこのことに取り組むために、ブランド「NakedPoppy(ネイキッドポピー)」を立ち上げました。私が持っているデータサイエンスへの情熱をすべて活かして、健康や環境に良いパーソナルケア製品を作ろうと思ったのです。実際に真に持続可能な製品を市場に出すことの難しさをすべて身をもって体験しました」。

シェンク氏は、信頼できる素材を見つけるのが難しいこと、そして、巨大で洗練されたサプライチェーン分析オペレーションを持たない小さな会社にとって、素材を評価するのは難しいことに気づいた。NakedPoppyは、その過程で発見したことを記録するためのデータベースの構築を始め、その過程で、これが新会社の始まりにつながることを発見した。そして、他のブランドも興味を示し始めた。創業者のデータへの関心と、持続可能なブランドを作ろうとした個人的な経験が交差して、Noviが誕生した。

B2BマーケットプレイスとしてのNoviの存在は、この分野での最近の大きなトレンドを踏まえると、特に興味深い。

「最も基本的なことですが、私たちはブランドが持続可能な素材を見つけ、持続可能な製品を作る手助けをしています。私たちはそれをB2Bマーケットプレイスとして行っています。また、サプライヤーが素材、例えば原料、香料、パッケージなどをリストアップしてくれるため、豊富なデータが手に入ります」とシェンク氏は説明する。「信頼できる第三者として、私たちはサプライヤーが気にかけているであろうさまざまな基準について素材を評価するため、ブランドは持続可能性への影響の観点から信頼できる素材を見つけ、より良い製品を作ることができるのです」。

同社は、いくつかの異なる方法でデータを収集している。化学製品のサプライヤーなど、ビジネスの供給側には、データを収集するのが得意なサイエンティストが豊富に存在するが、データを保存したり、関係者に配布したりする体系的な手段がない。そこでNoviの出番となる。同社が情報をデジタル化し、分類する。また、認証機関と連携し、生分解性、ビーガン、フェアトレードなどの認証を取得しているものを把握することもできる。さらに、持続可能かどうかを測定・利用するためのデータソースもあり、それも同社の巨大なデータベースに蓄積されている。

NoviのCEOで創業者のキンバリー・シェンク氏(画像クレジット:Novi)

「Novi以前は、ブランドは何週間もかけて素材を探し出し、複雑な業界基準を満たしているかどうかを判断するために、さまざまな素材に関する資料を読み解いていました」とシェンク氏はいう。「Noviは、こうしたデータをすべて収集、消化、デジタル化し、刻々と変化する基準や主張に対してリアルタイム性と正確さを保証します。これにより、ユーザーは持続可能性に関する調達の意思決定をより効率的に、自信を持って行うことができるのです」。

もちろん、データを扱うどんな分野でもそうだが、これはGIGO(garbage in, garbage out、ゴミを入れたらゴミが出てくる)というゲームだ。木材のパレットに「持続可能な方法で栽培された」と書かれたステッカーを貼って終わりにするのは簡単だが、これまでのところ、ブランドがそれ以上に深く調べるような動機付けはあまりない。Noviは、この状況を変えたいと考えている。

「当社は評価の正確さを保証しますが、もしサプライヤーがデータを改ざんしたら」とシェンク氏は言いつつ、認証に関わる情報量の多さから、実はデータを改ざんするのはかなり難しいことだと主張する。「それは、当社が単独で解決できることではありません。もちろん、責任を持って調達されたパーム油を認証している認証機関はあります。しかし、実際に良いことをしているサプライヤーを評価し、より良い素材を求めているブランドの目に留まるようにすることで、業界を変えることができるのです」。

Noviは正確な数字は開示したくないものの、Croda、Grove Collaborative、Sephora、Targetなど多くのブランドと取引しており「数千」の顧客がいると主張している。

同社は、新しい資本を投入し、進化する持続可能性の主張に対応する新しい技術を市場の両側で開発し、原料、香料、パッケージの品揃えを充実させ、ホームケアや食品などNoviから見てすでに成長が始まっている分野への新規参入を図る予定だ。

画像クレジット:Novi

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(文:Haje Jan Kamps、翻訳:Nariko Mizoguchi

暗号資産でB2B決済の高速化、手数料の抑制も目指すPaysailが4.4億円調達

企業は、材料費から外注費に至る主要なコストの多くを、請求書に基づき支払っている。依然として大多数の企業は、国境を越える支払いの際、銀行振込やクレジットカードを基盤とするソリューションに依存している。完了するまでに通常2~5日かかる、この国境を越える支払いは、世界で130兆ドル(約1京5000兆円)の市場を形成している

法人向け決済のスタートアップであるPaysail(ペイセイル)が、シード資金を調達した。同社は、国境を越える決済のプロセスを5秒未満に短縮するツールを開発する。同社のソリューションはステーブルコインを活用している。ステーブルコインについて同社は「商品または法定通貨にペッグ(連動)し、価格が安定するよう設計された暗号資産」と説明している。

Paysailによると、請求書の支払いにステーブルコインを使うことで、第三者の仲介を排除し、企業の取引手数料を削減することもできるという。Paysailの共同創業者であるNicole Alonso(ニコル・アロンソ)氏はTechCrunchのインタビューに対し、従来の銀行インフラを前提として決済を効率化するこの分野の他のスタートアップは、速くて安い決済手段を提供する点で限界に達していると語った。仲介業者が課す手数料が原因であり、特に定期的に決済が発生しない国同士の間ではそうだという。

Paysailの共同創業者であるニコル・アロンソ氏とLiam Brennan-Burke(リアム・ブレナン・バーク)氏(画像クレジット:Paysail)

「例えば米国・カナダ間の決済を大幅に安く、早くする大きな進歩がありました。しかし、米国からアフリカの国々への送金はまだ本当に難しく、法外な手数料がかかることもあります」とアロンソ氏は話す。

国境を越える決済にBill.comのようなレガシーシステムを使う場合のコストには通常、仲介業者が請求する取引手数料と為替手数料が含まれる。これに対し、Paysailによる送金では、ブロックチェーン上で取引を検証するためにかかる「ガソリン代」だけがかかり、現在のところ1セントの10分の1以下だとアロンソ氏はいう。

Paysailは現在、米ドル価格に連動するCeloのCUSDステーブルコインを使用して決済を行うが、将来同社が成長していけば、各国の不換通貨を裏付けとする他のステーブルコインにも拡大する予定だ。また、事業の収益を上げるために0.9%程度の取引手数料を検討している。アロンソ氏は、取引手数料が各企業の取引量に応じた段階的な設定となる可能性があり、価格面で「非暗号資産の既存の競合他社を大幅に下回る」ことが理想だと述べた。

同社は米国1月13日、Uncork Capitalがリードし、Tribe Capital、Pear VC、Mischief Capitalが参加した、400万ドル(約4億4800万円)のシードラウンドを発表した。このラウンドには、Google Payの事業開発・戦略責任者であるNik Milanović(ニック・ミラノビッチ)氏と、Eburyの創業者でCEOのJuan Manuel Fernández Lobato(フアン・マヌエル・フェルナンデス・ロバト)氏もエンジェル投資家として参加した。

Paysailの現在のユーザーは「少数」の企業で構成され、そのほとんどはすでに暗号資産で取引しているか、この分野に精通していると、共同創業者であるLiam Brennan-Burke(リアム・ブレナン・バーク)氏はTechCrunchに語った。同社は、暗号資産を使用したことのない顧客にも拡大する前に、暗号資産の利用に慣れている顧客向けのソリューションを微調整したいと考えていると同氏は付け加えた。

アロンソ氏とブレナン・バーク氏は2021年、クレアモント・マッケナ大学の学生として出会い、その後Paysailを立ち上げた。現在、Paysailの正社員は彼らのみだ。今回の資金をもとに、フルタイムのエンジニアリングチーム、法律顧問、そして最終的には営業チームを雇用する計画だ。

Paysailは、既存の暗号資産ウォレットを持たないユーザーが、サードパーティのウォレットプロバイダを通じ、同社のプラットフォームで取引を開始できるような技術を構築している。同社がユーザーに代わってノンカストディアルウォレットを用意する。ブレナン・バーク氏によると、最終的にはこの機能をプラットフォームに導入したり新機能を追加したりして、ユーザーが、保有するステーブルコインからPaysailウォレット内で利回りが得られるようにすることを目指している。ナイジェリアのように、現地通貨の下落が大きなリスクとなる国では、企業は変動の少ない通貨にペッグされたステーブルコインで資産を保有し、好きなときに現地通貨に移すことを好むかもしれないと、同氏は付け加えた。

ブレナン・バーク氏は「このプラットフォームの最終的な目標は、暗号資産決済を、暗号資産の経験がない企業や個人にとって、本当に消化しやすく、また使いやすくし、比較的やさしいものにすることです」と語った。

画像クレジット:Olena Poliakevych / Getty Images

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(文:Anita Ramaswamy、翻訳:Nariko Mizoguchi

コーディング学習プラットフォームCodecademyをSkillsoftが約600億円で買収、統合が進む教育テクノロジー分野

コーディング学習プラットフォームのCodecademy(コーデカデミー)は、Skillsoft(スキルソフト)に株式と現金を合わせて5億2500万ドル(約600億円)で買収され、教育テクノロジー分野における新たな統合の一例となった。

Codecademyの売却は、同社が4000万ドル(約45億7000万円)のシリーズD資金調達を実施し、一般消費者向けの製品展開をより企業顧客向けに提供するように方向転換してから約1年後に行われた。

当時のCEOで創業者のZach Sims(ザック・シムズ)氏は、この資金を企業買収やインドでの事業展開、そして軌道に乗り始めた企業顧客向け事業の拡大に使用すると述べていた。この日、シムズ氏は「何も変わっていない」と語っているが、しかし、Skillsoftと力を合わせることで「Codecademyを独立して運営するよりも、さらに急速に拡大させることができる」と気づいた。この会社は、数多くの他のオファーを断ったと、同氏は述べている。

