ウォーレン氏やサンダース氏を含む9人の上院議員が労働者の解雇でAmazonに公開書簡

マサチューセッツ州選出の民主党員Elizabeth Warren(エリザベス・ウォーレン)氏をリーダーとする9人の上院議員グループが今週、Amazon(アマゾン)のCEO Jeff Bezos氏宛に公開書簡を送り、最近の社員解雇に関する詳しい情報を求めている。その声明は、COVID-19と気候変動に関する同社のポリシーを強硬に批判した4名の従業員の解雇に言及している。

Bernie Sanders(バーニー・サンダース)氏とCory Booker氏、Kamala Harris氏、Sherrod Brown氏、Kirsten Gillibrand氏、Ed Markey氏、Richard Blumenthal氏、およびTammy Baldwin氏らが署名しているその書簡は、次のように述べている:

これら4名のワーカーが、彼らの解雇に先駆けて、Amazonの倉庫における労働者の健康と安全を護るために活動してきたことは、公開されている彼らの履歴において明らかであり、しかし他方には、「内規」への違反に関するAmazonの曖昧な公開声明があるのみである。これらの状況に鑑みわれわれは、その内規なるものが何であるかを正しく知るための、さらなる情報を求めるものである。

書簡は9つの質問を呈示し、BezosとAmazonに5月20日までの回答を求めている。上院議員たちが具体的に指摘しているのは、Christian SmallsとBashir Mohamed、Maren Costa、およびEmily Cunninghamの解雇であり、全員が同社のCOVID-19対応を公然と批判していた、としている。4名の内何名かは、彼らの解雇が内部告発と直接に結びついていると信ずる、と公けに声明しているが、Amazonはそれを断固否定している。

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当時TechCrunch宛ての声明で同社は、「社員の労働条件を批判する権利を、弊社はすべての社員に認めている。しかしそれは、いかなる内規に違反してもよいとする無条件の免罪性を意味するものではない。これらの社員は、内規への違反を繰り返したために解雇した」、と言っている。

5月1日には副社長のTim Bray氏が公然と同社を去り、Amazonはまた一人社員を失うことになった。そしてその日には、国中のワーカーが労働条件をめぐってメーデーのストに参加した。

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Bray氏はこう書いている: 「Amazonの副社長として残ることは、自分が忌み嫌う行為を黙認することになる。だから辞めた。被害者は抽象的な実体ではなく本物の人間だ。名前もある。Courtney Bowden(コートニー・ボーデン)、Gerald Bryson(ジェラルド・ブライソン)、Maren Costa(マレン・コスタ)、Emily Cunningham(エミリー・カニンガム)、Bashir Mohammed(バシル・モハメッド)、Chris Smalls(クリス・スモールズ)だ。全員が非白人または女性またはその両方なのは、確実に偶然だ。そう思いたいね」。

上院議員たちの書簡は、同社における不平等に関するBray氏の懸念を反映するかのように、次のように問うている: 「Amazonでは、技術系労働者と倉庫労働者と役員が規律と解雇に関する同一のポリシーを有しているか?」。

上院議員たちがAmazonに圧力をかけようとしたのは、これが初めてではない。Sanders氏は同社の最低賃金(時給)を15ドルに上げる要求と活動のリーダー格になり、Warren氏は2020年の大統領選出馬にあたって、同社を(GoogleやFacebookなどと共に)分割すべきと主張した。

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一方Amazonはこのところ、同社のコロナウイルスへの対応をめぐる論調にとても敏感になっている。Bezos氏の例年の株主宛書簡と同社の決算報告の両方で、それは大きく扱われている。今週初めには、倉庫労働者がまた一人、ウイルス検査で陽性になったあとで死亡した。また4月半ばには、Amazonの少なくとも74の倉庫で一部の労働者が陽性だった。

本誌は、書簡に関するコメントをAmazonに求めている。

画像クレジット: Erin Clark for The Boston Globe/Getty Images

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

長文記事を音声変換するアプリAudmをNYタイムズが買収

長文記事を音声コンテンツに変えるスタートアップのAudm(オードゥム)は3月22日、The New York Times Company(ザ・ニューヨーク・タイムズ・カンパニー)に買収されたと発表した。InstapaperやPocketなどの最新のアプリを含め、ニュース記事を音声に変換するサービスは他にもあるが、Audmは自動音声技術を使わず、コンテンツをプロの声優が読み上げることで差別化している。これによりコンテンツはより楽しく聴けるものになり、例えばポッドキャストを聴くような感じになる。

