“営業リスト作り”を変革する企業情報DBのBaseconnectが4.3億円調達、半年で約5000社が導入

法人営業のリスト作りなどに活用できる企業情報データベース「Baseconnect LIST」を開発するBaseconnectは11月16日、複数の投資家を引受先とした第三者割当増資と金融機関からの融資により、総額4.3億円を調達したことを明らかにした。

プレシリーズAラウンドとなる今回は同社にとって4度目の資金調達。2017年2月のプレシードラウンド、同年12月のシードラウンド2018年2月のユーザベースとの資本提携に続くものだ。今回も含めると累計の調達額は約6.4億円。代表取締役の國重侑輝氏の話では、そのうち4億円程度が融資による調達だという。

以下は今回の調達先のリスト。フォローオン投資が中心で、キャナルベンチャーズ、京銀リース・キャピタル、池田泉州キャピタルは新規の株主だ。

  • ジェネシア・ベンチャーズ
  • YJキャピタル
  • キャナルベンチャーズ(日本ユニシスCVC)
  • 京銀リース・キャピタル(京都銀行グループ)
  • 池田泉州キャピタル
  • ユーザベース
  • みずほキャピタル
  • イーストベンチャーズ
  • 京都銀行、みずほ銀行、池田泉州銀行など (融資)

Baseconnectでは今後さらにデータの増強に力を入れる計画。データ作成を担うリサーチャーの採用を進めるほか、新機能の開発に向けて開発体制を強化する。

β版リリースから半年で導入企業数が5000社超え

Baseconnect LISTは法人営業を支援する企業情報データベースだ。各企業ごとに事業説明や業績など35項目以上のデータが整理されていて、それらをさまざまな切り口(25以上)で絞り込むことが可能。過去の営業アプローチ履歴や成約企業の特徴を基に、成約の可能性が高い企業を提案する機能も備える。

従来であれば担当者が数時間かけて苦労しながら行なっていた“見込み客のリスト作り”や“テレアポや商談前の情報収集”を効率化し、数分程度までにグッと削減できるのがウリ。現在は月間に取得できる企業情報の数に応じて、無料から月額30万円まで複数のプランで提供している。

2月1日にクローズドのα版、4月1日に現在のβ版をそれぞれローンチ。β版の公開から約半年で導入企業数は5000社を突破した。

國重氏によると初期は中小・ベンチャー企業が中心だったものの、直近3ヶ月ほどで大手企業や有名企業でも導入が加速。法人営業の業務効率化だけでなく、提携先の開拓やM&Aの候補先探しなどにも使われ始めているという。

これまではほぼノンプロモーションだったため、5000社についてはオーガニックの検索流入や口コミ、既存顧客からの紹介で獲得しているそう。ここ数ヶ月は毎月約1000社ペースで顧客が増えている。

「未上場企業も含めて会社の正しい情報をデータベース化し、それをオンライン上で公開しているサービスがほとんどない。その点に関してはローンチ前の目論見が当たった部分もあり、いいスタートがきれている。会社名や『アパレル企業』などのジャンルで検索した際に上位表示されるケースが増えてきていて、検索エンジン経由の流入が多い」(國重氏)

背景にあるのは企業データ数の増加だ。11月13日時点でデータベース上に登録されている企業データ数は42万件を突破。2月に取材した際は13万社ということだったから、8〜9ヶ月ほどで約30万社増えたことになる。

「ここがユーザーへの価値にも直結する。営業のリスト作成に使われることが多いので、自社の見込み顧客を探したときに100件くらいしか出てこないと、お金を払って使おうとはなかなか思われない。どれだけデータベースの網羅性を上げられるかを重要視して、データ作成に注力してきた」(國重氏)

データ整備を加速、営業管理に対応した新たなアプリケーションも

β版リリースからの半年はデータの整備に力を入れていたこともあり、現在のBaseconnect LISTでは膨大なデータベースから該当する企業をリストアップしたり、その情報をダウンロードしたりできる部分が強み。一方でダウンロードした後のリスト管理や進捗管理にはエクセルやセールスフォースなど別のツールを利用するユーザーが多く、十分には対応できていなかった。

「ここでデータが分断されてしまい、ユーザーにとっても使い勝手が良くない」(國重氏)こともあり、今後は自社で営業管理や取引先管理に関する新機能を提供する方針。そのほかデータ作成の一部を自動化するシステム開発にも取り組む。

「(営業リストの作成など成約前だけではなく)ゆくゆくは成約後の与信管理までやっていきたい。与信スコアリングや、代表者の交代など何か取引先で変更があった際のアラート、反社チェックまでを自動化、効率化できるようにしていく」(國重氏)

そのためにも、まずはできるだけ早くユーザーが満足するレベルの企業データを網羅することが目下の課題。今回調達した資金も主にこのデータの拡充のために用いるという。

國重氏曰く「40万社でもまだまだ足りない。靴屋で例えると、まだ運動靴しか扱っていないような状況」なのだそう。まずは来年春を目処に100万社まで企業データ数を拡大する予定のほか、拠点データや経営陣などの人物データ、扱う商品のデータなどより細かいデータも整備していく計画だ。

後列の左から3人目が代表取締役の國重侑輝氏