「多くの教育企業の未来は、消費者と教育をミックスしたものであると、私は考えています。私たちは今回、消費者向けテクノロジー教育のリーダーと、企業向け教育のリーダーを一緒にすることで、新たなフルスタックのリーダーを誕生させることになります」と、シムズ氏は語る。「それは、他社が太刀打ちできないものです」。

シムズ氏は、Codecademyの最新の評価額については明かさなかった。現時点では、この買収による解雇は発生していない。

Skillsoftは数十年の歴史を持つテクノロジー企業で、企業や法人向けのソフトウェアと教育プログラムの構築でその名前が知られている。同社は2021年初めに、SPAC(特別買収目的会社)であるChurchill Capital(チャーチル・キャピタル)との合併を通じて株式を公開した。この上場は、教育関連企業としては異例だが、その前には波乱の時期があったのだ。Skillsoftは2020年6月に破産申請を行い、2カ月後には「迅速に」再編を行って破産から脱却した。

現在、SkillsoftはB2B教育分野の大企業だ。フォーチュン1000社の75%が同社製品の顧客であり、オンライン学習、トレーニング、人材管理など、幅広い分野で製品を提供している。一方、Codecademyは、この数年間ずっとキャッシュフローが黒字であると主張している。直近では、年間経常収益が5000万ドル(約57億2000万円)と報告されており、この数字は2018年から倍増している。

今回の売却は、強力なユーザーベースを成長させ、最終的にはその知名度を利用して企業との取引(およびより安定した顧客)に着地するという、消費者向けの教育テクノロジー企業によく見られる月並みな軌道をなぞるものだ。その先頭に立つのはUdemy(ユーデミー)とCoursera(コーセラ)で、最近ではMasterClass(マスタークラス)やOutschool(アウトスクール)などの会社もそれに加わっている。消費者向け教育ビジネスで最も人気の高いDuolingo(デュオリンゴ)も、パートナーシップや学校と連携して企業向け事業を展開している。

Codecademyの場合、学生や社員がよりインタラクティブな環境でコードの書き方を学ぶことを長年サポートしてきたが、企業向けへの移行はまったく議論の余地のないものだった。というのも、同社は同じサービスを、従業員のトレーニングや再教育に使いたいと考える企業に販売していたからだ。Codecademyは、サービス開始から1年間で600社の有料顧客を獲得したが、その半数は銀行やコンサルティング会社、中小企業などの非テクノロジー企業だった。

Skillsoftに合併されることで、Codecademyは親会社の持つB2B分野での存在感と能力を活用することができる。

「私たちは、個人で学習している人も、企業内で学習している人も、すべての人のキャリア全体をサポkillsoftートできる、真にエンド・ツー・エンドの技術学習プラットフォームを構築したいと考えています」と、シムズ氏はいう。両プラットフォームを合わせると、8500万人のユーザーが学んでいることになる。

Codecademyは、Skilsoftの買収攻勢の中で最も新しく、最も高価なものだ。同社は上場以来、エグゼクティブ・コーチング・プラットフォームのPluma(プルマ)と、ITおよびスキル開発プラットフォームのGlobal Knowledge(グローバル・ナレッジ)を買収している。

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(文:Natasha Mascarenhas、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

規格外・余剰農産物の売却先をオンラインで農家とつなぎ食品ロスの削減を目指すFull Harvest

年間約40%の食料が廃棄されており、食料廃棄は世界で2兆6000億ドル(約294兆円)規模の問題になっている。Full Harvest(フルハーベスト)は、この問題は流通の問題であり、農産物のサプライチェーンをデジタル化することで解決できると考えている。

サンフランシスコに拠点を置く同社の農産物企業間取引市場は、農産物の買い手と売り手が、わずか数クリックで余剰または規格外の作物の取引を迅速に成立させる手段を提供する。農家にとっては新たな収入源となる。

創業者でCEOのChristine Moseley(クリスティン・モズレー)氏はTechCrunchに対し、生産者の大半はいまだにペンや紙、ファックスを使ってビジネスを行っていると語る。

「これは最も重要な産業の1つです。私たちはこの産業を自動化し、オンライン化することで、これまで解決されていなかったことを解決したかったのです」とモズレー氏は付け加えた。「例えば、売買には膨大な事務処理が必要ですが、オンボーディングプロセスを自動化することで、これまで数週間かかっていた作業が数分で済むようになります」。

そこでFull Harvestは、マッチングアルゴリズムや可視性を備えたスポットマーケットプレイスなど、バイヤーがサプライヤーの在庫を確認できる技術の開発に奔走した。また、第三者による監査・検証プロセスを構築し、一貫した仕様を提供することで、本来は救われるはずだが、廃棄されてしまう農産物の平均量を減らすことに成功した。拒否率は、業界平均10%に対し、同社は1〜2%だとモズレー氏はいう。

過去2年間で、Full Harvestの食品廃棄物削減効果は5倍になり、同社はこの勢いを維持するために追加資本を求めることになった。

同社は米国時間12月17日、シリーズBで2300万ドル(約26億円)の資金調達を発表した。Telus Venturesがこのラウンドをリードし、新規投資家からRethink Impact、Citi Impact、Doon Capital、Stardust Equity、Portfolia Food & AgTech Fund、および既存投資家からSpark Capital、Cultivian Sandbox、Astia Fund、Radicle Growthが参加した。今回の投資の一環として、Telusの投資ディレクターであるJay Crone(ジェイ・クローン)氏がFull Harvestの取締役に就任した。

Full Harvestを取材するのは久しぶりだ。TechCrunchは2016年、同社の旅が始まったときに紹介し、2017年に200万ドル(約2億2600万円)を調達した時に再び紹介した。2018年にはシリーズAで850万ドル(約9億6000万円)を追加で調達した。追加の資金調達をあわせると、現在の調達総額は3450万ドル(約39億円)だ。

同社は、Danone North America、SVZ、Tanimura & Antleなど、食品・飲料、加工業界や生産者業界のビッグネームと取引している。

「より持続可能なビジネスを構築することの重要性は、特に食品・飲料分野の企業にとって、かつてないほど明白になっています」とDanone North Americaのギリシャヨーグルト・機能性栄養食品担当副社長であるSurbhi Martin(スルビ・マーティン)氏は話した。「Full Harvestを通じてオンラインで農産物を調達し、通常であれば廃棄されてしまうような果物を当社の製品用に調達することで、より持続可能な食品を求める消費者の要望に応えています」。

Full Harvestのビジネスモデルは、同社のマーケットプレイスで行われるすべての取引の1%を取るというものだ。2020年から2021年にかけて、サプライチェーンに透明性を持たせた結果、売り上げは3倍になったとモズレー氏はいう。2018年当時、Full Harvestの従業員は約8人だったが、現在は35人にまで増えている。また、同社はカナダを含め地理的にも拡大した。

モズレー氏は、新しい資金で技術開発に投資する他、2022年には技術および製品チームの規模を3倍にし、北米での進出地域を引き続き拡大し、農産物の入手可能性、価格、仕様、持続可能性、品質、予測サポートなどのデータと市場インサイトの提供を進めるつもりだ。

食品廃棄物に取り組み、ベンチャーキャピタルから資金を調達しているのは、Full Harvestだけではない。2021年に限っても、企業から次のような発表があった。

このようにプロデュースの分野で技術革新を進めている企業もあるが、モズレー氏は、Full Harvestのユニークな点は、その専門性が持続可能な製品側にあることと、農産物サプライチェーンのデジタル化のリーダーとしての実績があることで、その両面で先行していると話す。

次は、物流技術に関する提携を確保し、さらなるスケールアップと提供可能なSKUの拡大を図る。

「これまで業界ではオフラインだったプロセスの自動化をある程度完了し、当社のテクノロジーとユーザーエクスペリエンスは大きく向上しました」とモズレー氏は付け加えた。

画像クレジット:Max / Unsplash

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(文:Christine Hall、翻訳:Nariko Mizoguchi

ラテンアメリカの「アリババ」を目指すMeru、海外から安全に商品を調達できるB2Bマーケットプレイスを構築

海外から商品を調達したり輸入したりする際には、どこかで問題が発生することがあり、企業は代金を支払った品を受け取れなかったり、あるいは何も届かないことさえある。

メキシコに拠点を置くMeru.com(メル・ドットコム)を共同設立したManuel Rodriguez Dao(マヌエル・ロドリゲス・ダオ)CEOと共同設立者のFederico Moscato(フェデリコ・モスカート)氏は、他社のために商品を調達する仕事をしていたとき、当初注文した商品を手に入れることができないなどの問題に直面し、このことを痛感した。

2020年、彼らはEduardo Mata(エドゥアルド・マータ)氏、Virgile Fiszman(ヴィルジール・フィスマン)氏、Daniel Ferreyra(ダニエル・フェレイラ)氏と共同で、中小企業が同じ運命を避けられるようにMeruを起ち上げた。同社は米国時間12月2日、シリーズAラウンドによる1500万ドル(約17億円)の資金調達を発表した。このラウンドは、Valor Capital(バロー・キャピタル)とEMLES Ventures(エムレス・ベンチャーズ)が共同で主導し、創業者グループによる個人投資も含まれている。これまでに同社は総額1700万ドル(約19億2500万円)を調達している。

Meruの技術には、シンプルなプロセスで、価格の非対称性なしに国内外のメーカーをサプライチェーンの他の部分と結びつけるマーケットプレイスとアプリが含まれており、まずは中国とメキシコの間で展開している。品質認証を受けた工場と直接取引していると、ロドリゲス・ダオ氏はTechCrunchに語った。

従来の調達方法では、中小企業は週に2日もの時間を費やし、最大5社の仲介業者を介して、取引しなければならなかった。しかも、平均して80%もの取引が詐欺に遭っていると、ロドリゲス・ダオ氏はいう。これに対し、Meruを利用する顧客は、数分で商品を選択して購入することができ、その際には商品を確実に、そして市場のベストプライスで受け取ることができるという保証も、同社で付けているという。

MeruはY Combinator(Yコンビネータ)の2021年冬のバッチに参加しており、今回の新たな資金調達は、最終的にはラテンアメリカのAlibaba(アリババ)になるという目標に向けて、Meruが中小企業のためのワンストップショップになることを支援すると、ロドリゲス・ダオ氏は述べている。