同社は2007年、コロンビア大卒業生のRyan Wegner(ライアン・ウェグナー)氏とChristian Brink(クリスチャン・ブリンク)氏が設立した。2人はそれぞれ心理学とソフトウェア開発のバックグラウンドを持つ。大学時代は互いを知らなかったが、2014年に出会い、音声ニュースアプリのアイデアを持ち寄ることになった。彼らは当初、クラウドソーシングによるナレーションで試行していたが、後にプロの声優を使い頭角を現した。

同社は2017年にY Combinatorのスタートアップアクセラレータに参加し、ビジネスをさらに発展させた。Audmは当時Wired、The Atlantic、Esquire、Harper’s Bazaar、The New York Review of Books、ProPublica、London Review of Booksなど、さまざまな出版業界のパートナーと協力していた。 同社のウェブサイトによるとThe Atlantic、Outside、BuzzFeed News、Vanity Fair、The New Yorker、New York、Rolling Stone、Texas Monthlyとも協業している。

もちろんThe New York Times(NYT)もAudmと協業していたが、限定的なものだった。現在、Audmには利用可能なNYTストーリーが2つしかなく、両方とも2019年のものだ。今回の買収に伴いそれは変わると思われる。

同社は、新型コロナウイルスのパンデミックからの逃避と救済のために、毎週日曜日に「The Daily」でNYTの記事の朗読を提供する計画をすでに検討し始めたという。これは、Taffy Akner(タフィー・アンカー)氏によるTom Hanksのプロフィール記事Sue Dominus(スー・ドミナス)氏によるコロンビアの双子の兄弟の話から始まった。

The New York Times Magazineのオーディオストーリーも制作されている。AudmアプリでThe Wingblack theaterBernie Sandersその他の特集が聴ける。NYTによると、モバイルページなど他の形式での配信も試行中であり、Magazineから他の媒体への拡大も予定している。

現在、ユーザーはAudmアプリを3日間無料で試用した後、月額8.99ドル(約1000円)または年額59.99ドル(約6700円)でサービスを利用できる。The Times Companyは、ビジネスモデルが今後どう進化するのか、そもそも進化するのか、Audmのサービスが独自のNYTアプリと統合されるのか、詳細を明らかにしていない。

App Storeのプロファイルによると、AudmはMagazines&Newspapersカテゴリーで20位にランクされた。このアプリはAndroidでも利用できるが、ランキングは高くない。

NYTの発表によると、Audmは他の出版社を含め、毎週何時間分もの新しいストーリーを導入し続ける予定だ。

話し言葉の音声制作担当ディレクターであるウェグナー氏と、Audmの製品担当ディレクターであるブリンク氏、チームの他のメンバーは、買収された後Times Companyに参画した。

Pitchbookのデータによると、AudmはY CombinatorHack VCPrecursor VenturesSwitch Venturesからアーリーステージの資金を調達している。

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(翻訳:Mizoguchi

3月3日はスーパーチューズデー、バイデン復活のカギはシリコンバレーでの資金調達

いよいよ米国時間3月3日にスーパーチューズデーを迎える。民主党大統領候補を目指すJoe Biden(ジョー・バイデン)元副大統領はサウスカロライナ州でBernie Sanders(バーニー・サンダース)候補に大勝した勢いを維持して復活を図ろうとしている。シリコンバレーが今後のバイデン候補の民主党予備選における資金を調達する生命線となる公算は高い。

バイデン候補を支持する政治行動委員会(スーパー PAC)のUnite the Country(我が国を統合しよう)にはシリコンバレーの成功者が多数含まれている。委員会の財務責任者、Larry Rasky(ラリー・ラスキー)氏はCNBCのインタビューで、「我々はスーパーチューズデーに放映する広告枠を購入している」と述べている(米国時間2月28日のFederal Election Committeeの文書で公開ずみ

