鳥やコウモリのように「そこらへん」に止まれるドローン

ドローンはいろんなことで便利に使えるが、その便利さは彼らが空中にとどまれる時間に制限されることが多い。もっと軽くなるべきかもしれない。でも、上図のようなかぎ爪をつけたドローンなら、どこにでもとまったり自分をひっかけたりして電池の無駄遣いを防ぎ、飛行時間を延ばせるだろう。

そのかぎ爪は、この記事の最後でご紹介するように、ものすごく多国籍の研究者チームが鳥やコウモリからヒントを得て作った。チームは、鳥などの空を飛ぶ動物が、自分がとまりたい面の性質に合わせて独自の脚やかぎつめを発達させていることに気づいた。どこかに座ることもあれば、どこかにぶら下がることもある。羽根をたたんで、どこかに寄りかかることもある。

研究者たちは、こう書いている。

これらのどんな場合でも、動物の足の適切な形をした部分が環境中の面と対話をして、飛ぶ努力を減らしたり、完全にとまったりする。私たちの目標は、このような、「とまる」(Perching)という行為を無人航空機にさせることだ。

え、ドローンを鳥のように木にとまらせるの?まさか!

我々は、回転翼で飛ぶ無人航空機のために、外部動力で動作するモジュール構造の着陸装置を設計した。それは、動力式の握り部(Gripper、グリッパー)モジュールと、それの指に装着される接触部(Contact、コンタクト)モジュールから成る。

モジュール構造にしたために、とまったり休んだりするために使える構造物の形状や種類の範囲が、単純に鳥の脚やかぎつめを模倣する場合に比べて大きく広がった。

関節のある足のような単体で複雑な構造物を避けて、チームはドローンに、3Dプリントで作った特殊な形状の静的モジュール複数と、ひとつの大きなグリッパーを与えた。

ドローンはLiDARなどの奥行き検知センサーを使って自分のまわりを調べる。近くにある面の性質も検知して、自分がとまれる面の例を収めたライブラリとマッチングする。

上図右上のような四角いエッジでもAのようにとまれる。柱ならBのようにバランスをとる。

柱があってそこにとまりたければ、その柱を上からつかむ(上図下左)。水平方向の棒なら、握ってぶら下がったり、必要なら起き上がったりする。棚のようなものなら、小さな穴を開けて自分をその隅に固定する(上図A)。そのとき、モーターは完全に停止できる。これらのコンタクトモジュールは、ミッションの性質や状況に応じて形を変えられる。

率直に言ってこれは全体的に、プロトタイプにしてはできすぎだ。難しいのは停泊に使える面の認識と、正しく着地するための姿勢制御だろう。でも現状ですでに、十分実用性がある。業務用や軍用なら、これでも十分ではないか。数年後にはこれが、すべてのドローンの標準装備になるかもしれない。

このシステムを説明しているペーパーは、Science Robotics誌に載っている。省略してもよい人は一人もいないと思うから執筆者全員を挙げると、エール大学と香港科学技術大学とスウェーデン王立工科大学のKaiyu Hang氏、Ximin Lyu氏、Haoran Song氏、Johannes A. Stork氏、Aaron M. Dollar氏、Danica Kragic氏、そしてFu Zhang氏だ。

[原文へ]

(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

昆虫からヒントを得た羽ばたくロボットが一回の充電で1キロメートルを飛ぶ

イエバエやミバエなどの、信じられないほどの敏捷さは、すべてのロボットとドローンを赤面させる。でも彼らに見倣ったデバイスが、やっと追いつきつつある。このたび新たに作られた四翼の羽ばたきロボットは、ミバエのあまりにも敏捷な飛行方法の模倣に成功しただけでなく、一回の充電で最大1キロメートルも飛ぶことができる。

デルフト工科大学のロボティクスの研究者たちは、昆虫の飛び方に関して彼らがまとめた理論を、実際にロボットとして実装し検証するための飛行体を作りたい、と思った。もちろんそれはワイヤレスで、しかもプロペラなど昆虫に本来ない推進機構があってはいけない。