「私たちは中国でリモートワークを始め、グローバルな取引の中で、新興国でも同じような痛みが発生していることを知りました」と、同氏は続けた。

「私たちは、アリババのようにテクノロジーを駆使した流通によって、仕入れや調達を安全なものにしたいと考えています。そのために、サプライチェーン全体の関係者をつなぎ、彼らが割引価格を利用できるようにしています」。

Meruは開始からわずか1年で、すでに1万人以上の登録ユーザーを抱え、7つの商品カテゴリーを運営している。資金調達を支援するフィンテックのパートナーもいる。Meruがマーケットプレイスを起ち上げた2020年8月には6名だった従業員が、現在では中国とメキシコの両方で合わせて210名の従業員を擁するまでになった。

同社は今回の資金調達を、新たな業種やカテゴリーの追加、技術開発、チームの拡大に充てる予定だ。毎月の収益は40%から50%増加している。

「Meruは、ラテンアメリカの中小企業が、すべて単一のコンタクトポイントを通じて、アジアからより効率的に商品を購入できる統合的なB2Bマーケットプレイスを構築しています」と、Valor Capital GroupのマネージングパートナーであるAntoine Colaço(アントアーヌ・コラソ)氏は声明で述べている。「何千もの商品へのアクセスを提供し、すべての物流、請求、フォローアップのプロセスを管理し、金融ソリューションを組み込むことによって、Meruはラテンアメリカとアジアのグローバルなサプライチェーンのつながりを強化することに貢献するでしょう」。

画像クレジット:Meru.com

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(文:Christine Hall、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

B2B請求・回収・支払を自動化するAnchorが約17億円のシード資金を獲得

企業は滞納された支払いの督促に膨大な時間を費やし、その結果、本来の業務に支障をきたしたり、キャッシュフロー問題を引き起こしたりしている。

支払いの回収にかかる時間の浪費やその他の課題は、主に手作業による請求サイクルやプロセスに依存していることに起因している。これらのプロセスは、手間と時間がかかり、ミスや不正が発生しやすい。イスラエルに研究開発センターを持つ米国のスタートアップAnchor(アンカー)は、こうした問題を解決しようとしている。

2021年設立されたAnchorは、請求書の発行や送金の作業を自動化することで、請求・回収・支払の問題を解決し、企業が顧客に支払いを促すために費やす貴重な時間を節約することを目指している。Anchorのクラウドベースのシステムは、サービスプロバイダーの請求・支払いプロセスをエンド・ツー・エンドで自動化し、支払い遅延の問題を解消する。

Anchorは米国時間12月1日、1500万ドル(約17億円)のシード資金を獲得し、チームの拡大、より多くのクライアントとの提携、マーケティング活動の開始など、成長を加速させる計画を発表した。

「今日は、既存のB2B決済プロセスを時代遅れにし、現代社会における請求、回収、支払いのあり方を再定義する、次の決済革命の始まりです。我々にとって、ベンダーとクライアントの信頼関係を強化し、請求書の不正や人為的ミスをなくすソリューションを開発することが重要でした」とAnchorの共同創業者でCEOのRom Lakritz(ロム・ラクリッツ)氏は話す。

「そうすることで、サービスプロバイダーとあらゆる規模の企業との間で、自律的に支払いが行われるようになります。数年以内に、Anchorがビジネスの基盤となり、ビジネスのやり方の金字塔となることを目指しています」とも語る。

Anchorは、米国の自律型課金システムのスタートアップで、イスラエルに研究開発センターを持つ

今回の資金調達ラウンドは、Rapydの新しいベンチャーキャピタル部門であるRapyd Ventures、そしてMonday.comやRiskifiedなど複数の企業に投資を行っているベンチャーキャピタルのEntrée Capital、イスラエルを拠点とし、Rapydを含む30社以上のポートフォリオを持つベンチャーキャピタルのTal Venturesが共同でリードした。

RapydのCEO、Arik Shtilman(アリク・シュティルマン)氏は「Anchorは投資したい企業であるとすぐにわかりました」と話す。「Anchorは、決済の未来を見据え、B2Bの決済と請求のための最新のフレームワークを構築しており、すべてのビジネスに必要なものになるはずです」。

Anchorのプラットフォームは「ライブオンライン契約」を通じて企業と顧客を結びつける一方で、自己完結型のエンド・ツー・エンドの請求・支払いソリューションは、ベンダーと顧客の契約をカバーし、請求書の発行、支払い、仲裁のステップを管理する。

同社のシステムは、クライアントの支払い情報やサービスプロバイダーの技術と統合することができ、サービスが提供されたり、請求書の支払い期限が来たりすると、契約に基づいて請求書が自動的に作成され、送付される。

Entrée Capitalの共同創業者でマネージング・パートナーのAvi Eyal(アビ・イヤル)氏は「B2B決済の分野は、各業種がある程度の専門性を必要とするため、非常に細分化されています」と話す。

「Anchorは、このようなユニークなチャンスを見つけ、同社のソリューションを何千ものサービス業に展開することで、業界の主要プレイヤーになると確信しています」とイヤル氏は述べた。

キャッシュフローの問題は、特に世界中の中小企業にとって、成長の最大の妨げとなっている。しかし、米国では中小企業が経済活動の44%を占めているように、ほとんどの経済の屋台骨であるこれらの中小企業がキャッシュフロー問題に直面する主な理由は、支払いの遅延だ。

MelioとYouGovの調査によると、米国ではほとんどの企業が支払い遅延を経験していて、インタビューを受けた企業のうち25社が支払い期日を最大30日過ぎても待たされると回答しており、事業を継続することが困難になっている。

だが、これらの問題はテクノロジーを活用することで解消することができる。

「ベンダーへの支払いを大変なプロセスにしている請求・回収の問題は、人間の要素に起因しています」とイヤル氏は指摘する。

「SpotifyやAmazonのアカウントから機械で生成された請求書を信用するように、もし人々がサービスプロバイダーから受け取る請求書を信用することができれば、請求と支払いはもはや苦痛なプロセスではなくなり、年間120兆ドル(約1京3550兆円)超と推定される市場で、容易に現金が流れるようになるでしょう」。

画像クレジット:Anchor. Anchor founders.

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(文:Annie Njanja、翻訳:Nariko Mizoguchi

Slopeが「グローバルB2B決済のStripe」を目指し、初めての資金調達

Alice Deng(アリス・デン)氏とLawrence Murata(ローレンス・ムラタ)氏は、人工知能企業で働いていたときに、それぞれ自身のファミリービジネスからヒントを得て、Slope(スロープ)を創業した。同社は「今買って後で払う(BNPL)」サービスを企業が簡単に提供できるようにする。

「世界的なパンデミックの前、サプライヤーは請求書の日付から30日以内に支払うという条件を延長したりしていましたが、その程度では中小企業にとって信用を築くのは難しいのです」とムラタ氏はTechCrunchに話した。

「世界的な大流行により、企業間決済のオンライン化が加速しました。私たちは、支払いをオンライン化し、企業の資金調達を容易にすることで企業に力を与えたいと考えました」とムラタ氏は語った。

企業は数秒で承認を得ると、分割払いを提示することができる。顧客は支払いの際、自分に合った支払い方法を選べる。Slopeは、融資、引受、債権回収を担当し、製品やサービスが提供されたときに企業に支払う。

Slopeの仕組み。画像クレジット:Slope

デン氏とムラタ氏はY Combinatorで2回創業しており、直近では2021年のサマーコホートに参加した。参加したときは今の会社ではなかったが、方向転換して現在のSlopeのビジネスモデルを作り、8月に立ち上げた。

すでに同社は、過去30日間で取扱高が15倍になるなど、驚異的なペースで成長している。この3カ月間で、米国、カナダ、メキシコ、インド、シンガポールの販売業者の顧客を獲得した。近々、中国、ブラジル、ヨーロッパの販売業者がウェイティングリストに加わる予定だ。

同社は11月22日、Global Founders Capitalのほか、Dropbox、DoorDash、Opendoor、Plaid、PlanGrid、Mercury、Pilotの創業者らからシードで800万ドル(約9億円)を調達したと発表した。今回の資金調達の目的は、Slopeのチームを拡大し、顧客中心の体験を実現するためのインフラを構築し、ウェイティングリストの販売業者にサービス提供を開始することだ。

世界のB2B決済市場は、2020年には8700億ドル(約99兆円)だったのが、2028年には1兆9000億ドル(約217兆円)に達すると予測されている。同時に、127兆ドル(1京4500兆円)の決済フローがB2B決済によるものだと推定され、これも2028年までに200兆ドル(2京2800兆円)に増加すると予想されている。

「我々のビジョンは、グローバルB2BのStripe(ストライプ)になることです」とデン氏は話す。「B2Bで勝利するためには、AffirmやAfterpayのようなB2Cプレーヤーが取り組む必要がなかった、グローバルなクロスボーダー取引のインフラと中核となる技術を構築する必要があります」

また、デン氏とムラタ氏は何百もの中小企業にBNPLの必要性を聞き取り調査し、Slopeが製品を開発する前から既に契約を結ぶ結果となったが、これは市場に大きなニーズがあることを証明するものだとデン氏は指摘する。

Global Founders CapitalのパートナーDon Stalter(ドン・スタルター)氏はSlopeの成長について、「最初から印象的で、今のステージとチームの規模からして、私たちがこれまでに見てきた世界的な急成長企業の1つです」と語る。

企業はこれまで事業融資を銀行に頼ってきたが、それは「ジャンキーなプロセス」だった。テクノロジーを駆使し、そのプロセスを5倍の速さで改善できる企業は大きなディスラプターになり、100倍にできれば革命を起こすことができる、とスタルター氏は付け加えた。

その大きなB2B決済市場を狙い、ビジネスの可能性を広げる人工知能と新しいテクノロジーで攻めることで、デン氏とローレンス氏にはそれができるとスタルター氏は確信している。

画像クレジット:Slope

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(文:Christine Hall、翻訳:Nariko Mizoguchi

