心拍認証のBionymが早くもシリーズAで$14Mの大金を獲得…パスワード離れが一大産業に?

トロントのBionymがシリーズAで1400万ドルの資金を獲得した。主な投資家はIgnition Partners、Relay Ventures、MasterCard、そしてSalesforce Venturesだ。このラウンドはほかにいわゆる戦略的投資も多くて、たとえばExport Development Canadaはこのプロダクトの、企業向けのセキュリティ機能に着目している。

Bionymの技術は、高度な心電図(electrocardiogram, ECG)センサをNymiと呼ばれるリストバンド(腕輪)に組み込む。そのリストバンドは装着者のECGを自分が保存しているプロフィールと比較して彼/彼女の本人性を確かめる。そして本人がそのリストバンドを着けている間はずっと、無線通信でそのほかのデバイスを認証する。いったん外したら、再度ECGによる再認証が必要だ。

Nymiは同社の最初の製品にすぎないが、すでにデベロッパたちの手に渡って、この秋の終わりごろを予定している消費者向けローンチの準備が進められている。Nymiの予約キャンペーンでは、これまで1万を超えるオーダーが来ている。今回の資金で生産と発売を確実にするとともに、新たな雇用も行う。2011年に創業したBionymは現在社員数が約40名に増えており、最近トロント都心部の大きなオフィスに引っ越したばかりだ。

Bionymの最初の資金調達は2013年8月に終了した140万ドルのシードラウンドで、そのときはRelay VenturesやDaniel Debow、およびそのほかのエンジェルたちが投資した。今回はMasterCardやSalesforce、EDCなどが参加したことにより、戦略的パートナーシップの色彩も濃くなっている。Nymiは商業方面のアプリケーションに多大なる可能性があり、ほかにも、ホスピタリティー産業や、さまざまなエンタプライズアプリケーションで機会がありそうだ。

Appleは同社のTouch ID技術のAPIを公開することにより、これを、さまざまなアプリケーションやサードパーティサービスにおける中核的な認証方式にしたいらしい。しかしBionym社はNymiのようなバイオメトリックな方法の将来性に賭けており、そのセキュリティは指紋を使う方法にまさる、と考えている。また応用製品はリストバンド以外にもいろいろありえるので、今後の製品の多様化にも着目したい。

Bionymという特定の技術の行く末はともかくとして、パスワードの時代は明らかに去りつつあるようだ。ハードウェアとデバイスに基づく技術が台頭しており、今回のBionymへの投資も、パスワード無用化に向けての関心が大きくなっていることの表れだ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


パスワードを博物館へ追いやるNymiの心拍認証システムがエミュレータとSDK(ベータ)を提供開始

パスワードの時代は終わろうとしている。セキュリティのリスクと要求が増す一方の(そしてその要求に応えられない)、古くさい英数字のパスワードは、これからの長期にわたる実用性がなく、すでにBionymのようなスタートアップが、パスワードに代わる認証方式を作り始めている。同社の、心拍認証リストバンド(wristband, 腕輪)Nymiはもうすぐ発売されるが、デベロッパたちはそのハードウェアエミュレータ“Nymulator”のベータバージョンを使って、WindowsやMacの上でソフトウェアを開発できる。

NymulatorとそのSDKを使うとデベロッパは、手元にNymiの実物がなくてもソフトウェアのプロトタイプを作れる。ただしデベロッパ用の実物ハードウェアはこの夏の終わりごろから、申し込みのあったプログラマたちに配布できるという。

デベロッパポータルをローンチしたBionymは、デベロッパから寄せられた面白いプロジェクトを精査して、実際に消費者が製品を腕につけたときに、どんな製品であることや、何ができる製品であることを望むのか、それを事前に知ろうとしている。本誌はこの4月にNymiの実用デモビデオを入手したが、それを見ても、この製品の将来性がとても大きい、と分かる。サービスへのログイン、特定のユーザプロフィールに合わせたコンピュータのセットアップなど、いろいろな目的に使えるし、最終的には、あなたが自分の家に入ろうとするときや、自分の車(あるいはレンタカー)に乗ろうとするときにさえ、使われるだろう。

ぼくの真剣な希望は、今のような専用リストバンドだけでなく、スマートフォンや、そこらのありふれたいろんなウェアラブルに、この本人認証機能が内蔵されることだ。もちろんNymiリストバンドは、そういう道を切り開くための強力な概念実証となるだろうが。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


Bionymのウェアラブル製品ではユーザ本人の体(心臓の鼓動)が認証情報だ

ウェアラブルハードウェアの新しいコンセプトで注目を集めているトロントのBionymの製品Nymiは、心臓の鼓動の波形(heartwave)でユーザを認証する。その波形はその人と密接に結びついているので、盗まれることも失うこともありえないから、これまでにない強力なセキュリティ対策になりえる。今ではパスワード生成器という専用機もあるが、いったん作られたパスワードはふつうのパスワード同様、安全ではない。〔関連ビデオ。〕

トロントの同社本社でBionymのCEOで協同ファウンダのKarl Martinに会った。かなり狭い一つの部屋で技術者チームと一般社員が一緒に仕事をしている。しかしチームは急速に成長しており、近くもっと広い場所に引っ越す予定だ。でも、ハンダごてを握って最新の回路基板をテストしている連中と、電話でパートナーと打ち合わせなどをしている一般社員が一緒にいる光景は、なかなかおもしろい。

同社が最初の予約受付キャンペーンをしたのは9月だが、Martinはその後の進捗について説明してくれた。どうやら、万事順調なようだ。設計の最終決定はまだ遠い先のようだが、約1年前にMartinと協同ファウンダのFoteini Agrafiotiが作った最初のプロトタイプに比べると相当前進している。Martinが心に描くNymiの未来はとても明確で、その中には、着けている人が着けていることに/を気づかない/忘れる、という長期的目標もある。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))