彼らは単に、羽ばたきで前進するクールなロボットを作りたかったわけではない。昆虫が、突風や自分を叩(はた)こうとする人の手の動きなどに反応するときの、リアクションとコントロールはおそろしく速い。これほどの情報伝達能力を自動操縦ドローンや小型飛行機が持ったら、すごいことになるだろう。あなたが乗ってるジェット旅客機が稲妻を自動的にスムーズに避けることができたら、すてきではないか。

しかし昆虫よりもずっと大きなものになると、その飛行方法は質量が大きすぎて機能しない。彼らの羽ばたきロボットはScience誌の表紙を飾り、彼らのこんなペーパーが載った:

重量とサイズの制約が厳しいので、これまでの設計の多くが、その原型となった生物の飛行性能に到達できていない。それらは必要なレベルの敏捷性を欠き、離陸に必要なパワーがなく、1分以上飛ぶことのできる十分なエネルギーを搭載できなかった。

それだけではなく、Robobeeのような小さなロボットは電源に接続するケーブルを必要とし、そのほかの小さな羽ばたき機は手動による有線の操縦を必要とする。それでは、だめだ! そこでデルフトのチームは、小さな動物の生物的機構を忠実に模倣することをやめて、同じ飛行特性を現実的な大きさで実現できる、ほかの方法を探した。

彼らが作った四翼で尾のないスタイルの創造物DelFly Nimbleは、奇抜だが疑う余地なく有効だ。彼らのロボットは秒速7メートル(時速約25キロメートル)で飛び、定位置でホバーリングでき、急降下や回転など、あらゆる極端な動きがスムーズにできる。ジョークではなく実際に、継続的な推力のあるローターでそれらができる。羽根の動きを調整してコントロールする。このビデオで、そのほかの妙技を見てみよう。

たぶん、いちばん驚異的なのは、その航続距離だ。このロボットは一回の充電で1キロメートル飛ぶ。無人ロボットで‘キロメートル’などという数字は、ほとんど軍用品の仕様だ。

しかしDelFly Nimbleは、興味深い科学的データも作り出している。研究のリーダーMatěj Karásekが説明する:

動物実験と違って、ロボットの脳の中で起きることを完全にコントロールできる。そのため、飛行をアシストしている新しい受動空気力学の仕組みを見つけて記述できる。そのほかの飛行動物の、高速傾斜旋回の間の方向制御の仕組みも、そこから理解できるだろう。

開発は継続しており、生物学者や政府機関方面からオランダの発明家たちに宛てた、関心表明の手紙も日増しに増えている。

画像クレジット: デルフト工科大学

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

ロボットに虐待やいたずら対策を実装するより人間のマナー向上が先…その深遠な理由

おぼえておられると思うけど、先週はBoston Dynamicsの最新ロボット、細身で黄色のSpot Miniが、自分でドアを開けられるようになった。でも、それぐらいでロボットを怒らせたいとは、誰も思わない。でもロボットたちはやがて、人間個人を見分けるようになるだろう。そして、ロボットの停止ボタン勝手にを押した人を見つけると、自分のやるべきことをやらせてくれないロボット虐待の罪で、そいつを罰するかもしれない。Spot Miniもやがて、紐に繋がれていない自由な‘生き物’になる。

でも、ロボットを複雑で混みあった環境の中を歩かせるときには、このような、‘妨害に遭ったときにどうするか’というテストが欠かせない。意図的な妨害でも、あるいは事故や偶然による妨害でも、そんなときロボットはどう反応すべきか。もちろん、ロボットには妨害から立ち直る能力が必要だ。想定外が生じたとき混乱するだけなら、仕事はできない。

どんな場合でも、対応できずに途方に暮れるロボットを見るのは辛(つら)いだろう。ぼくなら、辛いね。まじめに仕事をしているのに、自分の部品を外してしまったいたずら人間を怒れないなんて、まさにロボット虐待ではないか。

たぶんロボットは、ドアを開けられるだけでなく、超人的な忍耐力(我慢する能力)を持つだろう。ぜひ、そう願いたい。ぼくは、招待されてBD社にSpot Miniを見に行ったとき、一度だけ彼を蹴ったことがある。この記事を読んでいるマシンのみなさま、ごめんなさい