デジタルファースト企業のグローバル税務を支援するFonoaが約23億円調達

商品、コンテンツ、あるいはサービスをグローバルに販売すると、税務上の問題が数多く発生する。世界的にクロスボーダー取引が急増する中、デジタルファーストの企業は、国際的に成長・拡大していく中で、グローバルな税務・コンプライアンス問題を理解し、管理するという課題に直面している。

アイルランドのダブリンを拠点とするFonoa(フォノア)は、Uberの元社員であるDavor Tremac(ダボール・トレマック)氏、Filip Sturman(フィリップ・スターマン)氏、Ivan Ivankovicz(アイヴァン・イバンコビッチ)氏の3人によって創業された。設立2年の同社は、デジタル企業がインターネット販売で徴収すべき税金を決定し、計算するためのAPIを開発した。

Lime、Uber、Teachable、Zoomなどの企業の税務コンプライアンス維持をサポートしているFonoaは、オンラインで販売される商品やサービスが特に国際マーケットで増加しているのに伴い、シリーズAラウンドで2050万ドル(約23億円)を調達した。Fonoaの顧客は配車サービス、モビリティ、フードデリバリー、SaaS、eコマースなどの業界が中心で、またサブスクリプション企業も含まれる。

FonoaのAPIは顧客の既存のデータを「簡単」に統合できるため、顧客は何時間もかけて手作業で税金に関する問題を解決する必要はない、とCEOのトレマック氏は話す。自動化されたサービスへの需要の高まりを受けて、Fonoaが扱う年間税務案件は3億件を突破した。B2BのSaaS事業者として同社は「非常に健全なマージン」を確保しており、トレマック氏によると、2020年12月以降、売上高は7倍に増えた。

「デジタルの世界では、企業と顧客は世界規模で取引を行います。国の国境はもはや制限要因ではなく、テクノロジーがグローバル取引をかつてないほどのスピードで推進しています」と同氏は話す。「規制当局による監視の強化と相まって、より自動化された信頼できる方法で税務問題に対処することは、これまで以上に緊急の課題となっています」。

Fonoaによると、同社は「プラグアンドプレイ・モジュラー・プラットフォーム」を提供していて、取引が行われた後に買い手と売り手の税務上のステータスを確認して正しい税金を計算し、地域の規制に準拠した請求書を作成することができる。また、必要に応じて、その国の政府に取引内容をリアルタイムで自動報告することも可能だ。

画像クレジット:Fonoa

新型コロナウイルス感染症のパンデミックにより、Fonoaの成長は「著しく」加速したと、トレマック氏は語る。

「オンラインでの取引にはそれぞれ税金がかかるため、オンラインでの販売が増えるということは、我々の仕事も増えるということです」。

OMERS VenturesがFonoaのシリーズAラウンドをリードし、Index Ventures、FJ Labs、Moving Capitalが参加した。Indexは2020年11月に450万ドル(約5億円)のシードラウンドをリードしたが、これは未発表だった。その他の出資者には、OpendoorとUberでCOOとCFOを務めたGautam Gupta(ゴータム・グプタ)氏、Eventbriteの創業者であるKevin Hartz(ケビン・ハーツ)氏、DoorDashのCFOのPrabir Adarkar(プラビール・アダーカー)氏、GoCardlessの元COO、Carlos Gonzalez-Cadenas(カルロス・ゴンザレス・カデナス)氏、FastのCOOであるAllison Barr Allen(アリソン・バー・アレン)氏などが含まれる。

Uber出身の創業者たちは、税金を正しく計算して世界中の当局に報告することがいかに難しいかを身をもって体験した。そこで、インターネット経済全体のために税金を自動化する技術の開発に着手した。

Fonoaは現在、100カ国以上の国で税金計算の自動化をサポートしており、今回の資金調達により、年内に140カ国超に拡大することを目指している。また、今回の資金を雇用にも充てる予定だ。Fonoaはダブリンを拠点としているが、最近の他の多くのスタートアップと同様にリモートを基本としていて、現在60人のチームが15カ国で働いている。米国、欧州、アジア、中南米で、エンジニアリング、プロダクト、営業、人事、オペレーションなどの分野の人材をさらに60人採用する計画だ。また、今回の資金は、現在の製品のカバー範囲を広げるためにも「まったく新しい製品を作るため」にも使う、とトレマック氏は話す。

同氏は「目の前に膨大な機会があり、利用可能なすべてのリソースを使って、成長を倍増させようとしています」とTechCrunchに話した。「我々は、すべての地域で、すべての製品に関連するすべてのユースケースをカバーするまで、事業拡大します」。

Index VenturesのプリンシパルであるHanna Seal(ハナ・シール)氏は、Fonoaが国際的に事業を展開している企業の成長を解き放ち、そうでなければそうした企業は各国の複雑な税制で「身動きが取れなくなる」と考えている。

シール氏は「単なるバックオフィスの自動化ではなく、成長を可能にすることにFonoaが焦点を当てている点に惹かれました」とメールに書いた。「複数のマーケットでUberを運営してきたFonoaの経営陣は、国境を越えて事業規模を拡大する際の課題を深く理解しており、企業が新たな地域をシームレスに追加して拡大できるような製品を開発してきました」。

OMERS Venturesのマネージングパートナー、Jambu Palaniappan(ジャンブ・パラニアパン)氏は、Fonoaのプロダクトを「市場で最高かつ最も完全な製品」と評した。

「Fonoaは、検証からリアルタイムのレポート報告まで、税務の全工程に注力しており、コンサルティングではなくテクノロジーを製品の中核に据えています。世界中の政府がこれまで以上にコンプライアンスに関心を寄せている今こそ、Fonoaが世界に通用するプラットフォームを構築する絶好の機会です」。

画像クレジット:Fonoa

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(文:Mary Ann Azevedo、翻訳:Nariko Mizoguchi

転職した過去の顧客に接触できるようになる、予測マーケティングと営業インテリジェンスツールのUserGemsが約23億円調達

商談に関心を示さない相手に割く時間を削減しつつ、商談が成立する可能性がある見込み顧客と接触する方法を見つけることは、営業とマーケティングの世界においていわば究極のゴールである。この度、UserGems(ユーザージェムズ)という名のスタートアップが、AIとデータマッピングを組み合わせて、B2Bの営業・マーケティングで手応えが得られそうな顧客候補を予測、特定するプラットフォームを開発、2000万ドル(約23億円)を調達したことを発表した。このプラットフォームにより、以前に取引があったが現在は別の仕事に転職している顧客と接触することが容易になる。この種の課題に取り組むセールステックに好機が訪れているようだ。

今回のシリーズAラウンドは、Craft Ventures(クラフト・ベンチャーズ)がリードし、Battery Ventures(バッテリー・ベンチャーズ)とTiger Global(タイガー・グローバル)が新たに参加した。また、以前から同社に投資しているUncork Capital(アンコーク・キャピタル)や、個人エンジェル投資家も参加しており、同ラウンドの調達額は合計2240万ドル(約25億5000万円)となった。

UserGemsは現在、Procore(プロコア)、Medallia(メダリア)、UserTesting(ユーザーテスティング)、Sisense(サイセンス)、BrightTALK(ブライトトーク)など、90社ほどの中堅企業を顧客に持つ。今回調達した資金は、製品開発と人材に投資する予定だ。

サンフランシスコに本社を置くUserGemsには、アイデアやビジネスが予期せぬ場から生まれて創業に至ったという興味深い背景がある。

UserGemsのCEO兼共同創業者であるオーストリア人のChristian Kletzl(クリスチャン・クレッツル)氏は、ノースウェスタン大学でMBAを取得してシカゴに住んでいた時、当時欧州のPwC(ピーダブリューシー)で働いていた双子の弟Stephen(スティーブン)に、米国に移住して一緒にスタートアップを立ち上げようという話を持ちかけた。

彼らは、書籍、電化製品などの中古品をより効率的に販売するeBay(イーベイ)やCraiglists(クレイグリスト)と同じ業界に参入すべく、ShelfFlip(シェルフフリップ)というeコマースソリューションを開発した。当初、彼らはこのアイデアでY Combinator(Yコンビネーター、YC)に応募し、合格したのだが、ShelfFlipのコンセプトはそれ以降、跳躍する様子はなかった。

クリスチャンは次のように語る。「私たちはShelfFlipでYCに参加したが、YC参加中にそのアイデアを捨てた。YC参加中に方向転換をした企業が数多くあることを知って力を得て、もう一度、新しいアイデアを一から考えた。数多くのYC同期企業やその他の企業と話をして、SmartHires(スマートハイヤーズ)のアイデアを生み出した」。SmartHiresは、同じ投資ポートフォリオ内のスタートアップの情報を参照できるネットワークだ。

TechCrunchは以前にこちらの記事で、2015年冬期のYCに参加した彼らのSmartHiresについて取り上げている。

クリスチャンとスティーブンのクレッツル兄弟が開発したSmartHiresには、顧客(特に、クリスチャンが「SmartHiresのメインの柱」の1つと呼ぶ顧客)が、ある企業から別の企業へと転職していくのをトラッキングできるソフトウェアが含まれている。スタートアップでは社員の入れ替わりが激しい。そのため、クレッツル兄弟がこのアイデアをYC同期に話したところ、SmartHiresに対してというより、そのアイデアに対して熱心な反応が返ってきた。

「私たちが実際に立ち上げた会社よりも、そのアイデアに関心を持った人の方が多かった。そこからUserGemsが生まれた。つまり、YC参加中に私たちは2回も方向転換をしたことになる」とクリスチャンは回想する。

UserGemsは「営業とマーケティングの動向」と「労働力の最新の動き方」という2つの基本的なアイデアに基づいて開発されている。

労働力に関しては、終身雇用の時代のみならず、同じ企業に数年務める時代もすでに終わりを迎えて久しく、今は「大退職時代」に入っている、とクリスチャンは指摘する。

UserGemsは、Google検索からニュース記事まで多岐にわたる公開された情報源から情報を収集、処理しているが、同社がトラッキングのために利用するデータベースやウェブサイトによると、最低でも20%の人が毎年転職するという。つまり、ある人が現在就いている職に翌年もとどまっているかどうかを定期的に予測するのは難しいということだ。

営業・マーケティングについては、デジタル時代の最中でデータドリブン化が飛躍的に進んだ。人々に関する情報をかつてなく大量に入手できるようになり、大人数に対して一斉にマーケティング目的の接触を図る作業を管理するソフトウェアや、それを実行するチャンネル、その成果を測定する分析ソリューションなども、かつてなく増えている。それでも、企業についてすでに知っている、あるいはその企業が売るものにすでに関心を持っている人にアプローチした方が、営業・マーケティングが成功する「命中率」は、各段にアップする。

UserGemsは基本的に、これら2つの状況を合わせたソリューションだ。営業・マーケティングツールとして、企業がすでに使用しているCRMと統合し、その企業と以前取引があった顧客をトラッキングすることにより、その顧客が別の職場に移っても取引が継続できるようにして「マーケティング対象の最有力候補」を作る。「これこそ、営業プロセスで使える宝の山だ」とクリスチャンは語る。

UserGemsが行っていることは、ある意味では新しいことではない、とクリスチャンは指摘する。優秀な営業担当者は元来、有望な営業先の記録を常に保持して定期的にチェックしている。その作業を基本的に誰でも「大規模に」行えるようにしたのがUserGemsだ。

これは、UserGemsが構築したプラットフォームの第1段階にすぎない。営業先の情報が集まると、ユーザーが誰と接触しているかを機械学習アルゴリズムが学習しはじめ、類似商品の利用状況や他のシグナルに基づいて、次にアプローチすべき営業先がレコメンドされるようになる。そのようにして、ユーザーは購買へとつながる可能性がより高い営業先を見きわめることができる。

UserGemsは、一方では、ZoomInfo(ズームインフォ)、LinkedIn(リンクトイン)など、特定の企業にいる的確な見込み顧客を探せるプラットフォームと競合している。また、もう一方では、一般的に「予測的営業」と呼ばれるセールステック分野で、急激に成長中のスタートアップであるPeople.ai(ピープルドットエーアイ、新型コロナウイルス感染症の影響で多少成長に陰りが見えたものの、持ち直して現在の評価額は10億ドル(約1140億円)を超えている)、LeadIQ(リードアイキュー)、6sense(シックスセンス、現在の評価額は20億ドル[約2280億円]以上)などと同業である。しかし、この分野は、頻繁に転職が繰り返される現在の傾向がこれからも続き、そのことが営業面での課題をさらに複雑にすることを考えると、その課題を解決するためのよりスマートなアプローチが今後も注目を集める分野だと言える。それこそ、エンタープライズ向けスタートアップの大型追加投資ラウンドにいくつも参加してきたTiger Globalのような投資会社がUserGemsに早期から投資している理由の1つだ。

Craft Venturesのパートナー兼COOであるBrian Murray(ブライアン・マレイ)氏は、声明の中で次のように語っている。「B2B営業・マーケティング担当者は現在、営業先のことを深く理解する点で困難に直面している。彼らの大半が、同じ方法で見込み案件を創出し、一般的な内容の営業用メールやそれに続くメールを何百通も送っている。多くの営業チームが目標を達成できず、顧客獲得コストが跳ね上がっていくのはそのためだ。UserGemsは、過去のユーザーが将来の商機であり、急成長中のチームにとって紛れもない価値を持つ財産となって、パイプラインを拡大し、勝率を高め、顧客離れを減らすということを理解している」。

画像クレジット:MicroStockHub / Getty Images

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(文:Ingrid Lunden、翻訳:Dragonfly)

バングラデシュの小売店のDXを進めるコマースプラットフォームShopUpが同国最大規模となる約82.5億円調達

バングラデシュの小規模店舗のデジタル化を進めているスタートアップのShopUp(ショップアップ)は、南アジア市場でも最大規模となる新たな資金調達ラウンドで7500万ドル(約82億5200万円)を調達した。

Peter Thiel(ピーター・ティール)氏のValar Ventures(バラール・ベンチャーズ)がShopUpの7500万ドル(約82億5200万円)のシリーズBラウンドを主導した。このラウンドには、Prosus Ventures(プロサス・ベンチャーズ)の他、既存の投資家であるFlourish Ventures(フローリッシュ・ベンチャーズ)、Sequoia Capital India(セコイヤ・キャピタル・インディア)、VEON Ventures(VEON ベンチャーズ)も出資している。今回の新たな投資により、同社の累計調達額は1億ドル(約110億円)を超え、ValarとProsusにとっては、1億人以上のインターネットユーザーがいるバングラデシュでの初めての取引となる。

バングラデシュでは、隣国のインドと同様、小売全体の95%以上が近隣の店舗で行われている。バングラデシュには約450万店の小売店があるが、そのほとんどがデジタル化されていない。

インド、パキスタン、その他のアジア諸国と同様に、バングラデシュでもこれらの小規模店舗は多くの課題に直面している。在庫選択のための大規模な目録を持たず、良質な価格設定や迅速な配送のための交渉をすることもできない。また、これらの小規模小売店では、売上全体の3分の2以上が、現金やデジタル決済ではなく、クレジットで処理されているため、大規模な流動性リスクに陥っている。

ShopUpはこれらの課題を解決しようとしている。同社は、フルスタックの企業間商取引プラットフォームを構築し、在庫を確保するための卸売市場、物流(顧客へのラストマイル配送を含む)、運営資金など、多くの核となるサービスをこれらの店舗に提供している(インドの多くのスタートアップ企業と同様に、ShopUpは銀行やその他のパートナーと協力して運営資金を提供している)。

ShopUpの共同創業者兼CEOのAfeef Zaman(アフィエフ・ザマン)氏は、同社はこの1年間で、提供するサービスを拡大し、バングラデシュ国内での普及を進めてきたとTechCrunchのインタビューで述べている。例えば、バングラデシュ最大のメーカー、生産者、流通業者と提携し、小規模店舗へ在庫の確保と供給をしているという。また、その物流サービスは、すでにバングラデシュで最大のものとなっている。

ShopUpは、他の企業と同様にパンデミックの影響を受けたが、国が開かれ始めたことで、回復の兆しが見えてきたという。全体として、この1年間で事業は13倍以上に成長したとのことだ。

「ShopUpのリーダーシップチームは、過去12カ月間、強力な実行力を発揮してきました。バングラデシュの十分なサービスを受けていない小規模事業者向けに作られた3つの製品で2桁の成長を遂げ、明らかに市場のリーダーとなりました。バングラデシュのような急成長を遂げているフロンティア経済圏では、小規模事業者が経済の主な原動力となっています。オンライン経済への移行を迅速に進めるために、製品の連携したエコシステムを構築するというアフィエフ氏のビジョンに協力できることをうれしく思います」とValar Venturesの創業パートナーであるJames Fitzgerald(ジェームズ・フィッツジェラルド)氏は声明の中で述べている。

ザマン氏によると、この1年間で、バングラデシュのこうした小規模店舗の間でテクノロジーの導入が加速しているという。「彼らは今、複数のネットサービスを利用しています。ShopUpだけでなく、メッセージや暗号資産なども利用しています。今後もこの傾向は続くでしょう」。

ダッカに本社を置くこのスタートアップは、技術者やエンジニアの大部分が暮らしているベンガルールにオフィスを構えており、今回の新たな資金は、チームの拡大のために投入される予定だ。ザーマン氏は、今回の資金調達の一環として、従業員のストックオプションの数を3倍に増やしたことを明らかにした。

「今回の投資は、過去10年間で最も急速に成長している経済圏の1つであるバングラデシュへの参入を意味しています。ShopUpは、細分化された市場の中で、小規事業者のさまざまなニーズを解決するために、強い実行力を発揮してきました。何百万もの小売業者に力を与え、彼らが国の経済成長に参加できるようにするというShopUp の取り組みを支援できることをうれしく思います」。とProsus Venturesのインド投資部門責任者Ashutosh Sharma(アシュトシュ・シャルマ)氏は語っている。

画像クレジット:ShopUp

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(文:Manish Singh、翻訳:Akihito Mizukoshi)

出世払い型(ISA)テックセールス養成スクール「TECH SALES CAMP」のWorXが約4000万円調達、10月開校予定

出世払い型(ISA)テックセールス養成スクール「TECH SALES CAMP」のWorXが約4000万円調達、2021年10月開講予定

出世払い型(ISA)テックセールス養成スクール「TECH SALES CAMP」を2021年10月開校予定とするWorXは7月29日、第三者割当増資および金融機関からのデットファイナンスを合わせ総額約4000万円の資金調達を実施したと発表した。引受先は、サイバーエージェント・キャピタル、日本スタートアップ支援協会、事業会社、エンジェル投資家など。調達した資金は、プロダクト開発および採用・組織構築、マーケティング強化にあてる予定。学びを促進するプロダクト・コンテンツ開発・ラーニング環境を構築し、受講者のキャリアの選択肢を増やし、人生の可能性を広げる支援を行う。

TECH SALES CAMPは、コロナ禍に影響を受けた販売・サービス業従事者を中心に、業界・職種未経験から成長産業の営業関連職へのキャリアチェンジを実現するためのテックセールス養成スクール。テックセールスとは、最先端のB2Bセールスのナレッジ・オペレーションを駆使し、テクノロジーの力を用いて営業活動の効率化や業績向上を実現する次世代セールスパーソンを指すとしている。長期的な成長が見込めるIT・SaaS領域を含む成長産業へのキャリアの選択肢を提供することで、人生の可能性を広げる機会を提供するという。

受講者の対象イメージ

  • コロナ禍で、キャリアチェンジを余儀なくされた販売・サービス業従事者
  • 成長産業(特にIT・SaaS領域)における営業関連職種への就職を目指す方
  • リモートワークなど、地方や遠隔地からキャリアの選択肢を広げたい方
  • 金銭的な理由で、キャリアチェンジのスクールに通うことができなかった方
  • 出産や介護などの理由により、キャリアの再出発を目指す方

学習カリキュラムとしては、営業未経験から、テックセールスになるための網羅的なカリキュラムを用意。学習期間は約3カ月で、累計200時間のカリキュラムを構築しているという。B2Bセールスの基礎・インサイドセールスの実践的なスキルアップに向けた、約60講座のカリキュラムをオンライン完結で提供(Zoomおよびeラーニング活用)。成長産業のセールスには欠かせないSFA・CRMなどのセールステックのデモ利用や、実際に企業に営業活動を実践できる環境を構築する。

同社が採用している出世払い型支払いとは「ISA」(Income Share Agreement)と呼ばれるモデル。教材購入など一部を除き、在学中の学費や入学金などの初期費用負担が一切発生しない代わりに、卒業後に就職した企業の年収に応じて支払金額を決定するというもの。米国では学生が多額の学費ローンを抱えることが社会問題となっており、ISAはそれに変わる新しいモデルとして注目を集めている。

TECH SALES CAMPの場合は、希望の会社・職種での就職決定後に理論月収の10%を一定期間(24カ月)支払う義務が発生する。ISA導入により多くの方に教育機会を提供すると同時に、卒業生および入社後の定着・将来的な活躍に伴走することが可能となるとしている。同社は、本質的なキャリアチェンジの成功を実現する教育機関を目指すという。

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カテゴリー:EdTech
タグ:オンライン学習 / eラーニング / オンラインレッスン(用語)所得分配契約 / ISA(用語)Sales Tech / セールステック / 営業B2B(用語)WorX(企業)資金調達(用語)日本(国・地域)

花き産業の世界的独占の打破を目指すColvinはB2Bによる中間業者排除に向かう

サプライチェーンには今、とても興味深いことが起こっており、しかもそれはずっと続いている。ただしパンデミックがそれを加速したことも事実だ。テクノロジーのスタートアップたちは、またまた中間業者を排除しようとしているが、今回はサプライチェーンのレベルでだ。彼らにとっての商機は、サプライチェーンをプラットフォームで置換することにある。いうなればそれは「サプライチェーンのプラットフォーム化」だ。

最新例の1つであるColvinは、花き産業のためのプラットフォームで、今回はEurazeoのリードで4500万ユーロ(約58億6000万円)のシリーズCを調達した。Eurazeoは知る人ぞ知るフランスのプライベート・エクイティおよびベンチャーキャピタル企業で、これまでFarfetchやGlovo、ManoManoなどのマーケットプレイスに投資している。他に、同じくフランスのアグテックとフードテックのVCであるCapagroがこの投資に参加した。

D2Cのブランドとしてローンチし、今でもそうであるColvinは最近、プロを狙ったB2Bのカテゴリーも作った。

Colvinの共同創業者であるSergi Bastardas(セルギ・バスターダス)氏によると「2020年はColvinにとって加速の年で、今後の成長のペースを確定したという意味で転機でもありました。Colvinの目標は、花き産業のデジタルトランスフォーメーションをグローバルなレベルでリードしていくことです」という。

Eurazeoの投資ディレクターChloé Giard(クロエ・ジャルド)氏は、次のように話す。

フラワーデリバリーの市場におけるColvinの軌跡はずば抜けています。彼らは、急速な成長と利益が両立することを証明し、しかも市場を地球レベルで拡大しています。これは、花き産業の未来を築こうとする彼らの意欲の、第一歩にすぎません。AnkorstoreやChoco、Sennderなどの例に見られるように、ますます多くのB2Bカテゴリーがオンライン化している今日は、花きの卸売市場に新たなスタンダードを導入する天恵の好機です。Colvinはこの業界における長年の経験と専門的技能とスケーラブルなサプライチェーン、および信頼に足る生産者たちのグローバルなネットワークを生かして、この数十億ドル(数千億円)規模の市場機会を掴もうとしています。

電話インタビューで、バスターダス氏は「オランダには花きと植物の市場の独占体制があります。世界の花きと植物のおよそ65%は、オランダにある巨大なオークションを物理的に通過しなければなりません。それらが、どこで栽培されたかは問われません。この状態が長期に維持されているのは、業界がデジタル化されていないからです。それが、私たちが解決しようとしている問題です。ステークホルダーたちを、もっとダイレクトに結びつけなければなりません」という。

彼によると、同社は生産者と顧客をB2Cのプラットフォームで結びつけた。「今度はB2Bのソリューションを構築して、卸と小売など生産者同士を結びつけ、不必要な中間業者をテクノロジーの力で回避しなければなりません」。

あなたは業界の邪魔者になりますね、と尋ねたら彼は「確かにそうですね。中間業者たちは今、私たちに対して頭にきているからね」と答えた。

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カテゴリー:その他
タグ:Colvin資金調達フランス観葉植物B2B

画像クレジット:Colvin

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(文:Mike Butcher、翻訳:Hiroshi Iwatani)

B2B決済をキャッシュレス、フィーレスにするPaystandが約55億円調達

個人がお金を送ったり受け取ったりするのはとても簡単で、たくさんのキャッシュアプリがある。しかし、ビジネスにおいて企業が10万ドル(約1100万円)を同じように送金するのは容易ではない。

Paystand(ペイスタンド)はこの状況を変えたいと考えている。カリフォルニア州スコッツバレーに本社を置く同社は、クラウドテクノロジーとイーサリアムブロックチェーンをエンジンとして使い、手数料(フィー)ゼロで企業間決済を可能にするPaystand Bank Network(ペイスタンド・バンク・ネットワーク)を構築した。

同社は、NewView CapitalがリードしたシリーズCで5000万ドル(約55億円)を調達した。ソフトバンクのSB Opportunity FundとKing River Capitalも参加した。これにより、同社の資金調達総額は8500万ドル(約93億5000万円)に達したと、Paystandの共同創業者でCEOのJeremy Almond(ジェレミー・アーモンド)氏はTechCrunchに語った。

2008年の経済不況の際、アーモンド氏の家族は家を失った。同氏は大学院に戻ることを決意し、商業銀行業務をどのように改善できるか、デジタルトランスフォーメーションがその答えになるかをテーマに論文を書いた。企業側の視点から自身の会社のビジョンを見つけ出し、Venmo(ベンモ)が消費者向けに提供しているものを、Paystandは中堅の法人企業の顧客の商取引に提供していると語った。

「収益はビジネスの生命線で、お金はソフトウェアになりましたが、収益以外はすべてクラウドにあります」と付け加えた。

アーモンド氏によると、企業の決済の約半分はいまだに紙の小切手で行われており、フィンテックでは2〜3%の取引手数料がかかるカードに大きく依存しているという。同氏は、10万ドル(約1100万円)の請求書を日常的に送付するようなビジネスでそれは維持不可能だと話す。Paystandでは、取引ごとの手数料ではなく、月々の定額制を採用している。

Paystandのプラットフォーム(画像クレジット:Paystand)

一般消費者向けのサービスでは、Square(スクエア)やStripe(ストライプ)といった企業が、買掛金管理に特化し、既存のインフラの上にビジネスプロセスソフトウェアを構築するという手法をとっていた。

Paystandの世界観は、売掛金側の方が管理が難しく、なぜか競合他社が少ないというものだ。だからこそ同社は、ブロックチェーンや分散型金融を原動力とするフィンテックの次の波に乗り、カードに代わる自律的でキャッシュレス、フィーレスの決済ネットワークを提供することで、125兆ドル(1京3750兆円)規模のB2B決済業界を変革しようとしているのだ、とアーモンド氏は語る。

3年間にわたってPaystandを利用している顧客は、平均で売掛金のコストを50%削減し、取引手数料を85万ドル(約9350万円)削減するといった利益を得ている。同社では、毎月のネットワーク決済額が200%増加しており、顧客数も過去1年間で2倍に増加した。

同社は、今回調達した資金でオープン・インフラへ投資し、事業の成長を続けていくとしている。具体的に、アーモンド氏は、B2B決済をはじめとするデジタルファイナンスを再起動し、CFOの守備範囲全体を再構築したいと考えている。

「こういうものがあって欲しいと20年前から望んでいました」アーモンド氏は語る。「時には、こうしたセクシーではない分野にこそ、最大のインパクトを与えられるものがあるのです」。

今回の投資の一環として、NewView CapitalのプリンシパルであるJazmin Medina(ジャスミン・メディナ)氏がPaystandの取締役に就任する。同氏はTechCrunchに対し、このベンチャー企業はゼネラリストではあるものの、フィンテックとフィンテックインフラに根ざしていると述べた。

同氏はまた、B2B決済の分野がイノベーションの面で遅れているというアーモンド氏の意見に同意し、中堅企業のキャッシュニーズをプロアクティブに管理するためにアーモンドが行っていることに「強い確信」を持っている。

「決済業界には広大なブルーオーシャンがあります。そして、あらゆる企業は競争力を維持するために完全にデジタル化しなければなりません」とメディナ氏は付け加えた。「デジタル化されていないために収益が伸び悩んでいるとしたら、そこには重大な欠陥があります。だからこそ、今がその時なのです」。

カテゴリー:フィンテック
タグ:PaystandB2B資金調達キャッシュレス決済手数料

画像クレジット:jossnatu / Getty Images

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(文:Christine Hall、翻訳:Nariko Mizoguchi

【コラム】ハードテックの急速な台頭

【編集部注】:本稿の著者Garrett Winther(ギャレット・ウィンザー)氏は、SOSVのハードテック分野のベンチャープログラムであるHAXの、パートナーでプログラムディレクター。エンジニアとしての教育を受けたベンチャービルダーの彼は、SOSV、IDEO、MITでハードテック分野のベンチャー企業を世に送り出してきた。

ーーー

私が、SOSVのHAXという、アーリーステージのハードウェア創業者たちを支援するためのベンチャープログラムチームに参加したとき、テック系の友人たちは首をかしげた。ハードウェアが極めて難しいということを、まだ学んでいなかったのか?というわけだ。だが、彼らが見ていなかったは、冷え切っているという世間の評判とは裏腹に急速に進化しているハードウェアシーンだったのだ。これまでの苦難に満ちたハードウェアのやり方は、新しいよりエキサイティングなやり方に道を譲っていて、ソフトウェアだけでは解決できない、たとえば気候変動のような文明レベルの問題に対応するためのものとして、次々と勃興している。