これまでのUnite the Country委員会のFECデータにはLinkedInのファウンダーでGreylock Partnersのベンチャー・キャピタリスト、Reid Hoffman(リード・ホフマン)氏 の50万ドル(約5420万円)、エンジェル投資家のRon Conway(ロン・コンウェイ)氏の25万ドル(約2710万円)などが記録されている。

FEC提出文書

バイデン候補は劣勢を続けていたが、サウスカロライナ予備選でサンダース候補に28.5%ポイントの差をつけて勝った。しかしバイデン候補はアイオワ、ニューハンプシャー、ネバダの予備選で連敗し、 資金調達が困難になっていると報じられていた。

直近に公開されたFEC(連邦選挙活動)報告書によればサウスカロライナ予備選でバイデン候補の手持ち資金は710万ドル(約7億6910万円)だったのに対し、サンダース候補は1700万ドル(約18億4150万円)近かった。

サウスカロライナ予備選以降、民主党の大統領候補指名争いはサンダース対バイデンに絞られた感がある。一時ブームとなったPete Buttigieg(ピート・ブティジェッジ)氏が撤退し、大富豪のTom Steyer(トム・スタイヤー)氏も去った。元ニューヨーク市長でBloombergグループの創立者、Mike Bloomberg(マイク・ブルームバーグ)氏は今回初めてスーパーチューズデーに挑戦するが、同氏が期待しているようなブームを起こせるかどうかは不透明だ。

指名獲得に必要な代議員数ではサンダース候補がバイデン候補を引き離している。バーモント州上院議員のサンダース候補はスーパーPACによる資金調達を拒否して1億2600万ドル(約136億4700万円)という巨額の選挙資金を小口の寄付のみで調達してきた。

NBCニュース

共和党が弱い巨大州(ニューヨーク、カリフォルニアなど)は、本選で民主党候補が取れることが確実であり非常に重要な地域だ。ここでの選挙活動に十分な資金調達をできるかどうかは、大きな意味を持つ。サンフランシスコ周辺やマンハッタンなど富裕層がいる地域は民主党候補にとっていわば貯金箱として機能してきた。

しかし、シリコンバレーでバイデン・グループが資金調達活動に力を入れることは、テクノロジー企業内部の政治的亀裂を明るみに出すリスクがある。つまり成功したファウンダーや企業上層部が穏健で全国区で勝ち目のあるバイデン候補を推す一方で、中下層の有権者は「バーニーはすごいぞ」というキャンペーンスローガンに傾く。

LA TimesCenter for Responsive PoliticsのFEC文書の分析によれば、ハイテク企業の労働者による小額寄付は圧倒的にサンダース候補に集中している。LA Timesは「サンダース候補はGoogle、Amazon、Apple、Microsoft、Facebookの社員からの少額寄付のみでバイデン候補の4倍近い100万ドル(約1億1000万円)以上を集めた」と報じている。た。

テクノロジー系大企業内部の分裂は、候補者の政策の差異によるものだ。バイデン候補の立場は、全般に穏健で各種のイニシアチブにも現実性がある(のに対して)、サンダース候補は奨学金問題に焦点を絞っており、Facebookなどの大企業に亀裂を持ち込む可能性がある。サンダース候補は、ハイテク企業内の賃金格差に厳しく対処し、FacebookとAmazonを分割すべきだと強く主張している。

しかし資金調達がどうであれ、カリフォルニア州のファウンダーも社員も3月3日の火曜日には投票所で自分の意見を表明するチャンスがある。カリフォルニア州は、予備選のスーパーチューズデーを構成する13州の1つだ。この結果は今後の予備選および選挙資金調達の行方に反映されるだろう。民主党の大統領選挙候補者は2020年7月にミルウォーキーで開催される党全国大会で決定される。

画像: Alex Wong / Getty Images

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滑川海彦@Facebook

“ベゾスへの補助金をゼロにせよ”法案、サンダース上院議員が提出

Bernie Sandersは、言葉を濁すタイプではない。過去数週間、バーモント選出の孤高の議員は世界一大きく、金持ちといえる企業に接近してきた。約束通り、2016年の大統領選の候補だったSandersは、彼が考えるところの“企業福祉”に終止符を打つ法案を提出した。