画像提供: Boston Dynamics

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

ロボットのワニとオオトカゲがBBCの番組で本物そっくりに動きまわる、睨まれたら怖いぞ

robot_head

ワニの群れの中を歩きたかったら、まず自分がワニになれ、とことわざは言う。しかしAce Venturaでないあなたが野生動物の生態ビデオを撮るためなら、ロボットを使うべきだろう。スイスの大学のロボット研究所が、今日(米国時間1/26)放送されるBBCの番組でそれをやっている。

その“Spy in the Wild”という番組は、ぜひ見ることをおすすめしたい。“野生に対するスパイ(Spy in the Wild)行為”は、義足をつけたカメラを虎のいる森に置くなど、素朴な方法で始まり、そして今年は、プロデューサーがやる気満々、あらゆる動物のレプリカを使うことになった。

そのSpy Pup(幼獣), Spy Bushbaby(ガラゴ)などのロボットは、目の前にいても動物たちがまったく違和感を示さないぐらい、良くできている。それどころか猿たちは、赤ちゃん猿ロボットの‘死’を哀悼した。Spy Baby Monkeyちゃん、天国でお幸せに。

今日の番組に登場するのはワニとオオトカゲだ。番組のプロデューサーは国立ローザンヌ工科大学(EPFL)のBiorob lab(バイオロボット研究所)へ行って、模造動物たちを作った。

  1. kamilo_robot.jpg

  2. robot_head.jpg

  3. robot3.jpg

  4. robot2.jpg

彼らは以前、この研究所でトカゲロボットを作って成功している。彼らのPleurobot(胸膜ロボット)は、両性動物特有の、左右に回転するような動きで、歩いたり泳いだりできた。それはワニにも応用できるだろう。

“ここでやろうとしているのは、生物情報科学だ”、とKamilo MeloがEPFLのビデオで言っている。“基本的には、生物学の情報を、ロボットの設計に反映させることだ。ありとあらゆる情報を集め、実験を行い、生物学に測度を与え、そしてそれらのデータをロボットの設計に持ち込む。その過程で、本物の動物の動きも研究できる”。

動物の精妙な動きを細かく理解すればするほど、生物情報科学と生体模倣技術に基づくロボットの動きは本物に近くなる。最近ではそんなロボットを見る機会が、増えているね。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

このサンショウウオ型ロボットは、両生類のように水陸を滑らかに動き回る

x3a9216

École Polytechnique Fédérale de Lausanne のマッドロボットサイエンティストたちが、また一つ生物模倣メカノイドを作った ― これはサンショウウオのしなやかな動きに基づいている。”Pleurobot” は、多関節からなる独自の頚椎を使って、両生類の動きを真似、地上や水上を滑るように進むことができる。

「動物の動きは、体と脊髄と周辺環境との実に興味深い相互作用から成っている」と、プロジェクトのリーター、Auke Ijspeertがビデオで説明している。「このプロジェクトの特徴はわれわれのとったアプローチにあり、実際の身体構造にできる限り近づけることを目標にした [

bones_of_sala

チームは、Pleurodeles waltl、別名イベリアトゲイモリのX線ビデオを長時間観察した。

骨と肢の角度を注意深く追跡した ― サンショウウオは、這うのも歩く泳ぐのも、事実上同じ基本動作を速度を変えるだけど実現している。つまり、早足とギャロップで、動きを切り替える必要がない。

その結果がこの骨格の驚異だ。脊髄分節はわずか11組で本来の40組(29組は必須ではない)よりはるかに少なく、関節によって動きの自由度を著しく減らした。サンショウウオの滑るような動きを模倣する見事な仕事だ。それは、脊椎動物の進化における重要な瞬間でもある ― つまるところ、彼らはわれわれの遠い祖先なのだから。

これは興味のためだけではない。移動行為と脊髄と脳の複雑な相互作用は、様々な分野に役立つ。

「これを理解することは、例えば神経機能代替の分野で非常に重要だ」とIjspeertがビデオで説明する。「人体内でこうした回路を長期間再び刺激できることは非常に重要であり、脊髄のしくみを理解するためにも必要だ。」

チームは様々なタイプの動作や神経回路を研究するために、他の「バイオロボット」も作りたいと考えている。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook