リンク管理のBitlyがQRコード業界リーダーの独Egoditorを買収

リンク管理企業のBitlyが米国時間12月1日、ドイツに拠点を置くQRコード企業でフラッグシップ製品のQR Code Generatorで知られるEgoditor GmbHを買収すると発表した。

買収の条件は公表されていないが、BitlyのCEOであるToby Gabriner(トビー・ガブリナー)氏は現金と株式の取引であることを明かし、買収が完了すると有料版顧客は32万5000社、アクティブユーザーは500万人以上、従業員は180人、年間経常収益は7500万ドル(約84億6000万円)を超える企業になると述べた。

これはBitlyにとって初の買収で、組織が顧客や人々と関わりデジタル体験でつながりを持つことに貢献するグローバルなSaaS企業を目指すという同社の目標に沿うものだ。

Bitlyは買収と同時に、リンク管理、QRコード、リンクインバイオのリソースをオールインワンで提供するCustomer Connectionsプラットフォームも発表した。Bitlyはここ数年、短縮リンクからさまざまなツールへの進化に関心を移してきた。

Bitlyのトビー・ガブリナーCEO(画像クレジット:Bitly)

BitlyがQRコードのソフトウェアを自前で開発するか買収するかをじっくり検討する中で、Egoditorが第一候補にあがった。Egoditorは10年以上にわたってQRコードの世界をリードしてきたことに加え、Bitlyとの間に顧客や機能性の共通点が多く、この両社が1つになるのは自然な成り行きだったとガブリナー氏は補足した。

同氏は「市場の発展にともない、Bitlyの自然な進化としてこのような道をたどり始めました。当社がQRコード機能の提供を始めたところ相当数のお客様に利用され、お客様が望む機能であると確信を深めました」と説明する。

ドイツのビーレフェルトに本社を置くEgoditorは、QRコードのデザイン、利用、管理、分析をするエンド・ツー・エンドのツールを提供している。2009年にNils Engelking(ニルス・エンゲルキン)氏とNils Drescher(ニルス・ドレッシャー)氏が創業し、190カ国以上の1000万人を超えるユーザーに活用されている。同社の顧客にはスターバックス、Zalando、救世軍などがある。

QRコード自体は新しいものではなく1990年代ごろから存在する。人々はQRコード読み取りアプリをダウンロードしなくなったが、Snapなどは最近、QRコードをクールにしようと試みている。ガブリナー氏は、GoogleとAppleがスマートフォンのカメラでQRコードを読み取れるようにしてから改めて使われるようになったという。そしてコロナ禍の時代となった。

ガブリナー氏はTechCrunchに対し次のように述べた。「利用者が企業と非接触でやり取りする手段が注目され、行動が変容しました。レストランでメニューを見ることから不動産業や小売業、NPO、歯科医に至るまで、あらゆるところにユースケースが爆発的に広がりました。ユースケースの広がりは始まったばかりで、毎週のように新しいことが出てきます」。

ガブリナー氏によれば、Bitlyは現在Egoditorのチームを統合している途中で、全員が合流するという。また新規採用も進めているとのことだ。ドイツと米国のオフィスで、50のポジションに人材を求めている。

同氏は、これは単なる買収ではなく2社が「急速に成長する」ストーリーで、両社の組み合わせはその成長を後押しすると考えている。この1年半でBitlyのカスタマーベースは170%以上成長し、リンクインバイオ機能は数週間前に発表したばかりで現在はプライベートベータだ。

「当社を次のレベルに引き上げる買収として、とても喜んでいます。新しいプロダクトやソリューションを今後提供する基盤を得て、当社は1つのプロダクトから複数のプロダクトへと移行します。エンジンを全開にして成長のストーリーをこれから加速していきます」とガブリナー氏は語る。

画像クレジット:Nutthaseth Vanchaichana / Getty Images

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(文:Christine Hall、翻訳:Kaori Koyama)