Ro Khanna議員(民主、カリフォルニア選出)とともに、Stop Bad Employers by Zeroing Out Subsidies (BEZOS)という名称の法案を提案した。Sandersは今日ワシントンで記者会見し、彼が考える”今日の米国における大きな経済危機”に的を絞った法案を発表した。

「失業者率は低いものの、何百万という国民が家族を十分に養うことができないような低賃金で働く事態に終止符を打つ」。Sandersは記者団に対しこう述べた。「今日、米国には下50%よりも多い富を持つ最も裕福な人が3人いる」。

この法案は”従業員が500人以上の企業に、低い賃金で働く従業員が受け取っている連邦補助金と同じ額を課税する”ためのものだ。

法案名、そして最近のSandersの言葉からもわかるように、Sandersは特にAmazonのトップ、Jeff Bezosを標的にしている。

「Amazonの創業者Jeff Bezosは地球上で最も裕福だ。今年の初めから、彼の資産は毎日2億6000万ドルずつ増えている」とSanders事務所が出したリリースにはこう書かれている。「一方で、何千というAmazonの労働者は賃金があまりにも安く、フードスタンプ(食料品購入のための公的補助)に頼っている」。

これについて、AmazonはSandersの主張が「不正確で人々の誤解を招く」とし、「Sanders議員が策を弄する間に、我々はキャリアチョイスプログラムを通じて従業員のスキルアップを図るのに実際にお金を費やしている」と反論した。

今回の件についてAmazonはコメントを拒否している。

イメージクレジット: Alex Wong / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi)

サンダース上院議員がAmazonの反論に反論、低賃金を国民の血税で補うのは不条理

来週、先の大統領選でかなりの人気を獲得したBernie Sanders上院議員が、政府の“企業優遇策”を利用して社員に低賃金を払っている大企業を規制する法案を提出する。この上院議員にとくに激しく叩かれているのが、AmazonとWalmartだ。そしてその議論は、最近の数日間でますます過熱してきた。

昨日(米国時間8/28)の本誌TechCrunchに載ったSanders上院議員のAmazon批判に対して今朝(米国時間8/29)は、AmazonがSandersを批判して、Amazonの倉庫の状態に対する彼の批判は“正しくないし人びとの誤解を招く”、と反論した。するとこのバーモント州出身の上院議員は、Amazonのフルフィルメントセンターの賃金は“不条理だ”、と反撃した。

彼は言う: “Amazonでは何千人もの社員が、賃金があまりにも少ないので、フードスタンプ(食料切符)とメディケイド(低所得者障害者向け医療費扶助)とパブリックハウジング(低所得者用公共住宅)に依存せざるをえない。The New Food Economyによるとその比率は、アリゾナでは3人に1人、ペンシルベニアとオハイオでは2400名だ。結論としては: わが国の納税者は、1550億ドルを保有しているBezos氏が所有する企業の社員を補助すべきではない。それは、不条理だ”。

昨日のインタビューでSandersは本誌TechCrunchに、同社が社員に関する情報をくれない、と述べた。すると同社は、上院議員は倉庫のツアーへの招待にまだ応じていない、と言い返した。

Sandersは曰く: “フルフィルメントセンターを訪ねる件に関しては、先月はウィスコンシンへ行って、ケノーシャのフルフィルメントセンターの訪問をリクエストした。残念ながらAmazonは、それに応じなかった。9月にはバージニア州チェスターのフルフィルメントセンターを訪ねて、詳細をAmazonと詰めたいと思っている。安全でない労働環境については、海軍の復員兵Seth Kingなど、労働者からの聴き取りもしている。少なくとも一人は、倉庫で死んだらしい”。

もちろん、Amazonのフルフィルメントセンターの状況を問題として取り上げたのは、Sandersが初めてではない。何年も前から、現在や過去の社員たちからの話が、あちこちに登場している。Sandersの批判の標的であるJeff Bezosは、最近の取材に対して、“わが社の労働環境にはとても満足しているし、わが社が払っている賃金にもきわめて満足している”、と答えている。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa