寒い季節でもミツバチの健康を保つ技術で収穫量を最大90%も増加させるBeeflow

ミツバチは私たち人間の農業や、地球上の生態系、そして地球上の生物種としての全体的な幸福のために、絶対的に必要不可欠な存在だ。しかしながら、ミツバチの個体数は減少しており、絶滅の懸念が大きくなっている

米国時間6月29日、スタートアップ企業Beeflowは830万ドル(約9億2000万円)のシリーズAラウンドの完了を発表した。同社はミツバチを救うことと、農家の経営効率を上げることの両立を追究している。

Beeflowは、独自の科学技術を用いて、特に寒い季節においてミツバチをより健康にする。膨大な研究の結果、ある種の植物性食品や分子をミツバチに与えると、ミツバチの死亡率が最大70%減少し、寒い気候での元気が増すことがわかった。

元気という表現は何のことを曖昧だと思うかもしれないが、それは当然だ。

ミツバチは地球上の天然の受粉媒介者だ。花を実らせるために、花粉をある場所から別の場所へと運んでいく。多くの農家では、養蜂家からミツバチを「レンタル」してもらい、農場で植物の受粉をやってもらっている。しかし、その効果はほとんどすべての面で測定することができず、ミツバチ自体を本当の意味でコントロールすることも不可能だ。

Beeflowの技術により、ミツバチは健康で丈夫になり、寒冷な気候の中でも、それがない場合に比べて最大7倍もの飛翔が可能になる。これは、ミツバチが農家のために効果的、効率的に作物を受粉させる可能性が高くなることを意味する。

同社は、ミツバチの死亡率を下げるだけでなく、ブルーベリーやアーモンドといった特定の作物を狙うようにミツバチを訓練する「ToBEE」という製品も提供している。

これらのBeeflowのプロダクトを組み合わせることで、農家は作物の収穫量を最大90%増加させられるという。

Beeflowのビジネスモデルは2つある。1つが自社で保有するミツバチを農家に貸し出して受粉させるというもの。もう1つが、養蜂家と協力して彼らをBeeflowのネットワークに参加させるというものだ。養蜂家はBeeflowの技術にお金を支払のではなく、農家との関係を権利として提供する。

アルゼンチン出身のMatias Viel(マティアス・ビエル)氏が設立したこのスタートアップは、主にラテンアメリカと米国西海岸で事業を展開しているが、今後は東海岸やメキシコにも進出する予定だ。

「最大の課題は、オペレーションとその実行です。非常に多くの需要があり、我々は今、チームとオペレーションの規模を拡大する必要があります」とビエル氏はいう。

今回の資金調達ラウンドはOspraie Ag Scienceがリードし、Future VenturesのSteve Jurvetson(スティーブ・ジャーベンソン)氏やJeff Wilke(ジェフ・ウィルク)氏、Vectr Ventures、SOSVのIndieBioとGrid Exponentialが参加した。

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カテゴリー:バイオテック
タグ:Beeflow農業ミツバチ資金調達

画像クレジット:Beeflow

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(文:Jordan Crook、翻訳:Hiroshi Iwatani)