現在、HAXプログラムに参加する創業者たちと仕事をしていると「世界のエネルギー消費量を10%削減する」という信じられないような(しかし実現可能な)Seppure(セピュア)の計画や「アパレルのサプライチェーンからすべての無駄をなくす」という Unspun(アンスパン)の計画や「世界のバッテリーリサイクルの利益率を5倍にする」というGreen Li-ion(グリーン・リチウムイオン)の話を聞くのが普通のことになっている。

このような野心的目標は、脱炭素化、インフラの近代化、サプライチェーンの確保、従来産業の完全デジタル化などの要求を中心とした、世界経済の新たなメガトレンドを反映している。

機械学習からセンサー、ナノ材料に至るまで、推進するためのツールや技術が、かつてないほど強力で手頃な価格になっているため、高い志を持ち、市場投入までの時間をはるかに短縮することが可能になっている。Bill Gates(ビル・ゲイツ)氏やElon Musk(イーロン・マスク)氏のようなビジョナリーたちが注目し、Blackrock(ブラックロック)のような機関投資家が気候変動対策に力を注ぎ、さらにはHAXと同じ志を持つコミュニティであるThe Engine(ジ・エンジン)、New Lab(ニュー・ラブ)、Greentown Labs(グリーンタウン・ラブ)が台頭してきている。

この新しい世界の範囲は非常に広く、私たちはもはやHAXのテーゼを「ハードウェア」ではなく「Hard Tech(ハードテック)」と呼んでいる。これは難しいという意味で「ハード」だからということと、2010年代初頭のパーソナルハードウェアデバイスや家庭内のIoTといった当初のスコープをはるかに超えているということの両方の意味を持っている。

私たちの周りで次々と誕生しているのは、新世代のハードテック企業の創業者、投資家、技術たちだ。この中で私たちは、ハードテックの潮流がやってくることをひしひしと予感している。

もし「ソフトウェアが世界を食らう」なら、ハードテックがそのための歯を提供する

この30年間は「ソフトウェアが世界を食らっている」と言われてきたが、それはいわば一番手を付けやすいものを楽しんできたのだ。しかし、そうしたスクリーンやサーバーに頼るデジタル世界は、徐々にニッチな市場での限られた利益に縛られるようになっている。Ubiquity Venturesの友人がいうように「Software Beyond the Screen(スクリーンの向こうのソフトウェア)」の時代が来ている。

手頃な価格のロボット、AIを使ったセンサーフュージョン、途切れないコネクティビティ、スーパー素材がテクノロジースタックに統合されて、顧客に新たな価値をもたらしている。多くのHAX企業が、少し前まではSaaS企業しか実現できないと言われていた80%以上の粗利益率のビジネスを行っている。さらには、ハードウェアとソフトウェアの組み合わせは、ソフトウェアだけでは実現できない、産業界を横断するより重要な問題に取り組むことを可能にする。

テスラに学べ、大きな産業で大きな仕事をする

この10年間でTesla(テスラ)が量産車メーカーになった予想外の成功を説明しようとするときに、業界の専門家たちはテスラの「ソフトウェア主導」のアプローチを指摘することが多い。だが真相は、テスラの成功の中心を成しているのは、バッテリー、モーター、そして製造手法、販売モデルなどのハードウエアの強烈な革新なのだ。

この方程式は、エネルギー、建設、農業などの、数兆ドル(数百兆円)規模の巨大産業でも同じように展開されている。これらのカテゴリーでの機会を探している投資家は、大胆に行動する必要があるが、ハードテックを含めて探せば、予想外のリターンが得られることだろう。世界を進化させるためには、Commonwealth(コモンウェルス)のFusion Energyのような核融合炉や、Boston Metal(ボストン・メタル)の排出ゼロ鉄鋼や、Deepspin(ディープスピン)の低価格MRIのような大物が必要となる。テスラや交通システムのように、ソフトウェアがきっかけになることもあるが、一般に産業革命は物理的な世界の革新から生まれるのだ。

B2Bセールスに開かれた新しい扉

このような大規模なチャンスに対応するには、産業レベルでのパートナーや顧客が必要だ。スタートアップ企業には、単独で行動する余裕はない。従来スタートアップ企業に対して行われてきたアドバイスでは、企業パートナーは恐ろしく動きも遅く、スタートアップのペースでは仕事ができない獣のようなものだから、相手をすることを避けるべきだとされてきた。しかし現実には、大企業は新興のハードテックスタートアップに対する興味を明らかに高めていて、多くの企業が、よりリスクの高い複雑なテクノロジーに取り組むためのパイプラインを用意している。ここ数年で、ベンチャーと取引をする企業の数は2倍以上に増えていて、さらに多くの企業が、すでに始まっている業界全体の変革に備えているのだ。

そのため、スタートアップは企業やB2Bマーケットにより迅速に関わるようになり、これが、かつてはソフトウェアのみを扱う企業だけに見られていたスピード感で、多くのB2Bハードテックが数百万ドル(数億円)の収益を上げるまでに成長している理由を説明できている。また、こうした企業へのVC資本の急増や、HAX自身の構成の変化も説明できるのだ。2012年のスタート以来、HAX B2Bのポートフォリオは、投資総額の10%から70%へと拡大しており、その中には急成長中のアーリーステージ企業の大半が含まれている。

ハードテック企業の経営は、より容易により安く

アーリーステージのハードテックスタートアップを立ち上げるための技術や戦略は、10年足らずの間に桁違いに進歩している。3Dプリンターの価格は、2万ドル(約219万円)から200ドル(約2万1900円)に下落した。プリント基板は、(サプライチェーンが混乱している中でも)わずか数日で世界中に出荷されている。何十万社ものサプライヤーがオンラインに存在し、ひと晩で部品を作って出荷することができる。アーリーステージの創業者が少ない予算で、印象的で収益性の高いプロトタイプを作ることは十分可能なのだ。その結果、ハードテック企業の創業者は、コア技術の開発に集中することが可能になり、以前は「ハード(難しい)」とされていた多くのことを当然のことのように考えることができる。APIやAWS、そしてノーコードの台頭がソフトウェアの新たな可能性を引き出したことと同様に、似たような革命が新しいハードテックの世界のバックボーンとなっている。

PhDは未来の憧れの的だ

ハードテクノロジーの商業化は、もはや非現実的な探求ではなく、より多くのPhD(博士号)やポスドクが会社を設立するために活動している。HAXのスタートアップには、PhDを取得した創業者や、博士論文に何年もかけて取り組んでいる創業者がいるのが珍しくない(SOSV Climate 100社の40%以上が少なくとも1人のPhD取得者を擁している)。これらの企業は、大学から直接受ける起業の刺激に応えるだけでなく、気候変動のような文明レベルの大きな技術課題への呼びかけにも触発されている。

これは投資家にとっては容易な道ではない。というのも、そもそも大学の研究室で行われている研究は、非常に高度で、ある意味不確定で、実績のある市場を持たないものであることが多いからだ。言い換えれば、ハードテックのスタートアップは、通常非常に深い水の中にいるため、専門家のリーダーシップや洞察力に高い価値が置かれる。その結果、多くのVCは、次世代の優れた創業者や業界を変革するスタートアップを見逃さないように、科学者やエンジニアを投資チームに迎え入れている。今、私たちは、科学技術分野における最高の頭脳にとってチャンスとなる、黄金時代の始まりにいる。

こうした、HAXにおける新興ハードテックの隆盛は、何年か先に起こるものの予測を語っているのではなく、現在HAXチームが日々ポートフォリオの中で見ているものをただ語っているだけだ。数年前には不可能だと思われていたプロジェクトに対するアイデアの質、創業者の野心、実行のスピードには本当に驚かされている。もちろん、それはまだ難しい(ハード)だが、今後数十年の間にハードテックが必然的な力になるにつれ、より多くの起業家や投資家がハードテックに移行していくだろう。

【情報開示】TechCrunchの元COOであるNed Desmond(ネッド・デズモンド)氏が、現在SOSVのシニア・オペレーティング・パートナーを務めている。

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カテゴリー:ハードウェア
タグ:IoTB2Bコラム

画像クレジット:Theerapong28/Getty Images

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(文:Garrett Winther、翻訳:sako)

ブラウザの拡張機能で商品購入時のカーボンオフセットを提案するEcoCartが約3.3億円調達

EcoCart(エコカート)は、提携するオンラインショップで消費者が商品を購入する際に、排出される二酸化炭素を相殺する方法を無料で提案する(ブラウザの拡張機能を使用して!)会社だ。同社はBase10 Partners(ベーステン・パートナーズ)から300万ドル(約3億2800万円)の資金を調達した。

店舗のウェブサイトを運営する企業は、標準的なアフィリエイトのマーケティングモデルに基づいてEcoCartに手数料を支払い、同社はその収益の一部を消費者の二酸化炭素排出量のオフセットのために使う。

EcoCartと直接パートナーシップを結んでいる企業や、受動的なアフィリエイトマーケティングサービスを通して同社と提携している企業は、約1万社に上る。共同設立者のPeter Twome(ピーター・トゥオミー)氏とDane Baker(デーン・ベイカー)氏によると、EcoCartは企業向けの炭素計算ツールやオフセットサービスも提供しているという。

サンフランシスコを拠点とするこのスタートアップは、ClimeCo(クライムコ)やBlueSource(ブルーソース)などのサービスを利用して、企業が融資可能なオフセットプロジェクトを調達・集約している。

サンディエゴ大学で出会った2人の共同創業者は、以前にToyroom(トイルーム)というスタートアップを起ち上げ、不必要な消費を減らすためにアウトドア用品を顧客に貸し出すという事業を行っていた。

「私たち自身がこの問題に直面しています。持続可能性という理念を維持することは、非常に難しいと我々は認識しました」と、ベイカー氏は述べている。

EcoCartは、ブラウザの拡張機能を利用する仕組みによって、Cloverly(クローバーリー)のような他のオフセットサービスとは一線を画している。その一方で、企業向けサービスでは、購入にともなう二酸化炭素をオフセットするオプションがチェックアウトフローに直接組み込まれる機能などを提供している。

