NASAが来年計画している有人の商用宇宙飛行をiOSとWebのアプリで疑似体験できる

商用の有人宇宙飛行を目指しているNASAが、モバイルアプリとWebアプリケーションでその簡単なシミュレーションを提供している。来年行われるその商用飛行にはSpaceX Crew DragonとBoeing Starlinerが使われるが、シミュレーションはその両方を疑似体験できる。

アプリはその飛行の各過程を順に追っていく。それは宇宙船の選択に始まり、ミッションのタイプを決め、乗員を選び、打ち上げ、ドッキングと進む。それぞれの部分に関するある種の教育が目的で、あらゆる細部がリアルなフライトシュミレーターではない。しかし国際宇宙ステーションへのドッキングは自動と手動の両モードがあり、手動はかなり難しくておもしろい。

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Crew DragonとStarlinerの両方とも、そして打ち上げ用ロケットに関しても、とても詳しい情報がある。あなたがその中から乗員を選ぶ10名の実在する宇宙飛行士については、人物像と履歴の情報がある。アプリをiPhoneで試したが、打ち上げ準備の部分にちょっとバグらしきものがある以外はとくに問題ない。その部分では、ブースターや乗員用カプセルなど、宇宙船の打ち上げの各要素が詳しく分かる。

この「Rocket Science: Ride 2 Station」と名付けられたアプリは無料でダウンロードでき、現在はiOS用がある。Webアプリケーションはここだ

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

SpaceXが国際宇宙ステーション向けにBigelow社のゴムボート式居住区を打ち上げる

2016-03-30-bigelow-beam

国際宇宙ステーション(ISS)への次回の物資補給に際して、SpaceXはBigelow Aerospaceが製作した膨張式の居住区を打ち上げる計画だ。4月8日に予定されているFalcon 9ロケットには「ビゲロー拡張式活動モジュール(Bigelow Expandable Activity Module, BEAM)が折り畳んだ状態で搭載される。宇宙ステーションの適切なノードに固定され、空気によって膨らませることができれば、ISSに新しい居住区が追加されることになる。

The space station's Canadarm placing BEAM onto Node 3 / Courtesy of NASA

ISSのロボットアームがBEAMをNode 3に取り付ける(想像図) / NASA

SpaceXのDragonカプセルは打ち上げから数日後にISSにドッキングする。つまり4月の中旬にISSのロボット・アームがBEAMモジュールをつかみ、Dragonの荷物室から引き出してISSのノード3に取り付ける。BEAMの膨張作業は5月の終わりか6月初めに予定されている。正確な日時はクルーの作業日程より決定される。完全に膨張するとBEAMの内部空間は折り畳まれた状態の10倍になる。

Illustration of NASA's TransHab design / Image courtesy of NASA

INASAの当初のTransHab宇宙居住区のデザイン(キャンセルされた) / NASA

Bigelow Aerospace社は15年前にRobert Bigelowによって創立された。BigelowはBudget Suites of Americaというリゾートホテル事業で財をなした。NASAはTransHab in 2000という膨張式宇宙居住カプセルを開発していたが、議会の財政緊縮策によってキャンセルを余儀なくされた。このときBigelowはゴムボート式に膨らませる宇宙コテージの特許をNASAから買い取った。

しかし膨張式宇宙モジュールのアイディアはこれよもずっと早く、60年代初期にすでに生まれていた。事実、NASAの最初の通信衛星、エコー1号はこの風船デザインの産物だ。しかし当時のテクノロジーで得られる素材は通信衛星はともかく、居住区に用いられるような水準にまったく達していなかった。

NASA's first communications satellite, Echo / Image courtesy of NASA

NASAの最初の通信衛星、Echo-1 / NASA

その後の目覚ましい発達により、有人の宇宙任務に耐える素材が現れた。Bigelow Aerospaceは、観光客み魅力的な軌道上の宇宙ホテル建設のために設立された。同社は2006年にGenesis 1、 2007年にGenesis 2という実証用無人モジュールの打ち上げに成功した。両モジュールとも現在も軌道を周回中だ。

残念ながらBigelow Aerospaceは時代に先んじ過ぎていた。居心地よく滞在できる完璧な宇宙ホテルの製造と打ち上げに成功したものの、肝心の人間を軌道上に送る事業は予想どおりに拡大せず、室料を払ってホテルに滞在する顧客は現れなかった。そのため今年に入って150人のBigelow Aerospaceの社員のうち30人から50人がレイオフされた。民間有人宇宙旅行を可能にする機体は2017年から2018年にならなければ実用化しないと予想されている。

そこで当面Bigelow AerospaceはNASAとの契約に活路を見出している。同社は2013年にBEAMモジュールをISSに提供することを含む1780万ドルの契約をNASAと結んでいる。

BEAM inflation on the ISS / Image courtesy of NASA

ISSに取り付けられたBEAMが膨張する/ 画像: NASA

一見すると膨張式居住区は微小なデブリの衝突で風船のように「パチンと弾ける」のではないかと不安になる。しかし居住区は最新の柔軟な素材による多重構造となっているため、こうしたMMODと呼ばれる微小天体および軌道周回デブリ(MMOD)に対して十分な盾としての能力がある。

NASAのBEAMプロジェクトの代表の一人、Rajib Dasguptaは「今回のISSでのテストは、BEAが将来の有人宇宙ミッションで利用できるかどうかを決める重要なステップとなる」と述べた。【略】

BEAMのISSでのテストとは別個にNASAはBigelow AerospaceとB330膨張式モジュールの実験に関する契約を結んでいる。NASAはこのモジュールが月および火星への有人宇宙飛行に役立つことを期待している。

Bigelow Aerospace's B330 module with 330 cubic meters of internal space / Image courtesy of Bigelow Aerospace

Bigelow AerospaceのB330モジュールは330立法メートルの内部空間を持つ/ 画像:Bigelow Aerospace

〔日本版〕記事中に写真が掲載されているエコー1号通信衛星は1963年11月に翌年の東京オリンピックの世界中継の準備のために太平洋を越えたテレビ映像の中継実験を行った。この最初の中継でケネディー大統領暗殺のニュースがNHKを通じて放映され、日本の視聴者に大きな衝撃を与えた。

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+