EcoCartは、2020年6月にB to B(企業間)統合を開始し、現在では500社のベンダーが顧客となっている。これまでに、消費者の約4分の1が購入した商品を会計する際にオフセットすることを選択しており、その結果、約2500万ポンド(約1万1340トン)の二酸化炭素を削減することができたという。

同社を支援する投資家には、PopSugar(ポップシュガー)の共同創業者であるBrian Sugar(ブライアン・シュガー)氏が運営するアーリーステージの企業を対象としたベンチャーファンドのBase10 Partners(ベーステン・パートナーズ)をはじめ、Privy(プリヴィ)の創業者であるBen Jabbawy(ベン・ジャバウィ)氏、Klaviyo(クラビヨ)のグローバルパートナーシップ担当VPであるRich Gardner(リッチ・ガードナー)氏、Chubbie(チャビー)の共同創業者であるKyle Hency(カイル・ヘンシー)氏、Blue Bottle Coffee(ブルーボトルコーヒー)会長であるBryan Meehan(ブライアン・ミーハン)氏、BarkBox(バークボックス)の共同創業者であるCarly Strife(カーリー・ストライフ)氏などのエンジェル投資家が含まれる。

オンラインショッピングというと環境に悪いイメージがあるが、2020年Nature(ネイチャー)誌に掲載されたある研究によると、実際には実店舗での買い物より環境に優しくなる場合もあるという。

消費者によるオフセットは、善行ではあるものの、企業が実際に温室効果ガスの排出を抑制し、事業を脱炭素化することに比べると、同等の効果を得ることはできない。実際のところ、消費者のカーボンフットプリントや、地球汚染に対する消費者の個人的な責任という概念は、石油・ガス会社や消費財メーカーに頼まれて、広告会社の幹部が商品を売り込むために考え出したものだ。

しかし、何もしないよりは良いし、環境のために必要なプロジェクトの資金調達に役立つことは確かだ。

EcoCartは、数カ月かけてオンライン注文のカーボンフットプリントを計算する独自のアルゴリズムを開発したという。電子商取引用プラグインとブラウザ拡張機能のいずれも、商品への材料投入量、配送距離、パッケージの重量など、各注文の特徴を利用して、その注文から発生する二酸化炭素排出量を推定しているという。

「EcoCartは、ブランドが顧客と対話しながら、環境への影響を大規模に管理・対処する方法を再構築するものであると、我々は確信しています」と、Base10 PartnersのプリンシパルであるChris Zeoli(クリス・ゼオリ)氏は述べている。「EcoCartは、何十年にもわたって続いてきた有害な気候変動を元に戻すために役立つソリューションです。Base10は、EcoCartの創設者たちが、カーボンニュートラルなショッピングを、小売、マイクロモビリティ、フードデリバリーなどの業界で新しいチェックアウトの基準にしていくための活動に、パートナーとして協力できることを誇りに思います」。¥

カテゴリー:EnviroTech
タグ:EcoCartカーボンフットプリントカーボンオフセット資金調達ブラウザー機能拡張B2Bネットショッピング

画像クレジット:Taqi Fatikh/EyeEm / Getty Images

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(文:Jonathan Shieber、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

B2B営業のためのプラットフォームAccordがシードで約6億円調達

B2B営業に注文をもたらすことにフォーカスしているアーリーステージスタートアップAccord(アコード)の創業者たちは、あなたが想像するようなエンジニア創業者ではない。その代わりRoss Rich(ロス・リッチ)氏、Ryan Rich(ライアン・リッチ)氏の兄弟は、この手の直接販売にありがちな問題を目の当たりにしてきた営業担当者だった。

2019年11月、2人はAccordを立ち上げて、売り手と買い手の両方のニーズを考慮するB2B営業のためにプラットフォームに欠けていると彼らが確信しているものを構築するために、給料の良いGoogle(グーグル)とStripe(ストライプ)での仕事を辞めることを決めた。

Accordはシードラウンドで元雇用主のStripeとY Combinatorから600万ドル(約6億3000万円)を調達し、事業を開始しようとしている。創業者たちは仕事を辞めてからYCに申し込み、プロダクトをまだ持っていなかったにもかかわらず洞察と業界での経験でインキュベーターに強い印象を与えたことは注目すべきだろう。

プロトタイプの原型はアイデアを書いたものだった(画像クレジット:Accord)

営業スキルはあるが、プログラミングの能力を欠いていると2人は認識し、アイデアを現実のものとすべく、すぐさま3人目のパートナーとしてWayne Pan(ウェイン・パン)氏を迎え入れた。今日では、有料の顧客を抱える実際に機能しているプログラムを持っている。彼らはB2Bの営業担当者とバイヤーがやり取りできるオンラインハブのようなものを構築した。

共同創業者のロス・リッチ氏が指摘するように、こうした種の販売は多い場合平均14人が買い手となるコンシューマーバラエティとはかなり異なる。あまりにも多くの人が意思決定プロセスに関わると、すばやい対応が困難になる。

「アプリケーションの中で共有された次のステップとマイルストーン、バイヤーが非同期的に追跡できるもの、1つの書類やプレゼンテーションのための何百通もの電子メールやスレッドの分類を避けるためのリソースハブ、適切な人が適切なときに輪にいるようにするステークホルダー・マネジメントを当社は提供します」とリッチ氏は説明した。

Accordはまた、興味をそそるデータがきちんと営業データベースで追跡されるようにするためにSalesforce(セールスフォース)のようなCRM(顧客管理)を取り込んでいる。同時に、スタートアップにとってこのプラットフォームが人的交流のための場所であってほしいともリッチ氏は話す。自動の電子メールやテキストの代わりにAccordは人が実際に交流できる場所を提供していて、人の要素はこうした種のディールに固有の複雑さを減らすのに重要だと同社は確信している。

600万ドルのランウェイとY Combinatorでの経験を得て、創業者たちはこれまで以上に一致団結して市場開拓を進める準備が整っている。Accordのスタッフは現在9人で、営業専門の2人の創業者をのぞき、大半がエンジニアだ。リッチ氏は2021年何人が雇用する意向を示したが、今後数カ月内に確定させると言い、現時点では実際に何人採用するかはまだはっきりしていない。

採用にともない、Accordは女性数人にエンジニアリングチームに加わってもらうことを考えている。多様性は早期に始めなければ、後からはなおさら難しくなると同社は認識している。「9、10人採用しようと誰かに声をかけ、そうした人たちが『このチームを信用し、これが働きたいカルチャーだろうか』と思案するとき、(早期の多様性のあるグループの雇用は)混ぜ合わせるだけです」。多様性がありインクルーシブな職場を作りたいなら、その投資は早く開始しなければならない、とリッチ氏は話す。

Accordのチームはまだ初期段階にあるが、B2Bの営業チームがこれまで以上に緊密かつ効果的に顧客と協業するのをサポートするプロダクトを構築していて、Accordはこの分野での経験と業界の知識があることから成功に向けいい位置につけているようだ。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:Accord資金調達B2Bセールステック

画像クレジット:Accord

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(文:Ron Miller、翻訳:Nariko Mizoguchi

AdobeがB2B向け顧客データプラットフォーム開発を発表、2021年前半に製品化

顧客データプラットフォーム(CDP)の概念は比較的新しいものだ。これまでは、さまざまなチャネルから個々の消費者に関するデータをスーパーレコードとして収集することに主眼が置かれていたが、理論的にはこれらすべての詳細な情報に基づいて、より意味のあるコンテンツを提供したり、よりカスタマイズされた体験を提供したりすることができる。Adobe(アドビ)は米国時間11月24日、この手のデータ統合が不足している主要市場であるB2B(Business to Business)の顧客向けに、そのような製品を作成する意向を発表した。

実際、この製品を担当することになったアドビのMarketo Engage製品マーケティング担当ディレクターであるBrian Glover(ブライアン・グローバー)氏によると、この種の営業はより複雑で、B2Bの営業やマーケティングチームはCDPを渇望しているという。

「私たちはこの数年間、Marketo EngageをAdobe Experience Cloudに統合することに費やしてきました。現在、私たちが行っていることは、次世代の新しい補完的なB2B製品をExperienceプラットフォーム上に構築することであり、その第1弾がB2B向けのCDP製品です」とグローバー氏は話してくれた。

グローバー氏によると、B2B営業には通常、購買グループが関与しているため、CDPを適応させるには独自の難しさがあるという。つまり、その過程における様々な人々の異なる役割に合わせて、メッセージをカスタマイズする必要があるということだ。

個人消費者は通常、自分が欲しいものをわかっているので、購入の意思決定を促して購入を完了させることができる。しかしB2Bセールスは通常、異なるレベルの調達が関与し、より長く、より複雑なものになる。たとえばテクノロジーの販売では、最高情報責任者(CIO)をはじめ、そのテクノロジーを使用するグループ、部門、部署、財務部門、法務部門などが関与する場合がある。また提案依頼書(RFP)が必要な場合もあり、販売サイクルは数カ月から数年におよぶこともある。

アドビはこのような販売でも、またその過程が複雑ならなおのこと、個人向け販売で使用するのと同じカスタマイズされたメッセージングアプローチを使用することができるはずだ、と考えている。B2Bのマーケティング担当者はいま、組織内にデータが分散しているという点で、B2Cのマーケティング担当者と同じ問題に直面している。

「B2Bでは購買グループやアカウントが複雑になることで、データ管理の問題がさらに深刻になります。なぜなら最終的には顧客データに接続する必要があるだけでなく、アカウントデータにも接続して、2つのデータをまとめられるようにする必要があるからです」とグローバー氏は説明する。

購買サイクルにおける各個人のより完全なイメージを構築することで、グローバー氏がいうように、アカウント全体のパンくずをまとめ始めることができるというわけだ。

顧客関係管理(CRM)はこのような複雑性に向けて構築されたものではないので、B2Bのセールスとマーケティングをサポートするために構築されたCDPのような専門のツールが求められていると、グローバー氏は考えている。

アドビはこの製品について初期の顧客と協力して作業を行っており、2020年12月末までにはベータ版に移行し、来年前半にはGA版を完成させる予定だという。

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:AdobeマーケティングB2B

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(翻訳:TechCrunch Japan)